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2. 死別組
恋人と死別したという共通の過去を持つ白夜と零湖の話
ある茶屋に、端正な顔立ちをした灰色の髪の男が佇んでいた
彼の名は火車零湖。火車というまあ知名度のある妖怪。
そわそわとしていて、少し落ち着きのない態度は誰かを待っているように見える。
「ごめん零待った!?」
そんな彼に声をかけたのは、叉頭白夜。夜叉という厨二病に人気のありそうな妖怪(正確にはインドが出典だが。)
「待ってないし時間通りだから安心して」
「そっか、毎度のことながら零が早いだけか〜」
のほほんとした雰囲気で会話する2人だが、数秒後…周りの空気も思わず凍るほどの雰囲気で話す
--- 「「…で、恋人には会えた?」」 ---
…数秒の沈黙の後、2人は同じタイミングで頭を抱える
「白夜もか…会えてないのか…!!」
「分かる…分かるぞこの苦しみは…!!」
白夜と零湖、2人は「死別した恋人と会えていない、そして自分が死んだ側」という見事に一致した過去を持っている。
それゆえに仲良くなり、今や百鬼と糸保並みに仲が良い大親友である。
「…白夜の過去から言い合おうか」という零湖の発言の後、白夜は顔を上げて話す
「俺は平安時代の護衛の家系で、護衛していた藤原定子とかで有名な藤原家の娘と両想いで…恋人だったけどヤブ医者の誤診で結核で…」
「俺は吉原遊廓の番頭で…男装花魁と同性同士だったけど恋人で…。身請ける前日に俺が夜道で暗殺されて…」
そしてまた2人は頭を抱える。そしてブツブツと恨み言を言う
「クッソあのヤブ医者…地獄で見つけたら加州清光で滅多刺しにしてやるわ……」
「俺を殺したやつ、絶対大叫喚地獄に落としてやる……」
2人の雰囲気は禍々しいものになり、他の客と店員は「触れてはいけない」と冷や汗をかきながら無視している
ーーーー
「…ん?」
狐子の狐耳がぴくりと反応する。そんな狐子に「どしたの?」と飴乃が声をかける
「いや…なんか…?なんかこう…?うーん、私の話された気がする…」
「狐子も?」
糸保が会話に参加してくる
特にそんな気を感じなかった飴乃は「イトちゃんも?」と心底不思議にしている
「なんか…こう……噂された気がするんよな…?なんとなくだけど」
「分かる分かる。本当になんとなく。」
「そっかぁ、僕は感じなかったけど……」
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その頃の百鬼
「…なんか、すごく推せるカップリングが誕生した気がする。
ま、気のせいだろうけどね〜。さ、推しの新着動画見ようっと」
結構ネタバレになっちったがまぁいいか()