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目次
プロローグ
???「満~。朝だよ?」
黒宮「ん……。ありがとう」
???「田中さんがご飯作ってくれてるよ!食べよ!」
黒宮「わかったから引っ張るな」
黒宮の服を引っ張る小さな手。
ここで暮らしている幽霊の一人・スイだ。
スイ「じゃ、先に行ってるね!」
黒宮「転けるなよ」
スイ「言わないでよ…。気にしてるんだからね!?」
明るく元気な享年十。因みに、死因が階段から転落したこと故か、よく転ける。
黒宮「今日は…仕事が三件か。入れすぎたかな…」
カレンダーを見て呟く黒宮。
彼は、幽霊といっしょに暮らす殺し屋兼探偵。
探偵としても、殺し屋としても有名な20歳だ。
これは、そんな彼と、同居している愉快な幽霊たちの日常である。
…下手なのは許してください。
登場する幽霊や友人、仕事仲間を募集しています!
是非参加してください!
質問も受け付けております。
第一話
スイ「今日、ソウジヤさんのところ行くんでしょ?またあやとりしよって言っといて!」
黒宮「…分かった」
???「今日そっちの仕事なんだ~。ついでに抹茶アイスお願い」
朝食をつつく深緑の髪をし、着物を着た男。
ここに住んでいる幽霊の一人、|水無瀬玲《みなせれい》だ。
黒宮「玲さん…。自分で買って来いよ」
水無瀬「万引きしろってこと?」
黒宮「そういうわけじゃない…」
田中「満くん、遅れますよ」
黒宮「あ。…田中さんありがとう」
田中「どういたしまして。気を付けて」
スイ「転けちゃだめだよ!」
水無瀬「抹茶アイス」
黒宮「分かったから…。行ってくる」
どんどん幽霊が集まってきたリビングから出て、外へ向かう。
まずは、この間の『仕事』で世話になった「ソウジヤさん」のところだ。
裏通りにある古ビルの地下へ降りる。
様々なドアがあるが、ホイホイ開けないほうが身のためだ。何が入っているかわからないから。
突き当りのドアを開けると、J-POPが聞こえた。
黒宮「掃除屋」
天色「あ、殺し屋くん」
白いウルフカットのチャラくて胡散臭そうな男。
黒宮が何かと世話になっている掃除屋だ。名前を|天色陽雨《あまいろようう》という。
天色「やー、悪いな。まさか口座凍結されちゃうなんて思ってなくてさ」
黒宮「掃除屋って割と不運だよな…」
天色「気のせいだっつの。いいから報酬」
黒宮「100万ある」
天色「金払いが良いから好きだよ、殺し屋くんは。ツケる人は秒で切るからな」
黒宮「そうか」
部屋の戸棚にはホットケーキミックスとコーヒーの瓶やミルが詰まっている。パンケーキとコーヒーを愛する彼らしい。
天色「OK、報酬は受け取った」
黒宮「…あ。スイが、またあやとりをしてくれって」
天色「んじゃ、また行く。スイちゃん素直で可愛いし」
黒宮「ロリコン…?」
天色「違う。…じゃー、また依頼あったらまけとくよ」
黒宮「助かる」
足早に部屋を出る。
暗い地下は好きだが、天色の部屋のように電気を思い切り使った部屋は苦手だ。
地上に出て、次の予定を確認する。
黒宮「1時間後に情報屋か」
時間があることだし、そのへんのスーパーでにんじんとミネラルウォーターを買うことにした。
今回登場したのは、柚晴様の「水無瀬玲」さんと夜珊瑚様の「天色陽雨」です!ありがとうございました!!
素敵なキャラがたくさんいて、とても嬉しかったです!今後の展開次第でほぼ皆勤賞になるメインキャラが自主企画参加キャラから出てくるかも…。
メインの中で、「真奈美」さんだけ未登場ですね…。モデルがいるので動かしやすいからメインキャラになった殺し屋さんです。
第二話
街の中心部にあるタワーマンション。
ここに、「情報屋」は住んでいる。
タワーマンションの最上階にある部屋は、いつだってとても綺麗で、潔癖症の彼らしい。
ドアを開けようとする前に、向こうからドアが開いた。
⁇?「ちょうどよかった!ミヤ、この箱開けてくれない?固くて固くて…」
木箱を押し付けてくる童顔の男。戦闘力は皆無だが、情報収集能力は業界一と言っても過言ではない。
|硯渚《すずりなぎさ》という名前の情報屋は、黒宮に対してもかなり馴れ馴れしい。
黒宮「スズさん、握力ないのか?」
硯「失礼な。…あっ、これにんじんじゃん!」
黒宮「手数料」
硯「完全無農薬?」
黒宮「勿論」
にんじん片手にはしゃぐ硯。
一応、彼の方が年上なのだが…どちらが年上なんだかわからない。
硯「…で、何の情報が欲しい?」
黒宮「ある人物の経歴」
硯「OK。資料ある?」
渡したのは、折り筋がついた1枚の紙。
硯「…ミヤ、これって何折ったの?」
黒宮「いととスイが…」
硯「威斗くんかw」
「いと」とは、普段はぼーっとしているくせにいたずら好きの享年10、|天宮威斗《あまみやいと》のことだ。スイや水無瀬と共謀してイタズラを仕掛けてくる。
硯「よーし。じゃあ…データね。無くさないでよ?」
黒宮「分かった」
硯「また依頼あったらにんじんよろしく〜」
黒宮「…私はお使い係じゃない」
硯「まあまあ。というか、時間は?」
黒宮「あー…。それじゃあ、また」
硯「ばいばーい」
タワーマンションを出て、また裏通りへ戻る。
次は、「仕事」だ。
他の殺し屋との共同任務。
黒宮「…あの人か…」
腕は良いが「ヒモ」が代名詞である殺し屋を思い浮かべて、黒宮はため息を吐いた。
今回登場したのは、Sui様の「硯渚」さんと稲荷秋斗様の「天宮威斗」くんです!ありがとうございました!
次回は、ついに本格的な「仕事」に入ります。
ノゥ。様の「如月柚輝」さんと甘味様の「三鷹真凛」さんが登場予定です。2人のやりとりを書くのが今から楽しみです!
第三話
今回の依頼人は年配の夫婦だった。
娘を殺した裏社会の人間の始末が依頼内容。組織ごと始末してほしいらしく、依頼料はたっぷりあった。
一人で「仕事」をすることもできるが、今回は仲介業者から依頼を受けたので、他にも殺し屋が参加している。
薬物も利用しているため、暗殺向きの殺し屋・「御魂」こと|三鷹真凛《みたかまりん》。
そして、「ヒモ」が代名詞になっている凄腕の殺し屋・「柊」こと|如月柚輝《きさらぎゆずき》。
如月「宮ちゃんおひさー」
黒宮「帰れ」
如月「辛辣!笑」
何かにつけて絡んでくる如月は、黒宮の天敵と言っても良い。
三鷹「ちょっとヒイラギ、静かにしてよ」
如月「はーい笑 あ、今日お薬使うんだ〜」
三鷹「人数多いし。やっぱり楽したいじゃない」
如月「俺が守ってあげよっか?」
三鷹「アンタに守られるほど弱くないんだけど」
如月「三鷹ちゃんカッコいー♡」
黒宮「煩い…」
三鷹も如月に対して辛辣だが、なんだかんだ一緒に仕事はするし、そこそこ仲は良いようだ。本人たちは『仕事仲間』としか思っていないようだが。
三鷹「役割分担した方がいいよね。あたしは援護かな」
黒宮「なら私が裏から行くか」
如月「じゃ、俺は正面かぁ。三鷹ちゃんと一緒だね!」
三鷹「クロミヤちゃん気をつけてね。ま、大丈夫だろうけど」
黒宮「気をつけておく」
黒宮が脇道へ消えていく。
如月「今日、ソウジヤさんが後片付けだったし、派手にやっていいよね?」
三鷹「いいけど、依頼料払えるの?派手にやりすぎると追加料金かかるでしょ」
如月「宮ちゃん売るから大丈夫⭐︎」
三鷹「笑顔でゲスいこと言わないでよ。…ほんと、アンタってクロミヤちゃん売るの好きだよね」
如月「売れるもん」
三鷹「……」
会話を諦めた三鷹は、黙々と薬の準備をする。
彼女が愛用している、3秒でキマっちゃうと話題の薬。訓練は受けているであろう裏社会の人間にどれだけ効くかはわからないが…。
ちなみに、それを使う三鷹は勿論、薬が撒かれた中で戦う如月と黒宮もこの薬への耐性はついている。吸いすぎるとキマってしまうかもしれないが。
如月「作戦開始まであと10秒だよ」
三鷹「OK。準備できてる」
如月の時計の秒針が12の文字盤に重なった瞬間、三鷹は薬を撒き、如月は扉を蹴破って建物へ飛び込む。
同時に裏口も破壊され、特徴的な大鎌を持った黒宮も入ってきた。
如月は柔軟な対応が苦手なため、確実にある拳や足で戦うタイプだ。186cmもあるのだから、届く範囲も大きい。
流石に銃弾を受け止めたりはできないため、いつも防弾ベストを着て「仕事」しているらしい。重いし暑いしで大変そうだ。
黒宮の場合、今回のように広い場所であれば大鎌を使って「仕事」をする。薙刀の要領で振り回せば、遠心力でサクサクと人が殺せるらしい。
拳銃も使うのだが、酷使するとある仕事仲間がうるさいため基本的には使わない。
三鷹の薬の効果もあって敵の動きは鈍いし、中には同士討ちになっている輩もいる。
黒宮の大鎌が、故意か偶然かはわからないが如月の時計を粉砕したハプニング(?)もあったが、あっという間に「仕事」が終わった。
如月「あー、これ高かったのにな…」
黒宮「分け前に+1万」
如月「いいよー」
三鷹「…チョロくない?」
と、そこへ天色がやってきた。
天色「派手にやったな…」
三鷹「追加料金必要?」
天色「殺し屋君に今度まけてあげるって言ったし、追加料金なしでいい」
三鷹「え、何かあった?」
天色「銀行の口座凍結されちゃって、依頼料届けに来てもらった」
三鷹「…やっぱアンタって不運じゃ…」
天色「違うっつの」
話しながらも、天色はテキパキと死体を片付けていく。
如月「仕事早いねー」
黒宮「その分料金は高いけどな」
三鷹「言っとくけど、割り勘だからね?」
如月「わかってるって笑」
天色「料金ツケたりしたら即切るからな?」
三鷹「脅さないでってば」
天色「殺し屋君は金払い良いから良客なんだけど、拳銃マニアの奴なんて毎回値切ってきやがるんだよ」
如月「ミツバチちゃん?やりそー笑笑」
どこかで木槌がくしゃみをした。
天色「じゃ、俺は帰る。料金は明日口座に振り込んどいてくれ」
如月「おっけ〜」
三鷹「口座復活するんだ…」
黒宮「了解」
天色が去っていく。
如月「あ、三鷹ちゃん、仲介業者に連絡お願いしていい?」
三鷹「いいよ。ついでにアンタの時計も証拠として提出する?」
黒宮「『これの持ち主が彼女の仇でした。死にました』って?」
三鷹「肉片もっていくよりマシでしょ?」
黒宮「捏造された証拠だけどな」
如月「捨て方よくわかんないし、それでいいじゃん。三鷹ちゃん天才〜!」
後日、仲介業者から『この時計は柊のやつだろ』と突き返された。
今回登場したのは、ノゥ。様の「如月柚輝」さんと甘味様の「三鷹真凛」さんです!ありがとうございました!
この3人の組み合わせ、なんか気に入りました。また書きたいな。
自主企画で「仲介業者」も募集しようかな、と考えています。参加お願いします!
番外編
如月「三鷹ちゃんが飲み会くるなんてびっくりしたよ〜」
三鷹「あたしだって呑みたい気分の時はあるの」
如月「そっか笑 何飲む?」
三鷹「生ビール。クロミヤちゃんは?あれ、未成年じゃないっけ」
黒宮「成年済み。まあ、呑まないが」
如月「えー!飲もうよー」
黒宮「…お前、もう酔っているわけじゃないよな?」
如月「酔ってないって笑 あ、三鷹ちゃん他に頼むものある?」
三鷹「唐揚げと…シーザーサラダ。…アンタ、そうやって女落としてるの?」
如月「どうだったかな〜笑」
如月が店員に注文をした。
待つ間、最近の「仕事」の愚痴が始まる。
如月「柳澤さんがさぁ〜、休日に仕事いれてくるんだよね。俺は椿じゃないのにさぁ…」
三鷹「アンタが平日に仕事しないからでしょ」
黒宮「自業自得だな。どうせ文句を言って柳澤さんを困らせたんだろ」
如月「えー、なんでわかるの?」
黒宮「前科がある。この間愚痴を聞いた」
如月「ミヤちゃん、柳澤さんと愚痴言いあう仲なの!?」
黒宮「…如月さんよりは仲が良い」
三鷹「柳澤さん、黙って仕事する人は好きだからね」
注文した品が届いた。
三鷹「レモンかけていい?」
如月「いいよぉ〜」
三鷹「あ、美味しい。クロミヤちゃんも食べてみなよ」
黒宮「…ん、美味」
如月「二人だけの世界作らないでよ〜笑」
三鷹「アンタはヒモだし…」
如月「凄腕の殺し屋です〜」
三鷹「本気で言ってるの?業界で『ヒイラギ』って言っても知らない人多いけど。クロミヤちゃんは知らない人いないレベルなのに」
黒宮「『ヒモ』って言ったら大抵通じる」
三鷹「よかったねヒイラギ。アンタは最強のヒモらしいよ」
如月「三鷹ちゃんも俺のこと養ってみない?」
三鷹「はあ!?」
バキッと割り箸をへし折る三鷹。
如月「冗談だって笑 養ってもらうなら宮ちゃんがいいな〜」
黒宮「…幽霊と一緒に?」
如月「うーん…可愛い女の子多いから嬉しいけど、田中さんがね〜…」
黒宮「田中さんが?」
如月「待って待って目が怖いって!!ほらあの人めっちゃ保護者っぽいから夜遊びダメそうでさ…」
黒宮「健康的な生活が送れるぞ」
如月「やだよ…」
三鷹「ちなみに家賃は?」
黒宮「収入に応じて決める」
三鷹「そんなアバウトでいいの?」
黒宮「私の収入でやっていけるからな」
三鷹「そうだった…。クロミヤちゃん探偵だもんね」
如月「カッコい〜」
三鷹「ちょっとヒイラギ、あたしのシーザーサラダ食べないでよ」
如月「この枝豆あげるから許して?」
三鷹「許す。…あ、すみません、カシスオレンジください!」
如月「宮ちゃん烏龍茶だけでいいの?」
黒宮「明日も仕事だから」
如月「うわー、大変だねえ」
三鷹「ヒイラギも仕事してきなよ。あたしも、明日は撮影あるし」
如月「明日は夜から「仕事」あるんだよね〜」
黒宮「飲み過ぎて二日酔いのまま「仕事」に行くなよ」
如月「大丈夫だって!情報屋ちゃんと一緒だから」
黒宮「この間除菌スプレー噴射されていなかったか」
如月「なんか嫌われてるんだよねえ…」
三鷹「アンタのこと好きな人間は面食いの女だけでしょ」
如月「酷い笑 あ、でも業界の人は大抵宮ちゃんあげたらなんとかなるし笑笑」
三鷹「ちょっとクロミヤちゃん売らないでって言ってるでしょ。ちゃんと仕事しなさい」
黒宮「人を勝手に売るな」
如月「ごめんって笑」
水無瀬「満、そろそろ帰るよ?」
如月「うわぁっ!?」
黒宮「わかった。じゃあ、私は帰る」
三鷹「また生きて会おうねー」
如月「またね〜」
竹刀片手の水無瀬と連れ立って黒宮は出て行った。
三鷹「…ハシゴする?」
如月「えっ、いいの!?行こ行こ!」
三鷹「代金は割り勘ね」
如月「もちろん笑」
この3人組(?)好きだ…。
こういう番外編も時々書きたいなと思っています。
質問やリクエストはいつでもどうぞ!
