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目次
あの夏が飽和する。
初曲パロ!
合ってますか?
「昨日人を殺したんだ」
君はそう言っていた。梅雨時ずぶ濡れのまんま部屋の前で泣いていた。夏が始まったばかりというのに君はひどく震えていた。
そんな話で始まるあの夏の日の記憶だ。
---
「殺したのは隣の席のいつも虐めてくるアイツ。もう嫌になって肩を突き飛ばして、打ち所が悪かったんだ。もうここにはいられないと思うし、どこか遠いとこで死んでくるよ」
そんな君に僕は言った。
「それじゃ僕も連れてって」
財布を持って、ナイフを持って、携帯ゲームもカバンに詰めて、いらないものは全部壊していこう。
あの写真もあの日記も今となっちゃもういらないさ。人殺しとダメ人間の
君と僕の旅だ。
そして僕らは逃げ出した。この狭い狭いこの世界から。家族もクラスの奴らも全部捨てて君と二人で。
「遠い遠い誰もいない場所で二人で死のうよ。もうこの世界に価値などないよ。人殺しなんてそこら中湧いてるじゃんか」
君はなにも悪くないよ。
「君はなにも悪くないよ」
結局僕ら誰にも愛されたことなどなかったんだ。そんな嫌な共通点で僕らは簡単に信じあってきた。
君の手を握った時に微かな震えは既に無くなっていて、誰にも縛られないで二人線路の上を歩いた。
金を盗んで、二人で逃げて、どこにも行ける気がしたんだ。今更怖いものは僕らには無かったんだ。
額の汗も落ちたメガネも、
「今となっちゃもういらないさ。あぶれ者の小さな逃避行の旅だ」
「いつか夢見た優しくて誰にも好かれる主人公なら、汚くなった僕たちも見捨てずにちゃんと救ってくれるのかな」
「そんな夢なら捨てたよ。だって現実を見ろよ?シアワセの四文字なんてなかった。今までの人生で思い知ったじゃないか。・・・・・・自分は何も悪くねぇと誰もがきっと思ってる」
あてもなく彷徨う蝉の群れに。水も無くなり揺れ出す視界に。迫り狂う鬼たちの怒号に。バカみたいにはしゃぎあい。
ふと君はナイフを取った。
「君が今までそばにいたからここまでこれたんだ。だからもういいよ、もういいよ。|死ぬのは私だけでいいよ《・・・・・・・・・・・》」
そして君は首を切った。まるで何かの映画のワンシーンだ。白昼夢を見ている気がした。
気づけば僕は捕まって。
君がどこにも見つからなくって。君だけがどこにもいなくって。
そして時は過ぎていった。ただ暑い暑い日が過ぎてった。
家族もクラスの奴らもいるのに、なぜか君だけはどこにもいない。
あの夏の日を思い出す。僕は今も今でも歌ってる。
君をずっと探しているんだ。
君に言いたいことがあるんだ。
九月の終わりにくしゃみして、六月の匂いを繰り返す。
君の笑顔は、君の無邪気さは、頭の中を飽和している。
「誰も何も悪くないよ。
君は何も悪くはないから。
もういいよ。投げ出してしまおう。
そう言って欲しかったのだろう?
なあ?」
---
「君たちが悲しかったことをちゃんと僕は知っている。
自分独りだと思わないで。苦しくて、寂しくて、どうしようもなくなったら、建前とか遠慮とか、何もかも全部投げ出して誰かに助けを求めるんだ。これからは必ずそうするんだ。
僕でもいい。僕だったら、 君達を絶対に見捨てない。
いいね?
