閲覧設定

基本設定

※本文色のカスタマイズはこちら
※フォントのカスタマイズはこちら

詳細設定

※横組みはタブレットサイズ以上のみ反映

オプション設定

名前変換設定

この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります

公開中

割れたガラスは戻らない

「はー!うまかったぁ!」 夏休みの初日、オレはトウヤたちと約束通り再開した。 今思えば、場所とか時間とか、ちゃんと決めておけばと思ったが、 いつあいつらと出会えなくなるのかが怖くて、なかなか考えられなかった。 「明日も、3人でこうして遊ぼう。」 トウヤが微笑んだ口で言った。 「だな。」 だけど、アキの表情がどこが浮かばない感じがする。 「ごめん、オレ、明日親父が帰ってくるから、遊べない…。」 申し訳なさそうに、下を向いてアキは話した。 「おう…そうか、じゃ、お土産頼むぜ。」 トウヤのちょっとした冗談が、アキを少し笑顔にさせたのが見えた。 オレもトウヤに乗っかって 「オレからも頼むぜ!」 って言ってやった。するとアキは明るくなって、 うん!と元気よく返事した。 『それじゃ、バイバーイ』 2人は帰って行った。気づけば夕焼け小焼けで、カラスがグァーと鳴いている。 「おう、バイバーイ」 手を高く上げ大きく振ると、トウヤたちも高く振ってくれた。 気がつくと2人は見えなくなっていた。 あぁ。 ちゃんと会えてよかった。
「なぁヒナ、お前っていつもこんなことしてんの…?」 「?、そうだけど。」 オレとヒナは山に入り、虫とりををしていた。 だけどオレは虫とりがしたいわけでもなく…ただ無理矢理ヒナに連れられたのだ。 ヒナのカゴは虫が5匹ほど入っていて、それぞれがなんか争っている。 えいっと虫をつかまえるかけ声がする。 「じゃじゃーん、クマゼミつかまえちゃった!」 ヒナは思いっきり裏面を見せてきて、思わずうわぁと声を出してしまった。 「何?虫苦手なの?」 「はっ…?いや、苦手じゃねぇし…。」 「あっそ、じゃぞっこうだな!」 まずい、このまま地獄のような時間が過ぎるのか…? 正直に言うべきか?いや、女子にそんなこと言うってダセェだろ…? あぁっ!くそっ!こんなことになるなら断っておきゃよかった! 足元にクソでっかいムカデが出てきた…! 「っ…!ひぃっ…!」 「何よ、やっぱ苦手そうじゃん。強がんなくてもいいのに。」 「ちっ、ちげぇし!たまたま火の幻覚が見えただけだし…!」 「いいわけならいいから。それじゃあやめよっか。」 何とか地獄の虫とりを切り上げさせることができた。 でもなんか…すっごい悔しい…。 「ところでさ、魚いける?次魚つりしようよ。」 ヒナが山道を下っている時にそう言った。 「えっ、魚釣り!?オレ超得意だよ!」 「さっきとはうってかわってクソ元気ね…。」 オレとヒナは、そう言って、山道を抜けた。