番外編2
硯「そういえばさ、みんなって柊くんとか御魂さんのことどう思ってる?」
裏方組がビルにたまたま集合した時硯が聞いてきた。
柳澤「クソヒモゴミ虫野郎と優秀なやつ」
天色「柳澤さん、柊の奴のこと大嫌いだったよな…」
湖畔「そうなんですか?」
硯「チュウさん知らないっけ?業界じゃ有名だよ?」
湖畔「柊さんが最強のヒモっていう話は知ってます」
天色「そうだな。あいつは確かに最強のヒモだ。ま、たいてい気は使えるから別にいいけど」
硯「柳沢さんには全然気使ってないけどねw」
天色「だな」
柳澤「あんっの野郎…!!」
湖畔「でも、この間は休日なのに素直に受けてくれてましたよね!」
天色「大方、御魂か殺し屋君あたりに言われたんだろ。確かその前に飲みに行ってたはずだ」
硯「飲みに行く仲なんだ…。なんか意外」
湖畔「『ただの仕事仲間』って言ってましたしね」
天色「田中さんは柊はともかく、御魂が飲みに誘ったりしてくれるのはありがたいって言ってた」
硯「保護者公認の仲か〜」
湖畔「田中さん…?」
硯「ミヤの幽霊ハウスに住んでる幽霊で、元エンジニア。ミヤと一番古い付き合いで、保護者」
湖畔「一度会ってみたいですね!」
天色「にこにこしながら容赦無いぞあの人」
柳澤「まあ、黒宮も未成年だからな」
湖畔「えっ?22歳って聞きましたよ?」
柳澤「は?」
天色「一応22歳を名乗ってるだけで年齢不詳だよ、あいつは」
硯「調べてもわからなかったから、たぶん無戸籍だったんだろうね」
湖畔「なんか聞いちゃいけないこと聞いちゃった気分です…」
天色「まあ、年齢なんかこの業界じゃどうでも良いことだ。それより、料金をきちんと払うかどうかが俺には重要だよ」
柳澤「ヒモ野郎は払いそうにねぇな」
天色「文句言いながらも一応払ってるから切ってない」
硯「w御魂はきっちりしてるよね。別収入あるからかな」
湖畔「コスプレイヤーですっけ」
柳澤「若い世代には有名らしい」
天色「たしかに、金払いが良い奴…殺し屋君とか…は別収入ある奴が多いかもしれない」
硯「ミヤは私立探偵でしょ?そっちでも依頼受けるから収入多いよね〜」
天色「柊みたいなヒモとか、表じゃ無職…とか、趣味に没頭しすぎてる奴とかは収入悪いから大抵切る」
硯「ヒモなのに切られてない柊くんってすごいってこと?僕、あいつ嫌いなんだけど」
天色「嫌いでも、顔面に除菌スプレーはやめとけよ」
湖畔「!?」
柳澤「せめて冷却スプレーか唐辛子スプレーにしとけ」
湖畔「!?…あの、会話が恐ろしいんですけど…」
硯「大丈夫、柊くん丈夫だから」
柳澤「それでやられるならそれまでだ」
天色「まあ、バットでブン殴られてピンピンしてるから、体だけは丈夫なんだろ」
湖畔「ブン殴ったんですか!?」
天色「や、浮気がバレて養ってもらってた女にやられたらしい」
湖畔「なんなんですかあの人…」
硯「最強のヒモ」
湖畔「殺し屋の人って変人多いですよね……」
柳澤「銃をこよなく愛する奴とか、胡散臭すぎる関西弁の奴とか、唐突に人を殺したがるサイコ野郎とかか」
天色「御魂と殺し屋君は常識人枠だからなぁ…」
硯「宮は常識人枠なの?w」
天色「まあ、考え方が変わってるくらいで良い奴だから…」
湖畔「なるほど…??」
硯「御魂さんは本当に常識人だよね〜」
三鷹「そう?ありがとう」
湖畔「わっ!?」
如月「実は最初からいました⭐︎」
硯「いたなら言ってよ〜」
天色「殺し屋君は?」
三鷹「いつも一緒なわけじゃないんだけど…」
如月「ここで話聞いてる時に通って行ったけど完全にスルーされたよ笑」
硯「あっそう」
如月「なんで俺には辛辣なの笑」
黒宮「自分の行いを振り返ればわかる」
天色「お、来た」
黒宮「柳澤さん、次の依頼、明日でしたよね」
柳澤「ああ。何かあったか?」
黒宮「「仕事」が終わった後の掃除の手配、頼んで良いですか」
柳澤「分かった。料金は依頼料から引いておけば良いな?」
黒宮「はい」
如月「明日「仕事」なんだ〜。頑張ってねぇ」
柳澤「お前が断りやがった依頼だ」
如月「だって明日ミカちゃんとデー…あ、やっば」
柳澤「貴様ァァァァァァ!!!!!そんなことで依頼を断りやがったのかァ!?!?」
如月「俺の生活費のためだって!じゃ!!」
柳澤「待ちやがれクソヒモゴミ虫野郎!!!」
如月と柳澤の追いかけっこが始まった。いつもどおり如月が逃げおおせるだろうが。
湖畔「…柳澤さんって苦労人ですよね…」
三鷹「今度ヒイラギ締めとくから」
天色「田中さんと水無瀬も呼ぶか?」
黒宮「声をかけたら喜んでくると思う」
三鷹「OK。日時はあとで連絡するね」
黒宮「如月さんも性格が悪いわけじゃないんだが、柳澤さんには素直になれないからな…」
三鷹「酔った時は本音が出るのにね」
湖畔「全然酔わない柊さん酔わせたんですか!?」
三鷹「スピリタスのテキーラ割りを飲ませたの。私が作って、クロミヤちゃんも飲んだから警戒しなかったの」
天色「殺し屋君ザル?」
黒宮「いや。顔に出ないだけだ」
三鷹「ほんと、損な性格してるから酔わせないと本音聞けないの」
硯「じゃ、今度酔わせてみようかな」
湖畔「頑張ってください…?」
今回初登場したのは、ノゥ。様の「柳澤悠二」さん、夜珊瑚様の「湖畔海紙」さんです!ありがとうございました!
夜珊瑚様のリクエストで書きました。期待通りに書けたかわかりませんけど…
第四話
三鷹「クロミヤちゃん、暇?」
「仕事仲間」の三鷹からそう言われたのは、3人で「仕事」をしてから1週間後のことだった。
黒宮「今のところ「仕事」の予定はない」
三鷹「じゃ、新しい依頼引き受けてくれる?「仕事」と並行でやって欲しいことあるみたいなんだよね。詳しいことは明日会って話すよ」
黒宮「わかった。いつものビルか?」
三鷹「うん。よろしくね。…あ、今回はヒイラギいないから」
翌日。
いつものビルには、三鷹と、何故か如月までいた。
如月「なんか、依頼が人探しもあるって聞いたから、人手が多い方がいいでしょ?」
三鷹「依頼人男が苦手だから男は少ない方がいいんだけど」
如月「依頼人には会わないからさぁ…ね、おねが〜い」
三鷹「勝手にしなよ…。で、依頼内容の説明ね。依頼人は「紫村里奈」。大学生。「仕事」内容は昔、自分の家に強盗として入ってきた犯罪グループの壊滅。それと、両親を探すこと。生死は問わないって」
黒宮「白骨死体であろうと?」
三鷹「うん。幽霊は見えるらしいから、幽霊でもOK」
如月「犯罪グループって何人いるの?」
三鷹「その辺りはまだわからないから、情報屋に頼むつもり」
黒宮「なら、私が行ってくる」
如月「俺も行こうか?」
黒宮「やめておけ」
三鷹「今度は殺されると思うけど?」
如月「…やめときまーす」
三鷹「じゃ、如月は仲介業者に頼んで、当時の依頼記録確認して」
如月「なんで?」
三鷹「その犯罪グループは誰かの依頼で動いていたのかも。だとしたら、その依頼人を特定した方がご両親も見つけやすいでしょ」
如月「三鷹ちゃん頭良いね〜。湖畔くんに聞いてくる〜」
三鷹「柳澤さんの方が良いんだけど」
如月「無理だって笑」
三鷹「…。とりあえず、今日は解散」
黒宮は硯の住むタワーマンションへ向かった。
硯「強盗をした犯罪グループの特定?」
黒宮「それと、紫村里奈の両親の行方」
硯「へ〜。じゃ、にんじんちょーだい!今持ってるでしょ?」
黒宮「ほら」
硯「やった。…それじゃ、ちょっと待ってね〜」
部屋の半分を占めるパソコンたちの前に座って、高速でキーボードを叩き始める硯。
硯「ん?…まぁ、こんなもんかな」
パソコンの画面に地図や写真、大量の文字が映し出される。
硯「紫村って人の家を襲ったのは、SNSで募集を受けた奴らだったよ。募集をしていたのは、掛川総一。紫村って人の会社の金を横領しているのがバレて、その恨みらしいね。SNSで募集受けた奴らの名前も特定済み。人数は8人」
黒宮「さすがスズさん」
硯「もっと褒めていいよw…で、紫村夫妻の行方は…夫の方は、もう殺されてる。連れ去られた後、掛川に殺されたっぽい」
黒宮「殺された場所は?」
硯「××山の麓にある小屋。まだいるかもね」
黒宮「妻の方は?」
硯「わからない。臓器が売られてるから、もう死んでる可能性が高いけど…」
黒宮「なるほど」
硯「臓器を取り出したのは、明石にある闇病院。生きていたらそこにいると思う」
黒宮「住所は?」
硯「もろもろ印刷したよ」
黒宮「助かる。…あとでにんじんは送っておくから」
硯「やった。…あ、ミヤ、柊くんは連れてこないでよ?」
黒宮「わかってる」
その頃、如月は湖畔の元で資料を漁っていた。
如月「えー、資料多すぎない?」
湖畔「この頃はデータ化されていなくて…」
如月「疲れるなあ……あ、これじゃない?」
湖畔「…あってます!」
如月「…ネットで募集してたんだ。うーん、住所は載ってないなあ…」
湖畔「その辺は情報屋さんに…」
如月「…ねえ。これ、最初っから情報屋ちゃんに依頼すればよかったんじゃ…」
湖畔「…あはは」
如月「うわー、無駄なことしたぁ…ごめんね」
湖畔「いいですよー。じゃ、僕はこれで」
如月「またね〜」
資料をパラパラとめくっていた如月は、あるページで手を止めた。
如月「あれ?これってまさか…」
更新が遅くてすみません…。
次回、ともり様の「紫村里奈」さんが登場予定です!
それと、質問が来ていました。
Q.三鷹ちゃんと黒宮ちゃんってどっちが強いの?
A.お薬も使って「仕事」するので、三鷹ちゃんの方が少し強いです!
Q.黒宮くんの下の名前って何て読む?
A.「ミチル」です。
他にも質問があればいつでもどうぞ!
