ある日突然"りょう"はとあるゲームに誘われる。
それは想像以上に幸せであり残酷な結果となった。
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
1.)友達からあるゲームを提案された
(水曜日)
はぁ。どうしてこんなこんなことに……
昼飯を食ってるときだった。
「おい"りょう"!」
「んぁ?呼んだ?」
「呼んだ!ゲームしようぜっ!」
「おう。いいよ。なんのゲームするの?」
「おっ!いいのか?!やるんだな?言ったな?取り消すとか言うなよ?」
「おん」
「よし!んじゃやりますか!」
「お、おう」
「これからやるゲームはな…………」
~~~~~~~~~~
あぁ。こんなことになるならゲームするなんて言わなきゃよかった……。
友達からあるゲームを提案された。それは……
女をおとすゲーム。
ターゲットは同じ部活の先輩。"栗空ここね"だ。
ここね先輩を俺ら4人の中で誰が一番最初に恋人にできるかを競うゲーム。
ルールはこうだ。
1 告白しても、ふられたら負け。
2 1週間以内に告白しなかったら負け。
3 誰かが成功したらその時点で勝負は決ま
る。
4 負けたら、人を○す。
5 勝ったら、先輩と幸せになる。
6 誰も成功しなかった場合、じゃんけんで決
める。
なんてひどいゲームだ。
だけどもう、あとには引けない。
読んでくれてありがとうございます
ぜひ続きも読んでください
2.)いたずらっ子みたいな笑顔
だけどもう、あとには引けない。
ここね先輩……。俺と同じサッカー部で、
副部長だ。リーダーシップがあって、明るくて、老若男女関係無く人気者。サッカー部の中でも数少ない女子部員。まさに、みんなのアイドル。
どうしてだ!よりよってここね先輩がターゲットに……うぅ。俺、例え告白したとしてもどうせ、ふられる。
こんなのおかしい。流石に犯罪はしたくない。
人を騙す?
負けたら人○し?
このゲームは犯罪に染まっている。
翌日(木曜日)。階段で昼飯を食ってる時。
「順番に作戦を発表してこうぜ!」
「おお!それええな!」
「だれから行くぅ?!」
「んじゃ!りょうからやれ!」
「んぇ?!俺?!」
知らんよ。作戦なんてないし。てか、なんで3人ともやる気満々なの……?
よし、ここは適当に流そう。
「俺はまず、部活ん時に話かけてアピールというか、まぁ俺のこと視野にいれてもらって成功する可能性を上げようと思う。」
とりあえずこれでいっか。
「おおおおおお!いいやん!」
みんなからほめられる。1ミリも嬉しくない。
みんなの考えも聞いてみようじゃないか。
「じゃあみんなはどんな作戦なの?」
「………………へっ!誰が教えるかよ!」
は?
「りょうってさぁ素直すぎないかぁ?」
え、そんなことない……
「お前作戦教えたってことは、サッカーの試合でどんなフォーメーションにするか、教えるってことと同じだぜ?」
ははは。と笑いながらそんなことをいう。
でも、そのとおりだ。決着がつく前に自分から不利になりにいく。そんなやつがどこにいる。
俺はあほか。くそっやられた。
「君たち!こんなところでご飯食べてると、通る人の邪魔になるぞぉ!」
高い声が響く。
っ?!ここね先輩……ッ!どうしてここに?!あ、いや同じ学校に通学してるんだから当たり前か。
「あっここね先輩!こんちゃっす!」
"ゆお"が挨拶する。
「ゆおくん今日も元気だねぇ」
いたずらっ子みたいな笑顔でうふふと笑う。
かわいい…………
ここね先輩が俺の方を見る。
「おっりょうくん!今日もいい食べっぷり!」
ん、だめだ。なんか照れちゃう。////
「ほんなにはへへはへんほ」
「えぇ?なんだってぇ?!」
ごくり。卵焼きを飲み込んで言い直す。
「そんなに食べてませんよって言いました!」
「えっうそ!いっぱい食べてるくせに!」
なんでこの人はこんなに楽しそうなんだろう……
「あっあの!ここね先輩!」
みんなの視線が"たおき"に集まる。
えっ。まさか……
「おっおれ……先輩が好きなんです…………」
読んでくれてありがとうございます
面白いと思った人は続きも読んでみてくださいな
3.)え。初耳だ……
「おっおれ……先輩が好きなんです…………」
たおき……まじかよ。ここで言う度胸すごいな。
まっまて!先輩がオーケーしたら、俺は負け。断ったら、たおきは負け。
ごくり。
いきなり汗が吹き出した。
「たおき……くん?……えと…………」
先輩は戸惑っている。当たり前だ。だっていきなりそんなこと言われて。さっきまでのほんわかした雰囲気が嘘かのようだ。
「だっだからっ……俺と…っきぁってくださぃ…」
たおきの声が小さくなる。
「…………たおきくん、ありがとう。気持ちだけ受け取るね。」
…………あ。
「えっ」
たおきも驚きのようすを隠せない。
これでたおきは人を○さなければならないのか…………かわいそうに……
俺は少し、安心した…………おい。
「ごめんねぇ。私、好きな人がいるの……」
え。初耳だ…………となると希望は薄いな。全員ふられる可能性が高くなった。
「そう……ですか…………あの!そのぉ……好きな人って……先輩の……同級生の人…………なんですか……」
たおきがもじもじしながら言う。
らしくない。
「え、えと…………いや、年下の子……////」
ここね先輩の顔がみるみるうちに赤くなっていく。
年下………………俺の可能性は0.01%くらいかな。
ゆおが口を挟む。
「この学校っすか?」
「う、うん……」
この学校…………俺の可能性は約0.5%かな。
「何年生の人なんすか?」
ゆおがさらに質問する。
「それは……えと……に、二年生の子……」
二年生…………俺の可能性は約1%かな。
「ねぇねぇせんぱぁい!すきなひとだぁれぇ?おしえてよぉ!」
"めるや"がきく。
読んでくれてありがとうございます
どんな展開になるかはまだ未定です笑
4.)ちょっと恥ずかしい
「ねぇねぇせんぱぁい!すきなひとだぁれぇ?おしえてよぉ!」
"めるや"がきく。
まさか、ここね先輩に好きな人がいるなんて想像してなかった……。彼氏ならいそうだけど……
誰なんだろ…………
「んぇ?!おおおお教えないよ?!」
先輩の顔がりんご……いや、いちごみたいだ。
「え~?」
4人の声がそろう。みんな同じ気持ちらしい。
「せんぱぁい!そのひとのヒントだけでいいからぁ!」
めるやがきく。
「えぇやだぁぁ!」
ヒント、くれないかぁ……でもやることは変わらない。
「先輩、顔、真っ赤ですよ。大丈夫ですか?」
好きな人がいるからなんだ。そんなのどうだっていい。振り向かせてやる。もっと俺の方、見てください。
「えっほんと?!やだ恥ずかしいぃ。全然大丈夫です…………」
はぁ暑い、などと言いながら手で自分をあおいでいる。だけど、目はあわせてくれない。
よし、こうなったら…………
「ここね先輩」
「ん?な~に?」
やっとこっちを向いてくれた。先輩、そのまま俺を見ててくださいね。
「保冷剤、いりますか?これで顔を冷やしてください。」
この保冷剤というのは俺の弁当を保冷してくれていたものだ。けっして怪しいものではない。
「ありがと、でも大丈夫だよ!」
「そうですか…………」
あれ。もらってくれると思ったんだけどな……
からぶったか。ちょっと恥ずかしい……//
「あ、えっと…私…もう行くね!」
あ…………。でも、俺の方見てくれたから成果はあったはず。
ここね先輩が離れていく…………。
すると突然、先輩が振り返る。まだ顔は赤い。
「たおきくん!勇気だしてくれてありがとう!嬉しかったよ!」
たおきが少し頬を赤らめる。
「めるやくん!私はいいけど年上の人と話すときは敬語使うんだよ!」
「わかったぁ!」
めるやが右手の親指をたててこたえた。
分かってるんだか分かってないんだかw
「りょうくん!」
え?今俺の名前呼んだ?
「あとで話がある!部活の時でいいかな!」
読んでくれてありがとうございます
どうなっちゃうんでしょうね
俺も続きが気になってます
5.)俺が告白したら、いいよって言ってください
「りょうくん!あとで話がある!部活の時でいいかな!」
は?お、おれ?話ってなんだろう…………
「いたっ!」
突然たおきに背中をたたかれる。
「お前やるなぁ!俺は負け確定なのによぉ笑」
「おいりょう!ずりぃぜ!」
「なんやねんおまえはぁ!はっはっは」
え?なに?俺はこの人たちに何を羨ましがられてるんだ……?
「ごちそうさま」
食事を終えた俺は立ち上がる。
「お、お前もう飯食い終わったんか?!」
「うん。じゃ、さきに教室戻るね」
…………はぁ。何でだろ。いつもは部活が楽しみなのに、なぜか今日は気が重い。
ここね先輩、お願いです。例え先輩がどんなやつが好きだろうと構いませんけど、俺が告白したら、いいよって言ってください。
絶対幸せにしますから。
とんとん。
誰かに優しく肩を叩かれた。
振り返ると、"ふゆり"が立っていた。
ふゆりとは幼馴染みだ。
「ん?どうしたん?」
「あっあのさ!その…………今こんなこと言うべきじゃないって分かってるけど……分かってるけど言わせて!」
「おう。なになに?」
「え、えっと……私さ、昔からりっくんのこと好きなの…………私と付き合わない…?」
読んでくれてありがとうございます
てか、りょうに幼馴染みいたんだ
6.)0.1%の可能性
「え、えっと……私さ、昔からりっくんのこと好きなの…………私と付き合わない…?」
ふゆりに告られた。突然だった。
俺は戸惑う。どうしよう。"あのゲーム"をやってなければ俺はオーケーしただろう。本当に申し訳ない。
「ごめん…………」
ふゆりを傷つけたくない。何て言ったらいいのだろうか…………
「………………そっか…」
あぁ。本当にごめん。俺は今ここね先輩をどうにかしなきゃいけない。でも……
「あ、あのさ……その……実はさ……」
ふゆりが今にも涙が溢れそうな目で俺を見つめる。
「ん?なぁに?」
かすれた声でふゆりが言う。
よく考えろ。ここね先輩がなんだ、ゲームがなんだ。そんなの、ただの言い訳でしかない。
ふゆりが嫌い?そんなわけない。そんなのあり得ない。
そうだ。俺はずっと……
「俺、ふゆりと付き合いたい」
ふゆりの目が大きく開かれる。
告白ってこんなにも緊張するものなんだ。体があつい。
「…………え?それって本当?」
疑っているようだ。無理もない。
「本当。だけど今は色々事情があって………いや……こんな言い訳、許されないのは分かってる。でも、どうしても今は無理なんだ」
「うん。私許さないよ。一生。」
う…………なに傷ついてる。当たり前だろ。許してくれないのは。なのに、なのに、どうしてこんなにも心が痛むんだろう……
「せめて……理由くらい教えてよ……」
ごめんよふゆり。それはできない。
「一週間後。」
「え?」
「一週間後、また、返事していいかな」
一週間後。それは、ゲームの決着が完全についた次の日。
ゲームで負けても勝っても、ふゆりと一緒にいる資格はない。でも今は、たった0.1%の可能性でも信じたい。
「てことは……うちにはまだチャンスがあるってこと?」
「うん」
本当は絶望的だけどな。彼女いるやつでもよければ……いや、浮気はいかん。人殺しの彼氏でもいいと言うのならいいけれど…………俺だったら嫌すぎる。
「あぁよかったぁ……まさか、りっくんにフラれるとは思わなかったからショックだったよぉ…………」
ドキリ。俺だってゲームの件がなければ付き合いたい。でも今素直に付き合いたいと思えないのはきっと、意味不明なゲームを引き受けてしまった俺のせいだ。
「まじでごめんな!」
思わず声が大きくなってしまう。
「返事、待ってるよ」
読んでくれてありがとうございます
りょうはさぞ複雑な気持ちでしょうね
そういう展開にさせたのは俺ですけども……はは
7.)俺に何の用だろうか
「返事、待ってるよ」
うん、とだけ答えて教室に戻ろうとふゆりに背を向けて歩きだす。背中に視線を感じながら。
まさかふゆりが俺のこと好きだったとは……
最近俺に対する態度が冷たかったからてっきり嫌われてるのかと……
昼休み中の騒がしい教室に入る。
「あっ!りょうくん!」
同じクラスの女子だ。
「ん?」
俺に何の用だろうか。
「今日帰るとき1人?」
どうしてそんなことを聞くのだろうか。
「うん、多分1人」
「そっか!それはよかった!」
…………?1人だといいのかな……
