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目次
幼き探検家の冒険譚
はじめまして
初投稿です
誤字脱字など至らない点があるかもしれませんが、暖かい目でご覧下さい
モブおじ×ショタ(ボーイズラブ)ですのでお気をつけ下さい
喘ぎ声、バットエンド、レイプを含みます
ご理解いただけましたら背後に注意してお読み下さい
昔から町や森、路地を探検するのが好きだった。でも、あることがきっかけでめっきりやめてしまった。それは桜が咲き始めた暖かい春の日だった。
「お外、行ってくるね!」
そう母に告げ、嬉々として玄関扉を開ける。扉を開けて目につく青々とした草花と雲ひとつない青空。絶好の探検日和。今日はどこへ行こうか?どこへ冒険しようか?それとも、誰かを誘ってみる?
そう物思いにふけつつ、真新しいピカピカの赤い靴を石畳の道に一歩を踏み出した。
やがて、あまり人が通らない路地へたどり着いた。面白いことに路地には寝ている猫だったり腰を押しつけ合う男女が頻繁にいる。今思うと恐ろしいことこの上ないが、幼い故に分かるはずがなかった。
ただ、その日に限っていたのはその時の自分よりはるかに大きくガタイの良い男性だった。
「...?...こんばんは!おにい...さん?」
子供というのは疑うことを知らない無知な生き物。そこに大人がいたなら、例の男性を怖がって離れるように言うだろう。しかし、話しかけてしまってはもう遅い。男性は何も言わずゆっくりと手を俺の顔、身体に手を伸ばす。
「おにい、さん。なに...してるの?触ってもなんにもないよ?」
沈黙。何を呼びかけても反応がなく、こちらの身体をただ触り続けるのが怖かった。
荒い鼻息が首筋にかかる。はっきりと分かるのは気持ち悪いということ。それと、
「お゙っ♡」
どこから出たのか、自分でも分からない声。だんだんと触られている内に感じていたのだろう。
ゆっくりと後ろの方に指を沿わせ穴に太い指が入っていく。
「あ゛ッ♡ま゛ッッ♡」
その指が奥深くまで入りきる。指が一本入っただけ。それなのに頭がくらくらして身体が暑かった。
ただ、ここまでは大した問題ではなかった。男性もすぐに指を抜いてくれると思っていた。
それはすぐに打ち砕かれた。後ろの中でその太い指がぐにぐにと動き始めた。最初こそ何ともなかったものの動きがつき、何かが気持ち良いと自覚した。
その時、股の辺りが熱を帯び、とても言葉では表しづらいが強い快感がこみ上げた。
「〜〜〜ッッ♡♡♡!、!お゛ッ♡いぐ、っ♡♡」
パンツの中に液体のような何が出た感覚。当時は尿だと思っていた。
「おしっ...こ、♡♡!でちゃ…ッ♡♡あ゛ッ♡ん゛♡ふ、う゛……♡あ゛♡あ゛♡」
「あ゛ッ♡う゛、ぅ♡ん゛また、でちゃ♡〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ♡♡♡♡♡!、!!ん゛ッ♡ふ、う゛……♡あ゛、へ…………♡」
この辺りで指が抜けた。ヌポンと音がして、終わったのだと思い、立つこともせず脱力した。
それが間違いだった。唐突に腰を強く掴まれ、先程とは打ってかわり指よりも大きいものが入った。
「あ゛♡ひ、あ゛♡お゛♡お゛♡あ♡あ゛、ぅ〜〜〜〜ッッ♡♡♡!、!!」
パチュパチュと水音が響いて、何かを打ちつけられる。それがだんだん速度を増す。
「お゛ぎゅ、♡あ゛♡あ゛ッ♡お゛♡〜〜〜〜〜ッッッ♡♡♡!、!!も゛♡む゛り、♡♡あ゛♡お゛♡♡いぎゅ゛ッ♡お゛ッッ♡そ、こ♡あ゛♡♡あ゛、ん゛♡ひ♡あ゛、あ゛〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ♡♡♡♡あ゛♡あ゛、ぁ゛あ゛あ゛あ゛ッ♡♡♡たしゅ、け♡お゛、ほっ♡♡」
気持ち良くて逃げることすらできなかった。次第に頭の中で火花が散るような感覚と共に
「あ゛ッ♡ん゛♡ふ、う゛……♡あ゛♡あ゛♡.........♡♡」
そのまま、意識が薄れていった。
*********************************************
目覚めると男性の姿はなく、自分の後ろの中とパンツの中に白く濁って暖かい液体が大量にあった。
その出来事以来、冒険と称して探索することは少なくなった。
けれど、その時の快感を求めてか後ろを自分で弄ってみたり太く長い物を入れてみたりしたものの、満足感がなく、男子高校生となった今でも、あの男性を探している。
...決して、ハマったわけではない...と思う。
お疲れ様です。
初投稿でしたが、如何だったでしょうか?
お気に召していただけたのなら幸いです。
お読みいただき有り難うございました。
枯れた華を愛で続ける
お久方ぶりです、某探偵です
今回はヤンデレ×秀才...失礼、ヤンデレד元”秀才のボーイズラブです
タグが間違っていますか、そうですか。気にしないで下さい
残酷、生々しい描写がない為、R18を抜いております
それではどうぞ
何を間違えたのだろうか。いくら考えても、優秀なはずだった頭では何も答えが導き出せない。
この部屋の暗さのせいだろうか。手足を拘束され、身動きがとれないからだろうか。それとも、三日間何も食べていないからだろうか。
......考えたって無駄だろう。原因なんてものがあるとするなら、過去の行いのせいだ。
昔から、聡明で優秀な人だと誉められていた。それが当たり前だった。当たり前の優秀だったのが自分の唯一の個性だと思っていたから、あの男が現れるまで格上の優秀がいたことに驚いたと共に言葉には表しづらい何かが沸々と沸き上がっていた。
短い黒髪に色白とした肌、深く吸い込まれるような黒い瞳。頭脳明晰で運動神経抜群。それでいて、誰にでも別け隔てなく優しい人格者...漫画のような人物。
もしかしたら、話せば解りあえたかもしれない。けど、初めての劣等感は耐え難いものだった。
それで、
---
校舎裏に彼を呼び出した。別に殴ったり貶したりするわけじゃない。ただ、二人だけで腹を割って話したかった。彼は僕にとって、人格者ではあったが、どこか怪しく信用できなかったからだ。
始めは僕から切り出した。ほんの挨拶だった。
「急に呼び出して、ごめん」
彼は素っ気なく優しく微笑んで許してくれた。
だけど、その笑顔の男の手に何か棒状の物が握られていることに気づいた。
彼がその時、何をしようとしたかなんて分からない。でもそれに気づいた時、彼の笑顔が気持ち悪いくらいににやけた笑みを浮かべていることに気をとられて一瞬のうちに頭を強く殴られた。
何が起きたのか理解できず、苦痛の声をもらすことしかできなかったけれど彼がずっと気持ち悪い笑顔を浮かべているのが怖かった。そこから10分くらい殴られて、骨が折れたりはしなかったけれど痣は酷いものだった。
「ごめんね、痛かった?」
息が乱れて血も出ているのに、優しい笑顔で訊く彼が怖くて何も言えなかった。その後は毛布をかけてくれて、家まで送ってくれた。その日以来、彼と学校ですれ違う度に殴られるのではないかと怖かった。そして、彼を避けるようになった。
---
彼を避けるようになった一週間後、郵便受けに気味の悪い手紙や登下校中に人がついてくる気配を常に感じた。中でも怖かったのは僕が友人と一緒に映っている写真に友人の顔にだけ赤いバッテンが描かれた写真だった。
また、僕が周りの人間に変な噂を流されるようになった。テストをカンニングしているとか、関係を持って捨てた女性がいるとか、根も葉もない噂だった。
だんだんと僕の評価は秀才ではなく、偽物の秀才になっていった。一方で彼は株が更にあがっていくばかりだった。
---
ある日、彼が僕の家に来た。何しに来たのか分からなくて最初は戸惑った。でも、彼が僕の忘れ物を届けにきただけだと言ってその時だけ心の底から安堵した。
彼を家に入れようと扉を開けた瞬間、彼が急に押し入って僕にバチバチと音の鳴る機械を押し当てた。
そこで意識を失った。
目が覚めたら手足をロープで固く拘束されて、暗い部屋の中から出ることができない状態だった。
やがて、彼が部屋に入って来た。そこで彼が僕のことを異常なまでに好きなことを知った。
何故あの時、殴ったのかを聞けば二人だけの状態に興奮していたと意味が分からない理由だった。
理解を諦めて何度も部屋を出ようとしたけど、固いロープは外れず中々出れなかった。彼はその間にも僕を殴ったり、ご飯を食べさせたり、行為に及ぼうともしたけれどどれも怖くて嫌だった。
長い間、監禁されて疲れてきてしまった。彼の望む通りにすれば救われるのではないだろうか。
彼が帰って来た。いつも聞くことがある。
「ねぇ、僕のこと、好き?」
いつもなら何も答えない。けど、
「...好きだよ」
その言葉を待っていたのかあの時と同じ愛しい笑みを浮かべて、手を僕の後ろに伸ばしてくる。
「「愛してる」」
お疲れ様です
バットエンド?よりはメリーバットエンドですが、『僕』的には疲れて折れてしまったという点ではバットエンドです
ただ、どっちみち愛しく思っているのは本当でしょう
お読みいただき有り難うございました
夢うつつ
見馴れた天井が顔を覗く。重い頭を持ち上げて、冷たいフローリングに足をつける。冷たい。おそらく、冷たいはずである。
約六畳の小さな子供部屋の中で、齢15歳にもなる男子がパジャマを着て布団に腰を下ろしているのは異質だろうか。真っ白な長机の上に無造作にも置かれた教科書と学校のプリントは何も手をつけられないまま、開かれた窓から射し込む光で輝いている。
これは、学校の先生が持ってきた。先生はいつも、「皆が君を待ってる」とか「皆優しいから大丈夫」だとか言う。僕を皆が待っているわけでもないし、僕は皆が優しかろうが、嫌な奴だろうかがどうでもいい。ただ、学校そのものに行きたくない。ずっと、そんな気分なだけ。
「...ねぇ、どうしてずっと、家にいるの?」
不意に声をかけられた。声の主は開いた窓から。顔を向ければ、艶やかな黒髪に精悍な顔をした可憐な少女がいた。歳は、同じくらい?
「キミ、誰?」
僕が訊けば、彼女は花が咲いたように笑って、
「私?私は_______」
---
見馴れた天井が顔を覗く。重い頭を持ち上げて、冷たいフローリングに足をつける。冷たい。おそらく、冷たいはずである。
約六畳の小さな子供部屋の中で、齢15歳にもなる男子がパジャマを着て布団に腰を下ろしているのは異質だろうか。真っ白な長机の上に無造作にも置かれた教科書と学校のプリントは何も手をつけられないまま、開かれた窓から射し込む光で輝いている。
これは、学校の先生が持ってきた。先生はいつも、「皆が君を待ってる」とか「皆優しいから大丈夫」だとか言う。僕を皆が待っているわけでもないし、僕は皆が優しかろうが、嫌な奴だろうかがどうでもいい。ただ、学校そのものに行きたくない。ずっと、そんな気分なだけ。
「...ねぇ、どうしてずっと、家にいるの?」
不意に声をかけられた。声の主は開いた窓から。顔を向ければ、艶やかな黒髪に精悍な顔をした可憐な少女がいた。歳は、同じくらい?