これから僕たちは、いろんなことを、いろんな人に責められるだろう。それは生きている僕たち全員に起こりうることだ。
だけど、君たちは決して、まったくもって、何一つ、悪いことはしていない。
君たちは何も悪くないよ」
人生はコメディ
「希望なんてもの全部無駄だ。だって人はいずれ消えるから。それに一早く気付いた僕らは何だって出来る」
蝉が鳴く田舎道を、蝿が舞う街灯の海を、僕らは死に場所を探し旅をする。
ルピナスの胸に眠って、雨空の熱と踊って、蜜の匂いが奏でる道を歩く。
「君の眼鏡は吹き飛んで、寂しさを肌にすがって、ここにいる証明を探している」
「さよなら。僕らは人生を捨てた」
剥がれた化けの皮を喰った。
「今ならどこにだっていける」
人生はコメディ。衝動のストーリー。人生のエネミー。滑稽なグローリー。
「償いなんて嘘だ。間違いがあって当然だ。神様は君だけだ それ以外全部ゴミクズだ」
死に場所を探し歩いた。今だけはまだ死ねなかった。
僕らはみんな選択の自由があるから
泥にまみれて笑った。野犬を食らって嘆いた。
言葉に価値はないけど君だけは真実なんだ。
線路を歩く姿が映画のカットみたいで、これがドッキリなら本当笑えるよ。
「これから、僕らは将来を捨てる」
「汚れた心だってわかってる」
「今ならどこにだっていける」
人生はコメディ。哀愁のストーリー。惨劇のアイロニー。後悔のセオリー。
蝿と共に生きて、蝉と共に死んで、秋空の海と共に僕らは舞う。
最終回を目指せ。常識全部笑え。
彷徨う夏の海に蜃気楼の先に、僕らが描いた結末がある。
「さよなら。僕らは人生を捨てた」
汚れた抜け殻を纏った。
これから僕らは後悔で眠る。
今ならどこにだっていける
人生はコメディ。人生はコメディ。人生はコメディ。人生はコメディ。
「人生はコメディ」
---
「すげぇ!すげぇよ本当!
これが運命ってやつだ!
俺は今日、今この瞬間、全てが報われる!
最高!最高だよ!俺の人生!
皆見てろ!喜劇が起こるぞ!
人生はコメディだ!」
爆弾
爆弾のような花火が街を駆け巡る頃、あなたのことを思い出すのです。どこかできっと同じ花火を遠い所で見ていること、そんなことばかり願ってしまいます。
薫風が耳を貫いて汗ばんだ肌を夏蝉が馬鹿にして、私は熱帯夜に溶けてしまいそうです。
「親愛なるあなたへ。
私は私になれるでしょうか?こんな体でこんな見た目で、自分を愛せるでしょうか。
親愛なるあなたの爆弾になれるでしょうか?あなたの全てをぶち壊すような、そんな夏になりたい」
街は哀で満ちています。途方も無く熱が熟れていて、窓越しに見える祭り囃子に黄昏るばかり。
蚊取り線香の匂いすら全てが愛しく思えていて、永遠なんてものを思ってしまいます。
あなたもきっとお金とか生活とかに染まりながら、大切な何かを探していますか?
「親愛なるあなたへ。
あなたを思うたび嫌いになって、嫌いになって苦しくなって、そしてまた好きになります。
親愛なるあなたの言葉は爆弾のようで、私の全てをぶち壊すようなそんな夏でした」
上手く飾って、上手く並べて、綺麗にできましたって人生を。
捨て去ってしまって私はぼーっと打ち上げ花火を見てます。
あなたが書いた詩を、私は少ない脳でなぞるだけ。泳ぐだけ。金魚鉢の中の様。
「親愛なるあなたへ。
私はいつか私になって、さよならが全て愛おしいことを、必ず証明してみます。
親愛なるあなたの爆弾になれるでしょうか?あなたの全てをぶち壊すようなそんな詩を書きたいのです。
あなたの全てを見下ろせる様なそんな夏になりたい」
「そんな夏になりたい」
不器用な男
死にたくないから物語を書いていた。時代じゃないのにペンを使った。気取っていたんだ。
気が遠くなるほど物語を書いていた。
大人になるのが本当楽しかった。
---
死にたくないから物語を書いていた。
君ならどんな結末を望むだろうか。
こんな展開なら君なら笑うだろうか。泣くんだろうか。怒るだろうか。
架空の君を書いていた。掴めない感触は綺麗で。
それ全部フィクションなんだ。それでも書いた。
終われなかった。
「こんなんで終わるかよ。書ききったって言えるかよ」
春も夏も秋も冬も書いた。死にたくないから。
ゴミみたいな部屋で、今日も生み出していた。
「そうさ俺は不器用な男」
死にたくないよ。死にたくないよ。死にたくないよ。死にたくないよ。
「死にたくないよ」
