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目次
Prologue
貴方にはわからない.この痛みも,思いも.
今日も僕らは“助けて”の代わりに“死にたい”と叫ぶ.
暗闇
小中,といじめを受けた僕は,トラウマを覚え,不登校,いや,引きこもりになった.未だにに覚えている.元親友に刃先を向けられた瞬間を.信じていた人に裏切られた瞬間を.そして,僕がいじめられてるのに関わらず,見て見ぬふりをしてきたアイツらを.
今日もまた,自分にナイフを向ける.
翔「今日こそ,死ねますようにッ,」
そう言いながら,いつもビビってナイフを手放してしまう.やはり,あの刃先がトラウマだ.
ナイフがダメならロープ.自分の首に巻き付け,強く縛りたいところだが,筋力が衰えてるせいで,苦しいと思えるほどの力も出ない.
後ろのベットに寄りかかる.朝なのか,夜なのかさえもわからない.いや,知らなくていい.カーテンを開ければきっと,また来てるだろうから.インターホンを鬼のように押す,《《アイツ》》が.
《《アイツ》》というのは,精神的に傷を負った子供たちをなんとか元気づけようとするカウンセラー.なぜコイツが嫌いなのか.その訳は,僕の話もまともに聞かずに金だけを奪い去って行くから.
母親はシングルマザーで一日中仕事.そんな母が全力で稼いだ金をアイツなんかに払わせる気はない.
教師やカウンセラーなんて,悩んでる子供に寄り添うようにプログラムされただけの人間だ.何を言っても返ってくるのは同じ解答ばかり.
「そうだよね」
「辛かったよね」
お前らにはわかんねーつーの.僕,いや,《《僕ら》》の気持ちは.
コンコン
珍しく,僕の部屋をノックする音が響いた.母親が帰って来るにはまだ早い時間だろうに.
翔「誰?」
僕が投げかけた言葉に反応はなく,しんとした空気だけが流れる.
翔「誰かいるんでしょ?」
さっきよりも大声で言うと,反応が帰って来た.
???「ふふっ」
可愛らしい女の子の笑い声が聞こえた.
僕には妹もいとこもいないのに.誰かの悪戯だと思い,ナイフを手に取りドアの前で構える.
翔「からかってんだろ!何かすれば殺す!」
再び静粛に包まれる.ナイフを持つ僕の手も,カタカタと震えていた.
???「からかってなんかないよ」
翔「わ!」
急に耳元で声がした.慌ててナイフを振り回すが,誰かがいる気配はない.
次の瞬間,部屋の照明がつけられた.眩しい.ずっと暗闇にいたためか,焦点が合わなくなってくる.目を細め,なんとかその正体をつきとめようとした.
???「こっちだよー?」
手を振るのは僕より小さい女の子.ピンク色のドレスを着ていて,年は…6歳くらい.
翔「君は…誰?何しに来たの?」
僕の問いに対して,女の子はくすりと笑った.
???「貴方をリアル人狼ゲームに招待するわ.」
翔「リアル人狼ゲーム?」
???「「死にたい」って言ってたでしょ?だから,同じ死にたいコ達を集めて,人狼ゲーム!」
意味がわからない.いきなり現れてから招待状を渡してくるなんて.
???「死にたいんでしょ?ここのセカイでは,キミみたいなコをたくさん集めたから!」
???「あ,でも」
少女は不気味な笑みを浮かべた.
???「要は“殺し合い”だけどね!」
翔「,は?」
はしめまして,死んでください.
空白がある方が読みやすいことに気づいた
理解が追いつけない俺を見て,奇妙な笑みを浮かべる彼女.広角は皮膚が引きちぎれそうなほど上がり,その瞳は白眼まで真っ赤に染まっている.まるで,俺の間の前には呪いそのものがいるように見えた.全身が震え上がり,腰が抜けてしまった.彼女はその奇妙な笑みで俺をしばらく見つめた後,姿を消した.
翔「ッ,はあ,はぁ,」
彼女が消えたとたん,息が楽になる.胸をきつく縛っていたものが,ほどけたように.床には,俺が落としてしまったナイフと,赤い封筒が.
翔「は?色が...変わった?」
さっきまで真っ白だったはずの手紙が血のように赤く染まっていた.抵抗心はあるが,震えた手で封筒の中身を覗く.その瞬間,眩しい光が封筒から飛び出し,俺の体を封筒の中へ連れ込んだ.
彼女だ.彼女のあの笑い声が聞こえる.甲高い,鼓膜を突くようなあの笑い声.
耳を塞ぐ.もう,あの子の笑い声が聞きたくないからだ.こんなの,Jアラートを耳元でずっと聞かされてるのと同じだ.
長い.いつまでこの光と笑い声に苦しまなければいけないのだろうか.封筒の中は光しかなく,体ははずっとぐるぐる回っている.
翔「出せよ!!」
不意に叫ぶ.