「キミ、誰?」
僕が訊けば、彼女は花が咲いたように笑って、
「私?私は、マリ!」
「ねぇ、貴方の名前は?」
僕。僕の名前は、
「...ユウト」
タチバナ、ユウト。
「ユウト?素敵な名前だね!」
「...有り難う」
「ねぇ、どうして家にいるの?」
「...僕は学校へ行くより、宝物といるのが好きだから」
「宝物?私も宝物を集めて、入れて、見て、側に置くのが大好き!」
「本当に?」
「うん!」
僕はその言葉を訊いて、部屋の隅の宝物の青い箱と赤い箱に指をさす。
「僕の宝物、見たい?」
「いいの?」
「いいよ」
僕は立ち上がって青い箱を彼女に見せた。中にはたくさんの赤い宝石が詰まっている。
「わぁ、綺麗な宝石!赤くて、とっても綺麗!」
「いいよね、それ。僕好きなんだ」
「赤いものが好きなの?」
「うん、変かな?」
「全然!とっても良いと思うよ!」
彼女はまた、笑った。
「ねぇ、お部屋に入ってもいい?」
それを言われるまで、彼女が窓枠に腰かけたままだったことに気づいた。
僕は「いいよ」と返事をして、彼女を部屋に招き入れ、布団に座らせた。
「ね、一緒に遊ぼう?」
僕はそれにも返事をして、しばらくカードゲームだったりお話だったりをした。とても楽しかった。
その過程で彼女が最近越してきたことや彼女が着ている白いワンピースを最近買ったことを知った。
空がオレンジ色に染まった頃、彼女は、
---
--- 僕は彼女の手を強く掴んで、手に持った鋏を ---
---
夢をみた。彼女がずっと、僕の側にいる夢。
夢をみた。彼女が僕の側から離れていく夢。
---
--- 信じられない! ---
---
艶やかな黒髪が赤く塗れていく。純白のワンピースも、いつしか素敵な赤いワンピースになって、僕の眼下に落ちている。僕はそれを丁寧に抱き上げて、宝物の赤い箱に入れた。宝物の赤い箱の中にはたくさんの素敵なものが詰まっている。たくさんの赤。たくさんの人形。たくさんの幸せ。
僕は新しい宝物を赤い箱の中に詰めて、手に持っていた鋏を床に置き、蓋を閉めた。
そして、愛しいように宝物にキスを落とした。
僕は死んでしまったのだろうか?
--- 「僕は死んでしまったのだろうか?」 そう言われて、目が覚める。 ---
蒸し暑い夏の日のことだ。朝の九時に起きて、扇風機をつける。
それから朝食。ハムエッグを作って、トーストを焼いて、インスタントのコーヒーを淹れる。
僕の住む安アパートには、当然のようにダイニングなんて洒落たものはない。
六畳一間の部屋で、僕は自前の布団を隅っこに畳んで、中央に足を折った卓袱台を置いている。そこで食事をするのだ。
冷蔵庫を開けると、しなびたキャベツと、中途半端に残った人参があった。
それで野菜炒めを作って食べることにする。自炊ができるのかと言えばそうではない。
僕は自分が好きだと思うこと以外、手をつけない。
たとえば料理なんかは好きではないので、調理器具が一切ない。
フライパンもなければ鍋もない。野菜炒めを作るためには、フライパンと鍋が必要だし、その二つがなければ野菜を刻むことすらできない。
つまり僕は自分が好きだと思ったものしか作らない。食べられれば何だっていいというスタンスだ。
朝食だってそうだ。ハムエッグとトーストは好きだけれど、トーストをかじりながらコーヒーを飲むのは嫌いだ。だからインスタントコーヒーなのだ。
そういう生活をもう二年も続けている。
「いただきます」
そんな拘りがあって雑な僕だけれど、最近の悩みはめっぽう一方通行の一つのことだ。
普段なら色んな悩みがあって、ふらふらしているのに最近は一つだけ。
真っ白な空間が壁も床もまともに分からないくらい広がっていて、その中に僕がいる。
要するに、僕が知らない真っ暗な空間の中で僕が僕を見ているのだ。
その僕は最初は背中を向けていて、何も喋らないけれどだんだんと顔が見える。
その僕はこれといった表情はしていないけど、一言だけ喋る。
--- 「僕は死んでしまったのだろうか?」 ---
そう言われて、目が覚める。
何を現すのか分からないけれど、僕はまだ死んでない。
僕は上から言われた仕事をきっちりこなして、職場の人と話して、買い物をして、料理をして、寝て......しっかりと生きている。
でも、近頃は確かに僕は死んでいるのかもしれない。
僕は教師になりたかった。でも、今は別の仕事をしている。
僕は人と話すのが苦手だった。でも、今は仕事の為に人と話すのが得意になりつつあった。
僕は買い物が嫌いだった。でも、今はなんだかんだ好きになっている。
僕は料理が嫌いだった。でも、今は自炊の為に好きになっている。
僕は過去の僕と真逆だ。
夢の中の僕。それは今の僕より、もう少しだけ若かった。
あれは僕自身なのかもしれない。
--- あの僕は、もう死んでしまったのだろうか? ---
跡
真っ白な銀世界の中、灰色の煙と騒々しいエンジン音をたてるモトラドがやけに平らな白い地面を走っている。それはどこまでも続き、ある一つの地点で止まった。モトラドの後ろには黒い車輪跡がくっきりと残っていた。
---
その跡をつけた運転手は、その車輪跡を見て
満足そうにほくそ笑むと、またモトラドに股がってその跡の続きを描いていった。
---
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泡沫の告白
参加させていただきます。テーマ的にバレンタインを選びました。
一人の青年がロッカーの前に立ち尽くしている。青年が凝視しているのは、空っぽのロッカーの中に手紙が一つ。
「手紙!?なんで!?」
青年の悲痛な声が響く。後ろ手にはその悲痛な声に誘われ、騒ぎたてる青年や少女が多数。
「手紙?古いねぇ」
「バレンタイン間近だってのになぁ」
「|案外、幸せもんだよなぁ《可哀想そうに》...」
口々に述べる感想。しかし...
「「「行ってやれ」」」
その言葉だけは、皆同じだった。
---
カランカランと音のなる階段を登って、錆びついた扉を開ける。
俺は今、高校生として初めての告白を受ける...はずだった。
世間はバレンタイン間近だし、こう、愛!の告白だと思った。
でも、手紙はどうだ。
---
あることについて相談があるので、屋上に来てください。
---
俺はこう思う。友人の悪戯か、イケメンの友人にチョコを渡してくれという相談ではないかと。
嗚呼、平凡顔で大してモテない俺の高校生活よ。なんて哀れなものだろう。
そんなことを考えていたら、後ろに誰かから肩を叩かれた。
振り返れば、目鼻立ちの整った顔に艶やかな黒髪、華奢な身体つきの女の子がいた。
これは、
「えっ?......望月さん?」
望月杏夏。それはそれは俺とは天の地の差ほどのカーストの女の子。拝めただけでも有難いかぎりだ。
「え、あ、手紙......望月さん?本当に?」
いやにうわずった声で聞いてしまう。
「...うん、私。あのね、」
この次の言葉を聞くまでは俺は有頂天だった。
「...バレンタインチョコを作るのを、手伝ってほしいの!」
|恋愛!《くそったれ!》
「あ~...え?」
「その、す...私!料理苦手で、チョコ渡したいんだけど...」
|料理苦手!?《かわいい!!》
「いいよ!俺、料理できるから...放課後でいい?」
そう言って、俺は涙を拭わずに勢いだけで彼女の料理レッスンに付き合う羽目になった。
---
|初めは酷いものだった。《彼は手伝ってくれた。》
|少しの炒めものさえ焦がしている彼女に驚愕することが多々あった。《彼は何度失敗しても、許してくれた。》
|しかし、だんだんと上手くなっていく姿に俺も嬉しくなった。《彼が時折、微笑んでくれるのがとても嬉しかった。》
|そして、ようやく完成することができた。《未完成のままでも良かった。》
|俺は彼女の頭を撫でて、「おめでとう」と言った。《ずっと、こうしていたかった。》
---
「よし、これで終わり!お疲れ様!」
そう彼が笑う。きっと彼はこのチョコが誰宛てなのか分からない。
あの日の屋上。好きと声に出してしまえば良かったのに、料理が苦手だと嘘をついてしまった。
だから、勇気を出そう。泡沫の告白になってしまわないように。
|「貴方の事が好きです」《ありがとう》
栄光のその先に
#プレイヤー名#
▶はい いいえ
---
ずっと思ったことがある。勇者は、魔王を倒した後、どうなるのだろうか。
英雄だと称えられ、国の姫と結構して幸せな生活をするのか。
後に化け物だと恐れられ忌み嫌われるのか。
はたまた、国から去るのか。
#プレイヤー名#がそれを知ることはない。
クリアしてしまえば、#プレイヤー名#はもうプレイしない。
プレイしたとしても、エンド周回や分岐点の回収...一度データをリセットして初めてプレイされたキャラクターやデータは綺麗さっぱり忘れられる。
それがとてつもなく悲しい。
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遘√?繧ゅ≧謌サ繧峨↑縺??縺?縲ゅ??