番外編3
如月「えーと、今回はとある方からのリクエストで…『あみだで選んだメンバー4人に本編のことや裏話をだべらせる』企画でーす!」
三鷹「あみだで選んだの?」
黒宮「選出されたメンバーを見る限り、あみだの可能性は低い気がする」
如月「そこは言わないお約束⭐︎」
柳澤「ふざけんな。リクエストにはちゃんと答えろよ」
三鷹「ま、そーなんだけどね…」
如月「作者は『だって君たち勝手に動いてくれるもん!』と述べております」
黒宮「私には『動かしにくい』『主人公変えたい』『いっそ殺したい』とか文句ばかりだったが」
三鷹「呆れるしかない……。クロミヤちゃんにそんなひどいこと言うなんて」
如月「まーまー!多めに見てあげてよ」
三鷹「次は無いから」
如月「三鷹ちゃん怖いって笑」
柳澤「本題に入らなくていいのかよ」
如月「忘れてた〜」
柳澤「はあ!?!?」
如月「でも喋ることそんなにないよね〜」
三鷹「本編でも色々話してるし…」
黒宮「裏話はやりすぎるとネタバレになるからな」
如月「あ、そーいえば俺、いっこ疑問あったんだけどさ〜」
三鷹「何?」
如月「なんで宮ちゃんってカッターシャツの上からパーカー着てるの?」
柳澤「あー…。俺も気になっていた」
黒宮「…私は、大抵大鎌で『仕事』するだろう?」
如月「だねぇ。死神っぽくてカッコいいと思うよ〜」
黒宮「人を斬るわけだから、返り血が付く。だから、汚れても目立たないようにパーカーを着ているんだ」
三鷹「なるほどね〜」
如月「え、返り血とか気にするの?」
黒宮「如月さんはよく血塗れになってるから気にならないだけだろ」
柳澤「……。如月、お前いい加減にヒモやめろ」
如月「えー!!働くのって面倒じゃん!」
三鷹「働け」
柳澤「御魂は働いているのか?」
三鷹「ま、一応ね。コスプレイヤーしてるの」
黒宮「かなり有名だと思う」
柳澤「コスプレイヤー……」
如月「柳澤さん、そーいうの苦手っぽいよね〜」
三鷹「ヒモよりずっとマシだと思うけど?」
如月「ひどいって笑 あとねー、宮ちゃんも三鷹ちゃんも目の色ちょっと変わってるでしょ?」
三鷹「あー、そうかもね」
黒宮「それが何か?」
如月「ハーフか何かなのかなって」
三鷹「教える訳ないでしょ。アンタみたいな怪しいヤツに」
黒宮「正直、あまり信用できない」
如月「えーっ!!ねえみんな俺に辛辣すぎない?泣いちゃうよ?」
黒宮「大丈夫だ。作者は如月さんのことをかなり気に入っている」
如月「あんま嬉しくない!働かされるだけでしょ」
柳澤「文句言わずに働きやがれェェェェ!!!」
如月「休日出勤とかブラックじゃん!!!!」
三鷹「裏社会はそんなもんでしょ…」
黒宮「むしろこの業界は待遇が良い」
三鷹「ヤクザとかマフィアはナワバリ争いとか大変っぽいよね」
如月「何?キャットファイトの話?」
三鷹「違う」
如月「こないだ、駅前のデパートでミカちゃんとデートしてたらアヤリちゃんと遭遇しちゃってさ〜。キャットファイト始まっちゃって大変だったよ〜」
黒宮「話を聞け」
如月「結局、ミカちゃんが負けて俺はアヤリちゃんとホテル行ったんだけどね〜。そしたら…」
柳澤「お前……!!!連絡がつかないと思ったら…!!!!!!」
如月「だってさ〜、アヤリちゃんの元彼って言う人に殴られてたんだよ?酷くない?やり返すのも良くないからボコボコにされちゃうし、アヤリちゃんは逃げちゃうし…。で、宮ちゃんのお家に泊めてもらったんだよね〜」
黒宮「深夜にチャイムを連打するなよ」
如月「ごめんごめん笑 で、泊めてもらったんだけど、そしたら宮ちゃんがスイちゃんと仲良く紙飛行機飛ばしてんの。もー、すっごい可愛くて、スマホバキバキじゃなかったら写真連写してたよ」
三鷹「なに?変態なの?」
柳澤「未成年者相手に…」
如月「ちがうって!小動物が可愛いなってかんじの方だからね!?」
黒宮「小動物………」
三鷹「クロミヤちゃんが微妙に傷ついてるんだけど!?」
黒宮「スイは歴とした人間だからな。飼うなよ」
如月「幽霊だよね!?可愛い子だけど、幽霊だよね!?!?」
三鷹「え、ヒイラギって幽霊が苦手?」
如月「別に嫌いってわけじゃないけどさぁ……好んで関わりたくないなぁ………特に田中さん」
三鷹「田中さんはアンタがヒモだから苦手なだけでしょ」
黒宮「まあ、田中さんもああ見えて結構辛辣だから…」
柳澤「いっそこのクソゴミヒモ野郎に取り憑いてくれねェかな……」
三鷹「柳澤さん……。頑張って!」
如月「あ、そろそろ時間だ〜。大したこと話してないけど、別にいいよね。じゃ、またね〜♪」
柳澤「待ちやがれェェェェ!!!!!」
本編が進まなくてごめんなさい。
ちなみに、如月さんが目撃した黒宮とスイちゃんの紙飛行機飛ばしは、ノゥ。様のイラストが元ネタです。
https://firealpaca.com/get/KMh80hsZ
このイラストは本当に、見た瞬間吐血しそうになったので、小説にもぶっこんでみました。
あ゛あ゛あ゛スイちゃんがクッッッソかわいい…!!!!
自主企画の参加も是非お願いします!
イラスト、小説どちらでもOK!
参加してくださった夜珊瑚様、甘味様、Sui様、本当にありがとうございます!!
第五話
如月「これ、依頼書だよね?」
湖畔「ですね…。依頼人は掛川総一…」
如月「こっちで依頼しようとして断られたのかな?」
湖畔「蜥蜴という仲介業者に断られてますね」
如月「あ、依頼まで辿り着かなかったんだ。…この仲介業者、確か断ってしばらくしてから殺されてなかったっけ」
湖畔「そうなんですか?僕、そういうのは詳しくなくて…」
如月「蜥蜴っていう仲介業者で、俺も何回か依頼受けたことあるよ。『会社』同士の争いで殺されたって聞いてたんだけど…」
湖畔「…まさか、掛川と『貿易社』が繋がっていたんですか?」
『貿易社』とは、(一部の読者はご存知かもしれない)峰山の『会社』と敵対関係にある野田という男が経営する会社だ。
如月「依頼を断られたから口封じに…ってことかな…。……蜥蜴はさ、トラックに轢かれて死んだんだよね」
湖畔「それなら、ただの事故死ってことじゃ…」
如月「俺や三鷹ちゃんと同じくらいの時期に業界に入った殺し屋に、“水母”っていうのがいるんだよ。交通事故に偽装して殺す専門の殺し屋」
湖畔「水母って、『貿易社』でしたっけ?」
如月「微妙。金さえ積めばどんな依頼も受けるタイプだからね。仲介業者通さずに依頼受けてるから、どんな仕事してるかも分からない。…蜥蜴の件は、目撃者が居たんだよ。「中学生くらいの子供が、女性を押していた」って」
湖畔「あ、黒宮さんより若いんですね」
当時中学生くらいだったとすると、今は20歳前後だろうか。業界でその年齢はなかなか珍しい。
如月「たぶん?その目撃者も数日後に死んだから、結局どうだったのか分かんないんだよねー」
湖畔「でも、水母がその犯人で、『貿易社』についていたとすると、掛川は『貿易社』の人間ってことになりますよね…」
如月「会社員がこっちにも関わってるってよくある事でしょ?」
湖畔「まあ…」
如月「情報屋ちゃんに頼むかなー。宮ちゃんもこの情報知らなさそうだし」
湖畔「あ、でも、業界のメンバーの情報は基本的にノータッチって…」
如月「え、マジ?」
湖畔「報復とか嫌だからって言ってましたよ」
如月「えええー…。じゃあ…ちょっと忍び込んでみる?」
湖畔「無理ですって…」
苦笑いしながら手元の依頼書を眺める湖畔。
湖畔「…掛川が今も『貿易社』の社員なら、調べられるかもしれません」
如月「ほんと?」
湖畔「知り合いに、そういう事を調べる専門の情報屋がいるんです」
如月「湖畔ちゃん有能じゃん!!」
湖畔「そんな事ないですって…」
苦笑いする湖畔。
如月「じゃ、よろしくね〜。あ、湖畔ちゃんも参加する?」
湖畔「いえ、僕はこれから仕事ですし…」
如月「そっか〜。じゃ、またね〜」
如月が資料室を出ていったのを確認して、湖畔はスマホを取り出した。
どこかに電話をかける。
湖畔「あ、お久しぶりです……はい。よろしくお願いします。…では、また」
通話を切ると、湖畔は一度資料室を見渡してから出ていった。
如月「ってゆーことで…掛川は『貿易社』の幹部だって分かったよ」
3人は『会社』の近くにあるカフェに集まった。店主が同業者のため、気兼ねなく『仕事』のことを話せる。
三鷹「これ、社長に一応報告しとく」
黒宮「また争いが始まったら、峰山も無事ではいられないだろうしな」
三鷹「『貿易社』も大きくなったしね…。そうなったらあたしたちは始末確定、と」
如月「うわー、できるだけ迅速に、隠密行動ってことか〜」
三鷹「そういうこと。…はー、面倒なことになってきちゃった」
如月「……三鷹ちゃんさ、7年前に殺された仲介業者の“蜥蜴“って覚えてる?」
三鷹「会ったことはないけど、名前くらいなら知ってるよ」
如月「その“蜥蜴“がさ、掛川の依頼を断ってたみたいなんだよね。それで、『会社』の争いに巻き込まれて殺された風に見せかけて始末されたのかも」
三鷹「それが正解だとすると、掛川は結構上の方の人間ってことになる…けど」
如月「そうかもね。…で、蜥蜴を殺した可能性が高いのが、“水母“って殺し屋」
三鷹「クラゲ?最近よく聞く名前ね」
黒宮「私の2つ下で、一応大学の後輩だった」
如月「ほんと?どんな奴だった?」
黒宮「…ぱっと見は普通の大学生だった…でも、多分簡単に人を殺せる奴だと思う」
三鷹「『仕事』することに迷いがないのは良いけど…サイコパスに近い感じ?だったら敵に回したくないよね」
如月「てか、三鷹ちゃん『最近よく聞く』って言ってたけど、どゆこと?」
三鷹「え?あー、つい最近迷惑メールが届くようになって。全部同じアドレスだったから、一番最初のだけ読んでみたんだけど…『クラゲに気をつけて』って書いてあったの」
如月「なんか怪しいメール…」
黒宮「アドレスは残ってるか?情報屋に頼めば何かわかるかもしれない」
三鷹「それが、全部消えちゃったの」
如月「うわー、手掛かり消えちゃったかぁ」
大袈裟に嘆いて見せる如月。
『速報です。〇〇高速道路の※※IC付近で追突事故があり、軽自動車に乗っていた男性が死亡しました。男性は××市在住の久木田浩介さん、…』
女性アナウンサーの声が聞こえてきた。
黒宮「久木田浩介…?」
三鷹「まさか、あの6人の一人…じゃないよね?」
黒宮「そのまさかだ…」
テレビの中では女性アナウンサーが尚も喋り続けている。
『午後2時ごろには近隣の市街地でもひき逃げ事件があり、警察は事件に関連性がないか調べているようです』
三鷹「ちょっと待って。このひき逃げ事件…」
スマホのニュースサイトで検索すると、すぐにヒットした。
三鷹「被害者は金本佑磨…。あの6人の一人」
如月「『貿易社』が口封じを始めた…ってこと?どっかから情報が漏れた?」
黒宮「二人とも交通事故だ。水母が関わっている可能性が高いな」
三鷹「他の4人も殺されたら何も聞けないじゃない…急がなきゃ」
如月「近いところから当たってみる?」
黒宮「いや、水母が殺してまわっているとしたら、最後に殺す予定なのは…」
同時刻、※〇駅で、3人目…釘谷瑛人が轢死した。
とあるご親切な方が作ってくださった殺し屋・水母が次回からどんどん(?)出てきます。一番わかりやすい敵キャラですからね!
中途半端なところで切っているのは、消えたからです。泣きたいです。
ついでに言うと、書き進めていた如月さんの過去話(番外編)も消えました。私は最近不幸の神様に微笑まれているようです。
明日、第六話を投稿したいので頑張って書きます。待っててね。そろそろ病院に行くよ。水母も出てくるよ。紫村さんのご両親…は第七話かな?
