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目次
君に、恋する。(1)
私、菜乃葉!
ごく平凡な、小5女子で、動物が大好き!
私、最近、「好き」な男の子ができたの。
いわゆる「初恋」ってやつだね!
ちなみに、好きな人は蓮くん。
まあ今はまだ、「杉本くん」、そう、苗字で呼んでるけどね…
杉本くんを見ると、目が合うとドキッとして、でも逆に目が合わないとソワソワして…
なんだか、くすぐったい気持ちになるんだ。
これが「恋」なのかな?
それはまだよくわからないけど…
でも、杉本くんは人気者。
ライバルも、いる。
ライバルなのは、同じクラスの「村山 杏」ちゃん。
杏ちゃんって、可愛くてモテるから、ちょっと勝てる自信はないかも…
でも、「伝えたい」という気持ちはおさまらない。
だから、まず仲良くなろうって決めたんだ。
効き目なしかもしれないけど、やらないよりマシだから、恋のおまじないも調べてやってみた。
伝えたい、伝えたい、伝えたい。
そんな感情が、心の奥深く底あたりから、湧き出てる。
フタを何回しても、フタは開いて、勝手に漏れ出てくる。
口に出そうなほどだ。
授業の合間をぬって、図書室の本で恋のアピール方法や、おまじない、占いまで、勉強したり、試したりした。
不思議と、いつもは嫌でめんどくさい勉強も、楽しかった。
毎日図書室へ向かう。
でも、閉館時間までがあっという間で、1分に感じるくらいだ。
私は、1人の男の子に出会い、
___好きになった。
___気持ちに出会った。
___「恋愛」を知った。
この恋は、いつまでも続くのだろう。
初恋の甘い味を、私はしっかりと噛み締めて、「今」の幸せを感じた。
君に、恋する。(2)
私、菜乃葉。
「杉本 蓮」くんに恋した、小5女子。
最近、杉本くんと積極的に話していたせいで、友達の|花奈《はな》や|蘭羅《らら》とあまり話せていない。
そう思いながらも、スマホを見ていると…
「ピロン♪」
「花奈からのメッセージの着信音だ!」
私は少し声をあげた。
スマホを確認すると…
花奈「今すぐうちに集まって!実は、うちの犬の[ルン]が逃げたの!散歩中に!ひとまずこれから蘭羅と蓮にも連絡するね!」
菜乃葉「うん!今すぐ行くね!」
「送信、っと。じゃ、行こう!ママー!ちょっと急ぎで花奈んちいってくるー!」
「気をつけるのよー」
バタン。
私は家を出て、花奈の家へ急いだ。
着いた…!
私の息は切れて、ハアハア言いながらも、やっと着いた!
私も犬を飼っているから、大変さはわかる。
だから、急いで来たけど…
まだ、誰もいないし、花奈もまだ家の外にはいない。
ちょっと、急ぎ過ぎたかな?
5分後。
杉本くんが家に着いた。
「は…早いね、」
少し返事がおかしくなった。
「実は、俺も猫飼ってて…大変な事態だと思って、走ってきた」
「へ、へー。あっ、えと、わた、私も、犬飼ってて…だから、わ、私も、急いで来た、の…」
すごく引っかかりながらも、なんとか言った。
わ、わゎー!
き、緊張するー!
2分後。
「あっ!花奈!」
「2人とも、もう来てたの?待たせてごめんねー。私も準備できたから、あとは蘭羅を待つのみだよ!」
3分後。
「あ!蘭羅!おーい!」
「ごめん、先に来てた!」
「蘭羅!もうみんな揃ったよ!」
「あっ、みんな!ごめん、遅かった?待たせた?行こ!」
隙間や垣根、公園の小さな木の下など、隅々まで探した。
「どこー?おーい。」
「ルンちゃーん?」
「ここいそうだな」
「なかなか見つからないね…」
もう1時間くらい経ってしまった。
みんな、春にもかかわらず汗だくだ。
すると。
「あっ!みんな、来て!」
杉本くんの声で我に返った。
「いた!ルン…!ルン…!」
花奈が駆け寄って抱いた。
「「「良かった…!」」」
公園の人通りの少ないエリアにいたのだ。
ルンも、抱かれて尻尾をフリフリ。
にもかかわらず泥だらけだ。
「ルン!これからはもう、逃げないでね…!ずっと、一緒にいてね…!」
しばらくして、杉本くんが立った。
「じゃ、俺はそろそろ帰るね!またな!」
私は笑顔で杉本くんを見送って、私たちも解散した。
「良かった。ほーんとに良かった!」
私は小さく呟き、さっきまでの出来事を思い返した。
君に、恋する。(3)
私、菜乃葉。
「杉本 蓮」くんに恋をした小5女子。
最近、ルンの事件があってから、花奈や蘭羅との友情を取り戻せたんだ!
