異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。
編集者:縺薙≠繧九s
『異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。』シリーズです。
NOVEL CAKEで連載中です。
短編カフェでは、第四章まで読めます。
第五章からは、NOVELCAKEでお読みください。
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目次
第一章『殺し合いゲーム』一話「異世界から。」
NOVEL CAKEから転載。
URL↓
https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=5&no=1
海渡『もう何年もいれば、いつかは暇になる。』
海渡『元の世界に帰らせてくれ___』
---
…ここはどこだ?起きたところは、知らな…いや、知っている場所だ。ここは、元の世界の俺の家だ。
帰ってこれたんだ、やっと。
俺は|草野《くさの》|海渡《かいと》っていう。異世界に5年いた。目的は、異世界の悪い悪い魔王を倒すため。
とは言っても、本当は倒したくもなかった。薄暗い異世界で、とても手強い敵がいるのに、こんな庶民が魔王を倒したのも不思議だった。
異世界と元の世界では、時間の進み方がだいぶ違う。異世界では5年経っているのだが、元の世界では、5秒しか経っていないのだ。
全く、おかしいものだ。そういって、コップを手に取る。コップの中には、甘い甘いコーヒーが入っていた。コーヒーが大好きだ。
そんなことを言っていたら、部屋に誰かが入ってきた。
海渡『…優?優なのか?』
優『なにいきなり…』
妹の優だった。
久しぶりすぎて、少し涙が出た。
優『もうすぐ出かけるけど、準備した?』
そういえば、今日は家族で出かけるんだったな。
俺は準備を進めた。
基本NOVEL CAKEにいることが多くなってきますが、短編カフェにも来ますので安心してください( ´∀`)
第一章『殺し合いゲーム』二話「怒り」
えっと、今NOVEL CAKEで第二章書いてて、ちょっとずつ短編カフェに転載していっていますが、正直めんどくさいので((殴
短編カフェに転載するのは第一章までとしようかと思います…!(第二章からはNOVEL CAKEで読んでほしい…)
でももしNOVEL CAKEの方では見れなくて、でもどうしてもみたい!って人がいたら、転載しようと思います。(例えば、学タブでブロックされて見れないなど…)
https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=5&no=2
↑こちらがNOVEL CAKEの『異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。』の第一章の二話です。
もし早く見たかったり、第二章も見たいという方は、コピペして、そのURLから飛んでもらえると嬉しいです!
第一章の転載もゆっくりめですので…
でも全然短編カフェで読んでもらっても構わないです!
俺の家族の構成は、母、父、妹、そして俺。俺は車に乗って、荷物などを乗せた。
少し家族で遠出をする。運転は父が行うことになった。
そして、家族全員が車に乗って、シートベルトをすると、車が動き出した。ついに、元の世界の素晴らしい景色が見られるんだな、そう思った。
父が母と喋りながら運転をしていた。窓から外を眺めていたら、妹の優が急に話しかけてきた。
優『お兄ちゃん、外ばっかり眺めて。お母さんたちも仲良く喋ってるじゃない、私たちも二人で喋らない?』
海渡『…ん、ああ、優が喋りたいならいいよ。』
久しぶりの優とのお喋り…、とてもわくわくした。
優『学校はどう?私はグッド!』
優は小学5年生。背は高い方だが、頭は悪い。俺は中学3年生だ。自分で言いたくもないが、頭は周りと比べていい方だとは思ってる。
海渡『俺も。』
そう返すと、優がまた質問してきた。
優『勉強どう?受験とか大丈夫?』
海渡『まあまあ。』
優『まあまあ…って、反応薄いわね…。』
異世界で人間とあまり喋ることがなかった俺は、妹に対してもあまり喋ることがなくなってしまった。それよりも、今は風景を楽しみたい、そう思ったのだろう。
でもそんな時だった。突然車の速度が急に上がった。この時はまだ、家族全員特に気にしてはいなかったが、スピードがどんどん上がっていった。
父の方を見ると、父がハンドルから手を離していた。母は「やめて!」と言っていたが、父にはその声が届かなかった。
やがて、母が助手席からハンドルを動かしていた。しかし、助手席からハンドルを動かすなんて、無茶だ。
…そして、何処かの木に車がぶつか___
海斗『|時間制止《タイム コンストレイント》』
第一章『殺し合いゲーム』三話「強制沈黙」
NOVEL CAKEから転載。
https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=5&no=3
海渡『|時間制止《タイム コンストレイント》』
俺は時間を止めた。想像がつかないと思うが、俺にとっては普通としか思えない。だがしかし、いったい何が起こったんだ…?
父の顔を見る、少しにやついている顔に見えた。もしかして、父がわざとハンドルから手を離して…?病気だったらやばいとは思ったが、だったらもっと顔は死んでいるように見えるだろう。
母はとても必死そう、ハンドルも一生懸命に動かしていた、父の仲間ではなさそうだ。
妹はそもそも小五で殺意を抱くということはあまりなさそうだし、逆に家族が死んだら他に行く宛はあるのか?と思ってしまう。行く宛は近所の人とか、親戚の人とかになると思うのだが、子供ということもある、あまり考えられない。
…このまま時間制止を解除してしまうと、皆が死んでしまうな…。とりあえず家族を他のところに移動させないといけない。俺は家族を車から下ろし、安全な場所へと避難した。まだ父が犯人かはわかっていないから、父も安全な場所へと避難させた。
そして、俺は時間制止を解除した。
母『っあ…!…って、ここはどこ…?』
妹『え、あ、あれ、さっきまで車にいたはず…』
母『そういえば、お父さん、どうしちゃったの!』
父は、驚いた様子だ。犯人は父だろう。
そして、父は喋り始めた。
父『お、お前ら、違和感に気づかないのか!?』
母『違和感…?ま、まあ確かに急に車から移動したのは変だけれど、あなたも変よ!』
母と父が大声で夫婦喧嘩をしている。俺は下を向いて、終わるのを待っていると、妹の優が話しかけてきた。
優『なんで、なんで、お兄ちゃんは冷静なの…?』
優は、俺を疑うような目で見た。
何故ここに来たか、犯人もわかった俺には、驚きもしない。驚く内容がない。確かに、父があんなことをしたことには驚いてるが、所詮は人だ。人は人を裏切ることは簡単。俺は、優の顔をじっとみつめた。そして優がまた話し出す。
優『お兄ちゃんは、平気なの…?』
優『お兄ちゃんは、なんでそんなに驚いてないの…!?』
…所詮は人だ。疑うことなんて、簡単なことだ。俺は無言のまま、そこら辺の石を蹴った。そして、妹へと話す。
海渡『…どう見ても、父がやってるようにしか思えなくないか?』
優『でも…一緒に生活してきた家族だよ!たった一人しかいない私たちのお父さんだよ!やるわけないじゃん…!』
海渡『じゃあ僕がやると思ったの?』
優『なわけない!でも、なんでそんなに冷静か聞きたくて…。』
構ってるだけで時間の無駄だが、キリがない。そろそろケリをつけないと、ずっと続く会話になってしまう。あの夫婦喧嘩みたいにね。
…仕方がない。少し無茶だが…
海渡『強制沈黙、お口を瞑って待ってて頂戴。』
優の口は、チャックのようになり、喋れなくなった。
まあ俺がOKというまではお口チャックだ。
優『ん〜!!ん、ん!!』
さて、そろそろ夫婦喧嘩も止めちゃうか…。五月蝿いからね。
あ〜あ、せっかくのお出かけが、誰かさんのせいで台無しだよ。
第一章『殺し合いゲーム』四話「ゲーム」
NOVEL CAKEから転載。
転載元URL↓
https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=5&no=4
現在NOVEL CAKEでは、16話投稿済みです。
俺の母と父は、まだ喧嘩をしていた。言い争いは、さっきよりより激しくなっていた。
母『あなたがハンドルを離したせいでこうなったのよ!』
父『はあ?それよりここがどこかを探るべきだろうが!!』
相変わらず声が大きいおふたり。だが、放置しておくわけにもいかない。こうなったら、無理矢理でも止めないといけないのだ。
俺は二人に話しかけた。
海渡『二人とも、そこらへんにしといて。』
父『海渡、これは親が解決しないといけないことだ。子が口を挟むんじゃない。』
海渡『でも、解決できなさそうじゃん?』
父『まあ…そうだ…が…。』
俺は父の手を握った。そして徐々に握る強さを強くしていく。
海渡『いい加減、自白しt…』
『自白して』と言いかけたところで、俺の意識は途切れた。
意識が途切れる0.05秒前に、父の後ろにいた母が倒れていたような気がした。
---
…ここはどこだ?起きた場所は、すでに知らない場所。唯一言えることは、まるで学校の体育館みたいなところに俺はいること、そして周りには、知らない人と知ってる人が沢山いること。
体育館だと思われるステージ上には、すでに沢山の死体が置いてあった。
周りの人はみんな怖がっていたり、叫んでいたり、いろいろだった。
そして、ステージにただ一人いたおじさんがマイクを使って話す。
おじさん『tst、tst、ok。』
おじさん『皆さん、何故呼ばれたかはわからないですよね??』
おじさん『そう、この体育館で、"殺し合いゲーム"というものをしてもらおうと思います。もちろん強制、やらない奴は、死体の山の中へと放り込まれます。』
急に静かになったが、とある男性がおじさんに向かって、『ふざけるな!』と叫んだ。そうすると、黙っていた他の人たちも訴え始めた。
おじさん『まあまあ皆さんお静かに。このゲームをクリアすると、願いを一つ必ず叶えることが可能です!』
みんなが騒ついた。
だが、こんな物騒なことは俺はしたくない。俺は魔法で止めようとしたが、あまり使うと『神』に怒られるな…
俺は使うのをやめた。
おじさん『さあてと、一番最後に生き残った人が勝ちだよ〜?では始めるよ!よぉ〜い?』
…魔法を使わないなんて、この状況できっこなさそうだ。
海渡『時間制止』
…おじさんの顔は、とても苦笑いだった。
小説の内容には関係ないことですが、みなさんネッ友がいて良いですね( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
第一章『殺し合いゲーム』五話「困惑」
NOVEL CAKEから転載。
https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=5&no=5
NOVEL CAKEでは、現在1、2章合わせて19話投稿されています。
さてと、時間制止して何をするか。まあみんなが危険な状態だったし、もっと魔法使っても良かったか?
俺は、おじさんの目の前に行った。…随分と怖い笑顔、殺し合いゲームと言っていたな。一体ゲームをやってどうするのか…
そして俺は、時間制止を解除した。
おじさん『どん!!』
始まった、地獄のゲームが。
でも、みんな体は誰も動いていなかった。おじさんも、驚いた様子。
おじさん『え、み、みんな?こ、みんな殺しちゃえば、自分だけ生き残れるんだよ?』
だが、そんなことをおじさんが言っても、みんなは一言も喋らない。ここにいる全員が、ステージにいるおじさんを睨む。汗をかく。みんな緊張感がとても高まっているだろう。相手は、武器を持っているかもしれないから。
でも、俺はそんなことでは、もうびくともしなくなった。人間という生き物が、僕を置いてけぼりにする。いや、僕が人間を置いてけぼりにしているのだ。
異世界とこの世界は全くの別物だ。異世界では、人間を恨むモンスターが沢山いる、モンスターは僕を襲う。最初は勿論、雑魚だけで瀕死状態にとなるが、今は違う。雑魚は雑魚だ。びくともしない。
そして、異世界で唯一の話し相手となった『神』が、魔王を倒した時にこう言った。
神『あなたが本当に人間だったのか、ついそう思っちゃうわ。』
神と俺は呼んでいるが、正しくは女神だ。人間はこんな強さには普通ならない。魔法なんてただの誰かの妄想にしかならない。
この世界は異世界よりはものすごく平和。戦争とか紛争とかっていうが、それよりは異世界の方が物騒で、毎日が戦争みたいなものだった。
静かにしていたら、ステージにいたおじさんがステージから降りた。
おじさん『…いいだろう、殺したくないんだな、分かっていた。』
おじさんは、ニヤっとし、ポケットから銃と見られるものを取り出した。
おじさん『これを見ろ!!撃たれたくないならさっさと誰でもいいから殺せ!!』
みんなが騒ついた。だが、みんなは騒ついただけで動かなかった。下手に動くと殺されると思ったのだろうか。
おじさん『誰から撃とうかなぁ??』
だが、俺はこう言ってしまった。
海渡『適当に撃ったら?』
あ、敵を挑発させちゃった。
おじさんは俺の方を見て、こういった。
おじさん『なんだとクソガキがあああああ!!』
第一章『殺し合いゲーム』六話「人間」
NOVEL CAKEから転載。
URL↓
https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=5&no=6
NOVEL CAKEでは、現在1章、2章合わせて二十話投稿しました。(2023 6/1現在)
続きが気になった方はNOVEL CAKEの方へ。
おじさん『なんだとクソガキがあああああ!!』
厄介なことになった、まあこんなに怒らせちゃったのは、全部俺のせいなんだが…
おじさん『まずはお前からだ!!』
【バン!!】
『きゃああ!』
どこからか叫び声がした。そして、銃声もした。
だが、銃弾は消えていた。
おじさん『…!?…外した…!』
【バン!!】
またおじさんは銃を撃った。…しかし、銃弾はまた消えていた。
おじさん『なっ…弾はどこへ…!』
海渡『弾?…ほら、僕の手のひらにあるでしょ?』
おじさん『っあ!?』
銃弾は、俺の、俺の手のひらにあった。さっきまで、ずっと弾をキャッチしていたのだ。
こういうの、アニメとかでよくあるものじゃないか?
そして、俺はおじさんに近づいた。
海渡『はぁ、そろそろ諦めな。』
おじさん『な、なんだと…!?』
俺は先程キャッチした弾を床に落とし、おじさんを睨んだ。
何度も言うが、所詮は人間だ。異世界で魔王を倒した人間が、普通の人間なんて雑魚と思ってしまうほど弱く思えてしまう。
おじさんは床に倒れ、目を瞑って、そのまま「ああああああ」と叫んだ。
お母さん『…海渡…!?』
げ、お母さん。
お母さん…とお父さんが、驚いた様子で俺を見る。そんなに…俺を見ないでよ。こういうことができるようになったって、成長したって感じで見てほしかった。
まあ、魔法なんて人間じゃ、ただの妄想からできたことだと認識してしまうから、魔法を使ったんだなんて言ったら、笑われる。
笑われることは恥ずかしいことではないが、本当のことなのに笑われるって、裏切られた気持ちになるからさ。
俺は、お母さんとお父さんのそばに行くと、お母さんは抱きしめた。
お母さん『すごいわ海渡…!悪人を倒せちゃうなんて!』
お父さん『銃の球を手でキャッチなんて…なんて素晴らしいんだ…!!』
…ん??
俺は耳を疑った。あれ、俺、今褒められてない??
混乱していると、妹が視界に入った。そういえば、強制沈黙解除してないや。
俺は妹にかけた強制沈黙を解除すると、妹が早速こちらに来た。
優『おめでとう、マジックの天才。』
天才って言われて、なんだか嬉しくなった。
てか、なんで魔法を信じたんだ?あんなこと普通じゃないのに…
馬鹿な家族でよかったよ…
---
帰ってきた後、お母さんはお父さんに何故ハンドルを離したか聞いてみた。俺と妹も聞いてみた。
そしたら、お父さんの手が動かなかったそう。
でも顔がにやってしてたのも不思議だが…
今は動いているが、多分お父さんの手が麻痺したのだろう。面倒になると嫌だし、家族を失いたくないという気持ちはみんな一緒だったので、そう片付けといた。
殺し合いゲーム、というか、殺し合いゲームというものしてなかったけどな…
まあ、こういうことをする奴が、この世界にいるということか…
異世界だったら毎日殺し合いゲームみたいなもんだから、変わりなかったけどね
俺は夜ご飯を食べていると、お父さんがテレビをつけた。
『今週は、毎日雨が降る予想で、水曜日は関東を中心にゲリラ豪雨になるそうです___』
…今日は日曜日か。水曜日…、そういえば、友達との遊ぶ約束が入っていた。
大丈夫かな、まあ、なんとかなるか。
俺はご飯を食べた。
第一章完
異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。第二章『最後の晩餐』
NOVEL CAKE ライト版にて転載。
初めての人でも、第二章からでも楽しめます…!!(多分…)
第一章も短編カフェに投稿してありますが、ちゃんとしたストーリーじゃないので、第二章からでも楽しめるということです(๑>◡<๑)
※あとから気がついたのですが、四話と五話のタイトルが一緒ということに気づきました…。まあいいでしょう。気にせずに…。
あと、ところどころ誤字がありましたので修正して投稿しております。
NOVEL CAKEの方ものちのち…
文字数24000ぐらいあって普通にこんだけ書いたんだって…怖い…自分が怖い…(((
本編どうぞ。
【第一話『美味』】
今日も究極の美味を探し続ける少女がいた。その少女は、究極の美味と言われる食べ物が食べたくて仕方がなかった。
少女は究極の美味をどうしても食べたくて、食べたくて、究極の美味を食べるためならば、全てを捨てても構わないと思っていた。
そもそも究極の美味とは何なのだ?少女は、頭を抱え、考え始めた。
そもそも究極の美味なんてないのでは??
少女はまた、究極の美味を探し始めた。
---
火曜日、俺は学校から帰ってきた後、友達の『|裕太《ゆうた》』に、電話をかけた。
プルルルル…
裕太『もしもし、あ、海渡!どうしたんだ?』
海渡『明日さ、ゲリラ豪雨らしい、どうする?』
裕太『何が?』
海渡『みんなと遊ぶって約束、したでしょ?』
裕太『あ、ああ、そうだったな!!忘れてたw』
なんでだよと思うが、人にもそういうことがあるんだなとは思った。
そして裕太がまた話す。
裕太『まあいいんじゃない?こっちで遊んでたらやばい状態になってもさ、こっちで泊まればいいよ。今週は、親誰もいないから。』
海渡『わかった。』
そう言って、電話を切った。
俺は冷蔵庫にあった封をきっていないコーラの封をきり、飲んだ。一気飲みをし、ラベルの下まで飲み続けた。まだ少しだけ、コーラは残っている。
窓を見ると雨が降っている。テレビをつけてdボタンを押し、天気予報を見る。一週間の天気は、綺麗に雨マークが横に並んでいた。
一日中雨だとほんとにつまんない。傘をさして散歩も、結構めんどくさい。だったら家にいたほうがマシ。でも、暇だからやることはない。
ソファーに座って、全く興味もないテレビ番組を見る。
課題をやるか…
と思うと、妹の優が帰ってきた。今日はやけに遅かった。
海渡『遅かったね優、どうしたの?』
優『忘れ物、取りに行ってたら近所のおばちゃんに捕まっちゃってさあ〜、雨だからおばちゃんの家にも入らせてもらって、話続いちゃったぁ〜。』
相変わらずの近所のおばちゃんだな、と思う。
窓を眺めていると、優がこういった。
優『…明日、遊びに行くの?』
海渡『ああ。』
優『《《夜9時に、他人の家にいないように。》》』
優『荵晄凾縺ォ縺ッ螳カ縺ァ蟇昴k繧医≧縺ォ』
海渡『…!?』
海渡『お前、今なんて…』
優『ん?何?何も言ってないけど。』
何だったんだ…?
---
【第二話『夜9時』】
水曜日、俺は予定通り、友達の裕太の家に行った。土砂降りの雨で、家族にもやめておいた方がいいとは言われたが、せっかく5年も待ったんだ。俺は勿論裕太の家に行った。
思い切ってドアを開けてしまった。裕太の家の玄関の鍵は空いていた。玄関の奥には、裕太が手を振って待っていた。
裕太『やあ!よく来てくれたな、ありがとう。もうみんなもいるぜ!』
そう言って、裕太は部屋の方へ走っていった。
俺も家にあがった。
裕太の家はとても綺麗に整頓されてる。もちろん裕太がやったのではなく、親がやったことだろう。あの裕太がやるわけがない。
俺以外の参加する人たちがもう集まっていた。そして、裕太が喋り始めた。
裕太『よし、全員集まったな。じゃあ始めるぞ!』
まず始めたのは、トランプ。七並べというもので遊んだ。
次に人生ゲーム、その次にUNO?
カードゲームを沢山した。遊びに夢中になっていたため、時計を見てみると、既に時間は21時をすぎそうなところだった。
…そういえば、妹の優がこう言っていたな、『夜9時に、他人の家にいないように。』と。そして、その言葉を言った後に、"異世界語"を言っていた。
何故だ?何故、異世界に行ったことない、そもそも異世界を知らないであろう優が、何故異世界語を喋る?
よく考えてみると、わけがわからなかった。
みんなと同じく遊んでいた『あかり』が、時計に指を差して、こう言った。
あかり『もう9時になるじゃない、そろそろ帰る?』
裕太『けれど、土砂降りだぜ?帰れるか?』
あかり『えぇ…土砂降り?』
そして遊んでいた『|颯太《そうた》』と、『|健二《けんじ》』が手を止め、帰ろうとした。
しかし、それを裕太が止めた。
裕太『やっぱりここで止まっていけよ。土砂降りで帰っても、親に怒られるだけだろ。』
健二『まあ…そうだな。泊まって行った方が、きっといいと思う。わかった、俺は泊まる。』
颯太『んじゃ、僕も!』
あかり『お言葉に甘えて、私もそうする。海渡は?』
家に帰りたいが、土砂降りで帰るのもあんまりだ。
海渡『俺も泊まるよ。ありがとう裕太。』
裕太『へへ。まあ今日は親が出張だから、家には俺しかいなかったし、賑やかになるぜえ?』
健二『ひとりぼっちが嫌なだけだったんじゃないのか?』
裕太『なわけねえええ!』
みんなが笑っていると、俺は少し不安になった。夜9時までに帰れ…あの言葉は忘れられなかった。
---
【第三話『あの言葉』】
寝る準備をしていると、いろいろとあの言葉について考えてしまった。
優はもしかして何者かに言わされている…?でも異世界から元の世界にわざわざ来て、優に言わせる魔法をかけるって、少し面倒じゃないか…?とは言っても、異世界から言わせるっていうのも、かなり難しいことだ。"上級魔物"や、"上級者"しか使えないのではないか…。
…上級魔物、上級者の話はまだだったな。
まず上級魔物について話す。基本的には、異世界の化物、モンスターの中で特に強い魔物だ。魔物は、初級魔物、中級魔物、そして上級魔物。ざっくり分けられているが、中級魔物と上級魔物は差が大幅に開いている。だから上級魔物はあまりいなく、倒したらラッキー程度にいる。
上級者は、魔物を倒す者。これも初級者、中級者、上級者とわかれている。俺は異世界生まれじゃないし、なんならこの世界で生まれた。だから、初級にも、中級にも、上級にも入れない。ただの人間ってわけだ。異世界には人間はいないけどなw
でも俺はレベル的には…中級者程度だろう。手を進めていると、急に裕太と颯太が枕投げを始めた。それにあかりがため息をつく。そして健二が止めてくれた。はあ、しっかりやれよ、と思った。
そして布団の準備ができると、みんなが布団の中に入り始めた。
あかり『そろそろ寝ないとね、もう9時半。寝ないと。』
颯太『ちょっと待ってよ。親に連絡しないと、迷惑かけちゃうよ。』
裕太『それなら安心して。もう全員の親にした。』
颯太『よかった〜、ありがと。』
みんなが喋っている。俺は枕を抱きしめる。ああ、いつもこんなふうでいいのになと思う。布団はふかふかだ。失礼だが、家とは違う。
でもそんな時だった。楽しかった時は、あっという間に過ぎた。
【こっちへおいで。】
!?
声がした。今、声がした。
だが、みんなは気にしてないのか、聞こえてないのか、まだ喋っている。
そして裕太が俺の異変に気づいたのか、話しかけてくる。
裕太『おい海渡。どうした?そんな驚いた表情してさ。』
裕太は完全に気がついていなさそうだ。
海渡『ちょっとお手洗い行ってくる。』
裕太『オッケー』
おかしい、何かがおかしい。
【こっちだよ、こっち。】
っ…?また声だ。
【ほら、玄関の前においで。ねえ。】
体が吸い込まれるように、いや、行きたかったのかもしれない、俺は玄関の前に行った。
【君が、約束を破ったせいだよ。】
その瞬間、玄関のドアから複数の手が伸び、俺を掴んだ。
俺はすぐに手を切った。俺を掴んだ手は離れたが、切られた手は徐々に回復していく。こいつ、この世界の奴ではないな?
まだみんなは気づいていない。よし、騒ぎにならないようにさっさと対処しなければ…
【君は、異世界で魔王を倒した人間だねぇ?】
海渡『…は…?』
なんで知っている…!?だが、そういう発言をするということは、すぐに異世界にいる魔物か生き物ということがわかった。喋れる魔物だって沢山いる。勿論、この世界の言葉だって、覚えればあとは忘れない。魔物は記憶力が高い。
【今日を、君の最期にしてあげるよ。】
随分とやるきだな。相手は手を伸ばしてきた。
相手の手は厄介だ。切っても切っても回復できるということがさっき分かった。だから、もう二度と手を動かせないように、止める。
海渡『|施錠《ロック》』
俺は生活魔法の施錠で、相手の手を使えないようにした。
【…はっ、酷いじゃないか。】
海渡『酷いのはお前だ。』
【よく聞け、今アリルエル様は、至高の食物を探している。究極の美味、だっけなあ。あたしはそれを探してるんだよっ!】
アリルエルという方は、上級者の一人だ。最強とは言えないが、上級者のため、強いだろう。勿論上級者も少ない。
【あたしが見つければ、魔物でも、究極の美味を見つけたら、許される!あたしはとにかく上級者に認められて、上級者の味方になり…いつかは…はっはっ。】
やばいこと企んでそうだ。だがなんでここを当てにしたのか。くだらん。
海渡『…そんな上級者を困らせようとする君には、魔法をかける。』
海渡『魔物で生まれて悪かったね。』
海渡『|地獄への招待状《ヘルズクレスト》』
---
【第四話『上級者の呪い』】
海渡『|地獄への招待状《ヘルズクレスト》』
俺が放った魔法は、地獄への招待状。文字通りだ。こいつを地獄に招待した。
【っ…よくもこのっ…!】
海渡『君は手を封印されているが、どうやって攻撃するのかな?どうせ遠隔だし、俺の近くにもいない君が、どうやって攻撃するか。』
【舐めるな舐めるな!あたしは上級魔物だぞっ!!えやっ!!】
上級魔物は、手ではなく、足で攻撃してきた。さっきから手とか足とか言っているが、玄関のドアに生えているだけで、実物の上級魔物はいない。厄介だなぁ。
海渡『|施錠《ロック》』
勿論、足も施錠した。
【くそっ、くそっ!!上級者でもないお前が何故あたしを…!】
海渡『俺は上級者レベルじゃない。俺は強くない。でも、あなたが上級魔物レベルぐらいじゃなかったってことになるんじゃないかな?自称上級魔物さん。』
【な…!…こいつに構っても仕方ない。お前なら確かに攻撃できるが、上級魔物の怖さも知らない、あの子供の人間に攻撃したら、どうなるだろうなぁ??はははっ!!】
海渡『ふ〜ん…』
正直動揺はしていなかったが、攻撃されたら俺が一から説明とかめんどくさくないか???
【じゃあ攻撃してこよw、その手があったか。】
海渡『じゃあその前に倒すのがいいんじゃないか?君は今地獄にいるから、倒すのも簡単。地獄の悪魔。やっちゃって。』
【え?え?ぎゃあああああ!!】
そして声が途切れた。聞こえなくなった。
海渡『ラッキー。』
地獄で楽しく暮らしてるかな。想像してるほど苦笑いする。
これで一安心だと思っていた。黒い影が、みんながいる寝室の方へ動いている。
黒い影が動く?全身が黒かった。今動いていたのは生き物だ。そして、黒い生き物なんてこの世界にいることは聞いたことがない、ということは…
異世界の生き物?
俺は寝室に急いだ。生き物にもしかしたら襲われるのでは?とも思っていたし、さっき寝室から出る理由をお手洗いと言ってしまった。少し遅いと感じているだろう、違和感を感じさせたくはない、後から面倒だからね。
俺は寝室に行った。黒い生き物は寝室の中にいた。みんなは黒い生き物を見つめている。そして、裕太が俺に話しかけた。
裕太『な、なあ、これ海渡の友達…?』
海渡『違う。』
あかり『え、なに?あれ…!』
黒い生き物は、あかりに近づく。
健二『なっ、あかりさん!!すみません!あかりさんに、近づかないでください!』
黒い生き物は、健二の話を一切聞かず、あかりに近づいた。
あかり『ぇ…なんなの…!?』
黒い生き物『キミはイラナイ子。』
黒い生き物が喋った。明らかに違和感があった。
黒い生き物は、異世界語を喋っている。俺が今翻訳したが、少しやばそうだ。
俺は魔法を使った。勿論黒い生き物に。
海渡『クリーン』
クリーンの魔法の効果は、清潔な服装にすること。でもそれだけじゃない。
綺麗にすること、も含まれる。
黒い生き物の黒いものが、溶けていく。
そして黒いものが完全に溶け、顔が見えた。
海渡『ん…?アリルエル・クラレス…!?』
異世界の上級者の一人。アリルエル・クラレスだった。
アリルエル『究極の美味はドコダ。』
海渡『|索敵《サーチ》』
俺は魔法を使う。索敵の効果は、まず相手を知ることが可能だ。まあさらに高度なことをすると、半径50mの範囲内の中に、武器を持っている人が何人か、そして種類などがわかる。
今回は、相手を知ることだけを使う。高度なことは今はしない。相手の個人情報や今の機嫌、病気を患っているか、色々わかる。
……アリルエル様は、"呪い"がかかっている。
---
【第五話『上級者の呪い』】
……アリルエル様は、"呪い"がかかっている。
正直信じ難いところだが、魔法を使ったら、分かった。
元の世界に戻る前に、異世界で上級者が洗脳とかどうのこうのとかと騒いでいたのを思い出した。お陰で上級者ですら、呪いがかかった上級者が処分され、上級者の数も勿論減ったようだ。
異世界ではそれが問題になっており、現在、上級者たちに呪いをかけた黒幕を探してるそうだ。
さっきの手や足で攻撃してきた上級魔物は、恐らくアリルエルに気に入られたくて命令聞いただけだと思われる。上級魔物が上級者にすぐに気に入られるわけがない。俺は少し呆れた。
魔法でさっさと攻撃して倒したいところだが、異世界を知っている者には、ルールがある。その一つが、上級者を殺してはいけないということ。上級者は少ない人数のため、とても貴重な人材だ。殺してしまったら、上級者は減る。しかし、呪いがかかった上級者は処分された。恐らくまだ呪いの解き方が分からないため、このまま放っておいたら、呪いがかかった上級者は、もはや上級者ではなくなる、信頼も失う。そうなる前に、処分したのだろう。
でもアリルエル様が何故この世界に来たのかが分からない。逃げてきたのか、意図的にこちらへきたのか、実に考え深いものだ。
あかり『ね、ねえ、海渡くん、この人知ってるの…?』
やばいな、そろそろみんなを移動させないと。
海渡『|瞬間移動《ワープ》』
俺は瞬間移動という魔法を使い、俺以外のみんなを移動させた。みんなは俺が作った白い空間にいる。勿論出口もない。上級者を異世界へ送るまで大人しく待っててもらえたら良いのだが…
アリルエル『ジャマなヤツがイナクナッテヨカッタです。』
喋り方も何かおかしいな…
アリルエル『究極の美味をシラナイか?』
海渡『究極の美味?何のことだろうね。ごめんだが、俺は知らないよアリルエル様。』
アリルエル『…ソウカ。』
アリルエル『何故、ワタシの名をシッテイルのか?』
海渡『異世界に行ったことがある人間ですよ。あ、俺は草野海渡と申します。』
普通に喋れている、もしかしてまだ自身の意識があるのか…?今はただの会話タイム…?
海渡『究極の美味とはなんですか?』
アリルエル『異世界最強の美味シイ食物ダソうだ。』
聞いたこともない言葉を少し思い出してみようとしたが、聞いたことない。一つも耳にしたことがなかった。
アリルエル『ココは…地球か。』
海渡『…あなたは今呪いにかかっていますが、自我はお有りで?』
アリルエル『アア、アルが、モウスグで壊れチャイソウだ。アイツに、ノロイをカケラレた。』
アリルエル『ワタシを異世界にツレテイッテクレ。』
何がどうなっている…?
まだ自我がある…?アイツとは…?
