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亡霊の小さな幸せな朝【超短編】
とふぁ
初投稿なので色々至らない点もあると思いますが、温かい目で見てください!
東方projectの布都、屠自古、神子の話です
屠自古目線で話が進みます
「太子様ー。たーいーしーさーまー」
爽やか・・・とは言えない、いつもの朝。秋になりかけてるけれど、まだ夏が負けず劣らず残っている。不定期に暑くなる時期である。
珍しく太子様が起きてこないから様子を見に来たら、布団にくるまって寝ている。少しだけ羨ましい。私も二度寝すればよかったかもしれない。それにしても、本当に起きてこない。
「太子様ー。朝餉が冷めてしまいますよ?」
何度か声を掛けた後、ようやく目を覚ました。それなりに良い目覚めだったようで、スッキリした顔をしている。私もだが、寝起きは不機嫌な事が多い。元人間だからだろうか。特に布都が不機嫌な時は本当に面倒くさい。駄々をこねて起きない。呆れて出ていこうとするとひしっと腰に抱き着いて足止めしてくる。そうして完全に呆れた私は布都をあやす。我ながら母親属性だなぁ、と思う。どうにかしたい。
「ありがとす。屠自古。今日の朝餉は何かな」
「殆どいつも通りですよ。白米に、焼き魚を。卵焼きも作ったのですが・・・あ!」
忘れていた。今、朝ごはんを先に食べているのは布都。一つの皿に三人分まとめて置いたのだが、全部食べてしまっている気もしなくはない。
「どうせ、布都が食べてしまっているのだろう。一つでも余っていると良いけれど」
はは、と太子様は笑った。復活した時は女口調だったのに。最近は中性的な喋り方をするようになった。随分変わったなぁ、と思う。
「お先に失礼します。まだ間に合えば良いですけれど」
私は軽く一礼して太子様の寝室を後にした。急がなければ。全部、布都に食べられる前に・・・!
「布都。もう全部食べたのか?」
私は焦りながら部屋の襖を開けた。すると、布都がきょとんとした顔をして振り返る。
「おぉ、屠自古ではないか。何だ?『全部食べたのか?』とは」
まさか、と思って卓上の卵焼きを見ると見事に残って・・・。いなかった。
「布都~!お前、全部食べたな!?」
あぁもう。アホにも程がある。私は最悪無くても良いとして、問題は太子様の分だ。
「あぁ!卵焼きの事であるな?。卵焼きならば、さっき青娥殿が芳香殿に全部食べさせていたぞ」
・・・。そう来たか。あの邪仙、後で雷を落としておかなければ。
「お前はその一部始終をずっと見ていたのに止めなかった、という事か?」
芳香が全部食べたとしても、知っているならばその現場を見た筈。せめて止めてくらいはしてほしかった。主人の朝ごはんなのに。
「わ、我は止めたぞ!。その・・・き、聞く耳を持たなかったのだ」
瞳を泳がせながら、袖をいじり、モゴモゴと喋る。なんと分かりやすい嘘だろう。バレるならばつく嘘が勿体ないと思わないのだろうか。
「嘘だろ。分かってるぞ」
「・・・うぐっ・・・」
そう言うと、布都は申し訳なさそうに私を見た。言い訳なら聞かないぞ、と思ったその時。
「こんにちは~蘇我様~」
にゅっと、後ろの壁から青娥が出てきた。いつも通りの胡散臭い笑顔を浮かべていた。
「・・・は?」
理解が出来ず、目を白黒させた。卵焼きの話をしていただけなのに。何故邪仙が?。芳香に卵焼きを全て食べさせたのなら知っている。・・・。なんとなく、分かった気がする。
「屠自古、卵焼きは芳香と・・・我が全て食べたのは本当じゃ。しかしな、我と青娥達で普段のねぎらいをしようと思って。わ、我が作ってみたのだ」
そう言って、頬をぽり・・・。とかきながら布都は言った。すると、芳香が「とじこー」と言いながら布都が作ったであろう料理を差し出した。これは・・・。私は皿の上に乗った料理を見て絶句した。・・・。壺付けだ。私は腕を組んで、少しだけ布都を厳しい目で睨んだ。
「布都。これを偶然と言うには、無理があるぞ」
布都は私から目をそらして、小さな声を絞り出すようにして言った。
「おぬしを、亡霊にしたのは紛れもなく我で、それが無かったことになるのは、絶対に無い。だから、今日。日常の中で。許されなくても良い。許してもらおうとは我も思わない。・・・だから、我の。せめてものねぎらいである」
布都の目が少しだけ潤んでいるのは見えたが、触れない事にした。
「つまり、屠自古さんと改めて仲良くしたいって事ですよね~」
あぁ。この邪仙は。どこまで空気を読まず、どこまで的確なタイミングで来るのか。
「・・・で、太子様も絡んでいるんですよね?」
「正解だよ」
そう言って、微笑んだ太子様が後ろに立っていた。
「ずるいです。特に太子様。一番最後に出てきて。と言うか、全員ずるい」
私は頬を膨らませた。言葉に置き換えるなら「拗ねている」。
「おや、拗ねているのかい?」
「拗ねてる蘇我様、可愛いですよ~」
「とじこ、拗ねてる?」
「亡霊も拗ねるのだな。我も勉強になったぞ」
だから、私は嫌いになれないんだろうな。この人達を。
「これ以上死ぬことがなくなって良かったよ」
そう言って、私は壺付けを食べた。
どうでしたか?
初投稿ですし、ストーリー性も正直薄いかと・・・。
もしも気に入って下さったら幸いです!