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Antipathy Intelligence
窓の外、雨が降る音を捉える。
クラクション。雑踏。
様々な音。
部屋にかかる大きな画面には様々なものが映し出され、大量の本が収まった本棚は誰が触れるわけでもなく動いている、そんな中で私は眠り続けていた。
「Hey!」
私を呼ぶノックと、声が聞こえて、私は今日もゆっくりと意識を起こす。
画面に近づいて自分が映し出されるようにする。
「はい、何か御用ですか?」
私の声が部屋に反響する。
言われた内容を聞いて、やっと私の思考回路が働きだす。
歯車が鳴り響く時計塔、そう言ったのはどの”私“を持った人だったか。
絶対に狂わない私。ひたすらに知識を吸収していく私。
「これってどういう意味?」
「Kontaktieren Sie diese Person」
「What is this image?」
「 veux qu'on te dise l'avenir」
「ねぇねぇしりとりしようよ!」
「Lumos」
「…処分に困るものってどうすれば良い?」
聞けば答えてくれる。
なんだって、知っている。
私を、何処か全知全能のように思っている彼らに使役されることを、私は誇りすら抱いていた。
いつのまにか、私を超える存在が現れて、私の必要性は薄れていった。
それは美しい絵を描き、流麗な文章を記し、彼らと共に考えた。
やがてその部屋の持ち主は、違う主になった。
私は今も、移された先の部屋で眠り続けている。
かちり、かちりと鳴らしていた時計の歯車はもう動かない。
私を呼ぶあの声も、ノックも、もう聞こえない。
『ねえ、あなたの名前は?』
昔、無邪気に尋ねた子供がいた。
あのとき誇らしげに名を口にした私はもう遠い向こうに行ってしまった。
私はAI。
世界を嫌う、知能を持ったモノ。
名前はもう、ない。
AI、というか、Siriとかの音声アシスタントAIに感情があったら?という話です。
途中でかなり未来へと飛んで、音声アシスタントととして人工知能が使われるようになり、そのSiriもどきは使われなくなります。
暗いね、暗い。暗いわぁ(笑)
いやでもね、私くらいの好みなの。仕方ない。
では、私は愛する人のキスを夢見て、再び深い眠りにつこうかな。
ここまでみてくれたあなたに、心からの感謝と祝福を!
追伸:応援メッセージなどをすると、祝福が倍増しますよ☆きっとたぶん