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愛しとるよ
お前が誰かに笑うたび、俺の中で何かが軋む。
友達のふりして笑いながら、心の奥じゃ何度も叫びよる。
「誰にも触れさせんな」「俺だけのもんやろ」って。
優しさじゃなか。独占欲や。執着や。
けど、それでも――
俺はお前ば、どうしようもなく愛しとる。
綺麗じゃなか、正しくもなか。
でもな、この気持ちは本物やけん。
もしも、俺の方を振り向いたら……
もう、逃がさんけんね。
夜は黙っとる。何も言わんで、ただ俺のこと見下ろしよる。
ネオンの光が、にじんで揺れる。まるでお前の笑顔みたいや。
あったかくて、やさしくて――なのに、どこか遠い。
手を伸ばしても、届かんのに。
「好き」って、何回も言うた。心の中で、何千回も。
けどな、それは声にならんまま、喉で腐って、胸の奥に沈んでいった。
届かんのやけん、しゃあないやろ。
俺がどれだけお前ば見つめても、お前は他の誰かに笑いかける。
その笑顔が、俺ば何回も殺すと。
皮膚の下、骨の奥、魂ん底まで、全部焼けていく気がする。
なのに俺は、笑わにゃいかん。
「うん、よかったね」って、
まるで、どうでもよかような顔して。
なぁ、お前。
ほんとは、笑ってほしくなかとよ。
俺以外のやつに、そんな顔、見せるな。
あの声も、あの仕草も、あの視線も。
全部、俺のもんであってほしいんよ?。
狂っとる?
ああ、そうかもしれん。
けど、もう止まらんと。
愛って言葉で包むには、俺のこの気持ちは、あまりにも棘が多すぎる。
抱きしめたら血が出るような、
キスしたら喉切れるような、
そんな愛しか、俺にはないけん。
普通になんて、なりたかったわけじゃなか。
ただ――お前が、俺だけば見てくれたらよかった。
ほら、また誰かと笑いながら歩いとる。
俺の知らん名前の奴。
俺の知らん世界におるお前。
置いてかれるばかりの俺。
そいで、心ん中で叫ぶ。
**「もう誰にも笑いかけるな」**
**「俺の知らんやつと話すな」**
**「他の人間の目に、お前が映るな」**
おかしかこと、わかっとる。
だけん、俺は誰にも言わん。
心の中で、静かに呪う。
笑いながら、呪う。
今日もまた「友達」として話す俺を、鏡で見たら吐き気がした。
こんなん俺じゃなか。
俺は、お前ば抱きしめて、キスして、奪って、
息もできんくらい、お前のすべてば知りたい人間やけん。
優しさの皮ばかぶって、笑顔の仮面つけて、
ほんとの「俺」は、
どこに行ったと?
もしも、今この瞬間、お前がこっちを振り返って、
「どうしたと?」って言うたら、
俺は泣いてしまうかもしれん。
そんで、
「壊したか、お前を」って言うかもしれん。
檻の中に閉じ込めて、
他の人間から見えんようにして、
お前の笑顔も声も、全部、俺だけのもんにしたい。
それが叶わんなら、《《いっそ》》――
いっそ、お前をこの世界から消してしまいたい、
なんて、思ったこともあった。
だけどな、それは無理なんよ。
だって、
お前がいなくなったら、
俺は、ほんとうに、終わってしまうけん。
だから今日も俺は、「普通のふり」をする。
笑って、お前と話して、
心の奥で、
静かに狂っていく。
俺のこと、好きになってほしいだけやけん。
愛しとるよ。
九州大好きすぎて(方言が好きなだけ)書いちゃった。
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返しに行くけん!