「あのねあのね!この子が一緒に帰りたいんだって!」
隠れるように後ろにいる子が恥ずかしそうにこっちを見てくる。
「あ……あの……え…っと……だめ………ですよね……」
あぁ。そういうことか。俺と帰りたかったわけだ。理解理解。
「ううん。いいよ」
特段用事があるわけでもないし。
「へ?いいの?」
「いいよ」
でもなんでだろう。俺以外にもいっぱい人はいるのに。
「えと、サッカー部は何時に部活終わるの?」
「6時半だったと思う」
「あっそれなら私と同じだ!」
「じゃあ、部活終わったら玄関で会お!」
「りょーかい」
~~~·~~~~~~~~
やっと授業が終わった。
これから部活…………か…。
「おいおいりょう!お前ふゆりちゃんに告られたんだって?」(ゆお)
「お前ってさ……意外とモテるんだな……今日みおと一緒に帰るんだって?(笑)」(たおき)
「りょーちゃーん?おまぁそんなに人気だったけぇ?あぁ?」(めるや)
「…………みんな……なんでそんなに元気なの?」(りょう)
「逆になんでそんなに元気ないんだよ笑」(たおき)
「りょう。そんなことはいいからさっさと部活行こーぜ!」(ゆお)
「おう」(りょう)
「んじゃゆおぉ!りょうの監視たのんだぁ!」(めるや)
「へい!まかせろ!」(ゆお)
「じゃあな、たおき、めるや」(りょう)
「また明日な」(たおき&めるや)
「なぁゆお。さっき俺の監視って言ってたよな。それって……?」
「まぁね。だってここね先輩に話あるって言われてたじゃん?それがどんな話かってのを盗み聞きしろって言われて………………ってこれ、言っちゃダメなやつだったわ(笑)」
「ふぅん……でも話って特に大事な用って感じじゃなさそう。」
「えなんでそう思うん?」
「だって、俺、先輩と話すときだいたいご飯の話しかしないし……」
「えっそうなん?!それはそれでおもろい(笑)」
「先輩ってば意外と食いしん坊なんだよ」
「まじか!あの細い体で?!(笑)」
「俺も最初びっくりした」
「…………てか、ゆおってなんであのゲーム、やろうと思ったの?」
「俺だってやりたくてやってるわけじゃないよ……」
「そうなの?」
「あぁ。このゲームさ、誰が考えたと思う?」
「えっと……たおきとか……?」
「そう思うよね。でも、俺なんだよ……」
「え?」
「俺、冗談で言っただけなのに…………めるやが"なんそれぇ!おもろそぉ"、とか言うからこんなことに……」
「なぜかたおきも乗り気だし……」
「そうだったんだ……このゲームは続けるの?」
「考えた俺が続けなきゃおかしいでしょ?」
「そうかな…………」
「あれ?普通おかしいとおも…」
「おぉーい!りょうくん!ゆおくん!」
「あっ、先輩……」
「ねぇねぇりょうくん!話あるって言ったじゃん?あのことなんだけどさ……」
読んでくれてありがとうございます
8.)失礼
「ねぇねぇりょうくん!話あるって言ったじゃん?あのことなんだけどさ……」
「はい、なんですか?」
「駅前に新しくできたカフェって知ってる?」
「知ってます知ってます!あそこって確かモンブランが有名らしいですよね!俺気になってたんすよ!」
「そうそう!でさ、私昨日食べにいったの!」
「え?!まじですか?!いいないいな!」
「でしょ!」
「うまかったですか?」
「それがね…………めちゃくちゃ美味しくて…………つい、おかわりしちゃいました……」
「おお!おかわり、どのくらいしたんですか?」
「6回くらい……/////」
「え!すごいですね!」
「あとねあとね!美味しかったのはモンブランだけじゃなかった!」
「ほぉ。なに食ったんですか?」
「えとね……トロピカルジャンボベリーホイップましましスペシャルフルーツ盛り合わせバナナ味フレークアゲアゲワンダフルパフェ食べた!」
「なんかっなんかっめちゃめちゃ美味しそう……」
「分かる!名前から美味しそうだよね!」
「あのさ………」
↕️ほぼ同時
「あのっ………」
「あっいや先輩からどうぞどうぞ!」
「ううん!気にしないで!りょうくんいいよ!」
「分かりました。…えっ……えっと…………そのカフェ、今度一緒に行きませんか………………?」
いや、ちょっと失礼だったかな……
「えと、今のは気にしないでください…」
「あのさ…………私同じこと言おうとしてた…////」
「へ?」
「あ、えっと……だめだったかな……」
「いえ、ぜひ行きたいです!」
「よかったぁ……」
満面の笑顔ですごく嬉しそうだ。誘ってよかったっ……
「じゃ!私着替えてくるね!またあとで!」
「りょうかいです」
「りょうさん。ちゃっかりデートに誘ってんじゃないよ…………」
「あ、えと……ごめん……」
「ゆおも一緒に行く?」
「いやいいよ。おとなしく身を引くよ」
「…………なぁ。ゲーム、なかったことにしない?」
「俺は賛成だよ」
「りょうならそう言ってくれると思った。でも、問題は|あの二人《たおきとめるや》だよな……」
「だな…………ゲーム取り消し同盟組むか?」
「いや、これ以上りょうに迷惑かけるわけにはいかないし……俺1人で何とかする」
「そうか……俺にもできることあったらいつでも協力するけど……」
「おう!ありがとな!」
「それよりも、早く準備しなきゃ!顧問と部長に怒られちまう!」
「そうだった!急げ急げ!」
読んでくれてありがとうございます
どんな展開になるのか、楽しみです
9.)嘘だ嘘だ嘘だ
「そうだった!急げ急げ!」
「2人とも遅かったわねぇ。何してたのかしら?」
「すみません遅れました……」
「まだ部長にはばれてないから安心して!」
「はぁよかった」
ちょうど "ここねー!ちょっと来い!" という部長の声が聞こえた。
「あっ私行くね!」
「はい」
「なぁりょう。先輩さ……なんで俺らに構うようになったと思う?」
「えぇ?なんとなくじゃない?」
「ハッお前はほんとに分かってないんだな」
「なにが?」
「先輩がお前こと好きだからでしょ?」
「え…………?どういうこと?」
「そのままの意味だよ(笑)」
「先輩はもともとりょうのことが好き。だからこのゲームの勝敗はもうついてんだよ」
「嘘だ…………」
「嘘じゃねぇよ」
「あっ部長の集合かかった。おい、行くぞ。」
「う、うん……」
え?そんなことある?先輩が俺のこと好き?
勝負はもうついてる?嘘だ嘘だ嘘だ!俺のせいでみんなは刑務所行き?ん?てか高校生って犯罪したらどういうふうな扱いなんだっけ?
「気を付けー!お願いします!」(部長)
「おねがいしゃーす!!」(みんな)
「え~今日のメニューは前半、各々の苦手なところの練習。後半は試合形式で練習する。え~ではウォーミングアップは各自でちゃんと取り組むように。大会も近づいているので怪我しないように気を付けること!」
「はい!」
「りょう!一緒にウォーミングアップしようぜ!」
「おう!」
「よし、じゃあまずは走るか」
「何周する?」
「そうだなぁ5周でいい?少ない?」
「ううん。時間がなくなるのもやだから」
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ…………」
「おめぇ走るのはえーおかけで……ハァハァ……いい運動になった…………サンキュ!」
「そりゃあこっちのセリフだよ、ゆお。ハァハァ…………」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「気を付けー!ありがとーございました!」(部長)
「ありがとうございましたー!!」(みんな)
「うげぇ今日も疲れたぁ……んじゃ、お前みおちゃんと帰るんでしょ?」
「うん」
「じゃあな!また明日な!」
「またね」
よし、俺も帰ろう。もう6時半過ぎてる。早く行かなきゃ。
そして、走ろうとした瞬間。
「りっくん!」
えっ?ふゆり?
「なに?」
「さっき見ちゃったの。りっくんがサッカー部の先輩と仲良さげに話してるのを。あれって私をふったのと関係ある?」
---
プロフィールでーす!
りょう (主人公
・高校二年生
・サッカー部
・男
・ゲームプレイヤーの1人
・ちょっと鈍感?
・幼馴染みであるふゆりに告白される。
返事は一週間後にすることになっている。
たおき
・高校二年生
・バスケ部
・男
・ゲームプレイヤーの1人
・度胸があるっぽい
・ここね先輩に告白(ふられた)
→ゲームは敗けが確定
ゆお
・高校二年生
・サッカー部
・男
・ゲームプレイヤーの1人
・不思議な人?
めるや
・高校二年生
・吹奏楽部
・男
・ゲームプレイヤーの1人
・基本的に誰に対してもため口(((失礼ダネ
ここね
・高校三年生
・サッカー部 副部長
・女
・ゲームのターゲット
・いつも笑顔。まさにみんなのアイドル!
ふゆり
・高校二年生
・バドミントン部
・女
・りょうと幼馴染み
・りょうに告白(返事はまだもらってない)
みお
・高校二年生
・卓球部
・女
・これからりょうと一緒に帰る予定
読んでくれてありがとうございます
オリンピックの柔道見てたらめちゃ夜更かししちゃいました
10.)情けない
「さっき見ちゃったの。りっくんがサッカー部の先輩と仲良さげに話してるのを。あれって私をふったのと関係ある?」
痛いところをついてくる。なんて返そう。どうしよう。正直なこと白状するか、嘘つくか……
「なにも言わないんだ……やっぱり関係あるんだね…………」
あぁ…………どうすれば……
「うちと付き合いたいって言ったの全部嘘だったの?!信じらんない…………」
嘘なわけない。それは事実
「ふゆり」
特に言うことは何も決まってないがとりあえず名前を呼ぶ。
「なに」
少し驚いた。ふゆりの冷たい目。こんな目は初めてだ。
「俺さ、どうしたらいい?」
素直な気持ちをぶつけてみる。分からないときは相談すればいい。
「はぁ?」
「俺、どうしたら…………」
「どうしたらって………………え?大丈夫?!」
「あれ?なんだこれ…………」
頬を冷たい何かがつたう。…………涙…………なのか?
「はいこれハンカチ!使っていいよ!」
「あ、ありがとう………………」
「ね、どうしたの?」
「わかんないよ…………」
「あっ俺早く行かなきゃ……」
「えっ誰かと帰るの?」
「うん…………」
「ふゆり、ハンカチありがとう。明日洗濯して返すね……じゃまたね」
「うん……また明日ね……」
情けない……でもどうして涙が……?
「あっりょうくん!」
「ごめんお待たせ!」
「全然来ないから忘れられたのかと思っちゃった。」
「ごめんな。色々あって……」
「それよりもさ、目赤いけどどうしたの?」
「あぁこれは……ううんなんもない」
「そっかじゃ、帰る?」
「うん、帰ろ」
ふゆりの前で泣くなんて…………それよりもここね先輩が俺のこと好きだったとは…………
「りょうくん?あのさ、今日こうやって帰りたいって言ったのは何でだと思う?」
「え?それは……暇つぶし?」
「全然違うってばぁ………えっと…連絡先、交換したいなって…………/////」
「連絡先?あぁ別にいいけど」
「えっいいの?!」
「うん」
「えっとじゃあスマホ…………」
「あぁはいどうぞ」
「あ、えっとちょっと待ってて」
「分かった」
「えーと、ここをこうして…………えっ?!あ、そっか…………そうだよね………………………よし、できた」
「はい!ありがとう!」
「おう」
「あのさ、さっき見ちゃったんだけど…………いろんな女の子と連絡先交換してるんだね」
「まぁ確かにそうかも?」
「あっりょうくん」
「あっ!先輩!」
「あーえっと、三年生の方ですか……?」
「あ、ごめんね邪魔しちゃった!りょうくん"あの事"なんだけどさ、いつ行ける?」
「あ~そうですね……いつでも暇なんで先輩が好きに決めていいですよ。」
「おっけー!決まったら連絡したいからさ、部活のグループラインから連絡先繋げてもいい?」
「あ、お願いします」
「わかったぁ!…………えっと君、頑張ってね!」
「あっ私ですか……?」
「うん!」
「あっありがとうございます!」
「いいえ~楽しんでね~2人ともまたね!」
「はい。また今度。」
「……えっと……あの人は?」
読んでくれてありがとうございます
なんか最近、痣が1日に一個増えてってるんです
なんで?笑
11.)ばいばい
「……えっと……あの人は?」
「サッカー部の先輩だよ」
「あっそうなんだ!どういう関係なの?」
どういう……関係…………ゲームのターゲット?部活の先輩後輩?俺を好きな人?