人間らしさを知りたいから物語を書いていた。正々堂々言葉が出せない俺は人間じゃないから。
言いたいことばかり書き留めていたら物語が出来ていた。誰も見ないけどなんか楽しかった。
人間らしく笑ってみたいから物語を書いていた。頬の筋肉はとうの昔に廃れちまった。
評価されるたび嬉しくなるのはきっと俺が醜いからだ。褒められたいと思うたび自分を恥じた。
会えないからボロクソ書いた。昔の友人、先生、家族。あの日愛した君すらも、それだけで優越感があった。
人生全部埋めるように、寂しさを全部埋めるように、朝も昼も夜も日々を書いた。倒れてしまうほどに。
だって何にも満たされやしないんだよ。
「そうさ俺は欲張りなんだ」
生み出したいよ。生み出したいよ。生み出したいよ。生み出したいよ。
「生み出したいよ」
音楽、恋愛、映画に旅行、話のネタになることはなんでもやった。
吐き出してはまた喰らった。食らって泣いて吐いて泣いて、なんか人間みたいだな。
人生全部焦がすように、ひたすらペンを震わせた。
何年何十年生涯これだけだった。
こんなものがクソの役に立つものか。
そんなものわかっている。
わかっているのに、、
「こんなんじゃ終われない。書ききったって言えやしない」
春も夏も秋も冬も書いた。死んでしまうから。
ゴミみたいな部屋で、泣きはらしながら書いていた。
「そうさ俺は不器用な男」
死にたくないよ。死にたくないよ。死にたくないよ。死にたくないよ。
「死にたくないよ」
生み出したいよ。生み出したいよ。生み出したいよ。生み出したいよ。
「生み出したいよ」
「死にたくない」
命に嫌われている。
「“死にたい”なんて言うなよ。
諦めないで生きろよ」
そんな歌が正しいなんて馬鹿げてるよな。
実際自分は死んでもよくて、周りが死んだら悲しくて、「それが嫌だから」っていうエゴなんです。
「他人が生きてもどうでもよくて、誰かを嫌うこともファッションで、それでも“平和に生きよう”なんて素敵なことでしょう」
画面の先では誰かが死んで、それを嘆いて誰かが歌って、それに感化された少年がナイフを持って走った。
僕らは命に嫌われている。
価値観もエゴも押し付けて、いつも誰かを殺したい歌を簡単に電波で流した。
僕らは命に嫌われている。
軽々しく死にたいだとか、軽々しく命を見てる。
「僕らは命に嫌われている」
お金がないので今日も 一日中惰眠を謳歌する。
生きる意味なんて見出せず、無駄を自覚して息をする。
“寂しい”なんて言葉でこの傷が表せていいものか。
そんな意地ばかり抱え今日も一人ベッドに眠る。
少年だった僕たちはいつか青年に変わってく。年老いていつか枯れ葉のように、誰にも知られず朽ちていく。
不死身の身体を手に入れて、一生死なずに生きていく。そんなSFを妄想してる
自分が死んでもどうでもよくて、それでも周りに生きて欲しくて、矛盾を抱えて生きてくなんて怒られてしまう。
「正しいものは正しくいなさい」
「死にたくないなら生きていなさい」
悲しくなるならそれでもいいなら、ずっと一人で笑えよ。
僕らは命に嫌われている。
幸福の意味すらわからず。
生まれた環境ばかり憎んで、簡単に過去ばかり呪う。
僕らは命に嫌われている。
さよならばかりが好きすぎて、本当の別れなど知らない。
「僕らは命に嫌われている」
幸福も、別れも、愛情も、友情も、滑稽な夢の戯れで全部カネで買える代物。
明日死んでしまうかもしれない。
すべて無駄になるかもしれない。
朝も、夜も、春も、秋も、変わらず誰かがどこかで死ぬ。
夢も明日も何もいらない。
君が生きていたならそれでいい。
そうだ。本当は、
「そういうことが歌いたい」
命に嫌われている。
結局いつかは死んでいく。
君だって僕だっていつかは枯れ葉のように朽ちてく。
それでも僕らは必死に生きて。命を必死に抱えて生きて。
殺して、足掻いて、笑って、抱えて、生きて、生きて、生きて、生きて。
「生きろ」
なぜ
「過ぎ去った日々ばかりが、美しいのはなぜ?
手放した憎しみが名残惜しいのはなぜ?
あなたを愛おしいと思えば思うほど、自分が醜くなるのはなぜ?」
『病んでる君は面倒くさい』
そんなことを言うモンスターに好かれる必要なんてないのに。
いつの間にか丸みを帯びた脳味噌の定位置が定まらない
逃げ出したいと願って辿り着いた。
気づけば頭が空っぽだ。
生きることにしがみついて一体何を忘れたんだろう?
「愛も温もりも苛立つのはなぜ?
報われやしないのに救う側なのはなぜ?
