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目次
七夕堂
ここは町の隅にある七夕堂
ほら今日もお客さんがやってきましたよ
夏はいつでも憂鬱になる。特に7月7日は。世間は七夕で騒いでいる中俺は、静かな病室で愛すべき彼女を自分の腕のなかで看取った。もっとできたことがあったのではないか、そう考えると止まらない。
「舞もう1度会いたいよ…」涙ながらにつぶやく声も舞には届かない。あれから3年。仕事の出世コースから外れ生きる意味を見失いつつある。
「もうそろそろ舞に会いに行こうかな…」そんなことを考えているといつもは通らない路地裏に入ってしまった。出ようとするとチラリと店が見えた。なんとなく入ると、店は七夕仕様。軽いトラウマがでて外に出ようとすると、「いらっしゃいませ」と声をかけられた。その時に外にそのまま出れないのがダサい。
店員に案内されるまま席に着く。注文を聞かれたがメニューを開く気力もなく「おすすめで」と答える。店員さんは少し悩み、わかりました、と厨房へ消えって言った。
舞…。もっとお前の異変に気付けたらとなりにお前がいたのかな…。この店を出たらこんな世界に別れを告げよう。そう思っていると目の前でスープが出る。 一口すするとなぜか涙が出てきた。きっとこのスープは前に舞が作ってくれたのと似てたからだ。「っ…。ごめん、ごめんな舞…❕一番近くにいたのになんも気づけなかった…!」 「そんなことはないと思いますよ」 「え?」「でしゃっばってすいません。でもきっと舞さんはあなたと一緒に入れてうれしかったと思います」頭の中で舞の口癖だった(私幸せだよっ!)という言葉を思い出して、また泣いた。
会計の時に「お味はいかがでしたか?」と聞かれた。「とてもおいしいかった」とありのまま伝える。「ありがとうございます。あれは七夕限定のメニューなんです。いつもも料理出しているのでまた来てください」その言葉に手を振ってこたえる。
外へ出ると空にはきれいな虹が架かっていた。もう俺は立ち止まらない。
「舞、もう少し頑張ってみるよ。俺がお前のとこに行くときにお土産話いっぱいでいられるように。」
(当たり前じゃん!)舞が笑った気がした
何かに立ち止まったとき七夕堂に訪れてはいかがでしょうか。
きっと心が軽くなりますよ。
なんておしゃれなことを書きました
短編は初めてなんでしたがいかかでしたでしょうか。
みぃ