プロセカの短編の色々をここに詰め込みます。
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目次
ニゴレンカイ 体調不良 風邪症状
KAITO(13) レンの兄。ミクの弟。ミク、レン呼び。
レン(11) KAITOとミクの弟。体が弱い。カイト兄さん、ミク姉ちゃん呼び。
ミク(16) KAITOとレンの姉。カイト、レン呼び。
2歳違いの兄弟。
さん人とも誰もいないセカイの皆ってことで解釈お願いします。似てないけど。
全員口調迷子。(ニゴKAITO兄さんのイベまだ見れてないんすよ…………)
KAITO兄さんの視点です
「ん……」
窓にかかったカーテンから少し朝日の光が漏れている。
俺はいつもより少し重たい体を起こした。
「ちっ……頭、痛いな」
まぁ、頭痛くらい大丈夫だろう。喉も痛いが、大したことではないだろう。俺はそう思い、リビングへと向かった。
「カイト、起きてる…?」
ミクの声が聞こえた。俺は「あぁ、起きてる。」そう答えた。
「カイト、レンが熱出したの…!だから薬局行ってきてくれる?冷えピタと飲み物買ってきて。お願い……!」
ミクが心配そうな声色で言う。
「解熱剤は?」
「解熱剤はあったから、その二つお願い。」
「…あぁ。わかった。」
俺はだるい体を動かし、薬局へと向かった。
一度レンの様子を見に行ったがかなりしんどそうだった。それを見ると、俺のこの頭痛や喉の痛みくらい、大丈夫かと思えた。
レンは、幼い頃から体が弱く、よく風を引いていた。おかげで看病などには慣れたのはいいものだが、自分の体調不良となると言い出しにくくなるのもあった。
「えっと…冷えピタと、飲み物か…」
ミクが渡してくれたこの二つの金額と、自分の財布も持ってきていたので、ついでに自分用に痛み止めも買った。
「ちっ……」
少しふらつくな、俺は帰り道、そう思った。思ったより、熱が酷くなってきているらしい。頭痛も酷い。歩くのが、いや、立っているのがやっとだ。そんな体調で俺は自分の家へと向かった。
足が重い。体が動かない。信号などで止まったときは近くにある体を支えられそうなものに寄りかかった。
「まずい……帰ったら寝るか。」
俺はそう呟いて、やっとのことで家にたどり着いた。
「ただいま。買ってきたぞ。」
「ありがとうカイト…!レンの部屋に、来てくれる?」
レンの部屋からミクの声が聞こえた。どうやらずっと看病していたみたいだ。
「持ってきたぞ。」
「ありがとう。冷えピタ、頂戴……」
「ああ。」
俺はミクに冷えピタを渡して、「ちょっとだけ飲み物冷やしてくる。」そう言って台所の方へ向かった。
ミクは今もしんどそうなレンにつきっきりで、俺のことなんて見ちゃいない。
冷蔵庫に飲み物を入れてから、自分の部屋に行こうと廊下に出た。
そのとき、視界がぼやけた。
「っ…!」
俺はドンッと壁に寄りかかった。
「はぁ…はぁ…げほっ、ごほ…っ、はぁ…」
立つのもやっとで、苦しくて、寒くて、歩けなくて、視界がぼやけ、ただただ壁に寄りかかっていた。
その数秒後、それすらもできなくて、俺は廊下に倒れた。
---
「ん……」
俺が目覚めたところは、自分のベッドだった。
あれ…俺は…。あぁ、そうか。レンが熱を出したからものを買いに行って……そのまま俺も倒れたのか。
「カイト兄さん……!良かった………」
「レ、ン……」
まだ頭は重いし痛いし、体はだるい。とてもじゃないが起きれる状態ではない。
「大丈夫……?」
「あぁ」
全然大丈夫ではないが。
「僕が…熱出したからカイト兄さんが…」
「レンのせいでは…―――」
「でも、僕が熱出したらカイト兄さん、自分が体調悪くても、隠すでしょ?」
「!」
「だから、僕が熱を出さなかったらカイト兄さんはちゃんと休めてて…」
このまま行ったら、更に自虐モードに入るだろう。レンは体も弱いくせにそういうところも弱いから。
「だから、レンのせいじゃない。言わない俺も俺だ。レンはちゃんと休んでろ!」
「カイト兄さん……」
お前は、俺よりも見てもらえて、心配してもらえるんだから。
「しっかり休め。早く直せ。ミクの心配モードを止めろ。だから休め。」
「…わかったよ…カイト兄さん。カイと兄さんも、ちゃんと休んでね!」
「あぁ、そうする。」
そう言ってレンガ自分の部屋に戻ってから、ミクの声が聞こえた。
「…カイト」
「ん?ミクか…」
「その、ごめん。」
「いい。体調悪いって言わなかった俺も俺だ。それに、俺に比べれば…」
レンのほうがしんどそうだった。きっとあいつは立てもしなかっただろう。
「これからは、ちゃんと言ってね…!心配だから、」
「ああ、そうする。」
「……」
ミクは黙って安心したような顔をすると、
「しっかり休んでね。」
そう言って俺の部屋から出ていった。
俺も、心配はされる…のか。
いやいや、されたところでどうなんだって話だが。
「…レンだけじゃなくてよかった。」
家族であることには変わりなく、ただの使いっぱしりにされるわけでもないと、改めてそう思えた。
---
数日後―――
「カイト兄さん!こっち行こう!」
「あぁ、レン待て…!」
「ふふふ」
俺たちは体調が回復し、久しぶりに3人で買い物に来ている。
「これ、カイト兄さんにすごく似合うと思うよ…!」
「え?あ。」
「着てみて……?」
下からキラキラとした目線が飛んでくる。俺はいいと言うしかできなかった。
「ぐっ…いいぞ」
その言葉を言った途端レンのキラキラが増した。
「仕方ないやつだな…」
「!カイト兄さん…!どういうこと?」
「なんでもない。着ればいいんだろう」
「うん…!」
---
レンは今まで通り、体調を崩す事はあるけれど、まぁ、前よりは過ごしやすくなったと思う。
ここまで読んでくださりありがとうございました!
まふゆ2024Happy Birthday!!
おまふゆーーー誕生日おめでとう!!!!
まふゆSide
『まふゆ、今セカイこれる?』
奏でからナイトコードの通知が来た。
『これるよ』
『何かあったの?』
『そういうわけじゃないんだけど、またみんなでデモを聞こうって話になったんだ。』
『そっか、今行くね』
私はスマホで「悔やむと書いてミライ」を再生した。
眩しい光に包まれ、私はセカイへと移動する。
「まふゆ。」
ミクの声から出迎えられ、ふとあたりを見ると、小さめのテーブルとクッション、リボンや装飾でセカイが彩られていた。テーブルにはケーキやお菓子がたくさん置かれていた。鉄骨にリボンを巻き付けたり、鉄骨から鉄骨に横断幕を掲げている。横断幕には『まふゆ お誕生日おめでとう!』と書かれていた。
「ミク、みんな。」
「まふゆ、」
「「お誕生日おめでとう!」」
その場にいた奏、絵名、瑞希、ミク、リン、レン、ルカが言った。MEIKOとKAITOはただ黙って少し遠くから眺めているだけだった。
「ありがとう」
「それ、ほんとに思ってる?」
「思ってる…と思う。」
「なんなのよ、それ…」
「それがまふゆらしくていいじゃん!今はね!」
「たしかにそうだけど…」
「ほらほら!せっかくの生誕祭だよ?ぱーっと祝おうよ!」
「まふゆ、ここに座って」
奏でに促された席は、いわゆるお誕生日席だった。
「お誕生日席…」
「あんたの誕生日でしょうが。」
「そうだね。」
いつもみたいな口調になってるけど、本当はすこし、胸があったかくなってる気がしてる。
「まふゆ、」
「ミク?」
「これ、プレゼント…」
「みんなで、話し合って決めたんだ」
レンがそういう。
「話し合う?」
「ええ。あまりワサワサって多くても、大変でしょうから、みんなでこれにしようって決めたのよ」
ルカが説明してくれる。そういうことだったんだ。
「随分と大きいけど…」
「開けてみれば、すぐわかるよ」
リンもそういい、「じゃあ、開けるね。」私はそう言って包みを丁寧に開けた。
「あ…」
包みを開けて出てきたのは、シンセサイザーだった。
「これ…」
「シンセ。かなりいいやつ選んだの。」
「まふゆにもっと音楽を楽しんでほしくて。」
「それに、まふゆって作業前にここに来るってミクから聞いたから、使わないときはここにおいておけば、」
「お母さんに、見つからない…?」
「ええ。そういうことよ。」
「よかったら、使ってね」
「KAITOとMEIKOも、考えてくれたの?」
「うん!ちゃんと輪に入ってくれたよ!」
「入ってくれたというか、瑞希が半ば無理やり連れ込んだだけでしょ。」
「えぇ〜!?人聞きの悪いことをいうなぁ〜ボクはみんなで考えたかっただけなのに〜」
「それを無理やりっていってんの。」
「あはは〜」
「……そっか。」
「まふゆ?」
「みんなで選んでくれたんだね、KAITOとMEIKOも。」
自分でもわかった。少しだけ、口角が上がったのが。
今の私、笑ってる…?