海渡『異世界に…でもどうやって行こうか…』
元の世界に戻れたのは全て"女神"のおかげだから、異世界に行くには、女神を呼ばないといけなくなる。だが女神を呼ぶと少々厄介なことが…
まあ上級者からの命令だ。従わないと俺がボコボコにされる。
海渡『女神〜。』
女神『海渡さまああああああああああああ!!!』
は。
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【第六話『女神ちゃん』】
女神『海渡さまああああああああああああ!!!』
は。
女神が異空間から、この世界に俺の名前を叫んでやってきた。
女神『なんで元の世界で魔法をどんどん使ってるんですか!?』
海渡『いやぁ、緊急だし?てか、お願いあるんだけd…』
女神『魔法をこの世界では簡単に使ってはいけません!!女神ちゃん許しませんよっ!』
そう言って、女神は魔法を使いはじめた。
女神『記憶改変!』
記憶改変。それは、指定の人物の記憶を変える魔法のことだ。女神は上級者並みの魔法が使え、なんなら上級者になってもいいんじゃないと周りからも言われているが、女神は女神としての仕事がある、上級者もなんらかの役割があるから、掛け持ちもちょっとキツイとは女神が言っていた。
女神『海渡様の魔法を見てしまった全ての人物の記憶から、海渡様が魔法を使ったことを記憶上から消しますっ!いいですね海渡様?』
海渡『まあいいけど。』
女神『ふえっ!?』
女神は驚いた様子でこちらを見る。
そして女神は俺に近づいて話しはじめた。
女神『け、けれど海渡様が倒してくれたってことわすれちゃうんですよ!?つまり、ヒーローじゃなくなるってことですよっ!?あんなにカッコいい海渡様なのに…!?』
海渡『いや俺は別に…』
女神が記憶改変してるのに急にやめようよ感覚で来るのがちょっと笑ってしまった。まあ女神らしいとは思う。
結局、女神が記憶改変をした。
今後、元の世界で魔法を使ったら、女神に怒られるんだろうなと思うが、正直なところ、魔法があれば便利だし、本当に使いたい時もあるだろう、てか使いたいんだ。
異世界に行っていたため、もはや人間の普通の生活がわからなくなってしまったのか、魔法がない生活はおかしいと思うようになった。
そして女神が俺に話しかけた。
女神『よしっ…で、お願いがあると言っていましたが、なんでしょうか…?』
海渡『ああ、あっちにアリルエル様がいるでしょ?異世界に連れて行ってほしいんだけど。』
女神『…ん??え、アリルエル様!?無理無理無理無理、異世界に連れて行ったら逆に捕まっちゃう!』
海渡『え?』
そう言って、女神は俺にポスターを見せた。ポスターには、【アリルエル・クラレス、見つかり次第処刑されることに決定。】と書いてある。
確かに、この状態だと異世界に行ってしまったら捕まってしまう。でも、いずれこの世界にいることがわかってしまうだろう…、じゃあそうしたら俺らも処刑されるのでは…
初級者や中級者は何か軽い罪を犯しても、処刑される。上級者とは違って、弱いからだ。俺はまあ中級者あたり…?かな(俺が考えただけだけどね。)に入るから、処刑される確率はかなり高い。
海渡『でもこの世界で預かっててもバレたら最悪じゃん…。俺ら処刑されるよ?』
女神『いやいは、海渡様はお強い方ですからっ!』
いや全然なんだけど…と思いつつも、なぜか少し照れる。そして女神が話しはじめた。
女神『いい考えがあります!』
女神『海渡様は人間なので、異世界を知らないふりしとけばなんとかなるんじゃないんですか!?』
女神『異世界のルールには、『異世界を知らない者は殺さない。』というルールがありますね、てことは知らないふりしとけばきっと見逃してくれますよ!』
ということで、アリルエル様に事情を話した結果、アリルエル様もこの世界に住むことになった。
でも、まだ呪いはかかったままだ。
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【第七話『呪いの解き方』】
結局は呪いを解かなければいけない。
アリルエル様は、俺の家族と一緒に生活することになった。凄く礼儀が正しく、お手伝いする率もかなり高い、こんな子が家にいてほしいなとも母が小声で言ったぐらいだ。
…俺はアリルエル様が手伝いをしている間、呪いの解き方を調べていた。どんな呪いかもまだよくわかっていないが、一か八かでやるしかない、呪いをこのままにしたら危なさそう、そんな危機感を感じた。
だが、あまりよくわからない。呪いを消滅させる方法がわからない、とは言っても呪いを解くなんてそう簡単ではないのだ。
女神も異世界の様子を見ていると言った。悪い情報が入ったらお知らせすると言っている、あれから何日かたったのだが、特に情報はまだ届いていない…
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次の日、俺は学校から帰ってきた後、家で留守番をしているアリルエル様に話しかけた。勿論呪いの件だ。まだ呪いの解き方はいまだにわかっていないが、逆にそんなに考えなくてもいいのかもしれない、これは魔法でどうにかなる、そう思った。
海渡『アリルエル様、…呪いを解くのを…やってみたいだけなんですけど…』
アリルエル『イイよ、アリガトウ。』
礼を言うにはまだ早いのだが…と思いつつも、俺は魔法を使いはじめた。
海渡『除去、指定…呪い。』
俺は除去という魔法を使った。本当は物を消したりすることで使われるのが多い。そして除去という魔法には、ウイルスも消してしまうこともできる、だから呪いもできるのでは…?と思った。
アリルエル『……はぁ……治った…?治ったのか…?』
え、できた?…できちゃうんだ?
海渡『女神!呪い解けた!』
女神『…やってきました女神ちゃん…って、それは本当ですか!?海渡様さいきょー!』
女神はめちゃ喜んでいる、そしてアリルエル様が頭を下げた。
アリルエル『心より感謝いたします。このことは異世界に行っても忘れることはないでしょう…!』
海渡『いや忘れていいですよ。』
女神『では、アリルエル様!異世界へ!』
アリルエルは異世界に帰った。
そしてアリルエル様が異世界に行ってから数日後だった、
パーティーの招待状____
俺宛に届いた手紙、それはパーティーの招待状だった。
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【八話『異世界でのパーティー』】
異世界、俺は今、異世界にいる。
先日パーティーの招待状が俺宛に届いた。内容的に、アリルエル様を助けてもらったお礼だという。そんなにやらなくてもいいけどなとは思ったが、女神に聞くと、どうやら異世界では普通だそう。あまり感謝されることなんて異世界ではしたことなかったから、パーティーなんて異世界では参加したことなかった。
女神に了承をもらえ、異世界に行く。招待状には勿論住所や電話番号などが書かれていて、住所と異世界のマップを頼りにパーティーの会場へと行った。異世界の広さはものすごく広い。元の世界みたいに、国や島国などに分かれてはいないが、その代わり『エリア』と言うものが存在する。
例えば、山で、雪が降りやすいところを『雪山エリア』、魔物が多くいるエリアを『魔物通常生息エリア』という。
異世界にも住所があるが、あまり役には立たない。基本数多くのエリアに分かれているため、エリアで示した方が楽に行ける。招待状にも、もちろんエリアが書かれていた。そのエリアは、『公共施設エリア』だ。
パーティーの会場は、とても大きな建物だ。言えば城か?というか、城なんて公共施設ではないだろう、城は常に上級者の手下が管理しており、中級者や初級者が簡単に入れる場所ではない。強いて言えば、中級者がちょっと入れるぐらいだ。
公共施設エリアとか言ってるくせに、公共施設じゃないものの方が多くあるのだが、名前詐欺じゃないか…
まあまあいろいろと説明をしていたら、いつのまにか会場へとついていた。会場はとても明るく、中は綺麗な方ばかりだった。それに比べて、俺は普通のスーツだし、中にいる方たちのキラッキラって感じじゃない。異世界の生き物で、スーツを着る人なんてほとんど見ないから、実質人間らしい格好って感じだった。
そして___
クラシコ『ようこそ、草野海渡様。本日は誠にありがとうございます。』
海渡『いえいえ。』
上級者のクラシコ様(クラシコ・エルアード)にご挨拶をされた。
このパーティーは上級者主催。でもあたりを見渡しても、見れる限りでは上級者の人数は少ない。(正確に言うと、上級者の全人数は15名。今海渡が見つけれた人数は4人。)
そして俺は城の中へと入った。
---
【第九話『異世界でのパーティー②】
城の中は、とてもキラキラしていて、眩しかった。輝いていたシャンデリアが、とても美しかった。
夜のため、暗いから中がとてもきれいに見えた。
クラシコ様がさっき俺にご挨拶をした。上級者から挨拶をしに来ることはあまりないが、クラシコ様は例外だ。クラシコ様は、生き物に興味を持っておられるのか、よく初級者でも中級者にも話しかけてくる。所謂…ファンサービス的な。明るい性格に、よく生き物と話をされるところから、人気度がとても高い。順位付けすると、2位ぐらい…?
クラシコ様の執事が俺を、指定された席へと誘導された。豪華な椅子や机、夢みたいだった。
そして、クラシコ様が、城のメインホールの一番高い場所へと立った。中心には高い台みたいなものがあり、それにクラシコ様がいる。そしてクラシコ様が左手で持っていたマイクを口に近づける。そして、話を始めた。
クラシコ『…本日は、お集まりいただき、誠にありがとうございます。わたくし、クラシコ・エルアードでございます。』
クラシコ様が名乗った後に、大勢の方々で作られた盛大な拍手がメインホールに響き渡った。その拍手は、いつ鳴り止むのか分からないぐらいだった。
クラシコ『ありがとうございます。』
クラシコ様が喋ると、拍手は止まった。
クラシコ『皆様は、大変素晴らしいことを成功させたでしょう。今夜は盛大に、盛り上げましょう!』
そしてまた盛大な拍手が送られる。クラシコ様は台を降りて、このメインホールから立ち去った。
そして、ウェイターやウェイトレス、まとめていうとホールスタッフという方たちが料理を持ってきた。あまり食べられないであろう、見た目から見ても絶品料理としか言えない。一度こんな城に似た城に入って食事をしたことがあった。その時も美味い料理ばかりだった。
料理を食べていると、やはり周りからは『美味しい』や『美味い』という声が聞こえて来る。俺も表現しにくいのだが、一言で言うと、美味しかった。
『バン!!』
明かりが消えた。暗くなった。停電か?と思ったが、異世界はそんなことあまり起きない、異世界の生き物は停電というものも知らないぐらいだ。
だがすぐに明かりがまたつく。そして、中央にある高い台に、上級者、『アルカナ・ディスエディア』が立っていた。
そして、大きな声で喋り出した。
アルカナ『ここに集まった諸君、残念ながらお別れの時間だ。』
なんのことだ?俺も少し戸惑ったが、なんとなくわかった気がした。
アルカナ様の眼球を見た、よく見えた席だった、見ると、眼球の中に絵のような目の模様みたいなものが描かれていた。アルカナ様はそんなおしゃれみたいなことはしていない。
……他のウェイターなどもそうだ…。集団おしゃれなどしないだろう。
…洗脳されている…?アリルエル様の時の洗脳の時は、目は普段の目、普通の目だった、が今回は違う。
これは罠だったのかもしれない。
---
【第十話『二択』】
アルカナ『ここに集まった諸君、残念ながらお別れの時間だ。』
アルカナ様から発せられた言葉、受け止めきれなかった。いや、受け止められなかったかもしれない。
全体がざわついている。だが、誰もアルカナ様に反対や文句などは言わなかった。何故って、そりゃあそうだ。誰もアルカナ様に勝てないのだ。指一本も近づけれない、流石上級者だとは思う。
そして、アルカナ様は右手の人差し指と中指を同時に立て、大きな声で話し始めた。
アルカナ『だが、お別れの時間を避けるには、たった一つの方法がある。よく聞きたまえ。』
アルカナ『究極の美味、それを見つけたものは避けれることが可能だ。だがしかし、違ったものを持ってきた場合、その瞬間、お別れの時間となる。じゃあ聞く、今言った方法をやらない人はいないか?』
………スッ‥
ただ一人、この大勢の中で手を挙げた人がいた。真っ直ぐ上に上がった手が、みんなの視線が奪う。
アルカナ『はっ…選ばなかった…?選ばなかったということは、この上級者、アルカナ・ディスエディア様に逆らうということになるぞ…?』
また周りがざわつく、アルカナ様を逆らったことに驚いているのだろう。
アルカナ『…まあ君が決めた道だ。反対はしないよ。でもわたしは言ったであろう、さっき言った方法以外は、死ぬ…お別れの時間となる。…じゃあ、また生まれ変わってから会おu…』
???『まだ死ぬとは決まってないですよね、アルカナ様。』
アルカナ『…。話の途中で話を始めるとは一体…。…まあいい。ここに呼ばれた奴がわたしに勝てるわけない。』
???『本当に、上級者って決めつけが早いのですね。』
アルカナ『な…?』
そう、手を上げた人は…
海渡『確かに俺はアルカナ様より弱いと思いますよ、でも弱いということだけじゃ、まだ負けたということにはならない。』
草野海渡、俺だった。
---
【第十一話『上級者と。』】
海渡『確かに俺はアルカナ様より弱いと思いますよ、でも弱いということだけじゃ、まだ負けたということにはならない。』
草野海渡、俺だった。
アルカナ「…ふっ、ふ…ははっ…」
アルカナ「上級者に喧嘩を売るとは…上等だな。お前、名は。』
海渡『草野海渡。』
アルカナ「…人間っぽい名前だなぁ。そういえば、服装も人間らしい。」
アルカナ様はそういうと、俺の服装をジロジロと見始めた。
アルカナ『…スーツだっけなぁ。相変わらず変な服だ。お前人間か、どうして異世界に…」
海渡『異世界に来てしまったただの人間ですよ。』
アルカナ『ふ〜ん…でも人間が俺を逆らうとは。人間なんて、異世界の生き物より遥かに強さが違う。人間は初級者より弱い。それなのに逆らうとは一体何事。』
海渡『さあ、何事でしょうね。』
アルカナ『人間にはこれで十分だ、撃て。』
アルカナ様の周りにいた重そうな服を着た生き物たちが一斉に銃を持って俺に攻撃してきた。勿論目もアルカナ様と同じ目をしていた、おかしかった。
だが銃を撃たれても俺は無傷だった。前にもこんなことしたね、銃弾をキャッチしてるんだ。
どんどん撃っているが、銃弾の無駄とは思う。アルカナ様は舌打ちを一回し、喋り始めた。
アルカナ『どうやら、草野海渡、ただの人間ではなさそうだ。』
アルカナ『人不足だ、増やせ。』
そしてどんどんと銃を撃ってくる人が集まってきた。段々と増えていき、キャッチできないほどの数、銃弾がどんどん撃たれてきた。
海渡『面倒くさいなぁ。オーバートレイダー』
俺は魔法、オーバートレイダーを使った。オーバートレイダーとは、肉体に受けたダメージを跳ね返すことができるが、自分に対しての障壁にすることも可能とする。とにかく使いやすい魔法なのだ。
アルカナ『人間が魔法を…?…やはり…』
アルカナ『ワイバーン、あいつを消滅させろ。』
アルカナ様は、ワイバーンを召喚させた。怪物召喚魔法だ。ワイバーンを召喚させる魔法はものすごくレベルが高く、扱いにくいがワイバーンが強く、使える人は使っている魔法だ。
アルカナ『これでもまだまだだ、無理だったら大人しく究極の美味をさがすんだ。今この現場を見てる奴らと一緒にな!!』
海渡『う〜ん…ワイバーンか〜…。ならこれがいい。ヘルバーン召喚。』
ヘルバーンとは、俺の大親友だ。家族とも言えるぐらい生活している仲間だ。元々は捨てられていたヘルバーンを拾って成長させたのがきっかけ。俺が戦っているのをヘルバーンが見ていて、ヘルバーンも戦いたいとか言って、今は強くなってる、もはや俺よりも。
アルカナ『(ヘルバーン…!?)』
海渡『俺の家族、ヘルバーンだよ。』
---
【第十二話『風を呼ぼう』】
海渡『俺の家族、ヘルバーンだよ。』
ヘルバーンは、アルカナ様とその仲間、そしてワイバーンに睨んだ。
アルカナ『…ヘルバーン…?確かにその姿はヘルバーンだ。だがしかし、ヘルバーンはもう数百年前、上級者の手で絶滅させたはずだが…!』
そう、上級者にとってヘルバーンという名前を呼ぶのも嫌になるだろう。昔、上級者を最も困らせていた生き物だった。上級者から見てヘルバーンは…化物とも言える。絶滅させたと言っているが、それはただの偏見だ。上級者の力で殺されたヘルバーンの子孫は沢山いた、その中のヘルバーンの一匹が俺のヘルバーンだろう。
アルカナ『…ワイバーン、目の前にいるヘルバーンを消滅させろ。』
ワイバーンはヘルバーンに大きな炎をヘルバーンに投げた、投げたというよりは当てようとしたかな、勿論ヘルバーンは避けた。
アルカナ『ワイバーン!ヘルバーンを…一つ残らず跡形もなく燃やし尽くせ!!』
ワイバーンは火の輪を何度も何度も出した、ヘルバーンにむけて。だが、ワイバーンは数多の火の輪を出したが、ヘルバーンは無傷だった。
アルカナ『…!?』
海渡『俺よりも強いヘルバーンが、ワイバーンの攻撃なんて当たるわけないでしょ。』
海渡『ヘルバーン、風を呼ぼう。』
ヘルバーンは、この室内で風を作り上げ、ワイバーンに攻撃した。強い風が、この城全体を襲った。
アルカナ『ワイバーン!避けろ…っ!』
攻撃範囲があまりにも広すぎたため、ワイバーンは避けきれなかった。そして攻撃が当たったワイバーンは、消えた、消滅した。
アルカナ『は…っ…!?』
海渡『ワイバーン、消滅しちゃったね。』
俺はそう言いながらアルカナ様に近づくと、アルカナ様の近くにいた銃を持った人々が、俺に銃を撃ち始めた。
ムキになったのか、アルカナ様に近づかせることはアルカナ様によって許されることではなかったのか、とにかく睨みながら撃ってきた。
海渡『オーバートレイダー、しつこいよ?君たち。』
そんなことを言ってもまだ撃ってくる。銃声がうるさくて聞こえてなかったのか?そういえば、五月蠅いな。
海渡『ああ、銃声五月蠅いなぁ。ロック。』
魔法をかけた瞬間、銃声は一斉に静まった。いや、銃の引き金を引いても撃てなかったのだ、誰も。
『ロック』という魔法は指定のモノに制限をかけることだ。言葉には発していないが、俺が今指定したモノは、銃だ。彼らはもう一生銃を使えない。制限を解除することもできるが、まあこんなことをした生き物たちだ、勿論しない。
何かに制限をかける、それがロック。
海渡『…銃はもう打てなくなった、さあどうする?』
アルカナ『…仕方がない、…暴力で解決しないか?…はは、お前ら!!選択肢が増えたぞ!!この草野海渡っていう人間を殺したら、究極の美味を探さずに生き残れる、さあ返事は。』
アルカナ『返事は??"ブレインウォッシング"』
全員(海渡以外)『あなたの仰せのままに。』
ブレインウォッシング、彼の魔法が全てを狂わせている…
---
【第十三話『君は一体』】
アルカナ『返事は??"ブレインウォッシング"』
全員(海渡以外)『あなたの仰せのままに。』
…ん?周りにいる人の様子が何かおかしい気がした。全員が命令に従う?そんなことは…
…!ブレインウォッシングって…!!…ブレインウォッシングは、簡単にいると洗脳だ。アルカナ様は俺以外のこの城にいる全ての人を洗脳させた。もしかして、アリルエル様の時も…?洗脳がまた別のものだと思っていた。ブレインウォッシングで約100人以上の生き物を操れるなんて、流石上級者。
てことは、俺はこの約100人以上の生き物から殺されるということになるのか?随分厄介だなぁ、しかもこの中にも中級者あたりはいるだろう。そう簡単なことじゃない。はあ…厄介ごとに巻き込まれたなぁ。
アルカナ『みんな了承したぞ?さあ、もう逃げ場はない。』
海渡『洗脳したんでしょ、みんな。』
アルカナ『…よくわかったな草野海渡、流石だ。この何百人もいる生き物たちを全て洗脳させた。流石にこれは無理だろう草野海渡。』
海渡『無理とは決まっていない、何度も言ったはずだ。』
アルカナ『どう見ても、この数。一人じゃ無理に決まってるだろう!』
ほぼみんなが俺に視線を向ける、俺を睨む。まるで俺が何かしたようではないか。確かに一人じゃ無理かもしれない、こんな大勢を倒すなんて、そんな実力はないってば。
だが、俺は戦うことに決めた、勿論"一人"ではない。
海渡『…確かに一人は厳しいと思う。でも、一人じゃなければ厳しくないんじゃないか?』
アルカナ『…一体、何をしようと。』
海渡『|召喚《サモン》。指定、女神。』
アルカナ『女神…?』
そう、俺は一人ではない。女神がいる、仲間がいる、だから、乗り越えられると思ったんだ。
女神『海渡様あああああ!!なぜご召喚をおおお!?』
相変わらずうるさいなぁと思う。何故俺のところに来るとまず叫んで来るんだ?まあまあその辺にしておいて。
海渡『この状況、なんとなく感じ取って。』
女神『う〜ん…、あ、わかりました!殺されそうなんですね!!』
アルカナ『いや何故わかった。』
海渡『とりあえず俺の周りにいる100人程度の人たち全部気絶させといて。』
女神『OKです!!海渡様!』
そういって、女神は魔法を使おうとする。女神は魔法を使う前に俺にウィンクし、魔法を使い始めた。
女神『スタン!!』
スタン、それは先ほど言った通り、気絶させることだ。どんな生き物でも気絶できる、でも強い者を対象にすると、失敗する時がある。だが、そんな人は全然いない、100人程の人を気絶させることができた。
アルカナ『女神、だったな。お見事。でも、勿論俺にも仲間がいる、なあ?エルアード。』
エルアード…エルアード?クラシコ様?
そう、クラシコ様はさっきの女神の魔法を避けたのか、無効化したのかは知らないが…効いていなかった。
クラシコ『こちらも、手加減は無しでいきましょうか。』
上級者が二人…、いろいろとヤバい。とりあえず攻撃しようと思ったが、後ろから声がした。俺は後ろを向く。いた、生き物がいた。
アルカナ『…んん?誰だ。…って、クラレス。連絡なかったからおかしいとは思ったが、そういうことか。』
アリルエル様だった。
アリルエル『アルカナは自分が相手するから、海渡と女神はクラシコの相手をして。』
女神『わっかりましたー!!いいですよぉ!!』
俺は一回頷いて、クラシコのところへ行った。
クラシコ『…先ほどの争いを観覧していました。…やけに強い、草野海渡と言いましたね。』
クラシコ『君は一体、なんなんだ?』
海渡『…』
---
【第十四話『スーパースター』】
クラシコ『…先ほどの争いを観覧していました。…やけに強い、草野海渡と言いましたね。』
クラシコ『君は一体、なんなんだ?』
海渡『…』
海渡『普通の人間さ、…ただ、運悪くなのか、運よくなのか、俺は異世界に転移された。』
女神『運が良かったってことですよっ!!』
クラシコが下を向いて、スマートフォンを取り出し、高速でタイピングし始めた。
クラシコ『彼は異世界に転移された運悪い人間…』
女神『だーかーら!!運良いですよっ!!』
クラシコ『…面白くなりそうだ。僕は元々誰かの情報を上級者に新聞のように伝えるのが趣味でねえ、是非君のことを取材してみたいよ。ミスター海渡。勿論拒否権はない、闘いながら取材しようではないか!』
クラシコ『クラシコ・エルアード、勝ちます。』
そう言って、クラシコはナイフを生み出す。ナイフの刃の先は、尖っていて光に照らされて光っていた。クラシコはナイフを左手で持つと、俺の方へと走ってきた。
クラシコ『…顔面偏差値高そう。』
海渡『はっ?』
そう言って、クラシコはナイフを俺の体に刺そうとした。俺はギリギリ避けた。まさか、気をひいたか?いきなりの戦術に俺は興味津々だった。そして、顔面偏差値という言葉も興味深かった。
女神『クラシコ様よく分かってますね〜!!海渡様は、し・こ・うのお顔なんですよっ〜!!って、それで海渡様を戸惑わせて殺そうとするなんて、酷いですねっ…!』
クラシコ『別にルールを決めてはいないし、戦うんだから、どんな手でもいいだろう。別にどんなにずる賢いことをして勝っても、勝ちは勝ちだ。…海渡は銃は効かなかったんだっけなぁ…』
女神『銃は効かな…ってうぇっ!?』
銃の先は、女神の方に向けられていた、クラシコの周りには銃を持ったたくさんの人が、女神を狙っていた。流石、クラシコ様、既に手下を呼んでいらっしゃる。l
クラシコ『殺す順番は別に決まっていない、だからまず殺しやすそうなあなたから。撃て。』
そういうと、たくさんの銃が女神の方へと撃った。
海渡『はあ、めんどくさいなぁ…、バリアー』
俺は女神にバリアーを張った。おかげで無効化できるし、なんなら俺もその中に入れば身を守ることができる。
海渡『そして、チェーンライトニング』
クラシコ『っ…、地味に危なかったなぁ、まあ使い物にならない手下たちはその魔法でやられちゃったけどね。』
チェーンライトニングとは、単なる使いやすい雷魔法。だが、使う場面を工夫することによって、案外使いこなせることができる。初級者も、中級者も使える簡単な魔法。
クラシコ様は、魔法はほぼ使えない、普段は大体武器で戦っている、身体能力などが高く、魔法が使えなくても上級者に上がれるスーパースターみたいな立場にいる方だ。でも、…別に一つも使えないわけではない。つまり…
クラシコ『エニシングコピー、指定、チェーンライトニング』
クラシコ様に魔法だけで戦うということも、大体厳しかったのだ。
クラシコ様が使ったのは『エニシングコピー』という魔法だった。エニシングコピーとは、他人が使った魔法をコピーしてそのコピーを使うことが可能となる。クラシコ様は唯一このエニシングコピーという魔法だけは使える。
女神『えっ!?何今の!』
海渡『クラシコ様が使える唯一の魔法、取得するには結構な体力と時間がかかるね。僕もあまりやったことないよ、お見事。』
クラシコ『あまりやったことがないということは一度でもやったことあるということ。君、上級者レベルの人間か?』
海渡『な訳ないですよ、ただの…人間、魔法が使えるようになってしまった人間ですから。』
女神『ちーがーいーまーす!!!海渡様は、…ずばり!ヒーローなのですっ!!!』
---
【第十五話『拝むべき少年』】
海渡『クラシコ様が使える唯一の魔法、取得するには結構な体力と時間がかかるね。僕もあまりやったことないよ、お見事。』
クラシコ『あまりやったことがないということは一度でもやったことあるということ。君、上級者レベルの人間か?』
海渡『な訳ないですよ、ただの…人間、魔法が使えるようになってしまった人間ですから。』
女神『ちーがーいーまーす!!!海渡様は、…ずばり!ヒーローなのですっ!!!』
少し女神が言ったことに動揺するが、気にしないことにした。相変わらず、女神は俺に甘いなとは思う。なんかやらかしても、すぐ許してくれる。
そして、クラシコ様が急に手を叩いている…拍手をしている。『パチパチパチパチ…』と。そして、言葉を発し始めた。
クラシコ『ヒーローかぁ…僕はただの悪役かな?君からみてさ。ほんと、悪役って恵まれないよね、…でも、俺はアルカナ様のために、究極の美味を探し求めるんだ。究極の美味、知らないかい?』
何度も聞かされる『究極の美味』という言葉。俺は唯一の謎として思っていた。結局究極の美味とは一体なんなんだ。何を言っているんだこの方達は。その究極の美味をゲットして何かメリットはあるのか、存在ごと不思議だった。
海渡『さあ、知らないね。さっきから究極の美味五月蠅いから、嫌になっちゃう。どういうのか、教えてくれないか?もしかしたら見たことあるかもしれない。だって、異世界は広いけど、もう結構探し回ったんでしょ?だったら、地球に住んでいる人間にも、聞いておいた方がいい。地球は大地は少ないが、海は広い。海は資源が豊富だろう?もしかしたら…、ね。』
クラシコ『ほう、まあ僕は見たことはないが、アルカナ様が昔見たそう。それが究極の美味とは知らずに…。特徴としては、赤黒く、ワカメという海藻に似ているそう。』
ん?
海渡『…ちょっとまって?じゃあなんでそれが究極の美味だと分かったのか、アルカナ様はなんか言ってた?』
クラシコ『そんなことは質問していないし、おそらく辞書とかで載っていたのだろう。アルカナ様に質問なんて、失礼だろう。』
君も上級者でしょ?とは思ったが、まあいい。なんせ、アルカナ様は上級者の中の強さで1、2を争う方だ。クラシコ様がアルカナ様と戦っても、ボロ負けするだろう。上級者の中でも強さはそれぞれバラバラだ。
というか、どうやって見つけたのか、それをどうして究極の美味とわかったのかの根拠を聞かないと、その赤黒いワカメみたいな海藻が本当に究極の美味かわからない、まあ無理か…。知ってても隠すか…
海渡『…でも、そろそろ終わらせようか、流石に戦いを長時間にわたらせたくはない。』
クラシコ『ほう、終わらせようとするのか。できるかなぁ。』
海渡『…コピーできないぐらいの技、あげますよ。』
海渡『ブリザード!!』
ブリザード、それは猛吹雪を伴う冷たい強風…、それを俺は発生させた。
クラシコ『まあコピーできないぐらいとは言っていたが、流石に僕も上級者…!無理なことはない!エニジンg…』
海渡『コントラクト、指定、エニジングコピー』
クラシコ『っあ!?』
海渡『終わりだねクラシコ様。’
クラシコ『どんなに強い代償を受けても…!!僕はお前を!エニジングコピー!』
クラシコ様はとても身体を痛そうにしている。コントラクトとは、指定したものを使用すると、苦痛を感じる。長時間使うと死ぬ危険性もある。それなのに彼は…
クラシコ様は、ブリザードをコピーし、俺に攻撃した。そして…
ブリザードが消えた、クラシコ様は倒れていた。
女神『…彼は生きてます。気絶してるだけ…。』
海渡『気絶でよかっただろう、死なせるなんて、彼は洗脳されているだけ。死ぬのはアルカナ様の方だ。』
女神『そうですねって、大丈夫ですか!?』
…そういえば、さっきコピーされたブリザードに当たって…右手を負傷した。まあ軽い傷だが…
女神『海渡様の美しいお肌があああああ!!これは許せません…!!まずは手当てを!!』
手当てする箱でも持ってくるのかとは思った。だが、女神はそんなことはしない、俺の時だけいつも魔法を使ってくれるのだ。回復魔法を。
女神『水の精霊たちよ我との契約の元、彼かのものの傷を癒し給え――アクア・ヒール』
アクアは水、ヒールは治癒のことを示す。女神が得意とする水魔法、それはとても強力だった。(まあ女神は魔法下手なんだけどね…。)
女神『よおし、アリルエル様の方の様子見に行きますか!!』
女神はアルカナ様とアリルエル様が戦っている方へいく。
女神『…え…?』
女神が見た光景は、想像もしない光景だった。そういえば、やけに静かだったことが気になった、防音室とか、そういう場所ではない。
俺もその光景を見た。確かに、あり得なかった。いや、ただの運が良かったから…?
アルカナ様は倒れ、アリルエル様がこちらを向いていた…
---
【第十六話『用済み』】
アルカナ様は倒れ、アリルエル様がこちらを向いていた…
明らかにおかしかった。アリルエル様よりアルカナ様の方が断然強い。二人とも上級者だが、上級者の中でも強さはそれぞれバラバラだ。めちゃ強い方もいるし、なんで上級者になったの?とも思う方もいる。
アリルエル様はまあまあの強さ、だが時々中級者に負ける、だから上級者から下そうとも、俺が異世界にいる時からも議論されてた内容だ。けれど、アルカナ様はかなりの強さ、それにアリルエル様が勝った…?
女神『ちょ、え、アリルエル様!勝ったのですか…?』
アリルエル『あれ、知らなかったんだ。てっきりそんな強さだから知ってるかと思ってた。まあ知ってたらあんな行動しないか…w』
アリルエル『アルカナ様が洗脳なさってたけど、僕はアルカナ様たちを洗脳している、もはや洗脳の上に洗脳してる感じかな。だから、もうアルカナ様は用済み。死んでもらったよ。』
女神『えっ…!?あ、ん…!?』
女神は動揺している、両手を口に当てて、顔を青ざめている。アリルエル様は、僕をじっと見つめた。
女神『なんで…、なんで殺したんですか!?』
アリルエル『アルカナ様は勿論すごく強い、僕より強い。だからいつまでも洗脳してるわけにはいかない。いつか洗脳が解けられてしまうから。だから先に殺しておいたんだよ。他の奴らは僕より弱いし、まあアルカナ様だけ…はね、早めにしておかないと。』
…まあアルカナ様なら自分にかけられた洗脳を解くことも可能だったであろう、だが、よりによってアルカナ様に洗脳をした相手が、上級者だったから難しかった、時間がかかっていたのだろう。だから…間に合わなかった。
アリルエル『そうだ、君も利用しようかな。海渡くん、女神。何に使おうかなぁ…。そうだ、僕以外の上級者全員殺してもらおう、そうしたら…僕が本当の"最強"だ。いや…でも、海渡くん、君なら究極の美味なんてすぐ探せそうだね。ねえ、海渡くん?』
そう言って、指を指される。本当の最強?自分でやってないくせに、よく言える。てか、俺は上級者全員殺せるわけがない、そんな強くないからさ。
海渡『わざわざ褒め言葉みたいなことをありがとう。でも無理だよ俺は。そんな能力使えないし、なんなら究極の美味がまだ何かわかっていない。手下も何も分かってなかったよ?』
女神『わ、私を洗脳して何か得するんですか…!!』
アリルエル『…女神、君はいい子だ。得するよ。女神、おいで。』
女神『えっ…?』
…何か、嫌な予感がする。
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【第十七話『利用』】
女神『わ、私を洗脳して何か得するんですか…!!』
アリルエル『…女神、君はいい子だ。得するよ。女神、おいで。』
女神『えっ…?』
…何か、嫌な予感がする。
アリルエル『僕のそばにいれば、きっと君は得するだろう。…海渡くんのそばにいるよりね。』
女神『ちょっ…待ってくださいよっ!アリルエル様のそばって…私アリルエル様の雑用係になるということですか!?』
アリルエル『雑用係ではないけど、手下ってことかな。』
手下…?今のアリルエル様の手下になると、用済みになった時大変じゃ…。
女神『え、めっちゃ嫌なんですけどっ!!私はアリルエル様のそばにいるより、海渡様のそばにいた方が絶対良いですよっ!!』
アリルエル『…はぁ…、じゃあ女神"だけ"に良いこと教えてあげるよ。~~~~~』
アリルエル『~~~~~~~~~~』
女神『~~!?~~~~』
…ん?何かおかしい。…俺は、女神とアリルエル様の話の内容が聞こえてない?
アリルエル『~~~~~~~~~~~~』
女神『~!!~~~~~!』
女神『~~~~~!!!』
アリルエル『~~~~~~~~~』
俺の耳がおかしい?いや、さっきまで正常に聞こえていた。急におかしくなるなんて、何か仕組んだに違いないだろう。でも話の内容が聞こえないとなると、…女神が危険だ…!
海渡『女神!一体何を喋って…』
アリルエル『はいはい五月蠅いよ、カモフラージュ。』
海渡『っあ…!』
「バタっ…」
前が見えないっ…!カモフラージュは、確か眩しい光によって、一定時間前が見えなくなるという魔法だったっ…!くそっ…、助けるということしか考えていなかった。よくよく思えば、先にアリルエル様を倒さないと女神なんて当然助けることなんてできない…!
アリルエル『一つの油断が、僕を勝利へと導く。』
---
【女神site】
アリルエル『…はぁ…、じゃあ女神"だけ"に良いこと教えてあげるよ。サイレント』
アリルエル『海渡は、女神がウザいと言っていた、何故だかわかるか。』
ウザい…?海渡様が?いや、嘘だ嘘だ。そんなこと海渡様が言うはずない。
女神『えっ…!?海渡様がそんなこと言うはずが…』
アリルエル『叫んで登場してくるのが本当にうざいって、僕があっちの世界にいるときに聞いたよ。』
っ!?確かに…いつも海渡様が生まれた世界に行くとき、毎回叫んで登場してるかもしれない…っ!あれ、迷惑だったの…!?
