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始まりの地
※今回はマフィラ視点
レイが動かなくなってしまった。放心状態で、虚ろな目で、宙を見ている。
「俺は」
「俺……?」
おかしい。レイの一人称は僕なはずだ。これじゃ、まるで。
「サイナ……」
怒りと、憎しみをはらんだ声で、マフィラは静かに言った。そのとき、レイが痙攣したように震えだして、口を開いた。
「俺、ぼ、く、俺は、は、は、セイラのけ、ん究結果の、あ、あ、ありかが、そ、そ、それは、は、は、は、は始まりの地に、か、隠、され、てる」
レイの言葉に、マフィラは目を見開く。始まりの地……。セイラと、初めて会った。あそこは。
「レスピオール都市……」
レイが、サイナが頷いた気がする。風は穏やかに吹き、そこにはセイラがいるように思えた。俺に向かって、囁いている。
『マフィラ行け 計画?んなもん必要か? 行け』
にんまり笑ったセイラの幻は、最後にこう囁いていた。
『そこに、私のすべてがある』
幻は突如吹き荒れた風とともに、消えた。
「マフィラ。レスピオール都市に行くのですか?」
ルシフェルが聞いてきた。マフィラは頷く。
「あぁ」
マフィラの言葉を聞いた、レイははっきりとした口調で言った。
「そこに、すべてが、」
レイは、そこまで言うと、目を閉じて、倒れる。すんでのところで、俺はレイを支えた。
「今日は、休もう。明日、行く。行き先は、レスピオール都市だ」
俺とセイラの始まりの地。すべてが眠る、その地へ。
暗い夜の都市で、誰も知らない研究の成果が、静かに見つけられるのを待っていた。
………文字数が少ない!そんでもって次は多い!はず!