謔イ縺励>謔イ縺励>謔イ縺励>謔イ縺励>謔イ縺励>謔イ縺励>謔イ縺励>謔イ縺励>
蠢倥l繧峨l縺溘¥縺ェ縺??よカ医&繧後◆縺上↑縺??ゅ★縺」縺ィ蜀帝匱縺励※縺?◆縺??らオゅo繧翫↓蜷代°縺?◆縺上↑縺
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私は
私の末路は
物語としてプレイされない
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お前のせいだ。
星降る夜に
リレー小説にぶん投げたものを夢機能によって、どんなキャラクターでも当てはまるようにしたものです。
ボーイズラブですが、ガールズラブ等でも行けるかもしれません
青々と茂る草花。木々の上で赤く踊る炎。夏の思い出の一つ、キャンプとしては最高の絵面だろう。
しかし、せっかくの夜だというのに、空は雲で星は覆われて見えないし、地面は雨に降られたのかじめじめしている。...最悪だ。最悪だが、そろそろ夜もふけてきた。
#攻め#「もうテントに入って、寝たら?」
そう伝えると恋人が小さく「了解」と返事をしてテントに入っていく。少し時間を空けて#受け#を追うようにして入れば、寝袋に身体を包まれた#受け#が既に小さく寝息を立てていた。普段の姿も相まって、その寝顔が可愛くて仕方がなく、つい口づけをしようとした辺りで我に返った。火の後始末をしていないのだ。#受け#を起こさないように静かにテントを出て、火の後始末を慎重に行っていく。
後始末をする中、ふと#受け#の寝顔を思い出しては自分の顔がほころんでいくのを感じる。無理もない。あんな可愛いものを見たら誰だって蕩けてしまう。恋人の寝顔を見れるなんて、幸せの象徴としか言いようがないだろう。
---
一人で幸せを噛み締めながら後始末をしていたら、いつの間にか片付いていた。...自分もそろそろ眠い。早めに床につくことにしよう。
---
テントに入る間際に見た夜空は、いつの間にか雲が晴れ、美しい星々が顔を出して、#受け#の寝顔に負けないくらいに輝いていた。
ストーカーXの献身
夢機能によって、どんなキャラクターでも当てはまるようにしたものです。
ガールズラブを想定していますが、TLでもボーイズラブでも行けると思います。
郵便受けに小包を入れる。『#受けの苗字#様』と書かれた表札は少し錆びて、鉄の匂いがする。
...そろそろ、この匂いにも慣れてきた。初めて来た時はなんてボロい建物に引っ越したのだろうと思っていた。しかし、#受けの名前#が決めた新居だ。悪く言っては可哀想だろう。
#彼or彼女#はこの素敵な贈り物を気に入ってくれるはずだ。
そう考えて、ふと携帯を見る。時刻は正午ぴったりを指している。少しの間、部屋に戻って#彼or彼女#が出てくるまで待つとしよう。
---
午後1時。#受けの名前#が恐る恐る扉を開いて、外の地面に足を入れた。まるで尻尾を入れて怖がる犬のような見た目が愛らしいと思う。#彼or彼女#は、郵便受けに何かが入っていることに気づいたのか、中の贈り物を取り出した。そして、宛先不明の贈り物を開いて、《《そのまま落としてしまった》》。
その行動に少しだけ腹が立ったが、気にせず、#受けの名前#に何も知らないように話しかけた。
「大丈夫ですか?#受けの苗字#さん?」
「あ...#攻めの苗字#さん!いや、特に何もないんですけど...」
嘘をついた。その小包の中身は#受けの名前#への文集が入っている。
「そうなんですか?...その落とされた小包はなんです?」
「えっ、あぁ...例の方からです」
「はぁ、あの例の方ですか。引っ越してもまだ続いてるんですね」
「そ、そうなんですよね...#攻めの苗字#さんも引っ越し先に偶々?いたから、大丈夫そうだと思ったんですけど...」
「...良ければ、今から家でそのお話聞きましょうか?」
「いいんですか?」
「はい、#受けの苗字#さんさえ良ければですけど」
「全然!今から行きます!」
元気そうに返事をした#受けの名前#を見て、心の中でほくそ笑むしかなかった。
楽しそうに笑い、お菓子を貪るリスのような#受けの名前#。さっきまでの贈り物のことは忘れて、話す#彼or彼女#を見て愛しくて堪らず、つい手を伸ばし頬を撫でた。
---
#攻めの苗字##攻めの名前#。
お菓子を食べ続ける自分を愛しそうに撫でる#攻めの名前#に思わず、心の中で嬉しくなってしかたない。
引っ越せばついてきてくれる、郵便受けを開けば熱い手紙をくれる、少し歩くだけでも後ろでずっと歩くデートができる。
可愛くて、愛しくて、哀れで、心が満たされる。勿論、離れることも、離すつもりもない。
ただ、目の前で愛らしく掌で踊る人形のようにいてくれるだけでいいのだ。
高嶺の花の堕落を願う
リクエストのものです
まず一つ目(多分、全部和戸涼(美形&気が強い性格)受け)
和戸涼受け、日村修(美形&堂々とした性格)攻めの日常
事件を解決していく内に攻めがだんだん好意を抱きつつも、自身のプライドが邪魔する葛藤
多分、本編で恋愛はないです(断言)
涼がそもそもノンケの描写があるからですね
物事を考えていても、どうにも何かがちらついてしかたがない。
好きなミステリーゲームをしている時でさえ、普段なら集中できるしものの数十分で終わるはずだ。
それが、今は始めてから1時間も経過している。本調子ではない。何か、気がかりなことがあるに違いないのだが、それが何か分からない。
「...気分が悪い」
そう独り言を呟く。
「何がですか?」
独り言に返答がきた。頭がおかしくなったらしい。
「日村さん?」
いよいよ、末期か。
「日村さん。ねぇ、日村さんってば!」
「なんだ、五月蝿いな!」
「ああ、やっと返事しましたね。ずっと呼んでたんですよ」
幻聴だと思っていたが、人だったらしい。
偉そうに呼んだのは和戸涼だったようで、手にどこかの漫画雑誌を持って人の許可も得ずに個室の扉を開けたようだ。
「そうかい。それで、何の用で?」
「この漫画雑誌の...あ、これです」
パラパラと漫画雑誌を開いて、あるページを見せる。
特に特徴のない漫画の少女が真ん中に映る美少年と思わしき男性に対し、頬を赤く染めている絵。
「この作品、どこにあるか知りませんか?」
「...いや、知らないね」
「そうですか。お時間とってすみません」
「大丈夫だ。ちょっと集中力が切れていてね、良かったら私も探そうか?」
「...良いんですか?」
「ああ。Aの漫画コーナーから探してくるよ」
「有り難うございます。じゃあ、俺はZから見てきますね」
「了解」
バタバタと漫画コーナーへ駆けていく涼を見送り、Aの漫画コーナーへ移る。
『君のことが大大大嫌いな50人の彼氏』『山崎ちゃんとLv001の恋をする』『魔入りません、出人ちゃん』など様々な漫画が並んでいる。
様々なジャンルが立ち並ぶ漫画コーナーの中で、恋愛ジャンルは中高年層に絶大な人気を誇る。その中で一つ、誰かが戻し忘れたか、間違えたであろう恋愛に関する論文が棚の空きに収まっていた。
その本をおもむろに手に取り、頁を開く。
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〖性的指向〗
性的指向とは、人の恋愛・性愛がどういう対象に向かうのかを示す概念であり、具体的には、恋愛・性愛の対象が異性に向かう異性愛(ヘテロセクシュアル)、同性に向かう同性愛、男女両方に向かう両性愛(バイセクシュアル)などを指す。異性愛が性的指向であるのと同じように、同性愛や両性愛も性的指向である。
(引用:wikipedia)
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...ただの解説だったらしい。
しかし、興味深い論文内容ではある。どこかで見たようなものだが...まぁ、気にしないでおこう。
本を横のテーブルに置き、店員が元に戻せるように置いておく。そして、ゆっくりとまた視点を移動させ、例の漫画を探す。
恋愛漫画、少年漫画と別れていればいいのにと思うが、別れたところで皆が元の場所に戻すか不明なため、不可能だろう。やがて、棚に例の漫画シリーズを見つけた。
シリーズの名前も先程見た漫画と同じもので、涼を呼ぼうと身体を後ろに向けた辺りで本人の顔が肌が触れあうほど、すぐ目の前にあった。
「うおっ...急に振り返らないで下さいよ」
驚いた顔から少し不機嫌そうになる顔に少々、心が跳び跳ねるような感覚になったが抑えて口を開いた。
「ああ、悪いね。私の後ろを見てみなよ、見つけたぞ」
「あ、本当ですね。じゃあ、ちょっと...」
その言葉が言い終わらない内に彼が腰を屈めて、そのシリーズを何巻か取り出す。
「助かりました、中々見つけられなくて...有り難うございました」
そう言われて、顔が赤くなるような熱を感じる。いやにおかしい。褒められることは慣れているはずだ。それが、何故、こんなにも嬉しくなるのか。
そもそも、最近はずっとこうだ。その原因は、おそらくきっと、和戸涼である。そうに違いない。
「...日村さん?どうしました?」
何も答えなかったからか、前と同様に訊いてくるのがどうにも、何故か、愛しいと感じる。
「いや...何でもない」
そう言えば、すぐに笑って軽く挨拶をし、去っていく彼の姿が瞳に映った。
仮に今の気持ちと似たようなものがあるとするなら、それこそ〖恋〗に近いのだろうが、私に限ってあり得ない話である。
きっと、先程読んだ本に思考が偏っているだけだ。
でも、もし。
本当に愛しているのなら、彼も一緒でむしろ私に伝える側になれと願わずにはいられない。
私が彼へなど、断じて許したくない。許されないのだ。
哲学的ゾンビ
薄暗く人気のない路地で、一人の若い男性が右手を強く握ったまま死んでいた。
辺りには異臭が立ち込め、鼠や蚊が集まってきていた。
やがて、その男性の手が微かに動いた。
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薄暗く光が差し込まない室内に二人の男性が長机を挟んで向かい合って座っている。
「だから、僕はやってないんですって!彼は《《哲学的ゾンビ》》で、今ものうのうと生きてるんです!」
そう言いきり、机を叩く一人の若い男性。
その男性の向こうにいる中年の男性は無表情でこう言った。
「その、《《哲学的ゾンビ》》ってなんだよ?どうせそれもお前の言い訳だろう?」
「違います!《《哲学的ゾンビ》》は、《《クオリア》》を持たない怪物なんです!」
「《《クオリア》》?」
「外面的には普通の人みたいだけど、内面は何の感情も持たないことです。
刑事さん、分からないんですか?」
「ああ、知らん。変な人間の垂れごとなんて聞かないのが警察だからな」
「酷い!」
本気で悲しそうな若い男性をよそ見に中年の男性はある薄い資料を見る。
資料には、左手を強く握った若い男性の死体が映っていた。それが何枚も違う男性の資料があった。
「それで?やっぱりお前が殺したんだろ?」
「殺してません!生きてるんです!彼は、なんて言ったって《《哲学的ゾンビ》》なんですから!」
「《《哲学的ゾンビ》》っていったって...それを証明するものがないだろ。
そもそも、《《哲学的ゾンビ》》だろうと殺してんだから殺人だぞ」
「法律に《《哲学的ゾンビ》》を人と見なして、殺害しても罪に問われる法律があるんですか!?」
「...ない。でも、外見は人なんだろ?なら、ダメだ」
「外見は人でも、中身は怪物です!」
「だとしたって...」
「良いですか、刑事さん!僕は正しいことをしたんです!!
《《哲学的ゾンビ》》は近年になって、増殖してきているんです!会社や学校、様々な公共の場所でその数を増してきている!十人の中、七人が《《哲学的ゾンビ》》なんです!
《《哲学的ゾンビ》》は一見すると普通ですが、内面は規則的で何も思っていないし、殺しても生き返るんです!
しかも、《《哲学的ゾンビ》》は変わった感染方法で、《《哲学的ゾンビ》》に殺されると感染する新手の感染方法なんです!」
「ふぅん...それだけ聞くと、人をやめる代わりに不死になるってわけだけど?」
「いいえ!殺されると自分の《《クオリア》》が死んでしまうんです!
