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Auftakt#9
私は,ハシバミ。
いつのまにか,空が朝焼けで染まっている。
クルミも,今起きたようだった。寝ぼけた顔を見合わせると,こんな状況なのに笑顔になっていた。
その時,草むらからがさごそと音がした。乾いた長い体が姿を現す。
毒蛇だ。そう感じた私は,とっさに蛇に手を向けた。蛇が痙攣し,やがて倒れた。
今のは,蛇のような小さめの動物にだけ効く超能力。ほんの数秒の出来事だった。私ははっとし,蛇を殺してしまったことを悔やむ。何もされていなかったのに…。
その思いが引き金となって,頭の中に思い出したくもない過去が広がった。
私は,いじめられっ子だった。
小柄だということもあって,クラスのいじめのターゲットは私だった。
本名は覚えていないけれど,いじめられていた時のあだ名は鮮明に覚えている。
とろいという意味で,ナマケモノ。
叩かれるような暴力的ないじめから,机の上にゴミを置かれるような精神的にダメージを受けるいじめまで受けた。
そして,ある日。椅子の上にチューブ一本分の接着剤が出されていて,私はその上に座ってしまった。教室中からの失笑で私は気づき,心が音を立てて崩れた。
その瞬間,私の超能力が弾けた。
それからは,私の時代。逆らう人には超能力で痛めつけられたから,誰ひとり逆らわなくなった。けれど,そのことがお母さんにバレて,超能力について話したら,血相を変えて強制的に不登校にされたんだ。そのあと,精神科の先生なんかも来た。
けど,いじめられてた私の気持ちをわかってくれる人なんて,いなかった。
ふさぎ込む私を,お母さんは風宮学園に預けたんだ。
こんにちは♪
アウフタクトシリーズもやっと9回目…‼︎感動ですっ!
今回はハシバミのつらい過去についてでした。
ハシバミもコハクと同じように,悲しい過去があったんですね。
次回は久々に‼︎ワカクサに戻る予定です!
これからもよろしくお願いします♪