船の上で出会った訳あり中学生男女4人組は、思わぬ形で無人島へ連れていかれてしまった。
だが実は、その無人島、宝島だったのです。
住んでいた環境が全然違う4人がそれぞれの能力を生かし、時には対立しながらも冒険し、友情を深め、ついに宝を見つけ出す青春物語。
続きを読む
閲覧設定
設定を反映する
色テーマ:
本文
白
黒
セピア
薄い青
緑
ピンク
設定を反映する
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
変換する
変換履歴を削除
<< 前へ
1 /
次へ >>
目次
訳あり中学生たちの宝島冒険記#プロローグ
こんにちは!
デビュー小説がシリーズって変ですかね?でも私、1話完結の方がハードル高いと思ってるんですが、みなさんどう思いますか?
それでは、お楽しみください。
目の前には水平線。どこまでも、どこまでも、永遠に続いていそうな海に思わず見とれてしまいながらも、今までの事を思い出し、自分の機嫌がどんどん悪くなっているのが分かる。
「わー…水平線だ!俺、昨日人生初の海を見たし、今日は水平線が見れるとか最高!」
そう言って呑気に笑う彼を見てよけいにイラついた。
なんでこうなったのだろう。あれは夢で今も夢の中ではないのか、と思い頬をひねってみるが、とても痛い。現実だ。まさか、こんなことになるなんて、あの時は夢にも思わなかった。
プロローグってこんなに短くてもいいのかな?
訳あり中学生たちの宝島冒険記#1 遠藤 花梨 side
プロローグに続けて書いていきます!
プロローグに比べたら長い
「花梨、今日も無理?」
「うん」
「そう」
学校なんて死んでも行くもんか。そう思いながら、|遠藤花梨《えんどうはなり》は大きなあくびをする。中学2年生初日以降、一度も学校に行っていない。理由…まあ、わざわざ言わなくても分かるだろう。そう、私は世に言う不登校。このままずっと、部屋に引きこもっていたい。ベットから出て、スマホにつないでいる充電器を抜き、ベットに座る。フォトを開き、すっと生き良いよく指を滑らせる。画面の中はとんでもない速さで時間が過ぎ戻り止まったのは、11月。11月2日、友だちと映画に行った時の写真。10日、東京ディズニーランドに行った時の写真。19日、飛行機雲と虹の写真。どれも懐かしい思い出の写真。
「はぁ…」
スマホを置き、数秒間ボーっとする。やろうと思えば何時間でもボーっと出来るのが私だ。だが、それはお腹がいっぱいの時であって、今は無理。何もせずとも腹は減る。パジャマ姿のまま一階の台所に向かう。
「おはよう」
返事はない。テーブルの上には朝ごはん。お母さんも、お父さんも、もう家にいない。そりゃそうだ。わざとこの時間に部屋を出て来たんだから。寂しいけど、もう慣れた。馬鹿な私。椅子に座る。今日のメニューは、スクランブルエッグとパン、そしてサラダ。私の大好きな洋風料理。一口、スクランブルエッグを口に入れる。冷めている。レンジでチンして、また一口。温かい。けど、出来立ての方がおいしい。明日は久しぶりにお母さんたちと一緒に食べようかな。
そのまま完食し、お皿を洗う。
さてさて、今度はスマホでユーチューブでも見ますか。今日はどんな一日になるかな。どうせ暇な一日になるんだけど。
これから数話くらいは遠藤花梨sideで書いていきます。
お読みいただけると光栄です。
ついでに感想もください。
訳あり中学生たちの宝島冒険記#2 遠藤 花梨side
1話に続いて遠藤 花梨side
だんだんアイデアが浮かんできました!
九時頃になると、学校に行く人(遅刻)も仕事に行く人も、ぱたりといなくなる。部屋のカーテンを全開にして、窓も全開にする。
今は7月。夏だから、生ぬるい風と共にセミの鳴き声が大音量で聞こえてくる。おそらく、近所の公園の木だろう。懐かしいな。小さい頃、近所の友だちを率いて虫取りに行ったな。今では引きこもりの陰キャ。中2までは活発な陽キャだった。クラスでは人気者で、毎日友だちに囲まれて、モテモテで…。それはそれは充実した人生を送っていた。なのに…。もうすぐ中学2年生になるという春休み、人生最大のミスを犯してしまったのだ。
「あ”ー!!!!」
思い出したらイライラしてきた。こうなったらもう、やけ食いだあ!