でも、女の子の人間関係は難しいもの。
今度は杉本くんとの間に、ぽっかり距離が空いちゃった。
それを少し気にしながらも、花奈や蘭羅と話していると…
視界の端に、杏ちゃん(ライバル)と、向かい合っている杉本くんが見えた。
…えっ?
なんで?
もしかして…な、仲良くなっちゃったの?
もしかしたら先に告白されちゃうかも。
でも…まだそこまで仲良くない杉本くんに、今すぐ告白するなんて…むり、かも…
そのままじっと見ていると、
「これ、受け取って!読んでね!」
杏ちゃんが、杉本くんに、猫の絵付きの可愛いメモ用紙のような紙を渡すのが見えた。
「誰にも見せないでね」
杏ちゃんの口はそう動く。
私は、頭をガツンと殴られた気がした。
すると。
ぴら…
杉本くんが、紙を落としてしまったみたい。
急いで取りに行く杉本くんを見ていると…
ハッ…
ふと、文字を見て…しまった。
『放課後、校舎裏に来てね。話したいことがあるの。杏』
という文字を。
これって…こく、はく?
ど、どうしよう…っ。
混乱する頭を落ち着かせようとあたふたしてしまう。
「「どうしたの?」」
花奈と蘭羅に同時に聞かれ、「え」とさらに頭が混乱してしまい…
「あっ、いや、えと、ちょっと…何でも、ないよ…!」
その時はそんな返事で精一杯だった。
ちょっと返事、おかしかったかな…?
でも、2人は何も気がついていなかった。
良かった…!
私は、少し混乱しながらも、「杏ちゃんの前に告白するより、結果を見届けることにする」と、ひっそりと決意して。
___誰にも見えないようさりげなく、ぎゅっとこぶしを握って、誓った。
君に、恋する。(4)
私、菜乃葉。
「杉本 蓮」くんに恋をした小5女子。
少し前、ライバルの杏ちゃんが、杉本くんを校舎裏に呼び出したことを知ってしまったんだ。
「誰にも見せないでね」と杏ちゃんが言っていた、あのメモ用紙。
見るつもりはなかったのに。
罪悪感に埋まっている私の心をなぐさめる。
それに、友達にはごまかしてしまったし…
これからどうしよう…かな。
私は頭の中でぐるぐると考えを巡らせた。
さすがに、|後を追う《尾行する》ことはできないし…
かと言って、杉本くんが杏ちゃんを振ってほしいと思うと、杏ちゃんを傷つけるのと同じようなものだし…
___実は、私と杏ちゃんは、小2まで、大親友だったんだ。
つまり、元親友、ってこと。
でも小3になるときのクラス替えで、クラスが分かれて、小4でも分かれちゃったんだ。
それで、小5になってまた同じクラスになれたけど、ほとんど話さなくなってて。
そしてさらに、ライバルということを知ってしまったの。
迷っているうちに、いつの間にか放課後になっていた。
よくわからなくなりながらも、祈りながら、教室で1人残って杏ちゃんを待った。
チクタクチクタク…
時計の針が音を立てる以外、全てが静かだった。
私の心は静けさに縛り付けられる。
すると。
少し経ったとき、泣きながら杏ちゃんが教室に入ってきた。
あっ…振られちゃった、のかな?