女神『海渡様!!どうして…!』
女神『海渡様〜!!!』
私は思いっきり叫んだ。海渡様がそんなことするはずないと思っていたものの、自分がやったことには自覚があった、そんなこと言われるのも当たり前と思った、やったことは事実なのだから。
アリルエル『|無償の信頼《インビジブルトラスト》』
海渡『女神!一体何を喋って…』
アリルエル『はいはい五月蠅いよ、カモフラージュ。』
海渡『っあ…!』
「バタっ…」
海渡様はアリルエル様の魔法を受け、倒れた。
アリルエル『一つの油断が、僕を勝利へと導く。』
アリルエル『なあそうでしょ?女神も、僕に勝ってほしいって思ってるでしょ?あの、裏で人に君の悪口を言ってる奴をさ。』
女神『…海渡様…いえ、海渡…見損ないました。』
アリルエル『ふふっ、そうでしょそうでしょ?』
アリルエル『これは無償の信頼が効いたなぁ。女神、こいつが起きたら思う存分こいつと遊びたいでしょ?』
アリルエル『こいつが起きるまでに、魔法の紐でこいつを縛る。そうしたら、こいつが起きた後、君はこいつと遊べる。大丈夫だ、魔法の紐は、紐に縛られている人に行動を制限する。例えば、魔法を使わせないようにするとか、命令に従わせれることができるとか。』
女神『良いんですか…?』
アリルエル『ああ、いいとも。君がそれで楽しめるのなら。』
絶対に、私は海渡を許さない。
例え誰かがそんなことかと思っても、私はそんなこととは思わない。私のことだから。
私に悪口言ったのだから。
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【第十八話『悪者は即排除します。』】
ん…ん…?
あれから意識を失っていたのか、俺は起きた。って、あれ、自由に身動きができない…?ってこれって、紐…いや、ただの紐じゃない、これは魔法の紐だ、魔法の紐の特徴は光っている。…でも待てよ、魔法の紐だとわかったところで何か起こるわけじゃない、めちゃ大ピンチだ。
女神『起きたのですね、海渡。』
女神…!女神がいる、そこに。
海渡『女神!この紐は外からじゃないと取れない、取ってくれないか?』
女神『無理です。』
は…?
女神『今更甘える?自分が私を傷つけたこと、自覚なしなのですか?自覚がないのは恐ろしい。』
な、何言ってるんだ女神は。俺は女神を傷つけた…?いやいや、長い時間過ごしてきた"親友"を傷つける?そんな馬鹿なことはしなかったはず…
女神『…私の悪口言ったんでしょ。知ってますよそんなこと…』
悪口?は?俺は混乱してきた。
海渡『悪口?誰に。』
女神『何って、アリルエル様にですよ。悪口を、アリルエル様に言ったようですね。』
一体何のことを言っているのか…?頭が整理できていない、言っていることが意味わからない。
海渡『ちょ、ちょっと待て、俺はそんなことしてないぞ…?』
女神『口なら簡単に嘘がつけます!!大人しく攻撃くらってなさい!!ポイズン!』
毒攻撃…!!…避けないといけないのに、紐で体は縛られているし、魔法の紐だから魔法を使うことができない…!!
俺は毒魔法のポイズンという魔法が当たった。当たった数秒後、頭がくらくらしてきた。息も荒い。
海渡『はぁ…はぁ…はぁ…』
女神『毒をたくさん吸いなさい海渡。そうしたら、あなたも少しは思い出せるのでは?』
俺はたくさん毒を吸い始めた。いや、吸い始められた。魔法の紐は、その紐で縛られている生き物を、近くにいる人が命令することができる。その命令は、絶対に聞かないといけない、いや、聞かされて勝手に身体が動いてしまうのだった。
さらに息は荒くなる。手も震え、このままだと死ぬんじゃないかと思った。まあ別に俺は無敵じゃないし、異世界に行けるぐらいだから、若い頃に死ぬだろうなとは思っていた。
女神『毒入りの料理も食べなさい、私が作ってあげたの。』
俺はその料理をガツガツと食べる。手が勝手に動く、足が震える。魔法が使えない俺にとって、これは痛手だろう。魔法が俺の一部だった。
最後の晩餐は女神が作った毒に料理になっちゃったなぁww、この料理を食べたせいで腹が痛い、苦しかった。
死ぬんだ、そう思ってたとき、声がした。女性の若々しい声が。
女性『アンチドート!大丈夫ですか!?』
アンチドートって、確か…解毒魔法、俺が一番苦手とする魔法の分類だ。俺は解毒魔法が大の苦手だった。
アンチドートで、俺の体に回っていた毒が解毒され、周りの毒も消え去った。
海渡『あっ…大丈夫です…』
女性『よかった…紐も切りました!って、あなた!何してるんですか!』
女性『この私が許しませんよっ!』
アリルエル『海渡を助けたことも、僕は許せないなぁ。』
また声がした、今度は誰かはっきりわかった。アリルエル様だ。
アリルエル『こいつは悪い奴なんだよ。人の悪口をコソコソという最低な人間だ。』
女性『…それだけで?他には。』
アリルエル『…は…っ?』
女性『悪い奴かもしれませんが、悪口より毒を吸い込ませる奴の方が、悪い奴なんじゃないですか??』
女性は、アリルエル様に向かってこう言った。
女性『正義は常に私を守る!インフェルノ!』
インフェルノは、煉獄の炎という意味。炎魔法だ、かなり強力。
アリルエル『そんな攻撃、楽に交わせr…』
女性『範囲攻撃魔法、エクスプロージョン!』
大きな爆発音が聞こえる。エクスプロージョンは、広範囲にわたる爆発攻撃魔法だった。範囲攻撃魔法とも言う。
まあでもこれだけじゃ倒せないと思うから、ちょっと手を加えるか…
海渡『ファイヤーウォール』
ファイヤーウォールとは、火の壁という意味の魔法。炎魔法だ。結構攻撃範囲広い。
でも、攻撃範囲が広い二つの技が重なっても危険だなぁ。じゃあついでに、女神と俺に結界でもはるか。俺は結界をはった。
二つの攻撃が爆発した。黒い煙が広範囲に広がる。煙が消えると、アリルエル様の姿が見えた。
アリルエル様は、倒れていた。
女神『ん〜…ってあれ?海渡様…って、ええええええ!?大丈夫ですかあああああ!?』
女神は洗脳が解けたようだ。支配者が死んだ?からだろう。(まだ死んだかは不明)
女性『よかった、洗脳解けたみたい!じゃあ私はここで!』
海渡『ちょっと待ってください、あなたの名前は…?』
名前を知りたかった、ちょこっと女性の個人情報とか知りたかったからだ。異世界ではそれをOKされている。不思議だよね。
女性『私?私…|浅野秋葉《あさのあきは》って言います!人間なんですよね〜』
海渡『えっ…ちょ、人間!?』
女神『え…か、海渡様!!』
人間…!?俺と同じ…?…初耳だと思うが、俺は異世界に行ける人間を探していた、そして今…人間が目の前に…。
秋葉『そりゃ驚きますよねwww』
海渡『ああ驚いたよ。君も名を言ったから、俺も名を言っとこう。』
海渡『草野海渡、と言います。』
秋葉『…えっ…?に、人間…?』
秋葉『え、あ、えっと…とりあえず!では!』
浅野秋葉は、走り去っていった…
---
【第十九話『異世界』】
俺はあのあと、異世界から俺が生まれた地球の世界へと帰った。
あのあと、すぐに『浅野秋葉』という名前を調べた。どうやら彼女は異世界をパトロールしている人間らしい、だから俺のことを偶然見つけたのか…。浅野さんがパトロールしてなきゃ、俺は死んでた。そう思うとやっぱり俺は油断しすぎたんだなと思う。
あ〜、あっつ…。俺の部屋にエアコンないんだよね…。今日の温度は…まあまあ高い。6月だからジメジメしてるし、寝心地も悪い。俺は片付けてあった扇風機を取り出した。扇風機をつける。
扇風機の前に行き、風に当たる。ああ、涼しい。ついでにアイスでも食べて体冷やすか。そう思って冷蔵庫の前に行く。冷凍庫を開く、アイスクリームを取り出す。部屋に戻って食べた。
…異世界に行ける人間はほんの数人で、いけたらラッキー程度に思うだけだ。人間があんなところに行って、得するものはない、逆に行けてそれは幸せなのか。異世界に行ってなかったら、今頃俺はどうなってたのか。知りたい、知れないけど知りたかった。
異世界は地球と全く違う環境だ。荒れてるし、治安は悪い。一応警察っていう役職の奴らはいるが、大体魔法で(警察が)撃退されて悪人とかは全く捕まえられてない状況、もはや警察という仕事が成り立っていない状況。
一人一人がルール守るわけがないし、法律も曖昧。法律なんて世間が知らないぐらい存在感がない。
まあ異世界より地球にいる方が楽ってわけ。
そんなこと言ってもねぇ、うん。まあいいや。
女神はあのあと、魔法の勉強とかしに行ったよ。どうやったら自分で洗脳が解けるかとか、あのことがあったから、勉強してるんだろうなって思ってる。
と、いうかもうすぐ夏休みだね、7月下旬楽しみだなぁ。まあその時に異世界行って遊べればいいなって思う。それでも時間はあまるんだけどね、てか異世界の時間って地球にとっては全く進んでないからめちゃ余る。その時は…課題かなぁ。やるかあってなるだけ。
女神『海渡様あああああああああああ』
海渡『いやこわいこわい。』
急に出てくる女神に驚いた。
女神『究極の美味の存在が分かりましたよ〜!!』
海渡『え、なになに?』
女神『……架空のものです!!!』
………え。
海渡『架空…?つまり架空の人物とか物とか、そういうこと…?』
女神『はい!!あとからアリルエル様に沢山いろいろ吐かせて、わかった情報です!!』
海渡『あ、ありがと。架空…』
二人で話していたその時だった。
___ガチャン…
女神『あっ、ではまたっ!』
女神は帰って、入ってきたのは優だった。
優『お兄ちゃん、あのさあ、夏休み自由研究の宿題出るからさ、夏休み入ったら手伝ってくれない?あれ難しくて毎年悩むんだよね。』
自由研究…。ああ、って、え、俺優の手伝わないといけないの…。
---
月日は流れ、7月下旬…、夏休みに入った。
優『私さ、別に研究とかめんどくさいから、ほら、虫とか魚ね、だからさ、もうお兄ちゃんを研究することにした。』
海渡『…は?』
優『人間は動物でしょ?だから動物の研究したってことにする。いいでしょ?お兄ちゃん〜!』
発想力がすごいな優は…
---
第三章ものちのち公開しますので…!
よろしくお願いします…!
読んでいただきありがとうございます…!
タップお疲れ様でした…!
異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。 第一章『殺し合いゲーム』
NOVEL CAKEライト版から転載。
【一話『異世界から』】
海渡『もう何年もいれば、いつかは暇になる。』
海渡『元の世界に帰らせてくれ___』
---
…ここはどこだ?起きたところは、知らな…いや、知っている場所だ。ここは、元の世界の俺の家だ。
帰ってこれたんだ、やっと。
俺は|草野海渡《くさのかいと》っていう。異世界に5年いた。目的は、異世界の悪い悪い魔王を倒すため。
とは言っても、本当は倒したくもなかった。薄暗い異世界で、とても手強い敵がいるのに、こんな庶民が魔王を倒したのも不思議だった。
異世界と元の世界では、時間の進み方がだいぶ違う。異世界では5年経っているのだが、元の世界では、5秒しか経っていないのだ。
全く、おかしいものだ。そういって、コップを手に取る。コップの中には、甘い甘いコーヒーが入っていた。コーヒーが大好きだ。
そんなことを言っていたら、部屋に誰かが入ってきた。
海渡『…優?優なのか?』
優『なにいきなり…』
妹の優だった。
久しぶりすぎて、少し涙が出た。
優『もうすぐ出かけるけど、準備した?』
そういえば、今日は家族で出かけるんだったな。
俺は準備を進めた。
---
【第二話『怒り』】
俺の家族の構成は、母、父、妹、そして俺。俺は車に乗って、荷物などを乗せた。
少し家族で遠出をする。運転は父が行うことになった。
そして、家族全員が車に乗って、シートベルトをすると、車が動き出した。ついに、元の世界の素晴らしい景色が見られるんだな、そう思った。
父が母と喋りながら運転をしていた。窓から外を眺めていたら、妹の優が急に話しかけてきた。
優『お兄ちゃん、外ばっかり眺めて。お母さんたちも仲良く喋ってるじゃない、私たちも二人で喋らない?』
海渡『…ん、ああ、優が喋りたいならいいよ。』
久しぶりの優とのお喋り…、とてもわくわくした。
優『学校はどう?私はグッド!』
優は小学5年生。背は高い方だが、頭は悪い。俺は中学3年生だ。自分で言いたくもないが、頭は周りと比べていい方だとは思ってる。
海渡『俺も。』
そう返すと、優がまた質問してきた。
優『勉強どう?受験とか大丈夫?』
海渡『まあまあ。』
優『まあまあ…って、反応薄いわね…。』
異世界で人間とあまり喋ることがなかった俺は、妹に対してもあまり喋ることがなくなってしまった。それよりも、今は風景を楽しみたい、そう思ったのだろう。
でもそんな時だった。突然車の速度が急に上がった。この時はまだ、家族全員特に気にしてはいなかったが、スピードがどんどん上がっていった。
父の方を見ると、父がハンドルから手を離していた。母は「やめて!」と言っていたが、父にはその声が届かなかった。
やがて、母が助手席からハンドルを動かしていた。しかし、助手席からハンドルを動かすなんて、無茶だ。
…そして、何処かの木に車がぶつか___
海斗『|時間制止《タイム コンストレイント》』
---
【第三話『強制沈黙』】
海渡『|時間制止《タイム コンストレイント》』
俺は時間を止めた。想像がつかないと思うが、俺にとっては普通としか思えない。だがしかし、いったい何が起こったんだ…?
父の顔を見る、少しにやついている顔に見えた。もしかして、父がわざとハンドルから手を離して…?病気だったらやばいとは思ったが、だったらもっと顔は死んでいるように見えるだろう。
母はとても必死そう、ハンドルも一生懸命に動かしていた、父の仲間ではなさそうだ。
妹はそもそも小五で殺意を抱くということはあまりなさそうだし、逆に家族が死んだら他に行く宛はあるのか?と思ってしまう。行く宛は近所の人とか、親戚の人とかになると思うのだが、子供ということもある、あまり考えられない。
…このまま時間制止を解除してしまうと、皆が死んでしまうな…。とりあえず家族を他のところに移動させないといけない。俺は家族を車から下ろし、安全な場所へと避難した。まだ父が犯人かはわかっていないから、父も安全な場所へと避難させた。
そして、俺は時間制止を解除した。
母『っあ…!…って、ここはどこ…?』
妹『え、あ、あれ、さっきまで車にいたはず…』
母『そういえば、お父さん、どうしちゃったの!』
父は、驚いた様子だ。犯人は父だろう。
そして、父は喋り始めた。
父『お、お前ら、違和感に気づかないのか!?』
母『違和感…?ま、まあ確かに急に車から移動したのは変だけれど、あなたも変よ!』
母と父が大声で夫婦喧嘩をしている。俺は下を向いて、終わるのを待っていると、妹の優が話しかけてきた。
優『なんで、なんで、お兄ちゃんは冷静なの…?』
優は、俺を疑うような目で見た。
何故ここに来たか、犯人もわかった俺には、驚きもしない。驚く内容がない。確かに、父があんなことをしたことには驚いてるが、所詮は人だ。人は人を裏切ることは簡単。俺は、優の顔をじっとみつめた。そして優がまた話し出す。
優『お兄ちゃんは、平気なの…?』
優『お兄ちゃんは、なんでそんなに驚いてないの…!?』
…所詮は人だ。疑うことなんて、簡単なことだ。俺は無言のまま、そこら辺の石を蹴った。そして、妹へと話す。
海渡『…どう見ても、父がやってるようにしか思えなくないか?』
優『でも…一緒に生活してきた家族だよ!たった一人しかいない私たちのお父さんだよ!やるわけないじゃん…!』
海渡『じゃあ僕がやると思ったの?』
優『なわけない!でも、なんでそんなに冷静か聞きたくて…。』
構ってるだけで時間の無駄だが、キリがない。そろそろケリをつけないと、ずっと続く会話になってしまう。あの夫婦喧嘩みたいにね。
…仕方がない。少し無茶だが…
海渡『強制沈黙、お口を瞑って待ってて頂戴。』
優の口は、チャックのようになり、喋れなくなった。
まあ俺がOKというまではお口チャックだ。
優『ん〜!!ん、ん!!』
さて、そろそろ夫婦喧嘩も止めちゃうか…。五月蝿いからね。
あ〜あ、せっかくのお出かけが、誰かさんのせいで台無しだよ。
---
【第四話『ゲーム』】
俺の母と父は、まだ喧嘩をしていた。言い争いは、さっきよりより激しくなっていた。
母『あなたがハンドルを離したせいでこうなったのよ!』
父『はあ?それよりここがどこかを探るべきだろうが!!』
相変わらず声が大きいおふたり。だが、放置しておくわけにもいかない。こうなったら、無理矢理でも止めないといけないのだ。
俺は二人に話しかけた。
海渡『二人とも、そこらへんにしといて。』
父『海渡、これは親が解決しないといけないことだ。子が口を挟むんじゃない。』
海渡『でも、解決できなさそうじゃん?』
父『まあ…そうだ…が…。』
俺は父の手を握った。そして徐々に握る強さを強くしていく。
海渡『いい加減、自白しt…』
『自白して』と言いかけたところで、俺の意識は途切れた。
意識が途切れる0.05秒前に、父の後ろにいた母が倒れていたような気がした。
---
…ここはどこだ?起きた場所は、すでに知らない場所。唯一言えることは、まるで学校の体育館みたいなところに俺はいること、そして周りには、知らない人と知ってる人が沢山いること。
体育館だと思われるステージ上には、すでに沢山の死体が置いてあった。
周りの人はみんな怖がっていたり、叫んでいたり、いろいろだった。
そして、ステージにただ一人いたおじさんがマイクを使って話す。
おじさん『tst、tst、ok。』
おじさん『皆さん、何故呼ばれたかはわからないですよね??』
おじさん『そう、この体育館で、"殺し合いゲーム"というものをしてもらおうと思います。もちろん強制、やらない奴は、死体の山の中へと放り込まれます。』
急に静かになったが、とある男性がおじさんに向かって、『ふざけるな!』と叫んだ。そうすると、黙っていた他の人たちも訴え始めた。
おじさん『まあまあ皆さんお静かに。このゲームをクリアすると、願いを一つ必ず叶えることが可能です!』
みんなが騒ついた。
だが、こんな物騒なことは俺はしたくない。俺は魔法で止めようとしたが、あまり使うと『神』に怒られるな…
俺は使うのをやめた。
おじさん『さあてと、一番最後に生き残った人が勝ちだよ〜?では始めるよ!よぉ〜い?』
…魔法を使わないなんて、この状況できっこなさそうだ。
海渡『時間制止』
…おじさんの顔は、とても苦笑いだった。
---
【第五話『困惑』】
さてと、時間制止して何をするか。まあみんなが危険な状態だったし、もっと魔法使っても良かったか?
俺は、おじさんの目の前に行った。…随分と怖い笑顔、殺し合いゲームと言っていたな。一体ゲームをやってどうするのか…
そして俺は、時間制止を解除した。
おじさん『どん!!』
始まった、地獄のゲームが。
でも、みんな体は誰も動いていなかった。おじさんも、驚いた様子。
おじさん『え、み、みんな?こ、みんな殺しちゃえば、自分だけ生き残れるんだよ?』
だが、そんなことをおじさんが言っても、みんなは一言も喋らない。ここにいる全員が、ステージにいるおじさんを睨む。汗をかく。みんな緊張感がとても高まっているだろう。相手は、武器を持っているかもしれないから。
でも、俺はそんなことでは、もうびくともしなくなった。人間という生き物が、僕を置いてけぼりにする。いや、僕が人間を置いてけぼりにしているのだ。
異世界とこの世界は全くの別物だ。異世界では、人間を恨むモンスターが沢山いる、モンスターは僕を襲う。最初は勿論、雑魚だけで瀕死状態にとなるが、今は違う。雑魚は雑魚だ。びくともしない。
そして、異世界で唯一の話し相手となった『神』が、魔王を倒した時にこう言った。
神『あなたが本当に人間だったのか、ついそう思っちゃうわ。』
神と俺は呼んでいるが、正しくは女神だ。人間はこんな強さには普通ならない。魔法なんてただの誰かの妄想にしかならない。
この世界は異世界よりはものすごく平和。戦争とか紛争とかっていうが、それよりは異世界の方が物騒で、毎日が戦争みたいなものだった。
静かにしていたら、ステージにいたおじさんがステージから降りた。
おじさん『…いいだろう、殺したくないんだな、分かっていた。』
おじさんは、ニヤっとし、ポケットから銃と見られるものを取り出した。
おじさん『これを見ろ!!撃たれたくないならさっさと誰でもいいから殺せ!!』
みんなが騒ついた。だが、みんなは騒ついただけで動かなかった。下手に動くと殺されると思ったのだろうか。
おじさん『誰から撃とうかなぁ??』
だが、俺はこう言ってしまった。
海渡『適当に撃ったら?』
あ、敵を挑発させちゃった。
おじさんは俺の方を見て、こういった。
おじさん『なんだとクソガキがあああああ!!』
---
【第六話『人間』】
おじさん『なんだとクソガキがあああああ!!』
厄介なことになった、まあこんなに怒らせちゃったのは、全部俺のせいなんだが…
おじさん『まずはお前からだ!!』
【バン!!】
『きゃああ!』
どこからか叫び声がした。そして、銃声もした。
だが、銃弾は消えていた。
おじさん『…!?…外した…!』
【バン!!】
またおじさんは銃を撃った。…しかし、銃弾はまた消えていた。
おじさん『なっ…弾はどこへ…!』
海渡『弾?…ほら、僕の手のひらにあるでしょ?』
おじさん『っあ!?』
銃弾は、俺の、俺の手のひらにあった。さっきまで、ずっと弾をキャッチしていたのだ。
こういうの、アニメとかでよくあるものじゃないか?
そして、俺はおじさんに近づいた。
海渡『はぁ、そろそろ諦めな。』
おじさん『な、なんだと…!?』
俺は先程キャッチした弾を床に落とし、おじさんを睨んだ。
何度も言うが、所詮は人間だ。異世界で魔王を倒した人間が、普通の人間なんて雑魚と思ってしまうほど弱く思えてしまう。
おじさんは床に倒れ、目を瞑って、そのまま「ああああああ」と叫んだ。
お母さん『…海渡…!?』
げ、お母さん。
お母さん…とお父さんが、驚いた様子で俺を見る。そんなに…俺を見ないでよ。こういうことができるようになったって、成長したって感じで見てほしかった。
まあ、魔法なんて人間じゃ、ただの妄想からできたことだと認識してしまうから、魔法を使ったんだなんて言ったら、笑われる。
笑われることは恥ずかしいことではないが、本当のことなのに笑われるって、裏切られた気持ちになるからさ。
俺は、お母さんとお父さんのそばに行くと、お母さんは抱きしめた。
お母さん『すごいわ海渡…!悪人を倒せちゃうなんて!』
お父さん『銃の球を手でキャッチなんて…なんて素晴らしいんだ…!!』
…ん??
俺は耳を疑った。あれ、俺、今褒められてない??
混乱していると、妹が視界に入った。そういえば、強制沈黙解除してないや。
俺は妹にかけた強制沈黙を解除すると、妹が早速こちらに来た。
優『おめでとう、マジックの天才。』
天才って言われて、なんだか嬉しくなった。
てか、なんで魔法を信じたんだ?あんなこと普通じゃないのに…
馬鹿な家族でよかったよ…
---
帰ってきた後、お母さんはお父さんに何故ハンドルを離したか聞いてみた。俺と妹も聞いてみた。
そしたら、お父さんの手が動かなかったそう。
でも顔がにやってしてたのも不思議だが…
今は動いているが、多分お父さんの手が麻痺したのだろう。面倒になると嫌だし、家族を失いたくないという気持ちはみんな一緒だったので、そう片付けといた。
殺し合いゲーム、というか、殺し合いゲームというものしてなかったけどな…
まあ、こういうことをする奴が、この世界にいるということか…
異世界だったら毎日殺し合いゲームみたいなもんだから、変わりなかったけどね
俺は夜ご飯を食べていると、お父さんがテレビをつけた。
『今週は、毎日雨が降る予想で、水曜日は関東を中心にゲリラ豪雨になるそうです___』
…今日は日曜日か。水曜日…、そういえば、友達との遊ぶ約束が入っていた。
大丈夫かな、まあ、なんとかなるか。
俺はご飯を食べた。
第一章完
読んでいただきありがとうございます…!
現在、NOVEL CAKEライト版にて、『異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。』が連載中です!
よろしくお願いします…!
異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。第三章『優の自由研究』
NOVEL CAKEライト版から転載。
https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=5&no=26#JumpTitle
(urlの先は3期一話)
それではどうぞ。
一話【夏休み】
7月下旬、俺は今日友達と遊ぶお出かけする約束をしていた、俺は集合場所の近くの公園へと行った。
外に出ると、とても暑かった。家の中だとエアコンが効いていて、とても涼しいが、やはり外だとすごく暑い。いつか熱中症になりそうだと思った。
集合場所の公園に着くと、友達の『裕太』が、もう既に待っていた。そして話しかけてきた。
裕太『よっ、海渡。俺結構待ったぜ。』
海渡『ごめんごめん、裕太はいつも早いなぁ。』
そうわちゃわちゃと話していると、『健二』が来た。
健二『やあ、裕太と海渡。おはようございます。』
裕太『おっはー』
海渡『おはよう健二。』
だんだん人が集まってくる。今日は俺を合わせて6人集まるはずだ。大人数で…ワクワクした。
健二『そういえば、裕太。今日はどこに行くんだい?』
裕太『あ〜、そういえばしてなかったっけ。今日は黒川の家に行くぞ!』
健二『黒川…ああ、あの子の家?どうして?』
裕太『家に来てって誘ったのは黒川だぞ。俺は知らねえよ。多分だけどよ、気分転換に呼んでみたんだろ。あいつだから、そんなこともあり得るぜ。』
黒川とは、『黒川美夜』のことだ。俺と同じクラスの人だった。
黒川さんはクラス一のお金持ち。普段はとても静かな人だが、たまに遊んでくれたり、一緒に勉強したりする時がある。クラスの中でも結構みんな仲がいい。あまり話にはいかないそうだが…。
健二『あ、誰か来た。お、あかりさんだ。あかりさんー!』
あかり『あ、みんな〜、おはよ。』
裕太『おはようあかり。』
海渡『おはよう。』
あかり『はぁ…で、颯太は?』
裕太『…いつも通り、遅刻じゃないか?』
颯太はよく遅刻しがちだ。
まあそう待っていると、颯太もようやく来た。
裕太『さあ、早速黒川の家に行くぞ!』
---
二話【黒川と優】
あかり『え、え、めちゃ家大きくない…!?』
そう言ってあかりが指差したのは、黒川美夜の家だった。黒川はお金持ち、家も相当な広さだった。こんなにいるか?と思うぐらいだった。
ピーンポーン。
ガチャ…「はい、どちら様でしょうか。」
黒川の声がした。
裕太『お〜い、黒川!遊びに来たぞー』
黒川『…別に遊びたいわけではないのですが…、門は開けました、どうぞ玄関へ。』
俺は門を見る、先ほどは開かれていなかったが、いつのまにか開いていた。ちなみに自動なのかはしらない。
玄関に行くと、黒川家のメイドと思われる人たちが、俺たちを迎えてくれた。そして靴を置くと、長い廊下が目の前に広がる。その廊下の奥には、黒川がいた。
黒川の元へ着くと、黒川が、客室へと案内してくれた。
健二『相変わらず広いなぁ。』
颯太『何この絵、すげぇー!』
廊下には、おそらく有名画家が描いた作品が、飾られていた。とても芸術的、有名な絵もあるし、知らない絵もあった。流石黒川の家だと思う。
そして客室に着いた。俺はソファーに座る、ふわっふわで座り心地が良かった。
あかり『客室に来るまで、部屋のドアはいくつあったかしら…!!』
健二『黒川の家は凄いな、いつかこういうところへ住んでみたいところ。』
裕太『きっと最高な生活が送れるんだろうなあ。』
颯太『いやぁ、美味しいご飯が食べられると思うよ!』
そしてメイド達が、俺らに飲み物を出してくれた。この飲み物は…匂いを嗅ぐと、これは紅茶だった。
裕太『…おい、お前ら紅茶飲めるか…?俺飲めないんだけど。』
あかり『苦くない?独特の味…』
颯太『あ〜…、匂いで無理、でも高級ってことはわかる。コップで。』
海渡『俺は飲めるけど。』
健二『なんだ、あかりと颯太と裕太は飲めないのか。俺は紅茶が大好きだ。』
飲めない三人が、鼻をつまむ。
それに黒川が気づいた。
黒川『…あかりと颯太と裕太の紅茶を下げて、代わりにチェリーのドリンク持ってきて。』
そう黒川がメイドに命令すると、メイドは即座に命令に従う。
黒川『…そういえば、海渡さん、あなたのいも…』
黒川『…いえ、なんでもないです。』
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三話【よくあること】
黒川の家に来てから約1時間が経過した。颯太と裕太は、黒川の家の庭にあった遊具みたいなもので遊んでいる。健二は、黒川の図書館で本を読み、あかりは黒川の家の中にあったお客様限定無料でスウィーツが食べられるカフェみたいなところでスウィーツを食べているらしい。
まあ俺は、そこら辺をうろうろしている。はっきりと言えば廊下でうろうろとしている。あまりうろうろすると迷子になるが、部屋がありすぎるし、マップを見てもちょっとわけがわかんなくなってきた。
客室のソファーに座って、マップを見る。…このマップ見やすくないなと思う。ごちゃごちゃしていた。
黒川はあれから、自分の部屋に戻ったようだった。そういえば、紅茶を飲んでいる頃、黒川が何か言いかけたな…、まあなんでもいいやとは思ってい…
『ドーン!!!』
外から銃声のような音がした。流石に俺は立ち上がる。そして廊下に出て、玄関の近くへ行く。メイドも玄関前に集まっていた。俺はメイドさんに聞いた。
海渡『あの、何があったんですか?』
メイド1『…もう感じなくなったわね、恐怖が。』
海渡『…?えと…どういうことですか?』
恐怖が感じなくなった?恐怖?…嫌な予感がした。
メイド2『よくあることよ、黒川家を崩壊させようとしてくる集団が、あちこちにいるの。時々黒川家に攻めてくるのよ。週一ぐらい。まあ、黒川家のボディーガードが、一人残らずぶっ飛ばしちゃうけどねっ。』
メイド1『もううんざりするほど攻めてきてるから、怖くなくなった。ボディーガードが強すぎるからね。まあ…、相手が弱すぎるとも言いますかね。』
メイド2『ほとんどしたっぱしかこないし、なんで攻めてるんだろって思うわ。したっぱじゃ、勝てっこないのにね。…てか、そういえば思ったんだけどさ、』
メイド2『聞こえてるの?銃声が。』
銃声を聞き慣れているのか、かなり冷静だった。とても落ち着いた人ばかりだった。…そういえば、裕太達は?みんなは?
銃声がなったら、叫び声なり、中に避難するなり、するかと思った。外の庭の方を覗きに行った。颯太と裕太がいる、遊んでいた。
…聞こえてない?あの銃声が?あれは紛れもなく銃声だった。…さっき、メイドさんが言ってた、あの言葉。確かに銃声が聞こえていた。でも聞こえてるのって…どういうことだ?
玄関の近くの窓から外を見る。銃を持った人が、こちらを見ている。ボディーガードが、外に立って、家を守っている。
メイド1『そういえば、君、銃持ってる人も見えてるんだよね。』
メイド1『…どういうこと?君もこんがらがってるだろうと思うけど、私もわかんない。君が銃声が聞こえていることと、銃を持っている人が見えること。』
メイド2『…人間はまあ幽霊のこと、見えてるってこと…。人間ってついに見えるようになってしまったのね。』
幽霊が見える?どういうこと?俺が聞きたい。
|索敵《サーチ》
半径50mの範囲内に、銃を持っている人について調べる。…ん?何かがおかしかった。
俺の周りにいるメイド、そしてボディーガード、銃を持っている人たちも、俺のすぐ近くにいる人たち、全てが、
《《人間ではなかった。》》
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四話【幽霊】
人間じゃない?どういうことだ。
人間なんて、俺の周りには数人しかいない。…恐らく裕太達のことだろう。でも人間じゃないってことは、一体なんなんだ?
もう一度索敵を発動してみよう。
…全員、"幽霊"だ。…異世界の生き物だな?
幽霊っていないと思ってたが、異世界だったらそんなことは通用しないか。中級魔物と初級魔物が、俺の周りに沢山いる。ボディーガードは…強いとは言っていたが、中級魔物だった。まあそもそも上級魔物を地球に住ませるわけにはいかないと思う。でも、魔物がこんなにいたなんて…。
そういえば、黒川は?
