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和洋闘の狐
山道の中1人の少女が歩いている
黒色のセーラーを着た少女は
突然空を見上げるとつぶやいた
「和の|業《カルマ》、血結針」
くるっと回りスカートが上がった瞬間布の下から大量の針が出てきて何かを貫く
「…まぁーたぼっち狐かよこんちくしょー」
慣れた様な足取りで周りに落ちた針を蹴り飛ばし手を払いしゃがみ、残った針に触れる
「結来蝋」
針が溶けて地面に消えると
後ろからまた別の白色のふわふわとしたワンピースを着た少女が話しかける
「火岸、またお一人の子?」
「あーミヌア、そ、ぼっち野郎だった」
「じゃあまた探し直しね」
「おー」
2人の少女は山道をおりていく
「今日の夕飯なんだ?」
「今日は照り焼きって聞いてるわ」
「お、まじで?あれ上手いよな」
「そうね」
2人で山を降りていく
今日は火岸の好きな物が夜ご飯だから早く終わらせたかったのだけどすぐに終わってよかったわ
火岸は二年くらい前に狐狩りをしてる時出会った
ちょうど高校の一年が過ぎた頃にお父さんをなくしお母さんは狐に攫われてお金がなくなって
高校を中退してムカついて狐を狩っていたらしい
そのまま拾って今では一緒に住んでいるわ
お母さん達は今では私よりも火岸を可愛がっている、
多分拾った頃にしていた愛してほしい、的な言葉が刺さったのでしょう
「ミヌア?」
「あら、どうしたの?」
「どうしたのじゃねぇよ、いきなりぽけってしてどーしたよ」
「何もないわよ」
「そーかよ」
…なんだったかしら
私のこと愛してくれるか
だっけ
今思えば可愛いわね、確実にこれが原因よね
…後ろにいるわね
「洋の|業《カルマ》、|沈黙の刃《クワイエット・ブレイド》」
歩いてる最中、ミヌアがスカートをたくし上げた途端に先が斜めった刃が飛んで見えていなかった狐の首を切る
「うおっなんだいたのか?」
「えぇ、後ろにね」
「狙われすぎだろほんとに」
毎日絶対1匹は見るしやばいだろ頻度
「もう5時ね」
「え、やば急がねえと夕飯減らされるぞ走れ!」
「門限6時だものね」
やーべ照り焼き減らされんのはまじでやべぇ
というか頻度まじでどーするか
お守りでも買ってくるか?
「あら、考え事?」
「息切れてんぞミヌア」
「あなたが体力の化け物なだけよ!」
「明日夜上神社行かね?狐よけつけようぜ」
「その前に待ちなさいよ早い!」
「ミヌアが遅えだけだろ!」
足おっせーなぁ、先中いっちまうぞ
お、長さん待ってら
「ただいま、長さん」
「私の名前は八千予であり長ではないですよ」
「メイド長だからあってるだろ」
あ、きた
「ただいま帰りました八千さん!」
「えぇお帰りなさい、息整えてからお部屋にお入りくださいね」
「わかりました…」
「ミヌア、おっせぇなぁ」
「あなたが足が速すぎるだけじゃない」
「お前が遅いのもあるぞー」
階段から音がして振り向くとミヌアの母さんがこちらを見ていた
「あら、2人ともお帰りなさい」
「あ、母様」
「ただいま、義理母さん」
「もう、母さんでもいいのに義理って何なの?」
「ほんとの母さんではねぇだろ」
「まぁたしかにね」
「こらミヌアまで!」
母様は私と同じ金髪と少し薄い水色の目をしていて少し儚い見た目をしているけど
結構いじられキャラなのよね
「お嬢様、夕飯ができました」
「八千さん、ありがとう」
「今日のお夕飯なんだったかしら?」
「照り焼きだぞ義理母さん!」
「だから母さんってせめて呼んでちょうだい?」
「義理母さん!」
ニッコニコでそう呼ぶから八千さんまで少し笑ってる、珍しいわね
「冷めてしまいますよ」
「あ、やべいくぞミヌア!」
思いっきり手を引かれる
力が強いから少し痛いのだけれど…
「えぇ、火岸」
照り焼きを食べてお風呂に入った後は私の部屋で寝る用意をする
そしていつものことを2人でするの
「名前は?」
「火岸」
「目的は?」
「狐に攫われた母さんを助けること!」
「何歳?」
「17!」
「大丈夫ね」
「次ミヌアな」
「えぇ」
「名前は?」
「ミヌア」
「目的は?」
「人に害をなす狐を全て狩ること」
「年齢は?」
「17ね」
一度、狐に狙われた人間は記憶が曖昧になるという話を聞いてから毎日名前と目的と年齢を忘れないように共有しているの
「なぁミヌア、明日神社行こ?夜上の」
「お守りでも買うの?」
「狐よけ買おうぜ」
「じゃあお金用意しないといけないわね」
「確か前は600円だった筈だぞ」
「じゃあ1200円ね」
「おう!」
「…もうすぐ9時ね」
「んじゃ先寝るぞ?」
「そうね、おやすみ」
「おやすみ」
ベットは一つしかないから2人で一つのベットで寝る、意外とちょうどいいのよね
朝は大体6時に起きてる
毎回長さんが起こしにきてご飯に呼ばれるから
「ミヌアー長さん来たぞー?」
「あと…4735168952秒…」
「何時間寝るつもりだよ」
「火岸さん、お嬢様は私が起こしておきますのでお先にお食べください」
「あ、了解でーす」
ミヌアを置いて部屋に向かう
なんか後ろで悲鳴聞こえた気がするけどしーらね
お、今日クロワッサンか
「飲み物どうします?火岸さん!」
「お、八柄!何ある?」
「牛乳とジュースありますよ」
「ジュース!」
「はーい!」
「もー…置いていかないでちょうだいよ」
「起きなかったのが悪いだろ!」
「というか今日は八柄がいたのね」
「はい!今日もお手伝いですよ!」
八柄がジュースを置く
今日のジュースはりんごか…
私オレンジの方が好きなんだよな…
「八柄、今日は掃除を教えますからお早めに」
「はーい八千予先輩!」
「あらあら、今日も小さなお手伝いさんがいらっしゃるのね」
「ユリィ様!おはようございます!」
「えぇ、おはよう」
「ユリィ様、今日はご友人とのお茶会の予定でしたよね、なぜこんな時間に起きているので?」
「う、ごめんなさいね、寝過ぎてしまったわ」
「母様も同じ事してるのね」
「意外と似てますよあなた方は」
時間…あ
「ミヌア早く食べるぞ!」
「え?」
「夜上神社開くの9時からだろ!」
「あ!そうね!」
クロワッサンにベーコンエッグ、一緒に置かれた私用のお味噌汁、ミヌア達はコンソメスープだけど私だけ特別なんだ
「ごちそうさまでした!」
「夜上神社のお守りなら600円でしたよね」
そう言って長さんが私達に600円とおまけで300円くれる、おまけでなら好きなものを買ってきていいらしい…え、子供だと思われてね?