あなたを愛する勇気がないのに、あなたに触れたいと思うのはなぜ?」
「悲しい」
なんて口に出したら、甘えだろなんて言われて、舐められるのはへっちゃらなのさ。だから見放すのはやめてくれ。
散々切り捨てたくせにさ。そうやってできたこの場所だ。
「もう弱音は吐けないぜ」
雪化粧も、紅葉の色も、夏の匂いも、桜の数も、何一つ思い出せないのはなぜ?
どこにだって行けるのに、どこにも行けないのはなぜ?
腹の底から込み上げる恐れが抑えられないのはなぜ?
「そうだ逃げよう。全部捨てよう」
地位も名誉もただのゴミ屑だ。
回答をどうぞ。
「何が愛だよ。
思い通りが良いくせに保護者面するんじゃねえよ」
全部敵だ。全部捨てよう。
「でもあなたが邪魔をするのはなぜ?」
少年少女
いつだってあなたに会える。
そうでしょう。
あなたが言っていたのだから。
別れなど少年少女に恐れなし。
部屋の埃も気にしない。傷つくなんて恐れない。
大切なものを探すため、大切なものを切り捨てた。酒の味も、タバコの味も、叩き売りでばら撒いている寿命。
悪意は地位だ、個性は格だ。
「自分を愛せない流行り病」
努力が未だ糧にならない。もう全部投げ捨ててしまおう。
才能が憎い、認められたい。あいつのポッケから盗んでやろう。
「朝日が嫌い。夜に染まりたい。理解されない。言葉が出ない。何もできない。走り出したい。
ここには理想なんてものはない」
娯楽で成長してはダメなのか。今だけを愛してはダメなのか。
“ありがとう”とか、“ごめんなさい”とか、当たり前がなぜ吐き出せないのか。
社会性も協調性も見返りなしじゃ担えない。
今が何者かわからないのに、
「何になれると言うんだ」
価値観に潰されて、人間を学んでる少年少女。
差別も身に余る別れも、名残に相応しい。
不幸ばっかりを愛して、誰よりも涙する少年少女。
「綺麗に自分を愛せるように。誰かと寄り添い合う未来を」
未来を、未来を、未来を、未来を、未来を。
「未来を」
僕らはこんなに痛いのに、大人は何もわかってない。
そりゃそうかあんたらの時代じゃ、別の悲しみが流行ってた。
相手の気持ちにならなくちゃ、僕らはなんにも変われない。
それなのに何故か止まらない。
「呪いが頭から離れない」
守り続けたいものが、人か物なのかわからない。
晴れて気づくと言うけれど、時たま切り捨ててしまいたい。
背丈も、腹も、毛の長さも、自分は常に蠢くのに、他人の変化は許せない。命の浪費が許せない
夢を叶えたい気持ちだけでは、歩き出すことしかできないのに。
夢を諦める時の辛さは、叶えたい辛さと同じなのに。
齢十数年の尺度では、学べるものが少なすぎるのに。
「なんで、楽しくてしょうがないんだろう」
何でもない明日に笑いが止まらない少年少女。
無駄な瞬間なんてない。理由なんて何もいらない。
純粋無垢な心を愚かと馬鹿にされる少年少女。
空っぽになる前にテンプレートでも叫ばなくちゃ未来に。
未来に、未来に、未来に、未来に、未来に。
「未来に」
いつか虚しくなるものは。本気で愛してしまうのは。手に入らないと気付いても、諦めず手を伸ばすのは。
弱さではない、何も知らない。
思いのまま描く強さがあるから。
君たちの好きという気づきは、いつか世界を突き動かすから。
君たちの嫌いという叫びは、いつか世界を目覚めさせるから。
「何一つ逆らえない何かに直向きになっていいんだよ。
誰にも否定など出来ない。
君たち以外に誰にもいない」
何千回と挫けて、それでもなお歯向かう少年少女。
世界を作っているのだ。痛み如きが邪魔するな。
青春を泳いでいる。全てが自由である少年少女。
光か闇か未だ不明。
押し付けられた弱さに負けるな。
負けるな、負けるな、負けるな、負けるな。
「自分に負けるな!」
あんたは死んだ Acoustic .ver
“あんたは死んだ”
だから僕は悟った。この世の全てを悟った。
愛を悟った。時間を悟った。夢を悟った。人生を悟った。
「誰も近寄るなよ?
何をするかわからねぇぞ。
俺は爆弾だ。
フラッシュモブが見たいか?
