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【こどおにっ!】灯和が風邪!?《2》
〜火影 side〜
***`蜘蛛`「ア゛ァ゛アアァ゛アア゛!!!!」***
火影「……っ!!」
*バッッ!!*
火影(なぜ突然土蜘蛛が大量に…!?一匹でも厄介なのに…!!)
目の前には、高さ5mを上回るような土蜘蛛が何十匹もいる。
明らかに異常な光景に、戸惑いを隠せない。
***`蜘蛛`「ヴア゛ア゛ァァアア゛!!!」***
(さっき一匹屋敷の方へ行ってしまった…ここで立ち往生してる暇はない…!)
*「…!`|陰陽神刀舞《いんようしんとうまい》`!」*
__シャン!__
幽月魄がなった瞬間、月光によって生まれた影から黒狐が現れた。
黒狐たちは土蜘蛛に走っていき、飛びつく。
その瞬間、黒狐に飛びつかれた土蜘蛛たちの体から血が噴き出た。
***`蜘蛛`「ギャア゛ア゛ァアァア゛!!!!?」***
しかし、どれだけ対峙しても、また後ろから土蜘蛛たちが襲いかかってくる。
この数を一人で捌き切るのは難しい。
火影(……灯和…沙雪…無事でいてくれっ…!!)
---
〜沙雪 side〜
ピシャッ!
沙雪「灯和…!?」
__灯和「……はぁ……はぁ………」__
さっきよりも息苦しそうだ。
確か土蜘蛛は不幸を撒き散らしながら人間を襲う妖怪のはず。
いくら冬の川とはいえ、急にあんな高熱になったりはしないはずだ。
あの異様なほどの熱の高さも、きっと関係あるのだろう。
*ガタンッ!!*
**`蜘蛛`「アア゛ァ゛ァア゛!!!!」**
**沙雪「きゃああぁぁ!!!」**
私は灯和を抱えて横に飛び退く。
その瞬間、私がさっきまでいた場所に土蜘蛛が現れた。
沙雪(……!!!)
土蜘蛛は既に先ほどまでの人間の姿ではなくなっていた。
そこにいたのは、私の背丈を上回るほど大きな蜘蛛だった。
ぎょろぎょろとした目と鋭い牙は、確実に私たちに向けられていた。
沙雪(…逃げなきゃ…灯和を守らなきゃ…!!!)
私は瞬間的にそう思い、灯和と逆方向…縁側の方に立つ。
すると案の定土蜘蛛は私に向かって飛びついてきた。
**`蜘蛛`「アア゛ア゛ァァ゛!!!」**
沙雪「……えいっ!!」
私は土蜘蛛にぶつかる直前にしゃがんだ。
***ガターーーン!!!!***
土蜘蛛はそのまま外に飛び出してひっくり返った。
私はその隙に灯和を抱えて外へ逃げ出した。
裸足の足に石が刺さって雪が染みる。
それでも、止まることは許されなかった。
私たちは後ろから聞こえる雄叫びを背に、雪の降る森の中へと走った。
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〜火影 side〜
火影「………くそっ…次から次に湧いてくる…!」
目の前に、恐らくこの土蜘蛛たちの親分であろう土蜘蛛がいる。
他の土蜘蛛とは違う空気を纏い、体も大きい。
《《私や灯和の力が大幅に下がっている》》のもこの親分のせいだろう。
恐らく、こいつを対峙するまではこいつらはずっと湧いて出てくるだろう。
しかし、退治しようとするたびに手下に邪魔されて攻撃できない。
もう何匹対峙したのかもわからなくなってきた。
そろそろ体力も魔力も限界だ。
火影(……《《アレ》》を使うしかないのか…?)
私は左腕を押さえる。
左腕の痣がそれに反応する。
__……ザッ…ザッ………__
火影「……?」
(…足音…?…それと…歌声…?)
左腕から手を離し、そっと耳を傾けた。
すると、聞き覚えのある声が耳に入った。
__??「きったかぜ〜♪こっぞう〜のか〜んたろ〜♪」__
火影「…!?」
??「あれ?火影お兄ちゃんっ!!……と、土蜘蛛?」
その声を聞いて正体が分かった。
久しぶりに会って早々頼るのは少し申し訳ないが、仕方がない。
火影「頼む!助けてくれ!灯和と沙雪が危ないんだ!!」
??「あーなるほど?いいよー!」
するとその人影はこっちに走ってきた。
土蜘蛛たちはそちらに方向を変え、咆哮する。
***`蜘蛛`「ア゛ア゛アア゛ァァ゛ァァア゛!!!!!」***
*??「ん〜!`フローズンガスト`〜!!」*
**バキバキバキッ!!**
彼女がそう唱えて手を振った瞬間、私と彼女の周りが一気に凍った。
土蜘蛛たちは急に動けなくなって焦っている。
??「ばいば〜い!」
パチンッ!