「ん~色々?なんか複雑な感じ?」
「付き合ってはないってこと?」
「うん……だけど……」
「だけど何?好きなの?」
「え……えっと……秘密!」
俺は…………先輩のこと、どう思っているんだろうか…………好きとは少し違う気もする…
「そっか…………じゃあ私の事なんて眼中にないよね……」
「え?何言ってるの?」
「へ?」
「みんな同じ人間なのに眼中にないとか、そんなの俺おかしいと思うんだよ」
「かっこいい…」
「え?」
「私、自分の考えをちゃんと持って周囲に流されない人って憧れるから…」
「あ~なるほどね。分かる分かる」
「だよねだよね!」
「あっ…俺ん家こっちだから。じゃあな」
「あっうん!また学校で!」
「あっ今日一緒に帰ってくれてありがと!」
「ううん。こっちこそありがとう。楽しかったよ」
「うん!」
ばいばいと手を振ってくれる。俺も振り返す。するとみおは、嬉しそうに笑った。
「よし、帰ろ」
すると突然スマホが鳴った。誰だろう。
「はい、もしもし?」
『おっりょうやっほー、たおきだよ~』
「やっほー」
『先輩……お前の事好きらしいな……ゆおに聞いたよ…………デートにも行くらしいなぁ』
「うん。あのさ……ごめんね」
『…………ゆおがさ、あのゲーム、なかったことにしようって言ってきたよ。俺はいいと思う。』
「えっ本当?!」
『本当。俺だってもう負けてるし……』
「じゃあ、取り消しってことでいいの?」
『それがな、まだめるやに話してなくてさ…まだ取り消しって決まった訳じゃないんだ』
「そっか……」
『じゃまた明日ね。何か決まったらまた連絡する』
「了解」
ガチャ
「ただいまー」
「おかえりりょう。遅かったわね。心配したのよ?」
読んでくれてありがとうございます
最近勉強サボりすぎてやばいです
あは
12.)親孝行するには
「おかえりりょう。遅かったわね。心配したのよ?」
「母さん、俺はもう子供じゃないんだからそんなに心配しなくても……」
「でもね、もし事故に遭ったりしてたら大変でしょ?遅くなるときはちゃんと言ってね」
「うんわかった。これから気を付けるね」
「ええ。ご飯できてるから手、洗って来てね」
「うぃ。今日の夕飯なに~?」
「今日はりょうの大好きな肉じゃがよ」
「えっまじ?!やったぁ!」
洗った手を拭いて椅子に座る。
「いただきます」
さっそく肉じゃがを口に放り込む。
「ッ!…………うめぇ……いつもとなんか味違うけど」
「ほんと?よかったわ。隠し味にはちみつ入れてみたのよ」
「あっだからちょっと違うのか」
「たまには違う味じゃないと私が飽きちゃうからね」
「肉じゃがはどんだけ食っても飽きないぞ!」
「すごいわねぇ………………………ねぇりょう。今日元気ない?……何かあったの?」
「え?」
「あ、いや何もないならいいんだけどね……でも…………絶対何かあったでしょ?あなたが生まれた時からずっと一緒にいる私の目からは逃げられないわよ」
「………母さん…………俺さ…………ううん。やっぱりなんでもない」
「そう?辛かったら、いつでも言ってね」
「うん。ありがとう母さん」
「……私、りょうが高校卒業するところ見たいな…………」
俺が……卒業するところ……。母さんは病気で、最近からだの調子が悪いらしい。
「母さん!俺、頑張るから!一緒に頑張ろう!」
そうだ。俺が早く親孝行してあげなきゃ。母さんを幸せにするんだ。
「まぁ。ありがとうね、りょう。」
うふふ、と嬉しそうに笑う。
母さんに親孝行するにはまず、俺があのゲームを何とかしなきゃ。
読んでくれてありがとうございます
最近昔描いた絵を書き直すのにハマってます
13.)美味
母さんのためにも、俺があのゲームを何とかしなきゃ。
~翌日(金曜日)~
「いってきます!」
「いってらっしゃい!事故には気を付けてね!」
「ういー」
ガチャ
やべぇ。昨日色々考えてたら全然寝れなくて、寝坊しちまった!急げ!
キーンコーンカーンコーン
ギリギリ間に合ったっ。
「おっりょう!お前遅かったな!休むのかと思ったぜ?」(たおき)
「ちょっと寝坊しちゃって……」
「ほぉん。珍しいな」(たおき)
・・・・・・・・・・
「いただきます」
うまい。一晩たっても肉じゃがは美味。
「ごちそうさま」
よし、昼休みのうちにめるやと話をしよう。
「おいめるや」
「んん?りょうちゅぁん?どぉしたのぉ?」
「あのゲーム、取り消しでもいい?」
「んえぇ?いきなりぃ?なんで取り消すのさぁ?」
「俺も、ゆおも、たおきも、ゲームやめたいって思ってるから」
「ふぅん。面白くないのぉ。」
「で、めるやはまだ続けたいの?」
「もうちょっと理由がないとぉ納得できないなぁ。」
「…………俺の個人的な話になるんだけどさ…昨日母さんと話してたら、親孝行したいって思ってさ、それをするためにはとりあえずこのゲームを何とかしなきゃだと思ったから。」
「そうねぇ……本音を言うとぉ……もう少し続けてみたいってのはあったけどぉ……別にぃやめてもいいと思うよぉ。」
「ほんと?!」
「まぁね……まぁねぇ……まーねー……まねー?」
「マネー?お金?」
「ううん~なんでもないのよぉ。りょうみたいな可愛い子ちゃんにはぁ、冗談は通じないもんねぇ~」
「お、おう」
読んでくれてありがとうございます
14.)ハンカチ
「ううん~なんでもないのよぉ。りょうみたいな可愛い子ちゃんにはぁ、冗談は通じないもんねぇ~」
「お、おう」
「おい2人ともそこでなにしてんの?」
「あぁっゆおちんじゃないかぁ。ゲームの《《はなし》》してたのぉ♡」
「おっ!で?!どうなった?!」
「なんかねぇりょうちゅぁんがぁやりたくないよぉやりたくないよぉえーんえーんってぇ言ってくるもんだからぁしょおがなくぅ取り消してもいいよぉってなったぁ」
「え……りょう……そんなこと言ったのか?」
「え。言ってないけど……?」
「あぁっりょうちゅぁんったら悪い子ねぇ。正直すぎるのよぉ?」
「まっまぁとりあえず取り消しになったのね!よかった!」
「じゃあぁ…あとはぁりょうちゅぁんがぁここねっち先輩をぉゲットしてぇハッピーエンドをぉ向かえればいいってことですかねぇ」
ここね先輩をゲット…………ふゆりはどうなっちゃうんだ…………?
あっそうだった。ふゆりにハンカチ返さなきゃ。
「俺、ちょっと行ってくるね」
「ん?どこ行くの?」
「ふゆりのとこ」
「あぁっりょうちゅぁんにはここねっち先輩だけじゃなくてふゆりんとかぁみおみおもいるんだったぁ」
「りょうは欲張りだねハハッ」
「ちげぇよ。昨日貸してもらったハンカチ返しに行くだけだよ」
「へぇ。おもんなぁい。まぁいいけどぉ」
えーと確か、ふゆりの教室は……………ここだ。
「おっ。りょうやん。」(モブ)
「今ふゆりっている?」
「ふゆりならそこにいるよ。ちょっと待ってて。呼んでくる~」(モブ)
ふゆり。申し訳ないけど俺、誰とも付き合わない事にするよ。一週間後、それを伝えに行くね。
「りっくん!どうしたの?」
「はい、ハンカチ返しに来た」
「あっありがとう!」
「じゃ、またね」
「…………うん」
りっくん………どうしよう。りっくんの服と一緒に洗われたハンカチを、今!この手で持っている!はぁ家に帰ったらいっぱい匂いかご♡やば…これじゃあ完璧なる変態だわ。
……………りっくん。待っててね。りっくんが悩んでいる所、もう見たくないんだ。うちが告白したせいだよね……もう大丈夫だよ。もう少しで楽にしてあげるから…………
読んでくれてありがとうございます
オノマトペってすごく便利ですね((
15.)閉会式
……………りっくん。待っててね。りっくんが悩んでいる所、もう見たくないんだ。うちが告白したせいだよね……もう大丈夫だよ。もう少しで楽にしてあげるから…………
「ただいま~行ってきたよ~」
「おっりょうおかえり」(ゆお)
「あ、たおき。どこ行ってたの?」
「部活の集まりに行ってきた」(たおき)
「あ~なるほどね」
「りょうちゅぁん?ふゆりん元気にしてたぁ?」(めるや)
「うん」
「んあぁじゃあ四人揃ったし、閉会式を行う。」(ゆお)
「閉会式?」
「おう!これから閉会式を始めます!え~これで、ゲームを終わります!ありがとうございました!」(ゆお)
「あざぁしたぁ!」(たおき)
「フォォォォォォ!⤴」(めるや)
はぁ。よかったぁ………母さん。俺、頑張って生きていけそうだよ。
読んでくれてありがとうございます
今回はちょっと短かったです
ごめんなさい
16.)タメ口
はぁ。よかったぁ………母さん。俺、頑張って生きていけそうだよ。
ピロン♪(りょうのスマホの通知音)
「ん、りょう、誰から?」(たおき)
「えーと、あっここね先輩からだ」
「え?!おまっいつの間に先輩と連絡先繋いでたの?!」(ゆお)
「う、うん」
「りょうちゅぁん?先輩からなんてきたのぉ?」(めるや)
《りょうくーん!|日曜日《あさって》とか空いてるかな!》
「ん~えっとね……秘密!」
「え~つまんねぇなぁ笑」(たおき)
《空いてますよ。その日に行きますか?》
「わお」
すぐに既読がついたので少しびっくりした。
「んん?何があったのぉ?りょうちゅぁんがぁ"わお"とか言うの珍しすぎてぇまじでぇレアガチャひいたきぶんだよぉ」(めるや)
《あっよかった!うん!その日に行こ!》
《てかりょうくん、めちゃ既読早いね!》
《こっちのセリフですよ》
《うれしいです》
《はわわ💦私も嬉しいよ!( 〃▽〃)》
《その日は何時集合にしますか?》
《私は一日中空いてるからいつでもおっけー!集合場所はカフェ近くの駅でいいかな?》
《俺も1日暇です。集合場所、そこでいいと思います。》
《了解(^-^ゞじゃあ時間は9時くらいでいいかな?》
《はい。いいと思います。》
《あっあのさ……こうやってる時さ、タメで話せる?ごめんねこんなお願いしちゃって》
《わかりました。全然大丈夫です。》
《よかった!じゃああさっての9時に駅集合ね》
《おっけー》
先輩に……タメ口…か。なんか……なんか……嬉しい……
先輩、明明後日、いっぱい食べましょうね。
読んでくれてありがとうございます
17.)風邪
先輩、明後日、いっぱい食べましょうね。
ここね先輩目線で話が進みます!
---
~翌日(土曜日)~
「ゴホッゴホゴホ」
あれれぇ風邪引いちゃったかも……喉いたいし…
コンコン(ドアのノック音)
「はーい、ママ?」
「残念パパでした~」
「あ、パパだったわ……ゴホッ……」
「ん?風邪ひいたのか?」
「うん……そうみたい」
「そうか。熱、はかったか?」
「ううん、まだぁ」
「今日部活休むわゴホッ」
「だな。今日はゆっくりしてろ。パパが学校に連絡しといてやる」
「うん!ありがとゴホッゴホッ」
「パパとママ今日仕事だけど大丈夫か?」
「へーきへーき!もう17歳なんだから大丈夫だってばぁ」
「まぁ今日は"ここむ"(弟)もいるからね」
「しっかしまぁ17歳かぁお前、としとったな」
「それパパにだけには言われたくないッ……」
「なんだなんだぁ?冷たいぞ」
「パパの気のせいでしょ~?」
「それならいいんだけどなぁ」
「んじゃ、飯はちゃんと食うんだぞ?分かったか?」
「うん!」
がはは、と笑いながら私の部屋から出ていく。全く。パパは自由な人なんだから。でもそういうところがいい。
りょうくん…………風邪ひいちゃったよどうしよう……明日までには治さなきゃ…………
とりあえずご飯食べよ。
そう思って、ベッドから立ち上がろうとした瞬間。視界がゆれはじめた。
ドサッ
あれ?私……倒れちゃった?
あ…………あ…………頭がボーッとする…………
「……………い!…………んぱい!ここね先輩!」
「ハッ……あれ?りょうくん?」
「先輩!大丈夫ですか?!」
「え?りょうくんなんで私の家に?ゴホッゴホッ」
「部活に来ないから心配で来たんですよぉ!それで来てみたら意識失ってるし!」
「でもっなんで住所分かったの?」
「それは…………なんでもいいから、大丈夫ですか?!」
「大丈夫だけど…………?ゴホッ」
「そうですか?よかった!とりあえずこの水飲んでください!」
「あっありがと!」
ゴクゴク
「はぁ。喉がちょっとすっきりした………ッ?!」
ドクン!ドクン!
「く…………るし…………うっ…」
「先輩。ひっかかりましたね。先輩の顔なんかもう見たくありません。さようなら。」
りょう……くん?ど…………して?毒……入れられた?くるしい…………くるしいよぉ……誰か…助けて……
…………ハッ
「ゆ、夢?!」
胸に手を当ててみる……はぁ。よかった、ちゃんと生きてる。
読んでくれてありがとうございます
18.)さようなら
「ゆ、夢?!」
胸に手を当てる……はぁ。よかった、ちゃんと生きてる。
前話と同じくここね先輩目線です!
---
よりによってりょうくんに殺される夢。
「アアアァァァァァァァァァァァァァァァ!!(叫び)ゴホッゴホッゴホッゴホッ」
なにやってんだよ私。
「もう……最悪…」
「そうだ。ご飯食べなきゃ」
「いただきます」
毒、入ってないよね……?
ドキドキ…………
ハムハムモグモグ
「あっ美味しい………」
「ごちそうさま」
今日はパパに言われた通りゆっくりしよ。
ピピピピ♪
[38.6℃]
あっオワタ笑がっつり熱出てるぅ
・・・やばい。めちゃひま!
「あっそうだ!りょうくんに風邪ひいたって連絡しなきゃ!」
〔風邪ひいちゃったから今日部活休むね!〕
あとは送信ボタンを押せば……押せない?!指が震える。これは…………恐怖?なんで?!あれは夢でしょ?!
さようなら。そう言ったときのりょうくんの顔が頭をよぎる。
「…………この家に酸素が存在しなかったらなぁ……楽になれるのに……」
ピロン♪(スマホの着信音)
ん?誰からだろ…………
あっ部長だ…………私ったら…何を期待してたんだよ
《俺今日部活行けないことになったんだけどさ、部長の仕事とかここねに頼んでいい?》
あぁ。私じゃだめだよ。
《ごめん無理!》
《私風邪引いちゃった☆⌒(*^∇゜)v》
あ、"しょうな"も既読つくの早いな
《えっまじで?》
《それはおもろすぎる笑》
《あぁっ!笑い者にしてるな~?》
《ひどいよぉ》
《ごめんごめん笑》
《しょうなはなんで部活休むの?》
《俺さぁなんか家族旅行が今日だったのすっぽかしててさ笑》
《え~旅行ずるーい》
《いいでしょお!北海道のおばあちゃん家に行くんだ~》
《おお~!北海道いいね!》
《でもよぉ誰に部長の役割頼む?(急な話題転換すまん)》
《|根園《ねその》さんとかどう?(急な話題転換許す)》
《おっけー!聞いてみるね》
《うん!》
あれ?今何時?