「いえ、ただユリィ様が散財する性格でいらっしゃるので、念の為ですよ」
「だからといってなんで私財管理八千予なのよ、使えないじゃない」
「最初に124万の鞄を買った方をそれをいいますか、使わせません」
「とりあえず早めに帰りますね、八千さん!」
「はい、いってらっしゃいませ」
「いってらっしゃいお嬢様方!」
「行ってきます」
ちゃんと食べきってから家を出る
神社は結構近くだけどあそこは狐が湧きやすいから早く行きたいんだよな
夜上神社は家の近くにある小さな神社で
狐が見える人しか行き方を知らない場所
だからか神様が経営をしている
「あら…また来たの?お二人さん」
神様は元々は道祖神だったけど人が通らなくなってから飽きて神社を作ったらしい
元々悪運を遠ざける力があったからお守りを作って売っている
「狐よけくれ!」
「せめて敬語はほしいのだけど?」
「まぁ神様ですし…」
「…まぁいいわ、狐よけね」
「はい、600円です」
「すぐ作るわ」
そういうと神様は手で丸を作って
小さく何かを呟くと赤く光って
布に覆われた丸いものができる
「はい、これ二つね」
「ありがとうございます」
受け取って帰ろうとした瞬間
きゅっと手を握られる
「…神様?」
「実は、こんな事貴方達にお願いするべきではないのだけど、貴方達を探して欲しいって言われててね」
「あ!神様!」
高い声が聞こえて振り向くと小さな狐の女の子が走り寄ってきていた
「狐…⁈」
「安心なさい、敵じゃないわ」
「いきなりすまんのじゃ実はお願いしたいことがあるんじゃ!」
案内された先には小屋で
入ると囲炉裏があって近くに座る
「私には名前はないが、狐と名乗るのじゃ」
狐の子は短い白髪と紫の色の目を持った子で
片目は黒色の花で見えないようにはなっていたが愛らしい見た目なのは変わらない
「それで、狐が何の様なんだよ」
「私の父様を倒す手伝いをして欲しいのじゃ」
「…はぁ?」
「黒髪のお主、お主は火岸という名ではないか?」
「…そーだけど何」
「私の母上は、お主の母なのじゃ」
「…は?」
「待ちなさいな、説明して頂戴」
「もちろん説明しよう、私は白狐家の長女として生を受けたのじゃ」
白狐家は現在父様が当主として君臨し
母様は人間の街から父様が連れてきたと聞いている、
私が生まれた数年後、母様と遊んでいると突然母様が泣き出したんじゃ
どうしたのか聞くと母様は
「置いてきてしまったあの子が心配」
と言っていたんじゃ
あの子とは誰かと聞いた時に初めてお主の名を聞いた
それからお主に会いたい気持ちはあったんじゃ
だが父様を倒したいと思ったのはこの時ではない
その数日後、父様が母様を狐の嫁入りに使おうとしている事を知ったんじゃ
狐の嫁入りは本来狐人しか無理なはずだった
だが、数年前には黒狐家の元従者の子がしたという事もありできると思ったらしい
それに、人間でも狐を一度産むと狐人に近づくのでな
私は狐の嫁入りを止めたいんじゃ
だから狐を倒したいお主らに手伝ってほしいのじゃ
「お主らがいやと言うのなら構わん、これは私のわがままなんじゃ」
「…なぁ、あんた、ずっと思ってたんだけどその花はなんなんだよ」
「…これは念の為じゃ、狐共に言われんようにの」
そういって狐ちゃんは花を取る
その下は火岸の色に似た黒目で、そのまま狐ちゃんは微笑んだ
「…わかった、いいよ」
火岸が急に呟いた
「…え」
「つまり、そいつ倒せば母さんも助けられるんでしょ?そっち優先でもいいならやったげる」
「もちろんよい!」
「…なんだ、ミヌアはいやか?」
「ううん、でもいいの?嘘かもしれないのよ?」
「あの神様が迎え入れてんだ、大丈夫だろ」
ほんと、優しいんだから
「わかったわ、私もやる」
「感謝するぞ!お主ら!」
感極まったのか狐ちゃんが私達に抱きついてきた
火岸的には実質的な妹なのもあるのかしら、撫でてるわね
「…もうそろそろ時間じゃの、帰ると良い」
「あ?何時だよ」
「もう11時じゃ、お主らは学生であろう?友人とかおるのでは?」
「私、中退したから行ってねぇぞ」
「私は家庭教師がいるから行ってないわね」
「…?」
あ、わかってないわね、行ってるもんだと思ってたのね
「で、でも友の1人は」
「ミヌアしかいねぇぞ、普通ヤンキーみてぇな奴と友達になりてぇやつなんぞいるわけねぇだろ」
自覚してたのね火岸…
「…えーと、茶菓子でも食べるか?」
「食べる」
すごく気まずいわね…
「…ちなみになんだが鴉乃家の事は知っとるか?」
鴉乃?
「なんだそれ」
「黒狐家に仕えとった従者の家なのじゃ、数年程前に黒狐家が没落した事により私らの家に仕えた、今は長男がお父様に仕えとる」
「じゃあ、敵ってことね」
「おそらくこの事を知ったら間違いなく排除しにくるのじゃ」
「…そいつはどんな攻撃とかすんの?」
「見たことがあるのは三つの棒を振り回している所しかない」
3つ…
「三節棍、かしら?」
「さん、せつ、こん?」
「どこかの国の鎖で繋がれた棒の武器ね、切る、というよりは叩いたり殴ったりね」
「へー…痛そーだな」
興味なさそうね
「まぁいいわ、狐ちゃん、私達とりあえず帰るわね、また来るわ」
「う、うむ!またなのじゃ!」
手を振り別れて家に向かう
「…母さん、生きてんだな」
「そうみたいね、よかったじゃない火岸」
「早く、助けてやらねぇと」
火岸がはっきり言った言葉が大きく聞こえた
狐と話して別れて、ミヌアの家に帰る
母さんが生きてる事に安心すればいいのか
あの狐が私の義理の妹みたいになってる事に動揺すればいいのかわからなくて、ただ
助けないとって思ったんだ
「そうね、早く助けないと」
ミヌアがこちらを見て微笑む
「また、話したいのでしょ?」
「もちろん、また母さんと話したい」
「狐ちゃんがいってた人には気をつけないとね、従者ならそれなりに強いでしょうし」
「そーだな、それぐらい私がやっつけてやる」
絶対に、死なせない
「…姉様は黒髪」
黒髪は狐の嫁入りに使われる事が多い
だから本来なら声を掛けない方が良かった事はわかってるのじゃ
でも私の力だけじゃ絶対母様は救えない
「ごめんのじゃ、姉様」