コメディ映画の酷評をしたいなら、俺の人生がお好みじゃないか」
偶像だ。偶像だ。愛も温もりも偶像だ。
神様はあんただ。あんただったはずだ。
そうか、幸せも不幸もきっと他人がいないと手に入らない。
今回あんただったわけか。
「“あんたは死んだ”
だから僕は悟った。
人間を悟った。人生を悟った。
“あんたは死んだ”
だから僕は悟った。
この世の全てはいつか消える。愛も友情も金も全部消える」
心が死んだ瞬間はいつだ?呼吸が乱れた瞬間はいつだ?
あんただけを知り得なかった。
あんたを知りたい。
「あんたを知りたい」
「言葉では足りない」
あんたは言った。
『あの日君が全て』と。
確かに言った。
脳が嘘を吐いてるかもしれない。
でもあんたは言った。
確かに言った。
「確かに言った!」
歴史に刻めない時間は、全部無駄だったのか?
「この世はクソだ。あんたが消えたくなる世界だ。
俺はクソだ。あんたを救えなかったカスだ。
でもあんたもクソだ。あんたは死んだ。
それが全てだ!」
体にずっと触れていたくて。
心がずっと海に抱かれているようで。
見返りがなくても、望みに寄り添いたくて。
もしかしてこれが愛なのかな。
「でもあんたは死んだ。
だから!僕は悟った。
あんたこそ僕の全てだったんだ。
あんたは海で、あんたは空で、あんたは夢で、あんたは月で、あんたは自由で、この世の全てだった。
愛してんだ」
「愛だったんだ!」
青い号哭
骨が軋む音がする。爪が優しく乾いている。本棚を掃除する時が一番心地いい。
大切なものがあったような、愛しいものがあったような、忘れたフリして覚えてんだよな。
今日もあの頃に戻ってみよう。
シワがついたおでこの奥の記憶を呼び覚ましてみようか。
「なんでこんな早く大人になってしまうんだ。
夜が綺麗とか夏の幽霊とかぼやけたものばかり。なんでそんなものが綺麗に見えてしまうんだ。
取り残され息を飲む青い号哭」
桜の匂いがしてる。
窓の外が少し怖い。
網戸に桜の花びらが寄り添っていた。
このまま全部終わってくんだ。
それでもどうでもいいんだよな。思い残したことはあっただろうか。
本当は後悔しかないんだ。でももう戻れないんだろうな。
春ももうすぐ終わってしまうから。
「なんでこんな早く大人になってしまうんだ。
星が綺麗とか海が眩しいとか単純なことばかり。なんでこんなものが愛しくなってしまうんだ。
脳の奥、鳴り響いた青い号哭」
目標もなく夢もなくただやりたいことだけやった。
批判されても馬鹿にされても何一つ変わらなかった。
雨の音、秋の夕暮れ、冬の雪化粧、昼下がりの石油ストーブ。過ぎ去る記憶の匂い。
「なんでこんな早く大人になってしまうんだ。
青く染まった空の奥に世界があるって思ってた。
心の奥でずっと怖かったよ。大人になるのが怖かったよ。でも大人になっちゃったんだよ。
夜が綺麗とか夏の幽霊とか星が綺麗とか海が眩しいとか。
目標もなく夢もないけどそれだけでいいじゃんか」
窓を開ける。
「さよならだ春の匂い」
スーツ
「そうだ、人間を辞めよう」
ネクタイ一つ僕を括れない。
安いグリースみたいなプライドなど、全部削ぎ落とせ。知識なんて脱ぎ捨てて。
コーヒーをぶちまけよう。
おばあちゃんを助けよう。
階段で転ぼう。
向かい風に負けよう。
価値とか地位とか言う癖に。泣きたい夜あるなら正直に。
「ねえ、今すぐ踊って引き返せ」
しゃしゃり出てるおへそに嚙みついて、犬みたいに吠える夏。
はしたないの。そんな腹見せて、ベルトを外したなら。
もう今日は蝉時雨に抱かれて、ボカロ曲でもどうでしょう?
「歌詞ができない?
フレーズが湧かない?
いいからDAWは開いとけ!」
それほど空っぽじゃない癖に、怠惰な日々脳の使い捨て。
思春期だからしょうがないね。二十三十で子どもみたいね。じゃ今日も意味なくシコっとけ。
で、明日頑張ればええやん。
「価値とか地位とかいいからさ。
泣きたい夜隠して行かないで。
ねえ、今すぐ心に訊いてみて?