そしてしばらく沈黙が流れた。
その沈黙を破ったのは、杏ちゃんだった。
「う…うぅっ。ひっく、ひぐ…あ、あの…ずびっ、菜乃葉ちゃん、っ、い、居た…の…?うゎぁん…」
「え、えと…杏ちゃん。だ、大丈夫…?」
「う、うぅっ…うぁ…」
「実はね、私、杏ちゃんのこと、待ってたんだ」
さすがにあのメモ用紙を見てしまったことを隠してはいられなかった。
「ぅ、え?」
杏ちゃんも驚いたような顔だ。
涙の筋を顔に付けたまま。
私は、言った。
「私ね。あのメモ用紙、杉本くんが落としたとき、実は見ちゃったんだ。ごめんね。今まで隠してて。でも、杏ちゃんなら元親友なんだから、言っちゃっても大丈夫だと思って」
「う、うぅっ、ぁ。」
「でも、告白…失敗しちゃったんだね。振られちゃったんだね。大丈夫、大丈夫。」
「う、ひぐっ…あ、あのね、なんか『杏とは、友達で居たいんだ。ごめんけど、杏とは付き合えない』って…ずび、い、言われたの…」
「そうなんだね。辛かったね…勇気、出したんだね。でも、きっとその言葉、[もう一緒にいるのやめる]ってのじゃなくて、[友達ならいいよ]ってことじゃない…?だから、大丈夫。完全に関われなくなったわけじゃないと思う。信じて。私は言葉を掛けることしかできないけど、ここから、見守ってるよ…」
「う、うぅ…うん!」
これは本当にライバル同士なのか?という会話を交わして、私たちは教室を離れ、別れた。
杏ちゃん。どうか、落ち込まないでね。
私は、杏ちゃんに何も起こらないよう祈りながら、家路に着いた。
君に、恋する。(5)
私、菜乃葉。
「杉本 蓮」くんに恋をした小5女子。
昨日、元親友の杏ちゃんが、杉本くんに告白して、振られちゃったんだ…
今日は、なんだか嫌な予感がする。
なんでだろう…
私はとりあえず、学校に行く支度をした。
着いた。
何も起こりませんように!
私は密かに願った。
でも___。
その嫌な予感は、後々的中してしまったんだ。
その「嫌なこと」っていうのは___。
「ウワサ」だ。
「ねえ、こんなウワサ、聞いた?杏ちゃん、杉本くんに告白して、振られたっていうやつ」
「聞いた聞いた!」
「俺も」
「私もー」
「「「「あははははっ!」」」」
どこからともなく不気味な笑い声が聞こえてきて、私はぎゅっと目をつぶった。
みんながみんな落ち着いてなくて、ここにいるのも辛かった。
杏ちゃんは、そんな中で…
涙がこぼれ落ちるのを必死にこらえていた。
「大丈夫…?」
また前のように、声を掛けた。
「もう、こんなウワサ、嫌だ!告白なんて、しなければ良かった…」
「大丈夫だよ。ウワサっていうのは、だんだん消えていくものなんだから!今までウワサされたことも、今は誰も話さないでしょ?」
「確かに…ありがとう。ウワサが話されなくなるのを、待ってみるね!」
「うん!頑張って!」
私たちは最後、他のみんなとは別の意味で、笑みを漏らした。
君に、恋する。(6)
私、菜乃葉。
「杉本 蓮」くんに恋をした小5女子。
この前、杏ちゃんが杉本くんに告白して、振られたことがウワサされちゃったんだけど…
2日くらい経ったら、もうほとんどウワサされなくなって。
3日後には、そのウワサはすっかり無くなっていたんだ。
杏ちゃんも私も、ほっと安心した。
良かった!
そして今日は、日曜日。
今日は私たち家族全員、朝からソワソワしてる。
なぜかというと…
今日、実は猫を買いに行くの!
犬はもともと飼ってたんだけど…少し前、猫も飼いたいなという話題が出てきて、私たちは家族全員賛成で。
少しずつ猫グッズとか餌とか買ったり、調べたりして、準備してきてたんだ!
杏ちゃんのことがあって忘れかけてたけどね…
そして、時間になった。
「家出るわよー。準備してー」
ママが言う。
「はーい」
『バタン。』
車に乗り込む。
「楽しみ」
私は小さく呟き、着くのを待った。
少し経つと、ペットショップが見えてきた。
うちのワンちゃんを買ったところだ。
「着いた!」
ペットショップに入る。
「どの子も可愛い…!」
すると。
「あっ…!」
「どうしたの?」
ママに聞かれ、とっさに答える。
「こっ、この子の誕生日、私の誕生日と同じ…!」
「えっ?わっ、ほんとね!この子にする?」
「うん…!」
結局飼うことにしたのは、茶トラの子。
種類はペットショップにあまりいない雑種。
茶色で頭にハチワレが入っており、とても可愛い!