「そーいえば火岸、今日のお夕飯どうするの?リクエスト求められてたわよ」
「え、まじかよ…」
夕飯か…肉巻もいいし…いやシチューとかでも…
「帰ってから何が残ってるか聞きましょ」
「だな!」
…そーいえば、さっきの外にいた気配なんだったんだ?狐ではなかったし
火岸達が去った神社の前の木の上で2人の青年が座っている
「…あやしいな」
「うーん…そんなあやしい?天矢」
「名前を呼ぶな、犬」
「ごめんって、それにしても嬢さんが人を招待してるの初めて見たね」
「人間を招待してるのも初めてだ、それに嬢さんは妃様の事を大事に思ってるから、妨害する可能性はある、報告するぞ」
「了解、帰ろうか」
2人は少しだけ会話をしてどこかへ消える
その場所には黒い羽が落ちていた
「残ってるもの…ですか?」
「昨日の照り焼き残ってますよ!あとあと…スープもあります!」
「お、なら私それでもいいな」
「人数分あるの?」
「えーと…確認してきます!」
八柄が走って厨房に向かうのを見る
「それにしても帰りが遅かったですね、何かありましたか?お嬢様」
…八千さんは勘が鋭いのよね
私達、狐狩りの話は母様にしかしてないの
八千さん達は心配しちゃうから
母様も心配はするけど結構放任主義だから
「今日は神社の人と話が盛り上がっちまったんだよ」
と火岸が言ってくれた
「…そうですか…お2人とも、今日の残りはお小遣いにして構いませんよ」
「え、まじで⁈よっしゃ」
「あら、いいの八千さん?」
「ユリィ様よりは変な事に使わないでしょう?」
「母様はいっぱい使うものね」
「もう少しお小遣いを減らさなくてはいけませんしね、ユリィ様の」
「…また変なの買ったの?」
「先程、"弱い君でもすぐに相手をぼこぼこに!全自動馬鹿野郎抹殺機(単三で動きます)注、パンチングマシーンと単三は別売りです"と言うものが届きまして」
「…なんだそれ」
「何円?」
「着払いで50万程」
「母様のお小遣いなしにしましょ」
「ええ、そうします」
「2人分ありました!」
八柄が戻ってくる
2人分…
「なら、あなた達のぶんにできるかしら?私達は何か簡単なものでいいわよ」
「え、いいんですか!」
「でしたら今日はビーフシチューにでもしましょうか」
「ビーフシチュー!うまいやつじゃん!」
「部屋で待ってるわね、火岸、戻りましょ」
「おっけー!」
礼をしてる2人をチラリと見てから部屋に戻る
「…どうするの?あの狐ちゃん」
「助けるのは変わらない、従者のやつがどれだけ強いか分からないのはきつくね?」
「それはそうね、また明日狐ちゃんの所行ってみましょ、くるかもしれない」
「確かにな、実体あるって事は結構いい家だろうし従者近くで見てそう」
「ならそれ用の用意してきましょうか」
「なら服明日はお前ふわふわ着ねぇとな」
「火岸もじゃなくて?」
「袖のはむじぃんだよ、掴めねぇ」
「そう、なら仕方ないわね」
ミヌアが微笑む、毎回ミヌアは私に対して微笑んでる、そんな面白いか?私
「もうつけておく?」
「あー…なら、針だけすぐ取れる位置つけるか」
「スカートにでもつけるの?」
「和の|業《カルマ》、血結針」
少し袖を振ると針が数本出てくる、
袖から出たやつを掴んで使う事もできるらしいが私は無理だ
だっていつもと同じ速度だぞ?真剣白刃取りをプロ相手にやってるみたいな事だぞ無理無理
針を制服のリボン近くのポケットに二本
スカートの上の方に縫い付けるみたいに二本…
「…ちくちくしないの?それ」
「いやすげぇちくちくする」
「やった事あるのね」
「他に服無いんだもん、仕方ねぇだろ」
「本当に欲しいならあげるわよ?」
「ミヌアの服ふりふりばっかりじゃん」
「大丈夫、似合うわ!」
「似合うとかの問題じゃねーよ!」
ミヌアの服真っ白だったり薄ピンクだったり水色だったり私に合わねえ色しかないんだよ
「まぁいいわ、ほら合図が来たから下行きましょ」
「合図?なんか鳴ったか?」
「夕飯の時部屋の中を見ないように必ず部屋前の花瓶の中の鈴を鳴らすの」
「なんで中なんだ?」
「さぁ?泥棒さんとかがそれ利用して誘拐とかしないようにじゃないかしら?合図を知ってるのは八千さんだけだから」
「へー」
下にいくとパスタが置いてあった
「ソースの方はお選びいただけますよ」
「え、何あるんだ?長さん」
「和風ソースとミートソース、念の為カルボナーラ風も」
「和風で!」
「了解しました、お嬢様はどうなさいますか」
「私はミートソースで」
「はい」
パスタはすげぇうまかった
まぁ義理母さんはまだ帰ってきてなかった
ちなみに後から聞いた話だと本当にお小遣いはなしになったらしい
「で…なんで風呂入ってきたんだよ」
「あら、火岸は気にするタイプだったかしら?」
「いや別に気にはしねぇけど」
私達はどっちも湯あみ着着てたから別に気にしねぇけどさ
「どうせ後に入るのだから一緒でしょ?ほらほら早く寝ましょ」
「はいはい」
布団に入る…やっぱこいつ体温高えよなぁ…
「おーい、ミヌアー!早く起きろって!」
後ろからすげえ気配してんだって!
ブチギレてんぞこれ!
「ん…ありぇ、おはよー」
「はいはい早く着替えるぞ!」
「えぇえぇ、お急ぎください、後五分以内に来なければお二人のご飯は無しで大丈夫ですよね?」
扉越しから思いっきり脅してきたー⁈
「いやいやそれは勘弁だって!寝過ぎただけじゃねぇか!」
「寝過ぎたと自覚なさっているのでしたら早くしたらどうでしょうか?」
「あっすいませんした」
「もういけるわよ…火岸」
「あっはや、まだ寝ぼけてるだろそれ」
ミヌアは着るの早いなぁ…まぁいいや
「ほらいくぞ!長さん!出るんで退いてください!」
「えぇ、もちろん」
扉開けた瞬間の長さんのニコニコスマイルは怖い
私は覚えた
「…どしたの義理母さん」
問題、
扉を開けたら包帯ぐるぐるにされてる義理母さんがいた私の気持ちを答えよ
答えは困惑そりゃそうだろ
「昨日の見掛け倒しありましたよね?あれの中身買っちゃったらしくて八千予先輩が怒りました!」
「バカね母様…」
「ひかりゃなぁれしょ」
「なんて?」
「仕方なくないですよユリィ様」
「らひろ」
「口のやつなら取ってあげますから普通に話してください」
あ、取った