私は天才だから、お菓子をチェストに、ミニ冷蔵庫(冷凍庫付き)にジュースとアイスに入れている。主におやつ。さっき朝ごはん食べたけど、仕方ない。これはやけ食いなのだから!
ポテトチップスのコンソメ味が私は大好きで、今もコンソメ味が食べたいと思っていた。なのに、いくら探してもコンソメ味どころか、ポテトチップスすら無いではないか。おかしい。おかしいぞ。確かに昨日まではこの中にあったはずなのに…。
あ…ポップコーン発見!
いっただきまーす!
べりっと袋を開け、ポップコーンを鷲掴みにし、口の中に放り込む。うまい。うまいぞ。
こんなにおいしいポップコーンがあるということは…、映画を見よう。ポップコーンを食べながら映画を見る。そうすることで、ポップコーンがさらにおいしく感じられるってわけ。今はすんごーく便利な時代だから、見たい映画が見放題。そうと決まればレッツゴー!プチ映画館へ、いざ参らん!
プチ映画館とは、電気を消してポップコーン片手に映画を大音量で見ることです。QED 証明終わり!
最後まで読んでくれてありがとうございます!
大好きで((殴
ファンレターでアドバイスしてくれると助かります!まだまだ未熟者ゆえ…
もちろん、お名前もお願いしますね。コメ返しします!
訳あり中学生たちの宝島冒険記#3 遠藤 花梨side
いえええええええええええええええええい!!!!!!!!!!!!!!!
テンションアゲアゲ↑↑ピース✌ピース✌
今日初めてある人にコメント送ってみた!!
第3話行きまーす!!
リビングのソファにどかっと腰を下ろす。今日は「サバイバルゲームで生き残るのは誰だ!」という題名の映画を見た。舞台は無人島。そこで一か月間過ごし、生き残れた人の勝ち!というゲームに参加(強制的に)した主人公たちが様々な困難を乗り越え、一か月間無人島で暮らす。最初は30人だったのが最後には5人になっていて、その5人で力を合わせて生き残る。感動モノのサバイバル映画。
いいなあ、無人島。私も無人島行きたい。サバイバル楽しそう。でも、さっきの映画で覚えているのは火の起こし方、浄水の仕方、トイレの使い方とかの物づくり系。それ以外はあんま覚えてないー。間違えて毒のあるやつ食べちゃうかも。まあ、いざとなれば人間水だけで生きていけるし、ひとまず大丈夫だろう。一応、サバイバルの知識勉強しようかな。暇だし。(いつ使うんだよ!そんなの。無人島みたいな過酷な場所、行くことねえだろ!普通の勉強しろ―!!)
そ れ よ り も…、今大切なのは!
O HI RU GO HA N !!
映画を見終わってそろそろいい時間だと思い、家の中を探し回ったのだが…
「何もない…」
炊飯器に米は一粒も残ってないし(きれいに洗ってあります)、カップラーメンもパンもない。冷凍食品も私の好きなのないし…。さっき、「いざとなれば人間は水だけで生きていける」と力説した私だが、そんなに過酷なわけじゃあるまいし。仕方ない。お菓子でも食べるか。
二階に上がりかけたが、そういえば朝にスナック菓子一袋平らげたぞ、と思い出す。
「いかん。これ以上食べたら太る!」
慌ててリビングに引き返す。寝よう。寝たら空腹は忘れられる。そもそもあんまりお腹減ってないし。よし、寝よう。
ソファにごろりと横になって目を閉じる。
ちょっと文章ちょこちょこおかしいとこあるかも。ご了承ください。
ファンレター送ってくれると嬉しいなあ…。
次のお話も読んでね~!!
訳あり中学生たちの宝島冒険記#4 遠藤 花梨side
久しぶりに投稿させてもらいます!