第六話
3人は、とある高層マンションの前に立っていた。
残り3人のうちの一人…小野昴は、このマンションに住んでいる。
如月「宮ちゃんを疑うつもりは無いんだけどさぁ…ほんとにここが一番狙われにくいの?こーいう…成金?みたいな奴って一番に狙われそうなんだけど」
三鷹「あたしとしては、アンタが真面目に仕事やってる方が疑問なんだよね。改心したの?」
如月「面倒なことはササっと終わらせて遊びたいじゃん」
三鷹「…意外と計画性あるタイプだったんだ。…で、クロミヤちゃん、ここが最後だっていう理由は?」
黒宮「小野昴はIT会社の経営をしていて、ほとんどこのマンションから出ない。交通事故死偽装専門の水母にとって一番やりづらい相手のはずだ」
三鷹「殺せないってこと?確かに、外にはあんまり出て無さそうだけど」
黒宮「最後に殺すつもり、というだけで、結局は小野も殺すだろう。…水母は、効率的で疑われ難い殺し方を選ぶが、本来は殺戮を好むタイプだ。小野は、彼の住む部屋で嬲り殺すつもりなんじゃないかと思っている」
三鷹「さすが探偵。…水母って割と凶暴なんだ…。なんか、大人しそうなイメージがあったけど。名前からしても、ふわふわしてて可愛いじゃん」
黒宮「…クラゲって毒があるんだが」
三鷹「蝶のように舞い、蜂のように刺す…って感じか」
如月「実際、水母はこの業界でもベテランの部類に入るよね。気をつけた方がいい…かな?うん、たぶん」
三鷹「珍しい慎重論。アンタ、頭でも打った?」
如月「打ってないって笑」
三鷹「ふーん…。まあどうでもいいけど。アンタが情報流してるわけじゃ無いよね?」
如月「そんなことしないよ〜。『貿易社』に情報流したって良いことないじゃん」
黒宮「現状は、な。情報を流したことが露見すれば無事ではいられない。けれど、野田は政界にも顔が効くし、そろそろ『会社』も危うい」
三鷹「裏切るなら今のうち。疑心暗鬼になってもどうしようもないけどさ、もしアンタが裏切ってるなら…あたしは、アンタを殺さなきゃいけない」
如月「二人して俺のこと疑わないでよ〜。そんなに怪しく見える?」
黒宮「女に誑かされてやりそう」
三鷹「正直、結構怪しいわよ」
如月「酷くない!?」
黒宮「怪しさで言ったら御魂さんも私も同じだけれど、普段の行動を見ていれば裏切っていてもおかしくないのは如月さんかな、と」
如月「うわー、もしかして俺、峰山にも怪しまれてる?監視とかされてたらどうしよ…」
三鷹「本当に裏切ってなければ気にしなければいいでしょ」
黒宮「裏切っているとなれば、すぐに野田のところに駆け込むか海外逃亡をお勧めする」
如月「ねえ!?なんで二人とも俺ばっかり疑うの!?湖畔ちゃんも怪しいよね!?」
三鷹「湖畔?なんで?」
如月「昨日、資料室で一緒に探し物してた時に…」
小野がマンションから出てきた。
硯に頼んで、偽の依頼メールを送ったのだ。うまく引っ掛かってくれたのか、はたまた『貿易社』の人間に呼び出されたのかわからないが、早急に連行する必要がある。
三鷹「アンタ、小野昴?」
小野「そうだけど、なんかあんの?」
警戒することなく、無防備に立っている。
如月「ちょっと来てくれる?話聞きたいんだけどさ〜」
小野「はあ?」
如月「7年前、紫村圭司って人殺したの、覚えてるよね。その人について聞きたいんだけどな〜」
小野「なんでそれを…!」
慌てる小野を路地裏に引き摺り込む。
拳銃をチラつかせれば、聞いてもいないのにいろいろと話し始めた。
小野「あ、あの時は、金が欲しくて…。SNSでバイト募集してて…。人を殺す仕事だってことは知らなかったんです!紫村って人の家に強盗に入って、男を連れされって内容で…」
如月「バイトを募集してた人と会った?」
小野「は、はい!…なんかヤクザみたいな人と、子供…もいて」
如月「その家に?」
小野「や、打ち合わせで、なんか古いビルに行った時に…」
三鷹「ちなみに、その募集してた人ってこの中にいる?」
適当にピックアップした数枚の写真と、掛川の写真を見せる。
小野「この人です…」
指差したのは、掛川の写真。
如月「ちなみに、そこにいた子供って何歳くらいだった?」
小野「中学生…くらいだったと思います。暗かったので、よく覚えてないんですけど」
三鷹「やっぱ水母も関わってたっぽいね…」
如月「あっち側確定か〜」
黒宮「…お前は、『貿易社』を知っているか?」
小野「ぼ、貿易社…?」
三鷹「知らないよね…」
小野「…『貿易社』について知っていることを話したら、殺さないでくれますか?」
如月「三鷹ちゃん決めて〜」
三鷹「優柔不断め…。…そうね。殺さないかもしれないわ」
小野「俺たちを雇った、掛川って男は、『貿易社』の結構上の方らしいです。社長って人の命令で、紫村を殺さなきゃいけないとかで…」
三鷹「野田の方が紫村圭司を始末したかったってこと?」
黒宮「会社の金を横領したのが云々っていうのは嘘だったのか」
小野「紫村の家を襲った後、その掛川が、どこかに電話掛けてて…『鴉はこっちで捕まえた』って言ってたんです」
黒宮「鴉?…紫村圭司は殺し屋だった…?」
三鷹「蜥蜴みたいに、逆らったから殺されたのかも。ヒイラギも気をつけた方がいいと思うね。マズイことやっちゃったらアンタの彼女さんたちも殺されちゃうから」
如月「うわー…。業界ってそういうとこえげつないよね…。その点、宮ちゃんは殺される相手いないから良いよね〜」
黒宮「もう死んでるからな」
三鷹「ちょっと、小野逃げたんだけど」
如月「えっ、マジ?」
いつの間にか、小野はマンションの前の交差点まで辿り着いていた。案外と足が速い。
三鷹「ヒイラギ!走れ!!」
如月「無茶言わないでよ〜…」
文句を言いつつ、如月は本気で小野を追いかける。
運動不足であろう小野と、普段から走ったり殴られたり殴ったりと忙しい如月では、圧倒的に如月の方が速い。
横断歩道を渡り、後少しで追いつく、と思ったその瞬間、小野は飛んでいった。
如月「え?」
比喩などではなく、物理的に4mほど飛んだ。
地面にバウンドしてから、彼を飛ばしたトラックのタイヤが彼を踏み潰す。
三鷹「…『貿易社』から連絡があったか聞き損ねたわ」
死体のそばには野次馬が集まり始めていた。
如月が三鷹と黒宮のところまで戻ってくる。
如月「宮ちゃん、あの6人って後何人残ってる?」
黒宮「…0」
如月「そっか。…誰か動画とか撮ってないかな…」
三鷹「撮ってなさそうね」
如月「宮ちゃん、水母がいるかわかる?」
黒宮「この距離だと流石にわからない…」
パトカーのサイレンが聞こえてきた。誰かが通報したようだ。
三鷹「とりあえず、『会社』で防犯カメラとか調べてもらう?…あと、誰かに頼んで小野のパソコンのデータをコピーしてもらわなきゃ」
如月「早く終わらせたいのに…」
黒宮「早く終わらせたいのならこの『仕事』は諦めろ」
如月「お金は欲しいんだよね〜」
黒宮「強欲…」
三鷹「『金のために殺す』ってこと?あたしが言えることじゃないけど…人としてどうかと思うわ」
如月「お金のために殺すわけじゃないって笑」
黒宮「理由もなく殺す、と?」
如月「サイコじゃん!俺サイコじゃないからね!?」
三鷹「こんな欲に満ちたサイコっているの?」
黒宮「さあ?」
三鷹「日本人はエンパスが多くて、サイコパスはアメリカ人が多いみたいだから…ヒイラギ、アメリカにいってみない?」
如月「なんか裏切り者って疑われそうな行動すすめないで!?俺殺されちゃうよ!?」
三鷹「まあ、殺し屋全員撃退したら良いんじゃない?」
如月「三鷹ちゃん撃退とか出来ないんだけど…」
三鷹「そんなんだとそのうち足元掬われて死ぬと思うけど?」
⁇?「躊躇なく殺せるようにしておかないと」
如月「怖いこと言わないでよ〜…」
三鷹「そうでなきゃ、この業界では生きていけないに決まってるでしょ……って、アンタさらっと話に入ってきたけど誰!?」
黒宮「水母…」
如月「待って俺もうヤバいかも…そろそろ引退かな…。というか三鷹ちゃんノリツッコミ出来たんだね…」
水母「引導渡して差し上げましょうか」
如月「嫌だよ!?」
三鷹「何の用?アンタ、『貿易社』側って聞いてるけど」
水母「金払いが良いからついているだけです」
如月「金のために人殺してんの…」
水母「人が多すぎるから殺しているだけです」
三鷹「…は?」
水母は怪しい笑みを浮かべた。
水母「人が虫を殺すのと一緒です。邪魔だから、殺すだけ」
黒宮「……お前の言い分は理解できない」
水母「私も貴方の言い分は理解出来ません」
踵を返し、表通りに出ていく水母。少女のような後ろ姿が雑踏に紛れて消えていく。
三鷹「…なんなの、アイツ」
黒宮「…人嫌いのサイコパスだと思っている」
如月「人嫌い笑 やっぱ人って変わんないもんなんだなぁ」
三鷹「え?」
如月「え?なんかあった?」
三鷹「…何でもないわ」
如月の、過去の水母を知っているような口振りに違和感を感じたものの…恐らく、仕事で共闘したか、鉢合わせたかで知っていたのだろう。
三鷹「さっさと帰って、色々調べなきゃ。ヒイラギも手伝うよね?」
如月「俺、このあとユウリちゃんとデートしたいんだけど」
三鷹「は?仕事優先!!」
如月「えええーっ!!」
黒宮「仕事が終わるまで我慢しろ」
如月「無理だってえ…。俺、今日休みだったのに……」
休みなのに律儀に待ち合わせにやってきたあたり、如月も『仕事』のことはちゃんと考えているのだろう。なんだかんだ、中身は真面目な部分もある彼らしい。
…大部分は見た目通り軽薄な人物だが。
過去最長の長さ…w
テキライで来てくださった方々、ありがとうございました!!
次の更新は土曜日の予定です〜
第7話
如月「…ってことで、このパソコンの中身調べてくれない?」
長崎「お前は俺のことをなんだと思ってるんだよ」
如月「便利屋…じゃなかった、優秀な情報屋さんでしょ?」
長崎「隠せてねえよ」
三鷹「この依頼終わるまで『仕事』もあんまりできないし、早く済ませちゃいたくて…。お願いしてもいい?」
長崎「わかったわかった…」
三鷹のおねだりにあっさりと敗れた。時折、業界で長崎の性癖云々が話題になるのはこういう言動があってのことなのだろうか。正直言って、40代の男性が若く綺麗な女性に尻尾を振りまくっているのでは仕方がないと思う。
如月「長崎さんも結構変人だよねぇ」
三鷹「この業界はそんな人ばっかでしょ。武器デコりたがるオネエの武器屋とか、ニンジンが主食の情報屋とか…」
黒宮「業界で最も有名なヒモ、とか」
如月「なんか聞き覚えのある単語だね!?」
黒宮「2週間ほど前だったか」
三鷹「作者が雑談が多くなると半泣きになるから、とっとと進めましょ」
黒宮「メタい話をするな…」
長崎「おーい。パスワード開錠できたぞ」
長崎の手元にあるパソコンをみんなで覗き込む。
長崎「メールのとこにそれっぽいやつが何件か入ってるみたいだな」
三鷹「あー、これとか『貿易社』からのメールっぽいね」
如月「結構昔のまで残ってるじゃん。ズボラだったのかなー」
黒宮「ズボラだったかはともかく……。これ、竜門会の幹部の名前じゃないか?」
三鷹「え!?…ホントだ。竜門会もこの件に関わってるってこと…になるね」
如月「うわぁ、めんどくさそう…」
三鷹「ここまで来たら最後までちゃんとやってよね」
長崎「これから明石まで行くのか?」
三鷹「そう。掛川が病院にいるといいんだけど」
長崎「送ろうか?」
如月「えっ、ヤダ」
三鷹「自力で行くから大丈夫」
黒宮「そもそも長崎さんに送って貰っても道に迷うだけの気がする」
3人にやや食い気味に断られ、長崎は肩を落とした。
病院へは三鷹の運転で行くことになった。
想像の3倍は荒々しい運転で、病院に行くより、パトカーとカーチェイスをする方が向いていそうだ。
如月「三鷹ちゃん…意外とワイルド……」
黒宮「凄い運転技術だな……」
三鷹「そう?ほら、着いたよ」
山奥にある病院は、外からパッと見ただけでも薄暗く、見るからに怪しい。
如月「あっこに外車停まってるから、誰かいるっぽいね」
三鷹「掛川だといいけど」
入り口から堂々と入るが、人の気配はない。
黒宮「今は使われていないみたいだな」
階段で2階に上がると、手術室が並んでいた。
さてさて、やっと病院に辿り着きましたよ〜!
この後は、今までの倍速で進めて行きますので。
第8話
三鷹「…臓器摘出がメインだったみたいね」
覗いてみると、生理食塩水のパックやクーラーボックス、麻酔のアンプルが棚に置いてあった。
如月「うわ、メスも置きっぱなしじゃん」
三鷹「一本持っといたら?アンタ、武器ないんだし」
如月「メスってどうやって使うわけ?あ、ブラックジャックみたいに投げるとか?」
黒宮「練習しないと無理だろ。ブラックジャックも中学の頃からダーツで練習していたらしいし」
如月「宮ちゃんなんで詳しいの笑」
三鷹「ナイフと同じように切りつけたらいいんじゃない?切れ味良いでしょ」
如月がメスを2、3本ポケットに入れた。
黒宮「掛川は最上階か?」
三鷹「ぐるっと一周しながら上ってみるしかないわね」
3階も手術室や保管庫、医局が並んでいた。奥には扉に仕切られた病室がある。
黒宮「…ここでかなりの人数が死んだみたいだな」
三鷹「『貿易社』の病院だしね。…クロミヤちゃん、祓ったりはできないんだっけ」
黒宮「説得して成仏させたり、心残りを消したりはできるが」
三鷹「いちいちやってる暇はなさそうだし…。紫村さんのご両親、いる?」
黒宮「いない。死んでいないのか、心残りもなく成仏したのかはわからないが」
病室を抜け、4階に上がる。
4階は、ほとんどが病室だったが、奥まったところに窓のない部屋があった。
如月「ここで拷問とかしてたのかな?うわ、絶対人死んでるって!!」
血溜まりに足を突っ込んでしまった如月が悲鳴をあげる。
黒宮「割と最近まで使っていたのか」
三鷹「その血、全部落としてからついてきて」
如月は大人しく洗う場所を探しに行った。
三鷹「あとは5階だけ…。ここにいなかったら『貿易社』に入り込むしかないかもね」
黒宮「そうなったら水母に殺されそうだが」
三鷹「本気でやられそうで怖いんだけど」
喋りながら待っていると、銃声が聞こえた。
三鷹「誰かいる…みたいね」
黒宮「…如月さん」
三鷹「あっ…!」
如月が何処へ行ったのかわからないが、とりあえず奥の方を目指して走り出す。
如月も同じように進んでいたのか、すぐに見つけた。
如月「あ、三鷹ちゃん」
三鷹「アンタ…笑ってる場合じゃないでしょ!」
如月「あはは笑 めっちゃ痛い笑」
右太腿から血が流れている。これで両足血塗れだ。
黒宮「弾は貫通しているし、とりあえず止血するか」
ここは一応病院。包帯や消毒液、なんなら電気メスや糸、針まで使い放題だ。
幸い、血管もあまり傷ついていないようで、消毒液をかけて包帯をキツめに巻けば歩ける程度の傷だった。
如月「水道ないかなって探してたら、そこの角から撃たれたんだよね。咄嗟にメス投げたから、もしかしたらなんか残ってるかも」
角を覗くと、点々と血が奥へ続いている。
三鷹「当たったみたいね。アンタ、投げナイフやってみたら?」
如月「椿みたいになりたくないからやめとく」
三鷹「ほんと、アンタって椿のこと嫌いだよね」
血の跡を追っていけば、5階に辿り着いた。
5階は院長室が主なようで、血の跡もそこまで続いている。
閉じられた扉に鍵はかかっていなかった。
如月さん撃たれましたよぉ!!
テキライで書くとやっぱり長くなっちゃいますよね…。分かる方います?
