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15.最後の旅?
(ターネリアの名前かぁ)
響は迷っていた。
(馬のほうがカグラだからな。)
響はずっと考えていた。そして、その間もカグラとターネリア……いや、犬は響をカグラに乗せたまま進んでいく。響は何の指示も与えていないのに、山の周りをぐるりと回っている。この犬たちは響の考えが読めるのであろうか?
そして、響は思いついた。
(せっかく親には犬だというなら犬らしい名前はどう?)
と。
「あなたの名前はポチ。」
かなり極端な名であった……。
「ゥオン!」
響は……これがカードの「ワオン!」の音に聞こえてしまった。
(何?今ワオンって言った?鳴き声も犬じゃん!!)
笑ってしまった。
オオカミ……いや、ターネリア……いや、ポチは、なぜ笑われたのかが分からなかった。ただ、響が笑ったのを見て、遊んでくれそう、と思った。
「わふわふ(ついて来いよ!)」
そう言ってポチは先導し始めた。どこへ向かおうとしているのかは、分からない。そして、カグラがそれについていくと、ポチはスピードを出し始めるのだった。
「ゥオン!(遊ぼ!)」
そう言ってポチはほぼ全力で走り出した。カグラも慌ててついていく。響は……またもや落ちないことに必死であった。
「わふわふ(満足!」
しばらくして、ポチはスピードを落とした。響もそれに倣う。いつしか、昼は過ぎていた。響たちは、水場を探す。
しばらくすると、見つけることができた。
そこで、少し遅い昼食を食べた。カグラとポチにもあげた。
そして、しばらく休憩した。
「いこうか。」
そして、小一時間ほど休憩した後、また進みだした。今度はそこまで急がなかった。
そして、それが6日続いた。
(もう裏側は超えているよね?)
そう思う。だけど、自分の住んでいた家は、見つからなかった。
響は、引き続き進むしかなかったのだ。
響たちは知らない。
ポチと駆けっこしている間に、2日分の距離を進んでいることに。
そして、この日も夕方に村を見つけた。
(どんなに大きい集団で、この真似事をやっているのかな?)
響には、こんな大規模にそれをしようなんて考えることが信じられなかった。
楽しませてもらってはいるけど。
(あれ?この村に見覚えあるくない?)
響は既視感を感じた。
そして、村の中を歩いていくと……そう、たった10日ほど前に見た村長宅ではない大きい家と見た目が全く一緒だった。
(もしかしてこの家も村長宅ではないの?)
―—コンコン
「誰だ?……ってお前、この前のガキじゃねえか。」
「え?この前の偉そうなおじさん?」
「おい!その言い方は何だよ!」
「いやだって偉そうじゃん。」
「あ?」
「そういうところ。」
「あ?まあそれは置いておくとして、一体何の用だ?」
「いや、私も混乱していて……たぶんこの山を一周したってことかな?8日で、となるけど……。じゃあ村長さんのくれた情報が間違っていたのか。だけど……。」
(私が住んでいた家は、無かった。)
「一体何が言いたいんだ?」
一人でぶつぶつ言っている響を待ちかねたのか、偉そうな人は口を挟んできた。
響は、核心を聞いてみることにした?
「ここってどこまでの範囲がこの昔の生活のまねごとをしているの?」
「あ?何言ってんだお前は。我らにそんな真似事をする余裕があるわけねえだろう。」
「え?」
「そもそもお前は何を言っているんだ?」
(なんで分からないの?もしかして、ここは、昔のまねごとをしているわけじゃないの?)
そして、響は答えを出した。
(そうか!何故か分からないけど私は昔の世界に来ていたんだ!)
そして、それだったら洞窟の先に言ったら帰ってこれないわけだ、と思い、
(え?帰る方法無いの?)
と、茫然するのであった。