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かくれんぼ 3
里美、弘子、乙葉が、まだだ。
体育館は、もう念入りに探した。もういなさそうだ。
次の当ては___教室だろうか?
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6年2組の教室。わたしは、あまり人に見える体質じゃないので、安心して潜り込むことができる。
教室といっても、隠れられる場所は殆どない。教卓の中に潜り込むとか、それぐらいしかできない。念の為、いろいろ探してみたが、いなかった。
あとは、トイレ。亜美が隠れていた場所だ。そういうことで、全てのトイレ(教師用を除く)を探してみたが、いない。
廊下だって、隠れられない。ということは、図書室だろう。
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わたしは図書室に来た。こじんまりして、嫌に静かすぎず、落ち着ける空間。そういうのは、貴重なものだ。
今日の図書委員当番の掲示を見る。木曜日は『|大田悠羽《おおたゆうは》』、『|桜井友奈《さくらいともな》』、そして『|石塚乙葉《いしづかおとは》』。
カウンターに座っている5年生ふたりに、声を掛ける。勿論、見える体質に変えてから。
「すみません」
「あ、はいっ。借りますか?」
「いえ。探してて、人を」
「人…?」
「石塚乙葉」
「いしづ…か…おとは…。あっ、あの6年生!?」
「そうなの」
はあ、とため息をつく友奈。
「あの人、いっつもサボってるんです。見てないですけど」
「うーん…里美、弘子は?」
「さとみ?ひろこ?」
「あっ、ひろこって。あいつじゃない?」
あいつ、と言っている当たり、たぶん嫌なやつなのだろう。
「金髪に染めてて、マンガを借りてった人。遅いなあ、もたもたすんなよ、って先週。まだ返してないんですよ」
「金髪」
確かに、彼女は金髪だった。
「今日、来てたはずです。なにか急いでるみたいで」
「へえ…因みに、どこに?」
「第二に行きました」
隣にある第二図書室に行ったのか。確かに、あっちは棚が並んでいて、わかりにくい。
パタパタと第二図書室へ行く。だが、どれだけ探しても、弘子はいなかった。
「へえ…準備室、ねえ」
息を呑む音が聞こえた。第一図書室と、第二図書室の間の通路。ここには、季節のおすすめ本とともに、準備室がある。
図書委員なら、入っても違和感はない___それに、第二図書室へ行ったと思わせることもできる。ゆっくりと、ドアノブに手をかけ、ドアノブを下げる。
そこにいたのは、金髪が非常に目立つ弘子。
「見ぃつけた」
「いやあっ!?」