公開中
1話 悪魔が悪魔を呼ぶ
20XX年、日本。
「ハピネス・ピースズ 人類の救済」
この団体が立ち上がったこと、それが地獄の始まりであった。
「教祖様は、全ての人をお救いくださる!」
この言葉が掲げられたこと、それが悪夢の始まりであった。
、、、
ハピネス・ピースズは、「全ての人類を救済する」ことを目的とした、宗教団体であった。
そう。全ての人類を。
「罪がなんだと言うのです!今、我々ハピネス・ピースズが立ち上がり、全ての人類を救済するときです!」
そう叫んだ「教祖」に、人々は忠誠を誓っていた。
罪の激しい自責に苛まれる人にとって、「罪がなんだと言うのだ、これからの行動で、それを覆せばいい」と言う言葉は、その言葉の主についていくことを決めるほどに、暖かかった。
、、、自分がつけ込まれているとも気づかずに。
ハピネス・ピースズ。
「救済」と言い、脱獄、国外脱走を手助けする団体。
この団体、元凶悪犯率がとても高かった。
別の方向から見ると、「凶悪事件を起こせるほど頭のいい人材が揃っていた」のだ。
凶悪犯の他にも、毒親の期待に応え損ねた天才、重大ミスにより大事故を起こした研究者など、
とにかく優秀な人材がごろごろいたのだ。
タチの悪い魔王軍を思わせる構図に、政府は頭を抱えていた。