ボー…
大きな船が動き出す。こんな大きな船には乗ったことないから、沈んだりしないかと不安になる。柵から身を乗り出して下を見た。
おぉ…こわ。結構高い。落ちたら一瞬でチーン…だね。
そろそろ部屋に戻ろうかな。
「お母さん!部屋もどろ!」
あれ?お母さんがいない。どこだろう。
「おかーさーん!!!!!」
大声で呼んでみるけど、返事がない。どこだに行ったんだろう。探しに行こう。
歩き出した瞬間、後ろから腕を掴まれる。誰だろう。まさか、お母さん?振り向く。
「ひっ」
そこには、私の通っていた学校の女王様こと|早坂 芽衣《はやざか めい》ちゃんが、不敵な笑みを浮かべて立っていた。その後ろには芽衣ちゃんの取り巻きたち。めいちゃんが口を開いた。
「こんな所で何してるの?」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
頭を両手で抑えてうずくまった。ふふっとめいちゃんが笑った。
「花梨ちゃんったらおもしろーい」
そして耳元に顔を近づけてさっきよりも低い声で言った。
「ずっと部屋に引きこもってればよかったのに。あんたなんか消えてなくなればいい。お母さん、どこに行ったか知ってる?あんたを置いて船から降りたんだよ。もちろんお父さんも一緒に。あんたなんかいらないって。よかったね。一人になれて」
そんなわけない。お母さんが、お父さんが、私を置いて船からいなくなるなんて…。そんなことがあるはずがない。反論したいけど、言葉がのどに張り付いていて、反論できない。全身がガタガタ、ブルブル震えだす。涙が出てきて、床にこぼれた。
「あははー!こいつ泣いてやがる。ウケるんですけどーw」
あははははははははははははははははははははははははははははははははははは
悪意のある笑い声が聞こえてくる。目の前が真っ白になる。
いやだいやだいやだいやだいやだ。
やめてやめてやめてやめてやめて。
「もうやめて!」
大きな声が聞こえた。笑い声が止まる。数秒して、声の主が自分だと気づく。気づいたときにはもう遅かった。
バシンッ
痛くなかった。でも、ぶたれたということは分かった。そのまま、後ろに押し倒される。しりもちをついた。髪の毛を引っ張られる。顎を持って上を向かされた。芽衣ちゃんが腕を振り上げたのが分かる。目の前がぼやけていく。目をつぶった。
あれ?何も衝撃が来ない。
ゆっくり目を開ける。
「え…?」
目の前には足。目線を上に向けると、広い背中が見えた。
「なによあんた!」
「こいつは俺の友達だ。そして、かけがえのない仲間だ。大切な人だ。こいつをいじめるのは、この俺たちが許さねえ。なあ、お前ら」
その時、後ろに人の気配がした。
「ああ、その通りだ」
「ええ、もちろん。ぎったんぎったんに叩きのめしてやりましょう」
両肩に手が置かれる。誰だろう。この人たちの事、私は知らない。芽衣ちゃんは困惑したような顔をした後、私の方をキッと睨んで口を開いた。
「花梨、覚えておきなさい。そしてあんたたち、この子とあんまり仲良くしない方がいいと思うけどw」
そう言い残して私たちに背を向けて去っていく芽衣ちゃんを見送りながら、私意識は途絶えた。
これは花梨の夢の中です。ちょっとおかしなところがありますが、夢ですので。
呼んでくれた方ありがとうございます!次のお話も読んでくださると嬉しいです!
訳あり中学生たちの宝島冒険記#5 遠藤 花梨side
こんにちは!今日は雨ですね。気持ちまでどんよりぬめぬめ…。
目を開けるとそこは、船の上じゃなくて、助けてくれた人たちも芽衣ちゃんたちもいなくて、さっきのは全部夢だったんだと思った。よかったと思うのと同時に、なぜか、後悔の気持ちが胸いっぱいに広がっていく。そして、涙が出た。
「ふっううう…」
ありがとうって言いたかったな。
芽衣ちゃんたちから助けてくれた優しい人たちに。怖かった。殺されるかと思った。こんな私を助けてくれて嬉しかった。今でも頭に残るのは
『こいつは俺の友達だ。そして、かけがえのない仲間だ。大切な人だ。こいつをいじめるのは、この俺たちが許さねえ。なあ、お前ら』
という言葉。今まで、こんなことを言ってくれた人はいなかった。みんな見て見ぬふりで、助けてくれなかった。友達だと思っていた人は誰も味方に付いてくれなかった。
考えれば考えるほど、思い出せば思い出すほど、涙が溢れてくる。
それから数分間、私の涙は流れた。泣き止んだころには、スッキリしていた。鏡を見ると、目が腫れていた。これは、今日も部屋にいるしかないような顔だ。こんなのお母さんには見せられない。
明日の朝は、家族で、食卓を囲みたい。そんな気持ちを胸に抱いて部屋に戻った。明日の朝が楽しみだ。学校には行くわけではないけど、久しぶりに6時くらいにに起きよう。
お読みいただきありがとうございました!感想はファンレターで教えて下さい!