第9話
如月「入ったらすぐ殺しちゃう?なんか聞くことあるかな」
三鷹「紫村さん如何したのか聞いた方がいいかも」
黒宮「殺すのは2人に任せる」
三鷹「クロミヤちゃんのそれ振り回したらあたしたちも無事じゃいられなさそうだしね」
2mほどありそうな鎌は、物が多い室内では扱いづらい。同士討ちになる可能性が高い…というか、ほぼ確実に同士討ちになる。
三鷹「じゃ、開けて」
如月「俺!?」
如月が渋々扉を開けた。
開けた途端銃弾が飛んでくる。
如月「俺を盾にしないでよっ!!」
三鷹「アンタが一番丈夫でしょ。あたしは仕事柄あんまり怪我したくないし、クロミヤちゃんはちっちゃいじゃん」
黒宮が傷ついたような顔をしている。別に身長は低くないはずだが、大鎌とセットだと小さく見えるのだ。
如月「掛川総一さーん。いらっしゃいますかー?」
返事の代わりに銃声が鳴り響く。
三鷹「掛川って小心者なのね」
三鷹が溜息を吐いた。
こうも闇雲に銃を乱射していては、すぐに弾が切れるだろう。
数分すれば弾がなくなったのか、一気に静かになった。
如月「入っていいかな?」
三鷹「とっとといきなさい」
三鷹に蹴られ、如月が部屋を覗き込む。
掛川は見当たらない。
黒宮「物陰から撃っていたんじゃないのか」
三鷹「その辺に隠れてるから気をつけて」
如月「2人とも手伝ってよ!」
手分けして部屋を見回る。
一番奥にある倒れた本棚の影に、掛川はいた。
首が180度捻れた姿で。
三鷹「ヒイラギ、アンタいつの間に掛川殺したの?」
如月「俺じゃないって。俺は殴る専門だしさぁ、頸折ったりはするけど、捻ったりしないよ」
黒宮「ダイイングメッセージでも残してくれていたらありがたいんだが」
三鷹「推理小説じゃないんだから」
一応、掛川の体をひっくり返してダイイングメッセージを探してみる。
文字は見つからなかったし、メモも握っていなかったが、代わりに髪の毛を握っていた。
白銀の長い髪の毛だ。
如月「殺した奴の髪の毛?」
黒宮「こんな髪色の奴がいたらかなり目立つだろうな」
薄暗い部屋では、三鷹の空色の瞳や黒宮の真紅の瞳も目立つ。
光を反射しそうな白銀の髪をした人物がいれば、すぐわかるだろう。
三鷹「窓から逃げたのかも」
窓が大きく開いているが、ここは5階。
掴まれそうな物もないし、窓から飛び降りれば墜落死する筈だ。
如月「まあ、掛川は死んでるんだし、これで依頼完了じゃない?」
黒宮「紫村夫妻を見つけていない」
三鷹「あー、そのパソコンに何か書いてあったらいいんだけどね」
開きっぱなしのパソコンを覗く。
メールアプリが開かれていた。
三鷹「…2人とも殺されてるみたい。夫の方は『貿易社』の連中で拷問して殺して、妻の方は売れそうな臓器と血液を取り出して、病院の方で始末したって書いてある」
如月「夫の方もこの病院で殺したの?」
三鷹「え!?アンタが足突っ込んだ血溜まりが紫村さんのってこと?」
黒宮「…そういうわけではないと思う」
7年前の血液がまだ乾いていないのなら、それこそホラーだ。
黒宮「でも、2人ともここにいる」
三鷹「え、そこにいるの?」
黒宮は院長室の端を指差す。
黒宮「娘に会いたいらしい」
如月「じゃあ、ついてきてもらったら一件落着じゃん」
三鷹「早く『会社』に帰って説明しないと」
三鷹が車のキーを取り出す。
如月と黒宮の顔が強張った。
如月「三鷹ちゃん疲れてない?俺が運転するよ!」
三鷹「え?アンタ怪我人でしょ」
黒宮「なら私が運転する」
被せ気味に黒宮が申し出て、素早くキーを奪う。
三鷹「クロミヤちゃん、運転できたっけ?」
黒宮「教習所以外ではこれが初めてだ」
不安になることを言い出す。黒宮は移動に公共交通機関を使うので、免許は完全にペーパーなのだ。マリ○カートの腕前は良いから、おそらく大丈夫だと願いたい。
如月「宮ちゃんもワイルドじゃん……」
三鷹「気持ち良かったわ」
黒宮「申し訳ない」
如月は地面に倒れ込む。怪我人にカーチェイス風はだいぶキツかったようだ。
三鷹「大丈夫?あ、ちょっと待ってて」
何処かへ電話をかける。
如月「2人ともさぁ…なんでそんなにカーチェイスしたいのさ…」
三鷹「気持ちいいじゃない」
黒宮「マリ○カートと同じようにやったらこうなった」
如月「教習所を思い出して…『かもしれない』運転を…」
三鷹「『警察が追いかけてくるかもしれない』って?」
黒宮「『実はこの世界はマリ○カートの世界かもしれない』」
如月「宮ちゃんマリ○カート引き摺りすぎだって…」
柳澤「お前、何やってんだ!!」
三鷹が呼んだのか、柳澤がやってきた。
如月「宮ちゃんの運転が荒かったんだよ…」
柳澤「仕事で怪我したんだろ。見せろ」
如月「えええええ〜」
三鷹「消毒と止血はしたけど、一応病院で診てもらった方が良いかも」
柳澤「真面目に仕事しねぇからこうなるんだよ!!!!」
如月「だって今日ほんとは休みだったし…」
柳澤「黙れクソゴミヒモ野郎」
鬼の形相で如月を睨む。
如月は曖昧に笑いながら逃げ出そうとしている。
柳澤「いいから病院行くぞ」
首根っこを掴んでずるずると引き摺る。
如月「ちょっ、ズボン破けるって!!え、聞いてる!?ちょっ、ねえ!?!?」
三鷹「大人しくしなよ。柳澤さんに迷惑かけないで」
黒宮「破傷風になったりしたら大変だから」
如月はそのまま柳澤の車に押し込まれた。
三鷹「…じゃ、あたしは依頼人に連絡取るから、クロミヤちゃんは帰っていいよ」
黒宮「わかった。紫村夫妻は『会社』にいるそうだから」
三鷹「言わなくていいよ、それ……」
紫村夫妻は三鷹のすぐ横にいるのだが、言わない方が良いだろう。三鷹も、田中や水無瀬のような人間と同じ姿をした幽霊なら見ても構わないのだろうが、紫村夫妻は、死んだ時のまま…つまり、拷問死した時の姿の幽霊。見て気持ちの良いものではない。
三鷹と別れた黒宮は、いつものように帰路に着く。
見慣れた通りを横切った時、視界の隅に白銀がちらついた。
振り向くと、人混みに紛れて、掛川が握っていたものと同じ色が見え隠れしている。
あの病院から尾けて来ていたのか、ただの偶然か…。
けれど、『仕事』が終わった今は、あれが誰であろうが関係ない。
黒宮は、また歩き出した。
結構長くなっちゃいましたw
掛川を殺したのは誰でしょうね…また登場するのでしょうか?
今、リクエストいただいた三鷹ちゃんのイラストを描いております!
イラストのリクエストもぜひどうぞ〜
第10話
ぴちゃ、と静かな地下室に音が跳ねる。
血溜まりがそこかしこにできていて、血の雨でも降ったのかと思ってしまう。
無造作に転がされた死体は、どれも傷は1箇所だけ。ぱっくりと綺麗に切れた傷口から、臓器やら脂肪やら骨やら、そういった『部品』が覗いている。
???「ねー、汚しすぎじゃない?」
右目を隠した狡猾そうな印象の顔をした男がブチブチと文句を言う。
彼は中国から進出してきた『龍門会』と言う組織の幹部で、東海と名乗っている。組織の幹部、と言うよりは詐欺師のような顔をしているが。
東海「聞いてる?もしかして耳切り落とされちゃった?」
???「……」
東海「返事くらいしてよー。人とコミュニケーション取る姿勢くらい見せないと嫌われるよぉ?」
東海に話しかけられている男は、斜め上を向いて無視しようと試みている。
彼もまた、『龍門会』の幹部である。蝙蝠と言うが、極端な無口のせいで『ハシビロコウ』と呼ばれたこともある。
東海「おーーーい」
???「東海、ちょっとは黙れないのか?」
転がっていた死体を蹴り飛ばし、やや赤みがかった黄色…藤黄色の髪をした男がこちらへやってきた。
東海と同じ、『龍門会』の幹部、韋駄天だ。
東海「俺だっていっつも喋り通しじゃないよ。聞き上手の方だし」
韋駄天「今うるせえんだよ」
東海「ごめんごめん。…で、何か用事?」
韋駄天「お前じゃねえ」
蝙蝠「……『仕事』か」
ずっと黙ったままだった蝙蝠が口を開いた。
韋駄天「『貿易社』を潰しにかかるみてぇだな」
東海「あー、『会社』の先回りしなきゃっていってたやつか。ま、蝙蝠くんなら簡単でしょ。バレても見逃してもらえる確率高いし」
韋駄天「は?…お前、何知ってるんだよ」
東海はにやにやと笑う。チェシャ猫のようだ。
蝙蝠は、東海の発言を無視して歩き去って行った。表情は読めないが、動揺しているのか、していないのか…。
東海「韋駄天くんは知らないかー。まあ、そのうちわかるんじゃない?」
韋駄天「なんなんだよお前…」
舌打ちをして、韋駄天も去っていった。また死体を蹴っている。
東海「んー、ちょっと遊びに行こうかな」
不穏な響きがする。合法的な遊びではないのかもしれない。
この世界で生きる人間に『合法』なんて求めてはいけないのだろう。
今回は短め。切りやすかったのでね。
鈴蘭.様の『東海』さん、星守伊織様の『韋駄天』さんが初登場。自主企画への参加ありがとうございました
『蝙蝠』は自作キャラなので、そのうち設定とか投稿します!
第十一話
紫村の通う栄都大学のキャンパスを出て西に進んだところに、そのビルは建っていた。
4階建ての古いビルで、テナントは三つ。1階のカフェ、2階の法律事務所、そして3階の探偵事務所。
紫村の目的地は、3階の探偵事務所だ。
若い探偵が経営していて、そこそこ繁盛しているようだ。
…繁盛している理由は、彼の浮気調査が正確、とか仕事が早い、とかではない。
『人を殺してくれる』。
そういう噂がある探偵事務所だからだ。
薄暗い階段を昇っていると、変な気分になってくる。
3階にある扉をノックすると、若い女性の声が聞こえた。
紫村「こんにちは…。あの、依頼の件で話があるって聞いたんですけど…」
三鷹「うん。依頼されてた仕事、終わったから」
紫村「本当ですか!?」
三鷹は笑って、傍らにあるソファを示した。
三鷹「まずは座って。…クロミヤちゃーん。ここ、コーヒーってあったっけ?」
部屋の主人だというのに、部屋の隅で気配を消そうと努力していた黒宮は、首を振った。
三鷹「喋ってもいいよ?…あ、こないだヒイラギがお茶持ってきてなかった?」
黒宮「そこの棚に入れてある」
紫村の方を伺いながら喋っているあたり、男性が苦手な彼女に配慮しようとしているのだろう。
三鷹「これ、桜餅?なんでこの時期?」
黒宮「柳澤さんに押し付けられたとか言ってた」
三鷹「…桜餅、好きだったよね。お茶淹れるから、食べよっか」
この3人の中で一番社交的な三鷹が黙ると、部屋には沈黙が訪れた。
三鷹が紫村の前に桜餅と緑茶を置き、自分も目の前に座る。
三鷹「えっとね。まず…紫村ちゃんのご両親を連れ去った犯人と、それを指示した人は、全員殺した。その辺ちょっと面倒なことになってるんだけど…そこは割愛して」
紫村「…ありがとうございます。…それで、お母さんとお父さんは…?」
三鷹「残念だけど、もう死んじゃってた。ごめんね」
紫村「いえ……。覚悟してましたから」
三鷹「…で、幽霊になってはいたんだけど……。結構、見た目がグロテスクなんだよね。大丈夫?」
紫村「……大丈夫です」
三鷹「わかった。じゃ、クロミヤちゃん、お願い」
黒宮は頷いて、右手にあるドアを開けた。
そこから出てきた幽霊を見て、紫村は息を呑んだ。
男性は、かろうじて原型をとどめているが、右目があったところは空洞になっている。
女性も、腹部から臓器が溢れていた。
紫村「お母さん…お父さん……」
二人は、ただそこにあるだけで、何も喋らない。
紫村「私…、……いつか、会いに行くから、天国で待っててね」
黒宮「天国には行けない」
三鷹「ちょっ、クロミヤちゃん!?」
黒宮「あなたは、自分のした事を理解しているのか?」
紫村「え…」
黒宮「私に依頼して、彼らを間接的に殺した。それは、絶対に許されてはいけない罪じゃ無いのか。本来なら、あなたに彼らを裁く権利はない。あなたは、死んでからもこの罪を背負うことになる」
紫村「地獄に、落ちるんですか……」
ゆっくりと涙を拭った。
紫村「それでもいいです。私は、…後悔していません。……ありがとうございました」
紫村は早足で部屋から出ていった。
三鷹「…クロミヤちゃん、やっぱ優しいね」
黒宮「勘違いするな」
三鷹「あ、ツンデレの常套句!」
黒宮「は?」
三鷹はにやにや笑う。
黒宮「…」
三鷹「地獄で会えるよね、多分」
黒宮「彼らも地獄行きだからな」
三鷹「あたしたちも地獄行き、だよね」
黒宮「そういう決まりだ」
三鷹「うーん、クロミヤちゃんがいるなら地獄もアリかな」
黒宮「如月さんも、地獄行き」
三鷹「順当ね」
笑って、三鷹はブラインドを下ろした。
これで紫村さんの話は終了です!
