公開中
空へとばそう。2
「ゼルラ...今までありが.........ぅ」
少しずつ消えていく蓮の体を見ながら、ゼルラの頭は急回転をしていた。
(どうすれば、どうすればどうすればいい!?どうすれば蓮を助けられる!?)
そしてゼルラののうには、 一つの答えが生み出された。
『自分の全てを渡す』。
彩花は神だ。そしてゼルラも_____
神は様々な能力がある。その一つに他人に自分のすべてを受け渡すというものがある。しかし受け渡すと、自分は神として地上に降りることができない。
『この方法しか、ない....じゃな。』
ゼルラは特別な感情を蓮に抱いているわけではない。しかし、蓮と周りの人間との関係に特別な感情...『興味』というのだろうか?それを抱いている。そして、全員が幸せになって欲しいと考えている。
自分がここで命を投げ出しても必ず幸せになるわけではない。だがここで蓮を生かさないと不幸へと繋がっていくということがゼルラには分かった。
『.....蓮。』
そっと告げた。
『あとは、頼んだよ。』
「え?」
蓮が状況を理解する前に、ゼルラは動いた。
ゼルラの手から紐のような輝いた薄いものが飛び出し、蓮に向かっていく。
そして蓮の手にそれがくっつくと、段々と色が変わっていく。
エネルギーを流し込むように。
「は?おま、なにして...!!!」
『.......』
無言の沈黙のなか、抵抗する蓮を押さえつけにっこりと微笑んだ。
「ゼルラ!?そんなことしたらお前....」
『だい..........じょぅぶ........』
段々言葉を発せなくなってきた。
『........あの二人を.....』
空へとばそう
最後に、ゼルラはそういった。身体が消えていくなかで。
美しい着物、顔、髪....段々と空へ帰っていく。
「ゼルラ.................?」
不思議と涙が出てきた。ポロポロと、大粒の涙が。
「うわあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
いつのまにか大事な存在の一つとなっていた。
それが、崩されていく....
でも、きっとゼルラはこう言うだろう。
妾の分まで。しっかりと生きてくれ。
「........もち.......ろん」
ここで、蓮の意識が途絶えた。