「フン。」
「…」
相変わらず冷たい二人だけど、ちゃんと私のこと考えてくれるんだね。
「ありがとう、みんな。」
「っ…微笑が犯罪級…」
絵名がそう言う。
「いやほんとに!さて!まふゆの誕生を記念していっぱい遊ぶぞ〜!食べるぞ〜!」
「太らせないでよね」
「自分で考えて食べてね?」
「は?当たり前でしょ」
「まぁ絵名も瑞希も、今日の主役はまふゆだし」
「うん!」
「そうね。」
「改めて、あ、ほらふたりとも」
KAITOとMEIKOを瑞希が引き連れ、
「お誕生日おめでとう!まふゆ!」
もう一度言ってくれた。
このあたたかさを忘れたくないな。
「奏、絵名、瑞希、ミク、リン、レン、ルカ、KAITO、MEIKO、ありがとう。」
一人一人名前を言って、私は最後にそう言った。
おまふゆおめでとう!イラストが間に合いそうもなかったから小説にしたよ!
小説もギリギリだったけど…(汗)許せ…!
バースデー…ガチャ当たらないかもだけど推すからな。頼むから次出てくれよ。まぁ星2でもいいけど。(マスターランクでキャラランあげたい)
類瑞 ナンパされるほど可愛いんだよby類
類瑞って3Lの中のどれに入るんだろう
ずっと瑞希視点
今日は類とデート!楽しみだな〜
付き合って半年。もう手を繋いだ。早いって?そんなことないと思うけどな〜。
誰と喋ってるんだろうボク。楽しみすぎておかしくなってるよ。
今日は昨日買った新しい可愛い服着て類と並ぶんだ。
「そんじゃ、行ってきまーす!」
ボクは新しい服と靴、そしていつも使ってるお気に入りのカバンを持って家を出た。
ちなみに楽しみすぎて家を出たのは集合時間の1時間前で家から到着するまで10分もかからない。
「早く来すぎちゃったけど、まぁいっか!」
流石に50分も前となると類はいなかった。まぁ、類マイペースだし、そこが好きなんだし…いやいや何考えてんの。類とのメールの見返しでもしようかな。流石におかしいか。
ニーゴの曲聴いて待っとこうっと。
動画再生アプリを開いて今まで作ってきたニーゴの曲を再生する。
デートって感じじゃないな。でもいい。奏の曲はあったかいから。
待つこと数十分。
そろそろ来るかな〜まぁ20分前だしまだか。
そう思っていたら、目の前にすっと影ができた。
「ねぇ君〜」
「?」
ふと顔を上げると、見たこともない男3人組がいた。
あーこれが俗に言うナンパってやつ?
面倒だな〜。どうやって返そう。もう無視でいいか。
「君、めちゃくちゃ可愛いね。その服とかもしかして新品?よかったら俺等と遊びいかね?」
「お茶でもいいぜ〜」
「マジで可愛いな。」
少し強制的に行かせようとする雰囲気を感じ取った。流石に少し、怖気づいた。
「……人を待ってるので、、」
それでも声を出した。これで終わればいいんだけど…
「いいじゃん。ちょっとだけだって。」
終わらないよね。でも、
「いや、もうすぐ来るんで…たぶん」
「まぁまぁ少しくらい大丈夫だって。」
あー、もう面倒だ。無視しよう。
ボクはスマホにまた目を移した。あーそういえばこの曲めちゃくちゃ張り切ってMVつくったっけ。
絵名と一緒に燃えてたな〜懐かしいな。奏でたちも張り切ってたな。クオリティがいつもに増してすごいもん。
「ちょっと君、無視?」
「まぁいいじゃん、どっか行こうぜ〜」
「っ!あ、ちょっ…!」
腕を強引に惹かれる。とっさにスマホはカバンに突っ込んだ。
怖い。この後お茶だけで済むの?ボクはどこに連れて行かれるの?………怖いよ…類‥。
「あ、あの、待ってくださ…―――」
それでも逃げ出せるように抵抗しながら声を出す。その声を遮ったのは、3人組じゃなくて―――
「なんですかあなた達。」
「るっ…‥!?」
急に後ろから聞き馴染みのある声が聞こえてきた。類だ。類はボクを守るようにバックハグしてきた。その反動でボクの腕は男から外れる。あぁ…よく知ってる、類の手だ。ボクは類の手を握った。
「類っ…!」
「なんだてめぇ。…あー、待ってる人ってこいつのこと?」
「お三方、僕の彼女に、手出さないでもらえます?」
低音で、冷たくて、でもボクを守るというかボクに手を出すなっていうあったかい思いが伝わってくる。
今、3人組の前には3人よりも遥かにイケメンで背が高くておしゃれでかっこいい人がいる。そして超高圧な視線を送られ続けている。つまり、物怖じというか、一歩後ずさるわけだ。
「っ…」
「こいつは無理だ。行くぞ」
一人の男が言うと、つまらなさそうにしながら3人組は帰っていった。
「類…大丈夫?」
「それ、僕が君に言いたいことなんだけどねぇ。」
「あはは。だって逆恨みとかされたら怖いじゃん。」
「そうだけど、そう簡単に会うことはないよ。」
「そうだけどっ…」
「それに、瑞希のほうが怖かったろう?」
「別に怖いとか…」
「手、握ってるのが証拠かな…?瑞希。」
「っ!」
恥ずかしさで顔が熱くなる。でも、そのあとすぐに、
「…ちょっと、ううん。このあとどうなるのって……怖かった…。」
「ごめんね。もう少し早く来てあげられればよかったんだけど……」
「ううん。類は悪くない。」
「ふふ。瑞希、怖い思いさせてすまないね。」
彼はボクを真正面からぎゅっと抱きしめた。
暖かい。一気に安心がボクを埋める。
少し目頭が熱くなった。
「っ…」
「怖かっただろう。泣いていいんだよ。」
「別に、泣いてなんかないし。」
でも、
「ありがと、類。」
「どういたしまして。さて、どこから行こうか?」
「あ、そうそう、類と食べたかったものがあるんだよね!」
「おやおや?楽しみだね」
「こっち〜」
「これは?」
「このお店、カップル限定のパフェがあるんだ〜。それを類と食べたくて!」
「限定ってことは特別ななにかがあるということだよね」
「そそ!おそろいのアクセがもらえるんだ♪類に似合いそうだったし、おそろいなのボクが嬉しいから。」
「フフ。いいね。じゃあ、それにしようか。」
「やった〜!類ありがと!」
「かわいい」
「あはは、漏れてる漏れてる」
そうして仲良く1カップに入ったかわいいパフェを二人で食べて、まだ何もついていない首にかけられるネックレスを選んだ。最高に可愛くてかっこいいのをね!