触れ合って無敵なフリしないで」
傷なくして僕らは出会えない。寂しいのは時代のせいにして。
「言いたいことあるなら言うとくれ。
溜め込んでるそれ、もうバレてるぜ」
神様を気取るなよ。
どこまでも厚い面の皮。
生き恥を晒してる。
あんたのほうが性欲が滾る。
「だから、人間を辞めよう」
正論一つここじゃただの文字。
「おい、黙秘すんな」
命はさ、セールのスーツでは飾れない。
今すぐハグして、匂いを嗅がせて。
愛とか恋とかいいからさ。ほら、今すぐ裸でキスをして。また安全なとこでイっちゃって。
「傷ついたら泣いたらいいじゃんか」
なあ、よくあるジョークで濁してさ。ほら、エイトのビートで腰振れよ。
「もう愛とか恋とか言う前に、生きたいと気づけよ」
・・・これは全年齢でいいのか?
あんたは死んだ 「自由に捕らわれる。」ver
あんたは言った。確かに言った。
言葉では足りない。思い出じゃ足りない。
あんたを知りたい。
あんたに成りたい。
あんたを喰べたい。
空っ風が冷たい。
「誰も近寄るなよ?
何をするかわからねぇぞ」
僕は爆弾だ。
「フラッシュモブが見たいか?」
コメディ映画の酷評をしたいなら、僕の人生がお似合いじゃないか。
全部、偶像だ。偶像だ。
娯楽混じりに皆、嘘をついてんだ。
本物はあんただ。あんただけなんだ。
そうか、幸せも不幸もきっと他人がいないと手に入らない。
「今回あんただったわけか」
あんたは死んだ。だから僕は悟った。
人間は神様になったつもりで、散り際の枯葉のように脆い。
あんたは死んだ。だから僕は悟った。
「この世の全てはいつか消える」
愛も友情も金も全部、消える。
体温が煩い。人間を辞めたい。
あんただけの化け物に成りたい。
手足を伸ばして、黒子を足して。
耳なんて要らない。心すら要らない。
「今さらもう遅い」
あんたは言った。あの日「君が全て」と。
確かに言った。脳が嘘を吐いてるかもしれない。
でも、あんたは言った。確かに言った。
「確かに言った」
「歴史に刻めない時間は所詮、娯楽でしかないのか?」
この世はクソだ。あんたが消えたくなる世界だ。
僕もクソだ。あんたを救えなかったカスだ。
でも、あんたもクソだ。あんたは死んだ。
「それが全てだ」
身体にもっと触れていたくて。
心がずっと海に抱かれているようで。
見返りがなくても望みに寄り添いたくて。
もしかしてこれが「愛」なのかな。
でも、あんたは死んだ。だから僕は悟った。
「あんたこそ僕の全てだったんだ」
僕の愛も友情も金も地位も名誉も幸福も不幸も起源はあんただけだ。
あんただけが、あんただけは、あんただけを、
「愛してたんだ」
愛だったんだ。
最近投稿していませんでした
許してください
シリーズ投稿も頑張ります
偶像
物語を書こうとするたび、目を瞑るたび思い出す。
あいつの最後の瞬間が。あいつを埋めた時の土の匂いが。
春空で昔を思い出した。
やる気なら桜とともに散った。
考えなくても景色は変わるから。
夏雲を見ると文字が浮かんだ。それでも形にはならなかった。
だって、だって、だって。
「全部偶像だ。偶像だ。
この言葉の全てが偽物だ」
「生活のためさ、感動するなら金をくれ」
なあ、笑えないぜ。
「なあ 笑えないぜ。
なあ、何一つ楽しくないんだよ。
親愛なるあなたへ」
だって、だって、だって。
秋風に押され町を歩いた。体に力が入らなかった。
落ち葉の方がよっぽど綺麗だ。
冬晴の風が心地よかった。
短い昼の間に消えたかった。
だって、だって。
「吐きそうなくらいにさ、溢れてしまうんだ」
描きたい言葉。描きたいあなた。
この体がしょうもなく、創作を欲してる。
「だけど偶像だ。偶像だ。
僕の全部に価値がないんだよ。
『本当に救われました』とか
馬鹿言ってんじゃねぇよ!」
もう、笑っちゃうぜ。
「もう、笑っちゃうぜ。
もう、人生の値踏みは終わったよ。
親愛なるあなたへ」
朝目が覚めたら過去に戻って、綺麗な線路を辿れたのなら。目が潰れるほどの衒う花火が見たい。