***ガラガラガラガラ……***
そう言って指を鳴らした瞬間、土蜘蛛たちは一気に凍り、崩れ落ちた。
いつ見ても華奢な見た目に合わない、強力な技だ。
あっという間に手下たちが視界から消えて、親分だけが映る。
私はその一瞬を見逃さなかった。
私は白焔を後ろに下げ、足に全力で力を込め、思い切り幽月魄を振った。
__シャリンッ!__
*火影「……`|幽焔ノ儀《ゆうえんのぎ》・|魂喰《たまぐらい》`」*
**ジャキンッ!!**
***`蜘蛛`「ア゛ア゛ァァァ゛……!!!?」***
次の瞬間には、土蜘蛛は二つに分かれていた。
土蜘蛛はその場に崩れ落ちて、そのまま灰になり消えて行った。
その時、体に力が返ってくるのが分かった。
しかし、その感覚を感じるも束の間、急に力が抜けて、私はその場に崩れ落ちる。
ドサッ…
??「わぁっ!大丈夫?火影お兄ちゃん?」
火影「……大丈夫だ…ありがとう……`|華竜《かりん》`………」
華竜「いいのいいの!兄さまの家族だしね!」
火影「………はやく……灯和と…沙雪のところに………」
華竜「それなら大丈夫じゃない?」
火影「……?」
華竜「だって力はもう戻ったわけでしょ?」
「火影お兄ちゃん、灯和お兄ちゃんの強さ忘れたの?」
火影「……………それも……そうか…………」
視界がぼんやりしていく。
寒い中ずっと動き続けて、さらに雪の中で倒れたのだ。
意識が朦朧とするのも無理はない。
今の力を振り絞って、私は白焔に火を灯らせる。
火影「………灯和を頼む……私は…後から行く……」
華竜「は〜い!」
ぼわんっ!
そう返事をすると、彼女は白い龍に姿を変えた。
たてがみの代わりに氷のようなものが光っている。
その姿は雪の精のようで美しかった。
その雪の精は、ゆっくりと空を泳ぎながら灯和たちの方へ向かって行った。
火影「………《《竜翔》》の家族たちは…やはり強いな…………」
私は華竜を見送った後、吐き出すように呟いた。
__火影「……………あぁ……疲れた………」__
私はゆっくりと体を起こす。
私は少しの間そこに座り込み、立ち上がった。
その足で、私は灯和と沙雪の元へと歩いて行った。
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〜沙雪 side〜
沙雪「はぁっ…はぁっ……!!」
いつまで走ればいいのだろうか…
灯和はずっと起きない。
私の体力ももう限界に近い。
__ガッ__
沙雪「あっ」
ズシャッ!
突然視界が真っ白になる。
そう、私はつまづいて転んでしまったのだ。
きっと捻挫したのだろう。足が痛くて立ち上がれなかった。
***`蜘蛛`「ア゛ア゛アアァ゛ァァ……」***
沙雪「ひっ……」
私は足を引き摺りながら灯和の元まで行った。
後ろからジリジリと土蜘蛛が迫ってくる。
私は地面に倒れている灯和の上に被さった。
無意味だということはわかっていた。
それでも、守りたかった。
***`蜘蛛`「ア゛ァ゛ァァア゛ア゛アァ゛ア゛ア゛!!!!!」***
沙雪「……!!」
(…助けて……!!!)
__ピクッ__
*灯和「…`|酩酊破砕《めいていはさい》・|轟雷舞《ごうらいぶ》`」*
***ゴォォンッッ!!!***
**ドシャアアァァァ………**
沙雪「…!?」
何が起きているのか理解できなかった。
目の前が青色で覆われていた。
顔を横にずらすと、原型も残らない土蜘蛛が灰になっていた。
その時、ようやく理解できた。
私は灯和の胸の中にいたのだ。
*灯和「………沙雪ちゃんに…触るな……!!」*
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