思ったより長くなってしまった…。
読んでくださった方ありがとうございました〜
類瑞いいですよね〜
❄×💻🍨 私だけを見てよ
まふカイです。地雷Uターン。
みずカイも出てくるよ、少し。
ちょっとグロいよ
まふゆ↔カイト 付き合ってる。ヤンデレ。キャラ崩壊、まふゆが言いそうもない事言います。
瑞希→カイト カイトがまふゆと付き合ってるということを知っていながらも好き。
まふゆ視点
最近、瑞希がカイトにベッタリだ。
カイトとは私から告白していいよと言ってもらえたのに。
どうして?瑞希もカイトが好きなの?でも、渡す訳にはいかない。絶対に嫌だ。それだけははっきりと分かる。
「カイト〜あのさぁ…」
「お前、いつも俺に話しかけてくるな。」
「んーカイトと話すの楽しいし?あ、迷惑だったらやめとくけど‥」
「…そうか。」
「そういう反応好き。」
「!そうか。」
「それでね〜‥」
また、今日も楽しそうに話している。羨ましい。私は最近話そうと思っても瑞希がいて話せないのに。
どうして?
ある考えが頭の中によぎった。
「……流石に…だめだよね…」
今の私は、その考えを晴らすことができた。
どうせ、この考えも実行してしまうんだろう。このまま瑞希がカイトと居続けたなら。
瑞希は私とカイトの関係を知ってるはずなのに……。
どうして?おかしいよ、瑞希。カイトは私といるはずなのに。いるべきなのに。
次の日も、また次の日も。ずっと、ずっと。
私も話す機会はあったけれどほんの少しだけ。
あぁ、瑞希のことなんてどうでもいい。私は、カイトと幸せになるの。
もちろん、死んでね。バーチャルシンガーに死ぬなんて概念があるのか知らないけれど、やってやる。私はそう決めた。
明日、実行しよう。私はそう決めた。
---
翌日―――
「ねぇカイト。久しぶりだね。二人で話せるの。」
私はカイトのもとに行って話しかけた。今日は瑞希が休日の補修らしく、いない。
やるなら今だ。
「そうだな。」
顔は瑞希と話すときと同じくらいかな。前のほうがもっと嬉しそうに話してくれていたのに。
「ここって、湖あったよね。そっちの方で話さない?あそこあんまり誰も来ないし。」
「ああ。行こうか。」
私はそっとカイトの手を握った。彼も私の手を繋ぎ返してくれた。
やっぱり、あったかい。
私達は湖の方へ移動し、そこで話した。
「ねぇ、カイト。」
「なんだ。」
少し溜めてカイとの首に手を添える。
「もっと私を見てよ!愛してよ!」
バシャン!と音を立ててカイトを湖の方へ首を絞めながら倒す。カイトも私も湖に浸かる。
「っ…!ま、ふゆ…」
久しぶりに名前を呼んでもらえた。でも、それだけじゃ今まで溜まってたものは消えない。
「私と一緒に死んで、一緒になろう。幸せになろう。ね?」
片手で首をきつく締めながら、私はカイトの指の爪を剥ぎ始めた。
痛々しいカイトの顔。でもそれも瑞希とばかりいたお仕置き。
とても擬音では表せないような痛い音が誰もいないセカイの湖に響く。
「っ……!い”っ…ぐっ……」
「カイトは私のこと、嫌いなの?なんで瑞希ばっかりなの?私のこと、もっと見てよ、愛してよっ……!」
今までにないくらいの叫びだった。お母さんの色々とかそういうの全部越えて。
私はただ、カイトが好きなだけなのに!
こんなに好きなのは私だけなの?カイトは私の事好きじゃないの?
ねぇ、どうなの?
首を締める力をさらに強くしながら問い続ける。更には
「ねぇカイト、好き。だから幸せになろう?」
そう言って私はカイとの口を奪った。
その後私はカイトと私の髪の毛を引きちぎり、カイとの口の中にグッと入れた。
「ぐっ!」
「そのまま死んで、一緒に…」
そして更に首を絞めようとしたとき、邪魔なあの人の声が入った。
「カイトっ!」
瑞希だ。
私は瑞希のことを睨んだ。
ニーゴ?仲間?違う。今はただの邪魔者。私とカイトの愛を邪魔する者。
「カイト…!ハァッ…ハッ…」
ここまで走ってきたのだろう。息が切れている。割と遠いのに。本当、来なくてよかったのに。
「み、ずき…」
カイトがそう口にした。
「っ!」
もう、私は耐えきれなくなった。また、叫んだ。
「どうして!?私がいるのに、私を見てくれないの?!瑞希のほうが好きなの?ならどうして私を選んだの?!」
もっとグッと力を込めた。もういい。私もカイトとすぐに向こうの世界に行くんだから。
「カイト!まふゆじゃなくて、ボクを見てよっ…!」
瑞希もそう叫ぶ。
「カイトは、私と付き合ってるの!瑞希は知っているでしょう?」
「知ってるよ…!でも、まふゆなんかより、ボクのほうがカイトのことを幸せにできるし、一緒に死のうとか考えないよ!カイトの幸せを願うよ!だから、」
少し溜めて、
「ボクのところに来てよ。」
そう言い放った。「まふゆではカイトを幸せにできない。束縛で苦しくなるだけ」そんな想いが含まれている気がした。
「カイトは瑞希のところに行かないよ。ね?カイト。私だけでいいよね?瑞希が話しかけてくるから相手していただけ、だよね?」
半分自分に言い聞かせるように、半分カイトに問うように、私は言った。
「っ…」
首を絞められて話せないのだろう。私のせいだけど、でももういいの。私もすぐ逝くから。
私はそのまま首を絞めて、締め続けた。瑞希が私とカイトを離そうとしても、力づくで踏ん張った。
「まふゆ…!カイトが…!」
カイトの意識が途絶えたとき、瑞希はそういった。
「いいの。だって…」
「っ!もしかしてっ…!?」
私はポケットからカッターを手に取った。このために今日はポケットに入れていたのだ。
「まふゆ…!ニーゴはどうするの!?まふゆ!?カイトも殺って、自分まで死ぬつもり!?ふざけないでよ!?」
「そうだよ。それの何が悪いの?そもそも私のほうがカイトの事好きなのに瑞希がずっと話してたからじゃないの?私の気持ちも考えないで。何が幸せにできる、よ。そっちこそふざけないで。じゃあ、さよなら。」
「っ…」
私は瑞希の前で吐き捨てるように言って首筋にそってカッターでなぞった。
「まふゆ…!」
赤い鮮血が飛び散る。湖の上に、まさに血の雨のように降り注いだ。
だんだんと意識が遠のいていく。
瑞希が何かを言っている。
あぁ、これでカイトと一緒になれるんだ………。
カイト、好きだよ。
私は意識を手放した。
ここまで読んでくださった方ありがとうございました!
本当はカイト兄さんの舌を引きちぎるつもりだったけどやめた。書けなかった。
奏2024Happy Birthday!!
奏!誕生日おめでとう!
