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本編15
「…疲れたな」
久しぶりに人と話して、出かけて、楽しかった
…だが、
「これからどうするか…か」
死ぬことしか考えてなかった
このくだらない人生を終わりにしたかった
早く、早く早く早く、今すぐにでも、
「誰も知らないところで…」
「1人で静かに…消えたい」
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「……………」
「ん………」
いつのまにか寝てた…?
「今何時…だ…」
くらっと世界が揺れる
激しい頭痛と耳鳴り
気分が悪い
「っ…あ…」
貧血だろうか、倒れそうになって咄嗟に壁に手をついた
「…ふぅ…」
薬を飲んで、一旦落ち着く
落ち着いて、冷静になって、考える
今の自分はどういう状況なのか
自分の体に何か起こっているのか
オレは今……
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咲希side
「お兄ちゃん、なかなか降りてこないなぁ…」
いつもならもう起きてる時間なのに…
「大丈夫かな…」
最近なんだか様子がおかしいし、何かあったのかも…
で、でもあたしの勘違いかもしれないよね…うーーん…
「どうしたらいいんだろ…」
とりあえずお兄ちゃんの部屋に…
………………
「……ん?」
「今なんか……」
上から…バタって倒れる音、みたいな…
「…!も、もしかして…っ!」
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「お、お兄ちゃん!」
やっぱり倒れてる…!ど、どうしよう…!?
「…咲希?」
「あっ、お兄ちゃん、大丈夫!?」
「え…」
「上からバタって何か倒れる音がして、来てみたら…っ」
「あ…そう、だったのか…すまんな、咲希」
「な、なんで謝るの…?」
「ただの寝不足だ。何も心配することはないぞ」
「え…あ、お兄ちゃん…!」
「…朝ごはん、食べるんだろう?顔洗ってくるから先に行っててくれ」
「………うん」
なんで…?
なんで何も…話してくれないの…?
お兄ちゃん、すっごく顔色悪かった…隈もあったし、寝不足なのは間違いないと思うけど…
さっき部屋を出る時もふらふらしてたし、それに、いきなり倒れるって…
「……わかんないよ…」
とーやくん…何か知ってたりしないかな…
「…学校の帰り…神高に寄っていこう」
何か知ってる人がいるかもしれない…
お兄ちゃんは頑なに話してくれないし…いい、よね…
「……助けたいよ、お兄ちゃん…」