訳あり中学生たちの宝島冒険記#6 遠藤 花梨side
久しぶりの投稿です!
ピピピピッ…、ピピピピッ…、ピピピピッ…、ピピピピッ…
どこかで音が鳴っている。うるさいなあ…
ピピピピッ…、ピピピピッ…、ピピピピッ…、ピピピピッ…
うるさいなあ。ん?この音どこかで…
「わあ!もう6時⁉」
さっきの音は目覚まし時計の電子音だったのか。今の時刻は6時13分。ギリギリセーフ…。あと少しで朝ごはんが出来るころだ。音をたてないようにパジャマから着替える。
目は腫れてないかなあ…。うん、大丈夫そう。
扉を開けると、下からカチャカチャ音がしてきた。そして、お味噌汁のいい匂い。
ぐぅ~
お腹空いた。幸い大きな音ではなかったから、下までは届いてないだろう。
ゆっくり階段を下りる。台所へと続く扉を少し開けて中を覗いてみた。丁度ご飯が作り終わったようで、2人とも椅子に座っている。声を掛けたらなんと言ってくれるのだろう。いつもように優しい眼差しで、食卓に混ぜてくれるのだろうか。
淡い期待を胸に抱き、
「お、おはよ~…」
少しだけ顔を覗かせて2人に声をかける。振り向いた2人の目が点になっていて((●__●)←こんな風になっていた)、数秒後同時に立ち上がった2人はドタバタとこっちにやってきて、私の肩をがしっと掴んだ。
「花梨、やっと学校に行けるのね!」
「良かったな」
「さあ、今日は張り切って豪華なお弁当にしましょう!」
「それより花梨、まずはご飯を食べなさい」
期待通りにはならないものだ。仕方ない。だが、少し残念な気持ちになる。朝起きて来たからすぐ学校に行けるようになるわけではない。
椅子に座って言った。
「あ、あのね、私、まだ学校には行けない」
顔を上げると、「え?」と言いたそうな顔。
「また、お母さんとお父さんと一緒に食卓を囲んでご飯が食べたかったから起きてきたの。学校に行かなきゃ、だめ?」
精一杯の言葉を並べる。お母さんとお父さんはなんと言ってくれるだろう。これでも学校に行けと言われるなら、もう、一生あの部屋からは出ない。
数秒間の沈黙の後、お母さんが口を開いた。
「花梨」
「学校にはまだ行けませんと、連絡しておくわね。それよりも、起きてきてくれてありがとう。寂しかったのよ」
「うん。わたしも、お母さんに分かって貰えてうれしい。ありがとう、お母さん!」
私たちが2人で笑い合っていると、お父さんがお母さんの肩をつついた。
「お母さん、お母さん、…ゴニョゴニョ…ゴニョゴニョ」
「うん。いいかもしれないわね」
何を話しているのだろう。とても気になる。
お読みいただきありがとうございます!
ファンレター書いて!感想聞かせて!
訳あり中学生たちの宝島冒険記#7 遠藤 花梨side
お母さんとお父さんのコソコソ話。目の前にいる私は内容が気になって仕方ない。
「何話してるの?」
私が聞くと、2人は決意したような目になった。
「島留学って知ってる?」
「知ってるけど…改まって何?」
「花梨を島留学させようと思っているんだが、どうだ?」
「ふーん…。え?今、なんて?」
島留学?私が?
