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あなたには権利ないから
もう限界。集団イジメなんかに勝てるわけない。
ここらで身を引いておいた方がいいじゃん?
だから私は死を選んだ。まぁ色々合ったけどもそこまで悪くはない人生だったかな。
今までの学費がもったいない、受験した私の努力がもったいないとかめっちゃ思ったけど、じゃあ小学生の時のテストだって、中学校の時の定期テストだって努力したんだから今も昔も変わらない。
柵の欄干に背をもたれて座っていた私は立ち上がりスカートを少し直して手をかけた。
遺書は制服の胸ポケットに。中々ドラマチックな演出じゃない?
さぁあとは飛び込む勇気だけ。さよなら世界とか呟いてみようかなw
死ぬ間際にこんなポジティブ思考だったら人生生きてけるって思うかもしれないけど、今日死ぬって決めたんだからここまで生きてこれた。逆の思考だよ。分かんない?じゃああんたは捻くれてないじゃん。良かったね。
あぁ、こんな雑談してる時間はないの。もうすぐ見回りの爺さんが来るから。止められたらひとたまりもない。さっさと落ちて死ななければ。ちゃちゃっとね。
橋に掛けた手に力を入れいざ飛ぼうとしたその瞬間――
「ダメ!死んじゃダメ!」
いきなり腕を掴まれた。
「ちょっと!いきなり何してんの!?」
「今、貴方飛び降りようとしたでしょ!」
「だから何?あんたには関係ないじゃん。大体、あんた誰?」
「1−A、富部梨里!私は、そうやって死んでく人を見るのはもう懲り懲り!
死ぬんだったら、こんなところで死なないで家で死んでよ!」
「…は?あんたに何が分かんの?」
「何が分かるのって…わ、私は生活委員会として校内の秩序を守る権利がある!」
「偽善者とか…もうお腹いっぱい。じゃああんた、経験してみなさいよ。毎日毎日罵られ、机に落書きされ花瓶の水やら汚雑巾を洗った水を頭からかぶってみなさいよ。」
「そっそんな列記としたイジメ、どうして先生に通告しないんですか!」
「何度も何度もしましたー。声も脳も枯れるほどね。だけど誰も取り合ってくれなかった。信じてくれなかった。」
「私が…立証してみせます。」
「くだらない事言わないで。私は貴方みたいな人種が一番嫌い!結局あんたも口だけ。時間が経てば私の事なんて面倒くさいと思うんだよ。それに、死を決意した事で今まで生きてこられたの。あんたの人生には関係ないじゃん。あーあ。話すのも無駄。第三者は黙ってそこで見てなよ。それこそ無能にねww」
「と…とにかくやめなさい!」
「お前に関係ねぇじゃん。は?何様?お前私の人生を否定するなんてどんだけ立場を築き上げてきたの?優璃音ちゃんが言ってたわ。メガネを掛けた1年の生活委員会が地毛を染めてるって否定して出席停止を食らったってね。それどうせお前だろ?どうせ死ぬんだから言いたい事全部言ってやる。」
「そっそれは…」
「優璃音ちゃんの事気に食わないんでしょ?私怨で処分するとか生活委員会としてどうかと思う。地毛かどうかなんて入学証明写真を見れば一発で分かった事なのに。」
「それは…素直に謝ったわ。だけど処分を無くしても来なかったのよ。」
「来るわけ無いでしょ?一回そうなっただけで犯罪者扱いだよ。お前のせいで。
謝っただけで許されると思う?社会的制裁が無くなると思った?バカじゃないの。そんなんで無くなるなら私だって死を選んでないわよ。そうやって私の道を阻むのはいっつもいじめられてない人。被害者には何も目を向けないくせに。お前に私に文句を言う権利はあなたにはない。」
もうこれ以上話しても無駄だ。こいつを殺人犯にしてやる。
「もう…話しても無駄ね。さよなら。お前を血塗られた人生に染めてやる。ざまぁないね。」
彼女の手を私の背に添えて、無理やり押させた。
「…はっ…!!」
最後の最後に、人生最大の復讐ができたと思う。