脳味噌を全部抉るみたいに、何もかも全部壊してくれよ。
塵になったら抱きしめてくれよ。生きたいと思うほど。
「偶像さ。偶像さ。
何一つ救えなどしないんだよ。
僕みたいなんてなるなよ?ただ恥を知るぜ」
なあ、違いないぜ。
「なあ、違いないぜ。
なあ、人生はあなたしか変えられない」
「だろう?」
「全部偶像だ。偶像だ。
でも心地よくて仕方ないのさ」
春も夏も秋も冬も書いた。生み出したいから。
なあ、生み出したいよ。
「生み出したいよ。
なぁ?人生の値踏みが終わっても、涎が止まらないよ。
誰かを救いたい、とかどうでもいいんだよ」
自分を救いたい。自分を愛せない。誰か愛してくれよ。愛してくれよ。
生み出しても孤独が止まらないよ。
親愛なるあなたへ。
「あなたを救うのは、あなたしかできない。
それは僕ではない」
あなたを救うのはあなたしかできない。
畢生よ
僕らはやりたいことやるために、描き続けた未来。
偉大さに欲望し続けて数年、爪も髪も手入れ不足だ。
奪う側と奪われる側。
与える側と与えられる側。
「気付くまで何度失った?」
思い返すほど無様だ。
証を残したかったり、大切なものがあったり。
死に絶えた選択肢が、
「鈍い心に染みる」
見失ったものはなんだ?
守るべきものはなんだ?
何を信じ何を目指して、命をかければいい?
「愛すべきものたちと同じ方向を歩きたい。
畢生よ。
そのためには、僕らはどう生きればいい」
小汚い日々を補うために、見ないふりばかり続けた過去が当たり前のように嘲笑。プライドばかりが邪魔をする。
奪う者と奪われる者。
失敗したら失敗したまま。
すれ違う生涯すら様々。
「じゃあ僕は何をしてんだ?」
自分勝手な自分を変えるために足掻きたい。
限られた残機が揺れる心に触れる。
見失ったものばかりだ。
守りそこなったものばかりだ。
何を信じ何を目指して、命を諭せばいい?
「愛すべき者たちを愛することはできるか?
畢生よ。
愚かさをどうにも拭えないのだ」
愛されたいなら愛すればいい。
与えられたいなら与えればいい。
誰かの命を蹴落としてまで、保ち続けた時間。
未熟さを捨て去って救うべきものがある。
鈍い心が今だと叫ぶ
見失ったものばかりで。
守れなかったものばかりで。
しかし確かに胸を張って、なりたい未来がある。
愛すべき者たちを愛すべきと気づいた。
畢生よ。
「終わるのならあなたの希望となる」
畢生よ。
俺の残機を投下します。
君の神様になりたい
「僕の命の歌で君が命を大事にすればいいのに」
「僕の家族の歌で君が愛を大事にすればいいのに」
そんなことを言って本心は欲しかったのは共感だけ。
欲にまみれた常人のなりそこないが、僕だった。
苦しいから歌った。悲しいから歌った。生きたいから歌った。ただのエゴの塊だった。
こんな歌で誰かが、救えるはずないんだ。
だけど僕は、
「君の神様になりたかった」
「こんな歌で君のジュグジュグ腐った傷跡が埋まるもんか。
君を抱きしめたって、叫んだってなにも現実なんて変わるもんか」
がむしゃらに叫んだ曲なんて、僕がスッキリするだけだ。
欲しかったのは共感だけ。でも君も救いたかった。
僕は無力だ。僕は無力だ。僕は無力だ。僕は無力だ。
「僕は無力だ」
ボロボロに落ちてかさぶたになった傷で。
誰かと喋ってみたかったんだ、馬鹿みたいな話。
「あなたに救われました」と「生きたいと思いました」と。ああそうかい、変わったのは自分のおかげだろ。よかったな。
子供の頃は自分も素敵な大人になると思っていた。ていうか素敵な大人になって、自分を救いたいって思ってた。
時が経ち僕が成すのはボロボロの泥だらけの自分で。生きるのに精一杯。ゲロ吐くように歌う日々だ。
何度だって歌った。かさぶたが剥がれるほど歌った。
生身の僕で、
「君の神様になりたかった」
「こんな歌で君のジュグジュグ募った痛みが癒せるもんか。
君を抱きしめたって、叫んだって君が苦しいことは変わらないや」
グラグラで叫んだ曲なんて、僕も実際好きじゃないや。
欲しかったのは共感だけ。それじゃ誰も救えないや。