「だって片方買ったなら買いたいじゃない!」
「あら、ユリィ様は拘束がお好みで」
「ごめんなさい」
「母様弱…」
「ごちそうさま」
「あ、私もごちそうさま!長さん!今日も出かけるな!」
「了解致しました、お早めにお帰りくださいね?」
「はーい!」
「そーいえばさ」
「ん?どうかしたの?」
「私ら狐の家の行き方知らなくね?」
「…確かに」
「とりあえず神社来たけど…どうすんだ」
「神様に聞いてみる?」
話をしていた時知らない声が聞こえた
「中の|業《カルマ》、鎖杖」
「っ火岸!」
「血結針!舞え!」
火岸のスカートに隠していた針が飛び出すと同時に私達が数秒前いた場所に何かの叩く音と砂埃がたつ
針が刺さる音はしなかった
「お前らも|業《カルマ》持ちか…犬連れてこなくてよかったな」
砂埃の中から黒髪の男が歩いてくる
手には三節棍…
「貴方が従者の人?」
「鴉乃ってのって事か」
「知ってるなら話が早い、我らの主人の生命の安全と術の成功を確実なものにする為、命を捧げてもらおうか」
「はぁ⁈いやに決まってんだろ、ミヌア!」
「洋の|業《カルマ》、|細身の剣《スレンダー・ソード》」
袖の隙間からレイピアを生み出して手に取る
「和の|業《カルマ》!鋼乱刃!」
火岸は袖からは取れない
だからスカートから生み出してそれを掴んで使う
「…そうだ、名乗らさせてもらおうか」
黒髪の男はゆっくりとお辞儀をして名乗った
「鴉乃家長男、鴉乃天矢、貴殿らの命を奪う為にここにきた」
「…ミヌア・クロッサルタよ」
「…黒波火岸」
「そうか、名前だけは覚えておく」
「そうね、それはこっちもよっ!」
先手必勝、その言葉も時には本当になる
相手は三節棍、私達よりも構えるのは遅くなる
その予想通り一瞬だけ隙があった
「ほぅ…名乗ってすぐとはずる賢い考えはあるんだな」
「あらあら、賢いだけにしてほしいわね!」
「和の|業《カルマ》!血結針!」
私が下がった瞬間隣から声がして隣を見る
もう構えていて出すと思って咄嗟に飛ぶ
火岸のスカートから出た針の数本が相手に刺さるのが見えた
「っ」
「あら、案外弱いのね…」
どうせならここでとどめでも…
「なにをしとるのじゃ!」
「!狐ちゃん」
狐ちゃんが奥から出てきて私達の間に入る
「…嬢さん」
「やっぱり来とったか、天矢」
「…嬢さんは、そっち側なんすか」
「お主、はよ帰り?犬李も心配するやろ」
「嬢さんは、主人様を殺す気で?」
「…そうじゃな、もしこのまま父様が母様を使うというのならそれも、やむを得ないと思っておる」
「…今日は、帰ります」
「そうするとよい」
「ですが、報告はさせてもらいますよ、嬢さん」
「覚悟の上じゃ」
男は怪我をそのままに木に登って何処かに飛んだ
「…さて、どうしたんじゃ?」
「お前に会いにきたら襲撃されたんだよ」
「そうね、でも思ったより強くなかったわ」
「天矢はいつも犬李と共に行動しとるからの、いなかったから本調子ではなかったのじゃろう」
「その犬李ってやつも業、使うのか?」
「知らぬ、だが天矢よりも力自体は強いと聞いておる」
「…ねぇ、さっき報告って言われてたけれど、狐ちゃんは大丈夫なの?」
「父様は私に少しは甘い、無理矢理戻されたりはせぬよ」
「そう…」
「とりあえず入ろうぜ、話はその後で」
「そうね」
「報告ご苦労、下がれ」
「…はい」
襖を閉めて廊下を歩く
まだ足には針が刺さった痕がそのままで
あいつに会ったらめんどいな…
「あ、天矢!」
「げ」
「げ、ってなんだよ…て、怪我してんじゃん、治療室行かないの?」
「いまから行くんだよ心配するな」
「…ついてくよ、主人様への報告終わったんでしょ?あとでしゃぶしゃぶでも食べに行こう」
「はいはい、わかったから…」
ついてくるなって言おうとしたらいきなり体が浮いた
…浮いた?って
「なんで抱っこなんだよ」
「足、痛いでしょ?早く傷が治る天矢でも痛みは防げないからね」
「…揺らすなよ」
「了解」
抱かれて運ばれる流れになった時に走ってくる音が聞こえた
「天矢さん!」
「|猫月《びょうげつ》、どうした?」
猫月は俺がここにきた時からいる主人様付きの指示係だ、主人様からの指示を皆に伝達する仕事だからよく廊下を走っている
「忘れない内に承ったご指示をお伝えしてもよろしいでしょうか!」
「あぁ、大丈夫だ」
「報告にありました黒髪の少女をここに連れてき、妃様の代わりにしよ、との事です」
「…は?」
「あ、えっと詳細は主人様に聞くしかないのですが…」
「いや、怒ってはないから大丈夫だ、下がっていいぞ」
「あ、はい!失礼します」
猫月が廊下を駆けていく
…黒髪の少女、というと火岸、と言っていた少女か
「…あの時の黒髪の子?」
「あぁ、あの妃様の娘様だ、火岸という名らしい」
「そっか、なら次の時は僕もついてく、置いていかないでね」
「はいはい、リードは俺は持たないから自分で持ってこいよ」
「なぁ、狐、そっちのって誰だ?」
「あー…友達じゃ!」
「はじめまして」
黒髪の、…着物
「狐の子?」
「まー…そうじゃな」
「こらきね!言わないって言っただろう?」
「きね?」
「あだ名じゃ」
「僕達狐は当主になるまで名前がないからね」
「だからお互いを呼び合うためのあだ名をつけてるのじゃ」
「じゃああんたもあだ名あるのか?」
「僕はつろき、少し変かもしれないけどまぁ僕らの中でしか呼ばないからね」
「ふーん…てかささっきのやつどうするの?」
「あぁ、従者の人の事かしら?」
「…天矢は弱かったかな」
「?まぁ思ってたよりはな」
「あやつは黒狐家の中でも戦闘員ではなく世話係なんだよ、だから戦闘慣れしてないんだ」
「…へーなんで知ってんだ?」
「…あ、えーと、黒狐家の親戚だからかな」
…怪しいわね、もしかしたら重要かもしれないし聞かないでおきましょ
「そう、なら従者の人の情報色々聞いても?」
「あぁ、わかった、何が聞きたい?」
「さっき言ってた犬李って人は誰?」
「犬李は元戦闘員、天矢と結華の幼馴染であり親友だ」
「結華って誰だ?」
「天矢の妹だ、今はもう生きてない」
妹ってことは鴉乃家の子つまり元黒狐家の従者…あれ
「…ねぇ、狐ちゃん」
