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記憶を失くした殺人鬼
新シリーズでーーーす!!!
マーダーちゃんが可愛いだけの話です。
__何か、失ってはいけないものを失くしてしまったような気がする。__
それは、ごくごく普通の日だった。いつも通りボス...ナイトメアに任務を任されて、僕(キラー)と、ホラーと、マーダーがとあるAUに向かったんだ。
本当いよくある日だったんだよ。そこらへんにいるモンスターを軒並みEXPにしていって、ほんとに、ほんとに、ただの日常だった__
はずなんだけどなぁ
僕もホラーも、もちろんマーダーも、1体のモンスターの存在に気づけなかったんだ。マーダーに向かって、ソイツの攻撃は飛んでいった。途中で庇おうとしたけど、間に合わなかった。
マーダーも意識外の攻撃だったせいで、避けられなかった。でもマーダーはHPが多いから、きっと大丈夫だって、アイツもそう思ってたんじゃないかな。
それがいけなかったんだ。あの時、僕が”ちかみち”でマーダーを助けていれば、あんなこと、起きなかったのかもしれない。
__そのモンスターの攻撃は、マーダーの左目に当たった。
僕らサンズにとって、左目は命だ。魔力を司るそこは、失えば、前のように魔法を使えなくなる。もしかしたら、他にも何か影響があるのかもしれない。
『マーダーッッ!!』
僕とホラーが名前を呼んだ時にはもう遅くて。赤と青が混じって紫色になった液体をどくどくと眼窩から流しながら、ふらりと揺らぐマーダー。支えられなかったその身体は、ガツンと鈍い音をたてて地面へと倒れ込んだ。
「っ、は、...っ、てんめぇ!!!」
状況を理解することを拒んだ僕の脳(スケルトンに臓器はない)は、とりあえず目の前の”敵”を始末することを選んだみたいだった。
あきらかに過剰な量のナイフが、ソレを囲う。ただ、塵も残らないくらいに殺したかった。それはホラーも同じだったらしく、互いに武器を構え、ソイツの息の根を止めた。
悲鳴にもならないような声が消えた瞬間、僕とホラーはすぐさまマーダーのそばに駆け寄った。
「おい、マーダー!!大丈夫か!?」
ホラーの心配は届かない。マーダーは、浅い呼吸を不規則に繰り返しながら、えぐられた左目を押さえてうずくまるだけだった。
「っ、ホラー!エラーに連絡できる!?」
僕がそう言うと、ホラーは慌てながら通信機を取り出した。その様子を尻目に、僕はマーダーに必死で呼びかける。
「おいっ、マーダーッ、返事しろよバカっ...!」
何度呼んでも、マーダーから返されるのは浅く不規則な呼吸音のみ。回復アイテムを食べさせようとするが、吐血(というよりは魔力の塊を吐き出している)を繰り返すコイツに与えたところで飲み込めるかは謎だ。となると...
必然的に、こちらが手を加えられる回復方法『魔力供給』に行き着くわけだ。
「あ”ーも”ー!!世話が焼けるなぁ!!!!」
腹を括るしかないと、僕はマーダーの赤く染まった口許に、自身のそれを口づけた。瞬間、口内に鉄っぽい味が広がる。少し顔をしかめながら、僕はマーダーにひたすら魔力を流し込んだ。
「ッ、う”...ぁっ」
一度口を離すと、マーダーはむせて大量の血を吐き出した。回復していないのだろう。瞳の傷は、えぐられたままだ。どうすることもできなくて、僕が再び口づけようとすると、ホラーの声が響いた。
「キラー!!」
「っ、!」
ホラーの方を見ると、エラーのポータルが出現している。
「よし、一旦帰るよ!!」
僕がマーダーを抱えながらそう言うと、ホラーもこくりと頷いた。それを視認したのち、僕達は半ば見を投げるようにしてポータルへと入った。
「ボス!マーダーがッッ!」
ポータルから出た瞬間、僕は大声で叫んだ。あまりにも大きい声だったからか、アジト内に待機していた三人(骨)もすぐに出てきた。
「なんだ、うるさいな」
「サっき急に連絡してキて...どウしタンだヨ?」
「おかえりなさい先輩が、た...?」
ナイトメア、エラー、クロスは、僕達の姿を見ると即座に血相を変え、何があったのか聞いてきた。
「マーダー先輩...!どうしたんですか!?」
「モンスターの攻撃が左目にあたったんだ!!回復もうまくいかなくて...」
クロスの問いに、ホラーが答える。心配なのか、他にもなにか言おうとするクロスの声を、ナイトメアが遮った。
