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電波少女A
「朝香さん、落としたよ」
帰り際、朝香アキの開けっ放しのリュックサックのポケットから落ちた小さなノートに手を伸ばす。
逆さで開いた状態に落ちたそれの真ん中に指を差し込み、反転させて閉じようとした。
「ひっ、!」
私のその小さな悲鳴に、クラスメイトが近寄ってくる。
「朝香、さん?これ…何?」
聞くと、アキは躊躇わずに答えた。
「何って、神からのお告げだよ?アキね、神様の声が頭に届くんだ。それを全部、書き留めてるの。名前と、日付と、その日何が起こるか」
アキの不思議な言葉にドンドンと人が寄ってくる。
「げ、俺の日、試合の前日じゃねぇかよ。しかも骨折するとか。ってか、このBって何?」
サッカー部のエース・春川亘がノートを見てアキに聞く。
「クラスの中心に近くなるほど、Aに近くなるんだって。ちなみに一番下はCだよ」
「えー、俺中途半端。Aに近いとなんか良いことでもあんの?」
アキの話を聞くうちに、怪談を聞いてる気分にでもなった春川が、次々と質問する。
「えっと、それはね〜」
「やめろよ」
クラスの中心人物・佐藤優斗がアキの話を遮った。
「そんなもん気になるなんてガキかよ。おい亘、今日部活無いから、俺ん家来るんだろ?早く行こうぜ」
「おう!あ、朝香後ででいいから、それ全部、グループに送っといてくれよ!」
まだ少し気になる部分があったのか、それだけ言い残して優斗についていった。
「うん、わかったー!」
アキがそう言うと、興味を示し残っていたであろうクラスメイトが続々と教室を出ていく。
数週間したある日、いつもは朝一番に学校に来ている春川が昼休みが始まってもまだ学校に来ない。
先生に聞いても、連絡が来てないとのこと。
こんなこと今までになく、仲良しの友達と集まり、ご飯を食べていても、結局皆で春川の話に。
「春川くん、明日部活の試合って言ってたよね。大丈夫かな、」
思わずつぶやくと、それを聞いた誰かが言った。
「朝香のノートの日付、今日じゃなかったか」
その言葉を期に、あの日教室に残っていた人が次々とグループメールを確認しだす。
何が何やら分からぬ人まで、流れにつられトークを遡る。
「えっ、!」
クラスで目立たず、普段は大きな声も出さない福原唯が驚きが隠せない声を出した。
教室が静まり返り、皆が福原に注目すると、彼女はそっと口を開いた。
「私、5日前これの通りのことが起きてる」
教室が少しざわつく。
「私、5日前、転んで膝縫ったの。ここに全く同じこと書いてる…」
そう言いながら福原はスカートを少し上げる。そこには、少し大きめのガーゼが布テープによって固定されていた。
皆がアキの言う神のお告げに信憑性を感じ始めた頃、担任教師が教室に入ってきた。
「皆が気になっていた春川のことだが、神社の階段から落ちて、両手首と足首骨折したらしい。病院で色々手続きをしていたから今まで連絡できていなかったと。今日は取り敢えず入院するらしい。それ言いに来ただけだから。お前たちも気をつけろよー」
教師の言葉を聞いた途端、クラス中は阿鼻叫喚。中には幼い子供のように声を上げて泣く子まで居た。
「次!次誰だよ!」
その言葉を皮切りに、再び皆がスマホに目を落とす。
必死にスクロールし、使い日付を探していると、明日の日付が書かれていた。その右側には、死亡、と書かれている。私は、恐る恐る名前が書かれている、左側に目を向けた。
「…佐藤優斗。優斗が、明日…死ぬ」
小さな声だったが、スマホに集中し、声という声がなかったこの教室の中では、随分とよく響いた。
「…俺かよ。…なんで、なんで俺だけ死ぬんだよ!亘も福原も死んでねぇじゃねぇか!なんでだよ!!」
声を荒げる優斗に対して、アキはいつも通りの声色で返す。
「だって、評価Aだもん。評価Aに近づくほど、不幸は大きくなっていくんだよ?」
「…そんなこと聞いてねぇよ。評価がAに近いほうがクラスの中心なんだろ?Aのヤツ殺してCのヤツは転けて膝縫うだけって、お前の中の神様ってやつはどんだけ陰キャなんだよ!」
「春川くんが聞いたとき、遮ったのは佐藤くんじゃん。ガキって。そりゃ聞いてないよね。きっと、神様は、ずーっと1人だから皆の中心にいる人が羨ましかったんだよ」
「…なぁ、朝香。俺が助かる方法ねぇのか?お前なら何とか出来んだろ?俺はどうすれば良いんだ」
アキの肩を掴み必死に懇願する優斗の手は、震えていた。
「…わかった。神様に聞いてみるね。あ、皆静かにしてて。声聞こえなかったらダメだから」
アキは静寂に包まれた教室で、ギュッと目を瞑った。
1分程経っただろうか。アキがそっと目を開いた。
「聞こえたよ。『お前は女遊びのし過ぎで刺される。反省して滝にでも打たれてこい。そうしたら、命ぐらいは許してやろう』だって」
「…滝?わかったよ。打たれてくるよ。今日の夜行けば良いのか?」
「うん、今日の夜。頑張ってねー!」
キーンコーンカーンコーン
一段落ついたところで予鈴が鳴り、皆は自分の席へと向かう。
例に漏れず私も自分の席へ座ると、スマホのメッセージアプリを開き、用件を打つ。
宛先は朝香アキ。
『山の斜面から落とすぐらいはしなさいよ』
『はい、愛美さん』
電波少女A
電波少女
妄想、妄想癖のある少女。他者とのコミュニケーションをとらない少女。
頭の中に何者かからの声、思考、指示、妨害が電波で届く少女のこと。
リアル
ありのまま。現実そのまま。
評価
ものの良し悪しなどの値打ちを定めること。
すっげえ駄作ですわね。
まぁ、初日ですし、1日で考えたししょうがないでしょう。これから上手くなってけば良いしね!
あたしが普段書くような題材とは全然違くて、大変だったんですけど、楽しかったです!
1000文字ぐらいの小説書こうとしたら2000字行きました笑
小説に対してのアドバイス、コメントくれると喜びます!
では、明日会えたら合いましょう!