「なんじゃ?ミヌア」
「前言ってた元従者の、狐の嫁入りに使われた子って、もしかしてその子なの」
「…きね、話してたのか」
「軽く話した程度なのじゃ、覚えてたのか」
「…ならさ、あいつも狐の被害者って事か?」
火岸が呟いた
「…そう、かもしれないわね」
「じゃあなんでそれでも仕えてんだ」
「あいつの親は狐に仕える事に誇りを持っている、それにもう長年の仕えによって身体に異常がおき今更仕えるのを辞めたところですぐ時間がきて死ぬだろう」
「…そうかよ」
少し重い空気になったタイミングで
手を叩く音がした
「もうすぐで日没じゃ、2人は家に戻った方が良いじゃろ」
「…そうね、火岸、帰りましょ」
「あぁ、早く帰らな怒られるな、長さんに」
そう手を繋いで帰路に入った
「お帰りなさいませ、…それで、その血はなんでしょうか?」
「…」
「…」
「あ」
戦闘した時のやつ…
「…長さん、洗濯お願いします…」
「えぇ、やりますよ、ですがその針は抜いてくださいね」
あ、火岸が固まった
「ハイ…」
「…絶対バレた」
「八千さん勘鋭いものね…」
傷と針、遅い帰り…
「喧嘩までの思考であってほしいわね…」
「喧嘩にしては武器針って普通ないだろ」
「たしかに」
「とりあえず明日、どうしましょうね」
「…誤魔化すか!」
「で、説明していただけますか?お嬢様方」
…ですよねー…
「いやーただの喧嘩というか…」
「喧嘩で相手の血がべったりつくことがあると?」
…そういえば思いっきりついてましたね…
「いやほら長さん、私だよ?それくらい…」
「では針の説明もいただけますよね?」
「あー…相手が持ってたっていうか」
「ではなぜポケットにあるかは」
逃す気がないのですね八千さん…
「…いえ、ません」
「っ、八千さん!」
「なんでしょうかお嬢様」
「その針は私のものよ、護身用で念の為で渡してただけなのよ」
「そうですか…そこまで理由を作るのです、私達には言えない理由でもあるのでしょう」
「…長さん…?」
「何をしてるのかは分かりませんが、今日外出をするのでしたら条件があります」
「条件?」
「危険に巻き込まれている様子ですので猶予はつけますが、何があっても必ず、明日には帰ってきてくださいね」
「…はい!」
「と、返事はしたけど…やばくね?」
「やばいわね」
「何がじゃ?」
結局長さんに許可はもらえたけど…明日までに必ず帰れる保証ねぇんだよな、多分ミヌアもわかってる
「前の鴉の人、間違いなく今日も来ると思うのよ」
「まぁ、そうじゃな…お茶と茶菓子じゃ好きに食べよ」
「お、さんきゅー狐!」
大福!うまそー…あ、うっま
「いただくわね…まぁ、何をするかわからないからどうしようもないのだけど」
「…姉様を狙う可能性はありそうじゃの」
「姉様?私か?」
「今までの狐の嫁入りでも、代々黒髪の子を使っておった、そして今黒髪で認知されてるのは母様と姉様だけ」
「あー…何、母さんの代わりに使おうってか?」
「そうじゃ、だから攫おうと考えることはありそうじゃの」
ふーん…あ、この大福豆じゃんめずらし
「興味無さそうね…」
「まぁそりゃな」
「とりあえず帰りましょうか、早めに帰らないとまた来るかも」
「そうじゃの、長居は今度にするとよい」
気をつけることを話してすぐに狐ちゃんの結界から外へ出る
まだ明るくて太陽が見えるほど早い時間
「…どっか寄るか?駄菓子屋とか」
「そうね…でも私駄菓子わからないわよ?」
「私がわかるから問題ないだろ?うまいアレンジも教えてやるよ」
「あらそれは楽しみね」
この後の話を軽くして2人で神社の階段を降り切って通路に出ようとした
すると
「わっ?」
と火岸の声がした
「火岸?」
すぐに振り返ると前も見た黒髪の髪の毛とその後ろにいる見知らぬ明るい茶髪の青年がいて火岸を捕まえていた
「あ"ぁ?離せよこら!」
「すまんがこちらも任務だそれはできないな」
「それにさすがに強くてもこの状態で逃げるのは無理じゃないかな?」
「…だれ」
「僕は犬李、天矢の相棒だよ…この子を攫えと主人様に言われてしまったからね」
「そう、なら失敗したらごめんなさいね」
犬李と名乗った茶髪の青年は何も武器を持っていなかった
天矢の方が短刀を火岸が暴れたら当たってしまう程の距離にして持っているだけ
明らかに前より軽装だ
「洋の|業《カルマ》、|細身の剣《スレンダー・ソード》!」
すぐに召喚して刃を向ける
「…鴉、先戻って妃様の所に行ってくれる?」
「は⁈お前今無理だろアホなのか⁈」
「でも鴉よりは僕の方が戦闘はできるよ」
「うぐ…わかった、先行くぞ」
「行かせるわけないでしょう!」
急いで飛び掛かると瞬間的に足が見えて後ろに下がる
「火岸!」
その数秒の間にもう火岸達はもういなくて犬李だけになっていた
「別に君らに手を出すつもりは最初なかったんだよ…僕らただの見守り担当だったしね」
「あら…なら毎回みていたの?」
「いつもは天矢だけだよ、天矢は前から戦闘は苦手だから危ない気配がしたら僕も行く事にしてたんだ」
お互いに私は刃を向けて相手は武術のような構えで硬直する
「ねぇ…貴方、どうして狐に使えているの?」
「深い意味はないよ、天矢がいるからだからね」
「それにしては1人にするのね」
「…なんの話かな」
「狐ちゃんに聞いたのよ、あの子の妹さんの話」
「別に1人にはしてないよ?結華は気に入られてしまった…僕らには何もできない」
「逃げるのはできなかったの?」
「天矢達を逃しても2人ともすぐに寿命がきて死んじゃうよ、2人とも使えてる時間が長いから」
「そう…」
硬直した時間を解くために刃を下ろす
「いいのかい?戦わなくて」
「貴方を倒した所で火岸は解放できないわ、すぐに突撃してあげるから屋敷で待ってなさい」
「…そうかい」
とんっと音がして木に飛び乗って青年は消える
そさて私はすぐに狐ちゃんの元へ走った
「狐ちゃん!」
大きな音を立てて扉を開く
「ミ、ミヌア⁈どうしたんじゃ?」
「白狐家の家、わかる?」
「わかるが…実家であるから」
「じゃあ案内して?火岸の事すぐ助けなきゃいけないもの」
「ふ、ふむ…?」
「ぁ…」
目を開くと見知らぬ木、しかも…いやここ何処だよ!