つまり、生きているけど死んでいて、死んでいるけど、生きているんです!」
「...分かったよ。その《《哲学的ゾンビ》》の見分け方法は?」
中年の男性が抑揚のない声で若い男性に問いかけた。その問いに若い男性は少し考えて、こう言った。
「ありません!」
「...何故?」
「《《哲学的ゾンビ》》は、物理的、行動的には人間と全く同一で《《クオリア》》を持たない存在なので外見や行動からは、通常の人間と全く区別がつかないからです!」
「それは、さっき聞いた」
「《《クオリア》》がない《《哲学的ゾンビ》》は...」
「つまり、お前は今...《《哲学的ゾンビ》》がどこにいるか分からないわけだ」
「...へ?」
---
銃声が室内で響いた。
室内が赤く、赤く染まった。
それを見ても何も感じなかった。
---
「...確かに《《クオリア》》は持たないな。お前を殺したって、何にも思わない」
中年の男性が血の飛び散った室内で一人の若い男性を見下ろしながら呟く。
薄く白い煙の立ち上る銃をスーツのポケットにしまい、若い男性の身体を担ぎ、部屋の扉の外の薄暗く人気のない路地へ運び、寝かせる。
そして、寝かせた若い男性の左手を強く握らせようとして、
「...やっぱり、《《クオリア》》を元々、持っていた人間だから...」
そう呟いて、右手を強く握らせた。
□□□□○□□□□□
昔から他人とは違うと思うことがあった。
それが何と違うのかなんて分からないし、分かろうとする気もなかった。
だとしても、一緒になろうなんて考えはなかった。
---
「○!」
□が私を呼んで、私が□を呼ぶ。
まるで最初からそうだったみたいに呼ぶ。
「○、■■■■■■■■■■!■■■■、■■■~...?」
「□?■■■■■■■■、■■■■」
「■■■!■■■■■!!」
他愛もない会話を楽しんで、一刻一刻と時が過ぎていく。
□は私を■■■だと思ってはいないけれど、とても良くしてくれていた。
「■■■...○=●?□?」
「○=○。●=●」
「...■■■」
世間の□は■■■で、○は別物。●ともまた違う。
それに○や●は少数だから、□はやっぱり疑問に持ってしまう。
「□=○?」
「...×」
「■■、■■■■■■」
「■■」
□は○じゃない。
「■■■■■!!■■~■■■~■■!□!○...□?□?」
別の□だって、言う。
「■■■■。○」
「■■■?○......×!」
「□!」
「□...■■■■」
「○→□!」
「×」
「.........」
だから、結局は受け入れられないから、変わるしかない。
「○......□!」
「○!○!」
「□、■■■」
「○...」
私は○で、□。
---
--- □□□□□□○□□□□□□ ---
--- □□□□□□□□□□□□□ ---
偽の聖人君子
本作品に置いては、いじめの内容が含まれます。
お辛い方はこの時点で戻ることを推奨します。怪文書、ハピエンです。
「おい、逃げるなよ」
主犯の女子が被害者の長い黒髪を強く掴んだ。
悲鳴をあげる間もなく、制服のスカートは切り裂かれ布切れと化した。
それをただ、私は見ていた。
何も言わず、何も出来ずに見ていた。
主犯でも被害者でもないけれど、傍観者ではあった。
私はそれに目を伏せて考えこんだ。
---
聖人君子になりたいと、誰かの為に動くヒーローでありたいと、小さな頃からずっと願っていた。
テレビに映るヒーローはいつも誰かに囲まれて、優しい笑顔を向けながら悪人に正義を説く。
どんな悪人にでも手を差し伸べて救おうとする。
それが悪だとか、正義だとか議論するようになったのは近年に流行り始めたことで結局のところ一つのエンタメであることに変わりはしない。
例えば、本当はヒーロー側が本当の悪でそれを倒しに行くとか。
例えば、本当に悪は本当の悪でヒーロー側がそれを倒しに行くとか。
どっちみち茶番劇に過ぎなかった。
でも、どっちも勇気を持って挑んでいるのも自分の主張を突き通すのも共通していて、小さな頃からヒーローになりたいと願うだけのちっぽけな自分には到底敵うものじゃなかった。
現実社会で悪とするなら、なんだろう。
官僚の天下り、賄賂、児童虐待、障害者差別、高齢者の年金、税金、公害、不登校、いじめ...大量にある。
今もどこかでそれらは起きている。そして、目の前でも起きている。
世界中を見て、日本中を見て、それが起きなかったことなんて一つもない。
分かっていても変わらない無力さに何を語ろうなんて思わないけれど、目の前のことはもしかしたら、変わるんじゃないだろうか。
---
偽善でもいい。偽の聖人君子でもいい。
ただ、ヒーローみたいに、悪人みたいに勇気を出して自分の主張をするだけだ。
裏切られたって、標的になったって、私は私の正義を全うしたのだから誇らしく陰で行動する醜いものなど、それこそ主張だ。
だから、
「なぁ」
対義語の世
何も考えずに読んだら意味分からん!となる話です。
人物の「」の言葉の意味を真逆に捉えて下さい。
「それで、|彼女《彼氏》が|僕《わたし》のことを|そこそこ《すごく》|忘れてて《覚えてて》、|卒業式《入学式》で|別れる《付き合う》ことに|ならなかったの《なったの》!」
かなり分かりにくいように話す友達。彼女は彼、僕は私、そこそこはすごく、忘れるは覚える、卒業式は入学式、別れるは付き合う、ならないはなる...言葉の意味が反対になる非常に面倒な世界である。
「あぁ、それは悪いね。僕も彼女できないかな」
合わせるように言葉の意味を考えながら世の中に適応するように話す。
「えぇ?可愛くないから全然できないよ!」
褒め言葉も一見すれば悪口に見える。
「そうかな。それなら、できないといいな」
---
「で、......は、司法の番人と呼ばれていなく...、弾劾裁判所...」
授業でさえも、無茶苦茶だ。
「ね、ね...西校舎に今行かないでおこう?」
授業中にだと提案する友達には少々飽き飽きする。でも、何があるってわけではないのだから別にかまわないだろう。
「行かないわ」
---
東校舎に入りながら、年季の入った床が軋む音を聞く。
いつからこんな生きづらい世の中になったのだろうか。
「少し新しいね~」
どこがだよ、と思ってしまう。西校舎よりも遥かに古く色褪せ褪せている校舎を瞳に映しているのに思っている言葉が口から出ないのはとてももどかしい。
「いつから、こんな変なことになったんだろうね」
...?
「そんな顔、しないでよ」
...なんだ?この、違和感。どっちだ?
「そのままだよ」
あぁ、そういうことか。
「もう、いいの?」
彼女は「うん」とだけ短く言って、また戻る。
この妙な話し方は私が生まれた頃からあった。昔は所謂、普通だったそうだ。
それが第三次戦争が勃発後、日本語をそのまま翻訳されると敵国に伝わりやすいという理由から戦後の今も受け継がれている。
ただ、それがまだ受け継がれているということは大人たちはそれを受け継がなければならないと考えているから現代の若者にもそれらを強要させる。
そうなると、普通の日本語を使いたくなる若者が出てくるのも当然だ。しかし、出る杭は打たれるという。それを避ける為、人目のない東校舎などが最適だった。
ただ、それだけ。
「おい、東校舎で何してんだ!」
運悪く教師が来るのをしかたがない。生徒の集まりになるのも教師は分かっているのだろう。
「有り難うございます、後で動かないようにします」
「...あぁ、そうだな」
ここで生きていると、よく分からなくなる。自分が何で、何がしたくて、何が好きなのか。
自分自身ですら反対にならなければならないから、とても難しい。
でも、確かに|好き《嫌い》なのは事実だ。
太陽に妬かれた“来訪者”
ノイズ混じりに機械音声なラジオが流れる。
『...市の...にお伝えします。...で、太陽が異常な熱波と紫外線......により人々は〖来訪者〗...怪物.........お近くの......昼に決して......出ないで下さい......不要な外出は...です...』
奇妙なラジオ。そう思って何も考えなかった。
お湯で沸かしたコーヒーを飲みながら昼間の窓の外を見た。
太陽の光のもれる窓に近づいて外の様子を見ようと目を向けた時、皮膚と目が焼けるような音が響き、臭いも部屋に充満して強烈な痛みが走った。
あまりの出来事にすぐにキッチンへ駆け出して蛇口を捻り、熱くなった腕や顔を水に晒す。
「いっ...ぃた...っ...」
熱が鎮まった頃に水からあげると見事に水ぶくれになった皮膚があった。
これがもし、目だったらと考えると怖くて怖くてたまらなかった。
その後は太陽の光や反射光にすら当たらないように水ぶくれになった箇所にガーゼを巻いたりしていた。
そして、夜になって外を見た。外には青白い身体の全体にぽこぽことした水ぶくれのようなものが多く見られ、目が破裂したような跡の空洞と謎の白い液体を垂らす怪物が彷徨いていた。
それが何人も、何人いて凄く怖かった。
やがて、朝になりまたラジオが流れた。昨日より切羽詰まったような声で、機械音声は聞こえなかった。
『…っ、お伝え...本日......〖来訪者〗の特徴...青白い肌......水ぶくれ、空洞の目...人の外見そっくり...化ける...見分け方は......充血した目...不自然に白い歯...土から出...汚れた爪......になります。......お近くの建物に......決して...出ないで.........外出、なんだ、肌おかし...おま......や......!......!!...』
しばらく雑音が響き、最後にはノイズだけが流れた。
よく分からないが、その来訪者とかいうのは昨日、外にいた怪物なのだろうか。
その怪物は人に化けることができる?それが分かるのは充血した目、不自然に白い歯、土で汚れた爪?
奇妙な内容だ。現実的じゃない。デジタルの情報は当てにならない。アナログの情報を目に通さなければならない。
急いで、室内の郵便ポストを覗く。横長に広い空間には燃えたような燃えカスと紙の焦げた匂いがした。
「なんで!?」
情報がない。誰かが嫌がらせに燃やしたのか?何のために?そもそも、こんなに熱い太陽の下でまともに動ける普通の人間なんているのか?
日の当たらないところに座り込み、悩んでいると唐突に床のタイルが浮き、ドリルのようなものが飛び出す。
「......ドリル...?」
そして、続けざまに一人の男性がタイルをどけて現れた。
「どうも、お隣さん」
少し土がかかった金色の長髪を垂らした20代後半ぐらいの華奢な男性だった。
「...あの...どちらさまで...?」
「忘れたんですか?___ですよ。以前、ご挨拶したじゃないですか」
「___さん、ですか?あの隣の...」
「ええ、そこの長男です」
「すると、他の方はどちらに?」
「それが、ラジオを信じずに父と母は出掛けておりまして...弟は無事なんですよ、ちょっと待ってて下さい」
「はぁ、それは...その、お気の毒に...」
「いえいえ、明日の昼に帰ってくると思いますから...また明日、来ますね。ああ、この新聞、いります?ガスとか電気は大丈夫でしょうけど、情報はラジオ以外入ってきませんから」
「ああ、はい、どうも...」
笑顔で踵を返し、穴へ帰っていく男性を見送り太陽が強く光輝く外を見る。
植物は荒れ果てて荒野になっているが、遠くの都会の町の電灯がついていることがよく分かる。
おそらく、人は確かにいるのだろう。
そう結論づけて渡された新聞に目を通した。
---
〖太陽の下に現れる?“来訪者”!〗
某月某日、某市に位置する研究所にて太陽が急激に熱を放つことが観測された。
また、強い紫外線、熱波により人間は肌が青白く水ぶくれが身体中にあり、化けることが得意になる“来訪者”へ進化を遂げると論文が発表された。
来訪者は人間に敵対的で非常に好戦的であり、一度進化すると太陽による被害を受けない。
しかし、完全に化けることは不可能で目は充血し、不自然に白い歯がある。
日中は土の中で過ごすことが多い為、土で汚れた爪でいることも特徴の一つである。
また、デジタルカメラで撮ると来訪者のみが写真に歪んだように写ることもあるらしい。
被害としては、
▪通常の人間を襲い、皮や服を剥ぎとりなって代わる(化ける)
▪家に一人でいる、または一人でいることを伝えると家に押し入る
以上であるが、前述の特徴から来訪者だと思われるものが入れば即刻、殺害に至ることが推奨される。
一度、外出から帰ってきた者や家へ入ろうとするものを確認してみるといいだろう。
対処法は以下の通りである。
▪前述の特徴に一つでも当てはまる者を殺害する
▪家に一人でいることがないようにする
▪鍵や窓を施錠し、バリケード等を立てておく
▪銃器や刃物を身の周りに置き、来訪者と疑いのある者の付近には置かないようにする
▪政府が派遣した特別調査隊の召集を待つ
(特別調査隊〖ネクローニ〗は来訪者の駆除や人間の保護を目的とした団体。保護できる人数は限られている為、訪問時には一人ずつの召集しか不可能であることを覚えていただきたい)
---
おおよそ、自分が知りたい内容は書かれていた。そのまま新聞を読み漁っていると、いつしか辺りは暗くなり外には星が見えていた。
その星を見ようと外に目をやり、気づく。今まで見たより小柄の来訪者がこちらに向かって気味悪く微笑んでいるのだ。
その不気味さに視線を逸らして、すぐに窓に鍵を開け、玄関扉へ急ぐ。玄関扉の覗き窓を覗いた。
そして、扉のノックするような音と共に先程の小柄の来訪者がこちらも覗き窓を覗いていた。
瞳のあったはずの空洞から垂れた白い液体のようなものが付着した唇を開いた。
「今...ひ、独り、ですかぁ?」
答えようとして、読んだ新聞の内容が頭の中で反響した。
一人でいてはならない、一人以上でいなくてはならない。一人だと家に押し入られる。
なら、どうする?来訪者に目はないように見える。きっと、家にいるのが一人なんて分からない。
「...二人、です」
その言葉に来訪者が扉のノブをガチャガチャと回し始めた。
「独り、ですよねぇ?」
「ひ...二人です!」
「独り、だろ?」
だんだんと声が高く、女性や男性、子供の声が入り交じったように独りであることを訊いてくる。
きっと、バレている。そう考えて近くの銃器を取った。レミントンM870のような散弾銃だった。
ノック音が激しくなる中、銃器を肩にしっかりと押し当てて扉が開かれるのを待った。
その頃にはノック音は止んでいて不信に思いつつもうっすらと足音が聞こえるのを頼りに待ち続けた。
10秒。
30秒。
1分。
5分。
少し時間が経ち、肩から銃器を下げた途端に窓から来訪者が窓の破片を飛び散らせながら入ってきた。
銃器を構える暇もなく、押し倒され掴んでいた銃器を奪い取られる。
そのまま、銃口が口に入って_
---
玄関へ続く廊下に脳みその破片が硝子の破片と一緒に飛び散った男性の遺体がある。
燃えるような赤毛に端正な顔立ちをした男性。昨日の昼に自分が掘った穴から出て、話した人だった。
少し黒ずんだ血に触れて後ろにいる弟に声をかける。
「気をつけろよ、窓の破片が散ってるから」
何も答えなかった。弟は一昨日、夜に出掛けたきりで昨日の夜にやっと帰ってきたばかりだった。
疲れているのだろうか。だとしても返事の一つくらい欲しいものだ。
「そういえば、昨日はどうやって帰ってきたんだ?他の家にでも泊まってたのか?」
やはり、何も答えなかった。
弟は帰ってくるなり土で汚れたような爪で晩飯につき、太陽でも見てしまったのか目が充血していた。
歯を磨く時なんかはそこまで汚れていない綺麗な白い歯をしっかりと磨いていた。
あんなに白い歯をしていただろうか。
それに...あんなに青白い肌をしていただろうか?