…まあこんなに大きな家…というか館みたいなところ、半径50mに入らない場所もあるか…。でももし範囲内にいたら、もしかすると幽霊かもしれない…。でも、魔物の反応は、この周りぐらいしかなかったはずだ。てことは、入ってないかも…。遠くの反応はなかったから。
マップを見たところ、黒川の部屋は少し遠かった。だから範囲外だったと思う。場所を変えてもう一度索敵しようかなと思った。俺は場所を移動しようとした。そうしたら、メイドがこう言ってきた。
メイド2『銃声が聞こえている。わたしたちが見える。…ってことは、あなた、只者じゃないわよね。…このまま帰すわけには行きませんよねぇ?』
メイド1『まあ、見えてるってこと、秘密にしていただきたいけれど…。人間は嘘をたくさんつけるようですから…。』
メイド2『あなたも、黒川家の一部となりなさい!』
そう言って、メイド(2)さんの手から、氷柱のようなものが俺に撃たれた。
執事1『おいどうした…!?』
メイド1『あの人、見えてるんですよ。わたしたちが。』
執事1『…成程、そういうことか。見てはいけないものを…。』
海渡『いや別に、そもそもみなさん幽霊がなんでメイドや執事を…。まあ倒しちゃえばいいってことじゃないですか?人間もそう弱いわけじゃないし。』
執事1『ふっ…いいかよく聞け高校生。この家のメイドと執事は、全て人間ってわけじゃない。人間のメイドも執事もいる。君はその判別ができるかな?』
海渡『いや別にもう既に判別してるんですよね。あなたは、人間ですよね?執事さん。』
執事『…!?』
わかっていた。執事は人間、メイドは幽霊だった。周りに執事もいるが、どうしても反応していなかった。だから人間なんだとわかった。この索敵の能力は、〇〇か、〇〇じゃないか、ということもできる。それをつかったら、まあそういう結果になったというね。
海渡『幽霊さんたち…、まあ魔物かな。黒川は、人間なのか?教えてくれ。』
メイド2『ちょ、なんで魔物って知ってるの…!?』
メイド1『何この人…!!』
海渡『…名乗るほどの人物じゃないってことだけ言っておくよ。…ただ、異世界という世界を知っている、とのことだけ言っておこうかな。君達、異世界に帰ってもらおうか。』
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五話【最高傑作】
海渡『…名乗るほどの人物じゃないってことだけ言っておくよ。…ただ、異世界という世界を知っている、とのことだけ言っておこうかな。君達、異世界に帰ってもらおうか。』
メイド2『…はっ。あなた、もしかして、異世界に行き来できる人間じゃないかしら?お目にできて光栄だわ。まさか本当にいたなんて。人間なんてただのそこらへんに落ちてる空き缶程度の強さだと思ってたわ。』
メイド1『まあ相手は人間。私たちは中級魔物。所詮は人間。異世界に行き来できる人間だとしても、初級魔物ぐらいしか倒せないんでしょーね。』
はあ、いちいち変なことに巻き込まれてるな。まあメイドさん…中級魔物と話しててもただの時間の無駄だし、倒してるのも大騒ぎに今度はなる。無視するのもちょっと難しそうだし、まあ相手するしかないか…。
海渡『ホーリーレイ』
メイド2『ぎゃっ…!』
メイド1『人間が魔法を使いやがった…!!』
光を操ったただの攻撃魔法なんだけど。これだけで驚くとは思ってなかった。まあ人間が魔法っていうのもなんか変か。
まあ掠っただけだったか、じゃあもうちょっと当たりそうな魔法でも使いますか。
海渡『アイス・アロー』
そう言って、俺は魔法で弓を出し、メイド1に当てた。丁度右腕のところに。
メイド1『っあ…!!しまった…!え、まって、右腕が凍りついてる…!?』
海渡『少しの間だが、君の手を凍らせ、使えないようにした。ちょっと時間が経ったらすぐに使えるようになるよ。それまでは大人しくしてて。』
メイド2『…、大人しく?お前が大人しくしてろよ。』
随分と言葉遣いが悪いなぁ。さっきまでのおとなしそうな二人は一体なんなんだ…?
メイド2『メイド1の仇、絶対取るから。クレイゴーレム!』
クレイゴーレムとは、土などで作られた人形。体がとても硬く、あまり倒されないことが特徴。まあまあ厄介なやつだが、結局は強い攻撃すればいいってわけかなとは思う。
海渡『サンダーストーム』
俺は雷に風を合わせて作った魔法を使った。急にざわめき始める。様子を見にきた人も沢山きた。
メイド2は倒れた、意識はあるが、倒れた。クレイゴーレムも倒されて消えた。
執事1『お、お前…!?』
海渡『何度も言うが、俺は異世界を知っている人間だ。多少の魔法は使えるだろう。異世界の魔物は、異世界へと帰ってもらおうかなあ。』
そう言ったら、執事とメイドは一斉に走って逃げた。
面倒だなぁとか思ってたら、視線を感じた、視線を感じたほうを見る。誰もいない。気のせいかと思い、客室に戻った。
そして残っていた紅茶を一口飲んだ。
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優『お兄ちゃんは、悪い悪いメイドさんも倒せる凄い高校生…っと。』
優『どんどん研究できてるわ。黒川さんに家に入って研究する許可いただいてマジで嬉しかったわ。』
優『今年は最高傑作になる気がする…!』
優『だって、草野海渡は世界に一人しかいないから。』
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六話【黒川は。】
客室で少し休憩していると、客室に黒川が入ってきた。
黒川『海渡さん、先ほどの銃声が聴こえていたのですか?』
銃声が聞こえているかを聞くということは、黒川は銃声が聞こえている…。ということは…?銃は異世界を知っているものしかわからないように魔法がかけられているよう。だから、銃を撃っても、撃ったのがわかるのは、異世界を知っているものしかわからないというわけだ。だから、裕太たちは分からなかったのか…。
海渡『ああ、聞こえていたよ。それがどうしたの?』
黒川『…やっぱり、玄関がうるさいと思って、監視室からカメラを見たら、君が"魔法"を使っているところを見た。魔法が使えるということは、君は、異世界の生き物なのでしょうか…?』
海渡『…ただの人間だよ。普通の。魔法が使えるようになっただけ。』
黒川『へえ…。…私は、中級者です。』
中級者…?ということは、黒川は異世界の生き物で間違いないようだ。でも、そうなると黒川は魔物たちを従えていたということになるぞ…?ちょっと分からなくなってきた。黒川に聞いてみた。
海渡『つまり、魔物を従えていたのか…?』
黒川『はい。でももちろん嘘をつきました。上級魔物になりそうな中級魔物…と。流石に、上級魔物と嘘をつくとバレてしまうので。海渡さんは、中級者ですか…?』
海渡『いや、僕は初級、中級、上級、どれでもないよ。まあ実力的には初級ぐらいだろうね。』
黒川『いやいや、とても強かったですよ…?』
黒川はそういうと封筒を机の上に置く。置いた時、「チャリン…」と音がした。
黒川『これだけで十分なのかはわかりませんが…。お願いがあるのです。急なお願いですが…。』
黒川『爆破を止めてきてほしいのです。』
爆破?それって、爆弾が爆発することを言っているのか?黒川は話を続けた。
黒川『実は、私、薬品を作ることが大好きなんですよ。だから趣味として、異世界の材料などを混ぜたりなんなりして、とある日に、風邪になった何匹かの中級魔物に薬品を与えたんですよ。そしたら…。』
海渡『そしたら?』
黒川『か、覚醒しちゃって…。めちゃ強くなってるんですよね…!おかげでボディーガードも何人かやられました。…だから、中級魔物、もう倒しちゃってください…!ショッピングモール爆破させようとしてるらしく…。ボディーガードからの情報です。』
覚醒してるってことは、もうすでに上級魔物級の強さになってるんじゃないか…?(汗)
まあ俺に頼むってことは、他に頼める人がいないということかな。まあ仕方がない。
海渡『いいよ、できるかはわからないけどね。』
黒川『ありがとうございます…!あの、些細なものですが、お金…』
海渡『いらないいらない』
黒川『いや、一応持っててください…!』
そう言われ、無理やりくれた。
黒川『爆破は、明後日のようです…!』
海渡『わかった。出来なかったら金返すね。』
そういえば、明後日って…、優が友達とショッピングモールに行く日じゃ…?いや、違うか…。
俺は封筒を開ける。1万円札が…20枚あった…
海渡『はっ!?』
思わず声が出てしまった。
---
優『今日は凄かったなぁお兄ちゃん。』
優『明日はどんなことをしてくれるのか…。』
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七話【爆破】
明後日、俺は爆破されると言われているショッピングモールについた。客が普通にいる。爆破のことは世間には知られてはないようだ。情報がほんの数人だけにしか漏れていない。
でも覚醒か…。俺がその覚醒したやつを倒せるかどうか…。まあでも、魔王よりは弱そうだから、まあいけるかぁ…。心配だけど。
…魔王…か。
俺は異世界に行ってる間に、悪い魔王を倒した。既に話したはずだな。魔王との戦い、そういえば、俺と女神だけでやったかなぁ…。だから、異世界の奴らは、魔王が死んだという情報も知られていないだろう。
魔王は、異世界の生き物によると、邪魔でいつも悪さしかしない、上級魔物…、いや、上級魔物の上という感じか?誰も手につけられなかった。上級者は、自分は死にたくないとか言ったのだろう、この件について何も口に出さなかった。
この件が質問されても、質問したやつの口を魔法で口封じする。異世界はこれだから常識がない。
…でも、俺が異世界に行ってる間、俺の中の常識はめっちゃ変わったなぁ。魔法を使うということが当たり前だし、…そもそも魔法が使えるという常識すらおかしいからなぁ…。
そんなことを思っていると、優と優の友達を見つけた。どうやら二人でお出かけだったらしい。女友達だから、ファッションとか、好みとかが合ったんだろう。最近優が、『友達とおそろにした。』とか言って、ランドセルの横にアクリルキーホルダーをつける。…仲良い友達ができてよかったと思っている。
そして予定の時刻(爆破の時刻)があと約3時間。そんな時だった。
【バン!!】
…銃を撃つ音がした。入口の方から聞こえた。入口の方を見る。
既に、何人かの黒い服を着た奴らがいる。
『索敵』
…これは、間違いなく、中級魔物だ。しかも、覚醒中。
明らかに強そうなオーラを感じた。今まで出会った中級魔物とは一味違う。しかも、それが地球で暴れるとは…。本当に厄介なことになりそうで面倒だ。
優『え、お兄ちゃん!?』
…どうやら優が俺を見つけたようだ。
優『友達違う入口で帰っちゃった…って、なんでお兄ちゃんいるの。』
海渡『…優を守りにきた。既に、このショッピングモールで、爆破予告がされていたんだ。』
優『えっ、そうなんだ…。って、なんで教えてくれなかったの!』
海渡『速報だったんだぞ…。』
嘘で嘘じゃないようなことを優に伝える。
優『え、ちょ…えっ…!あ、あれみて…!』
え?
優は入口の方に指差した。なんのことだ?と思い、優が指差した方を見る。そこには、入口に近づく一人の少年がいた。まだ若い、小さな子供だろう。そして、何故か少年はナイフを持っている。
優『さっきの子…あの子、…えぇっ…』
優はかなり動揺していた。そして、少年はどんどん入口に近づく。入口に近づくと共に、中級魔物にも近づく。
そして、少年はこう言った。
少年『僕はヒーロー様なんだよっ…!!』
そう言って、中級魔物を刺す。中級魔物がナイフを抜く、少年を突き飛ばす。中級魔物が、再生し、ナイフの傷は綺麗になくなった。
少年は動揺している。
まあ少年がどうしてこんなことをしているのかはよくわからない。でも、俺も一応お願い事を頼まれている。市民の平和を守るため?そういうことになるかな。
海渡『優、下がって。』
優『うん。』
優は何歩か下がる。
優『(なんか今日はなかなかのことが書けそう…!!自由研究、最高の自由研究になるわ…)』
海渡『さあ、魔物さん。異世界に帰るお時間です。』
海渡『今日の戦い、是非思い出にしましょうね?』
---
八話【偽のヒーロー様】
海渡『さあ、魔物さん。異世界に帰るお時間です。』
海渡『今日の戦い、是非思い出にしましょうね?』
海渡『エア・ハンマー』
そう言って、俺は風を操る魔法、『エア・ハンマー』で攻撃した。エア・ハンマーとは、まあ簡単にいうと打撃系の魔法だ。風などの力で相手に攻撃する…、でもちょっと力を入れないといけないので、少々面倒な魔法。でも、魔法の効果は絶大だ。
俺は笑う。黒い服を着た奴らは苦しむ。そのうちの1匹が既に風の圧に負けている。まあ強い方の魔法だから、負けるよね。
黒い服を着た奴らを見ていると、1匹が俺の方に突っ込んでくる。目がチラリと見えた。目が光っている。怒りに燃えているのだろう。まあ爆破までまだまだあるのに、こんな調子だったらそりゃあそうだよな。
中級魔物1『|繝輔ぃ繧、繝、繝シ繝懊?繝ォ《ファイアボール》』
海渡『じゃあ炎を炎で受け止めようかなぁ。ファイア・ウォール』
説明しよう。まず中級魔物が放った『ファイアボール』は、火の球という意味で、大きな火の球を作って、相手に投げて攻撃する。…簡単な魔法だが、一時期は流行っていた。つまり…その時はその魔法が通用したということかな。今はあまり見かけないけど。
そして俺が使った魔法『ファイア・ウォール』とは、火の壁という意味で、攻撃から守るための防御魔法として使われる。魔法の基本中の基本って感じ?防御魔法としてはメジャーな魔法。
中級魔物1『|莠コ髢薙′鬲疲ウ輔↑繧薙※縺ェ窶ヲ《人間が魔法なんてな…》』
中級魔物1『|繝ゥ繧、繝医ル繝ウ繧ー繝懊Ν繝《ライトニングボルト》』
おっと、ライトニングボルトって確かボルト系の電気を操る魔法だったなぁ…。結構強力な魔法ですね…。
海渡『リフレクション、そのままお返しするよ。』
リフレクション、相手の魔法を跳ね返す魔法。
中級魔物に、リフレクションで跳ね返したライトニングボルトがあたる。叫び声が聞こえる。苦しそうで、痛そうな。まあもちろんこれだけじゃ倒せないと思う。だから…、とびきりの魔法、与えちゃおう。
海渡『メテオ・ストライク』
メテオ・ストライク、それは流星ということ。空中から流星を降らし、相手に攻撃する。結構強くて、俺でも習得に時間がかかった魔法だった。
中級魔物は倒れた。…倒したのだろう。後ろを振り返ると、優が俺に向かって大きな声で喋った。
優『すご〜い!!お兄ちゃん流石っ!』
ちょっと照れる。まあ可愛い妹に褒められるとか照れるしかないだろ…(笑)
少年『あ、あ、あっ…ああっ…。』
ん?そういえば、さっき少年がいたな…。倒すのに夢中になっていて忘れていた。
少年『あなたが、正真正銘、最強のヒーロー様なんですかっ…!!』
え?
少年『僕が、正真正銘のヒーロー様なのにっ…!!』
少年『お前は魔法しか頼っていない…!お前の力じゃないじゃんっ…!』
少年『お前は"偽のヒーロー様"だあっ…!』
少年は俺に向かって走ってくる。右手にナイフを持って、近くにくると、俺を刺そうとした。少年は泣いていた。
少年『うわあぁぁ…!』
俺はナイフを避けた。少年はその場でしゃがみ込んだ。
少年『僕が一人しかいない本当のヒーロー様なのにさあっ!!』
少年『なんでお前が倒すんだよっ…!』
はぁ…?何を言っているんだとは思う。急にどうした…。
少年『偽のヒーロー様なくせに!』
---
九話【解除】
少年『僕が一人しかいない本当のヒーロー様なのにさあっ!!』
少年『なんでお前が倒すんだよっ…!』
少年『偽のヒーロー様なくせに!』
…。
優『は、はぁ…?ヒーローなんて沢山いるでしょ…?』
少年『意味がわからない。』
こっちが意味わかんないよ…。てか、そもそも急に何話しかけてくるの…。しかも俺のこと殺そうとしてなかった?ナイフで刺そうとしてたし…。
少年は、ナイフをしまう。そして立ち上がる。ふらふらと入口の方へ歩いて行った。
少年『…もういい…です…ッ』
そう言って帰って行った。入口から出て行った。
優『な、なんだったの…?』
海渡『さあ優、まだ事は解決していないよ。』
優『えっ?でも倒し…、あ、爆弾!忘れてたっ!』
そう、爆弾を解除しなきゃいけなかった。あと…2時間ぐらいか?早く解除しなきゃ爆発してしまう。
海渡『まずは…、危険感知』
危険感知とは、感知魔法。危険物を俺の周りにあるか探す。魔法を使うと、秒で危険物があると分かった。
俺は危険物が隠されていた化粧品が売っている店に行った。商品棚の奥に隠されていたのは、小さな爆弾。
…これは異世界物だった。異世界は、こういう危ない物(武器や魔法)の開発が非常に発達しているため、小さな爆弾でも大きな爆発を起こす物が多い。こういう物じゃなくて、もっと生活面に必要なものの記述を発達させてほしいな…と思った事がすごくある。
優『爆弾だっ…!てかちっちゃ。でも、爆発を解除する事、お兄ちゃんできるの?』
海渡『じゃあ跡形もなく壊せば良いじゃん?スチール・バレット』
スチール・バレットとは、簡単に言うと銃弾です。俺はこの魔法で爆弾を跡形もなく壊した。もう爆弾はない。
優『え、流石お兄ちゃん。最強じゃん。』
海渡『ははっ…まあ最強ではないけどね…』
女神『海渡様は最強ですよおおおおおおおおおおおおお!!!』
げっ、女神…。相変わらずの変わらない登場の仕方。
女神『てか、魔法いっぱい使ってますがどうしましたかっ!?』
海渡『ちょっとこっちの世界で色々起こってねぇ…』
ああめんどくさいと思ったのはこの瞬間だった。女神も呆れた顔で俺を見る。
女神『まあでもっ!海渡様だから許しちゃお!』
海渡『は、は…はは…。』
ちょっと微妙な反応をする。
女神『あ、そうそう。海渡様にお伝えしたい事があったんですよ…。』
女神『実は…。』
優『実は?』
この後、女神から発せられた言葉が、俺の心をぐちゃっと苦しめるような言葉となった。最悪なパターンだと異世界で住んでた時思ってたけど、…。
海渡『終わりじゃなかったってことかよ…。』
深呼吸を一回する。最悪なパターンが、俺を辛くさせる。
海渡『また変なことするんじゃねえか…?』
---
十話【アイス】
今俺はアイスを食べている。宿題に手をつけていたが、あまり頭が回らない。エアコンがガンガンについているが、効いているはずなのに、とても暑い。じめじめとしていて暑い。この暑さ、俺は嫌だった。扇風機も、首をゆっくりと振って、動いている。
さあてと、優は勉強してますかね。俺は優の部屋に行った。
【コンコン】
優『は〜い。なんですか。』
海渡『俺だ。入るよ。』
俺は優の部屋に入った。相変わらずポテトチップスが入っていない空の袋が散らばっている。ラムネもちょこちょこと落ちている。
今日はお母さんは休みだったはずだが、臨時で急に仕事が入る。お父さんは、ちょっと遠いところに出張。だから今、優と俺の二人きりで留守番している。だから、優は少し散らかっても怒られないと思い、散らける。俺は優に勉強しているか聞いた。
海渡『優、勉強してる?』
優『んー?してるしてるー』
棒読みな言い方に少しイラッとなったが、俺はやっているか確認した。
海渡『…あまり進んでいないじゃないか…。』
優『そ、そっちの方が量多いから自分のこと気にしたらどうなのよ…!』
海渡『こっちは順調だぞ。問題集も終わってきたし。』
俺はまたアイスを一口食べる。冷たくて、頭を少し抱えるような動きをする。
優の部屋を出ていくと、アイスが溶けていることに気づいた。俺はガツガツとアイスを一気に食べる。一気に食べたせいか、お腹が苦しくなる。口が全体が冷え、咳が何回か出る。アイスを食べ終わり、棒を捨てる。そしてリビングのソファーに座った。ちなみに棒の当たりくじはハズレだった。
そういえば、優は自由研究進んでいるのだろうか。何を書いているのか、少し気になるが、勝手に読んだら失礼かもしれない…俺は勝手に見ようとしたが、やめた。
俺は暇なのでテレビをつける。現在AM10:00だった。テレビでは、ヒーロー戦隊シリーズが今やっている。まだこのシリーズやってたのか…。相変わらずの個性的な衣装。
…っあ…?
急に頭が痛く…!?
---
【最低なのはお前だろう?また懲らしめようとして。二度も首突っ込むんじゃない。】
---
っ…!?
急に頭が痛くなった。今は痛くない。なんだ?俺は何を見た?何を聞いた?
…まあ空耳だったってことか。別にテレビから出た声じゃないし…。テレビを消す。ソファーで寝転がった。
暇だなぁ…。宿題か…、いやまあそれなりに進んでいるから今はいいだろう…。食べる?いやさっきアイス食べたばっか…。散歩?いや優を一人にすることは…。掃除?いや勝手に変なところ掃除して、大切なものをゴミに捨てちゃうかもしれない…嫌だなぁ。読書?いやこの前本売って、また別の日に買いに行こうと思ったけど、よく行く本屋が夏休みで店閉めてた…。
ああ、本当に何しよう。いっそ、寝るか。寝ることが無難?
ソファーで寝転がりながら考えていると…
女神『海渡様あああああああああああああああああああああああ!』
海渡『…何女神。何か用事が?』
女神『く、く、黒川が…!ぼ、暴走してますよおおおお!』
海渡『黒川が?』
女神『テレビつけてください!こっちでも話題になってますよお…!』
そう言われたので、俺はテレビをつけて、戦隊モノから、ニュースに変える。そしたら…、
黒川が映っていた。
---
(黒川site)
叫び声が聞こえる…。人間が慌てながら逃げる…!
なんて良い光景なんだ…!
黒川『草野海渡…。君が来ること、そして君と戦えること楽しみにしてますよ…?』
黒川『全ては《《ヴィルディン》》様のために。』
この人間の世界は、歪んでいる…!
---
十一話【歪み】
急にどうしたどうした。俺は黒川がいるところに行こうとする。…でもどこにいるか、テレビを見てもさっぱりわからないなぁ…。
まあでも、魔法使えばそんなのねぇ…。
女神『ねえどうするのですかああ!?(汗)』
海渡『まあ、二人で黒川のところまで行って、黒川にとりあえず交渉して、無理だったら戦って、黒川滅ぼすぐらいまでやろうか。で、騒ぎは無かったことにできないかな。まあ記憶改変すればどうにかなるから、女神記憶改変よろしく。』
女神『えっ?なに、ちょ、話長くて理解できませんでした!』
海渡『ワープ、指定黒川。女神とよろしく。』
---
ワープした先には、黒川がいた。ここは、住宅街か?俺の家の近くってところでは無かった。
黒川『…?ああ、海渡さん…と、その隣の女誰?』
海渡『その質問の前に、黒川、なぜこのようなことをした?まずこの状況のことについて伺いたい。』
黒川『ふ〜ん…。まあ、楽しいからね!人生は、今を生きる楽しさが必要!だから、思う存分楽しまなきゃ。』
楽しみ方が独特だなぁ…。少々困るところだ。被害者はどんどん増えてるというのに、急に楽しいからと言われてもなぁ…。(そして黒川の敬語が外れてる…。多分俺をもう敵だと認識しているんじゃないか…?)
辺りを見渡す限り、周りには人はいなさそう。いるとしても…、少し遠いところに、カメラを持った人たちが何名もいる。俺は写ってなさそうだ。…まあこれだけの騒ぎになったから、恐らく9割がテレビ局の奴らだろう。
黒川『ということで、その女誰?』
女神『め、女神ですよ!!!異世界の女神です!!』
黒川『ああ、なんかいたね。有名だっけ、ほら、魔法自由自在に使えるんでしょ?』
女神『っ…、は、はあ…』
女神が少し苦しそうにしてる。…まあ黒川から"そういう言葉"を言われたらな…。
俺は黒川に少し交渉をしてみた。
海渡『黒川、こうやって荒らすのは、異世界にしないか?地球より、異世界の方が罪はないだろ?黒川なら、警察だってぶっ飛ばせるだろ?』
黒川『異世界でやっても、どうせ初級者が下手な魔法撃ってくるだけ。…それよりは、逃げるだけの人間に攻撃した方がマシじゃない?警察だって、人間の警察の方が弱いし。てか、使い物にならないでしょ?』
海渡『まあ確かに"俺ら"はそう思うかもしれない。でも、人間にとって警察はとても重要なんだ。勝手に使い物にならないとか言わないでくれ。』
黒川『でも使い物にならないのは事実、さっきだって銃を構えてたけど、撃ってこなかったよ?怖いのかなぁ?それとも、使ったことがないのかな?w』
黒川がここまで煽ってくるとは思ってなかった。警察はしっかりと仕事をしているのに、その努力がこの一つの言葉で失われるような気持ちになる。別に警察ではないが、なんかこいつに煽られるとムカつくなぁ…。
でも言葉で黒川を交渉しても、どうせまた交渉しても、黒川は跳ね返すだろう。だったら、もう戦った方がマシだな。中級者か…強いだろう。
女神『海渡様、あれを!』
海渡『わかった、ありがとう。』
俺は女神から、例のアレをもらった。
海渡『さてと、まずは…。アイス・ランス』
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十二話【タブレット】
俺は女神から、例のアレをもらった。
海渡『さてと、まずは…。アイス・ランス』
俺はアイス・ランスという魔法を使った。〇〇・アローの亜種的な感じの魔法だ。
黒川『おっと、危ないねえ。危ないことするなんてひどいよ海渡さん!?』
海渡『いや別に中級者だろ。守ったり避けたりできるでしょ。』
黒川『まあ、まあそうだけどさ!?ねっ!?でもひどいなぁ〜』
黒川はポケットから何か取り出す。…瓶だ。中に液体が入っている。
黒川『実はねぇ、海渡さんと闘うために、秘密の"アイテム"を用意したんだよね。』
黒川『"ソーマ"知ってる?』
ソーマ…ソーマ…!?
ソーマって、確かあの口にしたら幻覚が一定の時間起こるってやつじゃなかったっけ…!?
黒川『君に飲んでもらいたくてさあ。飲んでくれない?』
海渡『…その言い方だと、完全に罠だと感じてしまうぞ。』
黒川『…もしかして、知ってるんだソーマ。…へえ、へえw。絶対飲ませる。絶対に。』
黒川『カマイタチ!』
黒川は魔法、カマイタチを使った。知ってる方はいると思うが、簡単に言うととても早く移動をして、相手を傷つける、そんな魔法だ。まさか、その早い移動で飲ませようと…!?
気づけば黒川は、俺のすぐ近くにいた。ソーマが入った瓶を開け、俺の口に注ごうとした。
海渡『ちょ、カモフラージュ。』
黒川『あ"っ…くそ、見えな…眩しい…!』
何とか避けれたが、何回もこういうことをされるとキリがないし、さらに面倒だ…!ずっとカモフラージュで黒川を制御することはできないし、カモフラージュを黒川に当てることがまず重要となってくる。当たらないという可能性もあるから…、これだから…。
黒川『なんとか解けた…。もう。もうすぐだったのになぁ。』
黒川『カマイタチ。』
ああ、これだから面倒なんだよ…!
黒川がまたカマイタチをしてきた。最悪だなぁ…。
でも、まあ確実に当たるという魔法はないけれど、当たる確率が高い魔法はあるからね。それでなんとかするか…。
海渡『エクスプロージョン』
範囲魔法、エクスプロージョン。範囲が広い爆弾を一瞬で爆発させ、相手に攻撃する。正直言って、あまり使いたく無かった魔法だった。周りに建物がいろいろあるから、建物が巻き込まれちゃうかと思った。でも建物は無事だった。
まあでももし何か被害を加えてしまったら、なんか申し訳ないと思うから、バリアでも張っとくか…。
海渡『結界』
俺は結界を張る。(バリア)人間に被害を加えないようにした。
黒川『はぁ…。痛いなぁ…、おまけに結界も張られたなんて…。』
黒川『でもねぇ、飲ませたら勝ちだからさ。一滴でも飲ませれば…。僕の勝ち。』
黒川『次こそは、カマイt』
海渡『させないよ。ロック。』
僕は黒川のカマイタチを一定時間使わせないようにした。もう面倒、うんざりするからね。毎回同じ魔法されても、つまんないでしょ?つまんないよ。面倒だけど。
黒川『ほんとひどいね!僕のお気に入りの魔法だったのになぁ。』
海渡『…あのさあ、』
黒川『なに?海渡さん。』
さん付けされるのが、黒川に、さん付けされるのが気持ち悪かった。違和感を感じた。(この口調だと相当違和感感じるんだよな…)
でも、もうお遊びには付き合ってられないんだよなそれが。
海渡『これみてよ黒川。これ。』
俺はさっき女神からもらったものを取り出す。
黒川『これは…海渡さんも秘密のアイテムかな?えっと…』
黒川『"タブレット"かな?』
海渡『大正解。』
タブレット…機械のタブレットじゃないぞ?いわゆる錠剤だ。タブレットもいろいろ種類がある。回復に使うものや、攻撃から守るため、少しでも防御力というものをあげるための能力向上てきなもの。
俺はタブレットを飲んだ。
…ゴクン…
海渡『…そういえば、君に聞きたいことがあるんだよね…。』
黒川『…なに?タブレットを飲んだ海渡さん。』
少し魔法の話をするけど、『真偽判定』という魔法がある。それは嘘をついているかわかる魔法だ。僕は今からその魔法を使う。…聞きたいことがあるんだ。君も、一つ思ったことがあったでしょ?知らないけど。
海渡『真偽判定、君はテレビで、「全てはヴィルディン様のために。」と言っていたな?』
黒川『…ああそうなの?テレビ局が僕を注目している!?なんていいチャンスなんだ…!ああ…!…確かに言った記憶があるね。』
ガシッ…
俺は黒川の服を掴み、黒川に言った。…少し暴走しすぎたかもしれなかったが、あいつのことを吐かせるならこういう方法もありだと思った。
海渡『ヴィルディンの現在の情報を全て吐け!!』
黒川『っは…?』
黒川『ヴィンディン様…、そう、僕の最高の親友。』
親友…?
黒川『自分を中級者にしてくれた、神様みたいな存在の方だ。』
神様…?あいつが…?
黒川『自分は中級者じゃない。本当なら初級者レベルだろう。』
黒川『でも、彼は不正と知っていても、自分を中級者にしてくれた。おかげで立場が高くなった。』
………。
黒川『…ヴィンディン様は、いずれかは異世界を彼のものにしようとしている。素晴らしいでしょ…?…彼は言っていた、』
黒川『草野海渡に復讐するために…と。』
海渡『何が…、何が素晴らしいんだよ…っ!』
心の中から、怒りが湧き上がってきた。
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十三話【ヴィンディン】
黒川『…ヴィンディン様は、いずれかは異世界を彼のものにしようとしている。素晴らしいでしょ…?…彼は言っていた、』
黒川『草野海渡に復讐するために…と。』
海渡『何が…、何が素晴らしいんだよ…っ!』
心の中から、怒りが湧き上がってきた。
なんで?なんで、こうなるんだよ。
一回倒したあいつが、散々酷いことばっかしたあいつがなぜ生き返る?
あいつの目的な俺の復讐?本当にそれだけか?
女神『…海渡。やっぱり、この件は私たち、触れた方がいいですよね。』
女神『ヴィンディン…、ヴィンディンは、あの私たちが前に倒した魔王のこと…。何故生き返ったのでしょうかね…』
ヴィンディンとは、魔王のこと。俺は前に悪い魔王を倒したと言った。…そいつが生き返ったんだよ。生き返らなくてもいいやつが…。
海渡『…わからない。…ああ、女神。夏休みが終わったら、そっちに行こうと思う。…今にも行きたいが…、ちょっと用があってね…。』
女神『用?』
海渡『優の自由研究だよ、優、自由研究早く終わってほしいのだが。』
少し忘れていたが、ようやく思い出した。優は自由研究のテーマを『草野海渡』にしたらしい。何故兄のことにしたんだよ…。いろいろと面倒なことだから早く終わらせたい。というか、早く終わらせてくれ。
女神『ああ!海渡様の妹様の自由研究ですね…!そうだったんですか〜、初耳ですっ!』
海渡『ああ、で、とりあえず黒川は…どうしよ。』
女神『別に私が処理してもいいですよー』
海渡『はあ…なんで俺はタブレット飲んだんだろ…。』
女神『意味なかったですねw』
少し二人に笑われる。まあタブレットは味も美味しいから、お菓子食べたってことにするか…(笑)
海渡『じゃあ女神、黒川をよろしく。』
女神『は〜い!わかりましたよ〜!』
黒川『べ、別に僕子供じゃないので…はい…。』
俺は女神に黒川をまかせて、先に家に帰った。
家に帰ると、優が待っていた。
優『おかえり。どうしたの、急に出かけて。』
夏休みが終わるまであと二週間程度。長い長い…、宿題はある程度終わったが、優の自由研究終わってくれないかなぁ。
というか、今どれだけ進んでいるんだ?
俺は優に聞いた。
海渡『な、なあ、優。お前、自由研究って終わったのか…?』
優『え?あ、あー、まだ終わってない。』
…はぁ…。少しがっくりした。ため息をつく。
優『でも、もう書くことは決まったよ?あとは文章にするだけ。』
海渡『…え、本当か…!?って、早く書けよ…、書くこと決まったならさぁ…。』
優『いやあ?めんどくさい。』
優は国語が苦手だから手につけられないのだと思う。この前、夏休みの宿題の読書感想文を見た時に、明らかにおかしい文があることに気づいた。ここにいらないと思う単語もちょくちょくと入っている。
優『あー、もうわかったよ。やるやる。終わらせるって…。』
優はすぐに部屋に戻った。
優が部屋に戻った数分後、優の部屋に入ると、優はゲームをしていた。
海渡『お前、やる気ないのかよ…。』
優『…あ。』
海渡『「あ」じゃねえよ。…』
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夏休みが終わり、8/30、夏休み明けの2日目登校日。
1日目は課題提出日だったらしいが、2日目は…。
優の先生『今日は、授業参観。みんなの親が見にきてくれているね。では、今日は夏休みの自由研究の発表をしたいと思います!』
俺は、なぜか優の授業参観の保護者として見にきていた…。
いやなんで。
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十四話【自由研究】最終話
夏休みが終わり、8/30、夏休み明けの2日目登校日。
1日目は課題提出日だったらしいが、2日目は…。
優の先生『今日は、授業参観。みんなの親が見にきてくれているね。では、今日は夏休みの自由研究の発表をしたいと思います!』
俺は、なぜか優の授業参観の保護者として見にきていた…。
いやなんで。
親は仕事で忙しいから、俺は高校が今日休みだから、はぁ…?
そういえば、今優の担任が自由研究を発表すると言っていたな…?少なくとも人が大勢いる前じゃない発表だったらまだよかったが、大人の人たちがぞろぞろといる中での発表って、発表しない俺でも恥ずかしいのだが。他の親より何倍も恥ずかしい(テーマにされているからね…)
出席番号の頭から発表していくことになった。優の出席番号は、9番。緊張感が増す。今、俺の心臓がどのような動きをしているかがわかるような気がした。
そして、優の番になった。時の流れが早かった。いや、早く思いすぎていた。
優がみんなの前に出る。優が作文用紙を持つ。消しゴムで消したのか、作文用紙には、消しゴムを消す時にグチャってなるあの跡が残っていた。
優の先生『はい、じゃあどうぞ。』
優『…私の自由研究のテーマは、私の兄です。』
優がテーマを言った。少しざわめいた。そりゃあそうだ、なんせ人間をテーマにしたんだ。他の子は昆虫とか魚とか、植物とか、まだましな方を研究しているのに、人間だなんて。生き物だけれども…。
俺は今年の優の自由研究を見ていない。去年は、家にいたゴキブリを捕まえて、虫籠で育てて、そのゴキブリをテーマにしていた。去年の夏は、やけに騒がしかった。
そして、優が作文用紙に書かれている文を読み始めた。
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私の自由研究のテーマは、何度も言いますが、私の兄です。少し驚くかもしれませんが、人間も生き物なのでいいかと思いました。
私の兄の名前は、草野海渡です。まず、兄の第一印象は、『おかしい』ことです。おかしいって言っても、もはや人間なのか?と思うほどおかしいです。
おかしいという印象を受けたのは、三つのことがあります。
まず一つ目、悪い奴を倒せます。
悪い奴というのは、悪さをしたやつということです。それを全て不思議な力で攻撃して倒します。
二つ目は、化け物を倒せます。相手がもしどんなに卑怯な手をしても、お兄ちゃんは倒すことができます。
以上のことでおかしいと思いました。
そして三つ目、爆弾が解除できます。つまり平和を保てることが可能です。私もびっくりしました。
そして少し豆知識的なことも調べました。
彼はアイスが好きです。彼はコーヒーが好きです。甘党です。彼は急に友達を家に迎えて泊まらせることができます。幽霊が見えるそうです。
私はお兄ちゃんを一言でまとめました。
私のお兄ちゃん、草野海渡は…
---
優『"最強"です。』
優『以上で発表を終わります。』
パチパチパチパチ…!