「起きたか?」
鴉野郎が目の前で立っていてこちらをのぞいてくる
「あ、鴉野郎」
「その呼び方はやめてくれ…」
「ちなみにここ何処だよ」
「マイペースだなお前、白狐家の本家だ」
「本家?」
「…分家はわかるか?」
「知らない!」
「そうかよ…」
あ、ため息つきやがった
「まぁとりあえず立てるだろ?ついてこい」
「いやは?」
「だめに決まってんだろ?」
「ぶー!」
なっがい廊下の先
すごい高そうな扉がひとつだけあった
「…お前からしたら嬉しい方がここにはいる、騒ぎすぎるなよ」
「うれしい方…?」
静かに扉が開かれた先には長い黒髪の…
「…母さん?」
「…火、岸?」
明らかに前とは違った高そうな着物、さらさらだけど長く伸びた髪の毛、確かに色々変わっているが優しげな眼は、変わってない…
「て、天矢?何故ここに火岸が…」
「主人様からの命で連れてこいと、ですが、ここに来たのは自分達の気持ちです」
「気持ち?」
「今の内にお決めください、覚悟を決めるか、もし決まらないのであればお話を…自分は外にいますので」
天矢は私を部屋に入れてゆっくりと扉を閉め静寂な空気になっていく
「…火岸」
「母さん、母さん…何処にいたの?今まで」
泣きそうになりながらも嬉しくなってつい飛び込む、母さんは私を受け止めてくれた
「ずっと、ここにいたわ」
「私、探してたんだ、狐に攫われたんだ、なら助けないとって」
「ごめんなさいね、攫われたわけではなかったのよ」
「父さんもいなくなって、母さんもいなくて、友達もいなくて…私、1人だった」
「そう…」
「でもね、ミヌア達がきて仲良くなって、今私幸せなんだ」
言葉が止まらない、ずっと話したかったことが溢れてきて母さんはずっと頭を撫でて全部を聞いてくれた
「…大変、だったのね」
「うん、…次、母さん話してよ」
「え?」
「父さんの話、あのいなくなった日の話」
「…そうね、あの日は…今でも覚えてるわ」
あの日は晴天でほんのりと暖かい日
貴女は知らないかもしれないけれど、
あの人は貴女がいない時に私を殴るようになっていたわ、時には暴言を浴びせられ、一度なんて作ったご飯を捨てられた
…愚痴を言いたいわけではないの、ごめんなさい
あの日も、同じだったの
でもどうしても嫌になって着ていた服のまま逃げたの必死に走って落ち着いた時には山の中にいたわ
足は血で汚れて髪も肌も汗でびちゃびちゃ
どうしようかと思っていたら鈴の音がなって
あたりが突然暗くなったの
焦っていたら狐が私の前にいて、話をきいてくれた
そしたら狐から
「私と婚約をしてほしい、その代わりにその男を消してやろう」
って言われたの
今思うとあんまり気は進まない言葉よ、でもその時はすごく疲れてたんでしょうね
その言葉に一つ返事で了承したわ
貴女の事さえ忘れて…
「成立だな」
そう言われた瞬間に家の方から雷の音が聞こえたの
そのすぐ後に病院から連絡があってあの人が亡くなったことを知った
その時はすごく安心したの、でも家に戻ろうとしたら
「すまないが契約上返すことはできん、ついてきてもらうぞ」
って、
私はこの家にその頃から住ませてもらっていたの
…ごめんなさいね、長くなってしまって
「ううん、いい…父さん、やっぱりそうゆうことしてたんだ」
「知っていたの?」
「うん、でも私何もできないからさ、聞いてただけだったな…」
「いいえ、貴女がいたからまだよかったのよ、きっと、いなければ私はもっと早く限界がきていた筈よ」
2人でくっついてゆっくりとした時間を過ごす
そんな中ふと鴉の発言を思い返して疑問が浮かんだ
「なぁ母さん鴉野郎が言ってた覚悟ってなんだ?……嫁入りか?」
母さんが答えなかった事ですぐに気づいた
覚悟は自分がいくかって事なんだと
なら、説得ってのは私をか
「私達さ、それを止めるためにここ探してたんだよ」
「え?」
「狐に言われてさ、母さんを助けてって…だから探してた」
「そう…あの子が」
「うん、…まぁとりあえずさ、ミヌアの事だしすぐ突撃してくるだろうし待とうぜ!」
「…思ったのだけど…もしかして火岸、そのミヌアちゃんの事、好きなの?」
「…へ⁈」
ぽっと顔が赤くなってつい顔を母さんに埋もれさせる
それに対して母さんが手を口に当てて微笑んだ
「あらあら、微笑ましいわね」
「いやいやいや!私別に好きな訳じゃないよ!あっちから毎回わざわざ私に近づいてくるから…」
「大丈夫よ、私同性も受け入れるわよ?というか薔薇物も百合物も読めるわよ?」
「いや何それ⁈」
ぎゃいぎゃいと騒いでいると小さめにこんこんと扉を叩く音がする
2人ともそれで静かにすると
「あの…妃様、壁はそこまで太くございませんので…そちらのお話はお控えいただけると…」
と、鴉野郎の声が聞こえて2人でちょっとだけ笑って、楽しかった
「で、ここね?」
「うむ…だが、早くないかの⁈」
「いやこんなものよ?火岸の為だもの」
あれからすぐに走って狐ちゃんの家の前へとたどり着いた…あのわんちゃんもいると思って武器の召喚の準備はしやすい服にしてきたから大丈夫の筈
「なんか…あれじゃの、もしかしてお主姉様の事好きじゃな?」
「…狐ちゃん?こら」
「あ、当たりじゃ当たりじゃ!わかりやすいのう!」
ちょっといらっとして狐ちゃんの頭を掴んで力を込める
「いたいいたいいたいのじゃぁぁぁぁぁ!」
頭を抑える狐ちゃんを横目に家を睨んで召喚していた剣を構える
「狐ちゃん、下がってね」
刃を押し込んでこじ開けて同時に私が使える最強を使うことにした
「洋の|業《カルマ》、|泉に落ちた王の剣《ファウンテン・キングソード》!」
ふわりとした袖から大きな剣がでてきてそれを掴んで重さのまま振り回す
「わわわわわ!危ないのじゃ!」
「さ、いくわよ!」
「…何か、あったのかしら」
「え?」
「何か声が聞こえたの、もしかしたら貴女のお友達が」
母さんがこっちを見た瞬間に扉が開く
そこには全身が真っ白な狐が睨むようにこちらを見ていて
それが見えた瞬間に母さんは私を胸に寄せて守るように後ろに回してくれた
「妃よ、それは誰だ」
「あなた…この子は私の娘よ、言ったでしょう?元々娘がいた、と」
「ではなぜここにその娘がいる…あぁ、お前か」
扉の近くで跪いていた鴉の胸を引き重い音と小さな声がして鴉が倒れ込む
「天矢!」
「どうせぬるいお前の事だ…妃の気持ちでも考えたのだろう?…命令違反までして」
「…当たり前です」
「口答えか?」
「俺は元々黒狐様に仕えたもの、貴方に捧げる忠誠など、元よりない!」
そう叫んだ鴉を白い狐はまた殴ろうと拳を振りかぶって少し嫌になって目を背けた時
「世の|業《カルマ》、彼岸膜!」
その声と共に狐の手が当たる直前で何かに当たってぴたりと止まる
「…犬李!」
目を開けるとあの時見た茶髪が鴉の前にでて微笑んでいた
「主人様、嫁入りの準備ができました…躾をする時間ではないのではございませんか」
「犬か、ならば妃をつれ部屋で待て、躾は今しなくてはきかん」
「それは、できません」
「…お前もあの愚者に堕ちていたわけではあるまい?」
「いいえ、ただ天矢の傷つく姿を見たくないばかりの行動をしているまでです、どうかご容赦を」
「…ならば、2人で今来ている侵入者の世話でもして役にたて、次はないぞ」
