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第2話
会場の奥へ進むと、薄暗い大広間が広がっていた。
人々のざわめき、かすかな笑い声、札を掲げる音。
まるで別世界に迷い込んだようだった。
心の奥がぎゅっと締め付けられる。
「……どうして、こんなことが行われているのかしら……」
私は小さく呟き、視線を巡らせた。
奥には、次々と鎖に繋がれた子どもたちが商品として並ばされていた。
小さな体を震わせ、怯えた目で周囲を見回す子。大声で泣き叫ぶ子。
そんな子達を巡って必死に札を競り合う人々。
ーーーあぁ、全てに胸が痛むなぁ
---
会場の中央で司会者が声を張り上げる。
「次の商品はこちら、12歳の男の子です!」
子どもが連れ出され、台の上に立たされる。
もはや立つ気力もなく、目は恐怖で泳いでいる。
会場は歓声と拍手でざわめき、札を上げる手が次々に挙がった。
私は息を詰め、手元の扇子を握りしめる。
この中の誰かを助けたい。
胸の奥が熱くなる。
私にできることは――そう、落札して幸せにしてあげることだけだ。
そう私が考えているうちに、あの少年は売れたみたいだ。
次に連れ出されたのは二人の少年。
小柄で、怯えた表情。
台に立たされると、体を小さく丸めて座り、俯いたまま動かない。
会場の光に照らされ、髪や肌の色が際立つ。
どちらもまだ名前もない、ただの“商品”だった。
司会者が声を張る。
「さあ、本日の目玉の少年二人セットです!入札開始!」
私はすっと息を吸い、心を決めた。
周囲の人々の札も声も、金額も気にしない。
ただ、この二人を、今この場から連れ出す。
それだけを考えた。
札が上がるたび、胸の奥が痛む。
子どもたちはただ、抵抗もできず、ただ台の上で震えている。
誰も助けてくれないこの場で、必死にもがくしかないのだ。
(絶対に落札してやる)
私は声を落ち着け、札を上げる。
それをみた周りの人々が、負けじと高値で交渉する。
、、、そんな額で私が諦めるわけないのに。
大きく息を吸って、凛とした声で私は言った。
「5000億。」
と___
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私の出した高値より上に行く人はおらず、私は無事、二人を落札した。
台の上で俯いている少年たちはまだ警戒した目を向けていた。
少し動けば鎖同士が当たる音が響く。
今はまだ、ただの“商品”として扱われている少年たち。
(この子達を救うことはできるのかしら、、)
私は心の中で静かに呟いた。
(大丈夫よ。もう怖がらなくていい。)
その場のざわめきが少しずつ遠くなっていくように感じた。
二人の体の小さな震えを見ながら、私は決意を新たにした。
これから先、どうなるかはわからない。
でも、これからは、私の手で彼らを守るのだ___