「花梨、島留学してみないか?」
「ええ…、島留学って…、いきなり言われても…困るよ」
「だよな」「そうよね」
何とも言えない気まずい空気が流れる。何といえばいいのか分からない。
「でも、行ってみたい」
いつの間にか、そう口にしていた。だって、お母さんとお父さんが悲しそうな顔をするから。
「わあ!楽しそうだな、島留学!どこの島なの?紹介プリントとかってあるの?」
ポロポロと口から出てくる言葉。わざとらしい高い声。本心じゃないけど、これでいい。だって、お母さんが笑ったから。お父さんがほっとしたような顔になったから。
「じゃあ、早速申し込みをするわね。早くしないと、定員オーバーになっちゃうから」
「うん!」
「花梨、今日は買い物にでも行こうか。キャリーケースとか、いるだろう」
「ううん。キャリーケースなら、小学校の時の修学旅行で使ったのがあるよ。それに、あんまり外には出たくないから。必要なものは、部屋にあると思うから、大丈夫!」
少し考えてから口にした。お父さんは何か言いたそうだったが、
「分かった」
と、一言言ってご飯を食べ始めた。私とお母さんも朝ごはんを再開する。
「このなめこの味噌汁めっちゃおいしいぞ!さすが母さん!」
お父さんは「おいしい!おいしい!」と言いながら味噌汁をすすっている。
「もう、行儀が悪いわよ」
と言いながらも嬉しそうな顔をしているお母さん。2人を見ていたら、なんだかとても懐かしくなった。島留学が自分を変えてくれるといいなと思った。
ひとまず、「訳あり中学生の宝島冒険記 遠藤花梨 side」は終了です。次回からは、男の子目線を書いていこうと思います。次回もお楽しみに!
訳あり中学生たちの宝島冒険記#8 外尾 泰雅side
初、男の子目線!
頑張ります!
初恋の女の子は、僕の前から姿を消した。
---
(当時、小学6年生)
5月、小学校最後の運動会、午前の競技が終わりお昼休みに入ったときに違うクラスの石原のところに遊びに行った。俺と石原が話していると、
「ねえ、君、名前何?」
横から話しかけられた。
「ん?」
俺よりも背の低い、ちびがいた。背がちっちゃくて、髪はポニーテール、目がくりっとしていて、えくぼがあった。帽子に青色のハチマキがついていたから石原と同じ団なんだろう。
それよりも…
「年上に向かってなんなん。その口の利き方は」
ちびのくせに生意気な喋り方しやがって。隣で石原が何か言おうと口をパクパクしているが、今は関係ない。このちびを追いやるのが先だ。
「お前何年生?4年生ならそこにわらわらいるけど。あ、5年生?ならそっちだな」
ちびは顔を真っ赤にしている。
「おい外尾そのくらいに_」
石原が何か言いかけた次の瞬間、腹に衝撃が走った。
「うっっ!!」
殴られたと気づいたのは数秒後、ちびの握り拳を見た時だった。
「おまっ!なにすんだよ!」
「はあ?あんたが悪いんでしょ!」
一連の流れを見ていた石原はやれやれという顔をしながら言った。
「お前、こいつのこと知らないの?|姫野 瑠衣《ひめの るい》だよ」
ひめの るい…姫野 るい…姫野 瑠衣…。
「知らねえ。誰そいつ_うっっ!!」
「こいつサイテー!せっかく石原の友達っぽいから仲よくしてやろうと思ったのに。なんなん!誰そいつてなんなん?小学校6年間何してたん?」
「石原っ!こいつのこと|躾《しつけ》といてよ。また来るから」
姫野 瑠衣とかいう女は、強風が吹くかのようにまくしたてた後、嵐のように去っていった。
「何あいつ」
姫野 瑠衣は、もうすでに、テントの中で友達と楽しそうに笑っている。その中に男子もちらほら交ざっている。瑠衣が何か言ってどっと笑いが起きた。瑠衣は隣の男子の腹をグーパンで押した。でも、俺の時とは違って楽しそだ。
「あいつ…瑠衣は、一部の男子からメスゴリラって呼ばれてるんだ。気をつけたほうがいいぞ。あと、一部の人間、陽キャたちから嫌われているみたいだから、そのことには触れるな。でも誤解すんなよ。友達は多い方だし、結構有名人だよ」
「ふーん」
メスゴリラ…。そう呼ばれているのにも納得がいく。少ししか話してないけど、いかにもメスゴリラだった。