彼女に届いたのか,乱暴に床に落とされた.
翔「痛」
痛む腰を抑えながらもあたりを見渡す.知らない場所だ.協会みたいな壁.赤く上品な床.真ん中には大きな長テーブルと,その周りに椅子が間隔で置かれている.
翔「どこだ...?ここ」
俺の独り言に応えるように,どこからか声がした.
紫苑「君も,迷った人?」
見上げるとそこにいたのは高身長イケメンでスタイルのいい,モデルみたいな男子高生.彼もここへ,彼女から正体されたのだろうか.
きょとんとする俺の顔を見て,彼は美しく笑う.
紫苑「ごめん,自己紹介がまだだったね.俺は相沢|紫苑《しおん》.高校3年生.」
まだ落とされたままの俺に手を差し出す.こんなザ・イケメンな彼の前でこの体制は普通に恥ずかしい.あのクソ少女め.変な落とし方しやがって.紫苑の手をとり,立ち上がる.改めて見るこの場所はやはり一度も来たことのない,新鮮な空気がした.
翔「俺は|東海寺《とうかいじ》|翔《しょう》.高校1年...のはず.紫苑でいい?」
軽く自己紹介をし,紫苑と握手した.
紫苑「これで全員かな,」
翔「全員て?他にもいるの?」
紫苑「いるよ.ほら.」
紫苑が指を差した方を見ると,せいぜい10人はいるだろう.一箇所に集まっていた.男女関係なく.共通点があるとするなら,全員高校生に見える.
翔「あ」
その中には,俺の幼馴染の姿もあった.幼稚園の頃から一緒であり,俺がいじめられてるにも関わらず,見て見ぬふりをした,幼馴染.最後に見たのは中2の夏休み.その時に比べれば,顔も大人びでいる.成長していないのは俺だけのようだ.紫苑に視線を移す.広い肩幅.身長は俺とは10センチ以上差がありそう.今の俺はきっと,女子と同じくらいの身長なんだろうな.
???『`あれ,一人いないや`』
再びあの子の声が,脳内に直接語りかけるように聞こえた.姿はなく,声だけで.その声は全員に聞こえているらしく,俺だけじゃないらしい.
???『`連れてきたはずなんだけどな~.`』
ほぼ独り言じゃねぇか.そんなんみんなに聞かせてどうするんだよ.
俺が抵抗したときは反応がなかったのにと若干腹を立たせる.
ボト
俺と同じようにいや,俺よりも痛そうな音を立てて現れたのは,俺より少しだけ身長の高い,銀髪の少年だった.
零「なんか用?」
しかも態度も悪い.いや,高校生なのか?細いし.何も食べてなさそう.
彼は名乗らずに俺の隣に静かに立った.少しでかめのフードを被り,顔が見えにくくなっている.不思議に思いながらも引き続き,彼女の声を聞くことにした.
???「`さて,集まったところで,貴方がたには人狼ゲームをしてもらいます.`」
ざわつく.
人狼ゲーム,?そんなの,カードゲームのことしか知らない.こんなわけもわからない場所に連れてこられてカードゲームしろと言われたって.彼女は俺達に何をさせる気なのだろうか.
⁇?「`カードゲームとか簡単なものではないよ`」
俺の問いそのままを返すように彼女は言う.
⁇?「`君達には,リアル人狼ゲームをしてもらう.もちろん,人狼に殺されたら即死.現実世界でもお前らは死んだことになる.`」
翔「殺し合いってこのことだったのか⁉︎」
思わず口に出てしまった俺に視線が集まる.不意に恥ずかしくなった俺は身をひいた.
⁇?「`だって君達,`」
???「`死にたいんでしょ?`」
突き刺さるような一言に,場が凍りつく.毎日気安く放っていた「死にたい」の言葉の重みを改めて感じた.きっと俺達にとっての「死にたい」は「助けて」の代わりになる言葉だったからだ.
わ.終わり方こわ٩(๑´0`๑)۶
呪遊,始動.
ここで一つ説明を入れておく.カードゲームの「人狼ゲーム」とは,一人ひとりの役職があらかじめ決まっており,参加者はそれを全うする.例えば,自分の役職が人狼だとすれば毎晩誰か一人を食べていく.市民側はそれを阻止するために毎昼の会議時間に人狼を追い出さなければいけない.
もしこの彼女が作り出した|呪遊《ゲーム》がこの人狼ゲーム通りならば,確実にここにいる2人以上は死を迎えなければならない.
???「役職は,貴方の中にいるわ」
中…ポケットか?
自分のポケットを漁るが,カードらしきものは見当たらない.ベタベタと自分のポケット中を漁る俺を見て,隣の少年は呆れた口調と目つきで言った.
零「心の中って意味じゃねぇの」
先程までバカみたいにカードを探し回った自分が恥ずかしい.