ずっと奏Side
「ふぅ……」
作業が一息ついて、私は息を吐いた。一回ヘッドホンを耳から外す。
かなりいい出来になったし、いつもよりも早く作業が終わったから、余裕がある。
「もう一回聴いて細かいところもやろうかな」
一応ナイトコードには入っているけれど、みんな予定があるらしくて誰もいない。
静かなナイトコード、珍しいな。いつもは絵名とか瑞希が話してるから。
もう一回ヘッドホンを着け、自分の曲を再生する。
「えっと、ここはもう少し音を高くしようかな。…うん。良くなった。あとは…―――」
そうこうしている間に、気がつけば3時間くらい経っていた。
「いつの間に…お腹も空いたし、カップ麺でも食べようかな。」
私はお湯を沸かしてカップ麺に注ぐ。待っている間の3分は、嫌いじゃない。
「いただきます」
いつものように、健康には良くないカップ麺をすする。
美味しい。
それにしても、3人はどこにいるんだろう。みんな同じ場所に行くらしいけど……まぁいいか。もしかしたら作業をはかどらせれるように気を利かしてくれたのかもしれない。みんな優しいから。
カップ麺を食べ終わって片付けたあと、ナイトコードに通知が入っているのに気がついた。
「あれ?Amiaからだ。」
Amiaからメッセージか。なんだろう
『ちょっとセカイ来れる?』
「セカイ?なにかあるのかな……」
『うん。いけるよ。』
私はそう返事して、Untitledではなく、『悔やむと書いてミライ』を再生した。
「瑞希?どうしたの―――っ!」
「「「ハッピーバースデー!奏!」」」
まふゆ、絵名、瑞希、ミクたちが急にそう言った。
「……え?」
「え?って、自分の誕生日くらい覚えておきなさいよね」
「あ、そっか…今日誕生日…」
すっかり忘れていた。作業、作業、作業の毎日を送ってるとだいぶ時間間隔がずれる。
「おめでとう。奏」
「まふゆ、ありがとう」
「これ、ボクたちからのプレゼント!はい!」
「真剣に選んだから、よかったら使ってくれたら嬉しいな」
「これなら、奏の役に立つと思って」
「私達からも、これ。」
「ミクたちも?」
「うん。瑞希たちがショッピングモール見せてくれて。」
「そっか。開けてみるね」
瑞希からは新しいヘッドホン。ダークな色をしていて着け心地も最高だった。
「どうどう?奏が使ってるのと同じメーカーで超超ハイスペックなやつ!」
「ありがとう、でもこんな高価な物いいの?」
「いいのいいの!我らが奏の誕生日なんだからね!」
「ありがとう、瑞希」
「どういたしまして!」
絵名からはスキンケア用品だった。それも少し簡単なやつ。
「これは…?」
「もともと奏はきれいだけど、外には出ないしカップ麺だし、少しは手入れしたほうが良いかもなって思って。奏でも使いやすそうなやつ選んでみたの。一回だけでも試しに使ってみてくれたら嬉しいかな」
「ありがとう、使ってみるよ。作業とかで忘れちゃうこともあると思うけど…」
「それくらいいいってば。お肌は大事にね」
「うん」
まふゆからは時計だった。ピアノの形をした。
「素敵な時計だね…」
「そう?よかった。作業とかで時間忘れるだろうし、奏の家ってシンプルなものが多いから、音楽関係でシンプルな黒ピアノに、金色の針なら良いかなって。」
「きれい…机の近くの壁に掛けるね」
「ありがとう」
ミクたちバーチャル・シンガーからはキャンドルブランドだった。
「キャンドル…?」
「作業の息抜きに癒せるかなって…」
レンがそういう。
「飾るだけでもきれいだし」
「それに、部屋暗いんでしょう?」
ルカやメイコ、
「ちょっと明るくしといたほうが良いでしょって思って」
リンもそう言ってくれる。
「音楽を自分が聞くときとかについでにつけると、リラックスできるだろ。」
「疲れたときに、自分のことを癒やしてね。」
カイト、ミクがそういう。
「ありがとう、みんな。」
ニーゴのみんなと、セカイのみんなからたくさんの素敵な誕生日プレゼントをもらえた。
こんなに素敵な誕生日、いつぶりかな。
このヘッドホン、スキンケア用品、時計、キャンドル、全部大切に使いたいな。
「さてさて、今日の主役、奏を祝う会はまだまだ終わらないよ〜!」
「こっち来て、奏!」
「え?」
連れてこられたところには、小さめのテーブルとみんなの人数分の椅子が並べられていた。
そのテーブルの上にはケーキとお菓子。
「奏、ここ座って」
まふゆに促されるまま誕生日席に座る。
その後はケーキを食べて、お菓子を食べて、たくさん話して。
すごく幸せな誕生日だった。
「ありがとう、皆」
最後別れる前に、皆の方を向いて、改めてそう言った。
割と長くなってしまった。
お誕生日おめでとう!奏!
リク🎀×🎨 ❄×🎨 君色に染まってしまったから
みずえな、まふえな
口調迷子&キャラ崩壊 意図的にそのキャラが公式では使わないような言葉も出てきます。
まふみずヤンデレぽくなってる。流血表現あり。
みず⇔えな 付き合ってる みんなこのこと知ってる
まふ⇒えな
予め、ばか長いです。
瑞希Side
絵名と出会ってどれくらいかな。付き合ってどれくらいかな。
ニーゴで一緒になって、何度か助けたり助けてもらったり。色々あったな〜。あぁ、早く絵名に会いたい。でも…最近まふゆとよくいるからな…
別にめちゃくちゃ嫌ってわけじゃないけど、それでも嫉妬するし、一緒にいる時間を増やしたい。
まふゆをどっかにやるしかないけど、絶対まふゆも絵名のこと好きだよね。
わかる。だって顔がそういう顔してるもん。はぁ、まふゆのことまで染めちゃって…絵名ってば。
ボクだけをみてボクの色に染まって、ボクだけを絵名色で染めてほしかったのに。
「あ、もうそろそろ25時か。」
今日は奏がデモができたって言ってたからセカイで集合になってるし、そろそろ行こっかな〜
ボクは『悔やむと書いてミライ』を再生した。
最初のこの眩しさにも慣れたもんだよ。
パッと見慣れた景色が目に写った。
「あ、やっほ〜ミク!」
「瑞希」
「皆は?」
「絵名だけいるよ」
「え、絵名が?珍し〜」
「ちょっと、珍し〜ってどういうことよ」
「あ、絵名〜!」
ばっと絵名に抱きつく。
「きゃ!もう、急に抱きつかないでよね」
「って言って嬉しそうな顔してるじゃん!」
「なっ…!ほ、ほらミクとかレンとかいるし」
「恥ずかしいの〜?」
「もう!そんなんじゃないってば!」
あぁ、今日もかわいいな。ボクの彼女。
「はぁ〜かわいい」
「ちょ、ちょっと!急にそんな恥ずかしいこと言わないでよね!…でも瑞希ももっと可愛いよ」
「!ありがと〜絵名〜!」
ずっとこんな時間が続くと思ってた。まふゆがいたとしても、そこまでの支障はないんだって。
嫉妬くらいは、ちょっとモヤッとはするけど、それ以上の時間を過ごせばいいって。
でも、アイツがそうはさせてくれなかった。
翌日―――
「んー今日は早く起きれたな〜」
あ、そうだ。絵名とどこか行こうかな。
ボクはそう思い立って絵名にメッセージを送った。
『絵名、今日空いてる?』
すぐに既読がついた。返信は…
『ごめん、瑞希!先約があって…外せないの』
『また今度の機会に!絶対行こうね!!』
『りょーかい!』
『またね〜』
「…はぁ」
メッセージアプリを閉じる。同時に小さくため息が出る。
最近、休日空いてないこと多いな、絵名。まぁ、絵名も暇じゃないんだろうけど…
「まぁ、今度すぐ出掛けられるよね」
今日はショッピングモール一人でいこうかな〜。あ、バチャシンの誰かと一緒に行こうかな。よし、誘ってこようっと!
