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かくれんぼ 4
その後、
「もういいや。乙葉、運動場の自然園にいる。もう、レイに賭けてやる」
と弘子が白状した。
速攻で、岩や草が生い茂る自然園に向かうと、乙葉がいた。
「見ぃつけた」
「レイっ!!?」
あのびっくりした顔、逆にわたしが驚いた。
タイムリミットは、あと10分。
廊下、教室、体育館、図書室、トイレ。全部探した。なのに、なんでいないのだろうか?空き教室だって、ないことは確認済みだ。職員室にこっそり忍び込み、鍵がかりられてないかも確認した。いけるところなら、どこへだっていった。1階、2階、3階。立ち入り禁止の屋上も行った。広い校庭だって、もう散々確認した。
なんでいない?自殺?いや、そんなわけない…。
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亜美の様子を確認しに、わたしはトイレに向かった。
「亜美」
「わあ!…ッレイ」
「いま、里美以外、全員見つけたわ」
「本当!良かった」
「でも、どこを探しても、見つけられないの。校庭、教室、体育館、図書室、トイレ、屋上、廊下を探したわ。あと、隠れることができそうな場所は?」
「いや、ないと思う」
そうよね…と、わたしは相槌を打つ。
「でも、あの姑息な里美のことだから。ルール、絶対破ってるよ」
「破ってる…ルール…。なるほど、その手はなかったわ。ありがとう」
平気でいじめをするやつが、ルールを守るのは考えづらい。
これは____それなりのことをしなくちゃね。
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わたしはすぐに、トイレに向かった。トイレなら、人目につきにくいし、何より隠れやすいのだ。
試しに、入口のところで声をあげてみせた。
「ここには…いないのね」
すぐに、ガタガタっとドアがゆれた。ひとつの個室だけ、ゆれている。そのドアの下から、足がのぞいている。
「ふふ」
わたしは、ひゅっと上へ上がった。そして、里美を見下ろして、言った。
--- **「`見ぃつけた`」** ---
「きゃあああああああ!!!」
青白くなる、里美の顔。
「言ったよね、ルール。移動しちゃいけない。ここはずいぶん確認した。ほんと、変わってないね。似てるね。ほんと、なにもかも。あなたの母親___《《|加藤佐奈《かとうさな》》》に」
「どうしてっ…」
加藤佐奈。|高橋真那《たかはしまな》。|石塚和子《いしづかかずこ》。|竹島優花《たけしまゆうか》。
それぞれ、加藤里美、高橋弘子、石塚乙葉、竹島穂の母親だ。
そして___
わたしを殺したやつ。