…優ってわけがわからない。いつ情報を手に入れたのかわからなかった。でも、いい自由研究だと思った。
優の自由研究が、今年の俺の夏の宝物となった。
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~第四章予告~
海渡『満月が、俺を支えてくれるようだ。』
rematch
女神『まさか、舐めてませんよね…!!』
battle
ヴィンディン『今回は、草野海渡、お前が負ける番なんだ。』
revenge
秋葉『あなたが魔王さんなんですね。ヴィンディンさん。』
Grab a victory!
再び、バトルが開幕する…。
第四章『魔王復活』
海渡『君は既に俺に負けたことがある…が、』
海渡『今回は分からないようにしてくれ。俺が圧勝しないように…ね。』
少し修正部分も加えています。
ライト版ものちのち修正します。
第四章も既にライト版では完結しました…!
転載も予定しているので、よろしくお願いします…!
異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。ワード集。
順次更新していく予定です。とりあえず、まったり進めていきます。
○話で初登場した言葉とかを書きます。自分用みたいなものです。短編カフェしか公開していません。
すべての言葉を書いているわけじゃないです。
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【1期一話】
『|草野海渡《くさのかいと》』
異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。の主人公。高校生。異世界で魔王を倒したことがある。
『|異世界《いせかい》』
異世界。地球とは違うまた別の世界。
『|魔王《まおう》』
魔王。ヴィンディン魔王のこと。(のちのちヴィンディン魔王は登場。)
『|優《ゆう》』
フルネームだと「|草野優《くさのゆう》」草野海渡のお兄さん。小学5年生。
【1期二話】
『|時間制止《タイム コンストレイント》』
時間を止める魔法。この小説で一番初めに登場した魔法。
【1期三話】
『|解除《かいじょ》』
魔法を解除すること。
『|強制沈黙《きょうせいちんもく》』
誰かを強制的に喋らせないようにする魔法。この小説では、優に使った。
【1期四話】
『0.05秒前』
海渡が意識を失う前や、寝る前に見れる最後の記憶や景色。簡単にいうと、海渡が意識を失ったりなどする前の覚えておける記憶の最後。
『tst』
マイクテスト。
『おじさん』
殺し合いゲームの主催者。
『殺し合いゲーム』
人と人が殺し合って、最終的に最後に残った人の勝ちとなるゲーム。
『神』
女神のこと。
【1期五話】
『地獄のゲーム』
殺し合いゲームのこと。
『ステージ』
1期五話の場面では、体育館のステージのこと。
『モンスター』
異世界の魔物のこと。
『クソガキ』
おじさんが言っている台詞の中に入っている。海渡のこと。
【1期六話】
『悪人』
おじさんのこと。
『マジックの天才』
海渡のこと。優が海渡に言った。
現在1期の言葉を公開中。
2期は長いので、少々お待ちを。
異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。第4章
観覧感謝…!
NOVEL CAKEから転載。
七話から、短編カフェで一時期募集していたキャラクターで採用した子たちが登場しています。
~第四章~
海渡『満月が、俺を支えてくれるようだ。』
rematch
女神『まさか、舐めてませんよね…!!』
battle
ヴィンディン『今回は、草野海渡、お前が負ける番なんだ。』
revenge
秋葉『あなたが魔王さんなんですね。ヴィンディンさん。』
Grab a victory!
再び、バトルが開幕する…。
第四章『魔王復活』
海渡『君は既に俺に負けたことがある…が、』
海渡『今回は分からないようにしてくれ。俺が圧勝しないように…ね。』
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【第一話】
【魔王site】
…ようやくまたせたな、草野海渡よ。
おっと、紹介が遅れていたな。俺様は、この異世界を確実に支配できる魔王、『ヴィンディン』と言う。以後お見知り置きを。
俺様は、一度草野海渡と戦った…が、結果は敗北。…俺が弱かったわけじゃない。草野海渡が"強すぎた"のだ。なにしろ激戦だったから、勝負の行方は終わるまで一向に分からなかった。
…草野海渡は、人間だと聞いた。あの時は上級者の一人だと思っていたのに、人間だったということに未だに驚きだった。逆に人間にやられたと思うと、自分が情けないと思う。
草野海渡の特徴は、長い髪で癖っ毛、黒髪にずっと睨むような美しい青色の目。…寝ていないのか、毎日少し疲れていたな、クマができていた時もあった。
でも、俺様の部下『KUROKAWA』に草野海渡の姿を報告しろと命令し、報告が来た時、俺は目を疑った。
---
【報告書】
草野海渡の姿は、まず黒髪で、ショートカット、少し癖っ毛で、アホ毛もあり。
現在、高校生。既に何人ものの著名人を倒したそう。
草野海渡のお供として、女神がいる。
パッとみて、180cmと高めな身長。
タブレットを所持している。
ざっと言えば以上です。
---
なんて軽めな文章…。もうちょっと詳しく調べてきたら?と思ったが、この文章だけでも目を疑った。
草野海渡が"高校生"?だいぶ歳をとっていると思っていたが、まさかの高校生?流石に驚いた。
そして女神、まだお前は草野海渡のそばにいたのか。こちらも同じぐらい驚いた。あんなに強かった草野海渡に、まだお前はついてゆくつもりか?あいつは魔法が全然使えないというのに…。役立たず?役立たず認定だなぁ。
草野海渡…、早くその姿を見て見たいところだ。前の姿も見て見たいが、イメチェンしたのか?いや、人間の姿なのか?まあ人間の姿で異世界に来ることは可能だな。前の方がよりクールだと思うぞ?
それにしても、異世界もだいぶ変わったなあ。少し明るくなったか?…まあ、俺様がそれを全てぶっ壊すんだな。www
…草野海渡、お前を楽しみにしている。お前が俺様をどうやって止めるか、とても楽しみにしている。お前がどれほど成長しているか…。…そんなこと言ったら、俺様が父親みたいになってしまうな…。
でも、何より、草野海渡に俺様の成長した素晴らしい力をぶつけることができるなんて、嬉しいなあ。思わずニヤって笑ってしまう。
…俺様がどんなふうに成長したか、聞くか?
俺様は…
【エリクサー】を飲んで、不老不死となった。
俺様は前、400歳ぐらいまで生きていたが、草野海渡にやられたからな…、でも生き返ったばっかだから、俺様は『0歳』とも言えるなぁ…!
もう死なない、もう負けられない、もう失敗できない。
0歳の異世界支配計画、スタートだ。
これが勝ち確?これが圧勝?
ヴィンディン『楽しみだなぁ。www』
---
【二話「魔王との激しい戦い(前編)」】
女神『あ、そうそう。海渡様にお伝えしたい事があったんですよ…。』
女神『実は…。』
優『実は?』
女神『…魔王が…、復活…いたしまして…。』
海渡『…魔王…!?』
女神『また…もう被害が…』
海渡『…』
海渡『終わりじゃなかったってことかよ…。』
海渡『また変なことするんじゃねえか…?』
---
これは、初めて魔王と戦った時のお話…。
海渡『はぁ…!はぁ…!やっと、最上階につくぞ女神…!』
女神『そ、そうですねっ…!疲れたぁあ…!』
海渡『全く…悪さしといて体力的にもダメージ与えやがって…。』
魔王がいる城は、階段が何百段…何千段もある。それを登らないと魔王には会えなかった。瞬間移動などを使って魔王のいる城の最上階に移動できることはできたのだが、昔の草野海渡は今と違ってあまり魔法を習得できていなかった。なんせ、異世界に来て2年で魔王と戦わされた。魔法習得もそんなに簡単ではない。
女神『あ、見えてきましたよ〜!!』
女神は魔王がいる部屋の扉を思いっきり開けた。
その部屋の中には、魔王がただ一人ぽつんと立っていた。
女神『ああ、誰も仲間いないんですか?召喚すればいいのに…。もしかして、もうそんなこともできない?』
ヴィンディン『………。』
海渡『おい女神。煽るのはよせ。』
女神『まあでもこれぐらいの刺激は与えないときついですよ〜?』
海渡『うっせえ!わかってる。』
その時の草野海渡は口がやけに悪かった。…いや、異世界で魔王を倒すことになり、巻き込まれたから少し怒っているのかもしれない。やけに疲れている。
ヴィンディン『……、来たんだなぁ、決戦の時が。』
ヴィンディン『いやぁ、まさか君らが来るとは思わなかったよ。もっともっと、遥かに強いやつが来るかと思った。食べてしまいたいと思った。…でも、…男の方、そっちは強そうだなぁ。』
女神『え"っ、私は…!?』
ヴィンディン『お前は弱すぎるだろ。魔法もほぼ使えないくせに。一桁ぐらいしか使えないだろ。』
女神は魔法がほとんど使えなかった。使えても少し。俺より魔法が使えてなかった。それも少し理由があるが、話すのはまた今度___
ヴィンディン『男の方。名は』
海渡『草野海渡だ。』
ヴィンディン『くさの かいと?変な名前だなぁ。あんまりないなこの名前は。』
海渡『人間だから、じゃないか?』
ヴィンディン『んん〜?人間…人間…あああ、そんな名前してたなあ。余計に倒したくなってきたじゃないか。海渡。』
ヴィンディン『まずは…、さっき戦ったから回復してないんだよな。ヒール。』
ヴィンディンは回復魔法『ヒール』で回復した。…ヴィンディンを倒す計画は、何千人ものの人たちが参加した、俺らもその参加した人たちに入っていた。まあしょっちゅう攻撃されるのは仕方がない。というか仕方がないというか、攻撃しないといけない。
彼は酷いことをした。初級者の居場所を奪うし、畑は荒らすし、他の人の土地を勝手に自分のものにしてるし、呆れるほど沢山悪さをしている。
ヴィンディン『海渡。よければ俺に一発、魔法で攻撃してくれ。力を漲らせたい。』
海渡『…そんなこと言わなくてもなあ!!』
海渡『攻撃ぐらいするわヴィンディンよ!!!』
海渡『アクア・アロー!』
ヴィンディン『魔法無効。』
ヴィンディンは、魔法無効を使って、俺が使った『アクア・アロー』を一瞬にして無効にさせた。
そもそも魔法無効とは、魔法無効を使った人より弱い人の魔法を無効にできる魔法だ。つまり、その時は俺よりヴィンディンの方が強かった。俺が弱かったのだ。
でも魔法無効にも弱点はある。魔法無効は、自分が"みえている"魔法しか無効にできない。だから、こそっと裏から攻撃したり、罠で攻撃したりすることは可能だった。
海渡『は…!』
女神『う、うぇええ!?ど、どういう…!?これじゃあ勝ち目なし…!?』
ヴィンディン『お前は俺より弱い!!!それは自覚しておいた方がいいなぁ。…女神、もしかしてサポートしてるくせに魔法無効という魔法を知らないのか…?サポートできてないじゃないか。な?』
女神『ッ…、いちいち人の仕事に口挟まないでくださいよ…!』
女神、神に生まれた人は、魔法を使える初級者や中級者をサポートするという役目がある。
でも女神は魔法を使えない人を選んだ。それは自分も魔法をほぼ使えないから。
海渡『…あのさあ、今は戦ってるんだけど。女神より俺に集中してくんない?うるせえ。』
ヴィンディン『…わかった。わかった、じゃあ俺はお前に命令をする。…犬みたいにな。』
海渡『…はあ?何ごちゃごちゃ言ってんだよ。』
ヴィンディン『説明はもうしない。女神からしてもらってくれ。…でも女神じゃわからないか!特殊すぎる魔法でなぁ。…わかっただろ、勉強しないとサポートできないよ。』
ヴィンディン『コントラクト・奴隷契約』
…コントラクト、この小説でも一回出たことあるだろう。契約魔法だ。魔法を使った人が誰かと契約し、その契約した人の行動などを制限したりすることが可能。つまり一つの洗脳と考えてもいいだろうか。
俺は、しょっぱなから洗脳されたのだ。奴隷にされた。
俺はその魔法を受けた瞬間、倒れた。
何も考えれなかった。俺の頭の中は、ヴィンディンでいっぱいだった。全て嘘の情報かのように情報がどんどん頭の中に流れてくる。頭の中が整理しきれない、しきれるかどうかすらわからない。ヴィンディン様は素晴らしくていいお方…?何言ってんの意味わかんない。そんな情報が沢山と頭の中に入ってくる。
…今の記憶が、ヴィンディンが俺の頭の中に入れた嘘のような情報に押しつぶされそうだった。
これじゃあもう戦えない、俺は全く強くなかったんだ。…これもヴィンディンがいれた情報かもしれない。でも、それは一つの真実であった。
奴隷なんていやだ。あいつの奴隷を何でしなきゃいけないんだよ。俺が悪いことしたか?なにか。いや、したかもしれない、でも、ヴィンディンより別に悪いことそんなにしてない、それだけは言えた。
ヴィンディン『…声も出なくなったか、海渡よ。』
女神『海渡に、触れるなあああ!』
ヴィンディン『なあに、なあにw、こいつ、ね、海渡はもう、俺の奴隷だからさ。』
女神『そんなん無理!!海渡は、海渡はね、』
女神『私のたった一人のパートナーなの…ッ!』
女神の目から、一滴の涙がこぼれ落ちた。
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【三話「魔王との激しい戦い(中編)」】
…俺が目を覚めた場所は、薄暗い知らない場所だった。目の前には、少し錆びたオリが見える。立ち上がると、オリの向こうにヴィンディンがいた。
ヴィンディンは笑っていた。
ヴィンディン『…お前は俺様の奴隷になったんだよ。…これで思い出さないか?』
…!そういえば、確かヴィンディンと戦っていて、それで、ヴィンディンの魔法で俺はヴィンディンに奴隷にされた…、そんなことがあったような…!
俺はヴィンディンに睨んだ。でも、俺はきっと酷い顔をしているだろう。奴隷にさせられた絶望感があり、目のふちが熱い。手は震えていた。
ヴィンディン『…どうやら、思い出したようだな、海渡。』
ヴィンディン『確かに俺様は海渡を奴隷にした。今何をやらせようか検討中だ。…覚悟して待っておけってこと。』
海渡『は…?なんで奴隷にされなきゃいけないんだよ…!悪いのはお前だろ…!?』
ヴィンディン『…あ"?…まあいいだろう。少しぐらい言わせてやるよ。後でどうなるかは知らないけれどなっ。それじゃあまたあとで。』
ヴィンディンは、俺から去っていった。どうやら俺は、出られない牢獄みたいなものに捕まっていた。牢獄の中には、小さなベットと、座るとギシギシという椅子に、物があまり置けない机、そして、トイレがある。
トイレの中から脱出っていうアニメや漫画を、地球でよく見たことがある。俺はトイレの便器を除いた。…吐き気がした。こんな中に入るなんて無理だ、というか普通に汚くて吐きそう。
じゃあ魔法で乗り越えるか。…でも、ヴィンディンのことだ。何か対策をとっているだろうし、俺が取得している魔法だけじゃ、脱出できないと考えた。
…一体どうすればいいんだ?俺はこのままヴィンディンに従わなければいけないのか?…いやだなそんなの。俺の人生、そんなんじゃ、半分ぐらい、魔王退治に参加されられ、異世界にもこされられ、巻き込まれたってことになっちゃうじゃん、俺の人生よう。
…何かできないか?何か脱出できる方法はないか?…必死に考えた。…瞬間移動が使えていたら、一瞬で脱出できていたのではないかと思う。でも、おれじゃあまだできっこない。
海渡『ああ…どうすればいいんだよ…』
思わず声に出してしまった、その時だった。
??『…もしかして、あなたも捕まっているんですか?』
海渡『…え…?』
シュン『あ、名前は"シュン"っていうんだ。ただの普通の初級者です…。』
海渡『初級者ねえ…。まあ俺もあまり強くないよ。よければだけれど、仲良くしよ、?』
シュン『ありがとう…!実は、ヴィンディンってやつの奴隷にされているんだ。さっきの君にヴィンディンが話している内容だと、君もまさか奴隷にされたの…?』
海渡『ああ、そうだ。ま、めっちゃ嫌なんだけどね…。』
悔しいので舌打ちをする。
シュンも、ヴィンディンの奴隷にされたみたいだ。…なんで奴隷にするんだろう、何をされるんだろう。怖かった。
シュン『この牢獄には、…他にも沢山いるんだろうけれど、このフロアには僕ときみしかいないみたい。と、いうか君の名前は?』
海渡『草野海渡っていう。よろしく。』
シュン『くさの かいと。くさの…?かいと…?なんか面白い名前だね!』
海渡『いや、俺が多分人間だからじゃないか…?』
大体名前を伝えるとこういうリアクションが返ってくるのはお見通しだった。毎回毎回言われるような気がする。
シュン『えっ、人間なんだ…!魔法は使えるの?』
海渡『まあある程度は使える。でも瞬間移動ができないんだよね…。だから不便だし、あったら一瞬でここから出れたと思うのに。』
シュン『…ううん、このオリは特殊でね、ある程度の魔法を無効にするんだ。だから、さっき瞬間移動しようとしたんだけど、できなかったよ。このオリのせいで…。』
海渡『え、瞬間移動できるんだ…。さすがだなぁ。』
シュン『そんなことないよ。あと、ファイアで攻撃しても無理。まあ基本中の基本って感じの魔法だから、…うん。海渡くんも何か試して見たら?できるかもよ?』
海渡『ええ…まあ、じゃあ、脱出できると信じて。』
俺は、魔法を使う。使った魔法は『ファイアボルト』ファイアだったら、ちょっと弱くて無理かもしれないけど、ファイアボルトなら…。
でも、結局、オリは無傷だった。無効になった。
シュン『ああ…。…まあそんな簡単にいかないのかもね。大丈夫、心配しないで。』
海渡『…いや、俺ら順序を間違えているのかも?』
シュン『…え?順序?』
俺は閃いた。確かに魔法は効かなかった。でも、シュンはこう言っていた、『ある程度の魔法を無効にするんだ』と…。ある程度、つまりオリに効く魔法があるというわけだ。でもその魔法を一個ずつ探すのもめんどくさいし、俺は全て使えるわけではない。
だがその前に、このオリについての情報を知れば、何かなるかも知れない。この時に使うのが、『分析』という魔法。
海渡『"分析"・指定、オリ』
シュン『…わお。』
目の前にオリについて分析し始めた。
まず、このオリは、主に特殊魔法が効かないらしい。さっきのファイアボルトは、特殊魔法の一種だ。…てことは、つまり、打撃系魔法や、物理の魔法を使うと、このオリを破壊できて、脱出できるってわけか…!?
海渡『…シュン、打撃系の魔法や、物理の魔法は使えない?』
シュン『え…、聞いたことないやそんなの…、海渡は?』
海渡『ちょうどあるんだ。』
海渡『エア・ハンマー』
俺は打撃系の魔法、エア・ハンマーを使った。オリにエア・ハンマーで攻撃すると、オリはバラバラに崩れていた。相当の威力だったことがわかる。
シュン『うわっ、すごい〜!おめでとう!…じゃなくて、ありがとう!』
海渡『大丈夫。あとは、脱出するだけ。』
シュン『なら大丈夫、瞬間移動できるから。』
シュン『瞬間移動・指定、自分、海渡。』
俺とシュンは、一緒に瞬間移動して、どこかの部屋に着いた。部屋は豪華なものが沢山並べられている。
ヴィンディンは、部屋の中にいた。
ヴィンディン『…やあようこそ。ここは、俺様の部屋。よくきたなぁ、まずはお茶でもいっぱい飲むか?』
海渡『飲むわけねえよヴィンディン。』
ヴィンディン『君らは奴隷にされているのを忘れているな。』
シュンは俺の後ろに下がった。ちょうど、俺の後ろに。
ヴィンディン『さあ、回れ右。』
俺の体は、ヴィンディンによって勝手に動いた。
ようやく止まった、と思ったら、僕は何故か、後ろにいたシュンに俺は銃口をむけていた。俺は、いつの間にか銃を持っていた。
ヴィンディン『二人とも今、俺様が操作している。だから、逃げることは不可能だ。』
何故だ…!何故だ…!
動いて欲しいのに、体がびくともしない…!!
ヴィンディン『牢屋を脱出できて少しうかれていたようだが、こういうこともあるから気をつけろ。なんせ、お前らは俺様の奴隷だろ?』
ヴィンディン『…ま、今俺様が操作しているから、反論できないか…。そんなこと言われても。』
ヴィンディン『海渡、お前がシュンを…。』
ヴィンディンが言いかけたその時だった。
…ヴィンディンの後ろに、誰かが、いる。
女神『全く、私のことも忘れないでくださいよね!!!居場所特定するのに疲れましたよほんと…。』
女神『さあてと、ヴィンディン。私はあなたを決して許すことはできません。私は、海渡様のために、精一杯を尽くします!…私を見捨てないでくださいよね、海渡様。』
女神『プリズム!』
プリズム、それは簡単な魔法だったが、範囲魔法で、光で周りにある凶器を無くすことができる。危ないものは、この魔法で消されてしまった。俺が持っていた銃も。
女神『私は、決して役立たずではございません!』
---
【四話「魔王との激しい戦い(後編)」】
女神『私は、決して役立たずではございません!』
女神がそう言い切った。
女神が出した魔法『プリズム』が、ヴィンディンにあたった。一瞬の油断があったせいか?
女神が魔法を使うのはごく稀のことだった。…普段は魔法は下手で、あまり使えない、だから、自分が使わない魔法を知ることは難しかった。だって、あまり必要ない、女神にとって魔法というのはほとんどの魔法が不要なものだったからだ。
でも、女神は俺のために魔法を必死に勉強してくれた。あんまり使わないのに、…俺のために…。
ヴィンディン『…おやおや、女神のご登場か。…君が魔法を使うなんて、珍しいけれど、簡単な技だったからあまり攻撃は受けていないよ。』
ヴィンディンは俺らの操作をやめたのか、俺は体が自由に動かせるようになった。
シュン『動く…!ってことは、ヴィンディンは僕らのことを動かすことをやめた…?』
海渡『一時中断ってところかな。』
女神はぎこちなく、一歩前に出て、ヴィンディンに近づいた。
女神『私は、あなたのことが許せません。みんなに迷惑をかけた、自分勝手な行動。…何がしたいんですか?異世界を乗っ取りたい?…ただの自分勝手なだけじゃないですか?』
ヴィンディン『…お前も自分勝手だろぉ…?』
女神『は…?』
ヴィンディンは、少し怒った口調で女神に行った。
ヴィンディン『…女神が人間につくことは、認められていないんだろぉ…?』
女神『ッ…』
ヴィンディン『所詮そんなことも守れていないお前が、よく俺のことを自分勝手と言ったな!!!なあ!?』
海渡『…女神がいたから、今の俺がいるんだ。』
ヴィンディン『…は…っ?』
海渡『女神がいなかったら、今の俺はいない。』
海渡『…人間は魔法が使えないから、そもそも女神や神が人間につく必要はない…、そう言われたことがある。』
海渡『でも、俺、魔法使えるよな?だったら別に関係ないじゃないか。』
海渡『俺も、異世界の生き物として生活できる。女神は俺につきたい、そう言った。』
海渡『認められていなくても、じゃあ俺が異世界で有名になってやるよ。』
海渡『そうしたら、関係ないだろ?人間でもさ。』
意味がわからない、自分でも言っている意味がわからない。
何を急に言い出そうとしたんだろうか。
でも、言わないと何も変わらず、言葉の波に押し潰されると思った。
だから、ヴィンディンに言った。
ヴィンディン『は…まあいいだろう、なんせ、シュンと海渡は俺様が既に奴隷にしてr…』
海渡『ああ、そのことなんだけど、キャンセレーション。』
ヴィンディン『…!?操作できない…!?』
海渡『この魔法が俺のただの思いつきさ。お前が使っている魔法を中断させたいって思ったから、思いついた。』
海渡『別に、適当に思いついたやつを使おうとしてみたら、稀に出るでしょそういうの。』
キャンセレーションとは、簡単に言うと『キャンセル』で、相手が使っている魔法を中断させることができる。ちなみに、この魔法は多くの体力を使うため、非常に扱いづらいし、極力使いたくもないだろう。(この情報は、戦いの後に知ったよ。)
海渡『さあ、始まりかなぁ。召喚・指定、ヘルバーン』
俺はヘルバーンを召喚した。
ヘルバーン『…なぜ我を…?』
ヴィンディン『ヘルバーン…!?あの異世界に一番嫌われているあのドラゴン…!?』
海渡『ヘルバーン、とりあえずあの魔王ヴィンディンってやつを燃やせ。』
ヘルバーンは、ヴィンディンに向かって炎をはいた。
ヴィンディン『あ、お、おい、燃やすのはよせ…!!』
海渡『メテオ・ストライク!』
海渡『…もう一度人生、やり直せたらいいね。』
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ヴィンディンがその後どうなったかは知らないが、一年後、死んでいたことがわかったそう。
そして、あの戦いから約3年後…
海渡『…女神。』
女神『はい!なんでしょうか…?』
海渡『俺、決めたんだ。』
女神『…なにをですか?』
海渡『…俺、元の世界に戻る。地球に戻る。』
女神『え…!ち、地球にですか…!?』
海渡『もう何年もいれば、いつかは暇になる。』
海渡『元の世界に帰らせてくれ___』
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【五話「テスト会場管理人者」】
海渡『…久しぶりのような久しぶりじゃないような。』
女神『海渡様はパーティーのあとから異世界に行ってないですよね。』
俺は優の自由研究の発表会があったその次の日に、異世界へ行った。
…異世界に行くのも、もう懲り懲りだが、今回は行かなければならなかった。魔王はあのあとまた強くなったのだろう。俺も同じスピードで強くなっていっているのだろうか。
死ぬかも知れない、もう地球に帰れないかも知れない、そう思うと怖い。
女神『…ん?あれなにやってるんでしょう…。あ、そういえばここってテスト会場じゃないですか?』
テスト会場?女神が見ている方を見ると、そこでは魔法を使って魔物みたいなものと戦っている異世界の人たちがいることがわかった。
海渡『テスト会場?テストって何。』
女神『ああ、海渡様は知りませんでしたね。例えば、普通の生き物が初級者になるためにテストを受けるところって感じですかね。今は…何やってるんでしょうね。…あ、これは初級者から中級者になるためのテストを初級者が受けているんじゃないですかね!』
海渡『え、なんでわかるの。』
女神『初級者、中級者、上級者にはそれぞれバッチがありまして、初級者が「緑」、中級者が「青」、上級者が「赤」をつけています!他にもいろいろとありますけどね…。』
いろいろ?
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女神『ここで!女神と一緒にお勉強!今日はバッチについて!というか、バッチ一覧!』
女神『いろんなバッチがあるからややこしいけど、興味あったら見てね!なかったら飛ばせー!』
【バッチ一覧】
初級者『緑色のバッチ』中級者『青色のバッチ』上級者のバッチ『赤色のバッチ』
異世界最高支配人者『金色のバッチ』
(現在最高支配人者は二人だけ!)
テスト会場管理人者『銅色のバッチ』
(この管理人者になるためには、最低でも中級者になっていないとなれない仕事だよ!)
魔法学園『空色のバッチ』
(主に初級者、初級者以下の人たちが通う学校!現在生徒による戦いがどんどん起こっているんだって!)
魔法学園先生『水色のバッチ』
若干空色と水色は違う!空色は明るくてパステルカラーみたいな感じだけれど、水色は青に近くて、空色より濃い色をしているよ!紛らわしいね!
(先生の資格を取得した直後にもらうんだって!)
ヒーラー(回復専門の仕事)『黄色のバッチ』
金色の方が輝いてるよ!
(案外取りやすいバッチ!仕事を退職してもそのまま使えるバッチ!ヒーラーには資格が必要で、このバッチはその資格を取得しているとも言い換えられる。)
女神『私も黄色のバッチ持ってます!(つけてないけれど…)』
他にも色々…
バッチオタクも増えているよ!
非公認のバッチも、公認のバッチよりも沢山あるとか…。
主なバッチはこんな感じ!以上!
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テストかあ…、バッチね…
バッチなんて俺何にも持ってないし、初級者でもなんでもないただの人間だから、実は周りから弱いって思われているのか…。
別に思われても気にしないけれど、なんか欲しいなって思っちゃうんだけどね。
バッチ…、いろいろあるね…。
確かになんか街中歩くとバッチつけてる人多いなあとか思ってたけどそういうことね。
女神『ま、海渡様はバッチなんてつけてなくても最強ですから!!』
海渡『いやいや、別に最強じゃない…って、え?』
女神『え、なんですか!?』
俺が目に捕らえたのは、
『浅野秋葉』だった。
女神『…秋葉さん!?』
秋葉『…ふぇ…?って、あ、ああ!』
海渡『…あれ、あのバッチ…確か、えっと…』
女神はさっきあの色のバッチをアレと言っていたから…。
秋葉さんは『銅色のバッチ』と『青色のバッチ』と『黄色のバッチ』つけているから、
"テスト会場管理人者"、中級者、ヒーラー、ってこと…?
女神『って、めちゃバッチつけてる…(引)』
秋葉『引かないで〜。だってかっこいいじゃーん。』
女神『秋葉さんは何を?』
秋葉『今、初級者が中級者のテストを受けているところで、私テスト会場管理人者なので、管理してます。仕事してます。』
テスト会場管理人者…!
秋葉『あ、海渡さんでしたよね。こんにちは…!』
海渡『こんにちは。』
秋葉『そういえば、バッチで思い出したけど、海渡さんバッチなんにもつけてないですよね…。』
海渡『いや別にいらない…。』
今日はバッチバッチうるさい気がする。
秋葉『あ、二人は何故こちらへ?』
女神『あー、ちょっと急用でね…。いろいろと準備はしなきゃならないけれど、忙しくてね…。』
女神が苦笑いで秋葉に話す。流石の俺もどうやって話せばいいかよくわからない。
秋葉『忙しいのにここら辺にいて大丈夫なんですか?』
女神『まあまあ、大丈夫です。』
秋葉『…そういえば、知ってますか?魔王が復活したって…。』
女神『え、あ、ああ〜。』
海渡『…』
何度も聞いても『魔王』という言葉が、俺の心を苦しめるような感じがした。
秋葉『私、その魔王を倒そうと思ってるんですよ。』
女神『…ん?え?ま、魔王を?』
え?
俺は秋葉さんが言った言葉の意味を理解できなかった。いや、理解しなきゃならないけれど、魔王を倒すという言葉を軽く言ったことが1番の驚きだったかもしれない。
秋葉『いやぁ、魔王を倒したらなんか平和賞みたいな感じで表彰されるらしくて、…なんか嬉しくないですか?』
秋葉『人のために何かやって救うって楽しくないですか?笑顔とか。』
秋葉『実は魔王って復活したんですよね。数年前に実はもう悪事を働いていて、数年前に倒した人も探しているらしいですよ!平和賞送るとか…。まあ偽物続出していて、やばいですけどね…。』
秋葉『数年前に魔王を倒した人は二人らしく、顔はもう既に出ていて、捜索中とか。』
俺も人間の姿と同じ姿で来ているし、(異世界の姿は一言で例えると不良だよ…)当時の女神と今の女神の顔は違う。(服装とかスタイルとかはかなり似ている…。)
…もしかして、このことを詳しく俺らに言っている理由は、
秋葉は、俺らが魔王を一回倒したことを知っている…?
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【六話「お前が負ける番」】
秋葉『数年前に魔王を倒した人は二人らしく、顔はもう既に出ていて、捜索中とか。』
海渡『…秋葉さん。』
秋葉『…はい?』
おかしい気がした。だから俺は、聞いてみることにした。
海渡『…何か隠してないですか。別にあなたがそのことについてそんなに詳しく知る必要がないと思うのですが。』
秋葉『…私は、前の魔王の戦いのことは全く知りません。その時は、異世界にいなかったし、異世界のことは知らなかった。』
秋葉『だから、調べてみたんですよ。そのことについて。』
秋葉『私、仕事に戻らないといけないので、それでは。』
女神『……。』
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女神は、一回自分の家に帰ると言って、帰ってしまった。
俺は異世界の都会エリアを歩いていると、俺と女神の昔の顔が写っている紙がそこらじゅうに貼られていた。
『見つけたら、お金持ちに!?』
『この顔を忘れるな!!』
…いろいろと言われてるなと思う。まあ顔は変わったし、やばいことしない限り、見つからないと思うけどね…。
正直平和賞なんてめんどいし、別に賞取るために魔王倒したわけじゃない。俺は、第二の故郷でもある異世界を守りたいから、守ったんだ。…昔はまあ守らないといけなかったって感じかなぁ…、魔王を倒すために俺は異世界に来たって感じだからね…。(女神に勝手に連れてかれたし…)
…でも、今思うと考えが昔と変わったなって思う。俺はやらされたんじゃなくて、守りたかったから動いたんだってさ。
変なこと言ってるよな俺…w、めちゃくちゃ正義のヒーローって感じのこと言っちゃってる。
俺は街を散歩していると、後ろから声をかけられた。振り向くと男性が俺に声をかけていた。
男性『ちょっとこっち来てください。』
男性に連れていかれる。連れていかれたところは、人が全くいない公園のトイレだった。もちろん男性トイレです…。
男性と俺、トイレの個室の中に一緒入った。その瞬間だった。
男性『…おい、お前が草野海渡か?』
急なタメ口に驚いた。男性は俺を睨む。
海渡『…それがどうしたんですか。』
そういえば、この男性は何か不思議だ。異世界の生き物は人間とほとんど同じ。(ただ目の色が生まれつき変な色の人とかはいる…)
でも、この男性の手の指の本数は、右手だけでも四本、小指が足りない。左手は親指が足りていない。なんなんだこの人…?
男性『……、高校生だとは、驚いたぞ。俺様はそんなこと知らなかった。』
…この人、俺が高校生ということまで知っていやがる。別に有名なことはしていないけれど、もしかして。いや、もしかしてだから。うん、でも、一人称は『俺様』だし、男性だし、口調も偉そうな感じ、…もしかしてだけど、『魔王』なのか?変身しているだけ?