ボクはセカイでミクとレンを誘った。カイトを誘おうと近づいたけど「行かない」って言われた。
「さてさて!今日はミクとレンが欲しいものいっぱい買っちゃうぞ〜!」
ボクはテンションを上げてそう言った。ほんとにたくさん買っちゃおうっと!絵名にも色々買おう!うん、楽しみ!
「いいの?」
声を揃えて問いかける二人。かわいすぎるでしょ。お世話したいよ。もう自分でも何言ってるかわかんないよ。
「もちろん!なんでも言ってね!」
「瑞希がそういうなら‥」
「ミクがそういうなら‥」
「あはは、ほんとに似てるね!ふたりとも」
「そ、そうかな…?」
「似てる似てる!ちょっとオドオドしてるところとか、でもちゃんとしっかりしてるところとか、優しいところとか。」
「ありがとう」
「どういたしまして〜。さ、お買い物にレッツゴー!」
ショッピングモールでたくさん買い物をしたボクら。
最後の店に行く途中、見慣れたボブを見かけた。
ちょっとついて行ってみると、
「あ、絵名だ。」
絵名がいた。隣には、
「……まふゆ?」
絵名の隣にまふゆがいるのだ。なんで?先約ってこれ?あ、へぇ…そっか。まふゆも黙ってないよって?まぁ、そんな毎週とかたくさんじゃないだろうし、いいけどさ。
---
そう思えていたのもちょっとの間。
あれからまふゆは時間ができれば絵名を誘って何処かに行ったりセカイで絵名と話していたり。
ねぇボクと絵名の関係、知ってるはずだよね?なんで?ボクだって絵名ともっと話したいよ…。
まふゆ、ボクの絵名を返してよ…
数週間後―――。
誰もいないセカイで25時までの時間を潰していた。というかは、まぁ絵名のこととかまふゆとか自分のこととかでモヤモヤしてて来たんだけどね。正直、まふゆが出てきたら殺そうかなとは思ってるけど。
そこにまた1人来た。
「瑞希?珍しいね、一人なんて」
その一人からはものすごく愛おしくてたまらない声が発せられた。
「あ、絵名!ちょっと湖の方行こ!」
「え?なんで急に?まぁいいけど」
「よっしじゃあ行こう!」
ボクは絵名の手を引いて湖の方へと行った。まふゆに見つかる確率が減るかもしれないから。
「でもなんで急に湖?」
湖の近くまで来て絵名が聞いてきた。
「んー、なんとなく?こっちのほうが人来ないしさ。絵名ともっと近くにいられるなって」
自然に頬が緩む。はにかんじゃうっていうのかな?今ボクはそんな感じの顔になってる。と思う。
「なっ、なによそれ…」
ちょっとうれしそうにでも照れてる絵名かわいいよ!
ずっと、こんなふうに絵名の可愛いところ見れたらなぁ…
…あーあ、この時間をもっと増やせたらいいのに。壊すやつなんか、いなくなればいいのにな。
って、ボクは何を考えてるんだろう。一緒に入れる時間なんて、こっちが先に一緒にいれば取られない筈なんだから。まふゆだってバカじゃない。きっとわかってくれる。そう思ってるのに心からそう思ってない。いなくなればいいのにって、思ってるから。
「ねぇ、絵名」
「なぁに?瑞希」
「絵名は、ボクのこと…ちゃんと好き?」
「え…?」
「最近、まふゆとよくいるじゃん?だから心配になっちゃって」
「ちゃんと好きに決まってる。瑞希のためなら何だってできる。ただ、まふゆはあまりその日ドタキャンされるのは嫌みたいだからドタキャンはやめてるだけ。ちょっと前のもそうだったの…」
ホントは瑞希と出掛けたかった!と絵名は言った。そう言ってくれる絵名でよかった。
「なんでも、か…」
「うん。なんでも」
「…じゃあ、殺人でも?」
ボクは少し間を置いてそう口にした。
「殺人?」
「うん、殺人。別に冗談だよ?ちょっと聞いてみただけ」
「目が冗談じゃないんだけど。」
「あはは、そうかな」
「でも殺人か…あんたが捕まってもいいなら協力する」
「え、ホント!?」
「私あんまり嘘付かないから」
「じゃあ…」
「じゃあってことは、殺したい人がいるの?」
「まぁ、うん。」
「それって…ま―――」
絵名がまふゆと口にしかけた時、その声があの邪魔なアイツの声で遮られた。
「絵名」
「あ、まふゆ…」
「瑞希も、もう25時。来ないの?」
25時、行かなきゃ駄目。わかってる。でも、ボクの口は「うん、今行く」と言いたいのに全く別の言葉が出てきた。
「なんで…?」
「…なにが?」
「なにがじゃない……ずっとずっとそうやって…ボクと絵名は付き合ってるのに」
全部その時間を奪ってきた!色んなところに出かけて、絵名を連れて。ボクの時間は全く無かった!ボクと絵名の関係を知ってるくせに、わかってるくせに!どれだけボクの邪魔をするの!?やっと2人で他愛もない話もいろんなことも話せるって思ってたのに!ボクは絵名のこと、どうしようもないくらいに好きなのに!
「この件に関して正直に言うと、まふゆ、すごく邪魔!」
怒り狂って、半泣きで、喉が焼けてるような感覚になるくらいに、みっともないくらいに感情をむき出しにしてボクは叫んだ。
ふたりとも、唖然としていた。そりゃそうだろうね。ずっとこの思い隠してたんだから。いつもまふゆの前でも奏の前でも皆の前でも”元気いっぱいの普通のボク”を出してたんだから
「私だって……私だって、絵名といたいの…絵名といると楽しいと思えるから家の苦しいこととか、学校で疲れたこととか全部忘れられるの!私だってどうしようもないくらい好きなの!」
「ふざけないでよ!ボクの…ボクが向こうから認めてもらえたのに…!」
「認めてもらえたとか、そういうの関係ないでしょ!」
「もういいよ!まふゆの目からボクも含めて消えてやる…!」
「何を言ってるかわからない」
「絵名をまふゆの前から消すの。」
「瑞希、殺す気なの?」
「ごめんね、絵名。」
「私は、いいよ」
「じゃあ最初で最後の…」
絵名をグッと引き寄せて顔を近づける。
「絵名、好きだよ」
そう言って唇を重ねた。
初めてだけど、これが最期なら、そう思ってボクは舌を絡めた。
誰かの前で、まふゆの前ですることじゃないだろうけど、ボクはここで死ぬから。絵名と一緒に。
チュククチュ…クチュクチュ…
普通響くことのない卑猥な音が誰もいないセカイの湖に響く。
「ん…」
トントンとボクの胸板を叩く絵名。それが可愛くって少しだけ続けてしまった。
「ぷはっ‥」
「はっ…瑞希、長いってば…」
「えへへ、絵名が可愛くてつい、ね。ごめんね、絵名」
ボクは予め持っていたカッターを手にして絵名に突き刺した。ボクはどこが致命傷とか何も考えてなかったから、少し致命傷からは外れた。絵名の服に血が滲み、もう後戻りはできないと感じた。
「っ……あんたのためなら、いいって言ってんの…っ」
「大好き、絵名」
「わた、しもよ…瑞希…っ」
「ごめんね」
「ああそうだ。ボクを苦しめたんだから、まふゆにも苦しんでもらわないと」
「どういうこと」
「絵名、痛いけどいい?」
「瑞希の頼みでしょ。好きにしていいよ」
「わかった。ありがとう」
ボクはそう言ってから絵名の人差し指の第二関節までを思い切り切った。
「あ”っ!」
「ねぇしってる?シンガポールでの人差し指を折る意味。」
「は?」
「『死』って意味なんだよ」
これで、この指を見て絵名が死んだきっかけは自分だって思えばいい。
辛いよね、きっと。
「じゃあね、まふゆ」
ボクはまふゆにさよならを言って絵名の心臓と、ボクの心臓にカッターの刃を突き立て、刺し、痛くても構わないから抉った。絵名が苦しんでる姿で、まふゆも苦しめばいい。そう思ったからだ。
誰もいないセカイの真っ白な床の一部が先決の赤色に染まっていく。
絵名の赤色と、ボクの赤色がぶつかって溶けて混ざっていく。色味に分かりやすい変わりはないけれどボクも絵名もお互いの赤色に染まっていく。これが最期の絵名の色。ボクの色。最期までボクは絵名の色に染まることができるんだ。幸せだなぁ…
「これで、‥しあわせだ、ね‥‥」
行きもまともにできていない状態の絵名がそんなことを言った。
「うんっ…」
ボクも息が十分にできないまま、返事をした。
最期に見えたのは、まふゆの歪んだ顔と、絵名の尊すぎるきれいな死に顔だった。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!