翔「あ」
少年の目がちらりとフードの中から見えた.日本では珍しい,瞳が空色の中に青や緑がマーブル色に輝いている.吸い込まれそうな瞳をしばらく見つけめていたかったが,少年は素早くパーカーを目を隠すようにして覆った.
零「見んじゃねぇ」
そう告げた彼の目は、睨んでいるように見えて、怯えていた。
* * *
役職は自分の心の中にいる....どうやって探せばいいか目処がつかない.いきなり俺の中で「俺は人狼だ」なんてピンと来るわけでもない.他のみんなはもう自分の役職を理解しているのだろうか.気になった俺は,紫苑に声をかけてみる.
翔「紫苑は,自分の役職の意味はわかった?」
紫苑「ん~,わかんない.きっとここで過ごしていくうちにわかっていくんじゃないかな.」
確かにいつまでここにいるかはわからないが,紫苑の意見には納得だ.
蘭「健太?大丈夫?」
不意に振り向いた先には,うつむきながら自分の拳を握りしめる1人の男子高生と,同級生らしき女の子がいた.
女子高生の方が,彼を心配し,顔を覗こうとすると,
健太「クソがッッ‼︎」
突然怒りの声を上げた.それも大声なので,全員の視線が一箇所に集まる.
彼は,枯れそうな声で,そのまま続けた.
健太「こんなとこに連れて来られて,挙句の果てにはみんなで楽しくゲームしろ?ぶさけんな‼︎」
そばにいた女子高生も,ついその場を離れる.彼の目は血走り,拳はいっそう強く握られた.
彼の意見に納得する者も次々と現れた.正直言えば,俺もなんだけど.
健太「おい!聞いてんのかよ!クソガキが」
怒鳴り散らかす彼の前に,彼女は現れなかった.
菜々「やめなよ」
雷太「そうだぞ」
遂には無理矢理彼を取り押さえるハメになるところまで来ていた.こんなことをしても,彼女はまだ現れない.
健太「早く出せよ‼︎」
⁇?「`あら.ご不満?`」
前言撤回.俺らの脳に直接語りかけて来た.
健太「聞いてただろ.俺はくだんねぇゲームするためにこんな所に連れて来られたんじゃねえ」
⁇?「`ふふっ`」
言い終わるか終わらないうちに彼女の甲高い笑い声が彼の話を遮った.俺達は何故か身体が動かず,ただ呆然と2人の会話を見ることしかできない.
健太「何がおかしい」
少し息詰まりながも抵抗し続ける彼.
⁇?「`だって,`」
⁇?「`「死にたい」と叫んだのは貴方でしょう?`」
彼だけじゃない.正論をぶつけられた俺は,いや,ここにいるやつら全員は何も言い返せなくなっていた.
健太「だからッ,」
--- `ブシャッ` ---
翔「え」
彼の腹部から血が大量に破裂した.真っ白なカーペットの上に,彼の血がみるみる滲んでいく.どさっと重苦しい音を立てて彼は倒れ込む.その後も血は止まることを知らずにカーペットを紅色に染めてゆく.
場は,一瞬水を打ったように静かになり,
蘭「け、健太」
悲鳴が部屋を揺らした.
⁇?「`早めに楽にならせてあげただけだよ?さ,`」
來太「何すんだよ‼︎」
彼女の話を遮るとは勇気があるな,と心の中で思う.よくこの光景を見た後にそんなことができるもんだ.
來太「いくらなんでも殺す必要なんか...」
⁇?「`君も,死にたい?`」
さっきとは低めの彼女の声が追い討ちをかけるように全員の神経を乱れさせる.
叫んだ彼は,首を大きく横にふり,悲惨な死体を見て腰を抜かした.
茉莉「ねぇ,もうそろそろ椅子に座ってもいいんじゃない?」
彼女が消え,場が少し落ち着いたあと,向かい側で茉莉が言った.皆,目の前の長テーブルに目を移した.長テーブルの周りを囲うようにここにいる人数分の椅肘掛け子が綺麗に並べてある.しかもよく見ると指定席だ.一人ひとりの名前プレートが椅子の前に置いてある.
そのうちの一人が自分の名前の椅子に静かに座った.
「上田來太」
さっきの抵抗した男の子の名前がプレートにそう書いてある.こうして他人の名前を知れるのか.と心の中で呟く.
俺の肘掛け椅子を見つけ,座る.座りはじめた俺達を見て,周りの席もだんだん埋まっていく.紫苑は俺と2,3個離れた先の椅子に座り,あのフードの男の子は俺の向かい側に座った.
翔「零って言うのか」
誰にも聞こえない声で独り言をこぼした.
全員が各自の椅子に座ると,彼女の声が部屋全体に響いた.
先ほどの出来事あってから,彼女には抵抗してはいけないと,痛いほどよくわかった.
だが耳に入ったのは,彼女の明るすぎる声ではなく,低くだが彼女の高い声混じりの,不気味な声だった.
--- `昼の時間` ---
下手すぎるので寝ます.∠( ᐛ 」∠)_