シリアスって書けないな…
番外編
10月31日、といえばハロウィンだ。
三鷹「なんで、殺し屋が集まってハロウィンパーティするわけ?」
如月「会費集められて金欠なりそうなんだけど〜」
黒宮「最近金ないのか」
如月「うん。だから、BMW売りたいんだよね〜」
三鷹「それで、その吸血鬼スタイルになったの?」
如月「三鷹ちゃんの仮装、めっちゃ似合ってるよ〜」
三鷹「こういうの、本職だから」
ゴスロリ風の衣装に猫耳と魔女帽、ホウキまで揃っている。
元が美人なだけあって、テレビの中にいらっしゃいそうだ。
如月「どうでもいいけどさ…。…宮ちゃんのそれ、何?笑」
黒宮「ゴースト」
如月「っ…!!」
声にならない悲鳴をあげてうずくまる如月。
笑い死ぬ一歩手前。
三鷹「まあ、なんというか…クロミヤちゃんの天然っぷりが極まった感じだね…」
真っ白なシーツは、切るのが勿体無いからか、黒いガムテープで目を張り付けてある。
当たり前だが、前が見えないので如月のドラキュラ風衣装のベルトを括り付けて歩けるようにしているらしい。ツッコミどころしかない。如月のズボンがずり落ちそうになっているのは気のせいだろうか。
当然、如月がしゃがんだことでシーツは取れている。黒宮はどこに目があるか、シーツを手繰って探しているところだ。
三鷹「あ、そういえば、柳澤さんも仮装してなかったっけ」
如月「そう…ぜー…ぜー…無理やりやらせてみた笑 んぐっ」
柳澤「ちょっとこっちに来い…」
地を這うような低い声。
濃い灰色の狼男に仮装した柳澤に引きずられ、如月は行ってしまった。
黒宮「シーツ…」
一緒に黒宮の衣装も行ってしまった。
三鷹「…ヒイラギ、生きて帰ってくるよね?」
黒宮「多分」
三鷹はそっと如月が消えた方角へ手を合わせた。
湖畔「御魂さん…助けてください…」
付箋を額に貼り付け、中華風衣装を身につけた湖畔がやってきた。
半泣きで、衣装には赤い手形が付いている。
三鷹「誰かに虐められたの?」
湖畔「椿さんが…」
黒宮「あの人、ハロウィンとなるとやけに張り切るからな…」
ずっ…ずっ…と妙な音が聞こえてきた。
見れば、大きなテレビがこちらにやってくる。古いブラウン管のものだろうか。
三鷹「……無視しましょ」
椿「無視するの酷くない?昔っからずっと僕のこと嫌ってるけどさあ、なんか理由とかあるわけ?」
長い前髪、白いワンピース。それにテレビとくれば…。
ラジカセから音楽が流れ始めた。
椿はゴソゴソとテレビに潜り込む。
黒宮「ずいぶん古いネタだな」
三鷹「貞子の仮装なんて、30の男がするもんじゃないでしょ」
湖畔「もうやめてくださいよぉ…」
椿「来る〜、きっと来る〜♪」
三鷹「自分で歌うの!?」
黒宮「歌詞が違う」
本来の歌詞は『Oooh きっと来る きっと来る』らしいが、多くの日本人には『来る きっと来る きっと来る』と聞こえるようだ。
椿「ユル…サナイ……」
ずるずるとテレビから這い出し、凄い勢いでこちらに向かってきた。
三鷹「怖いんだけど!」
黒宮「気色悪さもある」
椿「ひっど。てか、黒宮、仮装は?」
黒宮「如月さんに持って行かれた」
椿「ふうん。御魂の仮装も似合ってるよ〜。ちょっと情報量多すぎる気がするけど、若いしそれぐらいいいんじゃない?」
三鷹「上から目線やめて」
ホウキでつついてテレビの中に戻そうとしている。
椿「あのね、僕は虫でもゴミでもないんだよ?」
三鷹「≒で結ばれてるわ」
椿「中学校一年生の数学の知識を披露しなくてもいいよ?あっ、待って、カツラとれる。これ高かったんだけど」
三鷹「じゃあこのホウキごとあげるわ」
長い黒髪のカツラが絡まったホウキを投げ捨て、三鷹は奥へ進む。
形ばかりに仮装した壮年男性たちがBMWに乗り、バズーカを持った着物の女装男性にペコペコ頭を下げている。コント集団に見えなくも、ない。
三鷹「社長…」
黒宮「あの人もブレないな」
如月「宮ちゃーん。シーツありがと〜」
額から血を垂れ流した如月がやってきた。
三鷹「アンタ、どうして怪我してんの?」
如月「えっとねー、柳澤さんに怒られてて、逃げたくなっちゃってさー。で、このシーツ被って、人の間すり抜けて逃げたら、テーブルの角にぶつけた」
黒宮の顔が強張った。
如月「でー、痛いなーってシーツ脱いだら、ベルト踏んで転けて、ワイングラス刺さっちゃった笑」
三鷹「アンタ、意外と不運だよね」
黒宮「吸血鬼っぽくなっていいんじゃないのか」
シーツに血痕がないことを確認し、またシーツを被る黒宮。
見慣れてくるといっそ可愛らしいと言えなくもない。
如月「三鷹ちゃん、寒くない?」
自然な動作で三鷹にマントをかけた。
三鷹「きッ………ありがと」
如月「その間、何!?」
黒宮「手慣れてるな」
三鷹「さすがヒモ」
如月「褒め言葉!?」
三鷹「ところで、この仮装大会、審査はどうやるの?」
如月「いっつも、審査員が適当に歩いて、1番インパクトあるやつが優勝だったと思うけど…。椿かな」
三鷹「ガチ勢」
如月もあの貞子を見たのだろうか。
黒宮「社長もだいぶインパクトが…」
如月「え、見たの!?」
三鷹「ミスマッチ感が1番高かったと思う」
如月「BMW貰えないんなら帰ろ」
三鷹「子供?」
黒宮「バイト探しに行くのか?」
如月「行くわけないじゃん笑」
三鷹「じゃ、ハローワークに行きましょ」
黒宮「血は拭っておけよ」
如月「ちょっ、行くの!?やめてよ、働きたくないんだけど!!!!」
三鷹「自立しろヒモ野郎」
ハロウィンの仮装大会!
私もやりたいよ…
リクエスト、できたらください…ネタ切れですw
第十二話
黒宮、三鷹、如月の3人は、如月の運転で神戸へ向かっていた。
三鷹「これ何?」
如月「え?…あー、交通安全のお守り」
三鷹の手の中にある奇妙な人形の腹には、『交通安全祈願』と刺繍してあるが…。
かなり奇抜なデザインだ。如月らしいと言えばそうだが。
如月「結構付き合い長い子がさ、…あ、レイちゃんって言うんだけど…で、レイちゃんは霊感あるみたいで、そーいうオカルトっぽいの好きなんだよね」
三鷹「あたしとは趣味が合わなさそうな人ね…」
黒宮「霊感があるかはともかく、わざわざ貴船神社で札を買ってくるようなタイプなんだな」
如月「どう?効いてる?そのお札」
黒宮「欠片も効いてない」
三鷹「怖いこと言わないで欲しいんだけど」
如月「まあ、見えなきゃいいでしょ笑」
黒宮「…」
高速道路を降りた車は、山道を進んでいく。
三鷹「道あってるの?ずいぶん山奥だけど」
如月「俺も来たことないから自信ないんだよね〜」
黒宮「この道で合ってると思うが」
三鷹「ヒイラギもナビも頼れないんだからしっかりしてよ。こんなとこで迷子なんてごめんだからね」
如月「ナビには頼ろうよ笑」
山道をひたすら登ること20分弱。やっと目的地が見えてきた。
三鷹「『水嶋製作所』…。こんな山奥だったのね」
如月「俺らみたいなのがいっぱい入ってきても怪しまれないように、ってことじゃない?」
車を停めて、入口を探す。
古ぼけた看板はいまにも落ちそうだ。
如月「あれ?あの車、柳澤さん?」
三鷹「わかるの?ちょっと怖いんだけど」
建物の裏手に停めてある車に駆け寄る如月。
如月「うん、絶対柳澤さんのだ。…うわーせっかくお休みなのに…」
黒宮「なんでここに?」
三鷹「柳澤さん、仲介業者だし、拳銃のメンテナンスとかわざわざ頼む必要なさそうよね」
如月「…柳澤さん、警察学校卒業したての頃、神戸にある交番勤務だったって言ってたから、知り合いかも。ほら、“水嶋“って言ったら、10年くらい前に殺人事件あったじゃん」
三鷹「覚えてないわ」
如月はスマホを取り出してニュースサイトを開いた。
如月「20××年6月23日、水嶋製作所の社長・水嶋英二さん(45)が自宅で死亡しているのが発見された。水嶋さんは複数箇所を刃物で刺されており、頸動脈を切られたことによる失血死だった。警察は事件性があるとみて捜査を進めていたが、犯人を示すものは何もなく、操作は難航している。…だって」
三鷹「未解決事件?」
如月「そうそう。で、写真とか見た感じここがその事件現場っぽいよね。じゃあ、今ここにいる人は事件関係者じゃない?」
黒宮「10年前の事件をまだ追っていると?」
如月「さあ?確かに柳澤さんは根に持つタイプで執念深いし、頑固だし、昭和っぽいけど、わざわざ10年前の事件を掘り起こしそうにはないし…」
柳澤「黙って聞いてりゃ根に持つだの執念深いだの頑固だの…お前に言われたくねえんだけどなァ!!!!」
如月「ぎゃあああああああああ」
柳澤「なんっでお前がここにいるんだよ!」
三鷹「クロミヤちゃんの拳銃のメンテナンスに着いて来たの」
黒宮「この間車を爆破させられて、移動手段がなかったから送ってもらった」
柳澤「車を爆破…?…まあいい。で、なんでそれに如月もくっついてきた?」
黒宮「…死にたくなかった」
柳澤「はあ?」
三鷹「あたしの運転、そんなに荒い?」
黒宮「かなり荒い」
如月「で、俺が呼ばれたわけ。別に来たくて来たわけじゃないから!!」
柳澤「…」
三鷹「柳澤さんはなんでここに?」
柳澤「水嶋に会いに来たんだ」
黒宮「10年前の事件の関係者か」
柳澤「被害者の息子だ。水嶋一。まさか業界に関わっていたとはな…」
如月「あー、交番勤務だから子供のお守り頼まれてたってことか。情が湧いちゃった的な?」
柳澤「お前は黙っとけクソ野郎」
如月「暴力反対!」
三鷹「アンタが言うな」
???「柳澤さん、これ」
建物から作業着姿の青年が出てきた。
重たそうな前髪で目があまり見えない。
柳澤「あー、悪いな」
三鷹「あ、水嶋ちゃん?」
水嶋「…どなた?」
初対面の人間にいきなり『ちゃん』付けで呼ばれて驚いたのか、じりじりと後退している。
黒宮「水嶋、メンテナンスを頼めるか?」
水嶋「わかりました」
関西弁のイントネーションで、なんとなく聞きなれない。
水嶋は建物へ戻って行った。
如月「宮ちゃんより若いの?」
柳澤「今年で20歳だ」
三鷹「高卒で働いてるのかな。拳銃も手作りだっけ。腕は良さそう」
柳澤「中卒だったか。機械操作の腕は良いが、社交的ではないな」
金属を削る音が外まで響く。
三鷹「ヒイラギは武器とか持たないの?」
如月「うーん…、なんかさ、拳銃とか持ってると、なんかあった時迷っちゃうんだよ。『拳銃使おうかな?それとも素手でやっちゃおうかな?』って」
三鷹「意外と優柔不断なんだ」
如月「それは言わないで!?」
黒宮「優柔不断なヒモというのも珍しいな」
柳澤「だからとっととヒモなんざ辞めろっつってんだよ!!」
如月「飛び火したし…」
水嶋「メンテ、終わったんですけど…」
黒宮に拳銃を渡し、柳澤の背後に回る。
如月「…柳澤さんの子供だっけ?」
柳澤「違う」
三鷹「小動物か何かみたいね」
黒宮「…」
如月「用事済んだんなら早く帰ろ?」
三鷹「柳澤さんから逃げたいの?」
如月「そこは突っ込まないでほしいな〜?」
三鷹「帰りはあたしが運転しよ…」
如月「運転できるから!!」
三鷹「食い気味に言わなくてもいいでしょ」
黒宮「命の危険を感じるから…」
如月「宮ちゃんズバッと言い過ぎじゃ…」
三鷹「クロミヤちゃんだからいいの」
三鷹は言い捨てて車に乗り込んだ。
如月「ちょっ、置いてかないでー!!」
三鷹「とっとと乗りなさい!」
如月の運転する車は、凄い勢いで山道を下っていった。
柳澤「事故るなよ…」
水嶋「慣れてるみたいやし、大丈夫だと思います」
柳澤「慣れるもんじゃないだろ…」
如月が何故明らかに法定速度を無視したスピードで車を走らせることに慣れているかは、詳しく考えない方がいいだろう。
ちょっと長くなっちゃいましたw
初登場の水嶋ちゃんは自作キャラです。今後ちょこちょこ出てくるはず
追憶
如月「あーーー、なんか疲れたなー」
椿「アラサーだからねー。若いころみたいには行かないでしょ。だから若いうちに顧客作っといて、ある程度稼いどきなって行ったんだよ?先輩の意見は取り入れるべきってわかったでしょ」
