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第1R「生徒会」
いっぱい昔の名馬が出てきます。
完全なる二次創作です。
「やっぱりマルゼンは早いなぁー!!ボク、マルゼンにもシービーにもデビュー先越されちゃったから寂しいよ!」
「でもルドルフは来年デビューでしょ?マルゼンとは無理かもだけど、アタシとならレースできるかも!」
マルゼンスキーの模擬レースの帰り道。ボクことシンボリルドルフと友達のミスターシービーは共に帰路についていた。
「シービーはやっぱり三冠路線?」
とボクが聞く。『三冠』とは皐月賞、日本ダービー、そして菊花賞を指す。この3つのレースは一生で一度しか走れない、ウマ娘にとって大事なレースなんだ。
「うん!トウショウボーイ先輩も走ってたから!」
「そっか!よーし!ボクも頑張るぞ!!」
「あっ!待ってよルドルフ!!」
このときにはあんなニュースが出るなんて、ボクたちは思いもしなかったんだ。
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「マルゼンが『日本ダービー』に出られない!?」
寮に帰って早々耳にしたのはとんでもないニュースだった。
「…うん。なんでもURAのお堅いルールらしいよ。マルゼンは外国からやってきたからね」
シービーが悲しそうに俯く。
ボクもマルゼンがダービーで走ってるところを見たい。
…だったら!
「…シービー」
「…何?ルドルフ」
「ボク、明日センセーに直談判してくるよ。マルゼンをダービーに出してくださいって!」
マルゼンを何としてでもダービーに出させるんだ!!
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「だから!ボクはマルゼンスキーをダービーに出してくださいって言ってるんです!」
「…出来ません」
翌日。ボクはセンセーにマルゼンをダービーに出させるように頼んだけど、ダメだという一点張り。話が通じないんだ。
「じゃあ!なんでダメなの!マルゼンはものすっごく速いし!」
「それがルールだからです」
「ルドルフもうやめようよ!もうマルゼンは出られないんだよ!ダービーに!」
「ルドルフちゃん!アタシもダービーにはものすごく出たいけど、それがルールだから!諦めよ!」
二人が必死でボクを止めてくれてる。でもボクは…
「ダメだよ!シービー!マルゼン!ボクは絶対諦めないから!ボクが絶対説得させてみせるから!だから、お願いだよ、センセー!」
「…はぁ。先ほどからダメなものはダメだと…「話は聞かせてもらった」
「ーその話…僕が承ろう」
「と、トウショウボーイ先輩…!!」
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「いやー、君たちすごい勇気だねぇ。先公に直談判なんて、肝が据わってるよ」
ニコニコしながら語るこのヒトは、シービーの憧れのヒト、トウショウボーイ先輩だ。トウショウボーイ先輩はクラシックレースにも出走していて、皐月賞を勝っているヒトだ!
そんなヒトがボクたちも助けてくれるなんて…!
「あ、ありがとうございます!トウショウボーイ先輩!!」
シービーがキラキラとした眼差しを向けてる。
「いやー、可愛い後輩たちのためならね!僕もあんなお堅いルールにはずっと異を唱えたいと思っていたのさ!あのルールのせいで走る権利すら、もらえない娘だっていたからね。なにしろ、ルールなんて縛り、自由じゃない。僕は自由に走りたいからね!」
あははっと笑う姿は、シービーに似てなくもない。
「こんな問題なら先公より生徒会の方に行った方がよほど、話を聴いてくれるさ。…よっと!ほら!生徒会室だ!」
トウショウボーイ先輩の導きで生徒会室に着くことができた。…初めて入るなぁ…!
「やぁ!…お!生徒会長に副会長もお揃いで!」
生徒会室の中には3人の先輩がいた。
「…やあ、トウショウボーイ。用件は?生憎仕事が立て込んでてね」
大柄な先輩がトウショウボーイ先輩の応対をする。このヒトが…
「ははっ!今日も生徒会長してるねえ…セントライト君?」
セントライト生徒会長。史上初の三冠バだ。
「…何を言ってるんだ?私はいつでも生徒会長だぞ?…それよりも…この子たちは?」
「紹介するよ!この子たちは僕の後輩の、」
と言いかけてボクたちに合図を送る。
「しっ、シンボリルドルフです!」
「マルゼンスキーです!」
「ミスターシービーです!」
「…だよ!3人とも可愛いでしょ!それでね、今日はお願いがあってきたんだー」
「…僕の後輩、マルゼンスキーをダービーに出してくれないか?」
一瞬、その場の空気が凍りつく。殺気が部屋中に溢れかえった。
「…それは出来ない」
沈黙を破ったのは、一人の先輩だった。
「…何故だい、シンザン?君もこのことには異を唱えると思っていたのだけど…違ったみたいだね?マルゼンスキーは…才能がある。三冠だって、目指せる力があるんだよ?」
シンザン先輩。史上二人目の三冠バで、『最強』と評される、出たレースは全て掲示板に乗っている先輩だ。
「…ルールがあるだろう。ルールが。だから、容認できない。例外などない」
とキッパリと言いきり、そっぽを向いた。
「…とにかく、マルゼンスキーをダービーに出走させることは叶わない。…引き取ってくれ、トウショウボーイ」
「…出来ません!!」
周りが固まる。でも、ここではいどうぞなんて、譲れないよ!!
