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2.知らない世界
「…ん?」
目を開けたら空が青かった。
空というより、幼稚園生が遊んでそうな部屋の天井。水色クレヨンで塗り潰された天井だった。
「私、家にいたはずなのに…」
取り敢えず起き上がって部屋を見渡してみる。
やっぱりこの部屋は身に覚えのない部屋だ。
何処かで見たわけでも入ったわけでも無い。
どうしてこんな場所にいるのか。
それはわからないけれど、私はあのスマホが光った事でこんな世界に来てしまったんだと思う。てか絶対にそう。
「…扉を開けるか開けないか。」
外に出るかここで助けを待つか。
私は今、究極の二択を迫られている。
「えぇい出ちゃえ!!」
出ればなるようになる!!
ガチャ…
「…幼稚園?、」
さっきの部屋と同じ雰囲気の通路が広がっていた。水色クレヨンで塗られた天井、赤と黄色のポップな壁、緑色の床。
まるでそこは幼稚園…と言うか、小さい子の好きそうな場所だった。まぁ私はこんなところで興奮なんてしませんけどね!!
「…んー、どこ行けば良いんだろ。」
目的も出る方法もわからないからどうしようもない。
「…あれ、他にも人いたんだ。」
「え?」
「あ、ごめんなさい!」
振り返ればそこには灰色ショートヘアーに綺麗な服を着た男の人が立っていた。その人はどこからどう見てもからぴちの「ヒロ」様にしか見えない。
「俺、ヒロって言います!カラフルピーチって言うグループに所属してて…」
「ヒ、ヒロ様!?」
「え?あぁ、はい?」
「本物だ…いつも動画見てます!!」
「え!ありがとう!」
「あ、私は|佐々木 彩芽《ささき あやめ》です!、」
「彩芽ちゃんね。彩芽ちゃん、よろしくね。」
そう言ったヒロ様に手を握られ、ビックリしてしまった私は手を引っ込めてしまった。するとヒロ様は驚いた顔をして、申し訳なさそうに
「ごめん、いくらファンの人でもいきなり手を握られたら嫌だよね…」
と、手を自分の方へ戻してしまった。
だから私は慌ててヒロ様の手を引っ張り、
「いえいえ全然嫌じゃないです!!むしろありがたいっていうか!!」
自分でも何言ってるのかわからない。
ヒロ様も目を見開いて固まってしまっている。
「…ははっ!」
すると突然、ヒロ様が吹き出して笑った。
「え…?」
「笑っちゃってごめん(笑)!でも必死になって弁解しようとしてるのが面白くって(笑)」
「な、なぁ…!?」
顔が暑い。多分今私の顔真っ赤になってる…!
「推してくれててありがとう。とりあえず今は他に人がいないから探してみようか!」
そう言ってヒロ様は私の手を引っ張った。
正直言って離して欲しい。推しと手を繋いでいるという事実が夢見た事すぎて死にそう。あぁでも推しと手を繋いでいるのは嬉しい事でぇ…!!
もうどうしたらいいのー‼︎!