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本編19
「…え」
「あ…と、とーやくん…どういうこと…?」
「お兄ちゃんがいじめられてるって…」
「えむちゃんもるいさんも、お兄ちゃんのこと見放したって…」
「…本当なの…?」
「…はい」
「俺も昨日知ったんですが…」
「だ、だから何も言わなかったの?」
「だからお兄ちゃんは…アタシに話してくれなかったの…?」
「心配をかけたくないから…?」
「………………」
「すみません咲希さん、俺がもう少し早く気づいていれば…」
「や……とーやくんは悪くないよ…」
「アタシの方がお兄ちゃんとよく関わってたのに何も知らなくて…」
「………悔しいなぁ……」
「……とりあえず、これからどうすればいいのか考えませんか?」
「………………」
「…そう、だよね」
「アタシ達が落ち込んでてもどうしようもないよね…」
「1番辛いのはお兄ちゃんなんだから…」
「……あの…咲希さんにお願いがあるんです」
「お願い?」
「…司先輩と話をしてほしいなと」
「…えっ?」
「はい、俺達は司先輩のことを信じている、助けたい、救いたいという気持ちを伝えてほしくて…」
「それに、家族なら…咲希さんになら、司先輩もきっと話してくれると思います」
「な、なるほど…」
「もちろん…!任せて!」
「アタシにしかできない仕事だよね!頑張るよ!」
「…!ありがとうございます」
「それじゃあ…またね!とーやくん!」
「ちゃんと話せてよかった…!ありがとう!」
「いえ、こちらこそありがとうございました」
…未だに信じたくない
信じたくないけど…
これが現実なら
アタシは全部受け止めて、お兄ちゃんの支えになるよ
「みんなで頑張ろうね…!」
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「…来てない」
結局返信はこなかった
何度もスマホを見て確認をする。通知がオンになってるかも確認した。
このままずっと連絡が取れなかったら…
なんて考えるだけで怖くなる。すごく不安だ。
司先輩のことでこんなに悩んだのは初めてかもしれない
先輩の想いもわからないまま、ずっと考え込んでいてもいいのだろうか
「咲希さんからの連絡を待つしか…」
「………………」
…とりあえず練習に行こう、彰人達が待ってる
「…こんな気持ちのまま歌っても、きっといいものは作れないな」