公開中
今だから
🎼👿
👿家出後の話です。
🎼はまだフラガリアではない(騎士学生)想定です。
拙いですが嘔吐表現あるので苦手な方自己責任でお願いします。
守りたかった。離れてほしくなかった。守られていてほしかった。僕を、僕だけを必要としてほしかった。どうして、僕から離れていってしまったの?
---
電気はついていなくて、カーテンも窓も閉じている。しかしカーテンのすき間から淡い夕日が差し込む。キャッキャッと子どもたちが遊ぶ声も窓を通して聞こえてくる。
「もううんざりなんだ!!」
僕の大切な君は、そう言って家を出た。その前から色々なことは言われたし、それでもいいと思ってた。それでも君が無事ならば、僕はそれで構わないって。たとえ守るために僕が倒れてしまったって、塵のように消えてしまったって、君さえ笑顔で居てくれれば、それだけでよかったのに。
僕はどこで間違えたのだろうか。僕は何処であの子の笑顔を潰したのだろうか。
「あーあ、さみしいな…」
リビングのソファでポツリと呟く。
いつ入れたのかもわからないホットミルクを持ち上げた手は微かに震えていた。飲もうと口元に運んだが直前でやめた。何も口に入れたくない、そう思ったから。
つー、と何かが頬を伝った。それは止まることなく次々とあふれてきて僕の視界をぐちゃぐちゃにした。
「なんで、僕が泣いてるの…」
なんとなくわかってた、今のままじゃきっとクロードが望む幸せには届かなくて、それの邪魔をしているのが僕なんだって。
しばらく自責の念や後悔、自問自答を繰り返していたら気づけば空は暗くなり、子どもたちの声も聞こえなくなった。
「静かだな…」
いつもは家にクロードがいるのに。
もう、寝よう。いつまでもこんなのじゃ明日からの生活にも響くし。学校は、僕のことは知らずに毎日あるんだから。
自分の部屋の扉を開く。キィ…と寂しそうな音を立てて僕の視界を新しい空間へと向けさせる。この部屋だけは、いつも一人で使っていた。クロードが僕の部屋に入ることなんて滅多になかったから。迷わずベッドに向かう。起きた時そのままのぐちゃぐちゃのシーツと掛け布団。直す気なんて起きるわけがない。僕はそのままごろんとベッドに転がった。薄暗い天井が僕を見つめてくる。僕に圧力をかけて潰そうとしてくるように。
苦しくて、胸の奥が支えているような気がして、目を瞑った。少し落ち着いたような気がした。考えることをやめた僕は、数分後には寝ていた。
---
真っ白い空間に、僕は立っていた。足を踏み出し、何処へ向かうもなく歩き出した。直感が「歩け」と僕を突き動かした。辿り着いた先には、僕の守りたいものがたくさんあった。優先順位は関係なく、ただ散り散りに置いてあった。ただ1つ、こちらをじっと見つめるものがいた。
「クロード…?」
当たり前だ。僕の一番大切なものは、守りたいものはクロードなのだ。
一方近づいてみた。すると1つ、守りたいものが消えた。もう一歩近づくと、また1つ大切なものが消えた。このまま近づいてはダメなんだろう。そう思い踏みとどまった。しかし、僕の気持ちとは裏腹に、いや僕の気持ちに代わってくれるように、クロードが一歩ずつ近づいてくる。しかし大切なものはやはり消えていく。僕手を伸ばさずとも手を繋げるくらいに近づいた時、僕の目の前でバラバラに砕け散って砂のように形は崩れ終いには繋がってどろどろに溶けて僕の足元に溜まった。そしてそれは僕を沈めるように僕の足を飲み込み始めた。クロードから離れられない僕を比喩するみたいにズブズブと僕を沈めていく。顔まで沈んで息ができなくなったその瞬間ーー
「っ!」
僕は飛び起きた。首、脇、ももの裏、至る所に寝汗をかいていた。息が上がる、肩が上下に揺れる。どうしょうもない嫌悪感と吐き気を感じる。
トイレに急いで駆け込む。
「ゔぉえ…っ、ゲホッゴホッ…ゔぉぇ…」
何も食べてなかったからか、胃液しか出てこない。鼻がツンとしてのどが痛い。いくら吐けども消えない吐き気。
僕は、なんでこんなに馬鹿なんだ。いつまでも戻ってくることはないだろう家族に囚われて、夢の中で崩れただけでこんなにも苦しんで。夢だと分かっているのに。あのドロドロはクロードじゃない。僕だ。酷く馬鹿な僕なのだ。
いつまでトイレにいただろうか。わからない。吐き気は収まった、落ち着いてきた。
トイレから出て窓を見てみると、まだ夜中だ。少し寝て、明日の学校に備えなければ。
きっとまだ割り切ることはできないし、この先も無理だろう。それでも学校に迷惑をかけるわけにもいかないし、ロマリシュも僕を支えてくれる大切な友達だ。彼に心配されるわけにはいかないし。窓から覗く月の光が僕を少しだけ励ましてくれているように感じた。
---
次はきっと、大切なものを傷つけることがないようにしたい。守りたいものを守れるようになりたい。守りたいものを傷つけるのではなくて、傷つくのは僕だけでいい。僕が誰かのための傷になるのだ。そうすれば、彼は戻ってきてくれるだろうか、許してくれるだろうか。まだ何も分からないけど、模索しながらでも大切なものを守れるように、なりたい。
「ねぇ、君、王様でしょ?」
僕が君を守るよ、僕が嘘をついてでも、傷ついてでも、君の笑顔を濁らせないよ。僕は、君を守れる最強になるよ。
ここまで読んでくださった方ありがとうございます!ルドをロドでぐちゃぐちゃにさせるのが最高に楽しい