弟に何かを聞こうと振り向いた時、肌が青白く腕に水ぶくれのようなものができた弟だったはずのものが床に落ちた銃器を拾っていた。
直後に、銃声が閑静な家の中に響いた。
没シリーズの〖|Visitor of the midnight sun《白夜の来訪者》〗という名前のホラーミステリー、グロテスク怪物モノです。
そちらを設定が凝られすぎる、舞台が主人公の家しかない、一時期流行ったドッペル尋問間違い探しホラゲーの二番煎じという点から没になりました。
作品としてはそこそこなので〖地獄労働ショッピング〗にでもサイバーワールドや学園生活要素を本作同様、消費者の能力として載せるつもりです。
お読みいただき有り難うございました。
たった一つの小さな国の中で
たった一つの小さな世界で目を覚ました。
僕だけのたった一つの小さな世界。
たった一つの小さな世界の中のたった一つの小さな国。
僕はたった一人で、それ以外誰もいなかった。
何もいなかったけれど、だんだんと大きくなって色んな人が来るようになって、いつしか僕はそこの王様として君臨した。
誰かは花を咲かせた。誰かはお話をした。誰かは空を見た。誰かは夢を語った。
そんな世界の中で僕だけはたった一人。
---
「僕の国は、僕だけなの?」
幼い頃、まだ僕以外何もなかった頃にそう訊ねたことがある。
それでも誰かが「何も知らない内は君だけのものだよ」と教えてくれた。
そう教えてくれた人が僕を愛しそうに撫でて、僕の国を大きくしたのを覚えている。
「僕の国が、大きくなっていくのは何でなの?」
幼い頃、国が大きくなった頃にそう訊ねたことがある。
それでも誰かが「何も知らないことが、君にとって少なくなったからだよ」と教えてくれた。
そう教えてくれた二人が僕を愛しそうに撫でて、僕の国に人を招いたことを覚えている。
「僕の国に、人が増えたのは何でなの?」
幼い頃、国に初めて人が増えた頃にそう訊ねたことがある。
そうでも誰かが「君がそれを人だと認識したからだよ」と教えてくれた。
そう教えてくれた二人が僕を愛しそうに撫でて、微笑んだことを覚えている。
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|この子《僕》だけのたった一つの小さな世界ができた。
|この子《僕》だけのたった一つの小さな国が生まれた。
たった一つの小さな世界と国は、大きくなって、人を招いて、成長した。
ただ、今はたった一つの言葉を。
《《生まれてきてくれて、ありがとう》》。
ある四兄弟の育児日記
母が亡くなった。
父からの突然の電報だった。
なんとも言えない喪失感が四兄弟の中で駆け巡った。
兄として、それをまとめねばと責任感に真っ先に駆られて母の遺品整理を他の兄弟と共に行った。
---
母の個室。母が寝ていた布団はほんのりと暖かいようで、亡くなったことが信じられなかった。
布団の周りには家族写真や母の愛読書、コレクションなど様々なものがあった。
その中で一つの日記を見つけた。パラパラと紙を捲っていく内に一つの頁が目に止まった。
---
某月某日、晴れ。
顔も体格も全く同じ四兄弟が一斉に走り出し、服も全く同じだったため、誰が誰か分からなくなってしまった。
名前を呼び掛けても全員が反応する。
長男の|華月《かづき》を呼べば他の兄弟である、二男の|観月《みづき》、三男の|皐月《さつき》、四男の|伊月《いつき》も含め呼びに応える。
困ってしまってパパに相談すれば、「全員が全く同じ顔をしているのだから、誰が誰でも大丈夫だろ」と言われた。
今度から、それぞれに違ったタグや服を先につけておこうと思う。
---
この頁を最後まで見た時、悪寒が走った。
僕は本当の長男である華月なんだろうか?
僕らは大人になっても全てが同じだった。
性格も仕草もコピー人間のように同じで、唯一違うのは服装だけだった。
それで、皆が区別できたし、僕らもそれで満足だった。
けど、この日記。母が残した、日記。
もしかしたら、華月は今の伊月で、観月は今の皐月で、伊月は今の観月で、皐月は今の華月だったりするのだろうか。
今の今まで、長男として、二男として、三男として、四男として過ごした時間と記憶や思いが全てひっくり返されたような気がした。
自分が長男の華月であることを否定するわけではないけれど、もしそうなら兄弟たちはどんな反応をするのだろうか。
喜ぶ?笑う?悲しむ?困る?...いや、ただ、呆然と何も言わず悲嘆に暮れるだろう。
そもそもどこからが兄で、弟なんだろうか。
生まれた日は一緒だったから、生まれた時間か、成長した後に性格から上下が決まったのだろうか。
でも、なぜだか、始めから兄弟としての関係は確立していた気がする。
だから返って、これを覆されると怖いような違和感が永遠と胸に残る。
この日記は後で燃やした方が良いだろう。
兄弟、という関係を守る為にも。
でも、
僕は兄弟の中の誰なんだろうか。
@echo off :LOOP echo loop goto :LOOP exi
〖←↗↓↑↙→↘↗←〗
メモに書かれた方向をコントローラーで操作して3Dキャラクターの背中を見ながら動かす。
何も起こらない。当たり前だ。
〖←↗↓↑↙→↘↗←↑←→BA ↓↑←BA →←BA〗
ボタンを織り交ぜてコマンドを打っていく。何のコマンドかは分からない。
ふと、打っている内に〖最強のコマンド〗が頭から出てくる。
自分が打ったコマンドはそのコマンドではないけど、なんとなくそうであると良いと思いながら無駄な作業を一つの望みにかけて打っていく。
〖←↗↓↑↙→↘↗←↑←→BA ↓↑←BA →←BA↓↓↓↓←←←↗↗↖↙→↘XYY〗
〖↓↓→↑↖↙↓↙↑←↗↘↓→→↘↓↙↑↖↙↑A↖BA↓↓Y↑←↓↗↑↙↘→↑〗
だんだんと指が疲れてきた。
〖↘↘↘→↖↖→→→↖↖↖→↖↖→↑↑→↖←↘↙↙↗↖→←↑←←↙↗↗↓↓〗
もうそろそろ、終わりに近づいた辺りだろうか。
ふと、画面を見て打ったコマンドを確認した。
コントローラーを持ってひどく疲れた自分の姿を瞳の中で見た。
そして、その自分の姿を映すキャラクターの近くで見える瞳を見た。
何も起こらなかった。
---
じっと、ひどく疲れた姿をした人物を瞳に映す。
ごちゃごちゃと自分の身体が動いて最終的にxxxxの方を見た。
何をしているのだろうと自分の意思では決して動かない身体の中で、唯一動く頭の中で疑問をもった。
その疑問を介して、人物の奥を見た。
同じ顔、同じ背格好、同じ服装でコントローラーを握る自分が同様にいるだけだった。
それを確認すると、顔が強制的に前へ行き画面の方へ向き直させられた。
そこにも、やはり同じ姿の自分がコントローラーを握って画面を見ていた。
そのキャラクターの先も同様だった。
また、コマンドを打つだけの手が動き始めた。
可哀想の偏見
目が見えない。
足がない。
上手く言葉を伝えられない。
女の子、男の子として生きたい。
普通でありたい。
誰かが、これを異質だと見て、最終的に可哀想だとか辛そうだとかそういった偏見を持つ。
それがとんでもなく虚しくて悲しくて、そう思われる度に「可哀想」に嫌悪感を抱きつつあった。
可哀想だと思われたいから、こうなっているわけじゃない。
ただ、そういう風に生まれたから、こうして隠さずに我を貫いているだけだった。
盲導犬を連れていると誰かは《《異質の私》》に気づいて手を差し伸べてくれる。
でも、私は《《普通の私》》でありたい。
「いえ、大丈夫です。でも、有り難うございます」
見えにくい瞳で顔だけが真っ黒の声の主にお礼を言って優しく断る。
盲目でも、全員が完全に目が見えないわけじゃない。
一人一人の性格が違うように、人によって中央だけが真っ黒だったり、白い点々がずっと浮かんでいて見えにくいだけだった。
それでも手を差し伸べてくれるのは嬉しかった。
---
ある時、友人と話をしていて、テーブルの下で伏せの態勢でいた盲導犬に気づいたのか年配の女性が話しかけてきたことがある。
「あら...貴方......その歳で大変ね、これ、少ないけど使ってちょうだい」
悪気の無さそうな明るい声でじゃらじゃらと音の鳴る小銭を数十枚、強引に手渡された。
その女性が去って、見えていた友人はこう言った。
「君だけなんて、ズルいよ!」
友人は目は見えているし、身体的な障害はない。強いて言うなら、自分の性別は女性だけども、恋愛対象が女性なことくらいで私的には普通だった。
「ズルいって言われても...小銭、欲しいの?」
「欲しい!だって、座ってるだけで金貰えるんだよ?!」
長い金髪を揺らして興奮気味に異を唱える彼女になんとなく違いを感じて嬉しくなる。
可哀想だと思われることが多かった。
彼女のように「ズルい」なんて言われることは初めてだった。
つい、笑みが溢れて下にいる盲導犬の振られる尻尾が足に触れた。
向かいの彼女からは素っ頓狂な声が漏れた後、怒ったような声がした。
どうにもそれが嬉しくて、彼女の傍では《《普通》》でいられるような気がした。
8月6日の空の下で
その日は慌ただしかった。
遠くで閃光のような光が輝き、直後に物凄い轟音と風が響いた。
その後、キノコのような黒雲が発生した。
今まで見た空襲よりも凄まじく悲惨なものだった。
---
数日が経って、とんでもなく多くの負傷者が運び込まれた。
少しでも役に立とうと、何の外傷もないお腹が減っているだけの身体を馬車馬のように動かし続けた。
真っ黒な焼けた地面にぽっかりと草の剥げた地面が人型にぽつぽつとあった。
そこに人がいたのだと感じられた。
真っ黒になった瓦礫の下で小さな黄色い蒲公英が生えているのを見つけた生き延びた女児が兄と思われる男児と笑いながら涙を溢しているのを見た。
何も出来なかった。何かをしたくても、全て燃えていて、どうすることもできなかった。
真っ黒に焦げて今にも崩れそうな学校で時計を見つけた。
針はずっと、午前8時15分を指して、決して動くことはなかった。
真っ黒に焦げた人型の遺体のようなものを見つけた。
お腹に黒焦げた小さな子供を庇うような形でうずくまっていた。
近くには川があり、橋の下で黒焦げた人型が何十人と浮かんでいた。
河川敷に捨てられた弁当箱は鉄だというのに、ひしゃげて焼け焦げていた。
防空壕の中に真っ黒な遺体がぎゅうぎゅう詰めになっているのを見つけた。
辺りには色々な混ざった異臭が立ち込めていた。
「水が飲みたい」という弱った女児に泣きながら、名前も知らない男性が水を手渡した。
すぐにその男性は他の人に厳しく叱咤されたが、
弱々しく受け取った女児の「ありがとう」という言葉にその場にいる全員が涙を流した。
その後、例の女児が亡くなったと報告を受けた。
不思議と悲しみより、何故かこれで良かったのだという気持ちが沸き上がった。
---
真っ黒だが、逞しい花が生え始めた地面に腰を下ろし、やけに綺麗に晴れた青空と在りし日の父の偉大な背中のような大きな白い入道雲を見つめた。
終わりが近いと感じざるをえなかった。
そう思っていた。
---
8月9日、午前11時2分。
期待は打ち砕かれた。
---
---
お悔やみを申し上げます。
ラムネ瓶に映る夏
からんと音がして、ラムネの硝子玉が鳴った。
ラムネ瓶は冷たくて中の炭酸がしゅわしゅわと音を立てる。
からん、からん、しゅわしゅわ、からん、からん、しゅわしゅわ。