僕は無力だ。僕は無力だ。僕は無力だ。僕は無力だ。
「僕は無力だ」
生きた証が欲しいとか、誰かに称えて欲しいとか、そんなのはさほど重要じゃない。どうせ落ちぶれた命だ。
誰かを救う歌を歌いたい。誰かを守る歌を歌いたい。
君を救う歌を歌いたい。
「無理だ」
「君は君が勝手に君のやりかたで幸せになれる」
「こんな歌で君のジュグジュグ腐った傷跡が埋まるもんか。
君を抱きしめたい、叫んであげたい君の傷跡も痛みも全部」
でも所詮君は強い。君はきっと一人で前を向いていくんだ。
それならばいい。だけどもし涙がこぼれてしまう時は、君の痛みを、君の辛さを、君の弱さを、君の心を、僕の無力で、非力な歌で、汚れた歌で歌わしてくれよ。
僕は無力だ。僕は無力だ。
「僕は神様にはなれなかった」
僕は無力だ。僕は無力だ。
「無力な歌で、君を救いたいけど」
救いたいけど。
無力な僕でも、無力な歌でも、僕は君を救いたい。君の心も、君の辛さも、何もかも全部、曝け出して楽になればいい。
何があっても僕は君の味方だ。僕は君を見捨てない。
君の神様になりたい。
自由に捕らわれる。
今まで散々縛ってきたくせに。
「これから自由にやりなさい」とか、馬鹿にしてんのか。馬鹿にはしてないか。
なんでもできるって思ってんだろうから。
それなら期待通りになんでもやろう。
感化されたものはなんでも身につけよう。
周りに何を言われたって好きなものを好きなように好きになろう。
協調性がないやつって言われたけれど。
明るい曲を聞き始めた。本当は興味があったから。
セクシャルを隠すのをやめた。自分を信じ始めたから。
習っていたピアノをやめた。独学でやりたかったから。
「知らない何かに戸惑うばかりだ」
これから僕らはとりとめもない自由の果てに、騙され踊らされ生きていくのだ。
何も考えず過ごすだけで褒められた日々は、二度とは戻らない。あとは忘れるだけ。
好きなものも嫌いなものも、もう誰かが決めてはくれない。
「これから僕らは自由に捕らわれる」
いつだって僕らの価値を決めるのは僕らじゃなかった。それで反抗しなかったのは、それでいいと思ったからじゃない。そもそもそれで妥協してたら、暗い曲にのめり込んでなどいない。
「痛い」「寒い」「辛い」「怖い」って自分の代わりに誰か歌うから。
それが正しい、あれが正しい、って周りが言うから。
あれがいけない、これが許せない、って誰かが言うから。
これからは僕ら好きなように。善悪も全て意のままに。
「それなのに、未だに誰かの了承がないと安心できない」
躊躇したら怒られるから、矛盾したら怒られるから。
考えることはやめてきた、反抗するのはやめてきた。
「今までよくできました」
「それではがんばってください」
頑張るってなにを? 引き離すのか?
「買い被んじゃねぇ。知らないくせに」
これから僕らは、逃れられない自由の果てに、守られ、許されて、生きていくのだ。
幸せになるのは、偶然が味方した人間だ。逃げ場は今更作り忘れた。
好きな人も嫌いな人も、もう自分で知らなくちゃいけない。
「これから僕らは自由に捕らわれる」
自分を信じられないことが、「時代のせい」だと言うのならば、「環境のせい」だと言うのなら、僕らはそれを歓迎するさ。
敵が「周り」だと言うのならば、「バカにした奴ら」だと言うなら、僕らはそれを歓迎するさ。
誰もがそう思っているんだ。
何を好きになればいいのかも、何を嫌いになればいいかも、もうこれからは君だけのもの。その全てが君だけの言葉。
言えなかったこと、悲しかったこと、溜め込んだこと、許される時だ。
今こそあの日のーー
言葉を。
これから僕らはとりとめもない自由の果てに、騙され踊らされ、生きていくのだ。
これから僕らは巨大な何かに揉まれていく。
さよなら、情景。
これから僕らは、春が巡れどもこの先は、綺麗事で騙さなきゃいけない。
引き返せない。戻れやしない。
「それでも最後に笑うのは僕らだ」
「今までも、そしてこれからも、僕は自由に捕らわれる」