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季節
晴瀬です
おひさしぶりすぎます
そして超遅いけどあけましておめでとうございます!!
今年は受験が終わるのでもうちょっと投稿頻度増えるかもですけど、たぶん細々頑張ります
あなたの話です
春、あなたは笑っていた。
眩しく光る桜の花を背景に笑っていた。
柔らかく昇る太陽に、青々と茂る草花にあなたは笑っていた。
心が誰よりも優しかったあなたは、足元の折れた小さな花を見て愁いに沈んでいた。
夏、あなたは泣いていた。
まるで向日葵と対比させたかのように静かに泣いていた。
海を見ていた。
太陽を反射させて光る波を見てあなたはしゃがみ込んで、そうしてまた泣いた。
なぜ泣いているのかわからなかった。
知ろうとしなかった。
あなたを愛していた。
秋、あなたは。
煌々と浮かぶ月を見上げた。
あなたの顔を思い浮かべた。
あなたと過ごした季節を思い出した。
あなたの表情は声は言葉は匂いは、季節に溶けていた。
すべてを容易に思い出せた。
あなたがこちらに振り向くときの髪の靡き方も、笑顔を作る時の目尻の下がり方も、嬉しいときはすぐに人に抱きつこうとする癖も、全部、全部が。
あなたは少しずつ季節に溶けて、あなたがいなくなっても寂しくなったりしないように季節とともに思い出せるように、最後まで周りを気遣っていた。
あなたが大好きだった。
あなたを何一つ忘れたくなかった。
あなたとずっと一緒にいたかった。
何からも守るあなたの傘になりたかった。
冬、わたしは顔を上げる。
すべての季節にあなたの痕跡を感じる。
季節にわたしを残す。
あなたを重ねる。
雪が舞った。
無邪気に雪だるまと笑うあなたを思い出した。
こたつをせがむあなたを。
雪が降ってるからと言い訳してココアを2杯も3杯も飲もうとするあなたを。
寒さを伝えても外に出て雪に触れたがるあなたを。
冬のあたたかさを伝えようとするあなたを。
季節が思い出させる。
だからわたしは微笑む。
あなたが残した季節に。
季節は巡っていた。
あなたは巡っていた。
いつかはあなたのもとへ。
すべての季節にあなたを重ねて。