俺はこの男性に聞いてみた。
海渡『…すみません、勘違いだったら失礼ですが、もしかして魔王ヴィンディンさんですか?』
男性『……、はは…、見抜くとか流石草野海渡。』
ヴィンディンは、男性の姿から、ヴィンディンの姿になった。あれからあまり変わっていない。
ヴィンディン『また俺を倒しに異世界へ来たのか?』
海渡『…ここは狭いから、公園で話さないか?人はいないし、広いところで。』
トイレから出て、公園の広いところへ行った。
海渡『…俺がお前を倒しにきたのはわかってるよな。まあ当然のことだし、こっちにも情報は既に入っている。…黒川のこともそうだろ。…あいつが元からそうだったのかは知らないが、ヴィンディンに何か情報とか色々送り込んでるのじゃないかって、思ってるのだが。』
ヴィンディン『…黒川…、KUROKAWAか。俺の部下だな。確かにお前のことについて、情報をくれた。…少しサボった感じの情報だったが…。』
ヴィンディン『そういえば、お前が平和賞を取れるとか言っていたが、取ってこないのか?』
海渡『別に賞取りたいから倒したわけじゃないし、知ってるだろお前も。』
ヴィンディンは苦笑いになる。俺は少し睨んでいるが、ここで戦わなそうだったから、警戒心は少し緩めていた。
ヴィンディン『…草野海渡らしい。…その姿じゃ違和感があるのだが、あの姿にはもうならないのか?』
なれるけど、この状況でなるのはちょっととは思う。見つかったら騒ぎだよ騒ぎ…。まあヴィンディンがいる時点でやばいけれど。
海渡『…そんなことはどうでもいい。』
ヴィンディン『…わかったわかった。では先に行っておこう。』
ヴィンディン『今回は俺が勝つ。勝利を掴むのは俺だ。』
ヴィンディン『今回は、草野海渡、お前が負ける番なんだ。』
は…?
ヴィンディン『…決戦の時を楽しみにしている。』
ヴィンディンは目の前で一瞬で消えた。(瞬間転移)
---
【七話「緊急事態」】
【次の日】
プルルルル…
ポチッ。
海渡『もしもし、何?女神。』
女神『き、緊急なんですけどおおおおおお!!』
海渡『はいはいうるさいうるさい、で、緊急って一体何?』
女神『魔王…ヴィンディンが動き出したんですよ…!!』
「はぁ…」とため息をする。まあ、昨日普通に公園で会話しちゃってたし、こういうことになるということも想定内だった、が…。
俺と女神は、魔王の城の前で合流した。魔王の城の周りには、柵があり、誰でも簡単に入れないように少し変わった仕組みをしている。まあ、その柵の周りに、
数えきれないほどの魔法族がいるわけだけどね…。
(魔法族、魔法が使える生き物のこと。)
魔王を倒したら『平和賞』を受け取ることができる。そんなことを考えた奴らが集まった結果がこれだろう。
女神『これはもう…めちゃくちゃですね…』
女神は呆れた顔をして、柵の周りにいる集団を見ている。まあ俺も呆れた顔をしているだろう。
でも、誰も柵を越えることはなかった。…つまり、誰も柵を越えられないということか?そんなに平和賞を取りたいのなら、普通は柵を越えて、魔王を倒しにいくだろう。しかし、誰も柵を越えない…、そんなに変な仕組みだったか?
女神『海渡様、どうしますか?まあこのまま放っておいてもいいですけど…。』
海渡『…俺、昨日ヴィンディンと会ったんだけど、さ。』
女神『え!?会ったんですか!?』
海渡『喋ったんだよ。…あいつが言ったんだよ、「勝利を掴むのは俺なんだ」って…。』
その時だった。誰かが、柵を越えた。柵を越えるような人影が見えた。
海渡『…!今、誰か柵を越えなかったか?』
女神『えっ?私全くみてなかった…。』
??『やあやあ、皆さん、柵を越えないんですか??』
秋葉『私、この浅野秋葉、人間が!!!柵を越えたんですよ?この柵、少し特殊ですけど、もしかして越えれないんですか〜?』
浅野秋葉…!?一体何をするつもりだ…?
秋葉『今回の平和賞を取るのはこの私だし、世界の平和を救うのもこの私。』
秋葉『せいぜい、そこで苦しんでたらどうですか〜。』
秋葉が暴れ始めた。秋葉が城の中へ入っていくと、柵の周りにいた奴らが、柵を越えようとし始めた。
女神『まさかのこうなりますか…。』
海渡『…めんどくさいことになったなぁ…。なんか作戦とか、そんなのあるか?女神だから考えてそうって思って聞いてみただけだが。』
女神『…大丈夫ですよ。私が作戦考えてないわけないじゃないですか。』
女神『実は、とある方々を呼んでるんですよ。戦力になりますよ〜?』
女神『ほら!既に、あのビルの屋上にいるでしょ?』
女神が見ているビルの屋上を見た。
---
|榊原《さかきばら》|暗野《あんの》『…』
|姫奈《ひめな》|篠《しの》『…へぇ。…』
|金咲《きんさき》|橤《はな》『沢山いるね〜、人が!』
|一ノ瀬《いちのせ》|夜神《やがみ》『魔王倒すとか本当ですか…!?』
女神『海渡様!仲良くしてあげてね!』
海渡『いや、俺これ仲良くできるかな…』
---
【八話「4人の力」】
女神『海渡様!仲良くしてあげてね!』
海渡『いや、俺これ仲良くできるかな…』
人と関わるのは得意ではない。俺は四人の顔を見た。…なんか怖いと思った。
俺と女神は、二人で四人がいるビルの屋上へと言った。
女神『四人とも!こんにちは、私が女神ね!こっちは、草野海渡。貴方たちと同じ人間。』
夜神『こ、こんにちは!よ、よろしくお願いします…!一ノ瀬夜神と言います…!』
真面目か?多分一番マシな気がする…。
橤『金咲橤っていうよ〜!名前ね、初めまして〜!』
言葉の順序が…!
暗野『……』
…え?
篠『………』
何も喋らない…!?
女神『ほらほら、篠ちゃん!暗野さん!名前ぐらい言ってよ〜。あ、海渡様、この二人あまり喋らないんでよろしく!』
あんまり喋らないなら、俺が話題振らないと喋らないやつじゃん!!
なんか変な四人と魔王を倒さないといけないとなると、なんだかあまりしっくりこない。
前は女神と俺…、シュンと一緒に倒したけど、シュンのときもあまりね…、関わることが苦手な俺が、もう絶対関わらないといけない場面にいる。別に俺と女神だけでも良かったじゃん…。
あ、でも、そうなると魔法を使うのは、ほぼ俺だけになっちゃうのか。…ううん、違う。秋葉がいる…。浅野秋葉…。
暗野『…榊原暗野。』
お、名前言ってくれた。
篠『姫奈篠。…』
こっちも。
女神『はいはい!まあこれでみなさんの名前は知れたことだし!う〜ん…今6人いるから…、魔王の城では二手に分かれる?』
橤『いいね〜、分かれよ、二手に〜』
夜神『俺も賛成です…!』
女神『じゃあ、私と暗野さんと篠ちゃん!』
女神『海渡様の方は、海渡様と橤ちゃんと夜神さんでいいですよね海渡様!』
女神は僅かに俺にウインクした。失礼だが、女神が考えていることは、あまり喋らない方と一緒に行くと恐らく気まずい状態になるだろう、だからよく喋る方連れて行ってもらおう。まあ篠さんと暗野さん強いし。
ごめんだが、ただの俺が勝手に思い込んだことだと思っててくれ。
女神は暗野さんと篠さんを連れて、魔王の城へ入っていった。勿論、正面からだといろいろめんどくさいから、女神と俺だけが知っている魔王の城の『裏口』を使って入って行った。
夜神『あそこから入るんですね!』
橤『入ろ〜!私たちも!』
俺らも、裏口から城の中に入って行った。
---
(女神site)
女神です!まあ早速城の中に入ったのですが…、静かな二人と一緒に行くのも訳がありまして…。
実は、この二人強いです!!まあ夜神さんも強かったのですけど…(橤ちゃんはまた別…)
海渡様は気まずい状況苦手ですからね!これもサポートです!となって、二人を連れてきました…って、魔物居たー!!!!初級魔物かな…!?気配的に…。
女神『ま、魔物居た!いました!3匹いる…!』
暗野『俺に任せろ。』
女神『え?』
バンバンバン!!
暗野さんが持っていた銃で、3匹の魔物は消滅した。
女神『つ、つよ〜い!!!』
そんなことを言っていると、また魔物が飛び出してきた。
女神『あ、暗野さ…』
篠『しのがやります。』
女神『ふぇ?』
ビリビリビリ!!
篠さんが持っていた電撃銃で、魔物は消滅した。
この二人、只者じゃない…!!!
---
【九話「秋葉と魔王」】
海渡『そういえば、この二人はしっかりと仕事できるの。』
夜神『できますよ!』
橤『う〜ん、できるよ〜すこし。』
少々心配になってきた。まあ入ってからすぐピンチになるわけないが…。魔王の城は、とんでもなく高く、最上階に行くのもめんどくさいだろう。
って、もう出てきた魔物…。
夜神『これが魔物ですか!』
魔物の強さ…って、え。
もう倒されてる…。
夜神『あ、俺もう倒しときました!魔物って勝手に消滅するんですね!』
橤『すごい夜神〜。行こう次へ〜』
夜神さんすげえ…。というか、魔物が攻撃する隙なさすぎて、夜神さんさくっと倒しちゃった?すごいな。
俺たちは2階へ行った。とは言っても、何階が最上階は一切わからないし、…あ。
海渡『そういえば、瞬間転移で行けないか?最上階。』
夜神『瞬間転移…?あ、魔法のことですか?』
海渡『そう魔法。』
橤『楽しそう、魔法が〜』
前は瞬間転移出来なかった。でも、今の俺の実力だったらいけるぞこれ…。
海渡『そうやって行った方が楽じゃないかなって。外は不思議な柵が並べてあるから、瞬間転移という魔法は跳ね返される。でも、今城の中にいるなら…』
橤『跳ね返されないってことですよね〜、魔法ね。』
海渡『だから、…瞬間転移・指定、海渡、橤、夜神』
俺たちは瞬間転移で、魔王の城の最上階へと行った。
---
瞬間転移をして最上階についたはついた、が、最上階全体に結界が張られていて、瞬間転移が跳ね返されてしまった。だから瞬間転移では入れない。
夜神『…これ結界ですか?じゃあどうやって入ろう…。』
橤『入ろう〜どうやって〜?』
海渡『う〜ん…、結界を破壊することもできるが、それだと外の奴らが騒ぎ出しちゃうな…』
結界の中を見ると、誰かがいた。
一人は、相変わらず格好が変わらないヴィンディン…魔王と、…あれは…秋葉か?
…どう見ても戦っているようにしか見えなかった。
夜神『どうします?』
海渡『まあ破壊するしかないよな…。』
海渡『ホーリーレイ。』
【バリーン!!】
聖属性のホーリーレイという魔法で、結界を破壊した。
秋葉『…!なんだ、やっぱりきたんだね草野海渡。』
ヴィンディン『主役が来た?…まあ、今回の主役は俺様だがな。』
ヴィンディン『草野海渡、さあ、もう一回闘おうじゃないか。
---
【十話「再戦」】
ヴィンディン『草野海渡、さあ、もう一回闘おうじゃないか。』
海渡『…なんだ、昨日も今日も元気ですね。』
ヴィンディン『…昨日?昨日どうかしたか?』
海渡『…え?』
あれ、昨日公園で会って、なんか話して…。ちょっとまてよ…。
海渡『ほらだって、公園で会ったじゃないか。いろいろと話したじゃないか。』
ヴィンディン『ごめんだが、昨日はお前と会っていない。久しぶりだなぁ、高校生なんだって?』
おかしい…おかしい…。一体どういうことだ?辻褄が合っていない。
じゃあ俺が公園で見かけたやつは一体…誰だ?
ヴィンディン『…秋葉。海渡、紹介するよ、こいつが浅野秋葉。お前と同じ人間だ。』
海渡『ああ知ってる。既に会ってる。』
ヴィンディン『そうかそうか。既に知っていたか…。でも、こいつは俺様とお前を邪魔しにきただけだぞ?』
海渡『…は、邪魔…?…まあそういえは平和賞取りたいって言ってたな…。』
秋葉『取りたいんじゃないの。取るの。』
まあ秋葉が邪魔する立場ってことは大体理解できる。そりゃ、平和賞取るためにはそうするしかないもんな。…でもそれが、その行動が、本当に平和賞を取る人の行動なのか…?そういうことを考えると、細かいな自分と思ってしまう。
秋葉は俺を睨む。ヴィンディンは『最近会ってなかったな我がライバル』的な顔で俺を見る。
夜神と橤は俺の後ろにいた。橤は何かしていた。俺からでは何をしているかはわからなかった。でも、靴紐を結ぶような姿勢をしている。
ヴィンディン『海渡。先に言うが、今回は俺が勝つ。』
海渡『なんかそれ、やっぱ2回聴いた気がする。』
ヴィンディン『…お前が言っている公園で話したというのは、知らない、なんじゃそりゃ。』
海渡『じゃあ、俺は幻覚を見ていたんだね。はい、最近寝不足でさあ。』
ヴィンディン『そんなことは知らねえよ!』
でも彼は公園に本当にいた。偽物だったら気配でバレていただろう。…じゃああれが、公園にいたヴィンディンがヴィンディンじゃなかったとしたら、誰だったのだろう。ヴィンディンぐらいの強い気配を持っていた。ヴィンディンと偽っていた奴は最高だな。この先いつでも人を騙せるよ。
ヴィンディン『おい海渡。いいことを言ってやろう。』
ヴィンディン『俺はエリクサーを飲んで、不老不死となった。今言ったことを理解できたか?』
海渡『うん理解できた。』
ヴィンディン『うっそーん。』
なんだか…ヴィンディンなのにテンションはヴィンディンらしくない…!?
エリクサーって確か霊薬だったな。まあヴィンディンが不老不死となっても、|世界樹《ユグドラシル》の葉をヴィンディンに飲ませれば、不老不死じゃなくなるというわけだ。
世界樹の葉は、まあ…なんて言ったらいいんだろ…。異世界では、愛される葉とされていて、エリクサーの材料に使われている。そんな世界樹の葉を飲むと、異世界では健康になれるという。どういうこと?とは人間側としてなる。でも、もうちょっと人間にわかるようなことを言うと、つまり人間らしくなる…?ってことじゃないかと俺は考えた。
だってさ、飲むと不老不死が無くなるんだよ?ちなみに治らない病気も治るんだよ?健康すぎる。
ちなみに、何故世界樹の葉を"飲む"というのかは全く知らない。飲まない、かじる。
まあ、ヴィンディンならもっと酷いことしそうだけどねー…
海渡『そういう手を使うと思って、既に対処法を用意してあるよ。』
ヴィンディン『流石俺様の永遠のライバル!俺様のこと一番にわかってるぜ。』
俺はヴィンディンより先に倒しときたい人がいた。
浅野秋葉だ。浅野秋葉は俺にとって、ただの邪魔者にしか思えない。ヴィンディンを倒したいのに、なんでこいつがいるんだよ…しか思えない。
仮にヴィンディンの不老不死を無くしたとして、浅野秋葉がいることによって、浅野秋葉が勝つかもしれないというわけだ。だからヴィンディンよりは先に浅野秋葉と倒しとかないと、後々厄介になるというわけだ。
平和賞なんて、俺と女神にとってはただのくだらんような賞だよ。
橤『見てください〜!海渡さん〜』
海渡『…どうしたの。』
橤『できました〜、罠が〜』
橤『その名も追跡罠〜』
海渡『…罠?』
ああ、そういえば女神から話を聞いたところ、この人罠が設置できるらしい。(少々闘いは苦手らしいけど…)
罠か…。
もう9月となるだろう、異世界では、落ち葉が沢山落ちていた。
---
【十一話「一瞬で覚醒した男の子」】
海渡『罠か…罠…』
女神『海渡様!随分とお早いですね!』
女神たちがようやくここにきた。
海渡『ああ女神。それよりもこれだよこれ。…』
女神『まあこういうことになるのは大体予想ついてましたけどね。』
女神『あ、私たちは、暗野さんと篠ちゃんのおかげでここまでこれました!というか二人強い!お見事です!』
ヴィンディン『やあ女神。いつ頃ぶりか?』
ヴィンディンは、女神がいることに気づいた。
秋葉『…やっぱり、海渡さんと女神さん、ヴィンディンさんのこと知ってたんだ。なんか、あの平和賞が取れるやつの顔見てピンときた。』
まあ二人組で女神の誰かと、不良みたいなやつってことは大体わかるが…(
ヴィンディンは、女神に向かって話し始めた。
ヴィンディン『今回は、俺様が勝利する。…いいか、俺は不老不死となった。そのおかげで強くなった。だから、今回は勝つ。俺様が勝利するのだ。』
女神『へぇー、でも不老不死なんて、どっかの薬ですぐに無くなっちゃいますよ。』
ヴィンディン『なっ…!!薬を飲まなければいい話だろっ…!!』
女神『ちがいます。飲ませるんですよ、海渡様が。』
海渡『いや何で僕が飲ませることに…』
まあ元々世界樹の葉を飲ませようとはしているんだけどね、そんなこと女神がヴィンディンに言っちゃうと、ヴィンディン気にしちゃうじゃん。
そして急に秋葉が俺に対して何か言った。
秋葉『………、私さ、海渡にもヴィンディンにも負けないわ。というか、勝つ。』
秋葉『私、負けたくないし、負けることないし。』
秋葉もヴィンディンも本気だなぁ…。まあいずれ俺も戦ってると本気になっちゃうんだと思うんだけどね…。
最上階は、窓が開いているため、落ち葉が入ってくる。…でも不自然だなぁ、最上階は高い場所にあるのに、落ち葉が入ってくるなんて…。まあそんなことは気にしてもいなかったが。
そして急に強風が俺たちを襲った。
秋葉『風強…!』
ヴィンディン『なんだこの強風は…。』
強風がおさまると、みんなの前に現れた。どうやら男性のようだ。
女神『…あの人って…私のお姉ちゃんが担当している人…!?』
海渡『女神!担当って、パートナーってことか…?』
女神『そうそれ!私たちで言ったら、海渡様の立場のことです!』
秋葉『…!あの人って…!』
やけに秋葉さんが驚いた様子で男性を見ている。反応的に知り合いなのか、よくわからなかった。
??『みなさんみなさん、僕も混ぜてくださいよ。』
??『下の奴らがくる前に決着つけましょう。』
秋葉『光輝くん…!?』
光輝『バレちゃいましたか。…まあ秋葉さんがいるから当然のこと…。』
どうやら、浅野秋葉と光輝さんという人、二人は知り合いだったらしい。秋葉は驚いた顔から表情が変わらない。驚きすぎている。
そういえば、この光輝って人、あのショッピングモールで会ったあの男の子と似ていることに俺は気づいた。あの人も異世界に来れる人だったんだ。…でも、だったら、魔法がどうのこうの…を俺に言わないよな…。俺は気になったことがあったので女神に聞いてみた。
海渡『女神、あのさ。』
女神『はい!なんでしょうか海渡様。』
海渡『光輝さんと女神の姉さんは、いつからパートナーに…?』
女神『え、めちゃくちゃつい最近のことですよ!!』
つい最近…?ということは、ショッピングモールの事件後ということか…?いやでもショッピングモールも案外つい最近に入るのか…?
光輝『僕が、魔王様とその男性の方、女神さんも、…そして秋葉さん、全員始末してやりますよ。』
夜神『おっと、俺たちのことを忘れないでくださいね!この4人が、どうにかしてあげましょう。』
光輝『さあて、僕を止めることができるのかな君たちは。』
---
【十二話「約束」】
光輝『さあて、僕を止めることができるのかな君たちは。』
女神『…秋葉さん、秋葉さんはちょっとこちらへ。』
女神は、秋葉さんを連れていった。何をするかはわからないが、秋葉さんの顔は青白い。
女神『暗野さん!篠ちゃん!夜神さん!先にあいつよろしく!』
暗野さんと篠ちゃん、夜神さんは光輝さんと戦いに行き、俺は突っ立ってるだけの人間、ヴィンディンは苦笑いになりながらも戦いを呆然に見ていて、橤さんは俺に話しかけてきた。
橤『あの〜、海渡さ〜ん。』
海渡『橤さん、なんですか。』
橤『罠〜、さっきの〜なんですけど〜。』
海渡『罠…?ああ、罠がどうのこうのって…。』
橤『あれどれか何百枚ほどの中の10枚の落ち葉が罠なんですよね〜。罠にかかるのは、秋葉さんとヴィンディン魔王と、光輝さんにしましたけど〜、どうですかね〜。』
落ち葉を罠に…か。まあかかりそうだけれど、たった10枚の落ち葉だ。かかるかは全くわからない。
俺は3人が光輝と戦っている様子を見た。…やっぱり、光輝はナイフを使っている。…包丁かあれ?まあどっちでもいいが、あいつショッピングモールの男の子だろう。…でもなんであいつがここにいるんだろうか?
ヴィンディン『…海渡。』
ヴィンディン『…俺様は暇だから、お前も暇だろう?少し話そうじゃないか。一緒になぁ。』
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海渡『で、なんのようだよヴィンディン。』
ヴィンディン『お前に話があってきた。…なんて、俺様が言うと思ったか?』
海渡『…まさか。一回ぐらい卑怯な手は使うと思って、ここにいるから。』
まあ卑怯な手って、俺にも何かは想像はつかない。でも何かはするだろうとは思っていた。
ヴィンディン『…まあ話ぐらいはするがな。…いいかよく聞けよ。』
ヴィンディン『俺様がお前に負けたら、約束しよう。誓おう。』
ヴィンディン『負けたら、俺様と海渡のライバル関係にピリオドを打つ。』
…別にライバルとはあまり思ってはいなかったが、ヴィンディンは相当ライバル関係とか思ってたらしいな…。
でもヴィンディンだけ約束するのもヴィンディンにとって不公平。相手が不公平のままでいい立場なのだが、あとからそのことを話しかけられてきて厄介となる。面倒。だから、平等にしないといけないんだ。説明下手だな俺。
海渡『俺もお前と約束するよ。俺が負けたら、俺と仲間にならないか?』
ヴィンディン『いやお前勝っても負けてもいいことばっかじゃねえか!!w』
海渡『じゃあ変える。俺が負けたら…、お前をビリオネアにしてやろう。』
ビリオネア「お金持ち」という意味。
ヴィンディン『本当か?俺様が本当に最強になってしまうなぁ。』
海渡『じゃあ俺はこれで失礼する。じゃあね。』
---
ヴィンディン『海渡は、まだ海渡自身が最強ってこと、気づいていないのか…。』
---
【十三話「寝るわけない」】
ヴィンディンと話していたら、少し迷ってしまった。一回来たことがあるのに、おれ方向音痴なのか?と思う。迷っていると、少し怪しげな部屋を見つけた。中は当然暗く、でも、奥に何かある。
気になったので少し入ってみた。その部屋は見たことがある部屋だった。
前の魔王と戦った時に見たか?でもこんな部屋みたことないような…。でも、見たことがあるような…。…おかしかった、雰囲気がおかしかった。
ガサッ…
物音がした。
物音がした方を見ると、人がいた。
海渡『…名を言え。』
???『君は…見たことがあるような気がするね。』
海渡『はっ…?』
???『僕は君と確か共闘したよw、あれ、覚えてない?ここにいるのに覚えてないのもおかしい気がするなぁ…。』
共闘した…?俺と?…共闘するって女神かあの4人ぐらいしか思いつかなかった。
???『…ああ、そうか。僕がここにいるせいか。』
???『僕が僕のことを知っている人の近くにいると、その人は僕のことを忘れてしまうのだよ。永久に。』
永久に…?
海渡『…名を言ってみろ。』
???『…シュン。』
シュン『シュンだよ。』
シュン…!?
なんでここにいるんだよ…!?
シュンは、魔王を倒す時に一緒に共闘した人だ。
海渡『…シュン。なんでいるんだよ…!また捕まったのか?』
シュン『え…、覚えてるの…?』
海渡『覚えてるに決まってんだろ…!!!』
改めて再会して、少し嬉しくなった。
でも何故ここにいるかは未だに謎だった。だけど今は嬉しさのあまりそんなこと忘れていた。
シュン『…おっかしいな…僕の能力が狂って効かなくなっちゃった?…それとも、君が強すぎて効かなかったかもしれないね。』
海渡『…強すぎる?…強くないよ。』
シュン『…強いか弱いかは、自分じゃ気づけないことなのかな。僕は捕まったんじゃない。侵入したんだ。』
海渡『侵入…?』
シュン『…君がいると思ったけど、まさかここで出会うとは、奇跡だね。他の子を巻き込めないから。』
シュンは左手からピンク色の光を出して、俺に見せた。
シュン『ごめんね海渡。』
シュン『催眠。…ここで寝ててね。』
海渡『あ"っ…』
全身に痛みが走り、俺は倒れた。
バタっ…(海渡が倒れる音)
シュン『さて、僕は…。』
シュン『女神ちゃんに緊急連絡をしないとね…。』
シュンは、この部屋から出て行ってしまった。
海渡『よいしょっと…。』
俺は即起き上がった。
海渡『痛かったなぁ…。まさか、こんな魔法で俺が寝るとは思えないけどね。』
海渡『それにしても、シュンでも魔法は上手に使えていたし、しっかりと放てていた。…それよりも、女神に緊急連絡って、一体なんなんだ…?』
---
シュン『…海渡があんな弱い魔法で寝るわけないよね。寝てたら僕の方が"強い"けどね。』
シュン『海渡の今の実力を見るのが楽しみだな。』
---
【十四話「本当の悪魔」】
シュンsite
やあ僕はシュン。知っている通り、昔は一回魔王のところで捕まったことがある初級者だった。
でも、今は…違うんだよね。僕は初級者じゃないし、もう既に初級者なんてやめた。
僕は、"上級者"だ。
海渡が強くなったとしても、僕は海渡よりさらに強くなったことを証明できるであろう。
僕は、もうシュンじゃないんだ。
あ、ようやく魔王の城の最上階に着いたようだ。…なんだかすごく戦場って感じだな。昔はこんなのだったっけなあと思う。
女神『え、なに!?誰!?また!?せっかく秋葉とお話しして帰ってきたばっかなのに、また新入り登場〜!?』
女神は相当驚いているようだ。そして他の奴らはって…、捕まっている?
4人の…人間か?そいつらは既に捕まっている。…魔王ヴィンディンが強すぎた?…魔王の情報を読み取るか…。
…なっ、不老不死だと…?
まあ冷静になろう。…あいつを倒すんじゃなくて、何かに変化させればいい。
倒すのではない。例えば最強の薬に変化させて…。ww、面白くなってきたぞ。
ヴィンディン『…また変な奴が来た。』
ヴィンディンも相当疲れている。まあ4vs1だったっぽいな。
ヴィンディン『おい光輝。こいつも倒して、とっとと二人の世界を作ろう。おっと、女神も浅野秋葉もな。』
秋葉『一体何が目的なの…!?』
女神『で、あなたは誰!?』
女神は僕に指を差した。とは言っても、正体を現そうとは一切考えていない。
やればいいことをやるだけで十分なのだ。
夜になってきた、そろそろ時間だな。
ヴィンディン『やるぞ光輝。』
シュン『Show Timeだ。』
光輝『なんだこいつ。英語でカッコつけやがってなぁ。』
シュン『あなたたちは僕から見て邪魔者にしか思えないんだよ。ごめんだけど、』
シュン『僕が強すぎて、足掻くことがないようにね。』
---
【世紀の大発見!?ただの男が実は最強!?】
【一瞬で上級者へ昇格!謎の男は一体?】
【わたしたちの希望!こいつが今の最強!】
僕はこうやってメディアに取り上げられてきて、魔王を倒すことも期待されていた。
でも今は海渡を倒すことが僕の必要なことだった。
あの人は強い。海渡が強い。普通の人間だったくせに、なぜあんなに強くなったかが不思議だ。
だから、まずはこの自分が強いと思っている|雑魚ども《男二人》を徹底的に潰さなければ…。
もう歩けないぐらいにね。
---
女神『はっ…、え、…ね、え…?』
シュン『不老不死のことは知ってるけど、所詮は雑魚みたいだね。魔王ヴィンディン。』
シュン『この男の方は意外に強そうだとは最初、偏見で思ってしまったが、まあ大したことはない、ただの雑魚だったなぁ。』
シュン『どいつもこいつも、僕には届かない。』
シュン『海渡。海渡は僕を超えられるかな?』
ヴィンディンと光輝ってやつを、体を粉々にすることに成功した。
シュン『あとは、海渡と戦うだけ…』
秋葉『何やってんだよ!!!』
シュン『おっと。』
女の人が、木の枝で僕を攻撃しようとした。変だなぁ、木の枝で叶うはずが…
秋葉『木の枝についてる落ち葉!!発動!』
…ん。
落ち葉が、罠となって僕を罠で引っ掛けようとした。
まあ、避けたから平気だったけど。それにしても驚いたなぁ。こんなに人間が異世界にいるなんて。
シュン『レディーたち、僕と闘わない方がいいんじゃないかな。』
秋葉『あなたが本当の悪魔みたいなやつ!』
秋葉『こんなの私は望んでない!!!』
…こいつらも雑魚どもみたいな姿になりたいのかな。よしわかった。
シュン『…あのさぁ、君は確か平和賞を取りたかった人だったよねえ。じゃあ、あなたが倒したってことにすればいいじゃないですか。そうすればあなたの願いは叶えられますよね?僕は別に平和賞取りたいわけじゃないんです。邪魔しないでほしいな。』
秋葉『私…、自分の力で倒したかったのよ…!』
秋葉『私の獲物に何してくれるのよ!!』
シュン『…邪魔しないでって、言ったよね!』
シュン『ブリザーd…』
海渡『ホーリーレイ。』
…出たな、僕の海渡。
海渡『…シュンの獲物は俺だろ?』
シュン『…勿論さ、海渡。』
---
【十五話『最愛の親友』】
海渡『…シュンの獲物は俺だろ?』
シュン『…勿論さ、海渡。』
ヴィンディンと、光輝の体は既にバラバラとなっている。ヴィンディンは不老不死だから生きていられるが、光輝は俺が戦っている間に死んでしまうかもしれない。まあ蘇生すればいいんだけど…
…でも、まさかシュンがいるなんて思いもしなかった。しかも、さっきの魔法で、強くなっているとわかった。どれだけ強くなっているかはわからないが、初級者ではないだろう。最初、俺が会った時は初級者だったが、その時はまだシュンは魔法が下手だったからな。
俺らは沈黙の中、顔を見つめ合っている。そのシュンが、まるで沈黙を無くすかのような喋り方をした。
シュン『…は、はは、ねえ。なんだろう、気まずいような、なあ。』
俺はシュンを指差した。
海渡『…俺を、どうするつもりだ?』
シュン『ああ、その場で倒して、連れて帰るんだよ。君が何故、人間なのにそんなに強いのか。証明したいんだ。』
海渡『世間にあまり知られていないこの俺が?』
シュン『もう知られているじゃないか。海渡、前の魔王戦の顔などが全部晒されているようだよ?』
海渡『ああ、知ってる。平和賞がどうのこうのだろ。別にそんなの欲しがってるわけではないから。』
シュン『相変わらずクールだね、海渡は。』
クールという言葉は俺には合わないような気がする。何処がクールなのか自分でもさっぱりわからない。それでも人は、俺のことを「クールだね」という。お節介なのか、なんなのか、よくわからなかった。
シュンが喋り出した。
シュン『海渡、僕は前のシュンではないんだ。ほら、何もかもが違っているでしょ?強さも、喋り方も、考えも、他も。僕は君が考えているシュンではないんだ。』
海渡『別に何もかもが違うわけじゃないだろ。』
シュン『…それはどうして?』
海渡『どうしてって、俺らは友達だろ?』
シュン『友達…。』
シュンが後ろを向く。俺はシュンの顔が見えなくなった。シュンが無言になる。
【バン!!!】
シュンの左手には、銃がある。銃を持っている。何故か壁に撃ったようだ。
シュン『…あのさあ、"友達"って、君勘違いしてるよね、海渡。』
海渡『勘違い…。』
シュン『僕らは友達ではない。』
シュン『"最愛の親友"だ。』
---
【十六話「敗北の意味」】
シュン『僕らは友達ではない。』
シュン『最愛の親友だ。』
海渡『…はっ、はは。何言ってるかさっぱりだ。』
正直言って、シュンと仲良くしたのは前の魔王戦の時だけ。今になって最愛の親友と言われると気味が悪い。気持ち悪いような、ないような。微妙な気持ちとなる。
シュンとはそれほど仲が良いわけではないし、おそらくシュンの思い込みなだけだ。最愛の親友って、俺しか友達いないのか?と思う。
シュン『おおっと、さっぱりって?僕達、海渡の友達の中で"一番"仲がいいだろう?』
前と会ってから口調がだいぶ変わっているし、それよりは実力も高くなっている。明らかに前よりは強いはずだ。
シュン『ねえねえ海渡。僕は海渡より強くなったと思うんだ。君は最強かとは思うが、僕は最強の上となった。』
最強の上…?