リクエストをくださった方もありがとうございます!
4000字以上になってしまいすみません…あと一週間以内に出せなくてすみません…
一か月くらい遅れたのですが許してください!
学タブはきついですね…
君となら
類瑞の死ネタです。自殺表現バリバリです。
救われなかった2人の話
私の願望でしかないのでなんでも許せる方のみどうぞ。
ニーゴワンダショない世界線です
変わらなかった、何も。ずっとずっと『あの目』。耐えてきた、無視してきた、自分の好きに、生きてきた。でも、高校でもこれならボクはもう終わらせたいんだ。救われたいんだ。
好きなアニメも、曲も、何もかもが刺さらなくなって、わからなくなって、悲しくて虚しくて、こんなことならいっそ、そう思ってしまった。でもボクにだって友人はいる。今日もあの場所にいるのだろうか。
ガチャ、とそっと屋上の扉を開ける。ドアを開けると安心感がどっと溢れる。ここが今のボクの居場所なんだと思う。ここには唯一の命綱がある。その命綱さえも、いつ切れてもおかしくはないのだけど。
「…瑞希じゃないか」
いつもの冷淡で、精神的に疲弊していそうな声が聞こえる。
「類、やっぱりいた」
彼がいるから、生きているからボクは多分まだ生きているんだと思う。彼がいなけりゃとっくに消えていただろう。ボクは類を置いてけぼりにして飛ぶことはできなかった。
「大丈夫かい?」
長身の彼は体育座りで前かがみになり、だらしない。サラサラの紫色の髪が風になびく。どこか哀愁漂わすその姿に、同じことを思っているのかもしれないと思う。
「ボクの心配するなんて、そんな余裕あるの?」
「さあね」
一呼吸おいて類はこういった。
「ここから飛び降りたら、どんなふうに見えるんだろうね?」
「え?」
「なんてこと、思っていたんだろう?」
「類にはお見通しか」
「君が悩んでいる所、一番近くで見ていたからね」
「ねえ類、どんなふうに見えるかな」
「さあ、どうだろう。案外綺麗じゃないかもしれないね」
「あはは、でも今日はすごくいい天気だよ」
「絶好の日かもしれないね」
「ボクたちどうしてこうなっちゃったんだろうね」
「さあ、わからないねえ」
散々言われてきた言葉が答えなのはもちろん二人ともわかっている。
「もうさ、ボク、疲れちゃったんだよね〜」
こんなに大変な思いして、こんなに可愛くなって、こんなに自分のために頑張った。それでも人の目というものは気になるもので、自分を中心とした生活にいつまでも集中できるはずなくて。最終的にこうなってしまうのなら、もっとずっと前に消えてしまいたかった。
「誰のことも気にしなくていい場所へ、行こうか」
「類はそれでいいの?」
「構わないよ、一人ぼっちで終えるショーなんて、寂しいだろう?共演者がいてくれるなら、きっといつでもよかったんだ」
「共演者って…類はどこまでも類だね」
硬く冷たいフェンスに夕日の影が落ちる。美しいオレンジ色の空を眺める。
今日で終わりだ。全部、全部。楽しいこともつらいことも全部終わり。そう、それがボクたちの救いなんだ。なにも、いらないんだ。
「フェンスって、案外登りにくいね」
「登るものじゃないからね」
苦笑しながら言う類も、どこか吹っ切れたような、いまから救われるという期待が混じったような表情をしていた。
フェンスを越えギリギリのところに立つ。ずっとここにいては怖気づくかもしれない。そう思ったから
「じゃあ行くよ!」
「えっ?」
類の手を掴んで思い切り飛び出した。
どうせ2秒くらいで地面だ。最後に思いっきり叫んだ。
「類!ありがと!」
類の驚いた顔が、最後になるんだと思ったら、おかしくて笑ってしまう。
しかしそれも一瞬。強い衝撃を受け、身体は痛いしすぐ気絶しないし、全然楽じゃないけれど、後悔なんてない。
自分の血で赤くなっていくグラウンドの土。目の先くらいのところでも、同じ事が起きている。
類は、もう、死んだのかな…。
類と、飛べて、よかった…
っぱバッドエンド好きなんだよね
ボクたちの反抗生命
ニーゴがなく、この4人が出会うとしたら—。
自殺表現あります。
日付け、時間、場所は実際のものとは一切関係ありません。何かの事件などとも関係はありません。プロセカ内のシブヤと同様に場所はカタカナで表記しております。
5/10
「一人は、なんか寂しいな」
中性的な見た目をした、どちらかというと男子に近いような、しかしどことなく女性らしい。髪や瞳は淡い桜色で透き通っているような、儚い印象を抱く。短髪も似合う美形だ。そんな少女とも少年とも呼びづらい中、高生くらいの子供が呟いた。その声からは生気を感じることはできず、ただ疲れを感じるのみだった。
ふと思い立ったようにパソコンの電源を入れる。ウェブサイト作成のページを開き、文字を入れていく。とてもシンプルで何の凝りもないページが完成した。
「集まるかな…」
バカみたい、と思った。今まで人から避けられ、また人を避け続けてきた。しかし今さら一人は寂しいなどと感じてしまうのだから。
「ああもうなんなの?!アイツまじムカつく…」
少女はそう叫んだ。
茶髪、茶目でボブ。目はぱっちりしていてかわいらしい。しかしその顔は苛立ちであふれている。と思えば、一気に苦しみや悲しみの表情へと変わっていく。
「もう、諦めたほうがいいの、?」
こんなに頑張ってるのに、誰にも認めてもらえない。私の絵が、じゃなくて、私の夢自体を。
「…将来とか、夢とか、馬鹿らしくなってきた」
画材が散らかってるぐちゃぐちゃな部屋で、同じくぐちゃぐちゃなベッドに寝転ぶ。スマホに手を伸ばす。
自殺、そう検索をかけてみた。いのちの電話だとか何とか、役に立たない情報ばかり出てくる間に一つだけ、奇妙なサイトを見つけた。
「絶望の底にいる者たちへ…?なにこれ」
出来心でタップした。それがすべてを狂わせた。
暗い部屋のなかで、パソコンの青白い光が少女を照らす。カチ、カチとマウスが鳴る。画面には曲を作るアプリが映し出されている。
白く長い髪を垂らした、青い瞳の少女は ふぅ、と一息ついた。立ち上がろうとして、ふらつく。当たり前だ。この日は何も食べていないからである。生きることに疲弊しているはずなのに、曲を作るために、ただそれだけのために身を削り生き続けている。
「これだけ作っても、誰も救えた試しがない…私じゃ…救えないのかな」
心の底のドロドロが溢れるように声に出る。検索バーには、自殺の三文字を入力していた。読み込まれた検索結果の一つに、少女はマウスを伸ばした。
疲れた、その言葉さえも出ない。出せない。出すこともできなくなってしまった。どうして?わからない。なぜわからないの?わからない。自分が、わからない。
そんな答えにならない自問自答を繰り返す少女がいた。顔立ちはとても整っていて、うねりのある紫色のポニーテール、目を引く紫色の瞳。しかし瞳の中はどす黒く濁り、何も見渡すことができていないように伺える。
「もういっそ、消えることができたら…いいのに」
これだけが、自ら願えることができるただ一つであった。
ふとパソコンを開く。自殺、と検索する。少女は画面に映し出された一つのサイトを、クリックした。
---
**絶望の底にいる君たちへ**
このサイトを見ているのなら、あなたはきっと、とても辛い状態なのでしょう。
解放されたいでしょう?
