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矛盾
私立 希望ヶ峰学園
あらゆる分野の超一流高校生を集め、育て上げることを目的とした…政府公認の超特権的な学園…
この学園を卒業すれば、人生において成功したも同然…とまで言われている。
何百年という歴史を持ち、各界に有望な人材を送り続けている伝統の学園らしい…
国の将来を担う《《希望》》を育て上げることを目的とした、まさに《《希望の学園》》と呼ぶに相応しい場所。
そんな学園への入学資格は2つ…
《《現役の高校生であること》》・《《各分野において超一流であること》》
新入生への募集などは行なっておらず、学園側にスカウトされた生徒のみが入学を許可される。
そんな、超が何個もつくほどすごい学園の校門の前に…
私は……立って…いた………
……
…………
……………
……ん…?
奏「あ……れ…?」
奏「こ、ここは……?」
私は、硬い机の上で目を覚ました
体がすごく重い……しんどい…
どうして私…机の上で寝て………
奏「どう…なってるの…?」
………………
---
奏「…っ!!」
ようやく…
ようやく…意識と肉体がシンクロを始めた…そして…
目が覚めた…
それとも…これも夢…?
絶望的な…悪夢の中…
奏「いや…夢なんかじゃない…」
それは、あたりに漂う、この不快な悪臭が物語っていた…
奏「う…ひ、酷い匂いだな…」
光の差し込まない薄暗い空間…
地面に敷き詰められたゴミの山…
奏「地下の…ゴミ捨て場…?」
ここで…のたれ死ぬのを待つの…?
奏「……そんなわけには…いかないよね…」
奏「だって…仲間が助けてくれた命だから…」
奏「まずは…出口を探さないと…」
奏「………!扉…!」
ガチャガチャ…
奏「開かない…鍵が掛かってる…」
奏「食料と水は…あるわけないよね…」
奏「どうしよう…」
奏「………寝よう、かな…少しでも体力を残しておきたいし…」
奏「……………」
奏「…1日は経ったかな…」
奏「…………」
ドサッ!
奏「わっ…!?な、なに…!?」
奏「…ゴミが落ちてきただけみたい…」
奏「……粗大ゴミ…?」
?「粗大ゴミ!?失礼だな〜…」
瑞希「うっ…酷い匂いだね…」
奏「み、瑞希!?」
瑞希「思ったより元気でよかったよ!」
奏「え、なんで…?」
瑞希「なんでって…助けに来たからに決まってるじゃん!」
奏「それは嬉しいんだけど…その…瑞希…頭にカップ麺のゴミが…」
瑞希「………これ食べたの奏?」
奏「いや知らないよ…」
瑞希「それはそうと、まずはこれを渡しとくね」
瑞希「パンと水!とりあえず食べて!話はそれからだよ!」
奏「……!あ、ありがとう…!」
奏「助かったよ…ほんとにありがとう…」
瑞希「やっぱり、奏なら諦めないと思ったよ」
奏「だって…仲間が待ってるから…」
奏「でも…瑞希はなんで私を助けに…」
瑞希「…罪滅ぼし…かな」
奏「え…?」
瑞希「学級裁判の時、ボクの矛盾を知りつつ…黙っててくれたよね」
奏「…………」
瑞希「でもボクは…奏を助けなかった…」
瑞希「ボクは奏を…見捨ててしまった…」
奏「う、ううん…見捨てたなんて…」
瑞希「…ボクは、自分の命惜しさに…奏を見捨てたんだよ…」
瑞希「奏はボクを救おうとしてくれたのに…」
瑞希「でも…言い訳する訳じゃないけど、ボクはどうしても生き延びないと駄目なんだよ…」
奏「どうしても…生き延びないと駄目…?」
瑞希「…奏には、全部話すよ」
瑞希「ボクが…ここに来た目的…」
瑞希「ボクが希望ヶ峰学園に来る決意をした、大事な目的があるんだよ…」
奏「じゃあ…何か大事な目的があって希望ヶ峰学園に来たってことなの…?」
瑞希「うん…そうだったと思う…」
奏「そうだったと思う…?」
瑞希「ボクは忘れてたんだよ…その大事な目的を、最近までね…」
忘れてた…?それって…
…本当なのかな…瑞希が記憶喪失って…
瑞希「ねぇ奏、覚えてる?」
瑞希「この学園に来た直後に、ボク達に起きた最初の異変の事…」
奏「…気を失った事だよね…」
奏「それに、気づいた時には閉じ込められてて…」
瑞希「今思えば…あの時から既に、ボクは記憶を奪われてたんだよ…」
瑞希「あの時…忘れてしまった…」
瑞希「ボクがここに来た大事な目的を…」
奏「じゃあ…瑞希の記憶がないのって…」
瑞希「うん…黒幕の仕業だよ…!」
瑞希「きっと、ボクの記憶が黒幕にとって邪魔だったから…」
瑞希「裏を返せば、ボクの記憶は、学園の謎や黒幕の正体に繋がっているって事になるよね?」
瑞希「だからこそ、ボクは突き止めようとしたんだよ」
瑞希「その為に、ずっと1人で調べてたんだ」
瑞希「でも、1人じゃ限界があったから…奏にお願いしたんだよね…」
奏「なんで…私…?」
瑞希「奏が黒幕って可能性が1番低いと思ったから!ただの勘だけどね!」
奏「うん…私が黒幕なんてありえな……」
---
奏「私は…全部知ってるはず…」
奏「私の目的は…ここから出る事じゃない…」
奏「ここに残る事なんだよ…!」
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奏「っ……!」
これ…あの時の夢…?
