異変解決!メンバーが異変を解決してないときの様子をお届けします(?)
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目次
メイド・星羅
「失礼します」
わたし_スター・サファイア・ムーン__の家のドアの外から、声が聞こえた。
「どなた?」
「メイド希望の空踏星羅です」
「そらふみ、せいら?」
「はい。今日からスター・サファイア家のメイドとなります」
淡々と返す星羅。
「ちょっとまちなさい。わたしはメイドなど募集してませんわ。だいたい、お城に住んでいませんし、家事くらいできますわ」
「いえ、家事ができないと聞いて、メイドに雇われたのです」
ますます意味がわからない。
「御主人様の妹様・スター・サファイア・サニー様__いえ、レイン・クラウ・サニー様__に雇われました。妹様曰く、『ムーンの料理はまずくて食べられたものじゃない。部屋も汚いし』とのことです。それをたまたま聞いたわたくしが、そのままスカウトされました」
「あなた、何者?」
「ただのしがないメイドです。能力は星を操る程度の能力を持っています。その能力もムーンにぴったりだ、と買われました」
サニーめっ…なんてことを…
「…給料なんて余裕はないわよ」
「給料なんていりません。ただ、住み込みで働かせてほしいのです。屋根裏部屋でもいいのです」
ふぅん…
「まあ分かったわ」
「ありがとうございます。後悔のないように頑張ります」
「後悔はしちゃ駄目よ。反省はしなさい」
音間姉妹のコンサート①
「こんにちは〜」
「あら、早いわね。張り切ってるの?」
「まあ、そんなところ」
サニーが用意した晴れやかな日。
音間性那と音間感那の音間姉妹は、ムーンの住む家に来ていた。
「あ、サニーさん」
「久しぶり!で、どうした?」
「実は、演奏の演出についての相談で。指示を出したら、曇りや、雨にできませんか」
「できるよ!楽しみにしてるよ」
「ありがとうございます」
音間性那は、音楽で性格を操る程度の能力を、音間感那は、音楽で感情を操る程度の能力を持つ。どちらも楽器の付喪神だが、メーカーが同じだけで遠い親戚みたいなものだ。
能力を使って、音楽に感情や性格を没入させて味わう、という方法が彼女らのライブスタイルだった。
しっかり者の姉・性那がお金やビジネスのことを管理。人気者の妹・感那がファンサ。
「こんにちはぁ」
「あっ、昇子さん。どうしましたか」
「楽しそうで来ちゃったのよぉ。チケットって、必要だったかしらぁ?」
「大丈夫ですよ。普通に、趣味でやっていることですから」
「そうだわ。サイン、もらえるかしらぁ?」
「あっ、大丈夫ですよ!」
やってきた昇子が持ってきた紙に、感那は慣れた手つきでサインを書いた。
「ありがとう。楽しみにしてるわね」
そう言って、昇子は1000円を渡した。
「えっ?いえ、もらえません…これ、趣味ですから」
「ふふ、趣味だろうと仕事だろうと、わたしが気に入ったものなの。だから、受け取って」
「えっ…わかりました。ありがとうございます!!」
感那は1000円にどぎまぎしたが、すぐに性那に渡した。
---
会場設備が整い、いよいよ始まった。
「皆さん!こんにちは〜〜〜!!」
「今日は、ライブを見に来てくれてありがとうございます!!」
担当、というのは特に決まっていない。
「みんなの感情を没入させる音楽を演奏する妹・音間感那です!」
「皆さんの性格を変えるほどの作曲をする姉・音間性那です!」
「「よろしくお願いしま〜す!!」」
さっそく、拍手が沸き起こった。
「それでは1曲目、いっくよ〜〜!!」
魔法研究学校
「はぁ、また来たの」
ため息とともに、わたしは煙草を吸った。
「いいじゃんかぁ。というか、まだ煙草吸ってんの?いい加減やめた方が良いよ」
「煩いわね。この煙草は魔法で身体に害がないように作られてるの。アーモン大魔法使い様が作った煙草なのよ?」
「ふぅん。吸わせてよ、1本だけ」