「…仰せのままに」
鴉の前で狐に跪く茶髪を横目に白狐はこちらを向く
「妃よ、最後こそ従ってもらうぞ」
「…えぇ」
母さんはまた、寂しそうな目をしていた
「…めんどくさいわね!」
「当たり前なのじゃ!お主は襲撃者なのじゃよ⁈敵は多いに決まっとるじゃろ!」
屋敷の中を2人で走り回りながら追ってくる敵を倒して進む、途中には猫の女の子がいたがその子みたいな敵対してこなかった人は見逃して進んだ
「…最後の別邸ね」
別邸の前、そこには何回も見た黒髪と茶髪の青年が立っている、天矢の頬には小さなガーゼ、犬の方には何もないが心配そうな目で天矢を見ているのがわかった
「…きたね」
「えぇ、今度こそ返してもらうわよ」
狐ちゃんを庇うように前に立ち刃を向ける
狐ちゃんは驚いた顔をしながらもゆっくり後ろに下がっていった
「まぁ、今まで見ていたからくるとは思っていたよ…こんなに早いとは思わなかったけど」
「あら、愛する人をすぐに助けたいのは普通でしょう?」
「それは同感だね、大好きな友達はできるだけ笑っていてほしい、でしょ?」
「あらまぁ気が合うわね」
「そりゃあね…天矢、少し待ってて?」
「はぁ?またお前1人に戦わせるのは」
「違うよ、これは妃様の為さ…天矢は妃様に気に入られているから怪我を増やしては心配されてしまうよ」
「…わかった」
「お話し合いは終わったかしら?」
「あぁ、お互いに友人の為に戦おうか」
「武器はなしでいいのかしら?」
「…世の|業《カルマ》、薙の刃」
ふわりと起きた風に包まれ浮かんだ袖から長い棒のついた刃がでてきて構える
私の方もソードを構えて硬直する
近くで時計の音がして2人が足を踏み出し
瞬間、刃が当たって後ろに下がる
そこからはお互い一言もなく
ただ刃が当たる音だけが聞こえてくる
「…やるわね」
「そりゃあそうだよ…これでも元戦闘員だよ!」
少しずつ息が切れ始めた、その時刃が滑って倒れてしまう
「っ」
「…これで終わりでいいかな?」
「まだ、に決まってるでしょう!」
そう叫んで瞬きをした時に見えたのは驚きの顔
何かと思ってちらりと自分を見ると
「…水…?」
「極、か」
「…何よそれ」
「…|業《カルマ》の強化版みたいなものだよ、君は水が印のようだけど」
「そう、ご説明ありがとう…でも、それなら今の私はさっきよりも強いのよね!」
隙だらけな体に向けてソードを振るう
急いで犬は武器を合わせにいくけどもう遅い
さっきよりも強い力で振るったソードに乗らされ犬は武器と共に少し飛んで地に落ちた
「…ほんと、ずる賢い」
「本気でやっていない癖に言わないでもらえるかしら」
「本気だよ」
「いいえ、あの様子なら貴方も使えるんじゃないかしら?極とやらを」
「…使っても時間稼ぎにしかならないからね」
「…犬李」
ゆっくりと天矢が犬へと近づく
「天矢?どうし」
「時間だ…儀式の」
「儀式…?」
「!ミヌア!空を見るのじゃ!」
狐ちゃんの声に従って空を見る
若干黒んでいた空がぱっと消えて青になって雨が降り出す
「…狐の、嫁入り!」
「え、天矢!結局どちらが」
「妃様だ」
そう聞こえた瞬間ソードを手に全員を置いて飛び出してしまった
廊下に人はいない、奥の方から声が聞こえてその部屋の扉を切り開いた
「火岸!」
そこには黒髪の白無垢をきた見知らぬ女性を引き止める火岸がいた
「母さん…私と一緒に逃げようよ」
狐が部屋を出て鴉たちもいなくなって2人きり
私を包んだ腕はゆっくり解かれていった
「…ごめんなさいね」
母さんはそれ以上何も言わずに
部屋の真ん中、後ろにあった白い着物等に母さんは手をかけて身に纏う
「…母さん、お願い」
母さんはこちらに目をくれず着物を着ていく
すると扉を叩く音がして開く
「…妃様、お時間です」
「猫月ね、ありがとう」
母さんは入ってきた人に引かれて部屋を出る
引き止めようとした私に入ってきた猫の人が微笑んだ
「貴女が娘さん、ですよね…貴女の衣装もご用意させていただいております、よろしければ」
「…いらない」
「了解しました…では、せめてついてきてください」
そっと手を引かれて廊下を歩いて部屋を移る
そこは大きな部屋でまるで道を作るように着物を着た大量の狐が座っている
その道の中にいる母さんは盃を持って座っている
誘導されて母さんの後ろへと座る
「…母、さん」
「…静かに、火岸…失敗してしまうわ」
「でも…」
床に広がった着物の端を握って下を向く
別れたくないせっかくまた会えたのに
そんな気持ちが心を埋めて泣きそうになる
ゆっくりと母さんが立とうとした瞬間
扉が斜めに切れて飛んでいく
「火岸!」
そこにはミヌアが立っていて全員がミヌアの方を見ているのがすぐにわかった
「ミヌア…」
「…何者だ」
大きな座布団に座っていたさっきの狐が低い声で話した
「火岸が攫われたから助けにきたまでよ」
「儀式の途中だ、今すぐ去れ」
「…あら、好きな人が泣いて止める儀式を止めないとでも?」
「へ…?」
「さぁ、儀式は中止よ!」
それを阻止しようと座っていた狐達が飛びかかってきて全て切り捨てる
「…!ミヌア!あとから覚悟しろよ!」
「あら、何かしら告白の準備かしら」
「もうしただろお前がぁぁ!」
その間に私の近くにきていた火岸も刀を召喚して背中合わせになる
火岸のお母さんの近くにはいつのまにか狐ちゃんが行っていて守っている
「侵入者め…!犬どもはどうした」
「あの子達なら今は後から来たつろきくんが構ってくれてるわ」
「あの雑魚どもめ、時間稼ぎすらできないのか!」
「あらあら、充分稼いでいたじゃない…部下の働きすら褒められないのね」
「黙れ人間風情が!」
狐の周りに火が生まれこちらへ向かってくる
狐火というものなのだろうがずいぶんと危ない
「さぁ、観念なさい…」
「…貴様ら…儀式の邪魔をしてタダでいられると思うな…!もう神の姿は現れている!あとは妃が台座へと向かえば儀式は完了する!」
意味深に空いた空の窓からゆっくりと光が入ってくる
そこから見えた不気味にもみえる大きなものの気配に警戒を強める
「…神、様」
そう火岸のお母さんが言った時聞こえた走ってくる音に振り向くと天矢達がこちらに来ていて飛びかかってきたと思ったら私達の近くにきていた狐を倒していく
「…鴉野郎!なんでここに」
「…元の主人への忠誠の印だ」
「意外ね」
「天矢が向かうなら僕も行かないとね」
4人で並びお互いを背に敵へと向き合う
光が強まって周りにいた狐どもを貫くように線が出る
「…見境なしか」
「極世の|業《カルマ》…選ばれし剣」
「極洋の|業《カルマ》…!|泉に落ちた王の剣《ファウンテン・キングソード》!」
「極中の|業《カルマ》、蛇牢王」
「極…?…へーいけるかも…」
犬李は大きな剣を手に持ち極の効果で現れた犬の耳と尻尾をピンとさせる
天矢は槍のようなものを持ち、頬と耳に鴉の羽が現れて敵を睨む
私の剣はまた光を放って私の周りを水が回り出す
火岸は一瞬驚いたと思うとすぐに表情を直して唱える
「極和の|業《カルマ》ぁ!」
ニッとした口元になってすぐに火が燃える音がする
「緋桜刀!」
ぶわっと刀に炎のような模様が出ると共に火が火岸を守るように広がる
「やっぱりな!できるもんだな」
「はっ、普通ならできないんだけどな」