8時か。部活は午後からだからまだりょうくんにあのメッセージ送るチャンスはある。
ピロン♪
読んでくれてありがとうございます
なんかもう18話まで来ちゃったんですね
いまだにどんな最後にするか考えてないです
でもなんとか頑張ります
19.)悲鳴
ピロン♪
ん?また?誰から……
あっ部長だ…………私ったら…何を期待したのよ…
《あのさぁ風邪ってどんな風邪?来週の大会来れるよな?》
そうだった。来週大会だった。三年生の引退試合。行かないわけにはいかない。
《風邪はねぇ咳と熱と喉の痛みだよ~大会多分行けると思う!》
《それならよかった!》
《うん!じゃあ旅行楽しんでね!》
《おう!》
あ~旅行いいなぁ……私は天井を見つめてるだけ…
私何してるんだろ。
「あぁだめだめ!もう!1人になるとネガティブ思考になる癖やめよやめよ!」
バシッ
頬を自分で叩く。痛い。でも!気合い入った!
「よし!私は!なんとしてでもこの試練を乗り越えて見せる!そのためにまず!寝よう!悪い夢でもいい夢でもかかってこい!」
・・・・・・・・・・・・・・・
ここは……通学路だ……
「キャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
え?悲鳴が聞こえる…
「そこの姉ちゃん逃げた方がいいぞ!」
「えっ?!私?!なにが…………………え?なにあれ……」
ごっ…………ご…………ゴリラ?!でっか!!
ななななんで?!ああああれっ身長20mくらいあるぞ?!早く逃げなきゃ!!
ハァハァ…やばいあのゴリラさん足はやい!!
やば!追いつかれる!
「キャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」
「へぁ?…ゆ、夢か」
あ~びっくりした。
ドンッ(ドアを叩く音)
「姉ちゃんうるさい」
「あっ!ごめん!」
つい叫んでしまった…。
「姉ちゃん」
「ん?なに?」
「ちょっと話あるんだけどいい?」
「いいけどさ、風邪移っちゃうかもだから部屋から出られないよ?」
「うん分かってる。こっち来て」
なんだろう。なんか…怖い。
ガチャ(ドアを開ける音)
「なぁに?」
「風邪、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
「姉ちゃんさぁ電話しても出てくれないから困ってたんだよ」
「えっ?!ごめん気づかなかった!ゴホッ」
「今何時か分かってる?」
「えー…と…十時くらい?」
「時計ちゃんと見ろ。今二時だぞ。」
「はへ?!うそ!」
「昼飯、どうする?」
読んでくれてありがとうございます
新キャラの弟くんが出てきました
一応ここね先輩は二人姉弟です
りょうは一人っ子です
ファンレターくれた方ありがとうございます
読んでくれてる人がいるって思うとモチベ最高
20.)悪化
「昼飯、どうする?」
「姉ちゃん食欲ある?」
「ん~ないかも」
「俺さぁ飯作れねぇからよぉどうしたらいい?」
「私、作ろうか?」
「いや、無理してほしくないから遠慮しとく」
「そっか…う~ん……………あ…れ?」
急にめまいがして視界がゆっくりと傾いていく。
「姉ちゃん?!」
ドサッ(弟が私を受け止める音)
「姉ちゃん大丈夫?!」
「あ、うん」
「顔色悪いよ?」
やっぱり……無理は駄目だよね。
「コンビニで買ってきたらどう?」
「へ?なんの話?」
「お昼ごはんだよ」
「いやそれ俺も思ったんだけどさぁお金がなくてよぉ」
「何円持ってるの?」
「30円くらい」
「少な!私でさえ3000円あるぞ?」
「いやだってしょうがないじゃん……友達と遊びすぎたんだもん……」
「でもなぁ私お金使うわけにはいかないんだよな……」
だって、りょうくんとカフェに行くんだもん。
「姉ちゃんどうにかして」
やっぱり私が作るしかなくね?でも……元気になりたいんだ一刻も早く。
「カップラーメンとか?」
「姉ちゃんの健康に悪い」
「あ、そう。じゃあ冷凍食品とか?」
「さっき冷凍庫見たけどアイスと肉しかなかったよ」
「え、うそ」
「もうおやつ食べようかな……」
「だめだめ!あんたサッカー選手になりたいんでしょ?!健康に気を付けなきゃ!」
「じゃあどうしろと」
「私が作る」
「駄目だってばぁ……これはどう?……俺が作るからさぁ姉ちゃんが見ててくれよ」
「それならいいと思う」
「じゃあ来て」
手を握られてキッチンに連行される。
弟の手は温かくて、安心した。
「んでなに作るの?」
「え~?カレーとかでいいんじゃない?」
「よしじゃあ作るか」
・・・・・・・・・
「いただきます!」
「ん!美味しい!……姉ちゃん…食べないの?食欲ない?」
「ううん。食べるよ。」
毒…入ってないよね……あぁもう!いつまでもそんなこと気にしてたら生きてけないぞ!
「いただきます!」
おもいっきり口の中に詰め込む。
「………………お…美味しい…」
「でしょでしょ!」
「こんなに美味しくなったのも全部姉ちゃんのおかげだよぉ………………って姉ちゃん?!」
「え?なに?」
「もう完食したの?!」
「あ、うん」
「相変わらず食いしん坊なんだから」
「えへへ……ゴホッゲホゲホゴホゴホッッ」
「姉ちゃん、風邪が悪化してるよ」
「うん……カレー美味しかったよ!ありがと!」
「どういたしまして~てかありがとうはこっちのセリフ」
「はいはい、おやすみ~」
自室のドアを開け、ベッドへ一直線~…………
ドサッ
読んでくれてありがとうございます
最近特になんもないんで暇を極めてます
なにか刺激がほしいです
例えば旅行とか恋愛とか
21.)砂場
りょう目線にもどります!
先輩、今日部活来なかったな……何があったんだろ。
連絡も……来てない…。
《先輩、今日は何かあったの?》
タメ口…慣れないな…ちょっと恥ずかしい……。
いつもならすぐに既読がつくのに、このメッセージは三時間たっても既読がつくことはなかった。
今は午後10時。俺は睡魔に襲われて眠りについた。
翌日(日曜日)朝5時。目が覚めた。
今日はここね先輩とカフェ……のはずだった。
朝起きてスマホをみると……
《ごめん風邪引いちゃった!》
《だからほんとごめんなんだけど、明日行けそうにない……》
風邪…か。ここね先輩が、風邪?嘘だ。楽しみにしてたのに!
俺昨日気がついた。先輩が部活休んで、俺、つまらなかった。浮かない顔してたら、"りょう。それは恋だよ"ってゆおに言われた。
先輩聞いてください。俺先輩が好き。
………………ふゆりは、幼馴染みとして好きなんだって気がついた。ふゆりとは、公園の砂場で泥団子を一緒に作るくらいが一番楽しい。付き合いたいなんて言ったけど、多分本音よりの嘘だったかもしれない。
先輩には、いつかこの気持ちを伝えてみせる。先輩が俺に告うより先に。だから、待っててくださいね。
《風邪、大丈夫?》
《今日行けないのは残念だけど、先輩が元気になったら絶対行こう!》
先輩とは公園の砂場じゃなくて、ブランコで遊びたいです!
……あ。みおさんからもメッセージきてる。なんだろう……
《あのさ、私りょうくんの事好きなの❤️それでさ、付き合ってって言ったら、🙆🆗してくれる?💌✨》
《ごめん。それはできない。》
本当にごめん。
ピロン♪
誰からだろ…………みおさんだ…返信早いな
《そっか🥺だよね😖💦理由とか聞かせてくれるかな…🙇》
《好きな人がいるから》
《そうなんだ🙍それって三年生のあの人?👂️😢💦》
《うん。》
《分かった👍️》
傷つけちゃったかな………俺が誰かを幸せにすることって出来るのかな………。
読んでくれてありがとうございます
最後まで読んでくださったら嬉しいです
22.)あの時
傷つけちゃったかな………俺が誰かを幸せにすることって出来るのかな………。
最近よく、父さんと兄さんの事を思い出す。
そのたびに胸が締め付けられて、絶望感が溢れだす。否、暴れだす。
父さんと兄さんは俺が小学生の時に交通事故で死んだ。
---
「りょう。1人でお留守番できるか?」
「うん!できるよ!」
「そうか。じゃあ家は頼んだぞ」
「うん!いってらっしゃい!3人とも、楽しんできてね!」
ある日俺は留守番を任された。
二時間すれば帰ってくるだろうと思っていた。
だけど夜になっても、帰ってくることはなかった。
1人でいたら電話が来たのでてみたら、家族が交通事故に遭ったという内容の病院からの電話だった。
目の前が真っ暗になった。
そのあとお母さんからの電話が来た。
1人で大丈夫かという内容と、父さんと兄さんが死んだという内容だった。母さんは大怪我したらしい。
信じられなかった。いつも通り帰ってくることが当たり前だと思っていた。
今思い出すと、兄さんからの最後の言葉は、「りょうってばかだよね」だった。
兄さんとは喧嘩して仲直りできずに離ればなれになった。
---
父さん、兄さん、会いたいよ………。
でも、後ろを向いている場合じゃない。振り返っている時間なんかない。今はただ、誰か1人でいいから幸せにしてあげることしかできない。
母さんの命ももう長くはないらしい。事故の時の怪我が原因らしい。
だからせめて、母さんだけでも幸せにする。
母さんに負担をかけさせたくない。だから今日はいつもより早く起きた。
朝ご飯作って、掃除して、母さんが心ゆくまでゆっくり休めるようにしてあげるんだ。
キッチンに進む。お米を炊いて、お味噌汁を作る。もちろんおかずも用意した。
リビングで母さんが起きるのを待つ。
だけど何時間たっても起きてこない。あの時の事を思い出す。
まさかと思った。心配になったので母さんが寝ている部屋に入る。大丈夫。いつものように寝ている。
しかし、呼び掛けても反応しない。もうすでに、母さんは静かに息を引き取っていた。
また、俺の知らない間に大切な人を失ってしまった。
「うわあああああああああああアアアァァァァァァ」
「母さん!母さん!なんでっなんで!!」
母さんの手は冷たかった。
いつも温かかった母さんの手はどこにいったんだよ………
俺は、泣き崩れた。
読んでくれてありがとうございます
23.)涙
俺は、泣き崩れた。
あれから、何分がたっただろうか。
俺の涙が止まることはなかった。
俺にとって、事故で母さんが死なないでいてくれたことが何よりの救いだったのに。
あの時1人になっていたらきっと、今の俺は無い。母さんが毎日応援してくれて、お弁当作ってくれて、家事してくれて、勉強手伝ってくれて、肉じゃが作ってくれて、落ち込んでるとき励ましてくれて、俺のくだらない話聞いてくれて、えがおでいてくれて、俺、母さんの子供でよかった………本当に………伝えたかった。
信じられない
母さん……言ってよ、まだ生きてるって
………………こんな人生……もうやだよ……
ピンポーン♪
誰?こんな時に。
「はは。出なくていっか…」
こんな顔で人に会いたくないよ………
ガチャ
「え?鍵開いてた?」
強盗?!
「りっくーん!どこにいるのー?いるのは分かってるよー!てか鍵開いてたしー不用心だよー!りっくんの靴もちゃんとあるの確認したからねー!逃げようと思ってもそうはいかないぞー!」
ふゆり?!何しに来た?!
「あっりっくん!」
「ダイニングにご飯あったけど食べないの?」
俺は初めてふゆりを拒絶した
「来ないで」
「え?私のこと嫌い?」
「そういうことじゃない」
ふゆりの方に顔を向ける。
「えっなに?!また泣いてんの?!」
「ハンカチいる?」
「いらない」
「ねぇどうしちゃったの?」
「………………母さんが…」
「え?」
「朝起きてご飯作ったんだ。一緒に食べようと思ってたけど、母さん全然起きてこなくてッ…見に来たら…息してなくて………………ッ…ううぅ」
涙が止まらなくなる。
「………………………嘘……」
長い沈黙のあと、ふゆりが一言、そうつぶやいた。
「おれっひとりに………………ズビなっちまった」
「信じらんない。嘘だ。なんで」
「うるさい」
「あっちいけ」
「えっあっうん………ごめん」
「……うわああああああ」
「かあさん………」
叫んでも叫んでも、母さんには届かない。
「うっうっ………なんでいつも、俺をひとりにするんだよ…」
「母さんのばか……」
読んでくれてありがとうございます
24.)黙っちゃた
「なんでいつも、俺をひとりにするんだよ…」
「母さんのばか」
ゆお目線です
---
~翌日(月曜日)~
「ゆおっちやん!元気にしてたぁ?」
「元気元気!今日りょう休みだってさ」
「えぇ?!なぁんでぇ?!」
「さあ?俺も理由までは聞いてない」
「ここね先輩も風邪引いて今日休みだって」
「まぁじかよぉ!どっちもしんぱぁい」
「んね」
「あったぬきも来たぁ!おはよぉたぬきー!」
「おはよ。ひとつ許せないことがあるとするのならば……俺はたおきだ。決してたぬきではない」
「えぇ?別にいいじゃあん」
「どこがだよ。ゆおもおはよー」
「おはよう」
「あのさ………大ニュースあるんだけど聞く?」
「えなんそれ気になる!」
「おぉ!話してもらおぉかぁ!」
「りょうがここね先輩のこと好きらしい」
「ふぁ?」
「えぇまじでぇ?!」
「一昨日ここね先輩が部活休んだんだけどさ、りょうが浮かない顔で部活やっててよぉ、どうしたん?って聞いたら"先輩がいなくてつまんない"って」
「おいまじか!完璧な恋じゃん」
「りょうちゅぁんもオトナになりまちたねぇ!えらいえらい!」
「おいめるや、誰目線?」
「ん~親ぁ?」
「ハッおもろ!」
「めるやってたまにおもろいよな」
「おぉいぃ!ゆおっち!たまに、とは聞き捨てならんなぁ!」
「はいはい。いつも面白いよめるやは」
「しゅごいでちゅねーー!」
「ゆおっちぃテキトーすぎないかぁ?あとたぬきはおれのことバカにしてんのかぁ?」
「………………………」
「………………………」
「無言んん?つらいぜぇ(泣)」
「………………………」
「………………………」
「おいぃ、流石にひどいぞぉ」
「………………………」
「………………………」
「………………………」
なんだこの沈黙は。めるやも黙っちゃったじゃねぇか。
「………………………」
「………………………」
「………………………」
なんだこれ。1番最初に話した人が負けみたいなゲームなのか?!