家に帰って、名前も付けた。
それは、茶色い毛色から、「チャイ」。
単純だけど、うちのワンちゃんも色から名前つけたからね。
そして、月曜日。
私は、あることを思い出した。
「そういえば杉本くん、ルンが脱走したとき、猫飼ってるって言ってたような…?」
そして火曜日。
私は、杉本くんに、猫を飼ったことを伝えることにした。
話の話題にもぴったりだしね。
写真も、こっそり持ってきた。
今はちょうど昼休みということもあって、私は杉本くんに駆け寄った。
「杉本く…」
___えっ?
スッ…
無視された。
なんで…?
私はそれから、色々考えた。
もしかして、猫を飼ったこと、真似だと思ったの?
いや、でも、まだ話してないから、知らないはずだし…
それとも、聞こえなかった?
いや、あの距離だと、さすがに聞こえるよね…
なんで、急に無視されるのかな…
とりあえず、明日また話してみようかな…
でも…どうしよう。
話せるかな?
無視されないかな?
話すタイミングあるかな?
心配になる。
とりあえず、無理に話そうとせずに、しばらく距離を置いておいた方がいいのかな。
考えながらもなんとか5・6時間目の授業を受け、私は結論が出せないまま、下校した。
君に、恋する。(7)
私、菜乃葉。
「杉本 蓮」くんに恋をした小5女子。
この前、猫を飼ったの。
それで、杉本くんも猫を飼ってるらしいから、話そうとしたら…無視、されたんだ…
すごくショックで、それから杉本くんとは話せなかった。
そして今日は、日曜日。
あれから杉本くんとはずっと話せず、そのまま休日になった。
もう、チャイを迎えてから1週間。
そして___杉本くんと話せなくなってから、5日目。
私は、杉本くんのことの気晴らしのつもりで、家の周りをあてもなくふらふらと歩いた。
「はぁ…」
無視された日から、何度ため息をついたのだろうか。
もう数え切れないくらい、「はぁ…」って言った。
しばらくすると。
どこからか、こんな声が___
「…ミャアッ…ニャ、ニャァ…」
か細い猫の鳴き声が聞こえた。
弱ってしまい声を出すのも精一杯、って感じの声。
「え…あっ!」
猫が居た。
すぐそこのゴミ捨て場のところに。
きっとエサがなくて、ゴミをあさってでも何か食べ物が欲しいのだろう。
手元のカバンに、非常用のタオルがあった。
それは、よく急に雨が降った時に体を拭いたものだ。
まあ、しっかり洗ってあるけれど。
タオルをそーっと近づける。
その猫は、逃げる様子もなく、おとなしかった。
タオルでふわっと包んだ。
私は猫を保護したのだ。
その子は、チャイと同じ茶白の雑種猫。
でも、鼻の横にソースを垂らしたような点が1個ある。
家に一旦戻り、今度は動物病院へ出かけた。
ママが車を運転する。
「大丈夫かな…足もおケガしてるし…」
そして、動物病院で足のケガの塗り薬をもらい、寄生虫などの検査や、健康診断をした。
足のケガ以外、何も異常なしだった。
「良かった…!」
家に帰って、チャイにあげているキャットフードをあげた。
ちゃんと残さず食べてくれた。
それから、飼い主の元に戻してあげるために、チラシを作った。
何枚も何枚もコピーした。
「飼い主さんを待っている猫ちゃんがいます。」と、大きく書かれたチラシ。
他にも、「猫を保護しました。○月○日☆町で見つけました。特徴は、茶白の大人猫で、鼻の近くに茶色の模様があります。(写真)飼い主の方は、この電話番号までご連絡ください。(電話番号)」と書いてある。
明日は、学校でもチラシを配ることにした。
そして今日は、とりあえず眠りについた。
私は、今日起きたことを思い出して、なぜか笑みがこぼれていた___。
君に、恋する。(8)
私、菜乃葉。
「杉本 蓮」くんに恋をした小5女子。
昨日は、猫を保護したんだ。
それで、飼い主探しのチラシを学校で配ることを決めたの。
お母さんも、近所の人に配ってくれるらしいし。
お父さんも、会社の社員とお客さんに聞くって言ってた。
みんなで協力して、飼い主を探す、ってことだね。
すぐに見つかればいいな。
私に助けを求めてきたわけだし、多分野良猫ではないよね…。
とりあえず、学校行こっと。
先生に、一応相談した。
「先生、チラシ配っていいですか?…実は、猫ちゃんの飼い主さんを探してて…」
「いいよ。じゃあ、朝の会で配ろうか」
「ありがとうございますっ!」
朝の会の始まる時間だ。
「起立!気をつけ、礼ー」
「おはようございます」
「着席。お知らせです。」
先生が言い、私はすっと立った。
「猫を保護しました。飼い主さんがいません。誰か心当たりはありませんか?」
チラシを配る。
すると…
「…あっ…!**それ、うちの猫です!!**」
杉本くんが叫んで、えっ、と教室全体から声があがる。
もちろんその中に私もいる。
私は固まった。
「家からいなくなって…探してたんです」
ええええ〜〜〜〜〜!!