他人からの呪いも、自分への呪いにも。
そこで私から一つ、提案です。
私と一緒に終わらせませんか?
一人よりは心細くないでしょう。
最後に仲間がいる、これだけに縋ろうではありませんか。
もし気になったならば、下にVIXIと入力してください。
入力したのですか?それならば、何をするのか教えましょう。
日付:5/12
時間:25:00
場所:アオウメ精神科病棟F4大部屋1号室
持ち物はご自分の望む自殺方法に合わせてご持参ください。こちらの方では可愛い丈夫なリボンで作った首吊り縄を用意しております。
定員は3名です。枠が埋まった瞬間このサイトはどこにも表示されなくなります。
それでは、残り2日、良き人生を。
--- **応募する** ---
---
5/13 1:00(5/12 25:00)
大部屋1号室に1人の少女が入る。
「どんな子が来るかな」
中性的な子—瑞希は呟いた。
この前とは違う、可愛らしい服装をしていた。最後に好きなものを着たかったのだろうか。
「あれ、人がいる」
「来た…!」
白く長い髪を揺らした少女—奏がやってきた。小ぶりのかばんで荷物は多くないようだ。
「あのサイトをみたんですか?」
「あ、はい」
「…こんばんは」
紫髪の少女―まふゆと、
「こんにちは」
茶髪の少女—絵名が来た。まふゆは大きめのクーラーボックスを二つ肩に下げ、台車に何か大きいものを乗せている。絵名は描きかけの絵のキャンバスを脇に抱え、チャックが開いたままのカバンからはパレットや画材が少し見える。
「お?残りも来たみたいだね」
瑞希はあとから来た三人に向かい合う。
「ようこそ、夜遅くにこの場所へ来てくださり、ありがとうございます。ボクがこの企画のオーナー、瑞希でーす。さて、ここに来たということは皆死にたいのでしょう。早く終わらせてしまいましょう、こんな人生。」
「ちょ、ちょっと待って」
「どうかしました?」
「ホントにあんた、死にたいのよね?」
「…なんで?」
「なんでって、あんたが結構明るいからじゃない」
絵名が口にする。
「ボクはもちろん、死にたいよ」
出会った時と変わらない笑顔がなんとも言えない狂気を感じさせる。
「そう…」
「ボクがこうして明るく振る舞うのは、最期くらい、暗い気持ちで終わらせたくないから。あなた達だって陰鬱な雰囲気よりは、死に対して前向きな雰囲気のほうがいいでしょ?」
じゃあ少し自分語りを。みんなにも話してもらうよ。大前提ボクは男の子なんだ。みんな驚いた?そうだよね。スカートとかはいちゃって、リボンとかつけちゃって。驚くのは当たり前。ただボクは好きなものを身にまとっていたら、気がついたらたくさんの人に変な目で見られてた。小学生の頃、瑞希がそれ着てるのはおかしいよ、って言われちゃってね。まあそれはよく考えなくても当たり前なんだけどさ。それで、そこからは身の丈に合う服を着ていたよ。でももう疲れたんだ。誰かの目を気にして好きなものを好きと言えないのは。でも好きなものを主張すれば、世界はそれを否定する。なら、こんな場所から消えてしまえばいい、そう思ったんだよ。こんな感じかな。
「じゃあ次は誰が話す?ほんとは少し罪悪感とかある人、いるんじゃない?やるって決めたことから逃げてたり、たくさんの人に頼られてるのにここ来たり。ほら、懺悔の時間だよ」
図星を突かれた三人は目を伏せる。
「ごめんね。ボク、目を見ればその人がどんな人か、何を考えてるかなんとなくわかっちゃうんだよね」
「それだけ、他人の目を気にしていたんだね」
まふゆが呟く。
「そーゆーこと、よくわかったね」
「まあ、私も…そんな感じだったし」
「そっか〜、じゃあ次はキミね」
「わかった」
自分で言うのは気が引けるけど、多分私はいい子、優等生なんだと思う。校内のテストはいつも1位だったし、先生や友達からも頼られてた。将来は医者だとか言われてきた。母に褒められたくて始めたことが、気がつけば人生単位になってた。私の調子が少し悪ければスマホが悪いとか、音楽をしてるからだめだとか、もっとできるはずって、母自身の価値観を私に押し付けてきた。そしたら、自分が分からなくなった。何が好きかとか、嫌いかとか。したいこともしたくないことも分からない。だから、生きてる意味ないなって、そう思ったの。…終わりだよ。
「そっか、大変だったんだね…いい子、か私にはほど遠いな」
奏がそう言う。
「じゃあ次はキミね」
え、わかった。えっと、私は曲を作るのが好きだった。父が作曲家で、その影響で小さい頃から音楽に触れてた。曲を作れるようになって、一度だけ父の仕事でこうしてみたらどうかって提案をしたんだ。そしたら、その部分が使われたんだ。父は自分の曲じゃない、そう感じて、私が追い詰めて…倒れちゃって。だから、私は…もう二度とこんなことにはならないように、誰かを救う曲を作らなくちゃいけない、そう思ったんだ。だからネットで投稿し始めた。コメントとかで救われた、そう言ってる人はたまに見かけるけど、実感が沸かないのと、父が倒れてから私のこと全部忘れちゃってるのが苦しくて、ここに来た。こんな感じだよ。
「やらなきゃ、って思ったことから逃げてるのは、同じだな」
「じゃあ最後は茶髪ちゃん!」
あんたら三人より全然ダサいけどね。まあ絵を描くのが好きで、ずっとずっと描いてた。小さい頃からずっと。小さい頃、画家の父に憧れちゃったんだ。それで進路を考えた時、画家になりたい、だから高校から学べる所がいい。そう言ったの。でも、お前は画家になれない、そう言われちゃって。だから見返そうと思って何度も何度も描いて描いて描いて描いた。自分なりに勉強して努力した。だけど、絵画教室の先生にも、父にも、暗に無理だって言われ続けてたら、自信なくしちゃって。もう無理なのかなって。絵だけじゃなくて、夢自体も否定されて生きるのに、耐えれなくって。ただ、それだけ。
「否定されるのって、ほんとに嫌だよね」
瑞希はそう言った。
身の上話で重くなった空気を変えるために、それでは、と明るい声を出し、瑞希は首吊り縄を見せた。
「ボクが用意してきたのはこちらの首吊り縄でーす!」
「ほんとに可愛い…ちゃんと使えるの?」
奏が問う。
「もちろん、耐久性はバッチリでーす!もし使いたかったら使ってね」
「結び目にリボンなんかつけちゃって…どんだけ可愛いのが好きなのよ」
「首吊れるんなら問題ないんじゃない?」
「そういう話じゃないんですけど」
「あはは、なんかボクたち、昔から知り合ってたみたいだ」
「まだあんたの名前しか知らないけどね、瑞希」
「だって自己紹介してないもんね」
「そもそも名前も知らぬ人と、みたいに書かれてたもんね」
「ボクは誘った、巻き込んだ、かな。その張本人だもん。名前くらいはね。でも皆はもちろん教えなくていいよ」
「最初からそのつもり」
「茶髪ちゃんはツンツンしてるねー」
「はあ?別にツンツンしてないけど」
「してる」
「紫のあんた…!ちょっと、私の味方はいないわけ?!」
「まあまあ、からかってるだけだよ」
「この子しかいい子はいないの?」
「あー!ボクがいい子じゃないって言った—!まあ実際不登校だったけど」
「いい子じゃないじゃん」
「って!そんなことはどうでもよくて!皆、自殺道具ある?」
