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ありきたりな恋をした
ありきたりな恋をした。
久しぶりに会った幼馴染を好きになり、連絡先を繋いだ。
お互いに、いろんなことを話した。
クリスマスが近づいたある日のことだった。
『クリスマスに二人で会おうよ』
連絡がきた。
もちろん即決した。
『いいよ』
待ち望んだクリスマス。
二人そろっておめかしした。
映画を見て、ご飯を食べて、おそろいのキーホルダーなんかを買っちゃったりして。
イルミネーションが街を彩る頃、君に言われた。
『好きです。付き合ってください。』
そんなありきたりな言葉が、うれしかった。
『もちろん、よろしくお願いします』
大晦日は電話を繋いだ。
『あけましておめでとう』
バレンタインはお互いにチョコを交換した。
『大好きだよ』
普段はこんなことを言わないから、結構照れた。
君の誕生日プレゼントは何にしようか結構考えた。
君が大好きだって言っていた作家さんの本とか?
それとも、おいしい食べ物?
君は手が乾燥しやすいって言ってたから、ハンドクリームとかもいいかな。
結局、万年筆と手紙をあげた。
日記を書いているって、君が教えてくれたから。
自分の誕生日には、ちょっと高級そうなマカロンと万年筆で書かれた手紙をもらった。
とても嬉しかった。
『照れた顔が大好き』
『重い荷物を持つの、手伝ってくれるの大好き』
『今まで一緒にいてくれてありがとう』
『君の全部が大好き』
よくそんなことが書けるな…と思った。
マカロンを送る意味、君が恥ずかしそうにしながら教えてくれた。
『特別な人』
喧嘩もした。
きっかけは些細なことだったと思う。
でも、言ってしまった。
『嫌い』
君を傷つけてしまった。
あんな顔させたくなかったのに。
結局、君が好きなプリンをあげて仲直りした。
そのとき、自分は君に誓った。
『二度と嫌いなんて言わない』
バカップルってよく言われた。
友達にも、よくからかわれた。
『幸せにしなきゃ許さない』
そう言われた。
絶対幸せにするって決めた。
いや、決めていた。
付き合って、一周年記念のとき。
また、おそろいのものを買った。
今度は、おそろいのパーカー。
胸元にハートが描いてあってかわいいやつ。
外で着る勇気はなかったから、部屋着にした。
そしたら君、一人だけ恥ずかしいとか言ってたよね。
でも、似合ってたよ。
君はスズランが好きって教えてくれたよね。
君によく似合う花だと思うよ。
『小さな幸せってさ、欲張らない感じがして好きなんだ』
じゃあ、小さな幸せを望むことは欲張りなのだろうか。
君との日々がずっと続きますように。
小さな幸せじゃなかった。
そうなのか。
失ってから失ったものの大きさに気が付く。
今更、実感したってもう遅いのに。
君は道路に飛び出た子供を守って、死んでしまった。
自分は、君を守れなかった。
幸せにしたかった。
幸せにするって決めたのに。
君が遺した日記には、自分のことばかり書かれていた。
『大好き』『ずっと一緒にいたい』
そんなことばっかり。
泣いた、みっともなく。
君の日記を汚してしまった。
「自分もだよ」
絶対に君のことなんか忘れない。
君を憶えているよ。
君が自分の心配をしないように、自分は前を向いて生きる。
君がやりたいこと、全部やってくる。
だからさ、そっちに行ったときにいっぱい話そうね。
でも、まずは君に会ったら言わなきゃだよね。
「大好きだよ」
ありきたりな恋をする。
恋愛ってむずいよね。
着地点は迷子だし!
恋愛サイコー――!
切ないやつもハッピーエンドも好きだけど、
私は純愛をかくのが下手くそなんだ!
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