どうにも心地好くて夏の暑さを逃れようと耳を立てた。
ぴったりと頬に瓶をつけると、ひんやりとした冷たさが音も相まって心地好くなった。
「なに、してるの?」
不意に切られた西瓜を持って立っていた|千夏《ちなつ》に話しかけられた。
僕は少し驚いたけれど、すぐに口を開いた。
「ラムネ瓶の...音を、聞いてたんだ」
「ラムネの?...聞かせてよ、面白そうだし」
千夏が西瓜を置いて、僕の隣に座る。
ふんわりとしたシャンプーの匂いが鼻の鼻孔をくすぐった。
そのまま彼女が僕の持ったラムネ瓶に耳を当て、聞く。
顔が紅潮するのを感じた。
からん、からん、しゅわしゅわ、からん、からん、しゅわしゅわ。
「...良い音色だね」
そう言って彼女がラムネ瓶から耳を離して、微笑んだ。
「顔、真っ赤だよ。暑いもんね」
「あ、ああ...そうだね」
「西瓜、先に食べてて。氷入れた飲み物取ってくるから」
「...分かった」
千夏が席を立って、足音が離れていく。
僕はよく冷えた西瓜をとり、赤い果実に思いっきり噛りついた。
塩が振られていたせいか、塩味と甘味が口の中いっぱいに広がった。
喉の奥に冷たいものが流れていく。
それでも、僕の頬の赤さが冷えることはなかった。
暑いね、滅びろリア充
777
※援交の描写が含まれます。
本作品は、そのような行為を推奨するものではありません。
朝イチに入った新台に座り、嬉々として遊び始めた。
平凡な人生の中で様々な色に光り輝く台が人生の中の光のように見える。
ずっとそれだけが光だった。
両親はろくに働かず、弟や妹を作ってばかりで全てをこちらに任せていた。
それが当たり前だった。
目の前の台は確変になっているようでオヤジ打ちをしていたが思いがけず大当たりしたようだった。
ふと、周りを見ると新台でカニ歩きをしている男性が一人いた。みっともないと思うが、自分が言うことではないだろう。
すぐに魚群が通り、期待で胸を膨らませる。
やがて、大量のコインを筐体が吐き出した。
別の台へ座り、目押しをしようとボタンに手をかける。
オスイチを成功させたことはないが、できたら良いことだろう。
回る数字を見ながら、先程の男性を見た。特に何もせずに台を続けている。
画面に顔を戻し、見て急いでボタンを押した。
速く回っていたのがだんだんと遅くなり、一定の数字で止まる。
--- *〖 7 7 7 〗* ---
ラッキーセブン...大当たりだった。
心の中でガッツポーズをして、男性の方を見る。そちらも同様の値だった。
良いものを見つけた。
---
男性が店を出たのを確認して人気の少ない道で声をかけた。
「お兄さん」
呼ばれた男性が振り返った。黒髪に黄色い瞳をした20代前半くらいの若い男。
その男性の服の裾を掴み、上目遣いで自分がやれることを話した。
初めは戸惑っていた男性も聞いている内に乗り気になり、連絡先を交換することができた。
---
〖円光希望〗
〖本番NN〗
〖ゴ無〗
〖最高@5、最低イチゴ〗
〖ホ別〗
〖51〗
〖F〗
〖JOJO〗
〖撮影〗
〖dk〗
---
そんな言葉を並べ立て男性を誘う。
〖緑〗のチャットアプリはとても便利で、自分の商売道具だった。
たとえバレていたとしても、本番に持ち込んでしまえば問題ない。
約束された場所へ行き、男性がシャワーに入っている間に財布から現金を取り出す。
少し臭いようで、五万ほどしか財布に入っていなかったが、メリット無しに貰えるのだから安いものである。
シャワーから出てくる前にホテルの扉のノブに手を伸ばした直後、別の男性が驚いたような顔をして何やら重そうな箱をもって立っていた。
「...あ......」
自分が手にしている現金を見てすぐに状況を把握したのか、すぐにこちらの手を強く掴んだ。
そして、厳しい顔で見下ろすとシャワー中の男性の名前を呼んだ。
その手を強く掴んだ男性が着ているジャケットに*〖 7 7 7 〗*の黄色い数字。
この時はアンラッキーセブン...大外れだった。
HAPPY HELP
女の子が小さい時に憧れる、魔法少女。
それに昔から憧れていた。
だから、それになれた時...凄く喜んだのを覚えている。
---
「...これで...終わり?」
地面に突っ伏して動かない|怪物《敵》を見下ろして、隣にいるはずの黒い布を纏い、ぬいぐるみのような姿の|ラパン《パートナー》へ問いかけた。
ラパンは何も言わず、ただ、ひょろひょろと浮かびその怪物を触る。
「...確かに、倒せたみたいだ。おめでとう、|一華《シヴェラ》。君一人で、よくここまで...もう世界が滅亡する、なんてことはきっと、そうないよ」
「......そう」
地面に倒れた|死体《怪物》の名は、|ドラヴィラ《悪夢の魔女》。妖艶な美しさと悪夢のような幻術を使用していた敵の黒幕だった。
ドラヴィラのかつて美しかった面影がどこにもなく、頭は頂点からかち割れ、青い血がだらだらと流れている。そして、足や手には多数の切り傷があり腹部には抉れたような痕が青痣になって破れた服から見えている。
一華が桃色の星を飾ったようなステッキを振るって、ついた血を払った。
青い血は綺麗な桃色のドレスや髪、肌にまとわりついている。
取るにはどうしたら良いのだろうか。
不意に遠くで腰を抜かしていた一般市民が目に入った。
紺に近い黒髪に、青い瞳をした一人の少女。特にこれといって変わったことはない。
ラパンが彼女を見ていたことを除けば、だが。
「...もう、終わったよ。安心していいんだよ」
彼女に向かって優しく声をかけた。
彼女は真っ青に染まった私を見て、怯えたような瞳のまま逃げるように駆け出した。
何故、逃げられるのか、よく分からなかった。
「...あらら...」
ラパンが後ろから情けない声を出した。
---
世界は、確かに平和になった。
通勤、通学中に怪物に襲われることもなくイベントが怪物によって潰れることもなく、魔法少女が建物を壊すこともなかった。
誰も、辛い思いをすることも、悲しい思いをすることもなかった。
誰も、死ぬことはなかった。
誰も、魔法少女を必要としなかった。
通学中に友人が「魔法少女って、まだいるのかな」と言われた。
目の前にいるだなんて、言い出すことはできなかった。
ラパンが久しぶりに「怪物が出た」と騒ぎ立てた。
こんな平和な世界にまた出たなんて信じられなかった。
---
「...ねぇ、本当に怪物がいるの?」
「失礼な!僕は外したことがないんだよっ?」
自信満々に胸を張るぬいぐるみのような獣。その言葉を信じて、とても人がいるとは思えない森の中を一人...いや、一匹と一人で歩いていた。
やがて、確かに悲鳴が聞こえた。その悲鳴に導かれるように自然と身体が動いた。
「|一華《シヴェラ》!聞こえたっ?今の!ほら!僕は正しかったんだよ!」
「...そうだね」
急いで足を進めて見えたのは身を寄せあって悲鳴をあげる登山者の女性二人と、人の背丈ぐらいある熊がその二人を襲おうとしている場面だった。
「なぁんだ、クマさんかぁ...あ_」
ラパンが後ろでそう言った。その後に何かを言い終わる前にステッキを振って、熊の首をはねた。
力の加減を間違えたのか、登山者の一人の右頬がうっすらと切れ、赤い血が吹き出す熊の身体と対比して登山者の頬から血が滲み出した。
それだけに止まらず、熊の獣臭い血を全て被ってしまった。
雨のように降り注ぐ血を見て、放心する二人の登山者の方を見た。
二人も確かに血を被っていた。
「......大丈夫ですか?」
そうできるだけ、優しい声色で語りかけたが二人共、あの少女同様に怯えたような、恐ろしいものでも見たような瞳で一目散に逃げ出した。
その日は、結局、怪物なんてものは出なかった。
---
あの出来事から一週間が過ぎてテレビでは魔法少女の存在価値や全うする正義の在り方、人間に手を出したなどというニュースが飛び交い、議論されていた。
やがて、どこかの記者が魔法少女が誰で、何者であるかという話題を持ちかけ、身元を発見したそうだ。
それが原因だったのか、今まで見向きもしなかった大人や子供達が魔法少女の存在を追求する...いや、自分が有名になりたいがためにそれを糧として探し始めた。
私は議論された頃から社会に赴くことは少なくなったため、特に影響はなかった。
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あまり目立たないような服装で帰宅中に道路に飛び出した子供の為に即座に変身して、トラックを止めた。
以前は運転手が謝ったり、助かった子供や見ていた大人が感謝の言葉を伝えた。
それが今は運転手も見ていただけの大人もスマホをこちらに向けて写真や動画を撮っていた。
助かった子供ですら、感謝の言葉を伝えるどころか...「化け物だ」と罵った。
天地がひっくり返ったような気持ちの悪さと、喉の奥から何かが上がってくるのを感じた。
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何を助ければいいのか分からなかった。
怪物が敵だとラパンにそう言われたから、怪物は悪いものだとラパンにそう言われたから、
周りの皆が怪物を倒したら、誉めてくれたから、それで良いのだと思っていた。
全部が全部、正しいことだと、正義であると信じていた。
全てが幸せに行き着くと思っていた。
しかし、幸せは私が思っている幸せではないようだった。
私が今まで信じていたものは全く違う何かであると分かった。
それなら、それを作り変えてしまえば良いと、心配そうにこちらを見ながら綺麗事を吐くラパンの耳を引き千切るようにして自分から遠ざけた。
今の幸せから、皆を助けようとしていただけだった。
ただ、それだけだった。
---
---
怪物がまた、暴れ始めた。
怪物に見つからないように逃げ惑う中で耳の千切れた黒い布を纏うぬいぐるみのようなものと出会った。
それに「魔法少女になってほしい」と願われた。急いで頷くと紺に近い黒髪が淡い青色になり憧れていた可愛らしいドレスやヒール、ステッキが手に入った。
気分が高なるのを感じたのと、ラパンというパートナーに世界の命運と人類の幸せを握らされたことに緊張するほかなかった。
ただ、今は前を向いて以前見た魔法少女のような正義を貫けることに嬉しく思う気持ちが強かった。
「さぁ、|陽菜《ホープ》!|■■■■《幸福の魔女》を倒そう!そして、君が世界を救うんだ!」
ラパンのその瞳に桃色の髪をしたパートナーが映った。
---
〖気が向いて作った本編のキャラクター外見〗
碧峰 一華 (しま式魔法少女メーカー 様)
https://cdn.picrew.me/shareImg/org/202507/2092578_1nNLHxze.png
月里 陽菜 (しま式魔法少女メーカー 様)
https://cdn.picrew.me/shareImg/org/202507/2092578_6G2449zv.png
ラパン (獣悪魔メーカーだった 様)
https://cdn.picrew.me/shareImg/org/202507/926_BVafBTEh.png
ドラヴィラ (しま式魔法少女メーカー 様)
https://cdn.picrew.me/shareImg/org/202507/2092578_NxO7YrV2.png
一本!
