公開中
9.
「ん・・・、あらゆる魔法に適性を持つ。いい能力だね、美咲。」
「本当に能力が手に入るんだ・・・・!」
「すごいですね・・・・、うまく使えば・・・。」
そのときだった。私たちの平穏が崩れるのは。
「行くぞ、お前ら!」
「あいつが第3王女だ! 何が何でも捕らえるぞ!」
怒声が飛び交う、・・・・危なッ!
そして、数々の銃弾が私に向かってすさまじい速さで飛んでくる。
一発目は躱したけれど、これ以上は無理だ。私が避けた先に銃弾が飛んできている。
「『上級植物魔法 守りの籠』 お嬢様、諦めないでください!!!」
シャルムがそう言うと、周囲に咲いていた花々が急激に成長し 私を守る。
それらは銃弾を包み込み、姿を消した。
「『変化術 |幻影《ファントム》』」
美音の技で白いコウモリが飛び、現れた人々を襲う。
私は守られてばかり。実力がないから? 経験がないから?
そんなもの、理由にならない。
私は、さっき手に入れた能力で すべての魔法に適性を得ている。
これまで引きこもっていたんだから、技のアイディアなんていくらでもある。
--- **「怒れる雷神、壊れる人々。 世界は、自然に生かされている。」** ---
「お嬢様・・・・・?」
「シャルム、美音。下がって。ここは、私が相手をする。」
「でも、美咲は戦ったことないんでしょ!?」
「大丈夫。私を信じろ。『上級雷魔法 雷刃乱舞』」
もう、私は守られてばかりじゃない。
誰かを守れるように、自分を守れるように。
「さよならだ、哀れな軍団ども。」
雷の剣を頭上から降らせる技、『雷刃乱舞』。
それらは、確実に攻めてきた彼らを蝕む。
「俺は、まだ死なない!死ぬわけには行かない!!!『スキル発動 |反撃《カウンター》』」
《《まだ》》死なない。彼らは彼女に生かされていることを知らない。
「カウンター系のスキルか。『中級雷魔法 雷神の加護』」
彼女のことを守るように、薄い結界が覆う。
ときどきビリビリと音がして、雷をまとった結界なのを思い知る。
「お嬢様・・・・、戦闘したことないって言ってたのに。」
「シャルム。私は確かに戦闘するのは初めてだ。でもね。」
**「厨二病には使いたい技が山ほどあるんだよ!!!」**
「名言風に言ってるけど、カッコよくないからね?」
「これで終わりだ、『中級雷魔法 放電』」
『放電』、それは自身の周囲にある雷を衝撃波にして飛ばす技。
彼らは、その技を知ることもなく命を散らす。
「―――初戦闘でも意外といけるもんだね。」
「いや、強すぎるでしょ。」
「強すぎませんか!?」