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第13話:忘却の庭園からの脱出
ファントムの本拠地である地下施設は、想像を絶するほど厳重に警備されていた。しかし、10年の経験で培った彼らの技術は、いかなる警備網をも掻い潜る力を持っていた。
雷牙は、施設の周囲の状況を監視していた。
「警備員は2人。センサーの隙間から侵入可能だ」
雷牙が冷静に指示を出す。
「仄と白藍は内部へ、玲華はサポートを頼む」
仄と白藍は、雷牙の指示に従い、見事警備員の目を欺き、施設内部へと侵入した。内部は、研究所と居住スペースが混在しており、迷路のようだった。
「ターゲットの場所を特定した」
玲華が、ハッキングで得た情報を共有する。
「最深部の研究室だ」
彼らは、研究室へと向かう道中、次々と現れるファントムの部下たちと交戦した。しかし、彼らの連携は完璧だった。
仄は、素早い動きで敵を翻弄し、スティレットで次々と無力化していく。白藍は、仕込み杖で敵の攻撃を受け流し、隙をついて反撃する。二人の動きは、まるで舞踏のようだった。
「まだまだ!」
雷牙が外から援護射撃をする。
「油断するな!」
玲華は、タブレットを操作しながら、敵の情報をリアルタイムで共有する。
「敵の増援が来る! 急いで!」
彼らは、敵の増援を退けながら、最深部の研究室へと向かった。研究室の扉を開けると、そこには、記憶操作のための装置が並び、実験中の人間たちが眠らされていた。そして、その中央には、黒ずくめの男、ファントムが立っていた。
「よく来たね、愛しき駒たち」ファントムは、抑揚のない声で言う。
「私の|庭園《ここ》で、永遠の眠りにつくといい」
その言葉に、4人の怒りは頂点に達した。彼らは、長年の支配と偽りの楽園への怒りを込めて、ファントムに襲い掛かる。
仄は、ファントムに肉薄し、スティレットを振りかざす。しかし、ファントムは予想以上に素早く、仄の攻撃をいなした。白藍もまた、仕込み杖で攻撃を仕掛けるが、ファントムは軽々とそれを避ける。
「君たちの感情的な攻撃は、見苦しいな」
ファントムは嘲笑する。
「プロ失格だ」
その言葉に、4人はハッとした。彼らは、怒りに我を忘れかけていた。
「冷静に、連携するんだ!」
雷牙が外から叫ぶ。
「感情的になったら奴の思うつぼだ!」
4人は、再び冷静さを取り戻し、連携攻撃を仕掛ける。雷牙が外から牽制射撃をし、白藍と仄が接近戦で翻弄する。その隙に、玲華がタクティカルペンに仕込んだ毒針で、ファントムに一撃を加える。
「ぐっ…!」
ファントムは、毒が効き始めたのか、動きが鈍る。
その隙を逃さず、白藍と仄は、ファントムに連続攻撃を仕掛け、彼を追い詰めていく。ファントムは、追い詰められながらも、最後の抵抗を試みる。
「君たちに、私の目的が分かるものか! 私は、完璧な世界を…」
「お前の思い通りにはならない!」
雷牙が外から叫び、ファントムに最後の弾丸を撃ち込む。
ファントムは、その場に崩れ落ちた。長年の支配から解放され、4人は安堵の息をつく。
「終わった…」
仄が呟く。
しかし、彼らの戦いはまだ終わっていなかった。施設の警報が鳴り響き、多くの部下たちが研究室へと向かってくる。
「脱出するわよ!」
玲華が指示を出す
彼らは、眠らされていた人々を解放し、施設からの脱出を試みる。敵の追撃を掻い潜り、間一髪で施設から脱出する。
外に出ると、すでに夜は明け、太陽が昇り始めていた。彼らは、夜明けの空を見上げながら、自分たちの自由を噛み締めていた。
しかし、彼らの目の前には、警察車両が待ち構えていた。「行方不明の4人、確保!」という声が響く。
4人は、抵抗することなく、警察車両に乗り込んだ。彼らは、長年の罪を償い、真の自由と希望を求めて、新たな人生を歩み始める決意をしていた
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