海渡『僕が最強としている前提でまずおかしいと思うのだが、どう思う?シュン。』
シュン『え?もしかして海渡。自分自身で最強ってことに気づいていないの?あははっ、流石は海渡。まあ知らないこともいいことだよ。』
海渡『は…?』
何を言っているのかもうわけがわからない。いや、わかるはずがない。俺は思う。全てがシュンの思い込みだと___
シュン『じゃあ始めようか。最強vsその最強の上を行った僕。楽しみ、楽しもうよねえ。』
海渡『…サンダーストーム。』
シュン『じゃあ、同じくストーム対抗。ファイアストーム。』
同じストームの魔法が激しくぶつかり合い、最終的にどちらのストームも消えて無くなる。これでわかった。強いと。
シュン『召喚・goblin』
ゴブリン!?急に魔物を呼ぶとは厄介なものだなぁw
それにしては、随分と雑魚キャラみたいなものを出してきたものだ。でも油断は禁物だし、面倒になったということだけは覚えておこう。
海渡『エア・カッター』
俺はエア・カッターでゴブリンを倒した。
シュン『召喚・ogre』
オーガって、確か鬼のことじゃなかったか…?最近見てなくてすっかり忘れた。
海渡『おっと、随分魔物を召喚するねシュン。ライトニングボルト。』
俺はライトニングボルトでオーガを倒した。
シュン『それは褒め言葉かい?海渡よ。僕は召喚するのが大好きでね。』
海渡『成程。好きなんだね。』
シュン『海渡も何か召喚するかい?召喚・golem』
うっわ、ゴーレム。魔法耐性がある魔物で、俺も前は避けてたなぁ…今では魔法耐性なんてぶっ飛ばしてたけど。
『何か紹介するかい?』……
海渡『こちらも召喚させてもらうよシュン。』
シュン『え、ほんと?やったー!』
海渡『召喚・ヘルバーン』
シュン『…ヘルバーン…?』
俺の相棒、ヘルバーンだ。
ヘルバーン『我を呼ぶとは。久しぶりだな、海渡。』
海渡『やあ、ヘルバーン。久しぶりだね。さっそくだけど、あのゴーレム焼いてくれない?』
ヘルバーン『ああ。はっ!』
ヘルバーンはゴーレムを焼き尽くした。
シュン『いいねいいね〜』
シュン『召喚・vampire』
ヴァンパイアか…。
---
【十七話「俺は人間」】
ヴァンパイアがシュンの魔法によって召喚された。シュンは召喚が好きらしいからな。
海渡『ヘルバーン。ヴァンパイアを踏み潰しておいて。』
海渡『こっちはこっちで、…時間がない。』
俺には時間がなかった。ヴィンディンと光輝のことだ。
ヴィンディンは不老不死と言っていたし、今のところ不老不死を解除される薬も飲まされてないっぽいから、まだ生きれるとは思う。でも…
光輝がいつまで生きれるかどうか。
今のところ息をしているかは確認ができない。だからもうこの時点で既に死んでいる可能性がある。そうなった時、俺は浅野秋葉にどのように伝えればいいのかわからない。あの人、光輝のこと何か知ってそうだったし。
ヘルバーンがヴァンパイアを倒すとシュンがこういった。
シュン『…海渡も人間って感じしたねー』
人間って感じ…?どういうことかわからない。
海渡『人間って感じとは。』
シュン『ん?ああ、だって、人間なんでしょ?海渡は。…時間がないって、何しようとしてるかはわかんないけどさ、人間って感じした。意味わかんないでしょ。』
海渡『ああ、意味わかんない。』
シュン『いや正直すぎでしょ。』
海渡『…カモフラージュ。』
シュン『っ…!?』
俺は光学迷彩のカモフラージュを使う。今多分シュンは目に光が当たって眩しいだろう。
海渡『はぁ、まあ俺は人間だからさ。人間らしいことできるんだよ。』
海渡『メテオ・ストライク』
シュン『…!眩しいけど…さあ、ねえ。アース・ウォール!』
防御魔法…!
魔法同時が激しくぶつかり合った。
防御魔法と範囲攻撃魔法…。範囲攻撃魔法を防御魔法で守る。ある意味無茶だ。範囲的に攻撃するのに、防御魔法…。防御魔法は単体で来る魔法の時に使うと思ったけどな…。
シュン『…ポイズン!』
海渡『…そこにいると危ないよ?』
シュン『はっ…?』
思い出した。追跡罠だ。
追跡罠とは、相手を追跡して追いかけ、相手が罠にハマった瞬間、
シュン『…!?落ち葉が…!?』
落ち葉が相手を覆い尽くす。
確か橤さんが罠が出来たとか言って俺に言ってたな…。それを思い出したのが得だったかもしれない。
シュン『簡単には出られなさそうな罠…。一体誰が…!?』
海渡『…それはね、シュンがさっき倒した4人の中の一人が仕掛けたんだ。ほらいたでしょ?4人ぐらいの集団。』
シュン『…なんかいたような気がするよ海渡。』
海渡『ああ、君はその罠にハマったんだよ。』
シュンの顔はムカついているような、睨んでいるような顔をしていた。
シュン『…まだだ。』
…?シュンなんか言ったか?
シュン『…僕はまだ、終わっていないんだよ!!!』
!?
なんだ、これは…!?シュンは一瞬で落ち葉の罠から抜け出した。
シュン『ハリケーン!!…罠に引っかかっただけで僕が終わると思うなよ海渡。』
…やる気じゃん。…少々ムカついているなあとは思うがいいだろう。
海渡『…プリズム・アロー』
---
【十八話「もう一度」】
海渡『…プリズム・アロー』
俺は魔法を使う。アロー系の魔法はたくさんあるが、この魔法はアロー系の中で一番取得するのを苦戦した魔法。
シュン『っ…!!こんなの避けて…!』
海渡『おっと。光学迷彩、カモフラージュ』
シュン『っあ…!』
海渡『なあシュン。アローのせいとかで眩しいと思うが、一つ言わせてくれ。』
海渡『俺らは最愛の親友ではない。』
シュン『何言って…親友だろ…?』
海渡『俺らは…』
海渡『最高のライバルだろ?』
シュン『!!』
なんだっていい。
ライバルとか、友達とか、親友とか。
でも、俺は今の戦いを通じてわかったことがある。
シュンと俺は最高のライバルだってこと。
親友じゃない。それを超えたライバルってことを…!
シュン『…ライバル…?ライバルでいいの…?こんなのが…?』
海渡『…確かにお前は悪いことをしたと思う。部外者をこんな酷い目にさせてよ。』
海渡『でもなぁ、シュンは、シュンは…シュンはな、』
海渡『強くなって戻ってきた。俺と、並ぶために…!』
俺が決して強いわけではない。でも、シュンは努力してきたと思う。今まで。
だって、成長が誰からみても、見えるようになっていた。俺はその成長に感動した。心から感動した。なんだろう、戦っているのに、ただの兄弟喧嘩みたいな感じになってて。
素敵だなって思った。こんな戦いができたのは、シュンがいたからこそ…だと思う。
シュン『ああそうだよ…!海渡と、共に戦って、いい親友になれる。偽じゃない。本当の。』
シュン『僕は、海渡のために日々努力してきた!!』
シュン『あの時何もできなかった!悔しかった!力にもなれない、ただ足を引っ張って、もはやいなくてもよかったよあの場に!!』
シュン『でも!変わらないといけないって…変わらないと始まんないって…』
シュン『海渡!!…謝らないといけないことはたくさんあるけれど、まずは…』
シュン『ありがとう』
…!!!
海渡『…キャンセレーション・指定「プリズム・アロー」「カモフラージュ」』
シュン『!…魔法が…』
こんなに感動したことは、初めてだったなぁ。
戦いで感動するとか、今までなかったし。
女神『海渡様あああああああああああ!!!』
海渡『うおっ、女神。』
秋葉『海渡さん…』
海渡『あ、ちょっとまって。その前に回復させないと。』
女神『え?誰をですか?』
海渡『女神、完全に忘れてるでしょ。光輝とヴィンディンだよ。』
光輝はもう死んでんのかよくわからなかった。
ヴィンディンは意識はないが不老不死のため生きている。
夜神『海渡さん!!こっちも助けてくださいね!!』
篠『…よかった。』
暗野『…血などの処理は俺に任せろ』
橤『効いたみたいでよかった〜!罠が〜!』
海渡『お、じゃあ暗野さん処理よろしく。』
四人も無事だ。よかった。俺は4人を解放した。
海渡『じゃあ、どうするか…光輝って死んでる?女神。』
女神『…人間なので心臓の音がありますよね。…どこを触っても…感じないです。』
海渡『やはり死んでいる…?』
秋葉『そ、そんな。死んだ人の蘇生ってだれが一体できるのでしょうか…』
…沈黙が続く。
蘇生が可能な人?俺ができるかわかんないが…、でも俺はヴィンディン回復しないといけないし、流石にそちらまでは手が回らない。
ってなると…
海渡『女神じゃない?』
女神『ふぇ、?や、やめてくださいよ〜、魔法これっぽちもできないですよ〜?』
海渡『いやぁ、回復得意でしょ、よろしくね。』
女神『ええぇ!蘇生したことないですよ〜(困)』
女神『まあ…一か八かでやってみますよ。』
まあ女神なら回復系は得意だし(若干)、できそうっちゃできそうだけどねとは思う。
シュンは寝ている。
さっき驚いたせいで寝ただろう。よくわからんが。
女神『…魔法よ。我に力を授けよ。範囲回復魔法・エリアヒール!』
え、エリアヒール!?
その場にいる人全員が回復した。
夜神『助かります!』
秋葉『すごいですね女神さん…!』
女神『まあ海渡様の手が省けるように…、って、光輝は?』
シーン…
海渡『生き返ってない…か…?いや、効果に時間かかるかも…?やっぱ範囲じゃなくてよかったよ?』
女神『ですよね…って、魔王!!』
ヴィンディン『痛っ…痛み強すぎるのではないか…』
みんな『ヴィンディン!!/魔王!!』
なんだよヴィンディンは生き返ったのか…
ヴィンディン『あれ、なんで…寝てたか?』
海渡『気絶してた。そういえばヴィンディン、話したいことがあったんだ。』
ヴィンディン『ん?なんだ?』
海渡『お前らのせいとか、シュンのせいとかで魔王戦台無しになったけどさ。』
ヴィンディン『ん?ああ、そうかもしれないなぁ。こんなザマだからな。で、それが何かあったか?海渡。』
海渡『またいつかさ、戦おうよ。』
海渡『今日のリベンジ戦をな』
ヴィンディン『…面白いこと言うじゃねえかよ海渡。』
ヴィンディン『もちろんやろうじゃないか海渡よ。』
よかったぁ…
ヴィンディンの今の実力がまだわかってないから、戦いたいとは思ってたんだよね…
海渡『容赦しないからなぁ?』
ヴィンディン『もちろんだ。』
海渡『とにかく今は休んで。な?』
ヴィンディン『わかってるよ。』
海渡『そして、部外者に迷惑かけるなよ?わかったか??』
ヴィンディン『…はーい。』
さあてと、光輝をどうしようかなぁ…。
蘇生魔法ねえ…できるかな。
海渡『ちょっと蘇生魔法やってみる。』
女神『よろしくお願いしますっ!海渡様!!』
海渡『蘇生魔法・リザレクション』
光輝『…ん、ん…?あれ…?』
秋葉『光輝くん…!!!』
光輝『って、秋葉さん…!?なんでここに…。』
再会だな。これが。
---
【魔王破れる!!倒したのは一体?】
女神『海渡様、今回魔王倒してないですからねー』
海渡『シュンかな。シュンが倒したし。でもまだ誰か判明してないみたいだね。』
女神『まあこのままバレなければいいんですよ。』
そうだな。
まったりゆっくり過ごしていると、
プルルルル…
女神『あ、電話です!えっと…シュンから!』
女神『もしもし女神です…!…って、え?』
女神『お母様、お父様が…!?』
読んでくださりありがとうございます。
異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。第5章
一話『寒くなったこの頃』
日本は、11月に入った。
女神『冷えてきましたね海渡様〜』
海渡『女神…。なんで急に登場して…』
女神『だって、私のお母様とお父様が連れ去られた。でも、返す条件は、とある女性を引き渡さないといけない。魔力があり、かなり強い女性を…』
と言っても手がかりはない。
ただ女神たちのメイドからそう告げられたそうだ。
女神『…でも、その女性を引き渡しても、結局は被害者が出る…。』
少し黙り込んでしまった。俺たちはどういう判断をしたらいいのだろう。
女神の身内を助けて、全く知らない他人を捨てるか。
或いは、女神の身内を見捨て、全く知らない方のことについては巻き込まないようにするか。
悩むし、これこそ究極の選択肢なのではないか…?
…でも誰かを巻き込むことはしたくはないし、けれど女神の家族は助けたい…。
…選びにくい。いや、選べれない。
一体どうすれば…
??『あ、あの…』
海渡『え、あ、はい。』
いつのまにか女神は消えていた。
そして知らない人から、声をかけられた。
??『"異世界"ってご存じですか…?』
…え?こんな質問されたことがない。しかも、日本で、地球で、異世界でじゃないぞ…?
この前異世界から帰ってきたばっかりで、女神の家族どうしようか悩んでたところで…
ん?でもこの質問おかしくないか?普通に。…なあんだ、多分これは漫画の…
??『異世界があるって聞いたんですよ。どうすれば行けるでしょうか。』
あ、やばい。これは、終わったかも。
海渡『え。え。異世界…?俺は…そんなところ知らないですね。ははっ…、実在…しないでしょう?』
??『あるんですよ絶対!!』
ルナ『あ、申し遅れました。僕は、「ルナ」と申します。本名じゃないんですけどねw。漫画家やってまして、ネタがないんで異世界に行きたくてですね…』
会話が変だ…!!!
ルナ『お願いです!!教えてください!!』
海渡『だ、だから知らないですって…』
めんどくさいなぁ。ネタがないから異世界って、どういうこと。(そういうこと何だろうけど)
ルナ『あなたは、異世界を知っているような目をしていました…!』
ルナ『僕の狙いは外れていないはず…!!』
確かに知っているけれど、
こいつすぐには諦めなさそうだぞ…?
誰か助けて…
---
第五章『君が愛する家族』二話「異世界へ」
結局30分ぐらいここでルナという人は、俺から決して離れなかった。
海渡『そろそろやめてもらっていいですか。普通に迷惑です…』
ルナ『えええええ!?なんでなんで!!』
海渡『いやだから…異世界知らないですよ俺…』
ルナ『…嘘ついてるだけじゃないんですか。』
俺は歩き始めると、ルナもついてきた。やってることが完全にストーカーじゃないか…(困)
しかも、近くに人はいないし、なんなんだよここ…。ルナが来る前は結構いたじゃないか…
…待てよ?
確かにたまたま人が通らなかっただけかもしれない。さっきまであんなに人がいたのに、今はいない…。少し不自然だと感じた。
人が結構通る道なら、30分の間に何人か通るだろう。でも通らなかった。ルナが来てから。
ルナ、なんなんだこいつ…
ルナ『諦めてくださいよ〜ねえ〜』
異世界があると聞いたことがあるとは言っていたが、もしもう前から既に異世界に行ったことがあったとしたら…。でもなんか騙されてる感ある…。
索敵サーチ
ルナ『………』
海渡『ルナさん、でしたよね。』
ルナ『あ、はい!!』
海渡『…あなた、異世界を聞いたのではなく、異世界を既に"知っていた"のですよね。…いや、生まれは異世界ですよね?』
ルナ『……』
索敵で分かった。まず、彼は『異世界で生まれた』ということ、そして魔力があまりない、それはよくわからないが。そして漫画家ではなく、ただのニートということ…
ルナ『大正解だよ。でもやっぱり君は異世界を知っていたんだねー。最初から言えばいいのに。』
海渡『地球人には、できるだけ異世界を教えないようにしていますので。』
ルナ『冷たいなぁあ。僕ニートになっちゃってねえ、異世界に帰ろうとしたんだけれども、帰れないの!!!』
…え?帰れない?
ルナ『異世界へテレポートができなくて。あ、別に弱いわけじゃないぞ!!中級者です!!』
いやさっき索敵したら、魔力あまりないって表示されたけどな…(笑)
中級者って言ってるけどそれほどの人じゃなさそうだし、じゃあ地球に一体何しに来たんだよって思う。
ルナ『…拝啓、ルナへ。』
…?
ルナ『ついにお別れの時が来たね。』
ルナ『私、君のことが大好きだった。』
ルナ『でも、それよりも、大切なものを失って辛くて、ごめんだけどバイバイだね。』
ルナ『あなたが来る時は歓迎してあげるから。』
ルナ『…フープより。』
一体何を喋り出すかと思ったら…誰かからの遺書みたいなのだな…
ルナ『なんでここに人が通らないかというと、僕が結界を作っていて、入らせないようにしているからです。不自然に思ってたでしょう?そんな顔、あなたはしていました。』
ルナ『フープは亡き者ですが、僕のことを今でも愛してくれています。』
ルナ『フープの大切なものを失わせたやつを倒したいんです。お願いします。お願いします!異世界に連れて行ってください…!!』
……
ルナだけ異世界に行っても、なんか倒せなさそうだから、
面白そうだし、ついて行ってみるか___
海渡『瞬間転移・指定、海渡・ルナ』
海渡『場所、異世界。』
---
第五章『君が愛する家族』三話「サプライズ?」
異世界に着くと、女神がいた。目の前に。
女神『か、か、海渡様ああああああああああああ!?』
ルナ『え。うん?』
海渡『え、なに、え、なに。どうしたの女神。てかここどこ?』
女神『あ、あ、やばいどうしよう…』
一体どこ?そして何この状況。周りを見渡すとそこには沢山の人が集まっていた。
随分とカラフルな部屋、何かみんな飾り付けをしている…?ああ、誰か誕生日なのかな。パーティーでもするのかな。そう思った。
女神『海渡様…。あの…。』
海渡『どうしたの女神。(ニコッ)』
女神『え、あ、(ずっきゅん!)』
う〜ん…。なんかみんな大変そうだし、俺も手伝おう。
海渡『そうだ。このパーティーの飾り付け手伝うよ。』
女神『え、え!?』
海渡『これここに飾るねー』
女神『(やばい、どうしよう…)』
女神『(サプライズじゃなくなる!!!)』
ーーーーーーーー
女神site
実は実は実は、海渡様にサプライズパーティーを私は企画していました…。
なので会場の準備をしていたら、なんと海渡様が!!しかも仕掛け人のルナまでいる!まあ仕掛け人と一緒に異世界に行くことは想定内。でも、会場の中に転移するのは想定外ですよ海渡様ああああああああああああああああ!?
はあ…どうしよう…
でもまだ何にも海渡様気づいてないけど…
【海渡様!魔王戦お疲れ様でした!】の板…壁に貼りたいんだけど…
この状況、貼れるわけないじゃないですかあああああああああああああああああ!?
どうしましょうどうしましょう…!!
海渡『ねえねえ女神、これあそこに貼ればいい?』
女神『え、あ、OKです…!』
ほんとにどうしよおおおおおおおおおお!!!
今更サプライズできるううううう!?
…いや、でも海渡様気づいてないからできるか?
---
第五章『君が愛する家族』四話「パートナー」
そしてめちゃくちゃいい感じに会場が仕上がった。どんなパーティーするんだろう。楽しみだなぁ。まあ俺は別にお呼ばれされたわけじゃないから参加できないけどね…。いやほんとは参加したいよ。
女神『か、海渡様。あの…』
?『ここで何をやっているのかしら。』
女神『…!?』
…誰だ?
?『…女神。この人間が、あなたのパートナーね?』
女神『え、あ、はいそうです…。』
女神を知っている…?知らない人が話しかけてきてから一気に空気感が変わった。知らない人は、俺を睨んでくる。初対面なのに俺が何かしたっていうのか。
けれど、女神を知っているから異世界を知っている方に間違いはないだろう。体は細い。手は…透けてる?金髪で長い髪の女性が、俺を睨みつけた。
そして女神に話しかけた。
?『女神。こんな人間があなたのパートナーとして生きていけるのかしらー?やっぱり異世界人の方が良かったんじゃないの?』
女神『なわけないです!…私のパートナーは…、とても強くて優しくて、隙がないすごい人間です…!』
女神『"お母様"、嘘をついておいて何を言っておらっしゃるのでしょうか…?』
お母様…、女神のお母さん?それにしては、確かに女神と姿が似ているような気がする(ほんのすこし)
てか、女神のお母様って連れ去られたんじゃ…。いやなんで。頭が混乱する。
「嘘をついておいて」といっていたので、恐らく嘘というのは連れ去られたことは嘘だったということか?まあ女神のお母様がいる限りそうだろうな…。
連れ去られて、すぐに救助されて帰ってくるはずがない。そもそも異世界の人が連れ去るなら、地球の連れ去りより相当助けるのは苦労するであろう。
魔法、魔道具、罠、凶器…。異世界ならそういうことだってできる。
女神の母『女神のパートナー。あなた、名前は。』
海渡『女神のお母様ですね?草野海渡と申します。よろしくお願いします。』
女神の母『Kaito Kusano…。Mr.Kusano?あなたが本当に女神のパートナーに相応しいか相応しくないか。徹底的に調べさせてもらいます。』
…え?
調べるって何を…
女神『お母様!いくらなんでもやめてください!』
女神の母『私が作った特製訓練所。存分に味わうといいわ。"テレポート"・指定「禁断の訓練所」』
禁断の訓練所…?
---
第五章『君が愛する家族』五話「禁断の訓練所」
俺は、女神のお母さんのテレポートで、禁断の訓練所というところに転移された。辺りを見回しても、誰もいなかった。ただ俺の目の前に見えているのは、一つの小さな黒いボールみたいなものだった。
俺はその黒いボールに近づいた。本当にそれ以外何もなくて、もはやこの黒いボールに近づけとも言っているような気がする。それにしても不気味だ。
俺は黒いボールを手に取った。触っても特に変化はない。これはなんだ?黒いボールには、何も反応がない。…索敵をしてみた。だが、魔力なども何も感じなかった。罠か…?最初は思った。
何分か経った。俺は黒いボールを落とした。
あまりにも広い空間だったので、もう少し移動してみようと思い、俺は動いた。ボールを持って。この空間は、どこも白くて、気持ち悪い。不思議な空間なので、変に感じてしまう。全て真っ白な部屋を見たことがない。
少し遠くにきた。もはやどこがどこなのかさっぱりだなぁ。出口もどこかわからない。
…一体何が訓練なんだ…?
もっとアドベンチャー的な訓練だとは思った。けれど想像とは全く違ったようだ。まだ訓練には出会っていないが、俺はもっと森でやるとか、自然に満ち溢れた場所でやるかと思ったのだが、どうやら違ったようだ。
禁断…と言っていたな。…それほど使わない訓練所なのか…?
でも女神は『やめてください』とか言っていたから、恐らくそうとう厳しい訓練何だろうな…。でも訓練をまだ受けていないのだが…
それにしてもおかしいな…、本当に先に進んでも何もない。
…最悪だと思うが、もしかして…。
もう既に訓練は"始まっている?"
訓練って最初に指示が入るものだと思っていたが、何も言わないということは、女神たちに取って、暗黙の了解というか…(笑)
でもこの訓練で何が鍛え上げられるのだろう。俺はとにかく先に進んだ。
女神は、この訓練場について何か知っているのだろうか。
…魔法で出れないか?魔法ならまだしも…
…って、魔法が使えないようにこの空間にロックかけてるじゃん。最悪だね。魔法が使えるなら楽チンだと思ったんだけどね。案外そう簡単にはいかないか。
でもこれじゃあどこに出口があるか目星がつかないなぁ…。
…そういえば、なぜこのボールはあったのだろう。
白色じゃない、黒色。一つだけ目立つような色をしたボールと何か関係があるというのか…?
って、ん?
俺は先に進んでいると、ドアを見つけた。
白くてよく分かりにくいドアだが、確かにドアだ。俺はドアを開いて、入ってみた。中は暗かった。
…いや"暗いんじゃない"。この部屋自身が黒い。だから暗く見えるんだ…!
【認証されました。】
!?
【草野海渡様。残りの8つのボール探しも、頑張ってクダサイ。】
一体何が起こっているんだ…!?
---
【草野海渡様。残りの8つのボール探しも、頑張ってクダサイ。】
一体何が起こっているんだ…!?
…!!
ーーーーー
…白い空間から、別の空間へと転移された。…魔法だろう。この空間は意図的だと思われる。…さっきは黒いボールは、ここから出るためのミッションだったのか?
そして残り8つのボール探し…とも言っていたな。一体誰が言っていたかはわからないが、恐らくこの訓練の…司会とも言っていいかな。そもそも訓練に司会などいらないけどな。
【草野海渡様。】
…!?
何処からか、俺の名前を呼ばれた。…どこかで放送しているのか。
【草野海渡様。聞こえているでしょうか。】
海渡『…ああ、聞こえているよ。何処かの誰かさん。』
【あなたの訓練は「ボール探し」です。】
ボール探し…。だからさっき黒いボールがあったのか…。他にも8色のボールがあり、それを見つけないと出られない…、いろいろと面倒だな。
その時だった。
後ろから、赤い何かが、俺を襲おうとした。何か気配がするなっと思って後ろを向いたら、赤い何かがいた。びっくりした。
すぐに避けれたからよかったけれど、油断大敵だなぁ…。
【そう。お見事!】
…は?
【次のミッションは…】
【瞬発力の訓練です。ボールを探してくださいね。】
…瞬発力の訓練…はいいんだけどさ、ボール探しかよ…
【でも、赤い化け物が邪魔するから、気をつけてねぇ〜】
うわめんどいやつですねこれは。
放送が終わると、俺はボールを探しはじめた。さっきの赤い化け物はどっか行ったし、今なら探せるチャンス。赤いやつは魔物なのか…?
白い空間に引き続き、次は白と黒が混ざった空間だった。地味に気持ち悪い。先ほどから白をずっと見続けているので、白だけでも吐き気がする。
転移する前の白い空間に似ていた。
赤いやつに警戒しながら探して行ったが、
どうやら警戒していても気づかないものだったのだ。
みぃ〜つけた♡
海渡『…おや、赤いやつのお出ましかい?』
赤いボールは渡さないよぉ〜?♡
---
第五章『君が愛する家族』七話「色は常に」
…どうやら、赤いやつは既に戦う気満々のようだ。赤いやつの目がギラギラと輝いている。その上、部屋も赤く、赤いやつも当然赤いため、眩しい。そして何よりも殺気がある。
これだから異世界は苦手なんだよ。地球は殺気がある戦いはそれほど見ない。異世界は出会ったら両者殺気がある戦いばっかりだ。うんざりだったんだよ。
だから、俺は面倒くさいことは苦手で、こういうことも苦手。
しかも赤いやつがボールを持っているようだ。
赤い化け物『やぁ!僕は…』
海渡『うるさい静かにして。僕は君を、』
海渡『永遠の眠りへと寝かしつけるために、今僕は君に話している。』
赤い化け物『へぇ、やる気満々じゃん!』
赤いやつの方がやる気があるような気がするが。まあいい。
こいつを倒せば、赤いボールが手に入るのだから____
赤い化け物『君ぃ、隙だらけだよ?』
は?
赤い化け物『禁忌・red Bat』
赤い化け物は蝙蝠こうもりを召喚した。しかもついでに赤い蝙蝠になっている。実に違和感がある。
蝙蝠はすごい速さで俺を襲う。俺は避けたが、また襲ってきた。どうやら諦める気にはならないようだな。
まあ蝙蝠なんて、簡単に倒しちゃえば…
海渡『ライトニングボル……』
赤い化け物『遅いなぁ〜!!禁忌・red lightning volt』
!!!
俺は相手の攻撃をまんまとくらった。
…痛いなぁ…
赤い化け物『お前の攻撃は!!!』
これが瞬発力かぁ。
赤い化け物『遅いんだよおお!!』
遅い…でも、赤い化け物は俺が魔法の文を読んでいる途中に魔法を使った。
より魔法の分が短く、発動時間が早い魔法がいいのか?ということは…
赤い化け物『どうした?どうした〜!?』
当たったら結構効いて、魔法の文が短い、そして発動時間も短い魔法…、よし。
海渡『プリズム』
赤い化け物『うっ…!!!』
赤い化け物『うわあああああああああ!!…』
倒したか?
…もう声もしない、恐らく倒したな…。
赤い化け物から赤いボールが出てきた。
赤いボールを手に取った瞬間…
【おめでとうございます。】
【次の部屋へいきます。】
赤い空間から別の部屋に転移された。
次の部屋は…
緑色の部屋?
【緑色のボールを見つけてください!】
【ボールは…】
【借り物競走に似たことをしてください】
【ルールは簡単、私がお題を出しますので、そのお題に合った人の名前をお伝えください。】
【全部で五問あります。】
運動会か?
【では始めます。】
【第一問】
テレン♪
---
第五章『君が愛する家族』八話「問題の解答に適する人物の名前を答えなさい。」
【では始めます。】
【第一問】
テレン♪
いやいや何が始まった!?
クイズなのはわかるが、いきなりこうなるとはおもいもしなかった。借り物競走…競走しないけれど問題の答えは人の名前…。う〜ん…
しかも、『ボールは…』のあとから何も聞こえなかったし。
もしかするとだが、このクイズに正解するとボールがゲットできるのか…?
【いいですか?】
【それではまず、こちらの"セリフ"をお聞きください。】
セリフ?
【『もうすぐ出かけるけど、準備した?』】
…え?(笑)
いやなんか聞いたことがあるようなないような…
【ではもう一つセリフを言います。】
【『お兄ちゃん、外ばっかり眺めて。お母さんたちも仲良く喋ってるじゃない、私たちも二人で喋らない?』】
あ、わかったわ。w
海渡『草野くさの優ゆう…?』
【………】
【ピンポーン◯正解です!】
イージーだったなぁ…、妹を出してくるとは。
俺めちゃくちゃ歴史上の人物が出るかと…
【次の問題です。】
【上級者で、魔法がほぼ使えず、『エニシングコピー』を使って戦う異世界の人は、だぁれ?】
上級者で魔法がほぼ使えない?
そんなやつ…
…いたわ。
海渡『もしかして、クラシコ・エルアード?』
【………】
【お見事です!正解です!】
いや急に過去のこと掘り返してくるからびっくりした…。
本当に会ったことがある人ばっか出てくるから、案外わかりやすいなぁ。
【では次の問題です。】
【こちらのセリフをお聞きください。】
またセリフだ。
【『…別に遊びたいわけではないのですが…、門は開けました、どうぞ玄関へ。』】
…んん??遊びたいわけじゃないけれど門をあけてどうぞ玄関???家の前…、というか門って、いやいや…。
【もう一つセリフを言います、よく聞いてください。】
【『海渡さん、先ほどの銃声が聴こえていたのですか?』】
先ほどの銃声?あ〜、これは…
海渡『黒川くろかわ美夜みや、かな?』
【………】
【おお!!なんと!正解!!】
ほっ…
【それでは次の問題です。】
【今年、地球が秋頃、エリクサーを飲み、不老不死になって、草野海渡に再戦を申し出た人は?】
…わかっちゃったよ。
海渡『ヴィンディン』
【………】
【お見事。当たり前ですよね。】
海渡『そういえば彼の下の名前聞いたことないけれど、どう?知ってる?】
【…次へ行きましょう。】
…ん?
【次の問題です!】
【セリフをお聞きください。】
【『永遠の眠りへと寝かしつけるために、今僕は君に話している。』】
…なんだこのセリフ。
って思ったけれどよく思えば、先程の言ったなぁ、言ったなぁ…w
海渡『草野くさの海渡かいと、でしょ?』
【………】
【ピンポンピンポンピンポン!!◯大正解!!】
まさか自分が出てくるとは思わなかったなぁ。
【それではクイズを全問正解した草野海渡に、大ヒントをプレゼント!!】
…なんの大ヒント?
【ヒントは『↑』です。】
また何か始まった?
---
第五章『君が愛する家族』九話「もう一人の自分」
【ヒントは『↑』です。】
また何か始まった?
…この矢印、もしかして前ということを意味している?だがしかし、前を見ても特に何もない。つまり…
上か。
俺は上を見上げた。ボールがあった。ボールの色は緑色をしている。
【おめでとうござ…ってうわあああああああああ!!!】
!?
そこで放送は途切れた。
何があった?何か運営側で事故が?突然の事態に頭の整理が追いつかない。
その時だった。
ーーーーーーーー
部屋が変わった。…ここはどこだ?何かの色に限定している部屋というわけではない。本は青と赤と緑。タンスは茶。ダンボールやテレビが置いてあり、不自然にテレビがついている。テレビは砂嵐が流れていて、実に奇妙で摩訶不思議だ。
?『おやおや、どうしたんだい?燕。』
燕つばめ?俺は後ろを向くと歳をとったおばあさんが、俺に話しかけた。おばあさんの後ろにはおじいさんがいる。どうやら老夫婦のようだ。
燕とはどういうことだろうか。鳥か?けれど燕らしき鳥はここにはいない。そもそも鳥…いや、動物は人間しか見当たらない。
おばあさん『ほら!ぼぉっとしてないで、とっとと皿洗いでもしな!私は洗濯物を干すから。』
えっ、皿洗い?
おじいさん『…畑仕事行ってくる。』
おばあさん『はいはい、いってらっしゃい。』
これは…夢?俺は何を見ている?今、何をしている?ここはどこだ?
俺は、誰かの人生を送っている?
俺は鏡を探した。あったので自分の顔を見てみた。俺だ。いつもの俺だ。
じゃあ何で今こんなことに?
俺は鏡を見たあと、黙々と皿洗いをした。…もしかすると…これは魔法なのかもしれない。俺は実は眠っていて、覚めにくい魔法を見せられている。そういう説の方があり得る。
皿洗いが終わると、リビングのソファーにおじいさんが座っていた。おじいさんは赤いセーターを着ていて、青いジーパンを履いている。畑仕事が終わったのか、少しゆっくり休んでいるようだった。
俺は少しでもおじいさんと会話してみたいなと思い、話しかけてみることにした。
海渡『お、おじいさま。皿洗い終わりました。』
おじいさん『………』
少し沈黙が続いたが、おじいさんは口を開き、話し始めた。
おじいさん『燕。そういう報告はいらない。』
海渡『あ、はい。すみません。』
やはり僕は燕と思われているようだ。
---
第五章『君が愛する家族』十話「燕とツバメ」
今、俺はベッドで寝転がっている。
俺はいつのまにか、『燕』という人間になり、燕の人生を送っている。作り話みたいなことなので信じられないかもしれないが、僕も最初は信じられなかった部分がある。それに、女神のことも心配だ。なんとかして、元の自分『草野海渡』に戻らなければならない。
太陽の光が、俺を照らしている。開いていた窓からシジュウカラがやってきた。黒いネクタイ模様がとても美しい。だが、少し時間が経っただけでシジュウカラは飛んでいってしまった。
…そういえば、燕になってから外に出たことがないかもしれない。丁度いい。外の空気も思う存分吸いたかったところだし、気分転換に外に出てみよう。
俺は燕の部屋を出たあと、玄関を出ようとした。その時だった。
おじいさん『何してる。』
燕のおじいさんだ。さっきソファーでくつろいでいたが、そのくつろぎタイムは終わっていたようだ。まあ話しかけてくれたってことは、これも仲を深めるいいチャンスと思った。
海渡『外の空気を吸おうと気分転換に外へ。』
おじいさん『…あんまり遠くには行っちゃあかん。…蝶がおる。』
蝶?…まあいいや。俺はおじいさんの言葉はあまり気にせずに外に出た。遠くにはあまり行っちゃダメということは分かったが、蝶の話に関してはよくわからなかった。
空気が美味しい。異世界とは大違い。異世界なんて空気も汚れていて、治安も悪い、どこかで激しい争い、酷い誹謗中傷は絶えない。
目の前には草原が広がっていた。俺は外で寝転がった。太陽が実に眩しく、ここで寝ても構わないほど気持ちいい場所だった。
寝転がっていると、目の前に綺麗な蝶が現れた。水色、空色、青色という綺麗な色が混ざったような羽の色をしている。…蝶?蝶って確か…
…蝶がおる。
…蝶がいて何か悪いことがあるのだろうか。
『いい青年だなぁ!食べ頃じゃ!』
!?
