公開中
空に浮いたら。29
「じゃあ唐沢くん、またね〜」
彩花はそう言い、手を振る。
「千賀屋さんはいえ、どこらへんなの?」
「えっとねー唐沢くんの家と近いと思うよ。」
「そうなんだ」
(....彩花は前とは違うのか?それとも前のような性格になるようななにかがあった...?)
そう考えながら道を歩いていると、梨里がいきなり笑いだした。
「フフwあはは!!」
「え、ど、どうしたの?」
「や、気まずいなあって思って。やっぱり私なんかといても喋らないよね...」
少し暗い表情をしながら梨里は言った。
「そんなことない!」
「え?」
とても驚き、目を見開いた状態で梨里は麗王を見た。
「お、俺は、千賀屋さんといて楽しいよ?まずさっきは考え事してただけだし...これからはもっと喋るようにするね。」
今の麗王に一番合う言葉は、『お人好し』だろう。
大好きな愛している人がいるのに、困っている人を助けてしまう。
ずるい男なのだ。高校生なのに、小学生に本気で問いただしてるなんて。バカバカしい。
「フフっ。ありがとう。」
太陽のような、ひまわりのような梨里の笑顔はとっても『綺麗』だった。
小学生の元気な笑顔ではない。なにか幻想的な物があった。
「うん。これから、よろしくな。」
でも、そんな梨里の笑顔も麗王の笑顔によってかき消された。
麗王の笑顔はそれ以上だ。だれでも温かい心になれる、そんな笑顔だ。
「っ...うん、じゃあ私の家ここだから。バイバイ」
「あ、え、うん、またな〜!」
梨里の息は、心拍数は最高数に達していた。
「ダメだよ、ダメ、ダメのに....!!」
頬は赤く染まった。梨里にとって彩花は友達ではない、主人のようなものだ。
なのに、なのにその主人が恋をしている相手に自分が恋をするなんて
「.....ほんとに、私はダメだな。」
梨里の顔からポロポロと落ちる涙は、止まることはなかった。
連続投稿するつもりなのであとがきまえがきすくなめ