オーダーメイド　転スラ

きっと俺は尋ねられたんだろう 生まれる前、何処かの誰かに… 『未来と過去どちらか一つを 見れるようにしてあげるからさ どっちがいい？』 そして俺は過去を選んだんだろう。 強い人より優しい人に なれるように なれますようにと 『想い出』ってなんだか分かるように 『ディーノ君、明日なんだけどさ』 『久しぶりに外、行ってみない？』 「勿論です。ヴェルダナーヴァ様。お供します」 続けて誰かさんは俺に言う。 『腕も脚も口も耳も目も、心臓も胸も鼻の穴も二つずつ付けてあげるからね いいでしょう？』 だけど俺はお願いした。 「口は一つだけでいいです」と、 俺が一人で喧嘩しないように 一人とだけキスが出来るように 忘れたい 「あ"ぁ"……くそｯ……くそっタレが！」 『ディーノ！！！』 でも忘れない 「ヴェルダナーヴァ様……！」 『どうしたんだい〜？』 こんな想いを何て呼ぶんだろう 少し不機嫌な顔のその人は また仕方なく話し始めた。 『一番大事な心臓はさ、両胸に付けてあげるからね いいでしょう？』 またまた俺はお願いしたんだ。 「恐れ入りますがこの俺には、 右側の心臓は入りません」 我儘ばかり言ってすみません 俺に大切な人が出来て、 『ディーノ〜！』 その子抱きしめる時初めて 「……！」 __ﾄﾞｸﾝ…ﾄﾞｸﾝ　　ﾄﾞｸﾝ…ﾄﾞｸﾝ__ 二つの鼓動がちゃんと胸の両側で鳴るのが分かるように 左は俺ので、右は君の 左は君ので、右は俺の 一人じゃ何処か欠けてるように 一人でなど生きてかないように 忘れたい 「ヴェルダナーヴァ様っ……！」 でも忘れない 「次は…〇〇国との戦争ですか……」 こんな想いを何て呼ぶのだろう 胸が騒がしい 「はぁ…ｯ……う…ｯせ…ぇ…！」 でも懐かしい 「久しぶりだな………」 こんな想いを……… 何て呼ぶんだ？ 『……そういえば最後にもう一つだけ… 涙もオプションで付けようか？ 無くても全然支障はないけど…… 面倒だからって付けない子達もいるよ どうする？』 そして俺はお願いしたんだ。 強い人より優しい人に、 なれるように なれますように、と 『大切』ってなんだか分かるように…… 『じゃあちなみに涙の味だけれど…… 君の好きな味を選んでよ』 「味………？」 『そうそう。 酸っぱくしたり、塩っぱくしたり、 辛くしたり、甘くしたり…… どれも好きなのを選んでよ どれがいい？』 「………俺は…………」 「……ｯ………！」 『よく出来ました』 『望み通り全てが、叶えられているだろ？』 「っ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ」 『だから涙に暮れる……その顔をちゃんと見せてよ さぁ誇らしげに見せてよ』 「っ……はい………ｯ！」 『ディーノちゃ〜ん！』 『このお仕事…頼めるかい？』 「何でしょうか？」 「お任せください。ヴェルダナーヴァ様」 『泣かないで………ディーノちゃん……』 「……ｯ…ｯ嫌…嫌ですっ………！」 『……………』 「………__あ__………」 『ディーノ仕事しろー！』 『お前寝てばっかじゃ駄目だろ！』 「げっ……リムルが来やがった……」 「働くなんて嫌だろ！？」 『ふっ…………ははは！』 「笑うなよ？！」 『はははは！すまんすまん笑』 「…………たく……」 本当にありがとうございました。 色々とお手数をかけました。 「最後に一つだけいいですか？ どっかでお会いしたことありますか？」 『……………………』 『　　おかえり、ディーノちゃん　　』