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あの子が気になっちゃうんです!
脳裏
「小春ー!おーきーろー!」
大きな声に私はハッと目を覚ました。時計を見ると………!やばいご飯食べてる時間ない!窓の外では、私の幼馴染大山恵が声を張り上げていた。
「ごめーん!先行ってて!」
「はーい」
顔を洗い、制服に袖を通し、髪を結ぶと、私はカバンを引っ掴み家を飛び出した。
(ガラガラッ)
「はあはあはあ」
「遅刻だぞー神崎ー」
教室に入るや否や体育の先生花丸にやんわり注意された。私には両親がいないので、ちょっと気を遣っているのだ。教室を見渡すと、あ、誠いた!……どうやって手紙渡そうかな………。私の席は一番前、その右隣が誠くん、左隣が恵。
「小春遅いよ〜」
「えへへ、ごめーん」
私は先生に見られないように、そうっと彼に手紙を渡した。彼はびっくりしたような顔で手紙を読み始めた。手紙を読み終えると、彼はチラリとこっちを見て、それからふわっと笑った。………ほんとかわいいな。殺したらどうなるんだろ……。
放課後、体育館裏に行ってみると、誠くんがそわそわとした様子で待っていた。
「ごめん。待った?」
「ううん、いまきたとこ。」
さあ殺すぞ!………そう思ってナイフを取り出そうとしたけど、……そこで手が止まった。彼がキラッキラの瞳で、こちらを見てくるのだ。……その時、まだ殺したくないと思った。ケーキのイチゴをとっておくような感じ。
「どうしたの?」
かわいい声で聞かれた。
「………えっと。」
「?」
「な……なんでもないです!」
「え?」
「じゃ、じゃあこれで!ばいば〜い」
彼はポカンとしていて、とても可愛かった。息を切らせながら私は家へと急いだ。家に帰り、自室に入ると私は考えた。ああ〜、なんでさっき殺さなかってんだろう………。あの時、彼を守りたいと思ってしまったのだ。あ〜、なんかイライラする。………よし!こういう時こそ人を殺そう。私はナイフを持って家を飛び出した。外はまだ明るく、公園には子供がたくさんいた。どこかで時間を潰そうと思い、私は近くのショッピングモールへ足を運んだ。中に入ると、私はいく当てもなくふらふらと歩いた。美味しそうなカフェがあったので私は中に入った。コーヒーを飲みながらスマホで『YOUTYAーPU』をなんとなく見ていると、キラッキラのアイドルのCMが流れ始めた。なんと今、このショッピングモールでライブをしているらしい。見に行ってみよう、そしてあわよくば殺そうと考えながら、私は会計を済ませ、店を後にした。
一階の大きなフロアへ行くと、いた。CMで見たあの子達だ。誰にしようかなーと考えていると、ふと、1人の子に目が止まった。栗色のボブで、髪がすごくふわふわだ。よし、あの子にしよう。私は一気に距離を詰めると、その子の脳天に………。かわされた。な……、なんで!
「よっと!……も〜、いきなりおそってこないでよ〜」
賑やかだった会場が静まり返った。や、やばい!逃げないと!私は猛ダッシュで会場を後にした。