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鏡狐異変ノ章 前編
「…あぁ、眠い眠い」
ヘアセットしなくちゃ、一応店を営業してるんだし…
「ああっ!?」
いやいや、おかしい。
なんで鏡を見たら狐がいんのよ!?これじゃろくに接客もできないじゃない。
…もう面倒だしわたし1人でいくか。
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「さぁてと…目指すはあいつね。もう分かってんのになんでこんな異変を起こすのかしらねえ」
あいつ、とは真鏡名真季那のことだ。彼女の能力は鏡を使って逃げやすくする程度の能力、きっと鏡に狐を出現させてさらに逃げやすくしてるんだろう。
あいつ自身、妖狐の亜種なんだし…
「あー、由有!」
「え?あ、夜姫」
茨木夜叉鬼姫は、最近わたしの異変解決に協力してくれるようになった鬼と人間のハーフ。鬼といっても、みつみたいに攻撃力が高いわけでない。
「この異変、真季那が怪しいと睨んでんの」
「へぇ…んじゃ、どうすんの?相手は鏡から逃げるよ?」
「まあ、仕留めちゃえば楽よ。まず、あんたの夢符で操らせちゃう。そしたらあとはばんばんぴゅーよ」
「ばんばんぴゅーって…」
彼女の秘技・夢符『催眠人形』は相手を操るので結構強い。まあ、体力の消費がすごいらしいけど。
「というか、依頼料は?」
「最近は依頼も減ったからね。バイトで稼いだお金をムーンから搾り取るのも可愛そうだから、元凶から搾り取ることにした」
「搾り取るって…」
「これでも商売なんだから」
依頼なんて、ゆめの極光異変から全然ない。
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「あ、李子」
飛んでいるところを降り立つと、李子がいた。彼女は座敷わらしで、なんやかんや手伝ってくれる。
「ねえ、いま、真季那を探してんだけど、知らない?」
「西の方に行ったと思う。多分。幸福を祈るわ」
今日はヒント控えめだった。
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「いた!」
真季那…だと思う。でも、狐の尻尾生やしてるみたことない妖怪だから、多分真季那。
「さあ、逃さないわ!夢符『催眠人形』!」
鏡を出現させる前にとっ捕まえたのはデカい。
「飛符『天駆ける一撃』」
普通に攻撃するだけで、真季那は倒れていった。
「ふぅ…疲れた。ちょっと手強かった」
「わたしがいなければ逃げられてたのにねぇ」
「やかましいなあ…」
といっても、真季那は何をしたかったんだろ。
「あーあ…こうしたら、香子様に目をつけられて、ゲンソウキョウに追い出されたのになあ」
「ゲンソウキョウ?なにそれ、由有知ってる?」
「あー、あそこねぇ。少々厄介なのよね、セキュリティ。まあ、突破できないことはないから行こ」
幻想郷__無朝迷路異変の時に行ったところだ。まだ黒髪少女に御礼も言えてないし、チャンスか。
「さ、行こ!」
頑張って2人を連れて空を飛ぶ。
重すぎる。