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~3~ 肝試しの夜に、ある屋敷へと。
こんにちは。これ、いつか参加型でやりたいんだけど…あっ、登場人物(参加者様)は死にませんのでご安心くださいね(まだ決まったことではありませぬ)。
「動き出すって!?ど、どういう、こと!?」
「ゾンビ化ってことぉ〜?」
ゆあのとノナがるのに詰め寄っている…。
「あれ」
「何?」
ゆあのが、猫亞の様子を察知したのか、不思議そうな顔をして、猫亞の顔を覗き込む。
「文音がいなくないですか?」
猫亞は思い出す。
何でこんなこと、忘れていたのだろう。
しかし、ゆあのの表情は変わらない。
それどころか、ノナもるのも。
「どうしたの?」
ノナは「大丈夫?」とでも言うように聞いてきた。
るのは、考え込んでいる様子。
ゆあのは首を傾げながら、
「文音…文音…文音………」
と繰り返している。
「文音って、誰かの名前?」
文音という高校一年生の女子は、猫亞しか覚えていないようだ。
「すみません、忘れて」
猫亞は考えるまでもなかった。
これはいわゆる記憶の改竄。
存在操作魔術を使える猫亞には、その系統の呪が無効されたのか。
まあいいか。
そんなことよりも、男性が。
男性の、身体、さっきから震えている。
ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる
死んでいるなら、身体の内から動くことなど無いはずなのに。
細胞は死んだはずなのに。
さっきから男性の身体は独りでに、周期的に、震えている。
周りの人間達は、そのことに今気付いたようだ。
ひそひそ、ひそひそ。
「どうしたの…?あれ死体じゃないの…?」
「あの男の人…何者?」
中には子供もいることが見て取れた。
ゆあのもそれに気付いたようで、驚いたような、恐怖するような顔をしている。
「ねぇ…?ここから出る方法は、ないの…?」
ノナが、るのに聞く。
ゆあのは、真剣な顔で、落ち込んだような低い声を出す。
「でも…出口、遠くない…?るのが言った三十分から、もうあと…五分くらい?じゃない?」
「………一つ、ある。ここを壊す」
るのは、檻の柵を掴む。
「壊せるの…?いくらるのがバカ力でも…」
「黙れ、見とけ」
ゆあのは苦笑した。が、次の瞬間に息を呑んだ。
バキィッ!!
周りの誰もがこちらを向く。
「あれ?るのって怪力キャラだっけ?」
ノナが呟いた。
そして、檻の柵が見事に壊れて、るのが出られるまで開く。
「ねえぇ〜これぇ、私がこの柵に刺さって死んだらジ・エンドだかんな?」
まあ、案の定普通に出られたが。
「私達はどう出る?」
ゆあのが聞く。
猫亞は黙ったまま、薄笑い。
「ねぇ〜え!わかってるんでしょ!教えてあげないと今度から森住みにさせるよ!」
「はい教えます」
猫亞は、檻の柵を掴むと、
「出方は二通りあります。そんなことは置いておいて」
猫亞が何かを詠唱し始める間。
(二通り…?猫亞ってすごいな、やっぱり。……バカ力で?……猫亞はそれ向いてない…wwなんでるのってたまに変わったキャラ発揮させるの…)
ゆあのは、るのの方を見る。
こちらを見ながら、周りの人達の檻を腐敗させて…助けている……
「あ!!!バカだ私!!」
そうだ!毒は腐敗作用を持つこともできる!
「ありがとるの!」
急いで檻を…。
もう檻は消えていた。
男性の死体が入った檻以外。
「ふざけるな〜!」
ガコン、ガコン、ガコン
不意にそんな音が鳴る。
「え…?」