「あとで詳しく聞く」
そのまま、極めて冷静にナイトメアは続ける。
「クロスは応急処置用の回復アイテムを、キラーはとりあえずマーダーを寝かせろ」
「うん...!」
「え、あ、はい先輩!」
ナイトメアの言葉を受けて、自分がなにをすべきかわかったのか、クロスは急いで回復アイテムを置いている場所に向かっていった。
その様子をちらりと見ながら、僕は抱えていたマーダーをソファの上へとそっと下ろす。吐血はだいぶおさまったが、いまだに回復してはいない。やはり、”左目”への攻撃には耐えられなかったか。苦しそうに息を吐く姿を見て、なにもできない自分が悔しくて仕方がない。
「おイ、キラー、ホラー。マーダーに何ガあっタンだ?」
エラーの言葉に、ホラーが少しつっかえながら答えた。
「え、と...マーダーの左目に、モンスターの攻撃があたって...それで...!」
だんだんと涙声になりながら、それでも続きを話そうとするホラーを見かねて、僕が続きを話す。
「僕らもモンスターが近くにいることに気付かなくて、助けられずに...って感じ」
なんとも言えない無言。責めることも、慰めることも、意味をなさない。そんな静寂を、クロスの声が切り裂いた。
「救急セット!持ってきましたぁぁ!!!」
その声で、僕らの間に流れていた空気も変わる。
「よシ、一旦手当をヲスるゾ。指示はオレがやル」
「そのあとサイエンスのところに連れていくからな」
「はい!!」
エラーの指示に従い、テキパキと処置をしていくクロス。その間、ナイトメアはサイエンスのところに電話をかけに行ってしまった。
僕はただ、苦しそうな顔のままのマーダーを見て、祈ることしかできなかったのだ。
あの後、とりあえずの応急処置をしたマーダーをサイエンスのところに担ぎ込んで、一日。日付は変わり、朝となった。夜中の間にマーダーは帰ってきたらしく、すぐにまた眠ったらしい。珍しく、ナイトメアが焦っていた。
「...はよ」
階段をゆっくりと下って、リビングに降りる。先に起きていたのはエラーと、ホラー。
「......あぁ、キラーか」
「おハヨ」
そして...
「キラー先輩...おはようございます」
キッチンの方から、クロスの声も聞こえてきた。皆、表情は暗い。あんなことがあった後なのだから、仕方ないのだろう。
世間話のできる雰囲気でもない。何をするでもなく、僕はソファに座り込んだ。
「なんだ、お前ら起きていたのか」
「あ、先輩!おはようございます!!」
同じく起きてきたナイトメアに、クロスが元気良く挨拶をする。やはり犬だな、なんて考えながら、僕は目を閉じようとした。だが、それは”とある音”によって阻まれたのだ。
ぺたぺたと、スリッパで階段を降りる音がする。ここにいるのは、ナイトメア、エラー、ホラー、クロス、そして僕。残りは一人しかいない。
「っ、マーダー!」
咄嗟に名前を呼びながら、僕はソファから立ち上がる。ちょうどそのタイミングで、”マーダー”の姿が見えた。
汚れてしまって使えなくなったから、僕のを貸した黒いハイネック。切り傷だらけでぼろぼろだったから別のものと変えて、少し大きいサイズのパーカー。左右で長さの違うだぼだぼの靴下。ピンクのスリッパ。そして、えぐられてしまった左目を隠す眼帯。
「あ、その、もう痛くない?」
普段なら絶対心配の言葉なんてかけられないけど、今は対抗心よりも心配の気持ちが勝った。僕の言葉を皮切りに、各々”マーダー”に対して心配の言葉を投げかける。
「あー...すっごい申し訳ないんだが___」
そして全員の声が一旦止んだ瞬間、それまで少し困ったように笑っていた”マーダー”が口を開いた。
「___アンタら、一体誰なんだ?」
*To be continued...*
嘘です!!!!!
ヘッヘッヘッ...性癖をモリモリしたせいでまぁたうつつでくっらい話になるかもしれませんが...ま、ゆるしてちょーよ☆
作成してからだいぶ時間が経ってしまったのはご愛嬌ってコトで!
てことで...これから新シリーズ、*Lost Love The Memory、略してろすらぶを連載していきます!!
いぇーい☆
ここのマーダーちゃんの名前は日記にて公開します!
色々裏話もしていくので、ぜひぜひ見ていってください!
それでは次回、ラブの意味を思い出せますように!