「あるよ」
「ある」
「私もある」
「じゃあこのリボンは必要ないかな」
それじゃあとは、この病院の好きな場所で、死んできてね。そう言って瑞希はリボンを持って大部屋から出た。首を吊れる場所を探すようだ。
続くようにして、奏と絵名は大部屋を出た。
まふゆは一人、その場に残った。
肩から下げた二つのクーラーボックスを下ろし、開ける。一つは大量のドライアイス。一つは大量の氷。台車から下ろしたものも氷だ。
部屋の扉と窓をしっかりと閉じたことを確認してから氷を自分が横たわる予定の位置の周りに置く。一気に部屋の温度が低下していく。大量のドライアイスを空に放り投げる。次々と気体になりながら落ちていく。
「こんな機会をくれてありがとう、瑞希」
「…どうしてかな、お母さんの手より、全然冷たくない、痛くないや」
横たわりながらドライアイスに触れる。
嘘だ、痛くないわけではない。皮膚を刺すような痛みと、体温が奪われていく感覚。震えと鳥肌もいつしかなくなり、温かさを感じるようになる。閉め切られた部屋はドライアイスによって満たされていく。急速な二酸化炭素中毒により眠気が強まる。
これでよかった。やっと、私の意思で動けたよ。
氷とドライアイスの温かさに包まれ、月の光に照らされて、優等生だった少女は安らかに眠りについた。
2階の一室に、奏は入った。一つのベッドと、棚と、窓と。何も変哲のないただの病室だ。奏はベッドに座り、備え付けの簡易テーブルに大量の薬を出した。音楽から逃げることは父から逃げることも意味している。父にすごい作曲家になれるよ、そう言われたことが呪いになっていた。その呪いから解放されることは、到底許されるものではない。奏はそう考えている。しかし、彼女の心のダムは決壊した。もう、耐えられないのだ。奏は睡眠薬を大量に飲み込んだ。効果を過剰にしてくれるアルコールも一緒に摂取した。何も食べずにアルコールを摂取したためか、すぐに酔いが回る。薬の効果もすぐに回り、激しい呼吸困難に陥る。幻聴なのか、耳鳴りなのかわからないが、耳障りな高音が脳内に響き渡る。視界が歪む。何もかも上手く処理できない。したくもない。
苦しい、息ができない。でも、私にはこれがふさわしい。苦しまずに死ぬ、楽に死ぬ資格なんてない。だから錯乱しても、苦しさはひどく感じて、そうやって死ぬんだ。
「ありがとう、瑞希…」
「…お父さん、ごめん、なさい」
これだけは、言いたかった。どんなに脳が正しく活動していなくてもこれだけは、言いたかった。
心臓が激しく脈を打っているような気がする。もはやこれが本当の心臓の音かも分からない。視界が曖昧になり、目を開けているのも億劫になる。今まで感じたことのない苦しさに心も体も包まれ、そして月の光に照らされて、作曲家だった少女は眠りについた。
絵名は屋上の扉を開ける。鍵がかかっているものかと思ったが、案外セキュリティは緩いらしい。
「死に場所でさえ、私の中の芸術にしてやる」
だってもうそれしかないから。普通の絵じゃ誰も認めてくれない、見てくれもしない。ならば、私がそのものになってしまえばきっと誰かが、私のこと、認めてくれるでしょ?
絵名はキャンバスをセットした。描き上げられたキャンバスに、1色だけ足す。
絵名は四角に近い形のペインティングナイフを取り出し、自分の皮膚に当てがい力を込める。皮膚に少しめり込んだナイフはそのまま、皮膚を薄く削っていく。何度も何度も同じ場所を削ると、ツー、と赤黒い絵の具が垂れていく。それを一滴も無駄にするまいと同じナイフで受け止める。ナイフからこぼれ落ちてしまわないようにキャンバスまでそっと色を運ぶ。
足された赤黒い色は一つだけやけに水っぽさが拭えず、なんとも異質感というか、そういうものを感じさせた。
絵名はたくさん使ってきた自分の腕に何度も様々な形のペインティングナイフを突き刺したり、それで皮膚を削ったりした。みるみる赤く染まっていく両腕両手。自身すらもキャンバスにしてしまうその絵への熱い想い。ただそれを理解してくれるものは、自分しかいなかった。
絵名は最期の一筆だと言わんばかりに心臓あたりにペインティングナイフを刺す。弾力のせいでスッと刺すことはできないが絵名が込めた力とその反動で身体に食い込む。
「ゔっ…く…」
痛い、痛い、痛い。
しかし手をとめることはなく押し込む。深く刺さったペインティングナイフは抜けることはなかった。もっとと言わんばかりに次々に新しいペインティングナイフで心臓や肺の辺りを突き刺す。
「ありがとう、瑞希」
「…お父さん、私今、最高の絵画になるからね」
絵名は掠れた声でそう言った。息が浅くなる。
絵名が愛し絵名を苦しめたそれは最後に武器となって絵名を救済へと導いた。痛みと、開放感に包まれ、そして月の光に照らされて、画家を目指した少女は眠りについた。
瑞希は病院の一階ロビーに降りてきていた。他の全員の死亡を確認した後―本当に死んでいるかは医師ではないので判定できないが—自身の死に場所へ向かったのだ。
「集めてよかったな…どうせなら、」
神代先輩も…そう思ったが、彼を巻き込むわけにはいかないかと踏みとどまった。それこそ、瑞希が何も言わず死んでしまう方が彼は哀しむかもしれないが。
瑞希は非常口の方向を示す看板に、自作の首つりリボンを括り付けた。
「うん、かわいい」
瑞希は自慢げに呟いた。
結び目にリボンをつけてみたり、小さなモチーフを散りばめて取り付けた首つり縄は、縄というにはあまりにも可愛らしすぎた。
鮮明に残る苦しんだ過去と、姉と過ごした幸せな時間を思い出す。
「ごめんね、お姉ちゃん」
「でも、後悔はないんだ」
病院の中の椅子でなんとか縄に首をかけることができた。もともとほとんどご飯を食べていないし、引き篭もり落ちてしまった筋力では看板が落ちる心配はなかった。もちろん苦しい。生存本能が働きかけるがしかしそれもすぐに消えて、またあんな思いをするならば死んだほうがマシだと、その思考に脳は埋め尽くされる。
神代先輩にも、お礼を言ってから死ねばよかったかな。
最後にそう思う。だんだんと意識が遠くなる。視界も朦朧としてよく分からない。ただ宙に浮いている、そのことになぜか安心感を覚えた。もうボクはこの世界の住人ではなくなる、そのことにひどく嬉しさを感じながら、瑞希は目を閉じた。
月の光に照らされて、少女のような少年は眠りについた。
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5/14
閉鎖した精神病院が撮影に使えることを知ったとある人が、四人の少女の遺体を見つけた。
一人は可愛らしい縄で首を吊り、また一人はベッドで大量の薬と一つの酒の缶と一緒に横たわり、また一人は凍りかかり、また一人は屋上で真っ赤になり、それぞれ死んでいた。
少女四人集団自殺―—ほんの少し物議を醸すニュースになったことを、四人は知ることもなかった。
四人の遺体の表情は、みな幸せそうだったとか。
ここまで読んでくださりありがとうございます!想像以上に長くなってしまいましたが、書くのはとても楽しかったです。
この小説は自殺を助長するものではございません!あくまで創作の物語です。