「嫌だ!あんたは放ビームの専門でしょ?あんたにあげる資格はないわ。大人しく生活魔法を習得して、この煙草を作ることね。生活魔法とは健康魔法とも言うわ」
紅はつまらなそうに聞いていた。
魔法研究学校の寮に来てまで、押しかけてきた。ったく、面倒くさいやつ。
「あんたはねぇ、攻撃特化しすぎなのよ。もうちょっと防御魔法とか、支援魔法とか、回復とか覚えたら?あ、でも召喚魔法はやめときなさいよ。いい思い出が微塵もないから」
「あ?あたしだって、防御も覚えてるよ、バリアとか」
「だいいち、鏡から放射するのはやめた方がいいわ。鏡を没収されたら終わりだから。その点、わたしの魔法陣放射魔法は、攻撃か防御かの魔法陣を出現させるだけだからね。攻撃、防御、支援、回復、ありとあらゆる魔法が出せるのよ」
「へぇ」
「いまは薬の実験をしているの。持ち運べて、状態異常などを全て治すことができる薬」
そして紫と緑、ピンクの瓶を取り出す。2:1:5の割合で混ぜる。そこに岩石を投入して…
「まだやんのか」
「そうよ、何が悪い?」
「いや?じゃ、帰るね」
「いってら〜」
ようやく帰った。
これで魔法陣の研究も、薬の研究も捗る。
さっそく薬をいろんな割合で調合してみる。この紫の液体が入っている瓶を使うのは間違いない。これは回復キノコと快方エキスを調合した薬。いつも腐ったり、体力がそんなに回復していない、といった問題点があった。
大瓶の中に入っている緑の液体が入った瓶は、引き出しナシの果汁を煮詰めてジャムにしたもの。本来の能力を引き出すことができる優れものだ。
ピンクのは…気分と直感かな。
最後に防御の魔方陣を貼って…
---
はぁ、ほんと、あいつは勉強熱心だな。
ミウェイの魔法は、あんまり豪快じゃない。普通で、平凡で、つまらない。
「あたしの方が面白いのになぁ」
いつも放ビーム魔法に否定的で、魔法陣魔法を進めてくる。
なんとかできないものか…
ミウェイのいる寮がだいぶ遠くなった。一発放射しようかとしたが、やめた。
早く、一緒に放ビーム魔法を極めたいのに___
乱しと整え
「こんにちは」
「あー?」
清楚そうなやつ、というのが第一印象だった。
毛量が多いのか、|白髪《はくはつ》を少しだけまとめている。襟をきちんと正しているのが、鬱陶しいというか、嫌だ。
あっしの能力に反しているみたいで嫌だ。
「乱橋未玲さん、ですね」
「そうだよ。あっしのことだ」
「では、さっそく掃除を始めさせていただきます」
手際よく片付けていく彼女を見る。彼女は能力を使っていないようだった。すべて手作業で、ひとつひとつ、片付けている。
---
あっという間に綺麗になった部屋。あっしは清華にたずねた。
「なんで能力、使わないんだ」
「ここに来る前の作業が染み付いているからです。人間なので、それなりの収入が必要なわけで。こういうサービスを始めました」
「人間…か」
人間___
かつて、あっしもそうだった。
能力で好き勝手暴れて、白露様に罰を受けた。その最高罪が『妖怪になる』ことだった。妖怪に対する差別心を持つ人も大勢いる。妖怪そのもののイメージが悪いのだ。
「…懐かしいな」
「懐かしい、とは?」
「あっしもそうだった。悪事を働いてからは、妖怪だけど…。ずっと、あっしの部屋を綺麗にしていてほしい」
清華は、切なそうな微笑みを浮かべた。
「わたしは人間です。人間の寿命は、あなたにとっては儚いもの。抗えない運命なのです。本当は、こうしてあなたと話しながら仕事をしたいのですが、そうはいきません。それが、自然の摂理ですから」
「っ…!」
彼女は、自分の死を受け入れようとしている。
「冥界に行ったら、そのうち会える。今のままだったら、確実に冥界にいられるはず。長い年月がかかろうとも、あっしはお前のところへ行けるさ」
そう、ぽつりとつぶやいた。本音だけど、本音ではない。
「何もかも乱しても、あっしは運命に抗ってみせる」
「…そうですね。そうなると、いいですね___。では、これにて失礼します」
去ってゆく清華の姿は、切なそうで、寂しそうだった。