剣道。
それは、日本古来の剣術を竹刀稽古とした武道である。
端から見るとかっこいいとか、凄いとかそんな感想を述べられるものの一つではあるが、その実態は鎧の中に汗だくになった男子や女子がいる。
しかし、その鎧の中で汗だくになった美少年がいるとしたら?
それに当てはまるのが俺の幼馴染みの友人だった。
暑く熱のこもった体育館の中へ入り、神様が贔屓したのかと考えてしまうほど、なびくような黒髪に醒めたような黒い瞳。
眉目秀麗な顔立ちに負けず劣らず、お互いに美しさを放っている。
|城村《たちむら》|隼人《はやと》、それが例の美少年の名前だった。
「...隼人!」
竹刀が風を切る音や呼応に負けない声量で彼の名前を呼んだ。
名前を呼ばれた彼が不意にこちらを振り向いた。
とても、嬉しそうな顔で微笑んで、「正樹!」とこちらも名前を呼ばれた。
|根古井《ねこい》|正樹《まさき》。それが、俺の名前である。
---
「なぁ、正樹...お前も剣道部に入れよ、下手でも大丈夫だって!」
「あー...いや、俺は...」
いつもと変わらない優しい声色で、いつものように部活へ誘う友人の顔を見ながら曖昧な言葉を口から流した。
何も、剣道部や他の部活が嫌いなわけではない。
ただ、友人のその汗だくになった姿が目に止まってしまうのが入部へ踏み切れない、たった一つの理由だった。
雨粒のような汗が流れる首筋、紅潮した赤い頬、温かさが伝わる吐息...そして、いやに低く甘いような声で呼ぶ俺の名前や優しい言葉。
それらがどうにも《《そういう風》》に見えてしまう。
中性的な見た目をしているから?
ひどくカッコいい見た目をしているから?
それとも___
「正樹?」
「っえ、あ、なに?」
「え、いや......こっちを見て、呆けてるから...何かしたかなと思って...」
「ああ、いや...大丈夫。ところで大会とかお前は行くの?」
「そりゃ行くよ。前の大会は勝ったし、次もきっと勝つさ」
「いいじゃん、応援してやるよ!じゃあ、その次の日に遊びに行こうぜ!」
「おう、絶対な!...あと、正樹」
「なに?」
「...いや、何でもない」
___それとも、惚れているからだろうか。
---
がやがやと声が賑わう遊園地の中で一人、《《友達》》を待った。
しばらくして、聞き慣れた声がした。
「正樹!」
間違いなく、彼だった。
駆け寄って少し息切れのする口を少し待って、ようやく開いた。
「大会の結果は?」
「バッチリ!良いとこ突いて、一本取ってきた!」
嬉しそうに笑う彼に自然と笑みがこぼれる。
お互いに笑い合いながら、一つの疑問が頭の片隅に浮かんだ。
「...なぁ、前...大会に行く、前日の時さ......なに、言いかけたんだ?」
そう口を開いた。
彼はその言葉に少し、驚いた顔をしたが、すぐにちょっとだけ頬を紅潮させて言葉を口にした。
そして、その直後に自分の唇に柔らかな感触があり、口だけでなく目を見開くと、赤い顔にしたままの赤く幼い果実がそこに微笑んでいた。
ただ、嬉しさや喜びよりも、《《一本》》を《《取られた》》とそう思った。
箱庭の常識
青の強調された空の中で、黒く濁った良い色の草花を踏みしめる。
何をするわけでもなく、ただ、子供のように音を鳴らして良い匂いの出る車に乗った旅人に挨拶をした。
「やぁ、旅人さん。こんな国に来るなんて不思議だね。ここはとっても綺麗で、空気が美味しくて...何もない。旅人さんは、何しにここへ来たんだ?」
旅人は青く汚ならしい色のヘルメットを取って、色白の顔でこちらを見た。
少し驚いたような顔をして、その口を開いた。
「どうも...ここは...なんというか、凄いところですね。その......素敵です」
「だろう?観光にでも、来たのかい?」
「...まぁ、そんなところです」
そう呟いてまた、青く汚ならしい色のヘルメットを被った。
奇妙な行為だが、旅人にはよくある行動だった。今まで来た旅人は帽子を持っていたり、フードがついているとまるで被らなければならないとでも言うように被るのだ。
「ところで、その...ここは××××がないんですか?」
「...××××?」
××××。××××。××××。
自分の中で、××××という言葉を繰り返す。
言われたことの意味をゆっくりと咀嚼していくうちに腹の中から煮えたぎるような熱く恐ろしいものが込み上げる。
そして、つい、口走ってしまった。
「××××?!そんな汚いもの、あるわけないだろ!××××なんて二度と言うなよ、クソ野郎!」
「クソ野郎って...××××じゃないですか、××××がないって、どういうことですか?」
「××××がないったらないんだ!××××なんて存在しない!存在している方がおかしいんだ!」
「でも、××××は...」
懲りずに××××という旅人の横を通り過ぎる若い女性に声をかけ、「この旅人が××××なんて酷いことを言うんだ!」と伝える。女性はすぐに額に青筋を立てて、旅人へ怒鳴り散らかした。
「××××?!アンタ、頭おかしいんじゃないの?!××××が何か分かって言ってるの?!」
「そりゃ、分かってますけど...そんなに××××がダメなんですか?」
「ダメに決まってるでしょ!そんな汚くて悪いもの、ダメに決まってるじゃない!」
「でも、××××は××××で、××××なんですよ?どこも汚くて悪い××××じゃないですか」
その言葉に若い女性と顔を合わせて瞼を開き閉じることを繰り返す。
今までの騒ぎに駆けつけた野次馬が話を聞いて一斉に旅人を非難した。
「××××?そりゃダメだよ、旅人さん」
「うわぁ、××××なんて本当に言う人いるんだ~」
「××××ってなぁに?おかーさん」
「聞いちゃダメよ、××××なんてダメ」
「外からの奴は皆そうだ、頭でもイカレてんのかね?」
「出てけ!出てけよ、そこの汚いのっぽ!こんな美しい国にふさわしくないぞ!」
口々に旅人へ怒りをぶつける国民に口角があがる。
皆がこの国を誇らしく思うことに嬉しさが込み上げてくる。
それらを暫く聞いて、旅人はため息を溢すと諦めたように良い匂い...いや、もう汚く臭い匂いのする車...鉄の馬に乗って騒々しいエンジン音を響かせて走り去っていった。
「ひどい旅人だったわね、外から来た人は本当におつむが弱くて、話が通じないわ」
「もう二度と来ないで欲しいよな。ったく、入国審査官はなにしてんだか」
「入国審査官っていうと、あの全身が黄色い服に包まれて、黒い長靴に気持ち悪いマスクをつけた奴等のことか」
「そーそー、あの気持ち悪い奴等な。前に俺の店に来たけど、軽く見て何も買わなかったよ。こっちだって、あんなに気持ち悪くて汚い奴等に大事な店に入って欲しくねぇよ」
「嘘だろ?災難だったな。アイツら、外から入る時は絶対あの服を着てるらしいぜ」
それぞれが旅人と入国審査官の異常性を語り、やがて元に戻っていく。
平和がそこにあった。
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--- xxxx ---
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「ふむ、入国時間は大体10分ってところだな。よくいれたもんだ...それで、国の中はどうだった?」
「どうもこうも、酷い有り様でしたよ。貴方の助言を聞いておけば良かったです」
「そうかい」
僕の後ろの大きな扉の先にある国はドーム型で中には排気ガスが充満し、美しいとは程遠い汚く気持ち悪い国が広がっている。国の中ではドームに張り巡らされた原色に近い青色の空と壊れた木造の家々ばかりで、動物の死骸やゴミ、糞尿で溢れ、常に何か分からない虫や鼠が蔓延っている。
「しかし、中の国民は凄いよな。あんなに汚い中でよく服も着ずに裸足で乾いた糞尿のある地面を踏めるんだか...」
「それを一ヶ月に一回、入っている貴方も凄いと思いますよ」
「言うね、旅人さん。あそこの国民はあれが美しいと思ってる...いや、それ以外知らないんだ」
「そうなんですか。不思議ですね」
「...だな。旅人さん、旅人さんは...美しいと思う定義はなんだと思う?」
「美しいと思う定義ですか?」
「ああ。ひっかけでもなんでもなく、素直にこれだと思うものを答えてくれ」
「...そうなんですね、私は#美しいと思う定義#、ですね」
「なるほど、その考えも悪くないな」
「貴方は、どうなんですか?」
「僕は分からない。卑怯かもしれないけど...美しさ、は人によって感じ方が違うだろう?常識も、感受性も人それぞれさ」
「.........」
旅人が何も言わずに上を見た。
僕も釣られるように診て、本物の淡い青空を瞳に映した。
夜の花が見えるトンネルの奥で
〖決して振り返ってはいけない〗
そんな言葉を頭の中で掠めながら、花火大会へ駆け足で向かおうとトンネルの中を走った。
トンネルの奥からは花火があがる音がして、それ以外には自分の走る音と財布の硬貨がぶつかりあい、金属音が響く。
---
不意に後ろから低く若い男の子の声がした。
「決して振り返ってはいけないよ」
「どうして?」
「僕が、夜の花に怒られてしまうから!」
男の子はそう脅した。
---
不意に後ろから高く幼い女の子の声がした。
「ぜったい、ふりかえっちゃだめだよ」
「どうして?」
「わたしが、こわいから!」
女の子はそう泣き落とした。
---
不意に後ろから重々しくか細い男性の声がした。
「振り替えるなよ。振り替えるなよ」
「どうして?」
「何でそんなに、後ろが気になるんだ?」
男性はそう理由を求めた。
---
不意に後ろから甲高い女性の声がした。
「後ろを見ちゃダメよ。振り返らないで」
「どうして?」
「だって、ついてきているから」
女性はそう理由を語った。
---
後ろから、もう声はしなかった。
トンネルの先には夜空の花が咲いていた。
足を前に出して抜けた辺りで振り返る。
誰もいない。
男の子も、女の子も、男性も、女性もいない。
トンネルの奥の真っ暗な闇がじっとこちらを恨めしそうに見つめているばかりだった。
後ろから花火があがる音がした。
蛆が舞う花
凍えるような寒さの中で白い地面を踏みしめた。
吹雪は止むことを知らず、凍えた身体に冷たくも吹き続ける。
髪についた雪を払う先で、目的地と思われる町が制限された視界の中で見えた。
「...あれが、目的地ですか?シュヴァルツ大佐」
少し凍えたようなか細い声でアドネス中佐が後ろから声をかけた。
「ああ、そうなるな...町全体が|毒花《フラワー》に毒され、過半数の人口が|生きる屍《クリーチャー》になっているそうだ」
「はぁ、|毒花《フラワー》の繁殖力は恐ろしいですねぇ...」
アドネス中佐の感嘆の声を聞きながら、行くまでに手元の調査命令書を軽く読んだ内容を思い起こす。
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数ヵ月程前に、植物研究所にて新種の植物を発見したと公に発表された。
どんな環境の土地でも根づく強い生命力と繁殖力を有し、人間にとって有毒な胞子を撒き散らす疑似的な裸子植物の一種。見た目だけは青い花弁に毒々しい葉のついた被子植物だが、実際は胞子により繁殖する自立式とのことだ。
この胞子、変わった繁殖力といっただけなら良いものの、人間の身体を蝕み、やがて脳の制御を奪う。
所謂、寄生の一つではあるが、最終的に胞子が集まって芋虫のような形を形成し肥大化する。