なんだこの空気…気まずっ
りょうがいたら何か違ってたのかもなあ
読んでくれてありがとうございます
25.)親友の姿
りょうがいたら何か違ってたのかもなぁ
ゆお目線で続きます
---
~放課後(下校中)~
今日は部活ないから暇だなぁ
りょうがいないから一緒に帰る人もいない。
りょうみたいにモテてたらこんなことはないんだろうけど…
てかりょうなんで休みなんだよ
電話しよっかな
プルルルル プルルルル プルルルル プルルルル………………
出ない?
ラインの既読もつかないし…
ふゆりちゃんに聞けば分かるかな
でも連絡先知らないしなぁ………………って…ゑ?
「ゆおくん。りっくんが大変なの」
なんでここにふゆりちゃんが………待ってたのか俺を
………そんなことはどうでもいい!今はりょうの話だ!
「りょうが?」
「うん。昨日りっくんの家に行ったら、お母さんが………」
「え?なんの話?」
「これから一緒にりっくん家に行かない?」
ひとりで話を進められる。俺の言うことなんか聞いてないらしい。
「え、別にいいけど………」
「よかった!急ご!」
「ねえ、りょうに何があったの?」(走り中)
「りっくん、立ち直れないかも!」(走り中)
「どういうこと?」(走り中)
「ずっと………泣いてて………」(走り中)
「誰が?」(走り中)
「りっくんが…」(走り中)
「なんで?!」(走り中)
「りっくんのお母さんがっ昨日ッ…」(走り中)
「何かあったの?」(走り中)
「死んじゃって………」(走り中)
「ヱ?」(走り中)
「着いた…早く来て!」
「えっう、うん」
ガチャ
「こっち!」
コンコン
「りっくん?大丈夫?」
「ゆおくん、入っていいよ」
言われるままに部屋のなかに入ってみる。
そこには、見たことのない親友の姿があった。
俺は思った。人は短時間でこんなにも痩せるのか、と。その頬には涙がつたっている。
なんて声をかけたらいいのか…分からない
「あ、ゆおじゃん…」
その声はかすれていて、なんとも弱々しくて、胸が、苦しくなった。
読んでくれてありがとうございます
26.)乗り越える
「あ、ゆおじゃん…」
その声はかすれていて、なんとも弱々しくて、胸が、苦しくなった。
りょう目線に戻ります
---
あ、ゆおじゃん。そう言った声はかすれてしまった。
ふゆりがゆおを連れてきたのか。
いい加減ひとりにさせてよ。
これから通夜があるからそれまでに母さんの死を受け入れようと努力してるのに邪魔されちゃ困る。
「2人とも……俺は大丈夫だから…もう帰っていいよ」
「りっくん………じゃあ私帰るね……ゆおくん、行こ」
「りょう。少し話があるんだ。いいかな」
「え?ゆおくん?帰らないの?」
「先に帰ってていいよ」
そう言って俺との距離を縮めてくる。
「話って………なに?」
「りょう。俺さ、いつまでもりょうの味方だからね。いつでも頼って。」
でも…ゆおには申し訳ないよ
「ゆお…………さっき…電話くれたよね………出なくてごめん………なんか全部どうでもよくなっちゃって」
「………ごめんなんて言うな!どうでもいいなんて言うな!」
ゆおの声は、俺の声なんかと違ってしっかりとしていた。
その声に体を預けても、しっかり支えてくれる。そんな気がした。
「俺………母さんを幸せにしたかった。なのに………俺、誰かを不幸にすることしかできないのかな……」
「りょう。俺りょうのおかげで毎日楽しい。幸せ。だけど今日学校にりょうがいなくて、寂しくて、心に空洞が開いたみたいな気持ちになった。少なくとも、不幸になんてさせられてないよ。」
「だけど…………」
「…お母さんはもういないんだからいつまでもへこたれてるな!今いない人を幸せにしてあげたかった?!ふざけるな!しょうがないだろ!りょうが今考えなきゃいけないのは、今ちゃんと生きてる人をどうやって幸せにするかじゃないのか?!そりゃあさ、大事な家族が亡くなってつらいのは知ってる!知ってるよ!だけど!それを乗り越えなきゃいけないんだ!りょう!」
乗り越える………今生きてる人をどうやって幸せにするか…………
そうだだった。諦めるのは、まだ早い。
「じゃあ俺帰るね」
「ゆお」
「ありがとう………俺、母さんは諦めて…………ここね先輩を幸せにする」
「お!いいじゃん!ファイトだぞ!」
「おう」
本当に………ゆおが来てくれて救われた。
いつも母さんはそばにいてくれた。
最後に、思いっきりありがとうって伝えるんだ。
読んでくれてありがとうございます
今新しいシリーズ書いてるんですけど、やっぱり小説書くのって難しいなって思いました
でも楽しいです
これからもよろしくおねしゃす
27.)ポジティブ人間
最後に、思いっきりありがとうって伝えるんだ。
ここね先輩目線です!
---
~翌朝(火曜日)~
「ここね!完全復活!」
ドンッ(ドアを叩かれる音)
「姉ちゃん朝からうるさい」
「ごめん!ミスった!」
………昨日、りょうくんから連絡が来た。
《俺明日も予定があるから学校休むね》
何があるのかは知らないけどとにかく寂しい!
だから!私はこう返信した。
《りょうかい!明後日の次の日!カフェいけるかな…》
なんとしてでも一緒にカフェ行きたい!あえてデートなんて言わないけど、はは///
その後りょうくんとやり取りした結果、木曜日(明後日)に行く事になった!
いやぁ楽しみ!
それよりも!今日は学校だ!頑張ろ!
・・・・・・・・・・・・・・・・
「あっここね来た!おはよ!」
「おはよ!|モブ《マブダチ》!」
「あんた何風邪ひいちゃってんのよ!」
「えへへ、それほどでもないけどぉ」
「ほめたわけじゃないんだけどなぁ…」
「弟とも絆を深められたのでグッジョブグッジョブ!」
「ほお…それはよかった」
「1時間目から移動教室だよ!早く行かなきゃ!」
「全く…元気でよかった!」
私はポジティブ人間!
今日の私は一味違うぞ!
「今日はなんか光ってるね………オーラが」
「ほんと?!やったぁ!」
「うん………ほんと風邪引いてる間何があった?」
「なんもない!」
「絶対なんかあったでしょ…例えば彼氏出来たとか」
「え?出来てないけど…」
「そうなの?あっそうだった!ここね!そろそろ好きな人教えてよ!」
「あっ言ってなかったっけ?」
「とぼけないでよね!」
「ひ・み・つ♡」
「まだ教えてくれないのぉ?」
「うん!でも今度デート行くんだぁ」
「えっ?!それまじ?!」
「うん!その日に…告白しようかなって思って!」
「なんそれぇ?!聞いてないって!ちゃっかり青春やっちゃってんじゃないよ!」
「あっごめんねぇ!」
「はぁなにそれ?!うっざ!」
「ふふふ。この私こそが青春を謳歌する者!」
「いいねぇ恋してるって」
「|モブ《マブダチ》も彼氏いるんだから恋してるんじゃないの?」
「うるさぁぁい!私の話はどうでもいいんじゃ!////」
「え?もしかして照れてる?照れてる?」
「照れとらんわぁ!早く行くぞ!」
「ボソッ絶対照れてるボソッ」
「小声で言っても聞こえてんぞ!」
「ははっ!|モブ《マブダチ》!大好きだよ!ほら行くよ!」
「なっ…………///……待ってよぉ!」
読んでくれてありがとうございます
28.)トラウマ
めるや目線です!めるや目線はこれからないと思うので楽しんでください!
~部活中~
「ねえねえめるや君!」(モブ)
「ん?なぁに?」
「あとでさ、話あるんだけどいい?」
「うん、いいけどさぁどんな話ぃ?」
「どんなって……えっと……秘密!」
秘密かぁなぁんだ…つまんないのぉ
「わかったぁ」
「じゃああとでねぇ」
「うん!」
やぁみんなぁ。めるやだよぉっ☆キラッ
突然なんだけどさぁおれぇ人間嫌いなんよぉ
でもちゃんと友達とかいるじゃん?って思った?
俺、昔いじめにあってたんだ。
しかも俺をいじめてたやつがふゆりなんだよね
それが今でもトラウマなんだ…
実は小学生の低学年のときあいつとは同じクラスだった
んで、俺がりょうと仲良くしてたらぁふゆりが怒って俺をいじめはじめた。それを見た他の人も俺をいじめた。(りょうのいないところで)
あん時からふゆりはりょうのことが好きだったんだろうなぁ
嫉妬される気持ちがよく分かったよ
俺その後親の都合で転校したから2人ともおれと同じ小学校だったってこと覚えてないと思うんだよね
てことで、ふゆりには今でも恨みが………
でもそんな気持ちはもちろん出さないようにしてる
「めるやさぁん!ぼーっとしてないですか?!」(顧問)
「へぁ?あぁすんませぇん!」
あっそういえばいつも喋り方キモいとか思ってるひといるよね~しょうがないんだけどさ
本当の俺はそんな喋り方じゃないし、人懐っこい性格でもない。
俺は、めるやという人間を演じているんだ。
本当の俺は心のなかにいるだけでいいんだ。
本当のめるやを誰も知らない。
だって誰にも本当の俺を見せたことはないんだもの。
小さい頃は"演じる"なんてしてなかったけど、いじめを受けて、俺は変わらなければいけないと思った。
小学生で転校した後、性格を変えた。自分を守るために。
友達に責められたとき。それは《《めるや》》であって、俺の責任じゃない。全部めるやという人間がミスをしただけ。
そうすれば、俺はいつまでも傷つかない。
だけどこの前気がついたんだ。
俺は傷つかなくても周りが傷つくんだと。誰とも、友達以上にはなれないと。
ずっと一緒にいると、ちょっとした瞬間に本当の俺が出てしまう。
そうすると…「そんなやつだと思わなかった!」とかね?言われちゃったわけなんですよ
俺もそろそろ、変わっていかなきゃなのかなぁ
~部活終了後~
「めるやくん……ずっと好きでした……///…つ、付き合ってください!」
《《めるや》》の性格の評判って極端に分かれるんだよね。
どっちにしろ君を傷つけるだけだし…
「ごめぇん!ケーキあげるからぁ許してぇ」
この後、どうなったかはまた今度☆
読んでくれてありがとうございます
29.)二人きり?
りょう目線です!
~翌朝(水曜日)~
母さんの写真が増えた仏壇に手を合わせる。
「母さん、父さん、兄さん、今日は学校行ってその後先輩と遊びに行きます。楽しんでくるね。」
今日はゲームが始まってから1週間と1日。
今思うとかなり昔のことのように思える。
この1週間で1番大切なものを失った。
だけど、大切なものがすべてなくなったわけではない。
そう思うと、楽になれた。いつまでも、下を向いてなんかいられない。
「いただきます!」
1人ぼっちのご飯。だけど寂しくなんてない。この家には、俺以外に3人の気配がする。ずっとそんな気がする。
「いってきます!母さん!父さん!兄さん!」
"いってらっしゃい、りょう" そんな声がどこからか聞こえた。
ガチャ
・・学校(校門)到着・・
学校は5日ぶりだ。
「りょうくん?おはよ!」
「あっおはようございます先輩!」
「なんだか久しぶりだね」
「ですね」
「元気そうで何よりです」
「うん!風邪すっかり良くなったよ!」
そう言ってちからこぶを作る。
俺、先輩にやってみたいことが一つだけあるんだよね…お願いしちゃっていいかな…
あぁもう!悩んでても駄目だ!母さん!俺に勇気をくれ!
