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#4 3人の異能力者
いつものように下校道を歩く。今日は、御影さんはいない。まあ、いつも一緒、っていうのも気が張り詰めている気がする。
ちなみに、今日はいつものメンバー__アヤと、レナと、わたし__で帰る。
「そうだ、アンの家、行かない?」
「うん、いいねっ。でも、また追い返されるかも…」
「ま、行ってみるだけ行こうよ!」
そう言って、アンの家のインターホンを鳴らす。
ピーンポーン、という音の後、聞き慣れた声がする。
「あら、杏梨の友達の…」
「アン…杏梨ちゃん、どうなんですか?」
「…ごめんね、まだ治らないみたいなの。でも、来てくれて少しずつよくなってると思うから」
というわけで、わたしたちは退散することにした。
しばらく歩くと、野球ボールが飛んできた。
うわっ、と慌てて能力を使おうとしたけど、よくよく考えれば今は使えないんだった。
「す、すみません!」
「いや、怪我してないし大丈夫だよ。…にしてもすごいと思わない、レナ、ミホ」
わたしたちが歩いていた、整備されたアスファルト。
アスファルトの向こうには、少し低い原っぱがあり、よく野球をしている。
「えーと…」
「僕は1年1組の、不羽燃」
そんな人、確かいたな。ちょっとめずらしい名前だって、気に留めてたんだっけ…
御影さんは白だったけど、この人の髪色は赤と珍しい。
「1年1組。…あれ、野球部じゃないの?野球やってるから」
「いや、今日はないんだ。小学生がやってて、珍しいと思ってピンチ・ヒッターに来た」
確かに、現代で草野球は珍しいな。某ロボットアニメぐらいしか、草野球をしているイメージがない。
でも、なんでこんな髪色なんだろう。
「ごめん、ちょっとこの人との用事思い出して」
「え?何何、」
「いや、単なる委員会のこと」
「え?」
そう言ってアヤとレナを帰し、
「すみません、能力って知ってます?」
と聞いてみる。
「能力?」
「最近使えなくなったとか、ありません?わたしもそのひとりで」
「一応能力者だ。火を操っていろんなものにすることができる。秘密だから」
「ありがとうございます。わたしの知り合いにも、能力者がいて…また何かあったら、電話かメールかくれませんか?」
「いいけど…」
ちょっと怪しまれてるけど、まあいいだろう。
そう思うと、不羽さんは草野球へ戻っていった。