そして、人間の臓器を肥大化した元胞子である芋虫が食い尽くし、脳に直接的な干渉を行い|生きる屍《クリーチャー》として実体を持たせる。
寄生された人間は判断力が疎かになり、芋虫が人間を《《着る》》形になる。
しかし、完全に食い尽くされていないかぎり人間の自意識と判断力は保ったままで、《《まだ生きている状態》》である。
これが植物研究所近くの一つの町で爆発的に繁殖し、半分ゴーストタウンになってしまった“パレスタウン”にて特殊警察として所属する“P.R.T”はその|生きる屍《クリーチャー》と|毒花《フラワー》の掃除、そして調査を命じられた。
---
思い起こした内容を考えて、雪が積もって開かない扉を蹴りあげる。
薄い膜になっていた雪がボロボロと崩れ、扉がゆっくりと開いた。
中にはオフィスのような空間が広がっていて、薄暗くデスクの森から壁に身体を預けて腹から肩まで切り裂かれ、内臓が見える程真っ二つになった男性と思わしき死体。辺りには蛆が舞っている。
「...シュ、シュヴァルツ大佐...これ...」
「ああ、人為的だな」
この町には化け物だけでなく殺人犯でもいるのだろうか。
重荷が増えたような気分を抱えながら更に奥へと進んだ。
乾いた真っ黒な血。その血の中央に電動式のチェーンソーを握りしめて徘徊する|生きる屍《クリーチャー》。
先に見つけた部隊がAK-47に弾を込めて発砲しようとしている。部隊の一人がこちらを見て、顎を引いた。その合図に頷いて、「撃て」と短く言葉を返した。
直後、四方八方から銃撃の雨が降り、人間の皮が最初に破け、中から血だらけになった芋虫が姿を現すもすぐに蜂の巣になり、穴ぼこになってから床に奇妙な色をした液体とともに血が滲んだ。
「...後から、なったのか...始めからなったのか...どちらなんですかね、これ」
「始めからじゃないか?...胞子にやられて少し意識のある内に自分では動かせない身体で...だろう。
一応、意識は完全に支配されにくいからな...」
「そういえば、そうでしたね...しかし、結構耐久力があるようで...」
「あくまでも人を被っているからな...鎧が厚ければ厚いほど、防御力も高い。ふくよかなものには気をつけていこう」
「...胸糞が、悪いですね...」
---
調査の範囲を拡散するため、二人一組に別れ、小さな公園の男子トイレへ足を踏み入れる。
「シュヴァルツ大佐、私は女子トイレを見てきます」
後ろで新人がそう言ったのを確認して男子トイレの中へ目をやった。
トイレの中は異臭がして、排泄物の匂いのほかにもやけに香ばしい匂いがする。
ゴミが溜まった隅の奥の個室に蛆が舞い、|毒花《フラワー》の蔦が根づいている中に一人の人間が頭から突っ込んで、ばたばたと足を動かし何とか逃げようとしている。
いや、逃げさせられている。行き場のない足をばたつかせて微かに残った理性がそうさせているのか、寄生したものそのものがそうしろと、命令を降しているのかは分からない。
「...おい、無事か?」
一度、声をかける。返事はない。
もう一度、声をかける。返事はない。
個室から出る様子もなく、足以外に動く様子もない。
人に近づき、両足を狙って撃つ。乾いた銃声が二発伸びるように続き、足が垂れた。
垂れた瞬間に手足が個室の扉に腕を置き、ぐぐっと口から芋虫が見える頭で振り向く。
首は信じられない角度に曲がり、下顎がだらしなく垂れる。動かなくなった足を庇うように腕の力だけて這うようにこちらへ前進する。
それより前に銃弾を当ててみるが、怯むことはなく向かってくる。
足に絡みつき、人の口の中の芋虫が蔦を這わせ、こちらの口の中へ入ろうとする。
蔦を掴んで口の中から引きずり出し、喉の奥に入っていたものを吐き出すように咳き込んだ。
床に手をつき、後ろから聞こえる新人の声と銃声に安堵した。
---
床に突っ伏した寄生された人間。下顎の外れた口に手を突っ込み、動かない芋虫を引きずり出して腰に下げたナイフで芋虫を切り刻む。
次に人の緩くなった顔を外して紙のようにぺちゃりとした身体に刃を立てる。
黒くなった血が吹き出しながら手を濡らす。解体したものを黒い袋に入れ、できた袋を抱えてトイレを後にする。
汚れたナイフ持つ新人が心配そうに口を開いた。
「先程は大丈夫でしたか?」
「大丈夫...助かったよ。有り難う」
軽く礼を言って、空を見る。夕焼けが近づいている。
空から目をそらして遠くには別の軍隊が到着したと思わしき回収用の車。
車の中に袋を投げ込み、車の中に腰を下ろす。
運転席に座る人物に他の部隊の話を聞き、情報を整理する。
やがて、話が終わり、投げ込んだ袋を作業のために開いた。
新人のもつトランシーバーにはアドネス中佐の連絡が入っているようで、連絡をそのままし続けている。
連絡を聞きながら、揺れる車内で作業を開始した。
蛆の舞う花の中で何かが蠢いた気がした。
自分が見た夢の内容に設定を盛って書いたものです。
夢に出たのは毒花に寄生された人が出てくるトイレのところ。
主人公視点で自分自身がそれを撃って、バラして袋に詰めた後に軍の車で帰る途中にその寄生が動き出して終わりでした。
夜は想いに更ける
どこで書いたか分からないセンシティブなものの供養をば。
男同士ってのはお互いにどう思うのだろうか。
恋人である#攻#のモノを咥えて、黙ったまま#受#はそう思った。
「っ、は……#受#」
「ん、ふ……」
「気持ちいいよ、#受#」
「そか、よかっ、あ……んむ」
よかった。
その一言が聞きたくて、#受#は口いっぱいに頬張ったまま微笑んだ。そしてまた口を動かし始めた。
「……ッ!」
「んっ!?」
あともう少しで達するといった所で、突然#受#の頭を押さえて引き剥がされる。驚いて顔を上げると、少し余裕のない顔をした#攻#が瞳に映った。
「ごめん、#受#。やっぱりダメだ」
「あ……」
そう言うと、今度は#攻#が#受#のズボンとパンツに手をかけると、ゆっくりと下ろし始めた。そして現れたモノを優しく手で包み込むと上下に擦り始める。
「んあっ、や、なんっ」
「……っは……#受#、気持ちいい?」
「あっ、ん……きもち、いッ!」
丁寧に扱かれる度にビクビクと体が反応する。そして先端に軽く爪を立てられた瞬間、#受#は想定よりもすぐに達し、#攻#が満足そうに笑った。
血晶の宝石
20XX年、世界中で経済が瞬く内に大きく膨れ上がり、過去のことを忘れたように景気が良くなった。
宝石や石油などの貿易品が紙幣や貨幣と共に踊るように回り、世界中の人々がその恩恵を受けて経済的に豊富になった。
全てが平等で公平かつ、全員がとても余裕があった楽園とも言える時代だった。
しかし、やはり良いことの後には悪いことが待っているのか、世界中の国々が国内の資源を取りつくし、異常な気候変動の影響で米粒の一つですら貴重となる深刻な大飢饉と世界中の範囲で経済の大規模な低下が起きた。
それまで膨らんでいた泡が弾けるようにして世界中が不平等で醜い競争社会となり、経済格差が大きくなった。各国の出生率の低下、衛星状態の低下など、それまでうなぎ登りに上がっていたものが著しく低下し、世界中が混乱する形になったが、その衛星面の悪い状態の中で様々なウイルスや生命が誕生した。
瞳から流す汗と同様の涙が黒く匂う液体、石油となる者。
血液などの液体が空気中の酸素と結合することで、人によって様々な結晶となる者。
奇妙なウイルスや病気にかかった者が発見され、しばらく世界中で発生したその者を訝しんでいたものの、その者が実際に使用できる資源を生み出せることに着目し、やがて、そういった病にかかった者を《《資源の家畜》》として扱うようになった。
人間から家畜として位を落とされた人間は同様の個体と交わり、繁殖しゆっくりと世界中の飢饉と経済の低下を今も回復させている。
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その人体の体液が酸素と結合することで、全て結晶となる|人間《家畜》を|宝石人《ジェム》と呼び、そのジェムを基本的に番号で呼ぶことが多い。
例えば、この目の前の35-689は35-689から採取した涙、汗、唾液、血液などが酸素と結合することで宝石の元となる結晶化し、結晶化した鉱物を削るなどして形造ることで商品である宝石となる。
しかし、その宝石となる過程で結晶化した鉱物は体液でありながらジェムと感覚を共有するようで、鉱物の中から赤黒く生暖かい液体が噴き出すと同時にジェムの精神状態が大きく変化し、何もしていないのにも関わらず、痛みを訴える。その他にも接触系の感染をするため、体液を触れる際には手袋が必須である。
また、家畜にも関わらず、元は病によって変異した人間であるから知能も大変高く、学習する、思考するなどといった人間とも言える。以前の言葉巧みに同情を誘う演技派の家畜には些か感心したものだった。
所詮、家畜だと結論づけているため、それをわざわざ人権の回復をと大声で主張する者はいない。
牛や羊だって、昔はペットや家族だったかもしれないものを家畜として有用しているのだから今更だろう。
フケがついた黒髪の長髪を引っ張って、同僚に35-689を抑え込んでもらい、片手に持った注射器を血管に刺す。細く鋭い針が柔らかい肉の皮膚を貫通して入り、吸い上げる血液が注射器の空間を満たす。
35-689は暴れる様子がなく針が離れるとすぐに離され、刺された部分にアルコールを含んだ濡れ紙を当てられた後に十分な栄養と運動、睡眠、休養を与えた状態で次の採血まで待機する。
その待機の状態にも痛みは体液の加工中に継続する模様だが、そういうものなのだから受け入れるほかない。
同僚が他の個体の35-690、35-691などを引っ張り出して注射を催促する。しばらくは、この業務のようだ。
採取した血液を注射器から取りだし、しばらく放置する。すると、空気中の酸素と結合し、みるみるうちにルビーやサファイア、ダイヤモンド等の鉱物に成っていく。
何の鉱物となるかは極めてランダムで、指定したり狙ったりすることはできない。
結合した鉱物のうちのルビーをサファイアやダイヤモンド等と繋がった境を切断する。赤黒い液体が勢いよく噴き出した。
次に商品として売りに出せるような形に整えて、円く美しく削っていく。そんな中でも液体は出るものの、水に浸ければ何ともない。
作業している間、後ろの閉じた扉の先で絶叫するような悲鳴を音楽として聞き続けた。
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手袋を嵌めた腕で檻の中の《《家畜》》を見た。先程まで叫んでいたのが嘘のように、ぱったりと静まって身体中にかきむしったような跡と結晶化した血液がある。
一度、呼びかけてみるも返事はなく、黙ったまま瞳に結晶化した涙を溜めている。
どうやら、加工が済んだらしい。手袋を脱いで同僚が作業している部屋の扉を開けた先に額に結晶化した汗を浮かべた同僚の姿があった。
ひどく混乱したような顔の男性にため息を吐いて、脱いだ手袋をつけ直し、短い髪の下の首根っこを勢いよく掴む。
そうして、また《《資源の家畜》》を檻の中に放り込んだ。
特殊な加工をすると宝石になる奇妙な血液が流れるキャラクターと宝石の加工師の話
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特殊な加工をすると宝石になる奇妙な体液の家畜と家畜の管理職の話
ばっちいもん触る時は手袋をお勧めします。