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【乖世堂 間話】《あの人》の帰り。
チリンチリン…
客の来店を知らせる音が…
いや、《《あの人》》…乖さんが帰って来た。
「ふふ、ただいま〜…_ෆ_」
乖さんが帰って来た。
それだけで私の胸は高鳴る。
「俺のコトちゃあんと覚えてる?_ෆ_
ほら、言ってみて?」
その赤色の瞳で見つめられると
どうにも高揚してしまう。
《《「乖世堂店主、世未知乖楽さんでしょう?」》》
「アタリ〜、どう?俺居なくて寂しくなった?」
「いいえ?」
「そんなはっきり否定しなくていいのに〜
まあ、そういうところも可愛いなぁ_ෆ_」
本当は少し寂しかったがそんな事は言えない。
だってこれは《《契約》》、
そう割り切らなければいけないと
わかっているのに…
そんな気持ちを隠すようにはっきり本題を聞く。
「それよりも、世界は集められたんですか?
珍しい世界を集めにいく為と仰っていましたが…」
「ふふ…__ෆ__」
「?早く話してください」
「あ、言うよ言う言う〜、
たしか世界は286くらいは集まったかな〜」
「そうですか。良かったですね。」
思ったより多くて少し驚く。
「君も接客、ありがとうね〜
でも少し妬けちゃうなぁ__ෆ__」
そう言いつつ乖さんが私の唇を撫でてくる。
「///っそういうのやめてください.ᐟ」
奥の部屋へ行こうとした私を
乖さんはいとも容易く捕えてしまう。
「あ、はいちょっとストップ〜」
?なんだろうか。
「なんでしょう?」
「ちょっとさ、抱きしめさせて?__ෆ__」
「…いいですよ…////」
恥ずかしさを隠しながら抱きしめられる。
乖さんの大きい体で包まれてなんだか
ドキドキしてしまう。
これは《《契約》》、
そう、わかっているはずなのに。
---
彼女が奥の部屋へ行った後、
俺は一人彼女の恥ずかしがってる顔を思い出す。
「__ふふ、やっぱ可愛いෆ俺のものにしといて__
__よかったなぁෆ__」
声が漏れていることには気づいている。
まぁでも、この場には誰もいない。
彼女が俺に堕ちてくれたら楽だろう。
だが彼女は堕ちない。
別に愛されたいわけではない。
いや、愛されるならば愛されたい。
ただ、俺が彼女を愛している、
それを受け入れてくれるだけで幸せなのだ。
彼女に初めて会った時に惹かれた。
そして《《契約》》をさせた。
我ながらよく騙せたものだと思う。
「まぁ、彼女を騙し続けられる自信は
ないんだけど。」
そう思いながら開店準備を始める。