「あのっ先輩!」
「ん?なになに?」
「その~|現実《リアル》でもタメ口でいいですか………?」
「えっいいけど……て言うかすごい嬉しい///………あっでもさ、二人きりのときだけにしてくれるかな………?」
「分かりました!今は二人きり判定ですか?」
周りには人はいるけどみんな玄関に向かっている。誰にも会話は聞かれない位置。
「えっえ~と…うん!」
「じゃあタメ口で話すね!」
「うん!あとさ、私………りょうくんのこと……呼び捨てで呼んでみたいんだけどいい?」
「もちろんいいよ!」
ここで断ったらきっと後悔する。でも、俺誰とも付き合わないことにしてるから先輩には………先輩……ここね先輩……呼び捨てでいいかな……流石に失礼かな…
「流石に無理だよね…」
あっ、つい心の声が…
「ん?なにが?」
読んでくれてありがとうございます
さあいよいよ終わりが近くなってきました
37話が最終話なので、どんな結果になるのか予想しながら読んでみてください
次回もお楽しみに~
30.)まさか
「ん?なにが?」
「あっいや今のはなんでもない!」
体が熱い。先輩と話してるとどうしてかこうなる。
「え~?気になるなぁー教えてくれないかなー駄目だよねーでも教えてくれたりしないかなーやさしいりょうなら教えてくれるはずなんだけどなー」
やばい。先輩がいつになくかわいく見える。しかも先輩が俺のこと呼び捨てしてくれたっ。
「ねーえー教えてくれないのぉ?」
キラキラした目でこっちをみてくる。
「教えないよー」
流石にどんなにかわいく頼まれても呼び捨てで呼んでいいかを聞くわけにはいかない。
「ふーん…りょうのいじわる!」
「先輩ごめんってばぁ許してぇ」
「うふふ。許す!」
「やったぁ!」
「その代わり…私のお願い一つ聞いて!」
「いいよ!」
「なんかぁ私がりょうのこと呼び捨てなのに、りょうが私のこと先輩って呼んでると温度差あるからさぁりょうも呼び捨てで私のこと呼んで!」
「えっ……」
まさか先輩から言うとは…俺と同じこと思ってたんだ
「えっあっごめん。嫌だったよね…」
「そそそそんなことないです!」
「え?あっ…えっ?お?えっと…ん?」
先輩がすごく戸惑っている。
「…ここねって呼んでいい?」
「………うん!」
「はぁやだ暑いぃ汗が…」
先輩が顔を真っ赤にして手で顔を仰ぐ。
先輩と話してると時間が早く過ぎちゃいます。
「じゃあ俺教室こっちだからまた後でね!」
「うん!またね!」
別れを告げて教室に向かう。
「あっりょう来た!」(ゆお)
「おはよ」
「久しぶりだねぇ」(めるや)
「うん、久しぶり」
「おまぁ先輩のこと好きなんだって?」(たおき)
「えっ……う…ん………///」
「あっ赤くなってるぅ絶対好きじゃん」(めるや)
「で、先輩とはなんかないの?」(ゆお)
「なんかって?」
「例えばさぁ付き合ったぁとかぁデート行ったぁとかぁないのぉ?」(めるや)
「うん、ないけど…でも今日2人でカフェ行くよ」
「いいなぁ俺もそんな青春したいよ」(たおき)
「たおき、そんなこと言ってないで頑張れよ」(ゆお)
「頑張るってなにをだよぉ俺一応失恋したんだぜ?もっといたわれよ……それよりもみんなもなんか恋バナないの?」(たおき)
「俺はないよ~めるやはなんかないの?」(ゆお)
「俺?昨日告られたよぉ」(めるや)
「えっそれまじ?!」(たおき)
「うんまじぃ」(めるや)
「え、返事は?」
「したよぉ」(めるや)
「なんて返事したの?」(たおき)
「一回断ったけどオーケーしたよぉ」(めるや)
「お~!おめ!」(ゆお)
「相手は?」(たおき)
「同じ部活の子だよぉ」(めるや)
「そうは言ってもなぁ吹奏楽部の女子って多いからなぁ」(たおき)
「俺が特定してやるよー」(ゆお)
「めるや、お幸せにね!」
「ありがとぉ」(めるや)
「そろそろチャイム鳴るから座ろうぜ」(ゆお)
「だな」
読んでくれてありがとうございます
なんかあっという間に30話まで来ちゃいました
黄色いもの見るとバナナに見えるのはなんででしょう
31.)聞こえない
今は授業中。
そして今、ある決心をした。
今日先輩に告白する。
俺、本当は先輩と付き合いたい。
あんなゲームから先輩との関わりが始まったけど、まさか本当に好きになっちゃうなんて…
じゃなくて!先輩が俺のこと好きだったっていうことが本当に信じられない…
今、両思い……ってことだよね…
タメ口と呼び捨て、これって普通、三年生の先輩にやっちゃいけないこと
ううん。これ以上考えたらなんか駄目な気がする。
授業に集中しよう………
「りょう?りょう?昼休みだよ」(ゆお)
「ふにゃ?」
「お前絶対意識マイワールドに飛んでただろ」(たおき)
どうやら集中しようと思ったのにできなかったらしい。
「ははっ!おまえおもいろすんぎぃ」(めるや)
「1時間目終わったときと2時間目終わったとき声かけたけど全然意識が戻らないから移動教室のとき俺がおぶって行ったんだぞー」(ゆお)
「えっごめん、ありがとう」
「まぁいいってことよ」(ゆお)
昼休みはふゆりと話そうと思ってたんだった。
「俺ちょっと行ってくるね」
「え?どこに?」(たおき)
「なんか知らんけどいってらっしゃい」(ゆお)
「おー?どこ行くん?」(めるや)
そんな声を背に歩みを進める。
「ふゆりいる?」
「おーりょう。またふゆりに用があるの?」(モブ)
「うん」
「呼んでくるね」(モブ)
「りっくんどうしたの?」
「あのさ、この前の………」
「あぁ、あれ、もう忘れて」
「………え」
「どうせ断るんでしょ…うちもうりっくんが悩んでるところ見たくない。お母さんも亡くなって、今、つらいと思う。だからうちが、楽にしてあげる。」
「それってどういうこと?」
「ううん。いいの。いい?もう一回言うからちゃんと断ってね」
え?
「うち、りっくんのことが好き……小さい頃からずっと好きだった。付き合ってくれませんか」
「………………ごめん」
「うん。知ってるよそんなの。じゃあね………またね…」
「うん……またね……」
ふゆり。いつもと違う。何か違う。
考えすぎか…
ん?あそこにいるのは先輩?と部長?
あれ?もしかして……部長は先輩のこと……
近づいてみよう。
んー会話聞こえない。
でももしそうだとしたら…先輩はどうするんだろ
えっちょっと待って……先輩の返事によっては俺の気持ちが…
うーーーどうしよう………
「そこでな~にしてるの?」
「えっ先輩?!」
読んでくれてありがとうございます
32.)嬉しくて
「そこでなにしてるの?」
「えっ先輩?!」
「え~なにその反応~」
「あれっ?さっきまでそっちにいなかったっけ」
「いたけど…?」
「まさかっ瞬間移動?」
「そんなことできないよ~」
「ん~?ほんとはできるとか言わない?」
「言わない言わない(笑)」
「あっそうだ。あとでりょうの教室行くね!」
「なんで?」
「ゆおくんに用があるんだよぉ」
「あっそうなんだ。じゃあまたあとで!」
「うん!あとでね!」
あ~いやだ。先輩ともっと話したかった。
せめて何か話題ないか…………そうだ!
「ここね!」
「えっ?」
「放課後楽しみにしてる!」
「うん!私もだよ!」
よかった、楽しみにしてるの俺だけじゃなかった。
嬉しくて、手を振った。そしたら振り返してくれて、すごく嬉しかった。
教室に戻ると、
「お前どこ行ってた」(ゆお)
「担任がりょうのこと探してたよ」(たおき)
「昼飯食おうぜぇ」(めるや)
って同時に言われるから誰が何を言ったのやら
「俺は聖徳太子じゃないんだから聞き取れないよぉ」
「だから、どこ行ってたのって聞いたの」(ゆお)
「だから、担任がりょうのこと探してたって言ったの」(たおき)
「だからぁ、昼飯食おうって言ったのぉ」(めるや)
また同時に言われる。
俺には
「だから、·□$@'☆'·{'[@<#€*'&$$&$4'〒0₩」
にしか聞こえないんですけど。
「ごめんやっぱいいや。なんもわかんね。昼飯食おうぜ。」
「………………うん。」(3人)
今日のお弁当に母さんの料理の姿はない。
なんだか寂しい。
「………いただきます」
うん。いつもの味じゃない。むしろ……
「まずい」
「んー?美味しくないのぉ?」(めるや)
「うん」
「……お前さっきからしんみりしてっぞ」(たおき)
「そう?」
「俺もそう思う」(ゆお)
何でなのか知らないけど俺はしんみりしてるらしい
お弁当のせいかな
……先輩早く来ないかな~あとでって言ってたけどいつだろ。早く会いたいよ
読んでくれてありがとうございます
もう少しで最終話です
次回もお楽しみに~
33.)どういう関係
何でなのか知らないけど俺はしんみりしてるらしい
お弁当のせいかな
……先輩早く来ないかな~あとでって言ってたけどいつだろ。早く会いたいよ
「失礼しまーす!」(ここね)
あっ先輩きた!
「ゆおくーん!ちょっとお話が」(ここね)
「えっ俺ですか?」(ゆお)
「うん!」
「あっやぁたおきくん!元気?」(ここね)
「えっ元気もりもりですけど」(たおき)
「あははっ!よかった!」(ここね)
たおきの顔が少し赤くなった。たおきは、本気でここねのことが好きらしい
「ねぇねぇせんぱぁい聞いてくださぁい」(めるや)
「え~なになに~?」(ここね)
「おれ昨日彼女できましたぁ」(めるや)
「え~!おめでとう!」(ここね)
「先輩はどうなんですかぁ?」(めるや)
「えっ私?」(ここね)
「この前好きな人いるって言ってたじゃないですかぁその人とはどうなんですかぁ?」(めるや)
めるやはここねが俺のこと好きで、今日デート行くって分かってて言ってる
ここねで遊ぶなって言いたいけど恥ずかしいから言えない
「えっ……まっまぁいい感じ!」(ここね)
「お~それはよかったぁ」(めるや)
「うん……えっとゆおくん?」(ここね)
「あっはい?」(ゆお)
「週末大会じゃん?それでさ、次の部長ゆおくんがいいんじゃないかなって思っててさ、だから考えておいてほしい!ってだけ!」(ここね)
「えっ俺が部長ですか?」(ゆお)
「うん!部長と顧問と私で話し合った結果そうなった!でも強制じゃないからね!」(ここね)
「了解っす」(ゆお)
「ゆお、部長やんのぉ?」(めるや)
「え~どうしよう俺なんかに出来るのか」(ゆお)
「俺ゆおなら出来ると思うよ」(りょう)
「私もそう思う!」(ここね)
「俺も~」(たおき)
「じゃあ考えときますね」(ゆお)
「うん!ありがと!」(ここね)
「えぇやってほしいなぁ」(めるや)
「なんでだよ(笑)」(ゆお)
「あっそういえば先輩」(たおき)
「ん?」(ここね)
「今日好きな人とデート行くんですよね」(たおき)
「えっ…まぁ…うん…」(ここね)
「な、りょう」(たおき)
「ん?」
「あっそうだ、ここね」(りょう)
「ん?りょうどうしたの?」(ここね)
「俺午前中意識失ってたらしい」(りょう)
「え?!どういうこと?!」(ここね)
「気付いたら昼休みになってた」(りょう)
「え…大丈夫?!」(ここね)
「まぁ元気なんだけど…」(りょう)
「あのぉお二人はどういう関係でぇ?」(めるや)
「呼び捨てで呼び合って……ッ」(たおき)
「りょうがタメ口……?!」(ゆお)
「あ~えっとそれは……」(ここね)
読んでくれてありがとうございます
セリフ多くてごめんなさい~
癖です
34.)約束
「あのぉお二人はどういう関係でぇ?」(めるや)
「呼び捨てで呼び合って……ッ」(たおき)
「りょうがタメ口……?!」(ゆお)
「あ~えっとそれは……」(ここね)
「あっごめん約束破っちゃった!」(りょう)
「いや、いいのいいの!」
「じゃ、私はここで!じゃあね~」(ここね)
「あっ先輩!」(たおき)
「逃げられたぁ」(めるや)
「先輩ってああいうところあるんだね」(ゆお)
そして三人の視線がこちらに集まる。
「「「約束ってなに?」」」(|3人《ゆお&たおき&めるや》)
「………秘密☆」(りょう)
「ほんとにごめん!二人きりのときって言ったのに………」
「ううん!平気平気!」
ようやく学校を終えた俺たちはこれからカフェへGO!
ちりんちりん♪
店のなかに入ると鈴の音が鳴る。
「いらっしゃいませー!お好きな席にお座りください!」
「あっちの窓側の席座ろ!」
「うん!」
「りょうはなに頼む?」
「モンブランとトロピカルジャンボベリーホイップましましスペシャルフルーツ盛り合わせバナナ味フレークアゲアゲワンダフルパフェ頼む!」
「お~!私もそれにしようと思ってた!」
注文を済ませて色々な話をする。
部活の話。家族の話。勉強の話。文房具の話…
他愛のないことをたくさん話した。
美味しそうにモンブランを食べるここねを眺めてるだけで楽しい。楽しい。楽しい。楽しい。
--- 最高 ---
読んでくれてありがとうございます
昨日シュークリーム食べたんですけど、
めちゃくちゃ美味しかったです
35.)全力疾走
うちは、ふゆり。
りっくんの幼馴染み。
そしてうちは、りっくんが好き。
だけどここ最近のりっくんはすごくつらそうで、見ていられない。
だからこれから、楽にしてあげるんだ。
ここは、りっくんと三年生の先輩が入っていったカフェの近くの路地。
りっくんたちが出てくるのを待ち伏せしてる。
大丈夫。落ち着いて。深呼吸。
うちならできる。
ちりんちりん♪
あっ出てきた!