なんで……
瑞希「奏?大丈夫?」
奏「あ…ご、ごめん、大丈夫…」
瑞希「そっか…さっきの話に戻るけど、ボク、奏のことすっごく信頼してたんだよ!」
瑞希「ただ…ボクは人を頼るのに慣れてないからさ…」
瑞希「あんまり上手く頼めなかったかもしれない…ごめん…」
奏「ううん、私は気にしてないから…」
奏「それで、1人で調べていた時って何か分かったの…?」
瑞希「まだ思い出せない事も多いけど…でも、ボクの目的は思い出したよ!」
奏「…その目的って…?」
瑞希「……ボクの目的は、ある人に会うためだったんだ…」
奏「ある人…?」
瑞希「うん…希望ヶ峰学園の…学園長だよ…」
奏「え…な、なんで…!?」
瑞希「…ボクのお姉ちゃんだから…」
奏「学園長が…瑞希のお姉さん…!?」
瑞希「しばらく仕事が忙しかったみたいで…会えてなかったんだけど…」
奏「あ……だからアルターエゴから話を聞いた時…」
瑞希「あの時のボクはまだ記憶が戻っていなかったけど…不思議と、そんな気持ちになったんだ…」
瑞希「今思えば当然だよね…」
瑞希「ちなみに、学園長が黒幕じゃないのは…ボクが学園長室に忍び込んだ時…」
瑞希「室内の引き出しや棚が荒らされている状態だった…」
瑞希「つまり、その部屋に詳しくない人がそこに入ったと思えるよね?」
奏「それが…黒幕…?」
瑞希「ボクはそう考えたよ。だから、それを確かめる為に、ボクは寄宿舎の2階に行ったんだ」
奏「なんで寄宿舎の2階に…?」
瑞希「学園長室で見取り図を見つけたんだけど…」
瑞希「この見取り図によると、寄宿舎の2階には、教職員の個室があるみたいだったんだよ…」
瑞希「そこには学園長の個室もあってね…」
瑞希「それで調べていく内に思い出したんだ…ボクの目的はその部屋の持ち主に会う事だったんだって…」
奏「そういえば、2階ってどんな感じなの…?」
瑞希「うまく説明出来ないけど…」
瑞希「見た時にボクが思ったのは、この学園で起きている事は…ボク達が思っているより遥かに怖いんだって…」
奏「ど、どういうこと…?」
瑞希「それは…奏が直接、自分の目で確かめるといいよ…きっと見る日が来るから…」
瑞希「あの覆面の人の話になるけど、殺したのはボクじゃ無いからね」
瑞希「もちろん、奏でもないんだろうけど…」
奏「わかってる…でも、分からない…私達以外のみんなはアリバイがあるんだよ…?」
瑞希「黒幕が関係してるのは間違いないよ。そもそもあの裁判は、ボクを処刑する為の裁判だったからね」
奏「え…?」
瑞希「大事な鍵を盗んだりするボクを殺す為、学級裁判を利用したんだよ…」
瑞希「黒幕には校則のせいで、直接手が出せないからね…」
奏「『希望ヶ峰学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません』ってやつだよね…?」
瑞希「それに、あの殺人について言うけど…もしかしたら、あの時殺されていたのは奏だったのかもしれないんだよ…!」
奏「わ、私…!?」
奏「もしかして…あの夜のこと…?」
瑞希「ボクは何かと勘がいいんだよ…」
瑞希「あの時妙な胸騒ぎがして、2階から階段を見たら、白い影が廊下を通ってるのが見えたんだ…」
瑞希「すぐに後を追ったんだけど、そしたら奏の部屋に入っていくのが見えてさ…」
瑞希「そこで、あの場面に出くわして…もちろん、すぐに止めに行ったよ」
瑞希「だけど、それだけじゃ終わらなかった…ボクが覆面の人物を止める事で、今度は覆面の人物が死体で発見される事になった…」
瑞希「それに、ボクの部屋に鍵を置いたり、死体の偽装工作したのは全部黒幕の仕業だよ!」
奏「と言う事は、あの死体を殺したのは黒幕なの…?」
瑞希「確証は無いけど…ボクはそう思うよ」
奏「だ、だとしたら…黒幕はその気になったら平気で人を殺して…っ」
奏「…あれ…?でもこれ…矛盾してるよね…?」
奏「黒幕は直接手を出せないから、瑞希を学級裁判で殺そうとした…」
瑞希「そうなんだよ…矛盾してるんだよ…!」
瑞希「あの死体を殺した事も…ボクを学級裁判で殺そうとした事も…犯人じゃ無い奏を処刑した事もね!」
瑞希「全部矛盾してるんだよ!」
奏「つ、つまり…追い詰められてるのは黒幕の方って事だよね…?」
瑞希「そうだよ…もう少しで…もう少しで黒幕の正体が見えるはず…!」
瑞希「それが…超高校級の絶望…!」
奏「え…?」
瑞希「間違いない…黒幕は超高校級の絶望…」
瑞希「超高校級の絶望って言葉は、ある事件を起こした人達の事を指してるんだよ」
奏「そ、それって…1年前の人類史上最大最悪の絶望的事件…?」
瑞希「絶望だけを行動原理する、最低かつ最悪のな人達らしい…」
奏「その人達が…」
瑞希「うん…ボク達をこんな目に遭わせた諸悪の根源…」
瑞希「それが…超高校級の絶望…ボク達の本当の敵だよ…!」
5章終了!!
お疲れ様でした!
次回6章!!!
いよいよクライマックスです!!!!