如月「椿が来るから疲れたんだって…」
椿「人のせいにしない。器小さいね。柊もそうだけどさ、御魂も僕のこと嫌ってたな〜」
如月「いきなり変な話題出さないでくれない!?」
椿「心の準備がいる話題?でもさ、この業界にいる以上、友人が死ぬのは当たり前でしょ。なんでまだ慣れないの?」
如月「友人っていうか…あ゛ー、なんて言ったらいいんだろ。なんかそんな感じじゃなくて…」
頭を抱えてしゃがみ込む如月。
椿「恋?」
如月「えっ!?…え、はああああ!?」
椿「素直になったらいいのに、素直になれなかったからそうやって悩んでるんでしょ。…もう御魂はいなくて、君の気持ちは誰にも伝えようがないの。いつ死ぬかわかんないんだし、今この瞬間を後悔しないように生きろって教えたじゃん」
如月「恋……恋って何!?」
椿「僕の話聞いてた!?…柊がさ、御魂のことを思い出して、なんか心臓痛いなあ、心不全かなあ、って思ったら恋だよ」
如月「そんなアバウトなもんだっけ…」
ブツブツ言いながらも、目を閉じる。
如月「…ほんとだ。やっぱ、俺、三鷹ちゃんのこと好きだったんだね」
椿「今まで自覚してなかったんなら、よっぽど重症だね。御魂もこんな奴に好かれて可哀想に。…まあ、嬉しそうではあったね」
如月「え?」
椿「業界に入ったばっかの頃と、しばらくしてからじゃ全然顔違ったもん。なんか…幸せそうっていうか、充実してるっていうか…。その変化は、君の存在が理由だったんじゃない?」
如月「下手な慰めはいらないんだけどー…」
椿「ま、今となっては真相は闇の中だし。御魂が結局どう思っていたかは、もうわかんないね。あー、聞いとけばよかったのに」
如月「椿も後悔してるじゃん」
椿「えー?そりゃ、僕も後悔するよ?したいことはいっぱいあるけど、それを全部するには人生は短すぎるし。したいことの中で、大事なものからやっていくしかないね。死ぬ瞬間に、『ああ、これやっときゃよかった』って思わなかったらいいんだよ。満足して死ねたら超ラッキー」
如月「…三鷹ちゃんは、満足して死ねたのかな」
椿「さあね。即死だったけど、地面に落ちるまでの一瞬であの子が何を思ったかはわからない。…でもねえ、あの子は、たぶん後悔してたと思うよ」
如月「それは、俺が、いつまでも悩んでいたから?」
椿「全部が全部君のせいなわけないでしょ。何様のつもり?…御魂は、死ぬ直前まで生きようとしていたから、きっとまだやりたいことがあったんだろうね。それをする前に死んじゃったのは残念だけど、柊は生きてるんだから、死者のことばっかり考えてる場合じゃないでしょ。生きることを考えなよ」
如月「単純でいいねー、ホントに」
椿「柊の方がだいぶ単純でしょ。あー、なんか付き合うのバカバカしくなってくる。…まあ、御魂のことに引きずられてたら、死期を早めちゃうよ?」
如月「縁起でもないこと言わないでくれないかなあ!!」
肩をすくめて、椿は去って行った。
如月は、空を見上げる。
ビルの隙間から見える雲一つない青空は、彼女の瞳のようだった。
如月「…もうちょっと頑張んなきゃなー。ハローワークとか行ってみようかな」
如月が歩き出すと同時に、何処かで鳥が鳴き始めた。
もしも三鷹ちゃんが8年前に死んでいたら?と考えてみた結果です
如月さんはずっと悩んでそうなイメージがある…
手向
三鷹は花束を持って墓地を歩いていた。どこかで鳥が鳴いている。
三鷹「えーと、如月、如月…」
ズラリと並んだ墓石の1番奥に、如月家の墓はあった。
三鷹「…クロミヤちゃん、来てたのかな」
墓前に謎の人形が備えてある。
三鷹「こーいうの好きだっけ?あたし、甘いものが苦手ってことくらいしか知らないんだけど…」
花束を人形の隣に供える。
三鷹「アンタが死んでもう8年経つんだけど…ホント、アンタがいないなんてまだ信じられないよ」
溜息を吐いてしゃがみ込む。
三鷹「運が悪いよね、アンタは。デート先で四股かけてる女の子の彼氏に殴られたり、スリに遭ったり…。極め付けは、1億3000万分の1を引き当てて。…アンタを殺したプログラム、もう完成してて、たぶん次の標的はあたし。でもね、あたしは、アンタの分まで生きたいから…そっちには、まだ行けないかな」
三鷹は曖昧に笑った。
三鷹「もし、あたしの方が先に死んでたら、アンタはずーっとそのことを引きずって、まともに生きられないよね。ならこれで良かったのかも。…クロミヤちゃんがいたら、アンタがいるとこまで連れてってもらうんだけど…すれ違っちゃった。そもそも、アンタに未練とか、あったのかな」
返事を待つように、言葉を切る。もちろん、返事は絶対に返ってこない。
三鷹「…あたしさ、初めて会った頃から、アンタに冷たかったでしょ。嫌われてるって思った?…まあ、それでもアンタは、ずっとあたしのこと好きでいてくれたけど。………ごめんね、答えてあげられなくて」
俯く三鷹。風が髪を撫でる。
三鷹「こんな辛気臭いの、あたしらしくないよね。…でも、あたしはアンタのことを忘れられなくて…。…それも今日で終わりにする。あたしは、あたしの人生を生きていく。アンタは、もうあたしとは違うとこにいるから…アンタのことばっかり考えてたら、いつまでも前に進めないでしょ。…さようなら、柊。アンタのこと、好きだったよ」
立ち上がって、振り向くことなく歩き去る。背後では、ひまわりの花が静かに揺れていた。
もしも如月さんが8年前に死んでいたら?と考えた結果。
三鷹ちゃんはあっさり忘れそうに見えて、実は引きずってそう。なんか微妙にラブストーリーですねえ…
番外編
如月「…毛糸からまったんだけど…」
三鷹「頑張って解いて」
如月「俺そんなに器用じゃないんだって…」
ちまちまと毛糸を解きにかかる如月。マフラーを編んでいるのだが、大半の時間を毛糸を解くために費やしている。
三鷹はスイスイと毛糸を編んでいく。
黒宮「…大丈夫か?」
柳澤「今どこまでいった…!?」
柳澤は完璧主義者らしく、図案通りやろうと躍起になっている。
殺し屋たちがせっせと編み物をしているのもおかしな話だが、これには理由がある。
そろそろ冬がやってくる季節だが、彼らはセーターやらマフラーやら、そういった防寒具をあまり持っていない。
それで、裁縫の得意な三鷹の指導のもと、各々編み物に勤しんでいるのだ。
如月「俺にできるのはポンポン作りまでだ…」
三鷹「やればできるでしょ、やれば」
如月「もう無理…。そもそも初心者にマフラーなんて不可能でしょ」
三鷹「水嶋ちゃんは初心者だけどセーター編み終わったわよ」
如月「ほんとに初心者!?」
三鷹「裁縫ができる男はモテるらしいし、ベスト・オブ・ヒモのアンタなら身につけておくべき技術じゃない?」
如月「その二つ名やめて!?水嶋ちゃんひいてるよ!?」
水嶋は編み上げたばかりのセーターを抱きしめて目を逸らしている。
三鷹「この馬鹿のことは気にしないでいいから」
如月「馬鹿…。なんか傷つくんだけど…」
三鷹「頭が悪いわけじゃないのに、なんか馬鹿なのよ、アンタは」
黒宮「天才と馬鹿は紙一重、という言葉もあるし」
柳澤「考え方が人とズレてんだよお前は」
如月「三鷹ちゃんも宮ちゃんも褒めてくれてんの?笑」
三鷹「そう聞こえた?要するに馬鹿って言っただけなんだけど」
如月「バカって言った方がバカなんだよ?笑」
黒宮「小学生か?アラサーのくせに」
如月「酷いよー。助けて水嶋ちゃ〜ん」
水嶋「…無理…」
如月「せんせー、柳澤くんが水嶋ちゃん泣かせましたー!」
三鷹「柳澤さん何も言ってないし、そもそも水嶋ちゃん泣いてないから」
黒宮「精神年齢は小学生?」
如月「何気に宮ちゃんが一番辛辣…?」
三鷹「閑話休題して、とっとと毛糸解きなさい」
如月「わあ、辛い現実だあ」
また静かに糸を解き始めた。
三鷹「ちょっと、引っ張りすぎじゃない?」
如月「あ゛」
ぶち、と毛糸が千切れた。
三鷹「どんだけ馬鹿力なのよ」
如月「毛糸が脆かったんだもん!」
三鷹「毛糸のせいにするの?」
如月「柳澤さんも千切ったじゃん!」
毛糸を結んで綺麗に修正してあるが、確かに何箇所か毛糸が切れている。
三鷹「言い訳する小学生…」
如月「三鷹ちゃん!?俺、一応アラサーだからね!?」
三鷹「四捨五入すれば柳澤さんと同い年ね」
如月「ないないないない。柳澤さんは年齢の5倍は老けてるって」
柳澤「如月ィ!!テメエ人のことを爺みたいに言いやがって…!!!」
黒宮「年齢の5倍なら、160歳。確実にギネス世界記録だな」
如月「うわ、ギネス!?すっご。…ていうか、おじーちゃんじゃないんならなんで孫…じゃない、水嶋ちゃんの編んだセーター着てんのさ!」
三鷹「血縁関係捏造しないであげて」
この調子では、如月のマフラーの完成は冬に間に合わないだろう。
彼はいつ裁縫ができるようになるのだろうか。男性は二つのことを同時に考えられないタイプが多いというが、如月も例に漏れずそういうタイプのようだった。
番外編はほんわかしてるなあ…
本編進みません、ごめんなさい
来週は本編書くんで!!!!
第十三話
三鷹「最悪…」
彼女の足元には、ダンボールが置かれている。
如月「コレ、三鷹ちゃんのファンだったり?」
三鷹「は!?」
ダンボールの中には、ご丁寧にも保冷剤で冷やされた…誰かの頭部があった。
淡い紫色の髪に涙ぼくろが特徴的な端正な顔立ちで、調べればすぐに身元も判明するはずだ。
三鷹「一般人じゃないと思うんだけど…」
如月「え、そなの?」
ゴム手袋ごしに死体を取り出してみるが、目視できる範囲では傷は首の断面くらいで、綺麗な死体だった。
三鷹「なんか…同業者の匂いがする気がして。わかりづらいんだけどさ」
如月「マジで!?」
確かに、血の匂いと死臭で感じられにくいが、微かに薬品の匂いがする。
如月「この…生首ちゃん、生きてた頃は毒を使うタイプの殺し屋だったってこと?」
三鷹「単純に薬使って殺されたのかもしれないけど」
如月「難しいの無理」
三鷹「あっそう。クロミヤちゃん呼んだ?」
如月「ぅえ!?呼ぶ!?」
三鷹「呼ぶの」
如月「この生首ちゃん見せていいの?」
三鷹「クロミヤちゃんの方がアンタより見慣れてるでしょ」
如月「あっ確かに」
如月が連絡を入れて数分で黒宮はやってきた。
黒宮「…死体配達人?」
如月「絶妙に古いネタだぁ…。作者が好きなやつね」
三鷹「メタいこと言わない」
黒宮「というか、こいつ…どこかで見たような」
三鷹「仕事で会ったりした?」
如月「まさか依頼人だったとかじゃないよね笑」
黒宮「大学の同期で、たまに一緒に仕事をしていた殺し屋だ。砂海都子とかいう…」
三鷹「……クロミヤちゃんの大学、殺し屋専用だったりする?」
如月「都内の割と有名な国公立だし、そんなことないと思うよ!?」
黒宮「心理学部の学生はたいていこんな感じだったと思うが」
如月「怖い…」
黒宮も手袋をつけて、死体を眺める。
三鷹「殺し屋ってことは、『貿易社』に殺されたのかも」
黒宮「それなら、なんで御魂さんに送る必要があったんだ?」
三鷹「…住所を知らなかった、とかじゃないよね?」
如月「三鷹ちゃんの住所しか知らなかったって…どんな状況?笑」
黒宮「素人の仕事には見えないが…」
三鷹「……『会社』自体に知られたくはないって有り得る?アタシたちに動いて欲しかったとか」
如月「宮ちゃんの知り合いだってわかってたってこと?…待って頭こんがらがってきた」
三鷹「業界ネットワークで調べたらわかるでしょ。アタシの住所は…元々何かしらで知ってたんだろうけど」
如月「三鷹ちゃんストーカー被害とかなかった?」
三鷹「特に。強いていうなら、最近アンタがストーカーの気がしてきてるわ」
如月「三鷹ちゃんが呼んだんじゃん!!濡れ衣だよ…」
嘆く如月を無視して、黒宮はどこかに電話をかけている。
三鷹「情報屋ちゃん?」
黒宮「いや、掃除屋さんだ」
三鷹「…なるほど」
13…不吉な数字ですよね、確か。これからどんどん不吉にしていきますよ!
