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魔法少女あやめ①
いたい
いたい
つらい
こわい
痛かった。
辛かった。
怖かった。
これが、小さい頃の思い出。お父さんが家を出てってから、お母さんは頻繁に私を殴るようになった。「お前のせいだ」「あなたを産んだ私が悪いの?」私が悪いことをすると、そんなことを言っていた。
その日は、帰る時間がとても遅くなったせいか、お母さんも普段よりも機嫌が悪かった。どんなことをされたかは覚えていない。何故そんなことをしたのかも。
私は、お母さんを殺した。
無我夢中だった。罪悪感というものは不思議となく、私はただ、それの心臓を目がけて包丁を何度も突き刺した。それが肉塊になるまで。
何度も。
何度も。
何度も。
_______どれぐらい経っただろう。もう朝日が昇っていた。血まみれの手が、母を手にかけたことが現実だと物語っていた。ああ、殺しちゃったんだ。その罪悪感と後悔が、どっと押し寄せた。もう死ぬしかない、と直感的に思った。冷静な判断などできなかった。私は重い体を引きずりながら、窓を開け、足を離した。首が地面に着こうとしたその時だった。突然目の前が光った。「死神様は貴女を選びました。憐れまれるべき少女を護り、彼の世でやり直すのです。」
気がつくと、私は道の上に座り込んでいた。一人の男が近づき、口をひらく。「ようこそ、亡き者の街へ」