まさか、まさか!
杉本くん家の猫だったなんて…!
そして、放課後。
うちまで来てもらった。
「すぐ見つかって、よかったわ」
お母さんは、私が話すなり何度もそう言った。
「ニャー太…ニャー太!なんで、なんで逃げたんだよ…!」
「ニャー太って言うんだね。飼い主さんに会えて、よかったね。それに、杉本くん家の猫だったんだね」
「あっ…!そういえば…!この前は、無視してごめんな!ニャー太のことで、頭がいっぱいだったんだ…」
「そうだったの…ごめんね。あと、前話そうとしたとき、猫飼ったことを話そうと思ったんだけど…うちの子と、すごく似てるね。年は違うけど。うちの子、チャイっていう、雑種なの」
「そうなんだ!」
そして、その事件が解決してから、また2人の仲を取り戻せた。
「良かった…」
私は小さく、ため息混じりに呟いたんだ。
君に、恋する。(9)
私、菜乃葉。
「杉本 蓮」くんに恋をした小5女子。
今日は、土曜日。
それも、|いつもとは違う《特別な》土曜日!
なんでかというとね…
今日は、なんと…杉本くん家に遊びに行けることになったの!
朝からドキドキ、ソワソワ。
あれは、昨日のこと。
「ねえ」
学校で杉本くんが話しかけてくるのは初めてだった。
「な、なに…っ?//」
まず、学校で男子が私に「ねえ」っていってくることさえ、小学低学年以来だ。
すると唐突に聞かれた。
「明日、予定空いてる?」
「え、ええと、は、ハイ」
返事、おかしくなっちゃったよ…
「ならよかった!明日、10時から3時まで、うちで遊ばない?昼は弁当持ってきてね!あと、チャイも連れてきて!」
「え!?う…うんっ!//」
私は満面の笑みで答えたんだ。
そして、今。
うう〜、やっぱ緊張する。
男の子の家にこの歳で1人で行って、2人きりで遊ぶなんて。
それにその人は好きな人。
夢、みたい…
どき、どき、どき…
じ、時間だ…!
今はちょうど10時。
私は恐る恐る、目の前に立つ杉本くん家のドアチャイムボタンに手を伸ばす。
ぽち
「ピーンポーン」
「ガチャッ」
「こ、こんにちはー…お邪魔しまーす…」
そろ…と足を1歩進める。
すると。
「あらー、あなたが菜乃葉ちゃん?はじめましてー。蓮が女子を家に連れてくるのは初めてだわね。」
「は、はじめまして!菜乃葉ですっ!」
杉本くんのお母さんらしき人に出迎えられた。
杉本くん家の玄関はおしゃれで、ちょっと西洋風だった。
杉本くんの小さい頃の写真や、動物などの置物が飾られていた。
「わぁ…」
少し見とれてしまった。
「どうぞ、あがってね。」
「ありがとうございます!」
杉本くんのお母さんに、クッキーをもらって、そのまま杉本くんの部屋に行った。
「カチャリ」
チャイのキャリーケージを開けると、チャイは恐る恐る出てきた。
私がドアチャイムを押すときのように…
そして、ニャー太を見つけると一直線に駆けていき、スリスリした。
「「仲良し…」」
それからはお菓子を食べたり、公園に行ったり、ニャー太やチャイと遊んだり、ゲームしたり…
たくさん、たくさん遊んで、今日は解散することになった。
「楽しかった」
私は呟き、杉本くん家の玄関のドアを、ゆっくりと開けた。