第十四話
如月「最近掃除の依頼があったら教えてーってこと?」
三鷹「まあ、念の為、くらいよね。そう簡単に証拠なんて残しそうにないし」
如月「意外と、この生首ちゃん運んできた人が犯人だったりして」
三鷹「………いや、作者が死体配達人を読んでいても、流石にそれはないんじゃない?」
如月「そう?…てか、三鷹ちゃんもメタいね」
三鷹「うるさい」
黒宮「掃除の依頼はなかったそうだ。何もないと思うが、一応、段ボールの指紋を取ってみるか」
如月「三鷹ちゃんファンデーションある?」
三鷹「専用キット持ってるわよ。あとファンデーションでは取れないから」
伝票やガムテープ、箱の側面からは指紋が出たが、指紋が登録されている業界の人間に該当者はいなかった。
三鷹「運送会社で仕分けしたときについた可能性が高いから、きっと無関係。これで振り出しね」
如月「あ、宮ちゃん、生首ちゃん…じゃない、砂海ちゃんの写真って持ってる?」
黒宮「いや」
如月「ま、卒アルとかないしねぇ」
三鷹「死体の写真でいいじゃない。スマホ貸して」
如月「俺のアルバムに死体の写真残さないでよ!」
三鷹「アタシのアルバムにも残したくないわよ!!」
黒宮「私が撮る」
2、3枚写真を撮り、アプリに読み込ませると次々に写真が現れる。
監視カメラに写ったものだ。
如月「最後は…神戸?」
三鷹「自宅を出てちょっと行ったところが最終ね」
如月「深夜に…買い物かなぁ」
黒宮「買い物?」
如月「『スズキ乾物店』ってのが映ってるから」
三鷹「渋い趣味…」
黒宮「砂海のスマホか何か手に入れば手掛かりがあるかもしれないな…」
如月「流石にもう処分されちゃってるでしょ〜」
三鷹「処分……。処分する前に、業界の誰かに頼んで解析してもらったりしたかも。アタシたちもよくやるじゃない」
黒宮「有り得るな。問題は、誰に解析してもらったか、だが…心当たりがある」
如月「さすが宮ちゃん、変な方向に顔が広い!!」
黒宮「褒めてるのか、それ」
如月「めっちゃ褒めてるよ」
黒宮は通信アプリを開き、スマホを三鷹に渡した。
三鷹「『イツキ』?」
如月「あ、知ってる。確か、情報屋ちゃんのライバル…的な人だったよね」
三鷹「あの子にライバルいたんだ。なんか意外ね」
如月「情報屋ちゃんは、調べる専門。イツキちゃんは、壊して作る専門」
三鷹「壊して作る?…工事現場みたいね」
如月「確かに〜。んで、単純にスマホを開くだけなら、パスワードを調べるよりパスワード壊した方が早いから、イツキちゃんに依頼がいってる可能性が高いってことでしょ?」
黒宮「まあ、それもある」
三鷹「へえー。…で、何て送るの?」
黒宮「昨晩から早朝にかけて、スマホの解析を依頼してきた人物を聞いてくれ」
三鷹「OK。でも、そう簡単に依頼人のこと教えてくれるの?長崎さんとか、情報屋ちゃんは教えてくれそうだけど」
如月「宮ちゃんと仲良い人、宮ちゃん信頼しすぎだよねぇ笑 宮ちゃんが裏切ったら〜とか、この情報で自分に不利にならないか〜とか考えないんだ」
三鷹「そういうアンタも、アタシもクロミヤちゃんに本名と住所教えてるじゃない」
如月「そうだった笑」
数十秒後に、返信が来た。
三鷹「『なんかあった?』だって」
黒宮「死体の写真でも送るか…」
三鷹「『気色悪いもん見せるな馬鹿』って来たわよ」
黒宮「ごもっとも…」
大まかな事情を説明すると、対価と引き換えに情報を教えてくれると返してきた。
如月「対価…やっぱお金かなぁ」
三鷹「一番手取り早いしね」
黒宮「一つ問題があるんだが」
三鷹「何?」
黒宮「誰が金を払うんだ?そもそも、なんで砂海にそこまで拘らなきゃならないんだ」
如月「アッ」
三鷹「砂海ちゃん、そこそこ腕が良かったんでしょ?なんで殺されたか気になるし、アタシにわざわざ送った理由も知りたいから。お金はアタシが払うし」
黒宮「わかった」
三鷹「20万までならいける」
如月「オークション?笑 てか三鷹ちゃんお金持ちだね」
三鷹「殺し屋業だけでも儲かるのに、モデルもやってるから」
如月「いざとなったら養ってくれない?」
三鷹「嫌だね」
今後の展開に悩んでおります
テキライに人が来なくて寂しいです
厨二病だからかな
第十五話
イツキ「黒宮くんおひさー。元気にしとった?」
朗らかに笑った青年が入ってきた。友好的なはずなのに、何処か胡散臭く感じるのは狐のような顔のせいだろう。たぶん。
黒宮「なんで来たんだ」
イツキ「暇やし。えーやんかー。有料で役に立つで⭐︎」
如月「お掃除屋さんより胡散臭そー…」
三鷹「人は見かけによらぬものって言うけど…」
黒宮「中身も胡散臭い奴だが」
イツキ「酷いわー。可愛い後輩虐めんとって」
三鷹「アンタもクロミヤちゃんの後輩なんだ。…やっぱりあの大学、殺し屋専用じゃないの?」
イツキ「あー、確かに殺し屋多いわ。水母くんとか東くんとか白杜ちゃんとか」
如月「水母ちゃんは知ってるけど、残りの2人誰?」
三鷹「東は割と最近入ってきた殺し屋。白杜ちゃんは3年くらい前からいるけど、最近はあんまり聞かないわね」
イツキ「死んだんちゃう?」
如月「うわぁ業界って厳しい」
この業界では、大抵の新人が2、3年で潰れていく。
黒宮や水母は割と長く続いている方だ。
黒宮「用がないなら帰れ」
イツキ「そんなに俺のこと嫌いなん?w」
三鷹「まあ、2人とも敵は多そうよね」
如月「あ、なんかわかるかも」
三鷹「勿論アンタも」
如月「あっはい」
世の中、美人に敵はいないらしい。どんな世の中だ。
イツキ「んで、その生首くんの件なんやけど」
黒宮「砂海だ」
イツキ「なんでそここだわるねん。まあ、確かにこれ生首やないけど」
如月「え?体ついてた?」
イツキ「生首って、切り取って間もない首やで?何時間も経っとるやないか」
如月「勉強になりまーす」
イツキ「まあ、砂海くんのことなんやけど、多分これやないかって死体がみつかっとるねん」
黒宮「それを早く言え」
イツキ「えーやん。…で、その死体、会社の方で照合してみるらしいんやけど、死因とか報告いるか?」
三鷹「お願い。犯人の手がかりとか残ってたら、それも」
如月「凶器もわかったら教えてほしいな〜」
黒宮「もしスマホやらが残っていたら解析した情報もくれ」
イツキ「要求多いわw ま、わかったら連絡するから、俺は帰るで。あ、請求書は後日〜」
こうして嵐は去って行った。
如月「サラッと追加注文しちゃったけど、三鷹ちゃんお金大丈夫?」
三鷹「大丈夫よ。保険に入ってるし」
如月「え?保険?」
三鷹は書類を出してきた。
三鷹「『仕事』の関係で日常生活を阻害された場合、最大100万円の補償があるの」
如月「待ってそれ俺も入りたい」
三鷹「定職についていないからダメ」
如月「思ったよりちゃんとした制度じゃん笑」
三鷹「社長だから」
如月「社長ってそんなすごい人だっけ?」
三鷹「社長のおかげで食べていけてるでしょ」
如月「そうだっけ…」
黒宮「…一つ気になることがあるんだが」
三鷹「どうしたの?」
黒宮「なんでアイツは動いたんだろうな」
三鷹「…イツキちゃん?」
如月「引きこもりじゃないし、外に出ることだってあるんじゃない?」
黒宮「自宅の住所も聞かずに御魂さんの家に来たんだ。おかしくないか」
如月「その辺は…情報屋だし知ってるとかありえるでしょ」
黒宮「らしくないな、と思うんだが」
三鷹「普段は、こう…調べた情報を私情で使わないタイプなの?」
黒宮「ああ。そもそも、調べることはほとんどしない」
如月「宮ちゃんの考えすぎじゃない?宮ちゃん、こういう勘当たらないでしょ」
三鷹「探偵として致命的だけどね」
黒宮「運がないんだ、多分」
如月「ジャンケン最弱だしねぇ…」
三鷹「話が逸れたけど、イツキちゃんが今回のことに関係してるって思うの?」
黒宮「…砂海が最後にカメラに映った地点、工場が近いんだ」
如月「そうなの?あんま神戸に土地勘なくてわかんないなぁ」
黒宮「あそこから400mほど先に水嶋製作所がある」
三鷹「水嶋ちゃん?」
如月「他のところに行った可能性もあるけど」
黒宮「水嶋のところに行った可能性もある。水嶋は、イツキの知り合いというか…」
三鷹「水嶋ちゃん、大学入ってないよね。仕事で知り合ったの?」
黒宮「小学校と中学校が同じらしい」
如月「幼馴染ってこと?」
三鷹「まさか、水嶋ちゃんが殺したことを庇っていて、アタシたちがそれに気づいてないか探りに来たって考えてるの?」
黒宮「そんなところだ」
長くなってすみません
展開に悩んでいます
どうしても謎解き(?)シーンが多くなりがちで…
第十六話
柳澤「水嶋が人を殺した?」
三鷹「あくまでも、“可能性“の話だけど」
水嶋に慕われている柳澤にする話ではなさそうだが…。
黒宮「柳澤さん、イツキのことは知っているか?」
柳澤「最近、『会社』の依頼を仲介したが」
如月「え、最近なんかあったっけ?」
三鷹「例のシステムのことでしょ」
如月「俺に理解できない話しないでよ笑」
黒宮「そのシステムの話はどうでも良いんだが」
柳澤「一応言っておくが、システムの依頼では無かったぞ」
三鷹「他に問題ってあった?」
如月「とりあえず先に進も?笑」
珍しく、如月が軌道修正を図った。
柳澤「そのイツキがどうしたんだ」
黒宮「アイツがこの件に関して何か隠している気がした。妥当なのは、水嶋が人を殺したのを庇っているのだろうと」
三鷹「確証も何もないけどね」
如月「柳澤さん的にはどう?」
柳澤「…正直、一番の疑問は休日なのに如月の野郎が仕事をしていることだが」
三鷹「そうね」
如月「俺のイメージなんなの?」
柳澤「それは置いておくとして…考えてみれば、今までに何度か水嶋に電話がかかって来たことがあった」
如月「水嶋ちゃん、電話かかってこない系の人類?」
三鷹「アンタは黙ってなさい」
柳澤「その電話で『西都大学』だの『会社』だの言っているのが聞こえた」
黒宮「イツキが通っている大学だな」
如月「宮ちゃんの出身大学でもあるとこね」
三鷹「…そろそろ4限が終わるわね。尾けてみる?」
如月「三鷹ちゃん、なんでその発想に至ったの…?」
西都大学のキャンパスは『会社』とかなり近い。
そういった立地のせいか、業界関係者が多く在籍している。
如月「…三鷹ちゃん、学生みたいだね…」
三鷹「アンタも学生で通るわよ」
堂々とキャンパス内に入り、イツキを探して彷徨っていた。
如月「宮ちゃんはつい最近卒業したばっかだし、やっぱ懐かしい?」
黒宮「別に」
如月「宮ちゃん、絶対卒アルとか捨てるタイプでしょ笑」
三鷹「捨てるもんじゃないの?」
如月「あれ、俺がおかしいの…?」
首を捻る如月。
三鷹「あ、水嶋ちゃんじゃない?」
器用に人混みをすり抜けて水嶋を追う三鷹。
彼女の方が尾行に向いているかもしれない。
如月「イツキちゃんに会いに来たのかな?」
黒宮「さあ」
水嶋は迷いなく中庭へ向かっている。
如月「………あれ、水母ちゃん?」
クラゲの口腕のような髪型が特徴的で、遠目にも判別が容易だ。
その水母に、後ろからやって来たイツキが声をかけたよう。
三鷹「そういえば、同期だったわね」
如月「濃い二人組だな〜笑」
暫くこのゴタゴタが続きます
第十七話
水嶋「…三鷹さん…?」
気づかれた。
流石に、20歳前後の青春真っ盛りの若者たちに紛れた四捨五入すれば30歳の男を含む集団は目立ったか。
三鷹「久しぶり。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、時間大丈夫?」
水嶋「えっ…なんかありました…?」
既に半泣きの水嶋。いじめているように見えるかもしれないが、断じてそうではない。三鷹は良心的で親切な女性である。
黒宮「お前、砂海という男を知っているか」
如月「こんな顔なんだけど〜」
生首の写真を見せると、水嶋は絶句した。
水嶋「全然、知らん人です……。あの、これ、死んどるんですか…?」
如月「うん。三鷹ちゃんの家に宅配便で送られてきたんだよ」
黒宮「お前の工場付近で足取りが途絶えていた。何かあったのなら、話せ」
三鷹「クロミヤちゃん、怖いわよ」
“ただの同期“と言っていた砂海に何か思い入れでもあったのだろうか。いつになく真剣に見える。
水嶋「でも、俺…この人、見たことないです…」
イツキ「俺はあるけど?」
水母にヘッドロックをかけたままのイツキがスマホを覗き込んできた。
如月「えっ、あるの!?」
イツキ「おん」
水母「なんで私も連れてくるんですか!!コイツ嫌いマジで」
イツキ「知らんかった?俺はな。…敬語キャラは虐めたいタイプなんやで」
三鷹「理不尽すぎない?」
如月「水母ちゃん人格変わってる笑」
水母「帰り道は交通事故にご注意くださいね」
如月「ごめん許してまだ死にたくない」
黒宮「恥も外聞も無いのか」
如月「だって今落とそうとしてる子、超お嬢様だもん!!」
イツキ「さすがヒモw ハジメはこんな大人になったらあかんで」
水嶋「うん」
如月「あれ?なんで俺反面教師にされてんの?悲しいんだけど!?」
お久しぶりです!2ヶ月ぶりかも!?
ついにスランプ脱出です
小説のみ活動再開します
第十八話
中庭のど真ん中で『人殺し』だの『生首』だの言うわけにもいかず、ぞろぞろと大学の構内を出て『会社』のビルに向かった。
水母は、途中で逃げた。
三鷹「で、イツキちゃんはコイツ知ってるの?」
イツキ「何回か依頼繋いで貰ったんよ。なんなら、カフェに遊びに行ったりしとったし」
如月「えっ、カフェ!?カフェやってんの?殺し屋なのに…」
黒宮「殺し屋を副業と言い張っていた。二面性の激しい奴という印象が強いな」
如月「えー、こわー。殺し屋副業ってヤバいよね」
イツキ「アンタもそうやないんか」
如月「俺は殺し屋本業だもん笑 『殺し屋副業なんです〜』なんてどんだけ自分凄いよアピしたいのさ笑」
三鷹「副業:ヒモも割とヤバいと思うけど?」
黒宮「こんな大人になりたくない第1位だ。喜べ」
如月「嬉しくないからね、ほんと。…イツキちゃんは、本業大学生?」
イツキ「大学生って職業なん?俺は本業がクラッカーやで。ハジメは本業が工場経営やけど」
水嶋「収入は、こういう仕事の方が多いんですけどね…」
黒宮「違法性が高くなれば、それだけ料金も高くなるからな」
三鷹「クロミヤちゃんは、副業が探偵?」
黒宮「一応。まあ、やっていることは殆ど同じだ。だから、私には法外な料金を請求する権利がある」
如月「すっごい言い分笑 まあ正論っちゃそうだけど」
話が明後日の方向へ行っているような気がするが、誰も軌道修正をしようとしない。
この話はいつ終わるにやら。さすがはボケ集団。
短いね