何処かから声が…!!目の前にいたのは、若い少女だった。髪がとても長い。
蝶『我は蝶の神、名は嬢じょうと申す。』
蝶『お主、名はなんというか?』
蝶の神が喋り、しかも蝶は人になり、いったいどういうことだ…。でも異世界じゃ普通か?魔王とか色々いるし。けれど蝶が喋ることなんて聞いたことが…
蝶『おい貴様!我の言動を無視するな!』
海渡『ああいいよわかったよ。俺は燕。』
蝶『燕かぁ!鳥が人化したものであろうか?』
海渡『いや人間だから。』
蝶は首を傾げた。…そして大笑いした。
蝶『あーっはっはっ!!w。人間なんてこの世界には存在しないはずじゃ!!』
どういうことだ?
燕は確かに人…。…いや姿が人だっただけか?蝶が人になったように…、もしかすると燕はツバメだったのかもしれない。ってなると、あのおじいさん、おばあさんは…?
けれど今はそんなことどうでもいい。
海渡『…そうだな。確かにそうかもしれない。』
海渡『けれど他の世界にはいるかもしれないでしょ?』
蝶『…なんと言いたい。』
海渡『俺がもし他の世界から来た人間だとしたらどうする?』
蝶『…燕よ。やはり人間がいるとはあり得ない。我はこの世界を数えきれないほど生き、その一生涯、人間など幻と信じられてきた。人間はただの幻…そう。そうなんじゃ。』
じゃあおじいさん、おばあさんも人間ではない。けれどおじいさんは蝶のことを知っていた。…もしかして、蝶は邪悪な生き物だったのかもしれない。蝶如きでそんなに遠くに行くなという忠告も不自然と感じた。
俺は蝶に尋ねた。
海渡『ここら辺に住んでいる老夫婦を知っているか?』
蝶『ああ、アイツらか。米の神と布の神じゃな。』
蝶『あまりいい思い出はない。なんせあの二人は…。って、お前何故老夫婦のことを?あいつらは…、もう生きていないはずだ。』
生きていない?
海渡『…どういうことだ蝶。』
蝶『アイツらは我が息の根を止めた。』
蝶『だから生きてい…』
海渡『最後に聞きたいことがある。蝶は俺の敵か?』
蝶『…そうだったら、もう襲っているであろう。…人間と名乗るツバメ。実に面白い。別に我は貴様と戦う意志はない。争いもつまらなくなってきた年齢でな。』
おばあさんとおじいさんはもういない。けれど、俺が見ていたのは幽霊?
面白くもないが、"燕にとってはどうだろうか。"
海渡『蝶。俺は燕じゃない。』
蝶『ん?燕と言ったのは嘘か?』
海渡『確かに"今"は燕。けれども、今喋っている燕は燕じゃない。俺は燕という一生を送ってしまっている。この世界の生き物ではない人間だ。』
蝶『…成程。それなら辻褄が合うか。』
蝶『詳しく話を聞こう。我の蝶ハウスで。』
---
第五章『君が愛する家族』十一話『仲間割れ』
【蝶ハウスにて】
海渡『…すごい物騒な家だな蝶。』
蝶『そんなことを言うではない。我の部屋は我が作り出し、居心地が良く、快適に過ごせる素敵なハウスだ。わかったか?燕。』
海渡『だから俺は燕じゃない。…って、今からその話をするんだな。』
いろんな色の薬が床にたくさん散らばっていて、血の匂いもし、家自体に殺気をすごく感じる。異世界で言うと、そこらへんにいる殺し屋が住むアジトみたいなものとなっている。俺にとっては住みたいものとは思えないだろう。
蝶…嬢が老夫婦の息を止めたと言っていたが、あれは生きていたと思えた。幽霊とも思えなかったが、この燕が生きている世界じゃおかしくはないのか?またこれも異世界の一種なのか。
正直言って、女神に早く会いたい。こっちにこれないのか?あのゲームもまだ途中で中断しているし…。
蝶『…おい、…まずお前の貴様の名を名乗れ。どう呼べばいいかわからぬ。』
そう言われたので、俺は軽く自己紹介をした。
海渡『ああ。俺は草野海渡。人間だ。この世界のものではないが、よろしく。』
蝶『ああ。我のことは嬢と呼んでくれ、海渡。』
海渡『わかったよ嬢。』
嬢はその場で立ち、キッチンと思われるところに行って何かの液体をコップに入れ始めた。オレンジ色の液体で、こんな物騒とした家だから怪しいものではないかと、怪しんでしまうのは俺だけだろうか。
蝶『出来たぞ海渡。飲むか?てか座れ海渡。そんな突っ立ってちゃ、何も話ができんだろう。』
そう言って、俺の前にあった机にコップを置いた。
俺は遠慮なく、ソファーに座り、コップの中身を見た。
オレンジ色の液体だが、匂いを嗅いでみると、知っている匂いがした。
海渡『オレンジジュース?』
蝶『なに。苦手だったか海渡。人間はそう言う飲み物が好きと聞いたのだが…。』
海渡『これは確かに人間の世界…地球にあるが、何故知っているのか、それに驚いて。』
蝶『ああ、誰かが広めたんだが……ああ、そうじゃ。…それこそが燕じゃ。燕が広めた。』
燕が…
少し驚いたが、燕がどこからどうして人間の飲み物を入手したかがわからない。とりあえずそこは置いといて。
海渡『嬢。…戻り方があればいいのだが、何か手がかりにあるようなものはあるだろうか。例えば前に俺と同じく人間がこの世界に入り込んだとか。』
嬢『それはない。我は前に人間がここに迷い込んだことなんて聞いたことがない。…まあ、我が知らない可能性もあるが、心当たりはない。』
海渡『そうか…。…燕はどんな人だった?』
嬢『比較的優しいオスだった。…少し髪はメスぐらい長かった。我は誰を襲うか決めてただけだ。燕のこともそんなに知らん。ただ…、目立っていた。』
海渡『目立つ?』
嬢『そう、目立ってい…』
その時だった。
嬢の家に何者かが入ってきた。
だが、そこからの記憶は、俺も覚えていなかった。
意識を失っていたのだ。いつのまにか。
ーーーーー
嬢『何事だ!』
亞あ『亞です!今現在、燕様が嬢様を呼んでいるのですが…!?』
嬢『はぁ?燕はそこに…って、え?』
嬢『…嘘だろ。さっきまで燕はここにいたはず…。ってことは、まさか。』
嬢『…おい亞。拒否してくれ。…どうせ、また仲直りしようとかいう交渉だろうよ。帰れ。』
亞『で、ですが…』
嬢『しつこいやつじゃのう!』
亞『し、失礼しました…!』
ガチャン
嬢『…海渡には悪い嘘をついてしまったなぁ…』
ーーーーー
海渡『…こ、ここは…』
海渡『…!!!』
海渡『ここは、禁断の訓練所…』
何が何だかわからなかったが、戻ってこれたようだった。
?『………』
---
第五章『君が愛する家族』十二話『緊急事態』
禁断の訓練所に戻れたみたいだが、どうやら司会進行者の反応がなく、出口もわからないまま、俺は呆然にその場で座っている。
静かな空間に、誰もいないが少し怖くなってくるこの空気感。
俺は一旦立つと、少し体を動かすためにジャンプした。
女神はどうなっただろうか。女神の母は…?
そんなときだった。急に前が見えなくなった。…いや、この部屋の照明が消えた。停電なのか?けれども、異世界では停電など発生しない。電気発電所では、常に電気の魔法を得意とする魔法使いらが、電気を止まらず発電している。停電なんてあり得ないに妥当する。
じゃあ一体…?
『ビリィッ!!』
…!?
『ドッカーン!!!』
海渡『…なんだ、そういうことだったのか。』
海渡『女神のお母様。』
女神の母『Kaito Kusano…。あなた、よく生きていたわね。私の"夢"にずっと落とされなくって。』
海渡『夢…ああ、なるほどね。』
あの燕の人生は夢だった、と言いたいのか…?少し謎は残るが、女神の母は話を続けた。
女神の母『私は電気の魔法が、女神族の中で唯一得意なの。』
女神の母『…Kaito Kusano、あなたは"このビリッとする感覚"を楽しめるかしら?』
海渡『…女神のお母様。女神はどこだ。』
女神の母『ああ、言い忘れていたわ。…私は女神の母じゃあない。』
女神の母『なので女神は閉じ込め、母と父は連れ去った。』
…?つまり…、偽物か。じゃあ本当の"母と父"は…?
また謎が残る。
そして今驚いていることは、女神族が電気魔法を使うことだ。…雷、電気などの魔法を女神族が使うことは、基本無い。ありえない。けれど、この女神…、いや女神なのかはわからないが、この人が女神だったら、只者じゃない。
女神族は基本回復魔法などを使うが、ただでさえ攻撃魔法でも女神族にとっては難しいのに、そのうえ魔法使いでも難しい電気魔法を使うとは…。雷は…使っても少しはおかしくないかもしれないが、電気…。
女神の母『そうだ。私の名を「メイ」と呼びなさい?』
メイ『私は女神だけれども、あの女神よりは強い。』
海渡『さあてそれはどうかな。エクスプロージョン』
『ドカーン!!!』
メイ『爆発爆発面白い…ね。サンダー!』
海渡『リフレクション。』
メイ『くっ…』
メイはリフレクションの勢いで吹き飛ばされる。リフレクションは反射の効果があるので、サンダーの勢いがそのまま反射される。
メイ『はっ。はは。私はあなたを倒せる!ただの人間が。そんなに上の立場のような振る舞いをしやがって…。』
メイ『いい加減にしろ!!』
海渡『いい加減にするのはあなたの方だよ。』
メイ『…はっ?』
海渡『女神が愛している家族を連れ去るなんて、俺は許せないと思うよ。』
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第五章『君が愛する家族』十三話『仲間』
【秋葉site】
秋葉『えぇぇっ!?海渡が見当たらない!?』
シュン『いやぁ、連絡したんだのだけれども、1日経っても既読来ないから〜。』
シュン『せっかく縛りありの闘いしようとしてたのに〜』
秋葉『あなたね…(怒)』
私は秋葉。シュンから『海渡が見当たらない』という連絡をもらって、シュンの家にいる。(異世界)
秋葉『で、家にいったり探したりした?』
シュン『…してないかも。』
秋葉『あなたね…(ムカムカっ)』
まあ私はシュンと相性が悪いのかもしれないけれど、この人の口頭で言っている全てが何故かイラつく…。
でも海渡がいなくなったのは大変な気がする。それに、私は女神にも連絡をしたのだが、既読がつかない…。女神は機嫌が良ければメールぐらい見る気がするのだけれども、無視なのかよくわからないが、とりあえず緊急事態だと私は思っている。
シュン『とりあえず探せば見つかるんじゃな〜い?』
秋葉『学校は?そもそも異世界にいるの?海渡って高校生でしょ?16歳のはず。…一応。てかあの人学校行ってるの?』
シュン『行ってるよ。そういうところは気を抜かない気がする。けれど、異世界の時間と地球の時間の進み方は違うよ。海渡が異世界にいるかいないかで変わってくる。手分けして探そうか。』
手分けしてって、二人しかいないのにどうすればいいのかしら…?それに異世界は地球より広いし、探すのにも時間がかかる気がする。そんなことしてたら帰ってくると思うのは私だけ?でもシュンは探す気だし…。
シュン『じゃあ僕は異世界を探すよ。秋葉は地球をお願い。』
秋葉『ちょ、ちょっと待って。あんな広大な異世界を、どうやって探すの!?』
シュン『そっか。君は「検索」っていう魔法知らない?』
シュン『検索』
シュンは手をおでこに当て、何も喋らず無言になった。何秒か無言の後、ぶつぶつと何かを言い始めた。まだ私にも未知の魔法はあるし、こういう才能があるシュンは素晴らしいと思うけれど、何か嫌な性格があるから…。そこが惜しいのよね…。
シュン『…秋葉。…これは大変かもしれない。…海渡の反応が異世界にも地球にも見当たらない。』
秋葉『ちょ、地球も探したの?』
シュン『うん。遠距離だけど、魔法を使えない人間たちが住む地球だったら、何も制御されないし簡単。異世界も反応はなし。』
異世界からも地球に海渡がいるかわかるんだ…と驚いた。けれどどちらにも反応がない…?これはシュンの魔法が不完全だったのか、それとも本当にいないのか。…よくわからない!私は混乱してしまった。
シュン『とりあえず探さないとね。…けれど異世界の方に少し違和感があったんだ。』
違和感…?
シュン『何かに魔法を遮られているような気がするんだよね…』
秋葉『それってつまり…?』
シュン『海渡は何か面倒事に巻き込まれたのかも…』
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第五章『君が愛する家族』十四話『遮る』
秋葉site
シュン『何かに魔法を遮られているような気がするんだよね…』
秋葉『それってつまり…?』
シュン『海渡は何か面倒事に巻き込まれたのかも…』
秋葉『…はぁ…』
はぁ…と呆れたため息を私はした。
正直言って、海渡が面倒ごとに巻き込まれるって、相当のことだと思う。
というか海渡強いのに、そんな面倒ごとすぐに片付けられないんだ…。まあ所詮は人間。私も人間だけれども。
まあまだシュンも海渡が面倒ごとに巻き込まれたという確信はしていないと思う。それにシュンの「魔法が遮られる」という感覚…、普通はない。だから、もし遮る人がいたとして、私たちがいつどこで魔法を発したかわかるということか…?…となると、かなり厄介な気がする。
私たちにとって魔法は一つの重要な武器である。それを使えなくされるということになると、私たちは不利だ。ただでさえ、魔法を頻繁に使う私とシュンなのに。
一時期は私は戦いにナイフを頼っていたこともあったが、最近になってはほとんど魔法だ。魔法は便利で素晴らしいことだと思っていた。それが遮られるなんて…。けれど、相手も魔法で遮っていたとすると、かなり厄介だ。その人は魔法が使える、相手の魔法も使えなくしようとする。相手は私たちが魔法を使えないことを知っていながら戦う。…一言でまとめると、『負ける』ということだ。
けれど遮る人がいるとも限らないから…
そして急にシュンが私に話しかけてきた。
シュン『さっきから…、薄い淡い気配がする。だからもしかして僕らも魔法を遮る奴が…』
シュン『ごめんだけれど、魔法以外で戦うことって僕やったことないんだよねほとんど。』
秋葉『…は?あなたしかことないの!?この経験不足!!』
逆に言えば、シュンは魔法に頼りすぎということだ。
シュンはまた話してくる。
シュン『秋葉は?秋葉はどうなのさ。僕は確かに魔法しか使ってないけれどね〜。』
秋葉『私はナイフとかを使っていた時があった。あなたは何も使ったことないの!?銃とかは!?』
シュン『いらないよ。魔法が最強だからさ。』
秋葉『でも遮られたら、最強とかどうのこうのないじゃない…。』
私が呆れる声で話すと、シュンが『違う』と言って、首を振った。
シュン『遮る前に魔法を使うんだよ、秋葉。』
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第五章『君が愛する家族』十五話『魔法』
秋葉site
シュン『遮る前に魔法を使うんだよ、秋葉。』
秋葉『遮る前に、使う…?そんなことできんの!?』
シュン『僕の実力だ。僕は上級者だ。君は確か…中級者だっけ。できるならやってみようよ。君の実力で。』
秋葉『…や、やってやろうじゃないの…!』
シュン『その勢いさ、秋葉。…いや、秋葉ちゃん。さあて、まずは「検索」いきますか〜、秋葉ちゃんは?』
ちゃん付け無理…と思いつつ、私はどんな魔法で海渡を見つけようか考えた。
私は「検索」という魔法の使い方を知らないので、そもそもまず「検索」は使えない。となると、私は一体なんの魔法を使えばいいの…?
シュン『検索』
……でも、検索という魔法を使っただけでもこれって遮られるんじゃないかな…と思った、その時。
シュン『キャンセレーション』
!?
シュン『…やっぱり遮る奴がいる。じゃあどこにいるか調べて…』
遅い
シュン『!?』
シャドウ
【ドカーンッ!!】
…、一体どうなっているの…?
闇の魔法使い『私は闇の魔法使い。其方の魔法、見せてもらおうじゃないか。』
闇の魔法使い…!?
ーーーー
【一方その頃、光輝たちは…】
光輝site
光輝『…せっかく紅茶を飲んで一息してたのに、なに?邪魔しにきて。』
光輝『その、光の魔法使いさん。』
光の魔法使い『君に敗北を与えよう。』
光の魔法使い『君に勝利する権利はない。君の運命は、敗北だ。』
あ〜あ、せっかく紅茶飲んでたのに邪魔しないで欲しい。…まあ寂しかったからそれはそれでいいけれども。ところでこの光の魔法使いとは一体何。…カッコつけた名前しやがって、…ナルシストか?それともただ単にイケメンと言われたい奴か?
でもなんか闘う雰囲気あるし、僕も紅茶飲んでたけど最近手とか足とか魔力とか全然使ってなかったからそれはそれでラッキー。練習相手になりそうじゃん。僕はその厨二病の名前してる『光の魔法使い』という奴を、少しぐらい遊ばせてあげようじゃないかね〜…。
光の魔法使い『どうした。かかってこい。』
光輝『いいよ。君と遊んで暇つぶしって感じかな。まずは毒魔法で地味に痛いのあげるよ。』
光輝『ポイズン』
光の魔法使い『シャイニング』
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第五章『君が愛する家族』十六話『光の魔法使い』
光輝site
光輝『ポイズン』
光の魔法使い『シャイニング』
【ドカーン!!】
…相手は光の魔法使いと名乗ってるぐらいだし、光魔法をたくさん使うだろうな。今さっき出してきた『シャイニング』だって、光魔法だし。
光の魔法使い『レーザー』
ほら、『レーザー』も光魔法。
光魔法ばっかり出してくるっということは、つまり光魔法以外の魔法は出してこない可能性が高いということだ。
僕は相手の光魔法をしっかりと避けながら走っている。どこを走っているかというと、相手の周りをぐるぐると走る。離れてもダメだし、近づいてもダメ。一定の距離を取って戦う。その方が、十分に戦える気がするんだ。
光の魔法使い『…しぶといな、貴様。』
光輝『君だってわかってるんじゃない?』
光輝『まだ君は僕の速度に合わせてるだけだよ。』
光の魔法使い『…君の使う言葉は実に滑稽だな。』
滑稽の意味をなんだろう?と思ってると、早速相手が魔法を使ってきた。もちろん光魔法だった。
光の魔法使い『ビーム』
…光の魔法使いって、さっきから光魔法の基本魔法しか攻撃してない気がする。『シャイニング』は応用として、『ビーム』や『レーザー』は光魔法の基本魔法だ。まさか、僕を基本魔法で倒せると思っているのか?それとも手加減をしている?いや、これは…
相手はただ僕を視察しにきただけ…?
光輝『…ふっ、面白いなぁ…』
光の魔法使い『…どういうことだ?』
光輝『そっちだって、君の考えが最も滑稽だと思うよ。』
光輝『「滑稽」の使い方あってる?』
僕が光の魔法使いに問うと、光の魔法使いは微笑し、次のような言葉を放った。
光の魔法使い『シャイン』
光輝『!?…バレット!』
【バン!!】
光の魔法使いの全身が眩しく光り、その光が僕に当たらなくなるとき、辺りを見渡しても、光の魔法使いは消えていた…。僕が魔法で打った銃弾は、地面に落ちていた。
…まだ光の魔法使いに聞きたいことがたくさんある。根掘り葉掘り聞こうと思ったのに、そちらから去ってしまうとは思っていなかったな。…けれども本当に"視察目的"だったら、…こうやって逃げることは自然だったかもしれないなぁ。
…それにしても、光の魔法使い…。何か企みがあるのかもしれないな。
プルルルルルルルル!プルルルルルルルル!!
こんな時に電話だ。相手は…秋葉?
僕は電話に出た。
光輝『もしもし秋葉。どうしたの?』
秋葉『今すぐ私のところに来て!!!』
光輝『なんで?』
秋葉『今めちゃくちゃ大変なの!!早く!』
ガチャン。
…速攻で切られた…。
まあいいや。秋葉の位置情報を入手してっと…
俺は秋葉のところに急いで行った。
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第五章『君が愛する家族』十七話『闇の魔法使い』
シュンsite
闇の魔法使い『私は闇の魔法使い。其方の魔法、見せてもらおうじゃないか。』
…なんだこいつ。
一瞬そう思った。けれど瞬時に理解した。…こいつは敵だ。名前に「闇」って書いてあるぐらいだし、口調も明らかに敵意を感じる言葉だ。
まあ僕は上級者。こんな敵如きに、弱音を吐かない__
シュン『ウォーター・アロー』
闇の魔法使い『…ふん、そんだけか?』
闇の魔法使い『ダーク』
シュン『…君はただの闇魔法を使っているだけだ。』
その時だった。闇の魔法使いが誰かに声をかけた。その声が、絶望の始まりだった。
闇の魔法使い『…ご苦労だった光の魔法使い。』
光の魔法使い…?一見、正義のヒーローみたいな名前だけれども、どうやら闇の魔法使いと仲間らしい。
闇の魔法使い『ダーク・アロー』
いきなり打ってきたのですぐにかわした。僕はすぐに魔法を出そうとした。…しかし、
闇の魔法使い『制御』
…!!僕は、魔法が使えないようになっていた。だそうとしても、だせない。これは一体…?…もしかして、闇の魔法使いが使った『制御』という魔法が、僕の魔法を制御し、出せないように…?
闇の魔法使い『…どうした?(笑)』
シュン『…へぇ。そうか、そうなんだ、君はそんな奴だったんだな。』
シュン『君はどうやって今まで戦ってきたかということがわかったよ。』
シュン『闇の魔法使い、君は一体。』
俺は闇の魔法使いに聞いた。闇の魔法使いは何も答えなかった。けれど、話は変わり、また何か言ってきた。
闇の魔法使い『…お前は魔法を出せぬが、あの少女は出せる。…しかし、なんということだ。…あの人間は、私を倒せぬ。それに、誰も私を倒せはしない。』
シュン『随分と余裕だね。』
闇の魔法使い『ダークボール』
やはり早い。闇の魔法使いの技はどれも早い。まるでそこらへんの草原で走っている150㌔の兎みたいだ。…だが僕にはかわすことができる。けれど、かわしてばっかじゃ、僕は負けるだけだ。
その時だ。
光の魔法使い『お疲れだったな。光の魔法使い。』
闇の魔法使い『やあ。どうだったかい?』
光の魔法使い『光輝…随分と強い若者だ。』
秋葉『光輝…!?』
秋葉は動揺したのか、光輝という名前を口に出した。
光の魔法使い『知っているのかな、お嬢ちゃん。』
僕は秋葉に命令した。即座の判断だったので、これが正しいかはわからなかった。けれど、今は攻撃しないといけないと思った。僕は魔法を使えていたら、今頃倒していただろう。
シュン『秋葉!魔法を使うんだ!』
秋葉『でも、動けないの!魔法は使えるけど、遠すぎる!』
シュン『はっ…?』
秋葉は闇の魔法使いらよりも、遠いところにいた。魔法は使える、けれども動けない。…闇の魔法使いは、秋葉の魔法を制御した…?
闇の魔法使い『…そう。わかったか?…我らの勝ちだ。お前らと我らの強さは、違う。いいか?』
くそっ…、これが卑怯なのか分かりもしなかったが、…今の闇の魔法使いの言葉を聞いて、悔しいと思った。
けれども、僕は負けを認めるつもりはなかった。
シュン『…僕はまだ、負けていないよ?』
闇の魔法使い『…どういうことだ。』
シュン『そりゃあ…、まだ気づかないの?だって、まだ僕らは君たちを倒せる手段がある。』
闇の魔法使い『…そうかもしれないが、その手段がすぐに使えるとは限らない。』
シュン『いいや?今から君たちを倒す手段は、ありったけある。』
闇の魔法使い『…嘘をついて勝ちをあきらめさせようというのか。なんて最低な。』
僕は勝ったと思ってる。何故ならば、まだ勝てる手段はある。…けれども確かに闇の魔法使いの言う通り、すぐには使えないものばかりかもしれない。だが、勝てる手段は無数にあるため、今から使えるものがないと言い切れることはない。
シュン『嘘はついていないよ。』
シュン『その手段は今使うつもりだ。…今から起きることを見てごらん。』
光の魔法使い『おい、あれをみろ!』
闇の魔法使い『あいつは…』
光輝『インフェルノ』
光の魔法使い『光輝…』
秋葉『光輝!!来てくれたのね!!』
ほら、言っただろう?
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第五章『君が愛する家族』十八話「絶縁切刃」
海渡site(第五章十二話の続きです。)
海渡『女神が愛している家族を連れ去るなんて、俺は許せないと思うよ。』
メイ『…いい度胸してるじゃないの、Kaito Kusano。』
メイ『サンダーボルト』
相手は雷魔法を使う。だから麻痺には気をつけないといけない。しかも女神だ。女神族は、回復魔法を使っている神がほとんどだが、こんな事例は初めてだ。十分に気をつけないといけない。昔から女神族は、異世界の神に近い存在で、とても強いとされてきた。
僕はメイの攻撃を避ける。避けれているばっかじゃダメなのだが、今は様子見でいいと思う。この女神が、何をするかわからない。もしかしたら回復魔法は普通に使えるかもしれない。俺は回復魔法をあまり使わない。得意でも苦手でもない。ただ、今まで回復しずに勝ってきた。
僕は最強ではないが、他の人が弱いのか、なんなのかわからないが、勝ってきたのは事実だ。
メイ『すばしっこい!!サンダーバード!』
海渡『本当に雷魔法ばっか使うね。』
メイ『それが勝利への近道なの。けれど雷魔法ばっかじゃないわよ!!』
メイ『アイスボルト!!』
アイスボルトは、氷・雷魔法だ。氷魔法か…余計難しい魔法だと思うが、女神族でもできるのかという驚きを感じる。僕はすかさず避けるが、メイはまた魔法を使ってきた。
メイ『サンダー・ミサイル!』
!!サンダーミサイルは、敵を追跡してくるミサイルだ。おまけにミサイルを外から倒そうとしても、外の表面は固く、普通の魔法じゃ倒せない。しかも数が多い。
メイ『これであなたはビリビリよ!!』
エクスプロージョンで爆発させて全部倒すか?でも爆発の範囲内に入っていなかったミサイルがあったら俺は魔法をくらう。ミサイルは強力な一撃なので、一発ぐらい当たってもいいやという考えは甘い。
反射させる?いや、この数じゃ全部反射しきれない気がする。同じくミサイルで対抗しても、あんな数出せるはずがない。じゃあ、あの数のミサイルに対応できるような魔法…。
…試作品な魔法だけど、失敗したら俺は終わりだけど、一か八かで試作の魔法を使うことにした。
メイ『くらえくらえ〜!!』
海渡『メイの思い通りにはさせないよ。』
海渡『絶縁切刃カースブレイク』
メイ『…!!ミサイルが…!!全部壊れっ…?』
海渡『魔法には、その魔法に対応した魔法で攻撃しないといけないね。』
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第五章『君が愛する家族』十九話「女神と海渡」
俺が出した『絶縁切刃カースブレイク』という魔法は、どんなものでも絶対刃で切り裂くことができる技だ。もちろん恋人との縁を切りたい時もおすすめ。
だから固いミサイルにも対応することができた。あんなに数があったが、刃をたくさん出せば、全てミサイルを切り裂くことができる。
元々はこんな魔法なかった。この魔法は、女神が作った魔法だ。女神が作ってみたいと言い出したことから、今じゃ俺だけが使える。
海渡『さあて、女神はどこだ。女神のお母様とお父様の現在地はどこだ。』
メイ『…まだ、まだよ…』
まだやる気なのか。これじゃあキリがない。それだけ女神を返したくないのか、女神のお母様とお父様の現在地を教えたくないのか。
海渡『もう一回ミサイル出しても無駄だよ、雷魔法使ってもどうせ僕が反射させて君にお返しする。そろそろ諦めな。』
メイ『はあ…、君は女神の言う通り、本当に最強だね。』
海渡『さ、最強?別に俺最強じゃないし。』
メイ『女神がそう言ってたんだよ。私が女神を閉じ込めた時、女神は言った。「草野海渡は最強!」だと…』
女神…。何回か言ったことがあるけれど、俺は別に最強じゃない。あまり得意じゃない魔法だってある。苦手っていうほどではないけれど。最強がこの世にいるのかすらわからない。
海渡『さあ。そんなことはいいから、教えてもらおうか。』
メイ『…ああ。だが、私を倒しただけで女神の居場所はわからない。私には私より強い魔法使いが女神を守っているからな。』
海渡『魔法使い?そいつを倒せば、女神の居場所はわかるということか。』
メイ『ああ。女神の親の場所は、私は知らない。その魔法使いが連れ去ったのだから。』
なるほど。メイの言っていることがさっきと少しだけ違うかもしれないが、どうやらその魔法使いを倒して居場所を聞き出せばいいということだな。
はあ。魔法使いか…、じゃあ倒せそうだな。変な怪物とかだったら嫌だったし。
メイ『だが気をつけろ。もう既にあなたのお仲間はやられている。』
海渡『仲間…、それは一体どういう…?』
メイ『早く行け。ここから北に行けばつく。』
仲間って、もしや…?
ーーーー
光輝『チッ…!』
シュン『おい離せ厨二病!』
秋葉『だれか!だれか!』
光の魔法使い『3人とも雑魚だった。』
闇の魔法使い『こいつらをどう食べるかが重要になってくる。』
光と闇がぶつかりあえば、最強となり、世界は終わる。
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第五章『君が愛する家族』最終話(二十話)「家族」
とりあえず、さっきの場所から北へ来た。それにしても、仲間ってもしかして…、俺が会ったことあるやつだよな…?
海渡『!!』
…ようやく着いたようだ。…だが、その光景は実に見たくないほどの状況だった。
平野光輝と、浅野秋葉、シュンがぐるぐる巻きに縛られていて、その3人を縛った犯人のような人が2人いた。
???『…おい、変な奴が来たんだけど。』
??『…こいつも潰せばいい。こいつらみたいに。』
海渡『…君らは一体?名を名乗れ。』
光の魔法使い『私は光の魔法使いだ。悪く思うなよ、これも趣味としてやっているから。』
闇の魔法使い『我の名は闇の魔法使い。貴様らのような弱者ではない。』
なんだこいつら…。とりあえず悪い奴らってことは理解したのだが、なんだろう。その光と闇の魔法使いが揃ってるわけね。自称なのかはわからないけど。
闇の魔法使い『お前もどうせ弱者なんだろう。おい、さっさと片付けるぞ。ダーク・アロー
光の魔法使い『わかった。レーザー』
…一回聞いたことがある。…異世界での伝説だ。…光と闇が合わされば、勝てるものはいないと。あくまでも伝説だが、もしこいつらが伝説に出てきた本当の魔法使いなのだろうか。俺はすかさず避けた。
光の魔法使い『裂けてばっかじゃ、戦いにならない。シャイニング』
闇の魔法使い『ダーク・ウォール』
ダーク・ウォール…とはなかなかの広範囲攻撃。シャイニングも、光魔法の上級魔法とも言えるであろう。…あまり考えていなかったが、この人たちが伝説の人たちではないと思われる。
ほら、もうちょっと強い感じが、この人らにはないっていうか…。もうちょっと強い攻撃を出すかなぁ、本物だったら。
海渡『結界』
闇の魔法使い『…我らの技をそれで受け止めると思えるのか?』
海渡『さあね。エクスプロージョン』
【ドカーン!!!】
…爆発で倒れたと思ったら、まだ生きているか。俺も結界のせいでだいぶ体力が削れた。仕方ない、久しぶりの回復を…。
光の魔法使い『回復なんてさせない。プリズム』
海渡『わっ、結界。』
光の魔法使い『だいぶHPってやつが削れたのでは?』
まあ確かにそうだ。その通り。けれど回復魔法をすればなんとかなる。だが、どうやらそれもさせてくれなさそうだ。回復する前に攻撃が来そう。
闇の魔法使い『そうだな。いずれお前も敗北という結果を見るであろう。闇蜘蛛』
蜘蛛がやってきた。小さいので倒しにくそうだ。しかも体力もあまりないので、時間の問題だ。
海渡『絶縁切刃カースブレイク』
俺は魔法を使った。なんとか蜘蛛が俺の方へ来るのを食い止めることができたそうだ。だが次も出されたら困るぞ。体力がずっと持つわけじゃない。俺は一応人間だ。いつかは体力が尽きる。
光の魔法使い『…なんだ?今の魔法。とてもすごいね。俺は知らないぞ、こんな魔法。』
闇の魔法使い『我も知らぬ。…それにしても、とても効果的な魔法だったな。』
海渡『ありがとう。一応自作だ。』
光の魔法使い『へぇ、すごいね。ビーム』
闇の魔法使い『何があろうと、お前も負けは変わらん。ダーク』
やばい、さっきの魔法を出したせいでだいぶ疲れて反応速度が低下した。魔法が当たる…!
大丈夫ですよ、海渡様。
水の精霊たちよ。我との契約の元、彼のものの傷を癒し給え。
アクア・ヒール!!
…急に体力が回復した。それにこの魔法…、もしかして…!
海渡『女神!』
女神『なんとか自力で抜け出せました〜!』
光の魔法使い『な、なに…!?』
闇の魔法使い『自力で…?女神が…?』
じゃあ、女神も出てきてくれたことだ。倒してあげようじゃないか。
海渡『楽しかったよ、二人とも。ホーリーレイ』
光/闇の魔法使い『うわあああああああ!!!』
二人は消滅した。ホーリーレイの光で消滅したのだ。
女神『さっきお母様とお父様も私が見つけて、全員脱出できました!あとは3人の縄を解くだけですよ!海渡様!』
海渡『そうだな。ありがとう女神。』
女神『えへへ…。ってそういえば!!なんか私、やることがあったんでしたっけ…?…、あああ!』
海渡『なに?』
女神『あっ、サプライズパーティーだあああああああああああああ!!!』
…もう俺に言ったからサプライズじゃないけどね。まあいいや。
そのあと、俺らは異世界から帰り、飴を舐め、テレビを見て寝た。
…もうこんなことは起きてほしくない、そう思った。
第五章、完。
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【第六章予告】
地球で平和に過ごしていた海渡は、この冬の寒さに絶望していた頃だった。
そして、そんなある日。事件は突然起きた。
『…地球の昼が失われた?』
地球に昼が来なくなっちゃった!?
海渡たちが、地球に昼が無くなった原因を探す!
犯人は…既に海渡が出会ったことある人!?
【第六章『荒れ狂う神様』】