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全ての世界が狂した時 第6話
「やぁ紫雲くん。元気かい?」
後ろから話しかけられて、のんびり後ろを振り向くと、相変わらずの笑顔を浮かべたてこがそこに立っていた。
「───何のようだい?」
俺が銃を向けてから話しかけると、てこは苦笑してから口を開いた。
「黒雪くんを殺すのを辞めてくれないかい?」
また、その話か。俺は銃を下ろしてからため息をついた。
「何度も言ってるだろ。俺はアイツを殺して鬼にする。そうじゃないと…」
「ほら、見てごらん」
「───」
目の前の光景に言葉が出なかった。
「俺は本気で黒雪くんを愛してるんだ。君たちで言う4回目のループの時、君に彼を渡したのだって…」
「ハァァ───もう良いよ」
俺は他の奴らを殺せば良い。
黒雪のことぐらい、コイツに任せてもいいだろう。
どうせ、てこの元に居てまともな人間でいられるわけがないのだから。
ありがとう!と嬉しそうに言ってから、てこはすっと目を細めた。
「主には気をつけろ。お前が一回人間になった時に改めて感じたが、お前の共依存は異常なほどだ」
てこのその言葉には、珍しく本気で俺を心配するような何かを感じられた。
「てこ───君さ、主とどういう関係なの?」
ずっと聞きたくても聞けなかった疑問を、問いかける。
てこはしばらく固まってから、のんびり口を動かした。
「鄒ゥ逅??蜈?シ」
てこの返事に目を見開く。
冗談、だろ?
「あまり深掘りするな。世の中には知ってはいけない事が沢山ある」
気づけばてこはもういない。
まぁ、とりあえず
俺は俺のやるべきことを全うしよう。
アイツら全員を、殺せば良いだけなのだから
~ガクside~
「───消えた」
突然、ラスがボソッと呟く。
「孌朱と屑洟、氷夜の気配が消えた。いや、薄れた。生きていることを願うしかないが───」
「おや?君たちは随分と腕が鈍っていないようだね」
目の前にいた人物に目を見開く。
てこ、だ。
「お前…なんで…」
ラスの声が掠れる。
「ラス───お兄ちゃんの言う事、聞けるよね?」
てこのその言葉に、血の気が引いていくのがわかる。
どういう、ことだ。
今まで全くそんな素振りを見せなかった。
いや、違う。
今までのループの中で、俺はラスがてこと会ったところを見た事がない。
1回たりとも───
てこは、楽しそうに笑うと、ラスの耳元で何かを囁いた。
ラスの目が見開かれる。
「嘘、だろ──」
「本当なんだよ。だからねぇラス──」
不気味に微笑むてこの視線が俺と交わった。
「こんなクズはもう殺してしまおうよ。一緒に、昔みたいに生活しようよ」
ラスが、微かに俺の方を見た。
その瞳に、悲しみのような物がこもっていく。
嘘、だよな?
「兄さん、俺、は──」
「何をやってるんだ」
ラスの言葉を遮る声が響き渡る。
てこのこめかみに銃口を押し付け、その青年、悪鬼の主は引き金に手をかける。
「ハハハッそんな怖い顔で見ないでおくれよ。兄上様?俺‘達’の弟とお話をしていただけじゃないか」
どういう、ことだ。
ラスが、てこが、悪鬼の主の弟?
「君も、こっち側にくれば紫雲くんだってきっと歓迎してくれるだろうに」
てこは最後にそれだけ言って微笑み、主と一緒に去って行った。
「ラス───」
「ごめん」
息を呑む。
目の前で、ラスが俺に向けて銃を構えた。
「ガク…お前なんか」
そこで一回言葉を区切り、ラスは不気味に微笑んだ。
その目に浮かぶ色は、俺も昔同じだったからこそよく分かる。
鬼に落ちた時の瞳だった。
「大嫌いだ」
あぁ───
体が重い。
「よくやったねラス」
近くで、てこの声も聞こえる。
どんどん視界が黒く染まっていくのは、分かっている。
いつもは、殺る側だったから、銃で殺された時の感覚なんて知らなかった。
───こんなんで、終わるものか
何度でも…
たとえ俺がもう悪鬼じゃないからループする力がないとしても
俺は必ず…
お前らの闇を晴らしてやる
iueshxojesbuayv.......
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Y E S ?