「まぁ私だしな?鴉野郎」
「一時、共闘だからな」
「もっちろん!」
だんっと足を踏み込んで光を切っていく
切れた光がぱらぱらと散って紙吹雪のようにも見える
火岸のお母さんに向かっていく光を切ろうと振りかぶるとその前に火が上がり消える
「私も狐火くらい使えるのじゃ!」
火岸に似たようにニヤッと上がった口角が見えて安心してすぐに他の光を切っていく
「あぁ…!ふざけるな!儀式の邪魔をしたどころか神の光を切るなど…!」
「当たり前でしょ、狐野郎」
当主だからかとかはわからないけど
光に狙われずただ私達に文句をたれる狐野郎に私は刀の切っ先を向けて睨む
「なっ!」
「今のこんな状況見ても、そんな言葉が出るなんておかしいね、お前」
「うるさい!儀式をしなければ我々に平穏など訪れんのだ、例え一時であろうと白狐家の威厳を守る為ならば…!」
「そんな事の為だけにお前は一度でも愛した人を捧げんのか!」
母さんの話の中身だけなら私からしたらこいつは会ったあの時、絶対母さんを愛していた筈だ
それなのに威厳の為だけになんてありえない
そう思った叫んだ言葉に狐野郎が狼狽えて一気に気づいたかのように固まる
「私は…愛していた…?」
「そうじゃなきゃわざわざ父さんを殺すものか、あんなにたくさん高いものを与えるか?…儀式のいくとわかった時の母さん、すごい寂しそうな顔してた」
「何故…」
「母さんもお前の事を愛してたから」
「愛…だと」
「いい加減にしろよ、狐野郎…お前にとって愛があんな扱いの事ならば母さんの愛は儀式に逆らわない事だったんだ、どっちもそれぞれの愛の形を渡しあってたんだよ分からず屋!」
思わず涙が溜まった気がしながらも刀を下ろして狐野郎の胸ぐらを掴む
悔しそうに顔を歪ませたのが見えた
「そう…か」
「母さんの愛を無視してるのは今の私も一緒、だけど私はこれが悪いとは思わない…私に対する愛はまた形が違うからね」
そういうと狐野郎の力が抜けたのを感じて下ろしてまた光を切りに戻る
「大丈夫そうね」
当主の元へ向かった火岸を見てもしかして殺すんじゃないかと思ってしまって焦っていた心が落ち着いていく
でも落ち着いていく心と裏腹に光がどんどん強くなる、数が増えて貫かれない程度には防げているが体にはどんどん傷が増えていく
鴉や犬の方に目を向けると2人で支え合いながらも段々息が切れ始めている
もうそろそろやばいと思った瞬間
狐ちゃんの方から焦った声が聞こえる
「母様危ない!」
急いでそちらを見ると1人で捌き切れなくなった光の一筋が火岸のお母さんをとらえ狙っていた
視界の中にいた火岸の目が見開き鴉達も守ろうとするが間に合わない…と思って目を背けると
「貴方…?」
悲鳴ではなく泣く声が聞こえて光がゆっくりと消えていく、目を向け直すとそこには火岸のお母さんを庇い倒れた当主の姿があった
「父、様、父様!」
「何故、何故庇ったのですが、貴方!元はといえば私が…!」
「お前の娘に教えられたのだ…私が、お前を愛していた事を」
「っ!なら、私なりの愛の形も知っている筈でしょう!」
「あぁ…だが、これは今までお前の愛を無視した罰であろう」
「…置いて、いかないでください、貴方」
「先に行くだけだ…また、会える」
「ですが…」
「…お前くるまでくらい、今までの時間より短いものだろう…お前は、人間なのだから」
「あなた…」
「父様…」
「狐よ、あとは頼むぞ」
そう狐ちゃんの手を握ると当主の体がゆっくり消えていく
おそらく捧げられる筈だった贄の代わりの命になった、という事なのだろう
体があった場所には着ていた着物だけが残ってそれを手に火岸のお母さんと狐ちゃんが静かに涙を流していた
狐の父さんが消えて、母さん達が落ち着いて静寂がきた
静かな空気の中でそこにつろきが入ってくる
「…また、白狐と話せるかと思ったが」
「…黒狐様」
そう呟いた鴉の声を聞いた残っていた狐頭達が騒ぎ出す
「黒狐だと…!」
「滅びた筈では」
「まさか残っていたのでは」
「そうだよ、僕は黒狐家の子孫…今では当主になるけどね」
「…つろき」
「きね、約束を守ろう」
「約束…?」
ミヌアが疑問の声を上げた時につろきが狐の手を引いて立ち上がる
「もし、今回の儀式により白狐家の当主が亡くなった場合、僕はきねと婚約し、白狐家と黒狐を一つにする…不満は出るだろう、だが、これが一番の道だ」
「えっと…おめでとうか?これ」
「そう、じゃな、元より決めていた事じゃ…どうか、認めてほしい」
2人の真剣な顔に何も言えないのか静かにまたなる、すると鴉が2人の前に跪く
「黒狐様、生存のこと、嬉しく思います…また、婚約の件につきましてももちろん、喜ばしく思います」
「天矢…」
「この鴉乃天矢、またお仕えさせていただきたく申し上げます」
「もちろん…ありがとうな、天矢」
全員の前での名乗りをして立ち上がる鴉野郎に
それに反抗さえできないと思ったのか狐達は次々に部屋から出て行き私達もその流れに乗って帰った
数日後
帰ってすぐに八千さんにこってり絞られてしまった私達はそのまま
次の日におかえりなさいパーティーをした
いろんな事があった
鴉と犬は着物が残っていたことから妹の服も残っていそうと考えてそれを回収する為に出かけると
狐ちゃん達はそのまま婚約をして家をまた発展させると
火岸のお母さんは突然出てしまうとどうなるかわからないからと今は狐ちゃん達がいた神様の空間に住んでいるらしい
そんなこれからの話をしていた途端
火岸に声をかけられた
「ミヌア」
「あら、どうしたの?…服、似合ってるわね」
母様達に着せられたひらひらのワンピースを纏った火岸はとても綺麗だった、そんなワンピースがシワになりそうなほどに握って話し始めた
「あん時の事、覚えてるか」
「あの時?」
「お前が、私に告った時」
「…あぁ!…返事、くれるのかしら?」
「…き、だよ」
「なぁに?火岸、聞こえないわよ」
そう煽ると顔が真っ赤になって怒ったような顔になるのが可愛くてついもっと煽りたくなる
「…好きだよ!…バカミヌア」
「…知ってる、待ってたわよ火岸」
そう言って抱きつくと照れたのかすぐに押し返される
そしていきなりパン!とクラッカーの音がして周りを見ると母様達がニヤニヤして立っていた
「あらまぁ…おめでとうね、ミヌア!」
「おめでとうございます、お嬢様方」
「おめでとうございます!火岸さん!ミヌアお嬢様!」
「なっ…見てたのかよ!」
「まぁ…そうよね」
「私だって勘がよくないわけではないもの!」
「あまりにもバレバレでしたね」
「たしか一目惚れでしたっけ?ミヌアお嬢様」
「こら!勝手に言わないの!」
そう怒った瞬間にくいっと袖を引かれた気がして後ろを見るとまだ顔が赤い火岸が私に問いかけた
「…一目惚れ?」
「まぁ、そうね」
「…ふ、ふーん…一目惚れ、なんだ」
「…あら、まだ顔が赤いわね火岸」
「いや!そりゃそうだろ…!」
そう戸惑いがあるかのようにわたわたとしている火岸の顎を引き顔を合わせる
「…これからは、もっと愛してあげるわね、火岸?」
そういうと火岸の顔がもっと真っ赤になって私の事を押しすぐに後ろに下がられてしまう
「…私だって、好きだし…ばーか」
そう目を背けて言う火岸がとても可愛かったのが今日の一番の思い出になった