もう少しだけ待とう。タイミングが大事だ。
…………………今だ!
利器とベタベタの汗を手に全力疾走‥
グサッ!
「うッ…………ふゆり?!」
りっくんの大きな体が倒れていく。
隣にいた先輩が動揺する。
すると、先輩も痛そうな悲鳴を上げて地面に体を打ち付ける。
「………え?」
うちが状況を理解するのには、少し時間がかかった。
隣にはみおちゃんが立っている。
うちがりっくんを刺した。と同時にみおちゃんが先輩を刺した。
「あっふゆりちゃん!奇遇だね!でもここは早く逃げた方が良さそう!」
「うっうん!そうだね!」
なんでみおちゃんがここに?!
「ふゆりちゃんはなんでここにいるの?!」
「えっとそれは、りっくんを楽にしようと思って……みおちゃんこそどうしてここに?!」
「私りょうくんにふられてさ、この女がムカついたから!」
「告白したの?!」
「うん!即ふられた!(笑)」
ドサッ(みおが転ぶ音)
「キャッ!いった!」
「みおちゃん?!大丈夫っ?!」
「ごめん!さき行って!動けそうにない!」
「でもっ!」
「いいから早く!ふゆりちゃんまで捕まっちゃう!」
「……わかった!」
せめてうちだけでも!
あぁこういうときに足が早い人が羨ましい!
「ハァハァ…ハァハァハァハァ………」
ここまでくれば。
…ここはどこ?
なんだか人気のない木の古い橋の上に立っている。
ここなら大丈夫。
「あれぇ?ふゆりちゃん?」
「えっ誰?!」
「えへへぇ。めるやだよぉ」
「なんでここに?!」
「いやいやぁこっちのセリフだよぉふゆりちゃんって家この辺だったっけ?」
「え、いや全然」
めるやくん家ってこんなところにあるんだ。
「あれぇちがうのぉ?」
めるやくんと話すの初めてかも
うちこの人苦手なんだよね
「んでぇここで何してんのぉ?今日はりょうのことストーカーしなくていいんだぁ?」
「えっなんでそれを?!」
実はうち、毎日りっくんをストーカーしてた。
なんでめるやくんが知ってるの?
やっぱりこの人苦手。
「いやだってぇ、りょう気付いてたよぉ」
「ふぇ?!なんで………」
「で、そこで何してんのぉ」
「教えない」
「まさかりょうがこの近くにぃ?」
「いや、」
「おれぇこれからりょうに電話かけたいからぁ行かせてもらうね」
「えっりっくんはもう………」
「ん?」
「あっいや……」
「え~?なになにぃ?」
「電話……なんでするの?」
「え?なんでってぇデートの結果を聞こうと思って…」
どうしよう。バレたくない。りっくんが死んだこと。
いや、まだ死んだかわからないけど
「てかぁなんでそんなこと聞くのぉ?」
「えっいやなんでもない……」
「ふゆりちゃん絶対なにか隠してるでしょお」
「かっ隠してないけど?」
めるやくん鋭い
「うっそだぁ」
だめだ……逃げられそうにない…
この人はうわさ流すようなタイプの人間じゃないよね…
「りっくんを………………ボソボソ」
「え?りょうをどうしたってぇ?」
「もう言わない!」
言ってたまるか!
「おい言えよ。りょうがどうした?」
…あれ?いつもと雰囲気が違う?……なんか怖い
「おい黙ってんじゃねぇよ」
ギィ‥バキバキ
橋からでるその音は妙に大きく響いた
読んでくれてありがとうございます
36.)古い橋
「おい黙ってんじゃねぇよ」
ギィ‥バキバキ
橋からでるその音は妙に大きく響いた
「言えばいいの?」
「そう言ってんじゃん」
もういいよ。隠さないよ。諦めるよ。
「…りっくんを刺した」
「………………そうかよ」
長い沈黙。
次に口を開いたのは、めるやくんだった。
「君は覚えてないだろうけど………俺、君に恨みがあるんだ。」
「えっなんで?!
「やっぱり覚えてないんだね」
「何を?」
「ううん。確認できてよかった」
「………………え」
また沈黙が続く
めるやくん、何言ってるんだろ
「恨むなよ」
どういうこと?
めるやくんの口から発せられた言葉に理解が追い付かなかった。
だけど次の瞬間、その言葉の意味を理解した。
めるやくんがうちを橋から突き落としたのだ。
うちたちが立っていた橋は柵が膝下くらいで、簡単に川へ落下してしまえるような橋だった。
めるやくん、恨むよ。
ドボン!
背中が痛む…背中から着水したためだろうか
あぁ苦しい
どうしてこんなことに
うちなにも悪いことしてないじゃん
どうしてこんなに苦しいまなきゃなの?
みおちゃん捕まっちゃったのかな…
めるやくんの人柄が急に変わって驚いたなぁ
まるで、別人みたいだった
"確認できてよかった"って言ってたけどなんだったんだろ
今頃りっくんはどうしてるのかなぁ
ボコボコボコ……
水の流れが速い……あぁ…もうだめだ…
でも………
--- これでやっと、うちも楽になれるよ。りっくん ---
読んでくれてありがとうございます
次回最終話です
お楽しみに~
37.)最終話
「ごちそうさまでした!」
「美味しかったぁ!」
「ね!」
「今日はありがとね!一緒に来てくれて!」
「いやいや!こちらこそです!」
「…じゃあ!帰ろっか!」
「うん!俺がお金払うよ!」
「いや!ここは私が!」
「しょうがないなぁ割り勘にしてやるよぉ」
「あら平和的!流石りょう!」
「えーと、代金は………………ッ?!」
「えっ?どうしたの?………………ッ?!」
「これは…絶対割り勘した方がいいやつ…」
「そうね、すごい金額だもんね…」
「ありがとうございましたー!」
ちりんちりん♪
「いっぱい食べたね!お腹いっぱい!」
「ですね!」
「今日はありがとね!」
「それさっきも聞いたぁ」(笑)
「あれそうだっけ?」
「そうだよ~忘れてたとか言わないよね?」
「はい!言います!」
「言うんか~い」(笑)
グサッ
「うッ…………ふゆり?!」
「りょう?!大丈夫?!」
痛い…………一瞬何が起きたのか理解できなかった。
「聞こえる?!ねえ!」
でもどうやら俺はふゆりに刺されたらしい
なんで?………
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
ドサッ
先輩が倒れる
上を見上げる。そこにはふゆりとみおさんの姿があった。
なんで………
「……こ…こね………だい……じょ…ぶ………?」
「りょうこそ………だい……じょうぶ?」
「すごく………いたい………」
「わたし………もだよ……」
俺たちこのまま死ぬのかな……
そんなの嫌だ……
まだ先輩に……気持ち伝えてないのに……
いまでもまだ、間に合うかな………
「……せん…ぱい…………」
「………ど…したの………?」
「………………すき」
「………………え……?」
「……すき…です」
「………やだ………う……れし……」
「さい……ごに……お願いが………………」
「………………なに……?」
「………………ハグ……させてください……」
「……え……////……よろ…こんで……」
そして俺らは抱き合った。
先輩の細いからだは、今の俺でもへし折ってしまいそうな、そんな感じだった………
「………りょ…う………私も……すきだよ………」
「………………そんなの………知ってますよ……」
微かに救急車の音が聞こえてきた。
人通りの多い場所なので誰かが連絡してくれたのだろう。
でもそれ以上に、先輩に気持ち言えて、抱き合えて、カフェ行けて………最高すぎる………
だんだん体に力が入らなくなっていく
俺は先輩の顔をしっかり目に焼き付けて、ゆっくりと、目を閉じた
明るい
俺が次に目を覚ました場所は、ひたすら明るく
て、広くて、まるで天国のような場所だった
正確に言うと、本当の天国だった
そして目の前には、大好きな家族の姿があった
また………会えた………
ずっと………会いたかった……
このシリーズ読みきってくれてまじありがとうございます
番外編.)あれから10年後。
こんちゃ~おとろみです
久々の「3人の高校生が人○しになる話」です
それでは番外編、どぞ
**あれから十年後**
~めるやside~
俺の名前はめるや。
覚えているか?俺は十年前、人を殺した。
そう、ふゆりを殺した。
あのとき、周りには誰もいなかったので目撃者はいなかった。
だから俺は今もこうして普通に生活できている。
そして今は、26歳だ。
「おいめるや~ねぇお皿洗えって言ったわよね!」
こいつは俺の妻。1年半前、俺たちは結婚した。
高校生のとき、彼女を作ったことがあったが、長続きはしなかった。だからあのときとは別の相手だ。
「俺昨日の飲み会で二日酔い気味だって言っただろ?」
「はぁ?そんなん知ってるわよ!」
「知ってんなら普通頼まないだろ」
「知ってて頼んだんですぅ」
「だからなんだよ笑」
こいつはなかなかの頑固者でね。毎日困ってるんすよ。
でも、そういうところが好きなんだけどね。
「もう知らないっ!家事もしないやつは出ていけ!」
いつもこういうこと言うんだよね。
そっと彼女の背後に歩みより、
「ねぇ俺、ここにいちゃダメ?」
と呟く。
「…………」
無言か。どうしよう。
すると、
「ねぇめるや。いつもいつもへらへらして…本心が分からない。プロポーズしてくれたとき、あたし嬉しかったよ。でも…最近思うんだ…本当にあたしのこと好き?好きって思ったことはあるの?」
突然そんなこと言われるから驚いた。
「…なんだよいきなり」
「はぐらかさないで!あたし…怖いんだよ。めるやって何考えてるのか全然わかんないから…」
「俺のこと疑ってるっしょ。なんでいつもこうなっちゃうんだろうね。自分でも不思議だよ」
「え?何言って……っ」
彼女が途中で言葉を切ったのは俺が彼女を、抱き締めたからだ。
「よく聞いて。俺、お前に嘘ついたことなんかねえよ。お前と出会う前は自分の人格を操作してた。けど、なんでかお前といると、素でいれるんだ。お前は、俺の全てを受け止めてくれた…そんなお前が、俺は好きだ。」
まだ俺が人を殺したことがあるだなんてことは、言ってない。それも受け止めてくれる確信がないから。
「ちょ…なによいきなり…て、照れるじゃない」
「いきなりってなんだよお前に聞かれたから答えたんだし、それに、今言ったことはいきなりじゃない。ずっと前から思ってることだから。」
「もうやだぁ!素直なめるや嫌い!」
嫌いって言われちゃった((((((悲
そして俺たちは、唇を重ねた。
明日が来ないでほしい。ずっとこのままがいい。
だって明日は、あのときの友達と会う予定だから。
---
~同日。ゆおside~
今日はたおきと一緒にりょうとここね先輩のお墓参りにきてる。
月日とは早いもので、もうあれから十年もたってしまった。
りょうとここね先輩の訃報を聞いたときは、ものすごく驚いた。しかも犯人が、りょうと幼馴染みのふゆりちゃんと同じクラスのみおちゃんだなんて、誰が想像できただろうか。
俺はあのあとすげえ落ち込んだ。たおきは魂が抜けたみたいな顔してるし、めるやは何も言わないし。
あのときは荒れてたなぁみんな。
りょうのお墓に花を飾り、ろうそくと線香に火をつけ、手を合わせる。
「元気?家族とは幸せにやってる?ここね先輩をゲットできてる?明日はな、高校の時つるんでた奴らで集まるんだ。お前も来いよな、りょう。」
そう告げて、ここね先輩のお墓に向かおうとすると、たおきの声が聞こえたので、その声をたどる。
「ゆお!蜂がいるんだ!どうにかしてくれ!」
「なんだよ情けないなぁいい大人がよ~笑」
「だってだって俺が虫苦手なこと知ってるだろ!?」
「フッたしかにな」
たおき、こいつはわりと寂しいやつ。高校の時もここね先輩に告って断られたし、年齢イコール彼女いない歴らしいしよ。
まあただこいつはなかなか頑張ってるんだけど、報われないんだよね。なんでなんだろうな。
「ゆおお前ムカつく~まさか俺を見捨てたりなんかしねぇよな?お前の奥さんと子供に俺の立場取られたら悲しいぜ」
「フフッ誰がお前を見捨てるかよ」
「おっお前ぇ!俺、お前が好きだ!結婚しよう!」
「やだよお前みたいなむさ苦しいやつと浮気とか笑」
「んだよぉ相変わらずつれねぇなぁ…」
「そう気をおとすなって。もうすぐ運命の出会いがあるはずだから」
「その理論はいずこから?」
「ん~知らん!勘だよ」
「ふぅん。もうマッチングアプリでも使おうかな。お前もめるやも順調に結婚しやがってよ~お前に関しては子供までつくっちまってよ~」
「まぁまぁ落ち着けって。ほら、ここね先輩のお墓参りして早く帰ろうぜ。」
「…うん」
ここね先輩、たおきは今も、あなたのことを忘れられないみたい笑
りょうだけじゃなくてたおきのそばにもいてあげてくださいね。
「たおき~挨拶おわったか?」
「おう!好きですって言っといた!」
「ボソやっぱり未練があったのかボソ」
「あ?聞こえてんぞぉおらぁ」
「ごめんてwwwwwwwww」
「おい絶対ごめんなんて思ってねぇだろ!」
「うん、思ってない。よく分かったね」
「おいそこはお世辞でも"思ってる"って言うもんだろ!」
「ははっ!だぁれが言うかよ~~!」
「このやろぉっ!許さんからな!」
「いいよ~別に許してもらわなくても」
「も~ゆおのケチ!奥さんに言いつけてやる!」
「どうぞご勝手に~」
「まったく、隙のねえやつだ…」
とぼとぼと歩くたおきの背中は、小さくて、でも、頼りになるような、そんな感じがした。
どうか、たおきに春が訪れますように。
---
~翌日。ゆおside~
「あなた~今日は同窓会行くんだっけ?」
「おう。まあ同窓会というより"友達と再会しよう会"みたいな感じだけどな」
「あなたは酒癖悪いんだから飲みすぎないように気をつけてね」
この人は俺の女房。一緒に家庭を築く大切な家族だ。
「パパ!だるまさんがころんだしよ!」
こいつは俺たちの息子。
「ごめんなぁ今日はママに遊んでもらってな」
「なんで?パパ、きょうおしごとなの?」
「ううん。今日はな、お友達とお遊びしてくるんだ」
「パパのおともだち?」
「そうだ」
「そっか!いってらっしゃい!」
「ありがとな。いってきまーす!」
すると台所からパタパタと足音が近づいてきた。
「ゆおさん!いってらっしゃい!」
わが女房だ。
2人に送られて、俺は家をあとにした。
---
会場に着くと、すでにめるやがいた。
会場とは言ってもカラオケボックスなのだが。
今日、この予定を共有しているのは、
俺(ゆお)、たおき、めるや、それと同じクラスだった人たち5人(男2人、女3人)だ。合わせて8人。それと、りょうも。
「めるや、久しぶり。」
「おう。」
めるやの返事は素っ気なかった。
まあ、あのあと少し気まずい関係だったからな。
りょうたちが死んでから、めるやは俺たち(ゆお&たおき)を避けたから。
なんでか知らないけど、多分、俺たちといるのが嫌になったのだろう。
"あのゲーム"を一番面白がっていたのは、めるやだった。勝手に言い始めて、勝手に終わらせて、そんな俺が嫌になったのだろう。
他のメンバーが揃うまでこの空気はまずいが、話題がない。
すると、
「元気だったか?」
めるやがそういった。
あれ?口調が変わってる?
