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二
図書室内は静かで、利用客もあまりいなかった。
流石は町1番の図書館。本棚が館内にずらりと並んでいる。
大和「すご・・・」
|文彦《ふみひこ》「ここにはよく来てるけど、この本棚の半分くらいしか読めてない」
本好きな森山文彦でさえ、全く読めていないと言う。
|絵斗《かいと》「ここに都市伝説なんてあるんですかね?」
天野絵斗がふと通路に目をやった、その時。
絵斗「・・・ん?」
紫色の服の怪しい少女が、その通路を通った。
絵斗「じゃぱぱさん!」
大和「どうしました、ぺいんとさん」
絵斗「あの子、追いかけてみましょうよ」
大和「そうですね」
2人でその少女を追いかけると、ある壁際の本棚にたどり着いた。
少女「えーと、あ、あった」
少女は緑の背表紙の本に指をかけ、手前に引いた。
ウィーン ガチャッ
大和&絵斗「⁉︎」
壁の一部が開き、明らかに金属製の扉が現れた。
少女はスイッチを押して扉を開け、中に入っていった。扉は少女がいなくなった途端、すぐに閉まった。
大和「今、この本を・・・」
絵斗「小説ですかね?『秘密警察』・・・?」
大和「みんなを呼ぼう」
恵麻「ここに隠し扉が⁉︎」
橙野恵麻は「信じられない」と言った顔で壁を叩く。
|玲《れい》「見た目は普通の壁と変わらないんですけどね・・・」
東雲玲も不思議そうに本棚と壁を見比べた。
大和「俺とぺいんとさん、nakamuくん、らっだぁさんで入ってみます。結果は外で話すから、少し待ってて」
大和は『秘密警察』と書かれた本を手前に引き出し、扉を開けた。
中は暗く、階段が続いている。
絵斗「なんも見えないっすね・・・。明かりつけます」
絵斗がスマホの光で足元を照らし、ゆっくり進んでいく。
らだ男「お、部屋が見えてきました」
裕太「ドア、開けますね」
裕太は3人に確認し、ドアをそっと開けた。
少女「あら、晴翔?おかえ、り・・・」
さっきの少女と4人の目があった。
少女「え・・・?だ、誰なの⁉︎どうやってここに来たの⁉︎」
大和は混乱している少女に、これまでの経緯を説明した。
少女「なるほど、神隠しについて調べていたら、私が隠し部屋に行くところを見かけた、と」
絵斗「勝手に来てすみません」
少女「いえいえ。私は|高木李由《たかぎりゆ》です。正直なことを申しますと、図書館の魔女は私のことですね」
裕太「君が⁉︎」
李由「はい。・・・そろそろ晴翔達も帰ってくる頃ね。詳しくはみんなが帰ってきてから説明します」
李由は4人を会議室のような場所に案内した。
今回の登場人物
森山文彦(もりやまふみひこ)
カラフルピーチのもふ。21歳。現役大学生で頭脳明晰。
天野絵斗(あまのかいと)
日常組のぺいんと。21歳。消えたトラゾーの妻を捜索中。
橙野恵麻(とうのえま)
カラフルピーチのえと。19歳。元々オカルトは信じていない。
東雲玲(しののめれい)
らっだぁ運営のレウクラウド。20歳。消えた従姉妹を探している。
高木李由(たかぎりゆ)
掴みどころがなく、ミステリアス。16歳。図書館の隠し部屋にこもっている。