「あ、生活部委員長で、一部の年下から慕われてる。俺も、『瑠衣ちゃん!何してるのー?』って瑠衣に群がっている低学年たちを見たことがある」
「ふーん。っはは!低学年にしか慕われてないのか。」
「いやそれは違うぞ。ほら、あれ見てみろ」
「ん?…っな!」
指さされた方向を見てみると、そこには何とも言えない光景が見えた。さっきとはまた別のところで瑠衣が、4,5年生の男の子たちに囲まれている。中には俺の弟もいた。一人が瑠衣に話しかけると、瑠衣は笑いながらうんうん頷いている。と思ったら頭を叩いた。
男の子が頭を押さえると、瑠衣を含めた周りが笑った。
そのあと、男の子たちに連れられて運動場の反対側に行ってしまった。
「な!」
「あいつ、すごいな。でも俺、ほんとにあんな奴知らないぞ」
「そりゃそうだろうな。お前、5年の時に引っ越してきたし、その上興味ない奴の名前全然覚えないもんな」
「おー……そういわれたらそうだけど、お前最低だな。てかお前!留衣のこと詳しすぎだろ!」
「まあな。これでも俺、あいつとは1年のころからの付き合いだしな」
なぜか知らんがドヤる石原。てか俺、全然悪くねえじゃん。ちびとか言ったのは仕方ないけど、石原が言ったように俺は興味ない奴のことは何にも知らないんだから。
「|外尾 泰雅《ほかお たいが》君、ドンマイ!ま、とりあえず瑠衣にはちゃんとお前のこと説明しとくよ」
「ああ、よろしく頼む」
じゃあな、と言って俺たちは別れた。
いえい!
終わったー!
男子目線キツイ!!
次はがんばりまーす!(早めに書けるように!)
訳あり中学生たちの宝島冒険記#9 外尾 泰雅side
受験生は1日最低1時間は勉強しないと行けないらしい。
運動会から数日後_昼休み、石原たちのクラスに行くと瑠衣が話しかけていた。
「運動会の時はごめん!泰雅が転校生だなんて知らなかった」
おいおい……お前も人の事いえねーじゃんかよ。
「ふーん……ちゃんと謝るという人の心をお持ちで」
皮肉を込めて言ってやる。
「ちゃんと私には人間の心……良心があるよ。石原に泰雅の事聞いたとき、良心が痛んじゃった」
眉を下げ、顔をくしゃっとして笑う姫野 瑠衣が、少しだけかわいいと思った。
「へー。血も涙もない鬼だと思ってた」
「ふざけたこというなーーー!!!!」
嫌味を言うのは楽しい。
「ときに泰雅君」
瑠衣が真面目腐った顔で俺に問いかける
「ん?なに」
「ライン教えてー!」
は?
「もう1回言って」
「ライン教えてー」
いや、は?俺、まだこいつのこと許してねーのになんでラインとかいう個人情報教えなきゃならんのだ。初対面と言っても過言ではないし。
「ムリ」
「えーなんでぇぇ」
「俺まだお前のこと許してねーしゴミクズが」
「しょ、しょんなー」
ここで会話をバッサリ終わらせて俺は教室に戻る。チャイムが鳴る前に戻ってなかったら先生にひどく怒られるからだ。それだけはマジカンベン。
次の投稿も遅いよー!多分
訳あり中学生たちの宝島冒険記#10 外尾 泰雅side
放課後家に帰るとラインが来ていた。
【|姫野 綾《ひめの あや》】
姫野綾……?誰だコイツ。
ひとまず内容を見てみる。
【やっほー!】
【瑠衣でーす!】
【よろしくねー】
【クマのスタンプ】
は……?なんでこいつが俺のライン持ってんの?さては石原の仕業だな。
すぐに石原と連絡を取る。
【お前、姫野瑠衣に俺のライン教えたんか⁉】
【教えたけど、それがどうかした?】
どうかしたってお前……入力しようとしてすぐに電話の方が早いと思って切り替える。
「おい!それがどうしたってなんだよ!」
『え?別にいいだろ。ラインくらい』
「ラインくらい、じゃねえよ!ラインはなあ、人と人をつなぐ連絡手段だが、個人情報と一緒なんだぞ!大体俺は、あいつにはやらねえって_」
『まー、そーゆーことだから。俺今から宿題すっから3時間くらい電話もラインもすんなよ。じゃあな』
ガチャ
「おい!ちょっと待て!」
切れた。
「っクソ」
姫野綾を姫野瑠衣に書き換える。からのブロック。これでよし。
泰雅君ヒドイ……😱