「…君は…シンボリルドルフと言ったね?噂には聞いているが、将来有望らしいじゃないか。君が友達をダービーに出してほしいっていう気持ちはよく分かるよ。でもね、残念ながらマルゼンスキーはダービーに出れないんだ」
と諭すような口調でボクに話しかける。
「…そんなこと知ってる!!じゃあ!出れないんだったら、変えればいいじゃん!ルールのせいでマルゼンは出られないんでしょ!会長さんが変えてよ!そんなルール!!」
「だから、それはできな「だったら!!」
怖い…けど!ここで引いたら何にも得られないよ!!
「ボクとレースで勝負して!もし、ボクが勝ったら、ルールを変えて欲しいんだ!!」
ボクがそう言い切ると隣から笑い声が聞こえた。
「ははは!!笑わせてくれるな!お前、まだデビュー前だろう?お前がセントライトにレースで勝つなんて荒唐無稽な話だ!」
シンザン先輩が大笑いする。でもそりゃそうだろうな…ボクが会長さんに勝つなんてできっこない。
「ーシンザン」
シンザン先輩の笑いを鎮めるような声がずしっと響いた。セントライト先輩だ。
「…わかった。では走ろう。生徒会長の名に懸けて、本気で走ろうじゃないか。芝2400mでいいね?」
「シンザン。君も笑っているようだが…負けたら恥ずかしいね?」
と会長さんが聞くとシンザン先輩はびっくりしたように耳をピクッとさせた。
「…は!?俺も走るのか?」
「勿論さ。喧嘩を売ったからには…ね?」
といたずらっ子のようにウインクをした。
「その勝負、私も参加したい!」
とこれまで黙っていた、変則三冠バ、クリフジ先輩が声をあげた。
「じゃあ僕も走らせて貰うよ、君たちも走る?シービー?マルゼン?」
「「はっはい!」」
「…いいだろう。完膚なきまで置き去ってやる。…シンボリルドルフ、二言はないな?」
シンザン先輩が立ち上がってボクを睨み付ける。あまりの怖さにボクは怖じ気づいたけど…
「もっもちろんです!」
「それではレースは来週に執り行おう。トレーニングは抜かりなく…な」
セントライト生徒会長がそう締めて、ボクたちは生徒会室をあとにした。
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コンコン
ドアを叩く音が鳴って私は返事をした。
「いやーすまないね、セントライト。昼に私の親戚が迷惑をかけたようで。トウショウボーイから聞いたよ、君とルドルフがレースをするってさ」
「…ああ。知っていたか。スピードシンボリ」
日本初の凱旋門賞出走バがそこにいた。
「…はっきり言って、強いよ。ルドルフは。彼女はこれからトレセンを…URAを担っていく存在になる」
「…それでは健闘を祈るよ」
そう言って風の如く去っていった。
「…シンボリルドルフか…」
「全く。似ているね。君たちは…」
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「…ということでボクを強くしてください!トレーナー!!」
翌日。ボクはチームのトレーナーにトレーニングを頼んでいた。
「まさか、貴方がセントライトとシンザンとクリフジとレースなんてねぇ。はぁ、デビュー前からそんなに走らせるつもりはなかったのだけど」
そう言ってボクのトレーナーは呆れた顔をする。
「たっ頼むよ!トレーナー!!トレーナーってオークス勝ったんでしょ!?ボクを鍛えてよ!」
ちなみにボクのトレーナーはオークスバだ。
「貴方ねぇ…まだ成熟しきってない体で走るとケガするわよ?それでもいいの?」
「勝たなきゃダメなんだ!ボクは勝ちたい!だから、お願いします!!ダイナカールトレーナー!!」
トウショウボーイ
一人称は僕。
ミスターシービーを気にかけている。
『天馬』
セントライト
一人称は私
日本初の三冠バ
シンザン
一人称は私。たまに俺。最強。副会長
『戦士』
クリフジ
一人称は私。変則三冠を達成した。副会長
スピードシンボリ
一人称は私。日本初の凱旋門賞出走バ
ルドルフとシリウスの親戚。
ダイナカール
一人称は私。
ルドルフのトレーナー。オークスバ。
来年娘がトレセン学園に入学する