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12.
お嬢様と美和さんの出会ったきっかけを聞いた。
話してくれたこと、もちろん辛い思いをしたのは想像がつく。
その話の内容以上に、「これらを知らなかった」ことの方が私の心に刺さった。
「別に、シャルムを信頼してないとかじゃない。」
お嬢様が、私を気遣うように言った。
でも、私は思ってしまう。
信頼されてないのではないか、と。失意と絶望のどん底に落とされたかのような。
初めて信頼できた人物、お嬢様が私を信頼していないのではないか。
そう思うだけで、気が重くなる。
「シャルムは考えすぎ。これは私なりの優しさだった。」
「我が急に魔界に飛ばされたから驚いてしまってな。
混乱したせいで暴れ、美咲を傷つけてしまった。
それを知ったら、シャルム殿に斬られるのではないかと美咲が心配してな。
シャルム殿、我からも何か言えばよかったな。すまない。」
そういうことだったんですか・・・・。
「よかったです・・・・・! 失望されたんじゃないかって・・・・!」
「お前の主はそんなことするように見えるのかな?笑」
「いいえ!!!!」
「ふふっ、でしょ? 安心しな。 ・・・・美音、大丈夫かな。」
「―――大丈夫ですよ。信じましょう、美音さんを。」
「そうだ、美咲。きっとすぐ帰ってくる。」
「うん、そうだよね。ありがとう、2人とも。」
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「そろそろ観念したらどうなんだ、お前。」
「僕はそんなに安くないですからね。」
あれから20分。男は、美音の耐久力に驚いていた。
美音は、何度も首を絞められているが折れる気配はない。
相手の方は、もはや楽しんでるまである。怖すぎ。
「しょうがない、またか・・・・。」
男が手を近づけた瞬間。
**「『初級光魔法 閃光』」**
この空間一帯が力強く光った。
「お前! 何をする気だ!?」
男が眩しさに目を背けた瞬間、美音は光のナイフで縄を切った。
スパッ
「このために、わざわざ魔力が回復するのを待ってたんですから。」
「あなたを倒す、そのときのために。」
美音は煽るように言う。
「まさか、僕が反撃してこないなんて思ってたんですか?」
「逆に聞くが、もう一度ひどい目に遭いたいのか?」
「そんなわけ無いですよ。魔王のくだらない理想を断ち切るだけです。
美咲の犠牲の上の理想なんて、僕は絶対認めませんから。」
「それなら、こっちはお前の命を切ってやる。」
「『上級氷魔法 |氷墜《ひょうつい》』」
静寂を破ったのは、敵だった。
「『上級光魔法 聖なる光の加護』」
鋭い氷柱が現れ、次々と墜ちる。
それを、美音の技が吸収して被弾を回避する。
戦う理由も理想も違うが、背負っているものの重さは同じ。
***戦闘開始だ。***
「氷墜」は、チルノの「アイシクルフォール」を参考にさせていただいた。
アイシクル⇨氷 フォール⇨上から下へ落ちる⇨墜ちる⇨墜
ぎりっぎり投稿間に合った!(執筆終了時間、5時49分)
ちょっと短いけど、2話出したから許して☆