めるやだったら、「げんきだったぁ?」って言ってそうだけど…
「うん。元気だよ。めるやは?」
「ああ。俺も元気。」
やっぱり口調が違う…
「ゆおは、もう子供がいるんだっけ?」
「うん。なんで知ってるん?」
「…う~ん、秘密かな」
「なんだよそれ怖いって笑」
「はは。ただ人伝に聞いただけだよ」
「そっか。それならそういってくれればよかったのに笑」
「そうだね…………ごめんな、ゆお」
「?」
「俺、ずっとおかしな口調だったろ?」
話してくれるのか?聞かずして知れるとは。
「うん、」
「本当の俺はあれじゃなくて、これだから」
「え?」
「あの変な口調の俺は俺じゃない。」
「そ、そうなのか…?」
「ああ。ずっと騙してたみまいになっちまった。すまない。」
頭の処理が追い付かない。
「えっと…じゃあ、やっと本当のめるやと話せてるってこと?」
俺がそういうと、めるやは目を大きくした。
そんな驚くようなこと言ったっけ、?
「はは。そうか…そうだった。ゆおはそういうやつだったな」
俺の頭のなかには、はてながズラリと並んでいる。
すると、ガチャっと音がして、たおきと、|一男《かずお》と、|一美《かずみ》と、|ニ子《にこ》が入ってきた。
(同クラだった人たちの名前は決めてないので、仮で、
男1人目→|一男《かずお》
男2人目→|二郎《じろう》
女1人目→|一美《かずみ》
女2人目→|ニ子《にこ》
女3人目→|三花《みか》
っていうことにします!覚えなくても全然大丈夫です!)
一男「おっ!2人ともはえーな!おひさ!」
一男はわりと常識人だが、なかなかに面白いやつだ。
ゆお「久しぶり!みんな元気してた?」
一美「うんもう元気いっぱい!」
妊娠しているためか、お腹を大きくさせているが、とても元気そうだ。
ニ子「私も元気だよ~」
ニ子は、高校時代から変わらぬショートヘアーがよく似合う子だ。
たおき「あ!めるやだ!久しぶり!」
めるや「ああ。たぬきは相変わらず元気だな」
たおき「おう!もう元気いっぱいだよ!じゃなくて!俺はたぬきじゃねぇ!」
一男「なんて華麗なノリツッコミ!」
久々の再会に、みんな大盛り上がりだ。
すると、たおきがおれのとこに近づいてきて、
「おい、ゆお。めるやってなんか無愛想になった?」
と言った。
さすがたおき、お前も気がついたか。
「さっき少し話したんだけど、今のが本当のめるやらしいよ」
さっき聞いたことを伝えると、たおきは顔にはてなをはりつけた。
その間抜けな顔が面白くて、つい笑ってしまった。
だがその笑い声も、新たな|闖入者《ちんにゅうしゃ》によってかき消された。
その闖入者とは、|二郎《じろう》と|三花《みか》だった。
二郎「おらぁ!みんな歌うで!!」
約10年ぶりに会った旧友との第一声がこれだ。
二郎は、なかなか騒がしいやつだ。変わらないな。
三花「どうも」
三花ちゃんはおっとりしていて、当時、学級委員をつとめていた頼りになる子だ。
二郎「宴じゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
二郎のその一言で、みんなの士気が一気に上がった。
みんなで順番に歌い、ときには昔の思い出話なんかもした。
随分と酒の入ったたおきは、もうすでに昏睡状態にある。
二郎「おいゆお!おめぇ飲まへんの?酒余ってんねん!」
ゆお「俺さ、酒癖わるくてよ~」
二郎「さいでっか!初耳や!」
三花「ゆおさんが酒癖悪いとか、ちょっと意外」
一美「え~それなぁヒック…ゆおくん真面目ってイメージヒックあるからヒック」
ゆお「一美ちゃん飲みすぎ笑」
一美「え~そう?ヒックフツーらけどぉ?ヒック」
三花「お腹に赤ちゃんいるのに大丈夫なの?」
一美「ふぇ?ヒック……ヒック………バタッ」
二郎「おい一美が脱落したで!」
ニ子「みんな飲みすぎ笑。二郎が飲ますからでしょ?」
二郎「ほんま?俺のせいなん?」
ニ子「それ以外なにか理由あんの?」
二郎「う~ん。ねえな!俺のせいや!ほんまごめん!」
ちょっと乱闘がおきそうだったが、二郎の持ち前の素直さでそれはなかったのでよかった。
ふと俺はめるやの存在を思い出した。
あいつ、完璧に存在感消しやがって。
だが、カラオケボックス内には、脱落者が2人と、俺、一男、二郎、ニ子、三花の7人しかいない。
なんど数えても同じ結果だった。
ゆお「なぁ、誰かめるやがどこか知ってる?」
一男「僕はなんも知らない」
二郎「え?めるやおらへんの?」
一美「……………………………(昏睡)」
ニ子「えね。いつの間にか消えてた。」
三花「トイレでしょうかね…?」
ニ子「いや、結構前からいないよ」
二郎「あいつ逃げたんか!?許さへん!」
まじでどこに行ったんだろう。
---
~めるやside~
今からだいたい1時間くらい前。俺はトイレに行きたくなったので、カラオケボックスから退室した。
ところが戻ろうとすると、室内からばか騒ぎをする声が聞こえて、なんとなく入れなかった。
結局、ぐずぐずしていると、1時間がたっていた。
ゆおっていいやつだなぁ。さっき、改めてそう思った。
騙してるみたいになってたのに、「やっと本当のめるやと話せてる」なんて言ってくれちゃって。
本当は、すげえ嬉しい。罵られると思ってたから。
さて、どうしようか。戻ろうかな。
もう一度部屋に近づくと、中は静かだった。
どうしたんだろう…?
微かに声が聞こえる。
「あいつ……帰った……勝手に………………んだけど」
「ほんま……めるや……そういうやつ…………やけどな」
─────ほらね。
これがふつうの反応だよね。
そうだ。ゆおがおかしいんだ。
あいつの優しさになんか甘えちゃだめだ。
ガチャ
突然、扉が開いた。
俺はとっさに逃げた。
「あれ?めるやいるやん」
ゆおだった。
隠れるには時間が足りなかった。
ばれた。
「ごめん俺かえ………」
「よかった!体調崩したか帰ったのかと思ったよ!」
ゆおの声が俺の言葉をきった。
「もどろ~!」
「いや、俺帰るよ」
「えっなんで!?」
ゆおがあまりにもすっとんきょうな声を出したので思わず吹き出してしまった。
「おい笑うなよ!」
なんて言うけどゆおも笑っている。
「めるや………?なんで泣いてんの……?」
「え?」
頬に手を当てて初めて気がついた。
「…………なんで」
「いやそんなの俺が聞きたいわ笑」
すぐに分かった。涙の|理由《わけ》を。
温かいこの優しさで、今までの葛藤が溶けていっていたのだ。
「話きこうか?辛いことでもあった?」
今、ここで|あの事《事件》のことを話せば、きっと楽になれる。
俺は、決心した。
「ゆお。話さなければいけないことがある。」
「お、おう」
「俺の話をきいて通報するかしないかは任せる」
「え?通報?なんのこと?」
「十年前の、あの事件」
「え………?」
「ふゆりを殺したのは、俺だ」
「え?どういうこと?え?ふゆりちゃんは行方不明になったんじゃないの?」
「いいや。俺が橋から突き落とした。」
「なんで!?」
「………小学生のとき、ふゆりにいじめられてた。そのあと転校して、変な口調で話すようになった。高校で再会して、、。久しぶりに会話したなぁと思ったらりょうを殺したなんて言うから堪忍袋の緒が切れたんだよ」
「…………そんな……。」
「人殺しでごめんな」
「じゃああのあと俺たちを避けたのって………」
「ああ。善良なお前らと一緒にいる資格はない。ただそれだけだ。」
「そうなのか…………」
「だからもう俺とは………」
「よかったぁ…俺たちのことが突然嫌いになったのかと思ったじゃないか。なんだぁそうだったのか。」
まただ。
こいつは正直おかしい。
俺が人を殺したことよりも、俺がゆおたちを避けていたことにフォーカスを当てている。
過去は過去、今は今。と考えることのできる脳なんだろう。
「通報するか?」
一応きいておく。ゆおなら、通報しないだろう。
そう、確信したから。
「しないよ。親友を売るようなことはしたくないし、10年もたってるんだ。今さら警察も相手になんかしてくれないだろ。」
あ、と言ってゆおが言葉を繋ぐ。
「これ、たおきには言わない方がいいな。あいつは口が軽いから。だから俺とめるやだけの秘密な」
ちゃんと、黙っててくれるんだ。
そういうことを自然とできるゆおはやっぱりすごいな。
「ゆお、やっぱりお前いいやつすぎるわ」
「え?なにいきなり。」
「や、思ったこと言ってみただけ」
「過大評価はいけないよ。俺はめるやが思ってるほどいいやつじゃないから」
「じゃあ、お前はお前が思ってるよりいいやつだ。」
「なんだよそれ笑まさかお前も俺のこと好きになっちゃった?結婚したくなった?」
「お前《《も》》ってなんだよ笑」
「昨日たおきに告られたからさwwwwwww」
「なんだよそれ笑たおきみたいなやつと浮気できるかよ笑」
「いやそれな笑笑。たおきもいい出会いができるといいよな」
「ああ笑。あいつまだ結婚してないのか。寂しい野郎だな笑」
「だよね笑。そういやめるやの奥さんに会ったことないや。どんな人なの?」
どんな人………?
そう言われると難しいな。
「…………………短気だけど、どんな俺でも受け止めてくれる、優しい人。かな」
「え~いいね。高校んときの彼女は?どのくらいで別れたの?」
「3日」
そう言うと、ゆおは吹き出して大笑いし始めた。
「………おい。なに笑ってんの笑」
「だってだって笑思ったより短かったwwwwwwww」
なんで……ゆおといるとこんなに楽しいんだろう。
ふと、そう思った。
「今度奥さんに会わせてよ。会ってみたい」
「え。いきなりなんだよ。」
「気になるやん。親友がどんな人と結婚したのかな~って」
「………あいつ(妻)がよければ。」
「やったぁ。じゃあ奥さんに伝えといて。"俺の大大大大親友がどうしても君に会いたいって言うんだ。どう?"って」
「大大大大親友ね笑。了解。」
「いいんだ笑。俺の妻にも会わせてやるよ笑。ついでに子供も。」
なんで会わなきゃいけないのか、と一瞬思ったが悪くないなと、思ってしまった。
ほんと、この男はすごいやつだな。
「おう。サンキューな。」
十年ぶりに話した友達が、変わっててもこうやって前と同じように話してくれるんだ。
そこに、気まずくならないように。とか、そういう気遣いとかは感じなくて、ただただ、居心地がいい。
魔法でも使ってるのかな、と疑うほどに。
「いいってことよ!」
1つの約束を交わした俺たちは、部屋に戻り、みんなと深夜まで騒いだ。
たおきと久しぶりにたくさん話したりもした。
ずっと忘れたかった昔を思い出したりしたけど、そこには懐かしさが残るばかりだった。嫌だ、と思うことは不思議となかった。
今日、ここに来て本当によかった。
あんなに気が乗らなかったのに。
また1つ、居場所が見つかった気がして嬉かった。
どうか、みんなの幸せが続きますように。
どうか、たおきが運命に巡り会えますように。
俺が誰かの幸せを願う日がまた来るとはな笑
読んでくれてありがとうございます
うん、長いですね笑
気持ちの悪い終わり方でごめんです
リクエストあれば書きますんでぜひ
ではまたどこかで